JP2016172916A - 転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材、および軸受部品 - Google Patents

転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材、および軸受部品 Download PDF

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章弘 大脇
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克浩 岩崎
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正樹 島本
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Abstract

【課題】転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材を提供する。
【解決手段】本発明の軸受用鋼材は、C:0.8〜1.1%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.1〜1%、Cr:1.3〜1.8%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.05%以下、Ca:0.0002〜0.002%、N:0%超0.010%以下、O:0%超0.005%以下、Al:0.0002〜0.005%、Ti:0.0005〜0.010%、B:0%超0.0050%以下を含有すると共に、N、Al、Ti、Bの含有量が下記式(1)を満足し、残部は鉄及び不可避的不純物である。
[N]−0.52×[Al]−0.29×[Ti]−1.30×[B]≦0.0020・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材、および軸受部品に関する。詳細には、自動車、各種産業機械などの分野で使用される軸受部品や機械構造用部品などに適用される鋼材に関する。特にころ軸受、玉軸受等の転がり軸受の内輪・外輪、転動体として用いたときに優れた転動疲労寿命を発揮すると共に、上記転がり軸受の内・外輪、転動体に加工したときに優れた冷間鍛造性を発揮する鋼材に関する。
各種の産業機械や自動車等の分野に使用される軸受用の転動体(コロ、ニードル、玉、レース等)には、ラジアル方向(回転体の軸と垂直方向)から高い繰り返し応力が付与される。そのため、軸受用の転動体には転動疲労特性に優れることが求められている。転動疲労特性への要求は、産業機械類の高性能化、軽量化に対応して、年々厳しいものになっており、軸受部品の更なる耐久性向上のため、軸受用鋼材にはより一層良好な転動疲労特性が求められている。
従来、転動疲労特性は、鋼中に生成する酸化物系介在物のなかでも、主にAl脱酸鋼を用いたときに生成するAl23等のような、硬質酸化物系介在物の個数密度と深く相関しており、上記硬質酸化物系介在物の個数密度を低減することによって転動疲労特性が改善すると考えられていた。そのため、製鋼プロセスにおいて、鋼中の酸素含有量を低減して転動疲労特性を改善する試みがなされてきた。
しかしながら近年では、転動疲労特性と、酸化物系介在物に代表される非金属系介在物の関係に関する研究が進み、酸化物系介在物の個数密度と転動疲労特性とは必ずしも相関関係はないことが判明している。即ち、転動疲労特性は、非金属系介在物のサイズ、例えば非金属系介在物の面積の平方根と密接な相関関係があり、転動疲労特性を改善するには、非金属系介在物の個数密度を低減するよりも、非金属系介在物のサイズを小さくすることが有効であることが明らかになっている。
そこで、従来のようなAl脱酸鋼を用いるのではなく、鋼中のAl含有量を極力抑えると共に、Si脱酸鋼にすることで、生成する酸化物の組成を、Al23主体ではなくSiO2、CaOなどを主体とする組成に制御し、これにより、圧延工程で非金属系介在物を延伸、分断させて非金属系介在物のサイズを低減し、転動疲労特性を改善する方法が提案されている。
例えば特許文献1には、酸化物の平均組成を質量%で、CaO:10〜60%、Al23:20%以下、MnO:50%以下及びMgO:15%以下で残部SiO2及び不純物からなると共に、鋼材の長手方向縦断面の10箇所の100mm2の面積中に存在する酸化物の最大厚さの算術平均の値と硫化物の最大厚さの算術平均の値が、それぞれ、8.5μm以下であることを特徴とする軸受鋼材が開示されている。
また、特許文献2には、上記特許文献1に記載の酸化物系介在物に、従来にない酸化物成分としてZrO2を所定量含む高清浄度Si脱酸鋼材が開示されている。
