JP2009031274A - 構造体、標的物質検出素子および標的物質検出キット - Google Patents

構造体、標的物質検出素子および標的物質検出キット Download PDF

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Abstract

【課題】高い非特異的吸着防止能を有する標的物質検出素子、標的物質検出キット、標的物質検出素子を構成する構造体を提供。
【解決手段】基体と、該基体の表面に存在し下記一般式(1)などで示されるモノマーの重合体とからなる構造体、前記構造体を用いた標的物質検出素子および標的物質検出キット。
Figure 2009031274

(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、非特異的吸着防止能を有する標的物質検出素子、標的物質検出キット、および前記標的物質検出素子を構成する構造体に関するものである。
従来から、検体中の標的物質を検出する手段として分子間の相互作用が用いられてきた。相互作用を用いた手段としては、一方の分子を捕捉体として基体表面上に固定し、標的物質を含む検体を接触させることによって反応を行わせる方法が一般的である。
固定した捕捉体と相互作用する標的物質を定量的に測定するとき、基体表面の性質もしくは固定方法によっては、前記捕捉体と相互作用した標的物質以外に、基体表面に非特異的に吸着した物質も同時に検出してしまう恐れがある。このことが、微量検出を必要とするセンサでは、最小検出感度を低下させる原因となる。そのため、非特異吸着を抑制しつつ、標的物質のみが検出される手法が必要とされている。
基体表面への非特異吸着を防止する技術として、非特許文献1には、シリコン表面において、MPC(2−methacryloyloxyethyl phosphorylcholine)をモノマーとして原子移動ラジカル重合により基体表面にMPCポリマーを高密度に形成し、タンパク質の非特異吸着および細胞の接着を防止する技術が開示されている。
一方、非特許文献2には、CBMA(2−carboxy−N,N−dimethyl−N−(2’−methacryloyloxyethyl) ethanaminium inner salt)をモノマーとして原子移動ラジカル重合によりSPR(Surface plasmon resonance)センサ表面にCBMAポリマーを高密度で形成した後、更にCBMAポリマーの側鎖官能基であるカルボキシル基に捕捉体を固定化し、夾雑物の非特異吸着を防止して標的物質を検出する技術が開示されている。
"Biomacromolecules",2004,5,2308から2314頁 "Biomacromolecules",2006,7,3311から3315頁
しかしながら、上記のいずれの技術においても、非特異吸着防止能は十分とは言えず、更なる非特異吸着防止能を有する標的物質検出素子が求められていた。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、高い非特異的吸着防止能を有する標的物質検出素子、標的物質検出キット、および前記標的物質検出素子を構成する構造体を提供するものである。
本発明の第一は、基体と、該基体の表面に存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体からなる膜と、からなることを特徴とする構造体である。
Figure 2009031274
(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
Figure 2009031274
(式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
前記重合体の一端が前記基体に結合していることが好ましい。
前記重合体が、一般式(1)に示されるモノマーの重合体であることが好ましい。
前記重合体が、x=2かつy=1である一般式(1)に示されるモノマーの重合体であることが好ましい。
本発明の第二は、検出領域を有する基体と、該検出領域の表面に少なくとも存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体からなる膜と、該重合体に結合している第一の標的物質捕捉体と、からなることを特徴とする標的物質検出素子である。
Figure 2009031274
(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
Figure 2009031274
(式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
前記重合体の一端が前記検出領域に結合していることが好ましい。
本発明の第三は、標的物質検出キットであって、前記標的物質検出素子と第二の標的物質捕捉体とからなる標識材料と、からなることを特徴とする標的物質検出キットである。
前記標的物質検出素子が有する検出領域が、磁性物質を検出することができる検出領域であり、前記標識物質が磁性物質からなることが好ましい。
本発明によれば、高い非特異的吸着防止能を有する標的物質検出素子、標的物質検出キット、および前記標的物質検出素子を構成する構造体を提供することができる。
まず、本発明の第一の構造体の構成について説明する。
本発明の第一の構造体は、基体と、該基体の表面に存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体からなる膜と、からなることを特徴とする構造体である。
Figure 2009031274
(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
Figure 2009031274
(式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
図1は、本発明の第一の構造体の一例を示す概略図である。
以下、本発明の第一の構造体を構成する各部について説明する。
(基体)
基体1は、一般式(1)または一般式(2)に示されるモノマーの重合体からなる膜(以下、非特異吸着防止膜と呼ぶ場合がある)を表面に形成することが可能なものであればよい。
このような基体1の表面を構成する材料としては、例えば、アミノ基もしくはチオール基が結合可能である金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属、CdS、ZnS等の半導体、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、もしくは、シラノール基が結合可能なガラス、シリコン、酸化チタン、セラミック、もしくは、カルボキシル基が結合可能なセラミック、カーボンなどを用いることが可能である。酸素プラズマ処理、UV処理等により表面を酸化することによりカルボキシル基を提示することが可能なプラスチックなども用いることができる。
また、基体1の形状は、平板、曲板、粒子、微小構造体、あるいはマイクロタイタープレートなどいかなる形状でもよい。
(非特異吸着防止膜)
非特異吸着防止膜12は、一般式(1)あるいは、一般式(2)で示される両性イオンモノマーの重合体からなる膜である。
