JP2009029944A - 人工大理石用樹脂組成物及び人工大理石用樹脂成形体 - Google Patents

人工大理石用樹脂組成物及び人工大理石用樹脂成形体 Download PDF

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恭士 小幡
Kumi Matsukawa
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Abstract

【課題】親水性と防汚性能と耐水性と耐熱性に優れる人工大理石用樹脂成形体及びこの樹脂成形体を成形する為の人工大理石用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂との混合組成物を所定の成形型内に充填して、その混合組成物の官能基を加熱により自己縮合させた人工大理石用樹脂成形体であって、その成形体の表面における対水接触角値が55°以下及び対オレイン酸接触角値が15°以下の人工大理石用樹脂成形体とした。この人工大理石用樹脂成形体は、浴槽、洗面カウンター、洗面ボール、キッチンカウンターなどの水回り部材に適用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、浴槽、洗面カウンター、洗面ボール、キッチンカウンター等に好適の人工大理石用樹脂成形体及びこの成形体を成形する樹脂材料である人工大理石用樹脂組成物に関するものである。
従来から、人工大理石用樹脂成形体は、熱硬化性樹脂(アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂など)に無機充填剤、硬化剤などを配合した混合組成物を所定の成形型内に注入充填し、加熱等して硬化させて成形されている。特に、アクリル系の人工大理石用樹脂成形体は、強度、耐熱性、耐水性などに優れ、天然大理石に近い外観で高級感があるため、浴槽、洗面カウンター、洗面ボール、キッチンカウンターなどの水回り分野の用途に使用されている。通常、人工大理石用樹脂成形体がこのような水回り分野の用途に使用される場合、その成形体の表面に汚れや油脂成分を含んだ水が付着するため、洗浄剤などでその汚れを取り除いているが、その汚れを完全に取り除くことができなかった。
例えば、アクリル系の人工大理石用樹脂成形体からなる浴槽の場合、特に、浴槽の内壁面のうちの水面に接する喫水線域に汚れがこびり付き易い。この汚れの原因は、汚れ成分の組成や汚れ付着のメカニズムが複雑であるために十分には解明されていないが、一般的には油脂や石鹸カスによる汚れなどが挙げられる。このような汚れが浴槽に付着すると、浴槽の美観を損ねるだけでなく衛生面からも問題があり、これらの汚れは清掃しても取れにくく清掃に手間がかかる場合が多い。
上記問題点を解決すべく、特許文献1には、アクリル樹脂にシリコン樹脂化合物やフッ素樹脂化合物などを含有した撥水性に優れる塗料硬化物を表面に有する水回り部材が開示されている。特許文献2には、光触媒粒子を含有する表面層を形成し、光触媒作用により表面を親水化する親水性部材が開示されている。
特開2002−69378号公報 特開平10−166495号公報
特許文献1においては、水回り部材を用いて浴槽表面を撥水化した場合でも、多少改善されるものの、その表面に油脂や石鹸カスによる汚れが付着するため、浴槽の内壁面の喫水線域の汚れ付着を完全に防ぐことができないという問題がある。
特許文献2においては、浴槽壁材として光触媒を含む親水性部材を使用した場合、浴室内での光源の光量不足や光触媒作用による樹脂の劣化などから十分な防汚効果を得ることができないという問題がある。
他方、汚れ防止の為に樹脂成形体に親水性を付与することも提案されているが、一般的な親水性樹脂の場合、親水性に起因して耐水性が低くなり、成形体の表面に微小クラックが発生するなど耐久性を確保できない。そのため、親水性樹脂からなる浴槽等は実用に供されていない。
本発明の目的は、防汚性、耐水性及び耐熱性に優れる人工大理石用樹脂成形体及びこの成形体を成形する為の材料である人工大理石用樹脂組成物を提供することである。
請求項1の人工大理石用樹脂組成物は、人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂とを含み、主樹脂と親水性アクリル樹脂との混合組成物に含まれる官能基が加熱により自己縮合する人工大理石用樹脂組成物であって、重合硬化後の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴としている。
この人工大理石用樹脂組成物においては、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂を含むので、重合硬化後の成形体の表面にアクリル樹脂の親水性の官能基が存在するため対水接触角値が55°以下となり、強い親水性の表面となる。また、重合硬化の際、混合組成物に含まれる官能基が加熱により自己縮合して架橋するので、高密度の三次元網目構造が形成される。
ここで、人工大理石用の主樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂などを採用することができる。また、水酸基又は窒素含有基を有する親水性のアクリル樹脂として、アミド基、メチロール基、メタクリルアミド基などを有するアクリル樹脂を採用することができる。