また、特許文献3は本願出願人によって開示された技術である。詳細には上記特許文献3には、Si脱酸で得られる酸化物系介在物中に、従来含有されていなかったTiO2を含むことで上記酸化物系介在物の結晶化を抑制でき、母相の鋼と酸化物系介在物との界面に発生する空洞を抑制することで転動疲労特性に極めて優れた軸受用鋼材が得られることが記載されている。
特開2009−30145号公報 特開2010−202905号公報 特開2014−25083号公報
しかしながら、上記特許文献1では、鋼と酸化物系介在物の界面の空洞に関して、空洞を抑制する取組みが行われていないため、充分な転動疲労特性が得られているとはいえない。
上記特許文献2にも、上記界面の剥離によって生じる空洞や、酸化物系介在物内部に発生する空洞に関する記載は一切ない。そもそも上記特許文献2は、非金属系介在物全体の微細化のみに主眼を置いた技術であり、実施例の評価においても、ASTM E45法のC系介在物評点の算術平均値で評価されているに過ぎない。従って、このようにして製造された鋼材が、必ずしも優れた転動疲労特性を発揮するとは限らない。
更に近年、製造コスト低減の観点から、軸受用鋼材から各種軸受部品を製造する際、冷間鍛造性の改善が求められている。軸受用鋼材は、圧延材のままでは硬過ぎるため、球状化焼鈍と呼ばれる軟化処理が施されるが、依然として変形抵抗が高く、金型寿命が短いことが問題となっている。よって、転動疲労特性に優れているだけでなく、冷間鍛造性にも優れた軸受用鋼材の提供が望まれているが、これらの特性を両方兼ね備えた軸受用鋼材は未だ開発されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、転動疲労特性および冷間鍛造性の両方に優れた軸受用鋼材、および軸受部品を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明に係る転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材は、質量%で、C:0.8〜1.1%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.1〜1%、Cr:1.3〜1.8%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.05%以下、Ca:0.0002〜0.002%、N:0%超0.010%以下、O:0%超0.005%以下、Al:0.0002〜0.005%、Ti:0.0005〜0.010%、B:0%超0.0050%以下を含有すると共に、下式(1)を満足し、残部は鉄及び不可避的不純物であるところに要旨を有する。
[N]−0.52×[Al]−0.29×[Ti]−1.30×[B]≦0.0020・・・(1)
式中、[N]、[Al]、[Ti]、[B]は夫々、N、Al、Ti、Bの含有量(質量%)を意味する。
本発明の好ましい実施形態において、上記鋼材は更に、質量%で、Cu:0%超1%以下、Ni:0%超1%以下、およびCo:0%超1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
本発明の好ましい実施形態において、上記鋼材は更に、質量%で、Pb:0%超0.5%以下、Bi:0%超0.5%以下、およびTe:0%超0.1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
本発明には、上記の軸受用鋼材を用いて得られる軸受部品も本発明の範囲内に包含される。
本発明によれば、鋼材の化学成分組成のうち、特にN量に対するAl量、Ti量、およびB量が所定の関係式を満足するように適切に制御されているため、転動疲労特性および冷間鍛造性の両方に極めて優れた軸受用鋼材を提供できる。本発明によれば、荷重の付与される方向にかかわらず、転動疲労特性を安定的に改善することができる。また、本発明の軸受用鋼材は冷間鍛造性に優れているため、金型寿命を向上させることができ、製造コストの低減を達成できる。よって、本発明の軸受用鋼材は、コロ、ニードル、玉等、主にラジアル方向の荷重が繰り返し付与される軸受部品の素材として有用であるのみならず、レース等、ストラス方向の荷重も繰り返し付与される軸受部品の素材としても有用である。
本発明者らは、Alによる脱酸処理を行なわなくても、荷重の付与される方向にかかわらず転動疲労特性を安定的に改善することができ、且つ、冷間鍛造性にも優れた軸受用のSi脱酸鋼材を提供するため、検討を重ねてきた。
冷間鍛造性の向上のみを考慮するのであれば、鋼材の化学成分を最適化する従来技術が開示されている。しかし、上記特許文献3のように酸化物系介在物の組成を制御して優れた転動疲労特性を確保することも考慮すると、上記特許文献3に比べて、鋼材の化学成分を大きく変更することは難しい。そこで、優れた転動疲労特性を維持しつつ、冷間鍛造性の向上を図るために検討した。その結果、特許文献3において、Bを必須成分として含有し、且つ、後記する式(1)に規定するようにN量に対するAl量、Ti量およびB量を適切に制御すれば冷間鍛造性も向上することを見出し、本発明を完成した。