Figure 2009031274
(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
Figure 2009031274
(式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
なお、一般式(1)においては、x=2、y=1であることが好ましい。
非特異吸着防止膜12は、膜を形成する重合体の一末端が基体に固定されることが好ましく、重合体の側鎖には生体分子の非特異吸着を防止する側鎖官能基である両性イオンが存在する。
非特異吸着防止膜の吸着防止能は、非特異吸着防止膜12を構成する重合体の側鎖官能基3と主鎖2が基体1表面への物質の非特異的な吸着を防止することにより発揮される。一般式(1)では、側鎖官能基3であるカルボキシベタイン構造、及び主鎖2である(メタ)アクリルアミド構造が非特異吸着を防止するのに優れた効果を発揮する。また、既知の(メタ)アクリル酸エステル構造よりもポリマー伸張が精密かつ速い場合がある点においても、一般式(1)の(メタ)アクリルアミド構造は有用であるといえる。一方、一般式(2)では、側鎖官能基3であるホスファチジルアミン構造、及び主鎖2である(メタ)アクリルアミド構造、又は(メタ)アクリル酸エステル構造が非特異吸着を防止するのに優れた効果を発揮する。
前記基体1上における前記非特異吸着防止膜12の数平均分子量は500以上1000000以下であることが好ましい。分子量分布は1以上2未満であることが好ましい。また、前記非特異吸着防止膜の密度は0.1分子/nm以上であることが好ましい。
非特異吸着防止膜12を構成する重合体の一末端を基体1へ固定する方法としては、既に重合された非特異吸着防止膜12を基体1の表面に接触させて固定させても良いが、基体1に非特異吸着防止膜12を構成する重合体のモノマーからなる溶液を接触させた状態で重合することで固定する方法とすることが好ましい。その際、まず基体に重合開始基を固定し、次いで所定の条件においてモノマーを付与することで重合し、高密度にグラフトされた非特異吸着防止膜を構築することが好ましい。このような手法を選択する場合、基体の平板上に数nm程度の凹凸がある場合であっても、基体の形状が粒子や微小構造体の場合であっても、基体の微小な変化を有する表面形状に沿って高密度に、凹凸に応じて隙間を埋めるように形成することが可能である。
なお、重合の方法としては、リビングラジカル重合であることが好ましい。このような方法などにより、非特異吸着防止膜を構成する重合体の一端を基体に結合させることが可能である。また、ここでの結合とは、共有結合あるいは配位結合であることが好ましい。
(リビングラジカル重合)
次に、基体1に非特異吸着防止膜12を構成する重合体のモノマーからなる溶液を接触させた状態で重合することで固定する方法について説明する。一般的に、リビングラジカル重合は、合成されるポリマーの分子量分布が小さく、かつ基体上に高密度にポリマー層をグラフト化できる。よって、リビングラジカル重合によって、一般式(1)あるいは一般式(2)で示される両性イオンモノマーを重合すれば、基体上に高密度な非特異吸着防止膜を設けることが可能であり、その重合体の側鎖官能基の少なくとも一部に第一の標的物質捕捉体を固定することが可能である。リビングラジカル重合法としては、有機ハロゲン化物などを開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるニトロキシド媒介重合(Nitroxide Mediated Polymerization:NMP)や、ジチオカルバメイト化合物などのラジカル捕捉剤を用いる光イニシエーター重合などが挙げられる。本発明においてはいずれの方法により前記構造体を製造してもよいが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合を利用するのが好ましい。
(原子移動ラジカル重合)
リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合の場合、下記の化学式1から3に示すような有機ハロゲン化物、又は化学式4に示すようなハロゲン化スルホニル化合物を重合開始剤として用いることができる。
Figure 2009031274
原子移動ラジカル重合開始剤が導入された基体を反応溶媒に加えた後、非特異吸着防止膜を構成する重合体のモノマーである一般式(1)あるいは一般式(2)で示される両性イオンモノマーおよび遷移金属錯体を添加し、反応系を不活性ガスで置換して原子移動ラジカル重合を行う。これによって、グラフト密度を一定に保持しながら重合を進行させることができる。つまり、重合をリビング的に進行させ、重合体を基体上にほぼ均等に成長させることができる。
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジン、水、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。これらは単独で使用しても良いし、又は2種以上を併用しても良い。
不活性ガスとして、窒素ガスやアルゴンガスを使用することができる。
使用する遷移金属錯体はハロゲン化金属とリガンドからなる。ハロゲン化金属の金属種としては、原子番号22番のTiから30番のZnまでの遷移金属が好ましく、更に、Fe、Co、Ni、Cuが好ましい。その中でも、塩化第一銅、臭化第一銅が好ましい。
リガンドとしては、ハロゲン化金属に配位可能であれば特に限定されないが、例えば、2,2’−ビピリジル、4,4’−ジ−(n−ヘプチル)−2,2’−ビピリジル、2−(N−ペンチルイミノメチル)ピリジン、(−)−スパルテイン、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ジメチルグリオキシム、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,10−フェナントロリン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等を使用することができる。
遷移金属錯体の添加量は、非特異吸着防止膜となる両性イオンモノマーに対して、0.001から10重量%、好ましくは0.05から5重量%である。
重合温度は、10から100℃の範囲であり、好ましくは、20から80℃の範囲である。
また、重合を行う際、基体に固定されていないフリーな重合開始剤を添加しても良い。フリーな重合開始剤から生成するフリーポリマーは、基体にグラフト化された非特異吸着防止膜の分子量及び分子量分布の指標とすることができる。
フリーな重合開始剤としては、基体に固定している原子移動ラジカル重合開始剤と同種のものを選択することが好ましい。つまり、化学式1(X=Br)の重合開始剤に対して、フリーな重合開始剤は2−ブロモイソ酪酸エチルであることが好ましい。また、化学式2(X=Br)の重合開始剤に対して、フリーな重合開始剤は2−ブロモプロピオン酸エチルであることが好ましい。
重合終了後、基体を前記した反応溶媒で十分に洗浄して、非特異吸着防止膜がグラフト化された基体を得ることができる。
(ニトロキシド媒介重合)
リビングラジカル重合がニトロキシド媒介重合である場合、化学式5から7に示すようなニトロキシド化合物を重合開始剤として用いることができる。