請求項2の人工大理石用樹脂成形体は、人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂との混合組成物を所定の成形型内に充填して、その混合組成物の官能基を加熱により自己縮合させた人工大理石用樹脂成形体であって、その成形体の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴としている。
この人工大理石用樹脂成形体においては、人工大理石用の主樹脂と親水性アクリル樹脂との混合組成物が所定の成形型内に充填されて成形されると、その成形時に主樹脂と親水性アクリル樹脂とがそれぞれ共重合反応により三次元網目構造の共重合体になり、人工大理石に相応しいものとなる。上記の混合組成物には水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂を含むので、成形体の表面にアクリル樹脂の親水基が分布し、表面の対水接触角値が55°以下となり、成形体の表面の強い親水性を確保することができる。この混合組成物の官能基が加熱により自己縮合して架橋するので、高密度の三次元網目構造を有する、耐水性、耐熱性に優れる人工大理石用樹脂成形体が得られる。
請求項3の人工大理石用樹脂成形体は、請求項2の発明において、主樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂のうちの何れか1又は複数の樹脂であることを特徴としている。
請求項4の人工大理石用樹脂成形体は、請求項2又は3の発明において、所定の成形型として浴槽成形用の成形型を用いて浴槽形状に形成されたことを特徴としている。
請求項5の人工大理石用樹脂成形体は、請求項2〜4の発明の何れかにおいて、成形体の表面における対オレイン酸接触角値が15°以下であることを特徴としている。
請求項6の人工大理石用樹脂成形体は、請求項2〜5の発明の何れかにおいて、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以上であることを特徴としている。
請求項7の人工大理石用樹脂成形体は、請求項6の発明において、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が30%以上であることを特徴としている。
請求項8の人工大理石用樹脂成形体は、請求項2〜7の発明の何れかにおいて、表面処理された無機充填剤が添加されていることを特徴としている。
請求項9の人工大理石用樹脂成形体は、請求項8の発明において、無機充填剤は、硝子フリット、シリカ、アルミ粉、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクのうちから選択された1又は複数の無機充填剤であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、人工大理石用樹脂組成物は、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂を含むので、重合硬化後の成形体の表面にアクリル樹脂の親水基が分布し、表面が対水接触角値55°以下の親水性と防汚性能に優れる人工大理石用樹脂成形体の樹脂材料に適した人工大理石用樹脂組成物が得られる。
また、この樹脂組成物は、重合硬化の際、混合組成物に含まれる官能基が加熱により自己縮合して架橋するので、高密度の三次元網目構造を有し、耐水性、耐熱性に優れる人工大理石用樹脂成形体を成形するのに好適の樹脂組成物となる。
請求項2の発明によれば、人工大理石用の主樹脂と親水性アクリル樹脂との混合組成物が所定の成形型内に充填されて成形されると、その成形時に主樹脂と親水性アクリル樹脂とがそれぞれ共重合反応により三次元網目構造の共重合体になり、人工大理石に相応しいものとなる。上記の混合組成物は、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂を含むので、成形体の表面にアクリル樹脂の親水基が分布し、成形体の表面が対水接触角値55°以下の十分な親水性を有するものとなり、油脂等でも汚れにくく、また汚れても容易に清掃可能な人工大理石用樹脂成形体が得られる。
しかも、混合組成物の官能基が加熱により自己縮合して架橋するので、高密度の三次元網目構造を有し、強度、親水性、防汚性能、耐水性、耐熱性に優れた人工大理石用樹脂成形体が得られる。
請求項3の発明によれば、前記主樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂のうちの何れか1又は複数の樹脂であるので、種々の目的や用途に応じて主樹脂を選択することができる。
請求項4の発明によれば、所定の成形型として浴槽成形用の成形型を用いて浴槽形状に成形されたので、十分な親水性の表面を有する人工大理石用樹脂成形体の浴槽であって、内壁面の喫水線域にも油脂や石鹸カス等の汚れが殆ど付着しないか或いは付着しても容易に清掃可能な浴槽が得られる。
請求項5の発明によれば、成形体の表面における対オレイン酸接触角値が15°以下であるので、人工大理石用樹脂成形体の表面の人体から発生する油脂や脂肪酸に対する防汚性能をより一層向上させた人工大理石用樹脂成形体が得られる。