ここで、上記式(1)を構成するAl、TiおよびBはいずれも、窒化物を形成して固溶N量を減少させるのに有効に作用するため、冷間鍛造性の向上に寄与すると考えられる。これに対し、上記特許文献3では冷間鍛造性の向上は全く意図しておらず、酸化物系介在物の組成を制御して転動疲労特性を改善するとの観点からAl、Tiの添加量を厳密に制御しているに過ぎない。実際のところ上記特許文献3の実施例はいずれも、上記式(1)の関係を満足しておらず、Al、Tiの一部は酸化物として存在するため、本発明のように固溶N量の低減効果は得られないと考えられる。
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明の鋼中成分について説明する。
[C:0.8〜1.1%]
Cは、基地に固溶してマルテンサイト粒を強化するため、焼入れ焼戻し後の軸受部品の強度を確保するために有効な元素である。軸受部品において、所望の強度を得るためには、C含有量の下限を0.8%以上とする。しかしながら、C含有量が1.1%を超えると、鋳造後に大型の炭化物を生成し、その後の圧延中に割れを生じ易くなるため、C含有量の上限を1.1%以下とする。C含有量の好ましい下限は0.85%以上、より好ましくは0.90%以上である。また、C含有量の好ましい上限は1.05%以下、より好ましくは1.03%以下である。
[Si:0.1〜0.8%]
Siは、マトリックスの固溶強化および焼入れ性を向上させるために有用な元素である。こうした効果を有効に発揮させるため、Si含有量の下限を0.1%以上とする。しかしながら、Si含有量が多くなり過ぎると加工性や被削性が著しく低下するので、Si含有量の上限を0.8%以下とする。Si含有量の好ましい下限は0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。また、Si含有量の好ましい上限は0.7%以下、より好ましくは0.6%以下である。
[Mn:0.1〜1%]
Mnは、鋼材マトリックスの固溶強化および焼入れ性を向上させる元素である。Mn含有量が0.1%を下回るとその効果が発揮されないため、Mn含有量の下限を0.1%以上とする。一方、Mn含有量が1%を上回ると、低級酸化物であるMnO含有量が増加し、転動疲労特性を悪化させる他、加工性や被削性が著しく低下するため、Mn含有量の上限を1%以下とする。Mn含有量の好ましい下限は0.2%以上、より好ましくは0.3%以上である。また、Mn含有量の好ましい上限は0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。
[Cr:1.3〜1.8%]
Crは、Cと結合して炭化物を形成し、更にオーステナイト中の炭化物を安定化させて炭化物の球状化を促進するのに有効な元素である。このような効果を有効に発揮させるため、Cr含有量の下限を1.3%以上とする。一方、Cr含有量が1.8%を超えると、粗大な炭化物が生成して転動疲労特性を悪化させるため、Cr含有量の上限を1.8%以下とする。Cr含有量の好ましい下限は1.35%以上、より好ましくは1.40%以上である。また、Cr含有量の好ましい上限は1.7%以下、より好ましくは1.6%以下である。
[P:0%超0.05%以下]
Pは、不可避的に不純物として含有する元素であり、粒界に偏析して加工性を低下させるため、P含有量の上限を0.05%以下に抑制する。P含有量は少ない程良く、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。尚、P含有量を0%にすることは、工業生産上、困難である。
[S:0%超0.05%以下]
Sは、不可避的に不純物として含有する元素であり、MnSとして析出して転動疲労寿命を低下させるため、S含有量の上限を0.05%以下に抑制する。S含有量は少ない程良く、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。尚、S含有量を0%にすることは、工業生産上、困難である。
[Ca:0.0002〜0.002%]
Caは、酸化物中のCaO含有量を制御し、酸化物系介在物の結晶化を抑制して転動疲労特性の改善に有効である。このような効果を発揮させるため、Ca含有量の下限を0.0002%以上とする。しかしながら、Ca含有量が過剰になって0.002%を超えると、酸化物組成におけるCaOの割合が高くなり過ぎて、酸化物が結晶化してしまう。そのため、Ca含有量の上限を0.002%以下とする。Ca含有量の好ましい下限は0.0003%以上であり、より好ましくは0.0005%以上である。また、Ca含有量の好ましい上限は0.001%以下であり、より好ましくは0.0008%以下である。
[N:0%超0.010%以下]