Figure 2009031274
ニトロキシド媒介重合開始剤が導入された基体を反応溶媒に加えた後、非特異吸着防止膜を構成する重合体のモノマーである一般式(1)、あるいは一般式(2)で示される両性イオンモノマーを添加し、反応系を不活性ガスで置換してニトロキシド媒介重合を行う。これによって、グラフト密度を一定に保持しながら重合を進行させることができる。つまり、重合をリビング的に進行させ、重合体を基体上にほぼ均等に成長させることができる。
反応溶媒としては特に限定されないが、前記した同様の溶媒を使用することができる。また、それらを単独で使用しても良いし、又は2種以上を併用しても良い。
不活性ガスとして、窒素ガスやアルゴンガスを使用することができる。
重合温度は、10℃から120℃の範囲であり、好ましくは、20℃から100℃の範囲である。
また、重合を行う際、基体に固定されていないフリーな重合開始剤を添加しても良い。フリーな重合開始剤から生成するフリーポリマーは、基体にグラフト化された非特異吸着防止膜の分子量及び分子量分布の指標とすることができる。
フリーな重合開始剤としては、基体に固定しているニトロキシド媒介重合開始剤と同種のものを選択することが好ましい。したがって、化学式5の重合開始剤に対しては、フリーな重合開始剤として、化学式8に示されるニトロキシド化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009031274
重合終了後、基体を前記した反応溶媒で十分に洗浄して、非特異吸着防止膜がグラフト化された基体を得ることができる。
(光イニシエーター重合)
リビングラジカル重合が光イニシエーター重合である場合、化学式9に示すようなN,N−ジチオカルバミン系化合物を重合開始剤として用いることができる。
Figure 2009031274
光イニシエーター重合開始剤が導入された基体を反応溶媒に加えた後、非特異吸着防止膜を構成する重合体のモノマーである一般式(1)、あるいは一般式(2)で示される両性イオンモノマーを添加し、反応系を不活性ガスで置換して光照射することによって光イニシエーター重合を行う。これによって、グラフト密度を一定に保持しながら重合を進行させることができる。つまり、重合をリビング的に進行させ、重合体を基体上にほぼ均等に成長させることができる。
反応溶媒としては特に限定されないが、前記した同様の溶媒を使用することができる。また、それらを単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスを使用することができる。
照射する光の波長は、使用する光イニシエーター重合開始剤の種類によって異なる。化学式9に例示する光イニシエーター重合開始剤を有する基体表面に非特異吸着防止膜をグラフト化する場合、反応系に300nmから600nmの波長を示す光を照射することによって光イニシエーター重合が良好に進行する。
重合温度は、副反応を抑制するため、室温あるいはそれ以下の温度であることが好ましい。但し、同様の効果が得られる範囲においてこの温度領域に限定されるわけではない。
また、重合を行う際、基体に固定されていないフリーな重合開始剤を添加しても良い。フリーな重合開始剤から生成するフリーポリマーは、基体にグラフト化された非特異吸着防止膜の分子量及び分子量分布の指標とすることができる。
フリーな重合開始剤としては、基体に固定している光イニシエーター重合開始剤と同種のものを選択することが好ましい。したがって、化学式9の重合開始剤に対しては、フリーな重合開始剤として化学式10に示されるジチオカルバメイト系化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009031274
重合終了後、基体を前記した反応溶媒で十分に洗浄して、基体表面に非特異吸着防止膜がグラフト化された構造体を得ることができる。
基体表面に重合開始剤を固定する方法は特に限定されるものではないが、基体が金属であれば、チオール化合物を含む重合開始剤を基体表面に結合する、又は、前記基体をチオール化合物で前処理した後に重合開始剤を結合する方法が好ましい。
本発明において、基体が酸化膜を有する金属であれば、シランカップリング剤を含む重合開始剤を結合するか、又は、前記基体をシランカップリング剤で前処理した後、続いて重合開始剤を結合する方法が好ましい。
基体がプラスチックであれば、酸素プラズマ処理、UV処理等により表面を酸化してカルボキシル基を発現させた後、アミノ化合物を含む重合開始剤を結合するか、又はアミノ化合物で前処理した後に重合開始剤を結合する方法が好ましい。
なお、一般式(1)で示される両性イオンモノマーは、J.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.1997,35,3527から3536を参考にして合成することができる。即ち、上記文献に記載の反応式(1)で示されるように(メタ)アクリルアミドとラクトンを反応させることによって、目的とする一般式(1)で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
一般式(2)で示される両性イオンモノマーは、Makromol.Chem.178、2963−2967(1977)を参考にして合成することができる。
なお、本発明の第一は、非特異吸着防止膜に第一の標的物質捕捉体が結合された構造体であっても良い。
このような場合の本発明の第一の構造体は、標的物質を捕捉する第一の標的物質捕捉体を含む非特異吸着防止膜を基体上に備え、前記非特異吸着防止膜は下記一般式(1)または一般式(2)で示される両性イオンモノマーの重合体からなり、前記構造体が有する基体には一般式(1)または一般式(2)で示される両性イオンモノマーの重合体からなる非特異吸着防止膜の一端が結合し、該非特異吸着防止膜の側鎖官能基の少なくとも一部に第一の標的物質捕捉体が結合している構造体と呼ぶことも可能である。尚、ここでの結合とは、共有結合あるいは配位結合であることが好ましい。
このような場合の構造体を図2を用いて説明する。
構造体が第一の標的物質捕捉体4を有することにより、構造体が標的物質10を捕捉することが可能となる。したがって、例えば、構造体が有する基体が標識物質である場合、構造体を標識材料として用いることができる。
(標的物質および第一の標的物質捕捉体)
第一の標的物質捕捉体4としては、標的物質10と相互作用することにより、標的物質10を、捕捉、あるいは変換を行う分子であれば良い。このような第一の標的物質捕捉体4としては、例えば、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体などが挙げられる。具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、抗体フラグメント、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプター、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは生体物質を捕捉、あるいは変換することができる抗体、抗体フラグメント、あるいは酵素である。
