JP2009030145A - 軸受鋼鋼材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、優れた転動疲労寿命を確保できる軸受鋼鋼材の提供。
【解決手段】C:0.6〜1.2%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.005%以下、Ca:0.0005%以下、O:0.0020%以下を含有し、残部はFe及び不純物の化学成分からなり、非金属介在物について、酸化物の平均組成が質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなるとともに、鋼材の長手方向縦断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値が、それぞれ、8.5μm以下である軸受鋼鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、軸受鋼鋼材及びその製造方法に関し、詳しくは、転動疲労寿命に優れた軸受鋼鋼材とその製造方法に関する。
各種の産業機械や自動車などに使用される「玉軸受」や「コロ軸受」といった転がり軸受には、高い面圧が繰返し作用する。このため、長い転動疲労寿命が必要であり、主として、JIS G 4805(1999)に記載の「高炭素クロム軸受鋼鋼材」が使用されてきた。
転動疲労特性(転動疲労寿命)は鋼中の非金属介在物(以下、単に「介在物」ともいう。)、特に、酸化物により低下することが知られている。そのため、従来は、製鋼プロセスによって鋼中の酸素含有量を少なくする試みがなされてきた。その結果、近年では酸素の含有量が質量割合で、10ppmを下回る鋼材を安定して製造することが可能となり、それに伴って転動疲労寿命も向上してきた。
一方、近年では、例えば、エンジンの高出力化や周辺部品の小型化によって、転がり軸受の使用環境がますます高面圧化、高温化して過酷なものとなり、このため、転がり軸受に対してより一層長い転動疲労寿命が求められるようになってきた。
しかしながら、単に酸素の含有量を低減させるだけでは所望の良好な転動疲労寿命を確保することができず、このため、鋼中の酸化物のサイズを小さくして転動疲労寿命を改善することが提案されている。
具体的には、特許文献1に、重量%にて、C:0.15〜1.10%、Si:0.15〜0.70%、Cr:0.50〜1.60%、Mo:0.10〜1.00%、Mn:0.10%以下、O:8ppm以下を含み、更に、必要に応じて、Ni:0.4〜5.0%を含有し、残部Feおよび不可避不純物元素からなり、酸化物系介在物の粒子径が15μm以下であることを特徴とする電子ビーム溶解法による「超清浄度軸受用鋼」に関する技術が開示されている。
また、特許文献2に、鋼の化学成分が、JIS G 4805を満足すると共に、O:0.0009質量%以下、Al:0.005質量%以下およびS:0.005質量%以下を満足する鋼からなり、圧延方向に平行な検鏡断面積160mm2中に存在する大きさ3μm以上の酸化物個数が100個以下、そのうち大きさ10μm以上のものが2個以下であり、更にそれらの組成別構成比率として、下記定義によるアルミナ系とスピネル系との合計個数が全酸化物個数の60%未満であることを特徴とする「高炭素クロム軸受鋼」に関する技術が開示されている。
アルミナ系:(MgO)も(SiO2)も3%未満で且つ(CaO)も(CaO)/((CaO)+(Al23))の比で0.08以下であるもの。
スピネル系:3%〜20%の範囲の(MgO)に残部が(Al23)である2元系に、15%以内の(CaO)および/または15%以内の(SiO2)が混入する場合があるスピネル型結晶構造のもの。
そして、特許文献2には、前記の高炭素クロム軸受鋼が、転炉または電気炉による酸化精錬後の脱酸およびその後の成分調整に際し実質Alを含まない脱酸剤を使用する工程、次の取鍋精練におけるスラグの塩基度((CaO)%/(SiO2)%)が0.8以上3.0未満となるように制御する工程、それに引き続く35分以上の真空脱ガス処理工程を含む製造工程をとることによって得られることが示されている。
特開平7−109541号公報 特開2006−200027号公報
前記の特許文献1で提案された技術は、通常の量産鋼の製造方法によって製造された鋼材を母材とし、電子ビーム溶解によって再溶解させることで、Al23のような酸化物を低減させる方法である。このため、製造コストが極めて高くなって、工業的な規模での量産には適用し難いものである。 しかも、近年における転がり軸受の厳しい使用環境下では、その転動疲労寿命は必ずしも十分といえるものではなかった。
また、特許文献2で提案された技術も、上記の特許文献1で開示された技術の場合と同様に、近年における転がり軸受の厳しい使用環境下においては、その転動疲労寿命は必ずしも十分といえるものではなかった。
そこで、本発明の目的は、近年の転がり軸受の過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、優れた転動疲労寿命を確保できる軸受鋼鋼材とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、質量割合で、酸素の含有量を10ppmを下回る低酸素にし、しかも、鋼中の酸化物のサイズを小さくした場合にも、近年における転がり軸受の厳しい使用環境下において良好な転動疲労寿命が得られない原因について検討した。
その結果、質量割合で酸素の含有量が10ppmを下回っても、酸化物がAl23を主体とする硬質なものである場合は、粗大な介在物として鋼中に残存していることがあるため、良好な転動疲労寿命が得られていない可能性があると考えた。更に、質量割合で酸素の含有量が10ppmを下回っても、Sの含有量が多い場合には酸化物よりも硫化物が粗大となる場合があり、これによっても良好な転動疲労寿命が得られていない可能性があると考えた。
そこで、先ず、酸化物に関して検討した結果、鋼のいわゆる「二次精錬」の過程におけるスラグの主要構成成分を主にCaO及びSiO2とし、更に、Al23が極力少量となるように厳密な制御を行うことで、軟質な酸化物が得られること、更には、この軟質酸化物は圧下を加えることによって微細化できることが明らかになった。