Nは、含有量が多くなるとTiNを生成し、転動疲労特性を悪化させる他、固溶Nが残存し易くなり、冷間鍛造性を悪化させるため、できる限り低減することが推奨される。よって、N含有量の上限を0.010%以下とする。N含有量の好ましい上限は0.007%以下であり、より好ましくは0.006%以下である。
[O:0%超0.005%以下]
Oは、好ましくない不純物元素である。Oの含有量が多くなって、特に0.005%を超えると、粗大な酸化物が生成し易くなり、熱間圧延および冷間圧延後においても粗大な酸化物として残存し、転動疲労特性に悪影響を及ぼす。よって、O含有量の上限を0.005%以下とする。O含有量の好ましい上限は0.004%以下であり、より好ましくは0.003%以下である。
[Al:0.0002〜0.005%]
Alは、AlNを形成して固溶Nを低減する能力を有するが、酸化物系介在物組成制御の観点から好ましくない元素であり、本発明では、Al含有量を極力少なくする必要がある。従って、酸化精錬後のAl添加による脱酸処理は行わない。Al含有量が多くなり、特に0.005%を超えると、Al23を主体とする硬質な酸化物の生成量が多くなり、しかも圧下した後も粗大な酸化物として残存するので、転動疲労特性が劣化する。従って、Alの含有量の上限を0.005%以下とする。但し、Al含有量を0.0002%未満にすると、酸化物中のAl23含有量が少なくなり過ぎ、SiO2を多く含む結晶相が生成する。また、Al含有量を0.0002%未満に制御するためには、Alの混入を抑制するために、鋼中成分のみならず、フラックス中のAl23含有量も少なくする必要があるが、高炭素鋼である軸受鋼においてAl23含有量の少ないフラックスは非常に高価であり、経済的でない。従って、Al含有量の下限は0.0002%以上とする。Al含有量の好ましい下限は0.0005%以上であり、より好ましくは0.0010%以上である。また、Al含有量の好ましい上限は0.002%以下であり、より好ましくは0.0015%以下である。
[Ti:0.0005〜0.010%]
Tiは、本発明を特徴付ける元素である。Tiは、TiNを形成して固溶Nを低減する能力を有する。一方、酸化物組成制御の観点からは、所定量のTiを添加し、酸化物中のTiO2含有量を適切に制御することにより、Si脱酸鋼で得られるSiO2含有酸化物系介在物の熱間加工時における結晶化、母相の鋼と酸化物系介在物の界面に発生する空洞、多結晶体である酸化物系介在物内部に発生する空洞の問題を解決することができ、転動疲労特性が向上する。このような効果を得るため、Ti含有量の下限を0.0005%以上とする。ただし、Tiの含有量が多くなって0.010%を超えると、TiO2系酸化物が結晶相として単独で生成する。従って、Ti含有量の上限を0.010%以下とする。Ti含有量の好ましい下限は0.0008%以上であり、より好ましくは0.0011%以上である。また、Ti含有量の好ましい上限は0.0050%以下であり、より好ましくは0.0030%以下である。
[B:0%超0.0050%以下]
Bは、本発明を最も特徴付ける元素であり、冷間鍛造性を向上させる上で重要な元素である。詳細にはBはNと結合して窒素化合物を形成することにより鋼中の固溶Nの残存を抑制し、冷間鍛造性の向上に寄与する。このような効果を有効に発揮するためには、B含有量の下限を0.0001%以上とすることが好ましい。B含有量の、より好ましい下限は0.0001%以上であり、更に好ましい下限は0.0002%以上である。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えると、粗大なBの炭化物が生成し易くなり、転動疲労特性に悪影響が生じる。よって、B含有量の上限を0.0050%とする。Bの含有量の好ましい上限は0.0045%以下であり、より好ましくは0.004%以下である。
更に本発明の鋼材は、下記式(1)を満足する必要がある。この式(1)は、冷間鍛造性向上の指標となるパラメータとして、数多くの基礎実験に基づいて本発明者らが規定した式である。
[N]−0.52×[Al]−0.29×[Ti]−1.30×[B]≦0.0020・・・(1)
式中、[N]、[Al]、[Ti]、[B]は夫々、N、Al、Ti、Bの含有量(質量%)を意味する。
すなわち、上記式(1)は、冷間鍛造性の向上に有用な固溶Nの低減という観点から、Nと結合して窒化物を形成するAl、Ti、Bの各含有量をN含有量との関係で規定したものである。上記式(1)の左辺([N]−0.52×[Al]−0.29×[Ti]−1.30×[B])をP値としたとき、P値が0.0020を超えると、固溶Nの残存量が多くなり、冷間鍛造中の動的歪み時効により変形抵抗が増大して冷間鍛造性が悪化する。更に、軸受使用中の繰り返し負荷によっても動的歪み時効が発生し、鋼材の延性を低下させることにより、転動疲労き裂の伸展が促進され、転動疲労特性も悪化する。上記P値は、0.0018以下であることが好ましく、0.0015以下であることがより好ましい。なお、上記P値の下限は上記観点からは特に限定されないが、Nによる固溶強化などを考慮すると、おおむね、−0.0100以上であることが好ましく、−0.0080以上であることがより好ましい。