標的物質10は、第一の標的物質捕捉体4と反応する物質であればいかなるものでもよい。より好ましくは生体物質である。生体物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体から選択される生体物質が含まれ、更に詳しくは、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質から選択される生体分子を含んでなるものであり、具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプタ、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質の何れかから選択された物質を含むものであれば、如何なる物質にも本発明を適用することができる。更には、前記の「生体物質」を産生する細菌や細胞そのものも、本発明が対象とする「生体物質」として標的物質となり得る。
したがって、これら標的物質10と第一の標的物質捕捉体4との相互作用としては、例えば、「抗原−抗体反応」、「抗原−アプタマー(特定構造を有するRNA断片)相互作用」「リガンド−レセプター相互作用」、「DNAハイブリダイゼーション」「DNA−タンパク質(転写因子等)相互作用」、「レクチン−糖鎖相互作用」等が挙げられる。
(第一の標的物質捕捉体の固定)
第一の標的物質捕捉体4を非特異吸着防止膜12に固定する方法としては、非特異吸着防止膜12の側鎖官能基3の少なくとも一部に第一の標的物質捕捉体4を共有結合させる方法などが挙げられる。例えば、一般式(1)の両性イオンモノマーで非特異吸着防止膜12を形成した場合、側鎖官能基3である−COOに第一の標的物質捕捉体4を固定することができる。N−ヒドロキシスルホスクシンイミドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等を使用して、非特異吸着防止膜12の側鎖官能基3であるカルボキシル基を活性エステル化し、第一の標的物質捕捉体4のアミノ基と反応させて、第一の標的物質捕捉体4を非特異吸着防止膜12の側鎖に固定することができる。
一方、一般式(2)の両性イオンモノマーで非特異吸着防止膜12を形成した場合、側鎖官能基3である−NH に第一の標的物質捕捉体4を固定することができる。グルタルアルデヒド架橋剤等を用いて、前記アミノ基と第一の標的物質捕捉体4のアミノ基を反応させて、第一の標的物質捕捉体4を非特異吸着防止膜12を構成する側鎖の重合体に固定することができる。
(標的物質検出素子)
次に、本発明の第二について説明する。
本発明の第二は、検出領域を有する基体と、該検出領域の表面に少なくとも存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体と、該重合体に結合している第一の標的物質捕捉体と、からなることを特徴とする標的物質検出素子である。
Figure 2009031274
(式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
Figure 2009031274
(式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
図3は、本発明の第二の標的物質検出素子を示す模式図であり、6が標的物質検出素子を示している。
基体1は、検出領域5を有する。
検出領域5は、捕捉した標的物質を検出する領域である。検出領域には、捕捉した標的物質に由来する信号を伝達する材質から構成されなければならない。例えば、検出方法が表面プラズモン共鳴(SPR)あるいは局在表面プラズモン共鳴(LSPR)であれば、表面プラズモンを発生する材質を表面に含まなければならない。検出方法が水晶発振子マイクロバランス(QCM)であれば、吸着した物質の重さに比例して振動数が変化する材質を含まなければならない。
検出方法が電界効果トランジスタ(FET)であれば、電流を通し、微細加工が可能な材質から構成されなければならない。検出方法が磁気センサであれば、軟磁性体のように比較的簡単に磁極が消えたり反転したりする材質を含む必要がある。検出方法が電気化学であれば、電気化学反応を阻害しない広い電位領域を有する材質で表面を形成することが好ましい。検出方法が吸光検出であれば、検出する波長光を透過する材質でできていることが好ましい。検出方法が蛍光検出あるいは発光検出であれば、検出する波長光を吸収しない材質でできていることが好ましい。
検出領域の材質としては、金、銀、銅、白金、水晶、シリコン、ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化シリコン、酸化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、ガリウム砒素、パーマロイ(Ni−Fe合金)、Co−Fe−B合金、水銀、カーボン、ダイヤモンド、ガラス、あるいはプラスチックなどが挙げられるが、以上に限定されない。
これら検出領域の材質は、標的物質の検出方法によって使い分けられることが多い。検出方法としてSPRを用いる場合は、検出領域の材質が金、銀、銅、あるいは白金などの金属であることが好ましい。好ましくは金である。検出方法としてQCMを用いる場合は、検出領域の材質が水晶であることが好ましい。検出方法としてFETを用いる場合は、検出領域の材質として、シリコン、ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化シリコン、酸化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、ガリウム砒素などが挙げられる。以上のように、検出方法として、SPR、QCMあるいはFETを使用すれば、標的物質を非標識で検出することができる。
また、検出方法として磁気センサを用いる場合は、検出領域の材質がパーマロイ(Ni−Fe合金)あるいはCo−Fe−B合金に代表される軟磁性体であることが好ましい。検出方法として電気化学を用いる場合は、検出領域の材質が金、白金、水銀、カーボン、あるいはダイヤモンドであることが好ましい。検出方法として吸光検出、蛍光検出あるいは発光検出を用いる場合は、検出領域の材質がガラスあるいはプラスチックであることが好ましい。
検出領域5は、基体1の表面に存在していても良いし、基体1の内部に存在していても良い。例えば、検出領域5が基体1の表面に存在するケースとして、SPR、電気化学が挙げられる。SPRであれば、表面プラズモンを発生する金属薄膜を基体の表面に形成しなければならない。金属薄膜上に非特異吸着防止膜を形成することで、本発明の標的物質検出素子を作製することができる。電気化学であれば、金属を作用電極の少なくとも表面に形成しなければならない。
一方、検出領域5が基体1の内部に存在してもよいケースとして、QCM、FET、あるいは磁気センサが挙げられる。QCMでは、水晶の表面に形成された金薄膜上に非特異吸着防止膜を形成することで、本発明の標的物質検出素子を作製することができる。FETでは、電流を通す材質からなる構造体の表面に非特異吸着防止膜を形成することで、本発明の標的物質検出素子を作製することができる。磁気センサでは、パーマロイ(Ni−Fe合金)あるいはCo−Fe−B合金を含む複数層の表面に形成された層上に非特異吸着防止膜を形成することで、本発明の標的物質検出素子を作製することができる。