請求項6の発明によれば、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以上であるので、表面の親水性に優れ、防汚性能に優れた人工大理石用樹脂成形体が得られる。
親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以下の場合には、主樹脂に、親水性アクリル樹脂を均一に分散させることができず、成形体の表面に均一な親水性をもたせることが難しい。
請求項7の発明によれば、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が30%以上であるので、人工大理石用樹脂成形体の表面の親水性を高め、防汚性能を高めることができる。
請求項8の発明によれば、表面処理された無機充填剤が添加されているので、人工大理石用樹脂成形体の表面の質感、硬度を確保することができる。
請求項9の発明によれば、無機充填剤は、硝子フリット、シリカ、アルミ粉、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクのうちから選択された1又は複数の無機充填剤であるので、成形体の目的や用途に応じて無機充填剤を適宜選択できる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の人工大理石用樹脂組成物は、人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂とを含み、前記主樹脂と親水性アクリル樹脂との混合組成物に含まれる官能基が加熱により自己縮合する人工大理石用樹脂組成物であって、重合硬化後の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴とするものである。
本発明の人工大理石用樹脂成形体は、人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂との混合組成物を所定の成形型内に充填して、その混合組成物の官能基を加熱により自己縮合させた人工大理石用樹脂成形体であって、その成形体の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴とするものである。
上記の人工大理石用の主樹脂は、人工大理石用の、浴槽、洗面カウンター、洗面ボール、キッチンカウンターなどを成形するための主樹脂であり、一般的に使用される熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂であればよい。この主樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂などを使用することができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
上記アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル(MMA)モノマー又はヒドロキシエチルメチルアクリレート(HEMA)モノマーなどに、多官能のアクリルモノマー、プレポリマー、ポリマーのうちの2種類以上を混合したアクリルシラップ溶液を用いるが、その形態は特に限定されるものではない。
上記ポリエステル樹脂としては、無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸及び無水フタル酸のような飽和二塩基酸と、グリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものを用いる。通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマーなどが配合され、不飽和ポリエステル樹脂と称され、その形態は特に限定されるものではない。
親水性のアクリル樹脂を構成する、水酸基を有するアクリルモノマーとしては、メチロール基[−CH2 OH]を有するアクリルモノマーを適用でき、この場合、親水性アクリル樹脂は、メチロール基を有するアクリルモノマーが重合した重合体である。
親水性のアクリル樹脂を構成する、窒素含有基を有する親水性のアクリルモノマーとしては、アミド基[−NHX ]を有するアクリルモノマー、メタクリルアミド基[−COONHCH2 OH]を有するアクリルモノマーを適用できる。この場合、親水性アクリル樹脂は、アミド基を有するアクリルモノマーやメタクリルアミド基を有するアクリルモノマーが重合した重合体である。
人工大理石用樹脂組成物の組成について、親水性アクリル樹脂の添加重量比率を10%以上にすることが必要であり、好ましくは、30%以上にすることが望ましい。主樹脂に対するアクリル樹脂の相溶性は高く、上記の組成重量比率の増大に応じて、成形体の表面に分布するアクリル樹脂の親水性官能基の量が増大する。親水性アクリル樹脂の添加重量比率の上限値としては、75%よりも大きな値にし得ると考えられる。尚、添加重量比率75%までの組成物から製作した成形体の防汚性能を実験により確認している。