しかしながら、上記のような手法でいくら酸化物を微細化しても転動疲労寿命を向上させることはできなかった。
そこで、更に検討を重ねた結果、上記の精錬方法で製造された鋼の場合、硫化物中にMnOと思われる酸化物が含有されやすくなる傾向があり、この硫化物は従来のAl添加により脱酸処理した軸受鋼中の硫化物とは異なり、圧下によって延伸、分断されることが難しく大きなまま存在する、という極めて重要な知見が得られた。
そして、上記の圧下によって延伸、分断されることが難しく大きなまま存在する硫化物が転動疲労寿命を低下させることが明らかになった。
そこで次に、圧下によって硫化物を延伸、分断させるための検討を行った。
その結果、硫化物の量を制限するために、Sの含有量を質量%で、0.010%以下とし、かつ、圧下比や加工温度などの圧下条件を適正に制御すれば、酸化物だけではなく硫化物をも延伸、分断させて微細化することができ、結果として、過酷な使用環境下においても、優れた転動疲労寿命を有する軸受鋼鋼材を得ることができることが判明した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)に示す軸受鋼鋼材並びに(2)及び(3)に示す軸受鋼鋼材の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.6〜1.2%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.005%以下、Ca:0.0005%以下、O:0.0020%以下を含有し、残部はFe及び不純物の化学成分からなり、非金属介在物について、酸化物の平均組成が質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなるとともに、鋼材の長手方向縦断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値が、それぞれ、8.5μm以下であることを特徴とする軸受鋼鋼材。
(2)上記(1)に記載の化学成分及び酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊に、全圧下比が15以上となる圧下を加え、しかも、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比を4以上として圧下することを特徴とする軸受鋼鋼材の製造方法。
但し、全圧下比とは、鋳片又は鋼塊の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指し、また、1000℃以下の温度域での圧下比とは、前記温度域での圧下前の中間鋼材の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指す。
(3)鋳片又は鋼塊が、酸化精錬後に、Al脱酸処理を行わずに、実質的にAlを含有しないフラックスを用いて二次精錬を行い、二次精錬終了後の最終的なスラグの塩基度CaO/SiO2の値が0.8〜2.0で、かつスラグ組成が質量%で、MgO:15%以下、F:10%以下、Al23:15%以下になるように制御し、続いて鋳造されたものであることを特徴とする上記(2)に記載の軸受鋼鋼材の製造方法。
なお、酸化物の平均組成における「不純物」とは、Cr23、Na2O、ZrO2などを指す。
また、「長手方向縦断面」(以下、「L断面」という。)とは、鋼材の長手方向に平行に切断した面をいう。
以下、上記 (1)の軸受鋼鋼材に係る発明並びに(2)及び(3)の軸受鋼鋼材の製造方法に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」〜「本発明(3)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の軸受鋼鋼材は、近年の転がり軸受の過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命が長いことから、各種の産業機械や自動車などに使用される「玉軸受」や「コロ軸受」といった転がり軸受の素材として利用することができる。この軸受鋼鋼材は本発明の方法によって製造することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素と酸化物の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学成分:
C:0.6〜1.2%
Cは、焼入れ時の硬さを確保して転動疲労寿命を向上させる元素であり、0.6%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、Cの含有量が多くなって、特に1.2%を超えると、耐摩耗性は向上するものの、母材の硬さが高くなりすぎて切削時の工具寿命が低下したり、焼割れの原因となる。したがって、Cの含有量を0.6〜1.2%とした。望ましいC含有量の範囲は、0.6〜1.1%である。
Si:0.1〜0.8%
Siは、焼入れ性を高めて転動疲労寿命を向上させるのに有効な元素であり、0.1%以上含有させなければならない。しかしながら、0.8%を超えてSiを含有させても焼入れ性向上効果が飽和する。更に、母材の硬さが高くなって切削時の工具寿命の低下をきたす。したがって、Siの含有量を0.1〜0.8%とした。好ましいSi含有量の範囲は、0.15〜0.7%である。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、焼入れ性を高めて転動疲労寿命を向上させるのに有効な元素であり、0.1%以上含有させなければならない。しかしながら、1.5%を超えてMnを含有させても焼入れ性向上効果が飽和する。しかも、母材の硬さが高くなって切削時の工具寿命の低下をきたし、更には、焼割れの原因ともなる。したがって、Mnの含有量を0.1〜1.5%とした。好ましいMn含有量の範囲は、0.2〜1.15%である。
P:0.03%以下
Pは、結晶粒界に偏析して転動疲労寿命を短くしてしまう。特に、その含有量が0.03%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.03%以下とした。好ましいP含有量の範囲は0.02%以下である。
S:0.010%以下