なお、図3では、基体1の表面が検出領域5である例として、基体1が複数の層からなり、該層のうちの基体1の表面を含む層が検出領域5である場合を例に挙げて記載している。しかしながら、基体1は、前記例に限られず、複数の層のうちの表面を含まない層であっても良いし、基体1が一つの層で形成されており、基体1全体が検出領域5となる構成であっても良い。
なお、非特異吸着防止膜12および第一の標的物質捕捉体4は、本発明の第一における非特異吸着防止膜および第一の標的物質捕捉体と同様である。
(標的物質検出キット)
次に、本発明の第三について説明する。
本発明の第三は、標的物質検出キットであって、本発明の第二の標的物質検出素子と、標識物質と第二の標的物質捕捉体とからなる標識材料と、
からなることを特徴とする標的物質検出キットである。
図4に本発明の第三の標的物質検出キットの一例を示す。
標的物質検出キットは、標的物質検出素子6と、標識材料9とからなる。
標的物質検出素子6は、本発明の第二の標的物質検出素子と同様であるが、標的物質検出素子6が有する検出領域5は標識材料9が有する標識物質を感知することができる検出領域である。
標識材料9は、標識物質7と、第二の標的物質捕捉体8と、からなる。第二の標的物質捕捉体8は、標識物質7と結合していても良いし、標識物質7の表面に存在していても良い。第二の標的物質捕捉体8が標識物質7と結合している場合、第二の標的物質捕捉体8と標識物質7との間の結合は、共有結合、配位結合、ファンデルワールス結合であることが好ましく、より好ましくは共有結合あるいは配位結合である。
標識物質7としては、金コロイド、ラテックスビーズ、ルミノール、ルテニウム、酵素、放射性物質、蛍光物質、および磁性物質などが挙げられる。蛍光物質の具体例としては、量子ドット、蛍光タンパク質(例えば、GFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、Texas Red、フルオレセイン、およびAlexa色素(例えば、Alexa568)が挙げられる。酵素の具体例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどが挙げられる。磁性物質の例としては、フェライトが挙げられる。フェライトは、生理活性条件下で十分な磁性を有し、溶媒中で酸化等の劣化が起こりにくいことから好ましい。フェライトは、マグネタイト(Fe)、マグヘマイト(γ−Fe)、及びこれらのFeの一部を他の原子で置換した複合体から選択される。他の原子としては、Li、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ta、Wの少なくともいずれかが挙げられる。また、標識物質は、以上に挙げた材料の複合体であっても構わない。
標識物質7の形状としては、粒子形状、注状、星状などが挙げられるが、粒子形状であることが好ましい。粒子形状である場合、平均粒径は、1nmから100μmが好ましく、更に3nmから10μmが好ましい。尚、標識物質が粒子形状である場合は、平均粒径は動的光散乱法で測定できる。
磁性物質としては、例えば、Dynal社から市販されているダイナビーズ、micromod社から市販されているmicromer−M、nanomag−D、メルク社から市販されているエスタポール等を使用することができる。
第二の標的物質捕捉体8は、標識物質7の表面に固定、あるいは標識物質7と結合しており、標的物質検出素子6が有する第一の標的物質捕捉体4と同様、標的物質10を捕捉する機能を有する。したがって、第二の標的物質捕捉体8の例としては、第一の標的物質捕捉体4の例として挙げたものと同様である。なお、第二の標的物質捕捉体8と第一の標的物質捕捉体4とは、標的物質10の異なる部分を捕捉する必要がある。その場合、第二の標的物質捕捉体8と第一の標的物質捕捉体4とで標的物質10をサンドイッチした形態の複合体が形成される。また、例えば、第二の標的物質捕捉体8と第一の標的物質捕捉体4がモノクローナル抗体であれば、異なる種類のものでなければならない。しかし、ポリクローナル抗体であれば、同一の種類であっても良いし、異なる種類であっても良い。2つの標的物質捕捉体のうち、一方をモノクローナル抗体とし、他方をポリクローナル抗体とする場合もある。
具体的には、標的物質検出素子6の表面に配置された第一の標的物質捕捉体4に標的物質10が捕捉され、第一の標的物質捕捉体4に捕捉された標的物質10を、更に、標識材料9が有する第二の標的物質捕捉体8が捕捉する。すなわち、第一の標的物質捕捉体4−標的物質10−第二の標的物質捕捉体8の複合体が形成され、標識材料9が標的物質検出素子6の検出領域5の近傍に配置される。検出領域5の近傍に配置された標識材料9が有する標識物質7は検出領域5で検知され、検出領域5における標識物質7の検知は標的物質検出素子12の電気的もしくは物理的なシグナルの変化として現れる。この標的物質検出素子12のシグナルの変化を利用して、標的物質の有無もしくは数が検知される。
なお、ここでは、第一の標的物質捕捉体4により、標的物質10が捕捉された後に、標的物質10が第二の標的物質捕捉体8により捕捉される場合を想定して記載している。しかしながら、第二の標的物質捕捉体8によって標的物質10が捕捉された後に、第二の標的物質捕捉体8によって捕捉された標的物質10が第一の標的物質捕捉体4によって捕捉されても良い。
このような標的物質検出素子6と標識物質7との組み合わせとしては、次のようなものが挙げられる。例えば、標的物質検出素子6が磁気センサ素子であれば、標識物質7は磁性物質である。標的物質検出素子6が電極であれば、標識物質7は酵素である。標的物質検出素子6がマイクロタイタープレートであれば、標識物質7は金コロイド、ラテックスビーズ、ルミノール、ルテニウム、酵素、放射性物質、あるいは蛍光物質である。
なお、前述したように、標的物質検出素子6が磁気センサ素子である場合、磁気センサ素子は、検出領域5の近傍に位置する磁性物質の有無、数を検知することができる。このような場合、標的物質検出素子6としては、磁性の変化を検出する検出領域を有するものであり、例えば、磁気抵抗効果素子、ホール効果素子、超伝導量子干渉素子などを好適に用いることができる。
以下、合成例および実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
合成例1
化学式11で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドを無水アセトンに溶解させた後、15℃、窒素雰囲気下で、β−プロピオラクトンを含む無水アセトン溶液をゆっくり滴下する。15℃で約6時間攪拌する。結晶物を吸引ろ過し、無水アセトン、次に、無水ジエチルエーテルで洗浄すると、目的の化学式11で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
合成例2
化学式12で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