この人工大理石用樹脂組成物においては、人工大理石用樹脂成形体に適宜用途に応じて石目調人工大理石の風合いを出すために、粗粉砕物、表面処理した無機充填粒子(無機充填剤)、硬化剤などを適当量添加する。上記の粗粉砕物としては、天然物シリカ、寒水石、珪石、樹脂硬化物などを採用することができる。無機充填粒子としては、硝子フリット、シリカ、アルミ粉、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクなどを採用することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
上記の無機充填粒子の表面には、主樹脂などとよく相溶するように適当な表面処理方法でカップリング処理することが好ましい。カップリング処理には、一般的に使用されるシラン系、チタネート系などのカップリング処理剤を使用し、乾式法、湿式法など一般的に使用される方法で処理すればよい。
上記の硬化剤としては、化薬アクゾ(株)製の「パーカドックス16」(商品名)や「トリゴノックス121」(商品名)を適当量使用し、日本ポリウレタン工業(株)製のイソシアネート硬化剤「コロネートHX」(商品名)などを随時適当量使用すればよい。これら硬化剤を使用することにより、人工大理石用樹脂成形体の高密度の三次元網目構造が強化され、成形体の強度が一層向上する。
人工大理石用樹脂組成物を調合する際には、上述の組成重量比率となるように調合された主樹脂と親水性アクリル樹脂の混合組成物に無機充填粒子や硬化剤などを添加し、その混合組成物を均一に攪拌して無機充填粒子と硬化剤を均一に分散させる。
主樹脂及び親水性アクリル樹脂に無機充填粒子と硬化剤を攪拌して均一に分散させる方法としては、ディスパーミキサー、ヘンシェルミキサー、プラネタリミキサー、ボールミル、ビーズミル、オムニミキサー、振動・遠心力などを利用する非メディア系の分散・攪拌装置を使用し、適当な時間均一に攪拌すればよい。
上記のように調合した混合組成物を所定の成形型に加圧充填し、成形型の温度を50〜100℃程度に保持すると、主樹脂と親水性アクリル樹脂とがそれぞれ共重合して高密度の三次元網目構造を形成し、その混合組成物に含まれる前記のメチロール基、アミド基又はメタクリルアミド基等の親水性の官能基が上記50〜100℃の加熱により自己縮合して三次元網目構造を有する人工大理石用樹脂成形体になる。
成形型を50〜100℃程度に保持すると、少なくとも成形型の付近においては、親水性アクリル樹脂の粘性を低くして流動性を高め、親水性アクリル樹脂を混合しやすくし、少なくとも樹脂成形体の表層部に上記の親水性の官能基を確実に分布させることができるうえ、少なくとも樹脂成形体の表層部における自己縮合を確実にして三次元網目構造を強化することができる。尚、親水性アクリル樹脂の粘度は、例えば、1cp〜5000cp(25℃)の範囲が必要であり、好ましくは50〜1000cp(25℃)の範囲が望ましい。
前記の所定形状の成形型として、浴槽成形用の成形型、洗面カウンター成形用の成形型、洗面ボール成形用の成形型、キッチンカウンター成形用の成形型などを採用して、浴槽、洗面カウンター、洗面ボール、キッチンカウンターなどの水回り部材、給湯器外壁部材、住居用外壁部材などの成形体を製作することができる。尚、この人工大理石用樹脂成形体は、他の樹脂成形品や芯材の表面に塗布又は成形して表面保護層としても用いることができる。
成形方法としては、注型用成形型を用いて成形する方法、射出成形による成形方法、プレス成形による方法などを採用可能である。また、ゲルコートなどのコーティングを利用して樹脂成形品や芯材の表面に人工大理石用樹脂成形体を付加してもよい。
人工大理石用樹脂成形体においては、この樹脂成形体の表面には、親水性アクリル樹脂の親水性の官能基が十分な密度で分布しているため、この樹脂成形体の表面は高い親水性を有するうえ、自己縮合で形成された強固な三次元網目構造故に、強度、親水性、耐水性、耐熱性に優れる。表面の親水性が高いため汚れが付着しにくく防汚性に優れる。
親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以上となっているので、重合硬化して成形された樹脂成形体の表面に水滴を付着させたときの対水接触角の値が55°以下となり、表面にオレイン酸を付着させたときの対オレイン酸接触角の値が15°以下になり、十分な親水性と油脂等に対する防汚性能を有する。ここで、樹脂成形体の表面の親水性を更に高めるには、親水性アクリル樹脂の添加重量比率を30%以上にすることが望ましく、この場合、樹脂成形体の表面の対水接触角の値が50°以下となり、対オレイン酸接触角の値が14°以下となる。
他方、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%未満の場合には、対水性接触角の値が55°よりも大きく、対オレイン酸接触角の値が15°よりも大きくなり、人工大理石用樹脂成形体の表面に親水性の官能基(水酸基、窒素含有基)が十分に分布しないため、十分な親水性が得られず、十分な防汚性能が得られない。特に、この樹脂成形体からなる浴槽の場合、その内壁面の喫水線域に油脂や石鹸カス等の汚れが付着し易くなり、また、その汚れを完全に取り除くことができない。