Sは、硫化物を形成する元素であり、その含有量が0.010%を超えると、粗大な硫化物が残存するため転動疲労寿命を短くしてしまう。したがって、Sの含有量を0.010%以下とした。なお、転動疲労寿命の向上という観点からは、Sの含有量は低ければ低いほど望ましいが、Sには被削性を高める作用があり、その含有量が0.005%以上で被削性向上効果が確実に得られる。このため被削性を重視する場合には、Sの含有量は0.005%以上とすることが望ましい。
Cr:0.5〜2.0%
Crは、焼入れ性を高めて転動疲労寿命を向上させるのに有効な元素であり、0.5%以上含有させなければならない。しかしながら、2.0%を超えてCrを含有させても焼入れ性向上効果が飽和する。しかも、母材の硬さが高くなって切削時の工具寿命の低下をきたし、更には、焼割れの原因ともなる。したがって、Crの含有量を0.5〜2.0%とした。好ましいCr含有量の範囲は、0.9〜1.6%である。
Al:0.005%以下
Alは、好ましくない元素であり、本発明においては、Alは極力少なくする必要がある。したがって、後述するように酸化精錬後のAl添加による脱酸処理は行わないし、フラックスを投入して新たに生成されたスラグと溶鋼を強攪拌する際に用いるフラックスもAl23の含有量の少ない、実質的にAlを含有しないものを用いる。しかしながら、Alの含有量が多くなり、特に、0.005%を超えてしまうと、Al23を主体とする硬質な酸化物の生成量が多くなり、しかも、圧下した後も粗大な酸化物として残存するので、転動疲労寿命が短くなってしまう。したがって、Alの含有量を0.005%以下とした。なお、Alは、0.003%以下の含有量とすることが好ましく、低ければ低いほどよい。
Ca:0.0005%以下
本発明においては、後述するように、酸化精錬で生成したスラグの除滓後に、主成分がCaOであるフラックスを投入して、新たに生成されたスラグと溶鋼を強攪拌する。この際に、Caはフラックスより軟質な酸化物として、鋼中に極微量混入する。ただし、Caの含有量が多くなり、0.0005%を超えると、酸化物組成におけるCaOの割合が高くなりすぎて、粗大な酸化物となってしまう。したがって、Caの含有量を0.0005%以下とした。好ましいCa含有量は、0.0003%以下であり、更に望ましくは0.0002%以下である。なお、含有されるCaの量の下限値は、特に規定するものではなく、鋼材中の酸化物の平均組成におけるCaOが10%以上であればよい。
O:0.0020%以下
Oは、好ましくない不純物元素である。Oの含有量が多くなって、特に、0.0020%を超えると、圧下した後に粗大な酸化物として残存し、転動疲労寿命の低下を招く。したがって、Oの含有量を0.0020%以下とした。なお、好ましいO含有量の範囲は0.0015%以下である。
上記の理由から、本発明(1)に係る軸受鋼鋼材は、C、Si、Mn、P、S、Cr、Al、Ca、Oを上述した範囲で含有し、残部はFe及び不純物の化学成分からなることと規定した。
また、本発明(2)においても、C、Si、Mn、P、S、Cr、Al、Ca、Oを上述した範囲で含有し、残部はFe及び不純物の化学成分からなる鋳片又は鋼塊を用いることとした。
なお、粗大なTiNが生成すると転動疲労寿命を低下させてしまうため、不純物におけるTiは0.003%以下、不純物におけるNは0.010%以下とすることが望ましい。
(B)非金属介在物:
(B−1)酸化物の平均組成:
本発明においては、非金属介在物について、先ず、酸化物の平均組成が、質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなるものでなければならない。以下、質量%での酸化物の平均組成における含有量を「濃度」ともいう。
本発明でいう「酸化物」は、主としてCaO、SiO2、Al23、MnO及びMgOの5元系を基本として構成されるものであり、酸化物の平均組成が上記の範囲にある場合には酸化物は全体的に軟質であり、圧延等の加工によって容易に延伸、分断されて微細になるため、転動疲労寿命を低下させることがなく、したがって、過酷な使用環境下においても優れた転動疲労寿命を確保できるからである。
以下に、各酸化物組成の限定理由を示す。
CaO:10〜60%
酸性酸化物であるSiO2を基本組成とする酸化物は、塩基性であるCaOを含むことにより酸化物の液相線温度が下がり、圧延温度域で延性を示すようになる。その効果は、酸化物の平均組成におけるCaO濃度が10%以上で得られるが、60%を超えると相対的にSiO2濃度が低下して却って延性を示さなくなる。したがって、酸化物の平均組成におけるCaO濃度を10〜60%とした。なお、圧延温度域で安定した延性が得られるようにするための上記CaO濃度の望ましい上限は50%である。
Al23:20%以下
両性酸化物であるAl23の酸化物の平均組成における濃度が20%を超えると、圧延温度域でAl23(コランダム)相が晶出したり、後述するMgOとともにMgO・Al23(スピネル)相が晶出する。これらの固相は硬質で圧延でも延伸することなく、晶出した厚みを保つ。したがって、酸化物の平均組成におけるAl23濃度は20%以下とする必要がある。なお、前記硬質相の生成を安定かつ確実に抑制するための上記Al23濃度の望ましい上限は15%である。
MnO:50%以下
MnOは、酸化物としては塩基性を有し、SiO2系の軟質化を助長するので、比較的高い濃度まで許容できる。しかしながら、MnOは鋼が弱脱酸状態の時に安定な、いわゆる低級酸化物であり、MnO濃度が高いと鋼中のO(酸素)の含有量も高くなる。すなわち、酸化物の平均組成におけるMnO濃度が50%を超えるとO含有量を0.0020%以下とすることができない。したがって、酸化物の平均組成におけるMnO濃度を50%以下とした。なお、前述したOの含有量を0.0015%以下にするために、酸化物の平均組成におけるMnO濃度は40%以下とすることが好ましい。
MgO:15%以下
MgOは塩基性酸化物であり、少量ではSiO2系酸化物の軟質化ができるが、一方でその溶解度が低く、硬質のMgO(ペリクレース)相及びAl23とともにMgO・Al23(スピネル)相が晶出する。圧延温度域では酸化物の平均組成におけるMgOが15%を超えると、上述した硬質相を晶出する蓋然性が高くなる。したがって、酸化物の平均組成におけるMgO濃度を15%以下とした。なお、前記した硬質相の晶出をより確実に抑制するために、酸化物の平均組成におけるMgO濃度は10%以下とすることが好ましい。