合成例1のβ−プロピオラクトンをδ−バレロラクトンに替えて、合成例1と同様の操作を行うことによって、目的の化学式12で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
合成例3
化学式13で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
合成例1のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドをN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに、β−プロピオラクトンをδ−バレロラクトンに替えて、合成例1と同様の操作を行うことによって、目的の化学式13で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
合成例4
化学式14で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
合成例1のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドをN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドに、β−プロピオラクトンをγ−ブチロラクトンに替えて、合成例1と同様の操作を行うことによって、目的の化学式14で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
合成例5
化学式15で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
合成例1のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドをN,N−ジメチルアミノブチルアクリルアミドに、β−プロピオラクトンをδ−バレロラクトンに替えて、合成例1と同様の操作を行うことによって、目的の化学式15で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
合成例6
化学式16で示される両性イオンモノマーの合成
Figure 2009031274
化学式16はMakromol.Chem.178、2963から2967(1977)を参考にして得ることができる。
即ち、2−ヨードエチルメタクリレートとシルバーベンジル2−(トリチルアミノ)エチルホスフェートをトルエン中で還流してベンジル2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリチルアミノ)エチルホスフェートを得ることができる。次に、ベンジル2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリチルアミノ)エチルホスフェートとヨウ化ナトリウムをアセトン中で還流すると、ナトリウム2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリチルアミノ)エチルホスフェートを得ることができる。次に、ナトリウム2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリチルアミノ)エチルホスフェートを90%酢酸中で加熱攪拌すると、目的とする化学式16で示される両性イオンモノマーを得ることができる。
実施例1
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、組成条件、反応条件等、同様な機能、効果を有する磁気バイオセンサが得られる範囲で自由に変えることができる。
(金薄膜基板上にATRP開始剤を導入する工程)
SIAkit Au(厚さ0.3mm、大きさ12mm×10mm、ビアコア株式会社製)の金薄膜基板を蓋付容器に入れ、前記容器を超音波洗浄を行った。蓋付容器中にはアセトン、イソプロピルアルコール、超純水を順次入れることで洗浄した。金薄膜基板を窒素パージにて乾燥後、UV/O洗浄装置 UV−1(サムコ株式会社製)中にセットし、120℃、10分の条件でUV/O洗浄を行った。再び金薄膜基板と超純水を蓋付容器に入れ、超音波洗浄を行った。
蓋付容器にエタノール10ml、さらに11−メルカプト−ウンデシル 2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸エステル(株式会社ナード研究所製)3.5mgを加え、ATRP開始剤溶液を作製した。洗浄された金基板薄膜をエタノールに洗い流した後、蓋付容器に入れ、ロータリーインキュベーターにて撹拌した。さらに、エタノールで一夜洗浄することで、ATRP開始剤で自己組織化単分子膜(Self Assembly Monolayer,以下SAM)が形成された金薄膜基板を作製した。尚、窒素パージにて乾燥後、SAMの乾燥膜厚をエリプソメーター M−2000(J.A.Woollam社製)で測定すると、1.86±0.08nmであった。但し、前記基板は乾燥せずに次段階の重合プロセスで使用する溶媒にて洗い流した後、重合用の反応容器に入れることが好ましい。
(ATRP開始剤によるSAM表面に、ATRP法を用いて両性イオンアミドモノマーを重合する工程)
SAM形成基板を反応用シュレンク管に入れ、壁面に当たらないよう固定した。次いで、シュレンク管を氷水中に浸し、2,2’−ビピリジル93mg、化学式22で示されるジメチルアミノエチルメタクリルアミドカルボキシメチルベタインモノマー(略名DMAEMAm−CMB、大阪有機化学工業株式会社製)1.3gを加え、メタノール/超純水(1/1=w/w)を加えて全量を30mlとした。シュレンク管内にシリンジで窒素を封入することにより反応系内を窒素置換した。臭化第一銅39mgを加え、さらに窒素置換した後、23℃にてATRPを開始した。24時間反応後、反応液を大気に暴露し、反応を終了させることによって、構造体を得た。
Figure 2009031274
反応終了後、前記構造体およびメタノールを蓋付容器に入れ、ロータリーインキュベーターにて一夜洗浄した。同様に超純水で一夜洗浄した。窒素パージにて乾燥後、重合体からなる膜の乾燥膜厚を上記同様に測定すると、15.1±0.2nmであった。
(重合体からなる膜へのタンパク吸着測定)
表面プラズモン共鳴を原理とするBiacoreX(ビアコア株式会社製)にてタンパク吸着測定を行った。得られたDMAEMAm−CMBの重合体からなる膜を用いてSIAkit Au付属の方法によりセンサーチップを作製し、規定の方法によりBiacoreXに挿入した。リン酸緩衝液(pH7.4)にて規定の方法により基板表面や流路を洗浄後、5μl/minの流速でセンサーグラムを開始した。
次に、20μl/minの流速でセンサーグラムを開始した。シグナルが平坦になったことを確認後、タンパク溶液をインジェクトし、2分間流した。タンパク溶液としては、4%BSA(Bovine Serum Albumin)溶液、1%BIgG(Bovine ImmunoglobulinG)溶液を用いた。各々のタンパク溶液40μLを流し終えて5分後のシグナルと流す前のシグナルの差を測定した。その結果、4%BSAに対する吸着量は4±1RU、1%BIgGに対する吸着量は6±1RUであった(1RU≒1pg/mmと定義されている)。
比較例1