本発明の鋼材に含まれる元素は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。上記不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素が挙げられ、例えば、As、H等の混入が許容され得る。
本発明の鋼材は、更に下記元素を選択成分として含有することができる。
[Cu:0%超1%以下、Ni:0%超1%以下、およびCo:0%超1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種]
Cu、NiおよびCoは、いずれも母相の焼入れ性向上元素として作用し、硬さを高めて転動疲労特性の向上に寄与する元素である。このような効果を有効に発揮させるため、いずれの元素も0.01%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.02%以上である。しかしながら、各元素の含有量が1%を超えると、加工性が劣化する。よって、各元素の含有量の好ましい上限は1%以下であり、より好ましくは0.9%以下、更に好ましくは0.8%以下である。これらの元素は、夫々単独でまたは適宜組み合わせて含有させても良い。
[Pb:0%超0.5%以下、Bi:0%超0.5%以下、およびTe:0%超0.1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種]
Pb、BiおよびTeは、いずれも被削性向上元素である。このような効果を有効に発揮させるため、Pb、Biの各含有量を0.01%以上、Teの含有量を0.00001%以上とすることが好ましい。より好ましい含有量の下限は、Pb、Biのそれぞれで0.02%以上、Teで0.00002%以上である。しかし、Pb、Biの各含有量が0.5%を超えるか、Teの含有量が0.1%を超えると、圧延疵の発生等、製造上の問題が生じる。よって、各元素の好ましい含有量の上限を、Pb、Biではそれぞれ、0.5%以下、Teでは0.1%以下とする。Pb、Biについて、より好ましい含有量の上限はそれぞれ、0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下である。また、Teについて、より好ましい含有量の上限は0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下である。これらの元素は、夫々単独でまたは適宜組み合わせて含有させても良い。
更に本発明の鋼材は、鋼中に含まれる短径1μm以上の酸化物の平均組成を適切に制御することが好ましい。具体的には前述した特許文献3と同様、転動疲労特性向上の目的で、全酸化物に対する比率(質量%)で、CaO:20〜50%、Al23:20〜50%、SiO2:20〜70%、TiO2:3〜10%を含有し、残部は不可避的不純物となるように制御することが好ましい。
[CaO:20〜50%]
Caは塩基性酸化物であり、酸性酸化物であるSiO2に含まれると、酸化物の液相線温度が下がり、酸化物の結晶化を抑制する効果がある。このような効果は、酸化物の平均組成におけるCaO含有量を、好ましくは20%以上に制御することによって得られる。しかしながら、CaO含有量が高すぎると、酸化物が結晶化してしまうため、CaO含有量の上限を、好ましくは50%以下とする。酸化物中におけるCaO含有量の、より好ましい下限は22%以上であり、更に好ましくは25%以上である。また、CaO含有量の、より好ましい上限は43%以下であり、更に好ましくは41%以下である。
[Al23:20〜50%]
Al23は両性酸化物であり、酸性酸化物であるSiO2に含まれると、酸化物の液相線温度が下がり、酸化物の結晶化を抑制する効果がある。このような効果は、酸化物の平均組成におけるAl23含有量を、好ましくは20%以上に制御することによって得られる。一方、酸化物の平均組成におけるAl23含有量が50%を超えると、溶鋼中および凝固過程でAl23(コランダム)結晶相が晶出したり、MgOとともにMgO・Al23(スピネル)結晶相が晶出する。あるいは、圧延温度域でこれらの結晶相が生成する。これらの固相は硬質であり、粗大な介在物として存在し、加工中に空洞が生成し易くなり、転動疲労特性を悪化させる。こうした観点から、酸化物の平均組成におけるAl23含有量は50%以下とすることが好ましい。酸化物におけるAl23含有量の、より好ましい下限は22%以上であり、更に好ましくは25%以上である。また、Al23含有量の、より好ましい上限は43%以下であり、更に好ましくは41%以下である。
[SiO2:20〜70%]