本発明でいう「酸化物」は、主としてCaO、SiO2、Al23、MnO及びMgOの5元系を基本として構成されるものであるが、Cr23、Na2O、ZrO2などの酸化物における不純物の総和は3%以下であることが望ましい。
なお、酸化物の平均組成は、CaO:10〜50%、Al23:15%以下、MnO:40%以下及びMgO:10%以下で残部がSiO2及び3%以下の不純物であることが好ましい。
また、酸化物の平均組成において、Al23、MnO及びMgOの下限は、特に規定する必要はない。
上述の理由から、本発明(1)に係る軸受鋼鋼材の酸化物の平均組成を、質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなることと規定した。
また、本発明(2)においても、上記酸化物の平均組成である鋳片又は鋼塊を用いることとした。
なお、酸化物の平均組成は、例えば、鋼材を長手方向に平行に切出したL断面を鏡面研磨した後、エネルギー分散型X線分光法によって、厚さ3μm以上の任意の酸化物を複数個、例えば20個について、測定した組成を算術平均して求めればよい。
なお、上記した酸化物の平均組成は、例えば、次の〈1〉及び〈2〉に述べる製鋼方法を採用し、それに続いて、常法の連続鋳造法や鋳型法によって鋳片や鋼塊に鋳造することによって得ることができる。
〈1〉軸受鋼の製鋼過程で、いわゆる「一次精錬炉」である転炉や電気炉など(以下、単に「転炉」ともいう。)での酸化精錬後に不純物として含まれる酸素を除くために通常実施されるAl添加での脱酸処理を行わない。
〈2〉二次精錬終了後の最終的なスラグについて、塩基度(CaO/SiO2)が0.8〜2.0で、かつ組成が質量%で、MgO:15%以下、F:10%以下、Al23:15%以下になるように制御する。なお、上記のF(フッ素)は造滓剤としてのほたる石の主成分であるCaF2に由来する。
なお、二次精錬終了後の最終的なスラグについて、上記〈2〉の組成とするためには、転炉から取り鍋へ出鋼した後、「二次精錬」におけるスラグ組成制御を容易にするために、先ず、転炉から流出した酸化精錬で生成したスラグの除滓を実施し、除滓後に、主成分がCaOであり、実質的にAlを含まない、Al23やMgOの含有量の少ないフラックスを投入して、新たに生成したスラグと溶鋼を強攪拌すればよい。
なお、強攪拌を得るための手段としては、例えば、減圧下での攪拌、インジェクションによる攪拌や取り鍋底部からの底吹き攪拌などを適用すればよい。インジェクションによる攪拌を行う場合には、上述のフラックスを同時に吹き込むのが望ましい。また、減圧処理を実施する場合には、あくまでも攪拌のための減圧処理に留める必要がある。これは、長時間の減圧処理を実施すれば、却って耐火物からの硬質介在物の混入やスラグの巻き込みを招くことになって、清浄性を低下させることに繋がるからである。
また、鋼のCa含有量が0.0005%を超えない範囲であれば、二次精錬の過程で更に溶鋼中にCaを添加しても構わない。
(B−2)酸化物の最大厚さと硫化物の最大厚さ:
酸化物、硫化物の双方ともに、その厚さが大きい場合には、転動疲労寿命の低下を招く。転動疲労寿命に最も影響を及ぼすものは、軌道面下に存在する最も粗大な介在物である。特に、鋼材のL断面の100mm2の面積中において8.5μmを超えるような最大厚さの酸化物や硫化物が、鋼材中の数多くの部位で存在すると、軌道面に存在する確率が高くなり、転動疲労寿命の著しい低下をきたす。
上述の理由から、本発明(1)に係る軸受鋼鋼材は、鋼材のL断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値が、それぞれ、8.5μm以下であることと規定した。
なお、上記の酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値はいずれも、7μm以下であることが好ましい。
なお、「L断面」とは、鋼材の長手方向に平行に切断した面を指すことは既に述べたとおりである。
(C)軸受鋼鋼材の製造方法:
本発明(1)の軸受鋼鋼材は、例えば、本発明(2)の方法、具体的には、前記(A)項で述べた化学成分からなり、非金属介在物について前記(B−1)項で述べた酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊に、全圧下比が15以上となる圧下を加え、しかも、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比を4以上として圧下することによって、製造することができる。また、本発明(2)に係る化学成分と酸化物の平均組成を有する鋳片または鋼塊、つまり前記(A)項で述べた化学成分からなり、非金属介在物について前記(B−1)項で述べた酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊は、例えば、前記(B−1)項の〈1〉及び〈2〉で述べた方法を採用した後、続いて常法の連続鋳造法や鋳型法で鋳造することによって得ることができる。
そして、軸受鋼鋼材は、鋳片又は鋼塊を1000℃を超える温度域で分塊圧延して得た鋼片を用いて、これに例えば、棒鋼圧延や線材圧延を行うことによって製造される。
上記工程において、鋳片又は鋼塊を最終の棒鋼や線材などの鋼材に加工する場合の全圧下比が15を下回る場合には、たとえ前述の(A)項で述べた化学成分からなり、(B−1)項で述べた酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊を用いても、軸受鋼鋼材に前記(B−2)項で述べた酸化物の最大厚さと硫化物の最大厚さの条件を満足させることができず、このため、過酷な使用環境下において、所望の優れた転動疲労寿命を確保させることができない。
なお、上記の全圧下比が大きいほど、前記(B−2)項で述べた酸化物の最大厚さと硫化物の最大厚さが小さくなって、転動疲労特性(転動疲労寿命)は向上する。このため、上記全圧下比の上限は特に規定する必要はなく、鋳片や鋼塊の寸法とそれらを加工して得られる最終の棒鋼や線材など鋼材の寸法や設備面から決定される最大の値であってもよい。
なお、望ましい全圧下比の範囲は30以上である。