実施例1と同様に、金薄膜基板上にATRP開始剤を導入後、化学式23で示されるジメチルアミノエチルメタクリレートカルボキシメチルベタインモノマー(略名DMAEMA−CMB、大阪有機化学工業株式会社製)1.3gを加えることでATRPを24時間行った。洗浄後、窒素パージにて乾燥し、重合体からなる膜の乾燥膜厚を上記同様に測定すると、6.3±0.4nmであった。実施例1と同様にタンパク吸着量測定を行った結果、4%BSAに対する吸着量は5±1RU、1%BIgGに対する吸着量は7±2RUであった。
Figure 2009031274
実施例2
(金薄膜基板上にATRP開始剤を導入する工程)
SIAkit Au(厚さ0.3mm、大きさ12mm×10mm、ビアコア株式会社製)の金薄膜基板を蓋付容器に入れ、前記容器を超音波洗浄を行った。蓋付容器中にはアセトン、イソプロピルアルコール、超純水を順次入れることで洗浄した。金薄膜基板を窒素パージにて乾燥後、UV/O洗浄装置 UV−1(サムコ株式会社製)中にセットし、120℃、10分の条件でUV/O洗浄を行った。再び金薄膜基板と超純水を蓋付容器に入れ、超音波洗浄を行った。
蓋付容器にエタノール10ml、さらに11−メルカプト−ウンデシル 2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸エステル(株式会社ナード研究所製)3.5mgを加え、ATRP開始剤溶液を作製した。洗浄された金基板薄膜をエタノールに洗い流した後、蓋付容器に入れ、ロータリーインキュベーターにて撹拌した。さらに、エタノールで一夜洗浄することで、ATRP開始剤で自己組織化単分子膜(Self Assembly Monolayer,以下SAM)が形成された金薄膜基板を作製した。尚、窒素パージにて乾燥後、SAMの乾燥膜厚をエリプソメーター M−2000(J.A.Woollam社製)で測定すると、1.86±0.08nmであった。但し、前記基板は乾燥せずに次段階の重合プロセスで使用する溶媒にて洗い流した後、重合用の反応容器に入れることが好ましい。
(ATRP開始剤によるSAM表面に、ATRP法を用いて両性イオンアミドモノマーを重合する工程)
SAM形成基板を反応用シュレンク管に入れ、壁面に当たらないよう固定した。次いで、シュレンク管を氷水中に浸し、2,2’−ビピリジル93mg、化学式22で示されるジメチルアミノエチルメタクリルアミドカルボキシメチルベタインモノマー(略名DMAEMAm−CMB、大阪有機化学工業株式会社製)3.2gを加え、メタノール/超純水(1/1=w/w)を加えて全量を30mlとした。シュレンク管内にシリンジで窒素を封入することにより反応系内を窒素置換した。臭化第一銅39mgを加え、さらに窒素置換した後、23℃にてATRPを開始した。24時間反応後、反応液を大気に暴露し、反応を終了させることによって、構造体を得た。
Figure 2009031274
反応終了後、前記構造体およびメタノールを蓋付容器に入れ、ロータリーインキュベーターにて一夜洗浄した。同様に超純水で一夜洗浄した。窒素パージにて乾燥後、重合体からなる膜の乾燥膜厚を上記同様に測定すると、19.2±0.4nmであった。
(重合体からなる膜のタンパク吸着測定)
表面プラズモン共鳴を原理とするBiacoreX(ビアコア株式会社製)にてタンパク吸着測定を行った。得られたDMAEMAm−CMBの重合体からなる膜を用いてSIAkit Au付属の方法によりセンサーチップを作製し、規定の方法によりBiacoreXに挿入した。リン酸緩衝液(pH7.4)にて規定の方法により基板表面や流路を洗浄後、5μl/minの流速でセンサーグラムを開始した。その後、抗体を固定するために、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの混合溶液を作製し、規定量をインジェクトした。次に、PSA(前立腺特異抗原)を捕捉する一次抗体の酢酸緩衝液(pH4)を作製し、インジェクトし、20分間流した。PSA抗体が100RU固定されたことがモニターにより確認された。さらに、エタノールアミン溶液を規定量インジェクトし、活性部位をブロッキングした。
次に、20μl/minの流速でセンサーグラムを開始した。シグナルが平坦になったことを確認後、タンパク溶液をインジェクトし、2分間流した。タンパク溶液としては、4%BSA(Bovine Serum Albumin)溶液、1%BIgG(Bovine ImmunoglobulinG)溶液を用いた。各々のタンパク溶液40μLを流し終えて5分後のシグナルと流す前のシグナルの差を測定した。その結果、4%BSAに対する吸着量は4±1RU、1%BIgGに対する吸着量は5±1RUであった(1RU≒1pg/mmと定義されている)。
比較例2
実施例2と同様に、金薄膜基板上にATRP開始剤を導入後、化学式23で示されるジメチルアミノエチルメタクリレートカルボキシメチルベタインモノマー(略名DMAEMA−CMB、大阪有機化学工業株式会社製)3.2gを加えることでATRPを24時間行った。洗浄後、窒素パージにて乾燥し、重合体からなる膜の乾燥膜厚を上記同様に測定すると、18.1±0.7nmであった。実施例1と同様に抗体を固定し、タンパク吸着量測定を行った結果、4%BSAに対する吸着量は15±9RU、1%BIgGに対する吸着量は20±1RUであった。
Figure 2009031274
実施例3
本実施例は、第一の標的物質捕捉体としてPSA(前立腺特異抗原)を捕捉する一次抗体を含む非特異吸着防止膜が検出領域に形成された標的物質検出素子(以下、磁気バイオセンサと呼ぶ)と、第二の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する二次抗体を備えたマグネタイトからなる磁性材料を作製し、磁気バイオセンサとしてPSAを検出する例である。尚、磁気バイオセンサの検出方式としては、磁気抵抗効果素子を使用する。
(1)磁性材料の作製
まず、第二の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する二次抗体を有する磁性材料を作製する。
マグネタイト粒子(平均粒径100nm)を乾燥窒素雰囲気下、加熱処理した後、無水トルエンに分散させる。このマグネタイト粒子/トルエン分散液に、シランカップリング剤であるアミノプロピルトリメトキシシランを添加し、マグネタイト粒子表面にアミノ基を導入する。更に、二次抗体を固定化する為にグルタルアルデヒド架橋剤を用いて、前記アミノ基と二次抗体のアミノ基を共有結合させ、第二の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する二次抗体を固定化することができる。
以上の操作を経ることで、第二の標的物質捕捉体を備えた磁性材料を得ることができる。
(2)磁気バイオセンサの作製
次に、第一の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する一次抗体を含む非特異吸着防止膜が検出領域に形成された磁気バイオセンサを作製する。
まず、磁気バイオセンサの検出領域上面にAu膜を形成する。本実施例では、検出方式としては、磁気抵抗効果素子を使用するため、前記検出領域は磁気抵効果膜を意味する。