SiO2は酸性酸化物であり、酸化物系介在物を非晶質化させるために不可欠の成分である。このような効果を有効に発揮させるためには、酸化物中にSiO2を20%以上含有させることが好ましい。しかしながら、SiO2含有量が70%を超えると、SiO2を多く含む結晶相が生成して空洞が形成されるため、転動疲労特性が悪化する。酸化物中におけるSiO2含有量の、より好ましい下限は25%以上であり、更に好ましくは30%以上である。また、SiO2含有量の、より好ましい上限は50%以下であり、更に好ましくは45%以下である。
[TiO2:3〜10%]
TiO2は、転動疲労特性の更なる向上に寄与する酸化物成分である。TiO2が酸性酸化物であるSiO2に含まれると、TiO2濃化相(A相)とSiO2濃化相(B相)の2相に分離でき、両相とも結晶質化を抑制することができる。その結果、Si脱酸鋼で得られるSiO2含有酸化物系介在物の熱間加工時の結晶化の抑制、母相の鋼と酸化物系介在物との界面に発生する空洞の抑制、多結晶体である酸化物系介在物内部にも発生する空洞の抑制を実現でき、転動疲労特性が一層向上する。このような効果は、酸化物の平均組成におけるTiO2含有量を、好ましくは3%以上に制御することによって得られる。しかしながら、TiO2含有量が高すぎると、TiO2系酸化物が結晶相として単独で生成し、空洞が形成され、転動疲労特性が低下するため、10%以下とすることが好ましい。酸化物中におけるTiO2含有量の、より好ましい下限は4%以上であり、更に好ましくは5%以上である。また、TiO2含有量の、より好ましい上限は8%以下であり、更に好ましくは7%以下である。
本発明の鋼材に含まれる酸化物は、CaO、Al23、SiO2、およびTiO2で構成され、残部は不純物である。不純物としては、製造過程などで不可避的に含まれる不純物が挙げられる。不純物は、酸化物系介在物の結晶化状態やアスペクト比などに悪影響を及ぼさず、所望の特性が得られる限度において含まれ得るが、不純物全体(合計量)として、おおむね、20%以下に制御されていることが好ましい。具体的には、例えばREM23、MgO、MnO、ZrO2、Na2O、K2O、Li2O、Cr23、NbO、FeO、Fe23をそれぞれ、約10%以下の範囲で含有することができる。なお、本発明において、REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。これらの元素のなかでも、La、CeおよびYよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、より好ましくはLaおよびCeのうち少なくとも1種の元素を含有するのがよい。
次に、本発明の鋼材を製造する方法について説明する。本発明では、特に所定の酸化物組成が得られるように、特に溶製工程、更には熱間加工の各工程に留意して製造すれば良く、それ以外の工程は、軸受用鋼の製造に通常用いられる方法を適宜選択して用いることができる。
上記酸化物組成を得るための好ましい溶製方法は以下のとおりである。
まず鋼材を溶製する際に、通常実施されるAl添加での脱酸処理を行なわずに、Si添加による脱酸を実施する。この溶製時には、CaO、およびAl23の各含有量を制御するために、鋼中に含まれるAl含有量を上記のとおり、0.0002〜0.005%、Ca含有量を上記のとおり0.0002〜0.002%に夫々制御する。
また、TiO2の制御方法は特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法に基づき、溶製時に、鋼中に含まれるTi含有量が上記のとおり、0.0005〜0.010%の範囲内に制御されるようにTiを添加すれば良い。Tiの添加方法は特に限定されず、例えば、Tiを含有する鉄系合金を添加して調整しても良いし、あるいは、スラグ組成の制御によって溶鋼中のTi濃度を制御してもかまわない。
なお、SiO2は、他の酸化物を上記のようにコントロールすることによって得られるものである。
本発明では、上記のように化学成分組成に制御した鋼材に対して、常法に従い、圧延および球状化焼鈍を行った後、熱間加工または冷間加工を行う。
このようにして本発明の軸受用鋼材を得た後、所定の部品形状にし、焼入れ・焼戻しすると、本発明の軸受部品が得られる。鋼材段階の形状については、こうした製造に適用できるような線状・棒状のいずれも含むものであり、そのサイズも、最終製品に応じて適宜決めることができる。
上記軸受部品としては、例えば、コロ、ニードル、玉、レース等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更して実施することは可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)鋳片の製造