しかしながら、軸受鋼鋼材に前記(B−2)項で述べた酸化物の最大厚さと硫化物の最大厚さの条件を満足させるためには、全圧下比が15以上を満たすようにするだけでは不十分である。
これは、酸化物の平均組成が前記(B−1)項で述べたものである時、同時に存在する硫化物にはMnOと思われる酸化物が含有されており、Al添加で脱酸処理した場合に比べて硫化物は硬質化しているので、加工によって延伸、分断され難く、したがって、軸受鋼鋼材に前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さの条件を満足させることができないからである。
全圧下比が15以上を満たすようにし、しかも、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比を4以上として圧下することによって、初めて、軸受鋼鋼材に前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さの条件を満足させることができる。
すなわち、マトリックス(素地)の変形抵抗は硫化物に比較して小さいため、高い温度で加えられる圧下、特に、1000℃を超える温度域で加えられる圧下は、マトリックスを優先的に変形させてしまう。そのため、上記温度域における圧下では、硫化物は延伸、分断され難く、前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さの条件を満足することができない。そして、この場合には、過酷な使用環境下において、所望の優れた転動疲労寿命を確保させることができない。
これに対して、圧下を加える温度域を1000℃以下に低下させれば、マトリックスと硫化物の変形抵抗の差は小さくなるので、硫化物は延伸、分断されやすくなって前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さの条件を満足するようになる。
なお、圧下を加える温度域は950℃以下が望ましく、850℃以下であれば更に望ましい。
上記の圧下を加える温度域が低ければ低いほど、硫化物の延伸、分断効果が促進されるので前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さは小さくなる。このため、上記圧下を加える温度の下限は特に規定する必要はなく、最終の棒鋼や線材などの鋼材に加工するための負荷やその際の加工性など設備面や材料特性の観点から決定される最小の値であってもよい。
なお、圧下を加える温度域が1000℃以下であっても、その温度域における圧下比が低く、特に、4を下回る場合には、硫化物が十分に延伸、分断され難いので、前記(B−2)項で述べた硫化物の最大厚さの条件を満足することができない。
上記1000℃以下の温度域における圧下比は、6以上が望ましく、8以上であれば更に望ましい。
なお、上記の1000℃以下の温度域における圧下比の上限は、特に規定するものではなく、最終の棒鋼や線材などの鋼材に加工するための負荷やその際の加工性など設備面や材料特性の観点から決定される最大の値であってもよい。
なお、既に述べたように、上記の全圧下比とは、鋳片又は鋼塊の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指し、また、1000℃以下の温度域での圧下比とは、前記温度域での圧下前の中間鋼材の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指す。
上述の理由から、本発明(2)においては、本発明(1)に記載の化学成分及び酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊、換言すれば、前記(A)項で述べた化学成分からなり、非金属介在物について前記(B−1)項で述べた酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊に、全圧下比が15以上となる圧下を加え、しかも、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比を4以上として圧下することと規定した。
また、本発明(3)においては、酸化精錬後に、Al脱酸処理を行わずに、実質的にAlを含有しないフラックスを用いて二次精錬を行い、二次精錬終了後の最終的なスラグの塩基度CaO/SiO2の値が0.8〜2.0で、かつスラグ組成が質量%で、MgO:15%以下、F:10%以下、Al23:15%以下になるように制御し、続いて鋳造された鋳片や鋼塊を用いることと規定した。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
表1に示す種々の化学組成を有する軸受鋼の鋳片1〜23を製造した。
なお、表1中の鋼1〜12、鋼15、鋼16、鋼18及び鋼20は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼であり、鋼13、鋼14、鋼17、鋼19及び鋼21〜23は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。比較例の鋼のうち鋼22及び鋼23は従来のAlキルド鋼に相当する鋼である。
Figure 2009030145
上記の各鋼のうち、鋼1〜21については、転炉で酸化精錬を行った後、除滓し、フラックスを投入した。そして、フラックスインジェクション法によるフラックスの吹き込みを行った後、溶鋼中にフラックスを混入させた状態で、アーク式加熱装置付き真空溶鋼攪拌設備(以下、「VAD」という。)により、Ar雰囲気下で、Ar流量40〜60L/分の溶鋼攪拌を40分間行った。その後、連続鋳造して300mm×400mmの鋳片にした。なお、鋼19及び鋼21については、転炉からの出鋼時にAlを僅かに添加し、軽く脱酸処理を行ったが、鋼1〜18及び鋼20については、Al添加の脱酸処理を行わなかった。
鋼22及び鋼23については、転炉で酸化精錬を行った後、転炉からの出鋼時にAl添加による脱酸処理を行ってから、除滓し、フラックスを投入した。そして、VADにより、Ar雰囲気下で、Ar流量40〜60L/分の溶鋼攪拌を40分間行い、更にRH真空脱ガス装置による処理を40分間行って、Al23を主体とする硬質な酸化物を除去した。その後、連続鋳造して300mm×400mmの鋳片にした。