次に、検出領域であるAu表面に非特異吸着防止膜を形成する。まず、化学式17で示される原子移動ラジカル重合開始基の前駆体を含むエタノール溶液にAu膜を浸漬し、前記前駆体とAu膜を反応させて、Au膜表面に原子移動ラジカル重合開始基を導入することができる。
Figure 2009031274
次に、原子移動ラジカル重合開始基を導入した検出領域をメタノールに浸漬させた後、フリーな重合開始剤として2−ブロモイソ酪酸エチルを加え、CuBr、2,2’−ビピリジルを加える。凍結真空脱気により反応系内の酸素を除去した後、窒素で置換し、化学式11で示される両性イオンモノマーを原子移動ラジカル重合により所定時間反応させる。また、フリーな重合開始剤として加えておいた2−ブロモイソ酪酸エチルから生成したポリマーの分子量と分子量分布を測定すると、数平均分子量が53000で、分子量分布が1.10である。このことから、検出領域にグラフト化された重合体からなる膜は鎖長の揃ったポリマーであることを確認できる。
Figure 2009031274
検出領域にグラフト化された非特異吸着防止膜の膜厚と重量を測定することによって、非特異吸着防止膜のグラフト密度は、0.62分子/nmであることがわかる。
次に、検出領域に形成された非特異吸着防止膜の側鎖官能基であるカルボキシル基の少なくとも一部に第一の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する一次抗体を固定化する。まず、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液を同様に塗布する。これらの操作により、非特異吸着防止膜の側鎖官能基であるカルボキシル基にスクシンイミド基が露出することになる。前記スクシンイミド基と一次抗体のアミノ基を反応させ、第一の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する一次抗体を固定化することができる。尚、Au膜表面上の未反応のスクシンイミド基は、塩酸ヒドロキシルアミンを添加して脱離させてもよい。
以上の操作により、第一の標的物質捕捉体としてPSAを捕捉する一次抗体を含む非特異吸着防止膜を備えた検出領域を有する磁気バイオセンサを作製することができる。
(3)PSAの検出
上述の(1)、(2)において作製される磁性材料と磁性の変化を検出する検出領域を有する標的物質検出素子(以下、磁気バイオセンサと呼ぶ場合がある)を用い、以下の操作を行うことで、前立腺癌のマーカーとして知られているPSAの検出を試みることができる。
1)標的物質(抗原)であるPSA、及び夾雑物であるBSAとIgGを含むリン酸緩衝液に上記磁気バイオセンサの検出領域を浸す。
2)未反応のPSAと夾雑物をリン酸緩衝液で洗浄する。
3)磁性材料を含むリン酸緩衝生理食塩水に工程1)及び2)が終了した上記磁気バイオセンサの検出領域を浸し、5分間インキュベートする。
4)未反応の磁性材料をリン酸緩衝液で洗浄する。
上記操作によって、抗原が一次抗体、二次抗体により捕捉され、磁性材料が図4に示すように磁気バイオセンサの検出領域に固定化される。つまり、検体中に抗原が存在しない場合には、磁性材料は磁気バイオセンサの検出領域上に固定化されないので、磁性材料の有無を検出することによって、抗原の検出が可能である。また、固定化された磁性材料の数を検出することによって、検体中に含まれる抗原の量を間接的に知ることも可能である。本実施例の磁気バイオセンサにおける検出領域の非特異吸着防止膜は、検体に含まれる夾雑物や標的物質の非特異吸着を防止することができ、標的物質を高感度に検出することができる。
本発明の構造体は、例えば、遺伝子検査、生化学検査、免疫検査などの検体検査の反応場および流路に用いれば、検体に含まれる夾雑物の非特異吸着を防止することができる。また、注射器、カテーテルなどの医療デバイスの表面を重合体からなる膜で覆うことにより、体内の異物反応を抑制することができる。さらに、本発明の標的物質検出素子を造影剤など医療イメージング用の分子プローブに用いれば、体内の異物反応を抑制するだけでなく、分子プローブの分散性を高めることが可能である。また、カメラ、ビデオカメラ、白内障治療用挿入器具等のレンズ表面を重合体からなる膜で覆うなど、材料表面の曇りや汚れを防止する目的で本発明を有効に用いることもできる。
本発明の第一の構造体の一例を示す概略図である。 本発明の第一の構造体の一例を示す概略図である。 本発明の第二の標的物質検出素子の一例を示す概略図である 本発明の第三の標的物質検出キットの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 基体
2 主鎖
3 側鎖官能基
4 第一の標的物質捕捉体
5 検出領域
6 標的物質検出素子
7 標識物質
8 第二の標的物質捕捉体
9 標識材料
10 標的物質
11 夾雑物
12 非特異吸着防止膜

Claims (8)

  1. 基体と、該基体の表面に存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体からなる膜と、からなることを特徴とする構造体。
    Figure 2009031274
    (式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
    Figure 2009031274
    (式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
  2. 前記重合体の一端が前記基体に結合していることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
  3. 前記重合体が、一般式(1)に示されるモノマーの重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の構造体。
  4. 前記重合体が、x=2かつy=1である一般式(1)に示されるモノマーの重合体であることを特徴とする請求項3に記載の構造体。
  5. 検出領域を有する基体と、該検出領域の表面に少なくとも存在し下記一般式(1)または一般式(2)で示されるモノマーの重合体からなる膜と、該重合体に結合している第一の標的物質捕捉体と、からなることを特徴とする標的物質検出素子。
    Figure 2009031274
    (式中、RはH又はCHを表す。xは2以上5以下の整数、yは1以上7以下の整数を表す。但し、x+y=3以上10以下である。)
    Figure 2009031274
    (式中、R=H又はCH、RはO又はNHを表す。aは2以上5以下の整数、bは1以上7以下の整数を表す。但し、a+b=3以上10以下である。)
  6. 前記重合体の一端が前記検出領域に結合していることを特徴とする請求項5に記載の標的物質検出素子。
  7. 標的物質検出キットであって、請求項5または6に記載の標的物質検出素子と、標識物質と第二の標的物質捕捉体とからなる標識材料と、からなることを特徴とする標的物質検出キット。
  8. 前記標的物質検出素子が有する検出領域が、磁性物質を検出することができる検出領域であり、前記標識物質が磁性物質からなることを特徴とする請求項7に記載の標的物質検出キット。
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