容量150kg/1chの小型溶解炉用い、下記表1に示す各種化学成分組成の供試鋼(残部は鉄および不可避的不純物)を溶製し、直径がφ245mm、高さが480mmの鋳片を作製した。溶製時にMgO系耐火物の取鍋を用い、通常実施されるAl脱酸処理を行わず、Si脱酸処理を行った。具体的にはC、Si、Mn、およびCrを用いて溶鋼の溶存酸素量を調整した後、Ti→Caの順序で投入し、Ti含有量、Ca含有量を制御した。なお、本実施例では、溶鋼に添加するCaとしてNi−Ca合金を、Ti源としてFe−Ti合金を、それぞれ用いた。このようにして得られた鋳片の化学成分を表1に示す。
(2)酸化物系介在物の平均組成測定用の試験片の作成測定
得られた鋳片を1250℃に加熱して1時間保持した後、1200℃で分塊圧延し、室温まで冷却した。次いで1000℃まで再加熱して900〜1000℃の温度で熱間圧延して丸棒鋼を得た。
このようにして得られた丸棒鋼について、その表面処理剤から直径Dの1/2位置で圧延方向断面が観察できるように、上記丸棒鋼から20mmL(圧延方向長さ)×20mmW(圧延方向幅)×10mm(表層からの深さ)の試験片を切り出した。なお、軸受用鋼材では、上記の熱間圧延後に球状化焼鈍するが、本実施例では、測定の簡便のため、球状化焼鈍する前の上記熱間圧延材を酸化物系介在物の平均組成測定用の試験片として用いた。軸受用鋼材における酸化物系介在物の平均組成は、球状化焼鈍によって影響されず、上記熱間圧延材の結果を軸受用鋼材の結果に代用できるからである。
(3)酸化物系介在物の平均組成の測定
上記試験片の断面を研磨した後、日本電子データム製の電子線マイクロプローブX線分析計(Electron Probe X−ray Micro Analyzer:EPMA 商品名「JXA−8500F」)を用いて観察し、短径が1μm以上の酸化物系介在物について成分組成を定量分析した。このとき、観察面積を100mm2(研磨面)とし、介在物の中央部での成分組成を特性X線の波長分散分光により定量分析した。分析対象元素は、Ca、Al、Si、Ti、Ce、La、Mg、Mn、Zr、Na、K、Cr、O(酸素)とし、既知物質を用いて各元素のX線強度と元素濃度の関係を予め検量線として求めておき、分析対象とする上記介在物から得られたX線強度と上記検量線から各試料に含まれる元素量を定量し、その結果を算術平均することで平均の介在物組成を求めた。このようにして得られた定量結果のうち、酸素含量が5%以上の介在物を酸化物とした。このとき、一つの介在物から複数の元素が観察された場合には、それらの元素の存在を示すX線強度の比から各元素の単独酸化物に換算して酸化物の組成を算出した。本発明では、上記単独酸化物として質量換算したものを平均して、酸化物の平均組成とした。なお、REMの酸化物は、金属元素をMで表すと、鋼材中にM23、M35,MO2などの形態で存在するが、本実施例では、観察される全ての酸化物をM23に換算してREM酸化物の平均組成を算出した。これらの結果を算術平均することで、酸化物の平均組成を求めた。
(4)スラスト転動疲労試験片の作製と転動疲労特性の評価
上記(2)で得られた丸棒鋼を770℃で6時間保持した後、10℃/時の平均冷却速度で680℃まで冷却した後、放冷して軟化させることにより球状化焼鈍材を得た。このようにして得られた球状化焼鈍材からφ60mm、厚さ6mmの円盤状のスラスト転動疲労試験用試験片を切り出し、840℃で30分加熱後に油焼入れをし、次いで160℃の温度で120分間焼き戻しを行った。最後に仕上げ研磨を施して、表面粗さRa0.1μmのスラスト転動疲労試験片を作製した。
このようにして得られたスラスト転動疲労試験片を用い、スラスト疲労試験機(スラスト型転動疲労試験機「FJ−5T」、富士試験機製作所製)にて、繰返速度(負荷速度):1200rpm、鋼球数3個、面圧:5.24GPa、中止回数2×108回の条件でスラスト転動疲労試験を実施した。
転動疲労寿命の尺度として、通常、疲労寿命L10(累積破損確率10%における疲労破壊までの応力繰り返し数、以下「L10」と呼ぶ場合がある。)が用いられる。詳細には、L10とは、試験結果をワイブル確率紙にプロットして得られる累積破損確率10%における疲労破壊までの繰り返し数の意味である(「軸受」、岩波全書、曽田範宗著を参照)。各鋼材につき、16個の試料を用いて上記の試験を行ってL10寿命を決定した。本実施例では、L10寿命が5.0×107回以上のものを合格(転動疲労寿命に優れる)と評価した。
(5)冷間鍛造性評価用の試験片の作製と冷間鍛造性の評価
上記(2)で得られた丸棒鋼を770℃で6時間保持した後、10℃/時の平均冷却速度で680℃まで冷却し、その後、放冷して軟化させることにより球状化焼鈍材を得た。このようにして得られた球状化焼鈍材の中心部から、直径:10mm、厚さ:16mmの円盤を切出して試験片を得た。この試験片を用い、プレス試験機(神戸製鋼所製のLCH1600リンク式1600tonプレス機)で加工率(圧縮率):80%にて冷間鍛造したときの変形抵抗(MPa)を測定し、冷間鍛造性の評価を行った。本実施例では、上記変形抵抗が850MPa以下のものを合格(冷間鍛造性に優れる)と評価した。なお、上記加工率は、下式で表されるものである。