表2に、鋼1〜23の除滓後に投入したフラックスの組成、及び鋼1〜21のフラックスインジェクション法で使用したフラックスの組成を示す。
また、表3に、鋼1〜23のVAD処理後の質量%でのスラグの組成と塩基度(CaO/SiO2)を示す。
Figure 2009030145
Figure 2009030145
このようにして得た鋼1〜23の鋳片のT/4部(但し、「T」は鋳片の厚みを表す。)から、すなわち、鋳片の外面と中心の中間部位から、酸化物組成測定用のブロックを切出し、そのブロックを樹脂に埋め込んでL断面を鏡面研磨した後、エネルギー分散型X線分光法によって、厚さ3μm以上の任意の酸化物を20個選び、それぞれの組成を測定した。
そして、20個の酸化物について測定した組成を算術平均して、各鋳片における酸化物の「平均組成」を求めた。
表4に、鋼1〜23の各鋳片について上記のようにして測定した酸化物の平均組成を示す。なお、酸化物の平均組成における残部は「不純物」、すなわち、Cr23、Na2O、ZrO2などを指す。
Figure 2009030145
上記鋼1〜21の鋳片については、これらを1250℃で均熱した後、1100〜1050℃の温度域で分塊圧延して160mm×160mmの鋼片とし、更に、その鋼片を1050℃に加熱した後、930〜800℃の温度域で棒鋼圧延して、直径70mm(以下、「φ70mm」という。)の棒鋼を製造した。
一方、鋼22及び鋼23の鋳片については、これらを1250℃で均熱した後、1100〜1050℃の温度域で分塊圧延して160mm×160mmの鋼片とし、更にその鋼片を1200℃に加熱した後、1100〜1020℃の温度域で棒鋼圧延して、φ70mmの棒鋼を製造した。
上記のようにして得た鋼1〜23のφ70mmの棒鋼のR/2部(但し、「R」は棒鋼の半径を表す。)から、酸化物組成測定用のブロックを切出し、そのブロックを樹脂に埋め込んでL断面を鏡面研磨した後、エネルギー分散型X線分光法によって、厚さ3μm以上の任意の酸化物を20個選び、それぞれの組成を測定した。
そして、20個の酸化物について測定した組成を算術平均して、各φ70mmの棒鋼における酸化物の「平均組成」を求めた。
また、鋼1〜23のφ70mmの棒鋼のR/2部から、縦断方向に100mm2のブロックを10個切出してL断面が被検面になるように樹脂に埋め込んで鏡面研磨し、次いで、100mm2の各L断面中に存在する酸化物の最大厚さ及び硫化物の最大厚さを光学顕微鏡を用いて測定し、それぞれ、算術平均した。
具体的には、光学顕微鏡観察の倍率を400倍として、先ず、100mm2のL断面中で最も厚さの大きい酸化物と硫化物をそれぞれ検出し、次いで、倍率を1000倍としてそれぞれの厚さを測定し、この測定を10個のブロックについて行い、それぞれ10個の算術平均値を求めた。
なお、酸化物と硫化物が分離せずに複合している場合は、酸化物と硫化物の厚さをそれぞれ測定し、それらの厚さが測定したL断面中で最も大きかった場合に、それぞれを、対象とする100mm2のL断面中で最も厚さの大きい酸化物や硫化物として、算術平均した。
表5に、鋼1〜23の各φ70mmの棒鋼について上記のようにして測定した酸化物の平均組成並びに10個の100mm2のL断面中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値を示す。なお、酸化物の平均組成における残部は「不純物」、すなわち、Cr23、Na2O、ZrO2などを指す。また、表5においては、上記の酸化物の最大厚さの算術平均の値及び硫化物の最大厚さの算術平均の値をそれぞれ、「酸化物の最大厚さ」及び「硫化物の最大厚さ」と表記した。以下の説明においても、酸化物の最大厚さの算術平均の値及び硫化物の最大厚さの算術平均の値をそれぞれ、「酸化物の最大厚さ」及び「硫化物の最大厚さ」ということがある。
Figure 2009030145
上記のようにして得た鋼1〜23のφ70mmの棒鋼をいずれも、780℃にて6時間保持した後、炉冷を行う球状化焼鈍を行い、その後、長手方向が素形材の厚みとなるように、直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材をスライスして採取した。
上記の直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材を、830℃で30分加熱した後、油焼入れし、その後更に、180℃で1時間加熱して大気中で放冷する焼戻しを行った。
このようにして焼入れ−焼戻しした素形材の表面をラッピング加工して転動疲労試験片を作製して、転動疲労試験に供した。
転動疲労試験は、スラスト型の転動疲労試験機を用いて、最大接触面圧5230MPa、繰返し速度1800cpm(cycle per minute)の条件で行った。
表6に、転動疲労試験の詳細条件を示す。
Figure 2009030145
転動疲労試験結果は、ワイブル分布確率紙上にプロットし、10%破損確率を示すL10寿命を「転動疲労寿命」として評価した。
前記の表5に、上記のようにして求めた転動疲労寿命を併せて示した。
表5から、鋼の化学成分及び非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成及び鋼材のL断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値)が本発明(1)の規定を満たす試験番号1〜12の場合には、5.73×107以上の長い転動疲労寿命が得られている。
これに対して、鋼の化学成分が本発明の規定を満たしても、本発明(3)の規定から外れる方法で製造し、非金属介在物が本発明(1)で規定する条件から外れる試験番号15、試験番号16、試験番号18及び試験番号20の場合には、転動疲労寿命は短い。
すなわち、上記の各試験番号の場合、非金属介在物について、硫化物の最大厚さは本発明(1)で規定する条件を満たすものの、酸化物の平均組成が本発明(1)で規定する条件から外れるため、酸化物が硬質なものとなり、その結果、酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、3.18×107、3.51×107、2.35×107及び2.98×107と短いものである。
また、鋼の化学成分が本発明の規定から外れる場合も、転動疲労寿命は短い。
すなわち、試験番号13及び試験番号17は、非金属介在物について、酸化物の平均組成は本発明(1)で規定する条件を満たすものの、用いた鋼13及び鋼17のS含有量がそれぞれ、0.018%及び0.015%と高く、本発明で規定する値を超えるため、硫化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、3.04×107及び2.83×107と短いものである。
試験番号14は、非金属介在物について、酸化物の平均組成及び硫化物の最大厚さは本発明(1)で規定する条件を満たすものの、用いた鋼14のO含有量が0.0024%と高く、本発明で規定する値を超えるため、酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命は2.69×107と短い。
試験番号19及び試験番号21は、非金属介在物について、硫化物の最大厚さは本発明(1)で規定する条件を満たすものの、用いた鋼19及び鋼21のAl含有量がそれぞれ、0.009%及び0.007%と高く、本発明で規定する値を超えるため、酸化物の平均組成が本発明(1)で規定する条件から外れて、硬質な酸化物となり、その結果、酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、2.76×107及び2.83×107と短いものである。
同様に、試験番号22及び試験番号23は、従来のAlキルド鋼に相当する鋼22及び鋼23を用いたので、Al含有量がそれぞれ、0.015%及び0.019%と高く、本発明で規定する値を超えるため、非金属介在物について、硫化物の最大厚さは本発明(1)で規定する条件を満たすものの、酸化物の平均組成が本発明(1)で規定する条件から外れて、硬質な酸化物となり、その結果、酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、2.48×107及び3.01×107と短い。
(実施例2)
実施例1で作製した鋼4、鋼6、鋼13、鋼16及び鋼23の300mm×400mmの鋳片を1250℃で均熱した後、1100〜1050℃の温度域で分塊圧延して160×160mmの鋼片にした。
次いで、上記の鋼片を用いて、次の〔1〕〜〔5〕に示す条件で棒鋼圧延し、φ70mm又はφ110mmの棒鋼を製造した。
〔1〕鋼片を1200℃に加熱した後、1100〜1020℃の温度域で棒鋼圧延して、φ70mmの棒鋼を製造、
〔2〕鋼片を1050℃に加熱した後、930〜800℃の温度域で棒鋼圧延して、φ70mmの棒鋼を製造、
〔3〕鋼片を950℃に加熱した後、850〜780℃の温度域で棒鋼圧延して、φ70mmの棒鋼を製造、
〔4〕鋼片を1200℃に加熱した後、1100〜1020℃の温度域で棒鋼圧延して、φ110mmの棒鋼を製造、
〔5〕鋼片を1050℃に加熱した後、930〜800℃の温度域で棒鋼圧延して、φ110mmの棒鋼を製造。
また、上記の実施例1で作製した鋼4、鋼6、鋼13、鋼16及び鋼23の300mm×400mmの鋳片を1250℃で均熱した後、1100〜1050℃の温度域で分塊圧延して140×140mmの鋼片とし、更に、その鋼片を用いて、次の〔6〕に示す条件で棒鋼圧延し、φ100mmの棒鋼を製造した。
〔6〕鋼片を1050℃に加熱した後、930〜800℃の温度域で棒鋼圧延して、φ100mmの棒鋼を製造。
表7に、上記した各棒鋼の製造条件の詳細を示す。
Figure 2009030145
上記のようにして製造した鋼4、鋼6、鋼13、鋼16及び鋼23のφ70mm、φ100mm及びφ110mmの棒鋼のR/2部から、酸化物組成測定用のブロックを切出し、そのブロックを樹脂に埋め込んでL断面を鏡面研磨した後、エネルギー分散型X線分光法によって、厚さ3μm以上の任意の酸化物を20個選び、それぞれの組成を測定した。
そして、20個の酸化物について測定した組成を算術平均して、φ70mm、φ100mm及びφ110mmの棒鋼における酸化物の「平均組成」を求めた。
また、前記鋼4、鋼6、鋼13、鋼16及び鋼23のφ70mm、φ100mm及びφ110mmの棒鋼のR/2部から、縦断方向に100mm2のブロックを10個切出してL断面が被検面になるように樹脂に埋め込んで鏡面研磨し、次いで、100mm2の各L断面中に存在する酸化物の最大厚さ及び硫化物の最大厚さを光学顕微鏡を用いて測定し、それぞれ、算術平均した。
具体的には、光学顕微鏡観察の倍率を400倍として、先ず、100mm2のL断面中で最も厚さの大きい酸化物と硫化物をそれぞれ検出し、次いで、倍率を1000倍としてそれぞれの厚さを測定し、この測定を10個のブロックについて行い、それぞれ10個の算術平均値を求めた。
なお、酸化物と硫化物が分離せずに複合している場合は、酸化物と硫化物の厚さをそれぞれ測定し、それらの厚さが測定したL断面中で最も大きかった場合に、それぞれを、対象とする100mm2のL断面中で最も厚さの大きい酸化物や硫化物として、算術平均した。
表8に、前記の各棒鋼について上記のようにして測定した酸化物の平均組成並びに10個の100mm2のL断面中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値を示す。なお、先にも述べたように、酸化物の平均組成における残部は「不純物」、すなわち、Cr23、Na2O、ZrO2などを指す。また、「酸化物の最大厚さ」及び「硫化物の最大厚さ」は、それぞれ、酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値を指す。
Figure 2009030145
また、上記のようにして得た鋼4、鋼6、鋼13、鋼16及び鋼23のφ70mm、φ100mm及びφ110mmの棒鋼をいずれも、780℃にて6時間保持した後、炉冷を行う球状化焼鈍を行い、その後、長手方向が素形材の厚みとなるように、直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材をスライスして採取した。
上記の直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材を、830℃で30分加熱した後、油焼入れし、その後更に、180℃で1時間加熱して大気中で放冷する焼戻しを行った。