{1−(L/L0)}×100(%)
ここで、L:鍛造前の試験片長さ(mm)、L0:鍛造後の試験片長さ(mm)を意味する。
これらの結果を表2に記載する。表2の試験No.は、表1の鋼材No.を用いたものである。表2のL10寿命の欄において、「E+07」とは「×107」を意味する。例えば表2の試験No.1の上記欄に記載の「6.0E+07」は「6.0×107」を意味する。
これらの結果から、次のように考察することができる。
まず、表2の試験No.1〜23は、いずれも本発明で規定する化学成分組成を満足すると共に、酸化物系介在物の組成も好ましい要件を満足する例であり、転動疲労特性および冷間鍛造性の両方に優れていることが分かる。
なお、本実施例では、スラスト方向での転動疲労特性を測定しているが、本発明では固溶Nの残存を低減し、軸受使用中の動的歪み時効も抑制しているため、ラジアル方向の転動疲労特性も良好であると推察される。
これに対し、以下の試験No.は、本発明のいずれかの要件を満足しないため、転動疲労特性および冷間鍛造性のいずれかが低下した。
試験No.24は鋼中のAl量およびCa量が少ない表1の鋼材No.24を用いた例であり、TiO2を除く酸化物系介在物の組成がいずれも、本発明の好ましい要件を満足しないため、転動疲労寿命が短くなって冷間鍛造性が低下した。
試験No.25は鋼中のAl量が多い表1の鋼材No.25を用いた例であり、酸化物系介在物の組成がAl23主体の介在物となって硬質化したため加工中に空洞が発生し、転動疲労寿命が短くなった。
試験No.26は鋼中のCa量が多い表1の鋼材No.26を用いた例であり、酸化物系介在物の組成がCaO主体の介在物となって硬質化したため加工中に空洞が発生し、転動疲労寿命が短くなった。
試験No.27は鋼中のTi量が少ない表1の鋼材No.27を用いた例であり、酸化物系介在物中のTiO2量が低下した。そのため、酸化物系介在物を2相分離し、且つ2相の結晶化を抑制することができず、加工中に空洞が発生して転動疲労寿命が短くなった。
試験No.28、29は、鋼中のTi量が多い表1の鋼材No.28、29を用いた例であり、酸化物系介在物中のTiO2量が増加し、TiO2が結晶相として単独で生成した。そのため、加工中に、母相の鋼との界面に空洞が発生し、転動疲労寿命が短くなった。
試験No.30は鋼中のN量が多い表1の鋼材No.30を用いた例であり、本発明で規定する式(1)を満足しないため、変形抵抗が増加して冷間鍛造性が低下した。
試験No.31、32は、鋼中のB量が多い表1の鋼材No.31、32を用いた例であり、粗大なBの炭化物が生成し、転動疲労寿命が短くなった。
試験No.33、34、35は、鋼中にBを含まず、且つ、式(1)を満足しない表1の鋼材No.33、34、35を用いた例であり、変形抵抗が増加した。
試験No.36は、Al脱酸処理によって得られた表1の鋼材No.36(従来のアルミキルド鋼)を用いた例であり、Al含有量が多すぎて酸化物系介在物の組成がAl23主体の介在物となって硬質化したため、加工中に空洞が発生し、転動疲労寿命が短くなった。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.8〜1.1%、
    Si:0.1〜0.8%、
    Mn:0.1〜1%、
    Cr:1.3〜1.8%、
    P :0%超0.05%以下、
    S :0%超0.05%以下、
    Ca:0.0002〜0.002%、
    N :0%超0.010%以下、
    O :0%超0.005%以下、
    Al:0.0002〜0.005%、
    Ti:0.0005〜0.010%、
    B :0%超0.0050%以下
    を含有すると共に、
    下式(1)を満足し、
    残部は鉄及び不可避的不純物であることを特徴とする転動疲労特性および冷間鍛造性に優れた軸受用鋼材。
    [N]−0.52×[Al]−0.29×[Ti]−1.30×[B]≦0.0020・・・(1)
    式中、[N]、[Al]、[Ti]、[B]は夫々、N、Al、Ti、Bの含有量(質量%)を意味する。
  2. 更に、質量%で、
    Cu:0%超1%以下、Ni:0%超1%以下、およびCo:0%超1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の軸受用鋼材。
  3. 更に、質量%で、
    Pb:0%超0.5%以下、Bi:0%超0.5%以下、およびTe:0%超0.1%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の軸受用鋼材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の軸受用鋼材を用いて得られる軸受部品。
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