このようにして焼入れ−焼戻しした素形材の表面をラッピング加工して転動疲労試験片を作製して、転動疲労試験に供した。
転動疲労試験は、スラスト型の転動疲労試験機を用いて、最大接触面圧5230MPa、繰返し速度1800cpmの条件で行った。
なお、転動疲労試験の詳細条件は前記表6に示したとおりである。
転動疲労試験結果は、ワイブル分布確率紙上にプロットし、10%破損確率を示すL10寿命を「転動疲労寿命」として評価した。
前記の表8に、上記のようにして求めた転動疲労寿命を併せて示した。
表8から、鋼の化学成分及び非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定を満たす鋳片を、本発明(2)の方法で圧下した試験番号25、試験番号26、試験番号31及び試験番号32の場合には、7.31×107以上という長い転動疲労寿命が得られていることがわかる。
これに対して、鋼の化学成分及び非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定を満たす鋳片に全圧下比が15以上となる圧下を加えた場合であっても、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比が本発明(2)の条件から外れた方法で圧下した試験番号24、試験番号29、試験番号30及び試験番号35の場合には、硫化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れる。このため、転動疲労寿命は、3.82×107、3.65×107、3.15×107及び3.41×107と短い。
また、鋼の化学成分及び非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定を満たす鋳片を用いた場合であっても、全圧下比が本発明(2)の条件から外れた方法で圧下した試験番号27、試験番号28、試験番号33及び試験番号34の場合には酸化物の最大厚さ及び硫化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、3.15×107、3.20×107、2.96×107及び3.56×107と短いものである。
更に、非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定を満たしても鋼の化学成分としてのS含有量が本発明(2)の規定から外れる鋳片を用いた試験番号36〜41の場合には、圧下条件に拘わらず硫化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れ、しかも、圧下条件によっては試験番号39及び試験番号40のように酸化物の最大厚さも大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、2.34×107、3.04×107、2.95×107、2.28×107、2.67×107及び2.93×107と短いものである。
鋼の化学成分が本発明(2)の規定を満たしても非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定から外れる鋳片を用いた試験番号42〜47の場合には、圧下条件に拘わらず酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、3.13×107、3.51×107、3.21×107、1.85×107、2.64×107及び2.95×107と短いものである。
従来のAlキルド鋼に相当する鋼の化学成分及び非金属介在物(つまり、酸化物の平均組成)が本発明(2)の規定から外れる鋳片を用いた試験番号48〜53の場合には、圧下条件に拘わらず酸化物の最大厚さが大きくなって本発明(1)で規定する条件から外れるので、転動疲労寿命はそれぞれ、3.01×107、2.83×107、1.97×107、2.75×107、2.02×107及び2.43×107と短いものである。
本発明の軸受鋼鋼材は、近年の転がり軸受の過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命が長いことから、各種の産業機械や自動車などに使用される「玉軸受」や「コロ軸受」といった転がり軸受の素材として利用することができる。この軸受鋼鋼材は本発明の方法によって製造することができる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.6〜1.2%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.005%以下、Ca:0.0005%以下、O:0.0020%以下を含有し、残部はFe及び不純物の化学成分からなり、非金属介在物について、酸化物の平均組成が質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなるとともに、鋼材の長手方向縦断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値が、それぞれ、8.5μm以下であることを特徴とする軸受鋼鋼材。
  2. 請求項1に記載の化学成分及び酸化物の平均組成を有する鋳片又は鋼塊に、全圧下比が15以上となる圧下を加え、しかも、その圧下のうちで1000℃以下の温度域での圧下比を4以上として圧下することを特徴とする軸受鋼鋼材の製造方法。
    但し、全圧下比とは、鋳片又は鋼塊の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指し、また、1000℃以下の温度域での圧下比とは、前記温度域での圧下前の中間鋼材の断面積を最終の圧下によって得られた軸受鋼鋼材の断面積で除した値を指す。
  3. 鋳片又は鋼塊が、酸化精錬後に、Al脱酸処理を行わずに、実質的にAlを含有しないフラックスを用いて二次精錬を行い、二次精錬終了後の最終的なスラグの塩基度CaO/SiO2の値が0.8〜2.0で、かつスラグ組成が質量%で、MgO:15%以下、F:10%以下、Al23:15%以下になるように制御し、続いて鋳造されたものであることを特徴とする請求項2に記載の軸受鋼鋼材の製造方法。
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