人工大理石用樹脂成形体の表面における対水接触角及び対オレイン酸接触角と防汚性との間には強い相関があり、対水接触角及び対オレイン酸接触角の値が小さいほど親水性が高く防汚性能が良好となる。この樹脂成形体では、親水性アクリル樹脂の添加重量比率を10%以上にすることで、樹脂成形体の表面の対水接触角が55°以下、対オレイン酸接触角が15°以下となり、高い親水性、防汚性能を得ることができる。また、親水性アクリル樹脂の重量比率を30%以上にすることにより、樹脂成形体の表面の対水接触角が50°以下、対オレイン酸接触角が14°以下となり、より一層優れた親水性、防汚性能を得ることができる。
このような人工大理石用樹脂成形体では、親水性の水酸基又は窒素含有基が成形体の表層部に分布しているので、それらの官能基の親水効果により、表面に油脂等の汚れがほとんど付着せず、付着したとしても容易に取り除くことができる。特に、浴槽の場合には、その内壁面の喫水線域に油脂や石鹸カス等の汚れがほとんど付着しなくなる。また、汚れが付着した場合でも、その汚れを容易に取り除くことができる。
特に、アクリル系の主樹脂に親水性アクリル樹脂を混合しても、主樹脂が本来兼ね備えている耐水性、耐熱性を損なうことがなく、さらに親水性アクリル樹脂は主樹脂に対する相溶性もあり、好適な人工大理石用樹脂成形体を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
先ず、比較例1,2と実施例1〜6の人工大理石用樹脂組成物(以下、サンプル樹脂という)を作成し、それらサンプル樹脂を成形型を用いて成形した人工大理石用樹脂成形体(以下、サンプル品という)を製作し、それらサンプル品についての耐水接触角と、耐オレイン酸接触角と、防汚性能を評価した。
表1に示すように、比較例1,2と実施例1〜6のサンプル樹脂には、人工大理石用の主樹脂として、日本ユピカ(株)製「8900」の「アクリルシラップ溶液」(メタクリル酸メチルを溶解させたアクリル系の樹脂)を用いた。
比較例1を除き、前記のサンプル樹脂には、親水性アクリル樹脂として、綜研化学(株)製のケミトリーシリーズ「LH−448」、「L−20」を用いた。「LH−448」は、アミド基とメチロール基を有する親水性アクリル樹脂である。「L−20」は、メチロール基を有する親水性アクリル樹脂である。この親水性アクリル樹脂の組成重量比率は、比較例2では5%、実施例1では10%、実施例2では15%、実施例3では30%、実施例4では50%、実施例5では75%、実施例6では15%である。
さらに、比較例1,2と実施例1〜6のサンプル樹脂には、適当量のカップリング処理済みの無機充填粒子として東灌マテリアル(株)製の「AS105S」(カップリング処理済み硝子フリット)、適当量の硬化剤として日本ポリウレタン工業(株)製のイソシアネート硬化剤「コロネートHX」を夫々添加し、これらを所定時間分散及び攪拌することにより、粒子含有サンプル樹脂を得た。
上記のように準備したサンプル樹脂を、縦横の寸法が各々10cmで厚みが約5mmの成形キャビティを有する注型用成形型内に加圧充填し、金型温度(50〜100℃)と硬化時間を調整し、上記サイズのサンプル品を成形した。
上記のように得られた比較例1,2と実施例1〜6のサンプル品を用いて、対水接触角値、対オレイン酸接触角値、防汚性能を評価した(表1参照)。
対水接触角は、各サンプル品の表面に水滴を付着させ、Tantec社製のcontact angle meter 「CA−MM」を用いて対水接触角を測定した。対水接触角は3段階にレベル分けした。対水接触角値が50°以下の場合には、表面の親水性が高いため表1では「○」で表示した。また、対水接触角値が50°より大きく70°未満の場合には、表面の親水性が比較的高いため表1では「○△」で表示した。対水接触角値が70°以上の場合には、表面の親水性が低いため表1では「△」で表示した。
一方、対オレイン酸接触角は、各サンプル品の表面にオレイン酸の液滴を付着させ、Tantec社製のcontact angle meter 「CA−MM」をして対オレイン接触角を測定した。対オレイン酸接触角は3段階にレベル分けした。対オレイン酸接触角値が14°以下の場合には、表面の対油脂防汚性能が高いため表1では「○」で表示した。また、対オレイン酸接触角値が15°以上20°未満の場合には、表面の対油脂防汚性能が比較的高いため表1では「○△」で表示した。対オレイン酸接触角値が20°以上の場合には、表面の対油脂防汚性能が低いため表1では「△」で表示した。
各サンプル品の油脂や脂肪酸に対する防汚性能については、40℃の風呂に1人10分、合計4人がジェットバス(ジャグジー)強を使用して入浴した後、各サンプル品を浴槽喫水線域付近に浸漬させ、5分間ジェットバス強で湯浴させた。浴槽から取り出した各サンプル品の表面の光沢度を光沢計で測定し、浸漬前後の光沢度値と目視による評価を加味して行った。
特に、光沢度については、浸漬前の光沢度を100%とし、浸漬後の光沢度が90%以上の場合には防汚性能が優良であるので表1では「○」で表示した。また、浸漬後の光沢度が80%以上90%未満の場合には防汚性能がほぼ良好であるので表1では「○△」で表示した。浸漬後の光沢度が60%以上80%未満の場合には防汚性能が不良であるので表1では「△」で表示した。
表1に示す評価結果から分かるように、実施例1〜6においては、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以上の場合、対水接触角値が54°以下、対オレイン酸接触角値が15°以下となり、良好な親水性と防汚性能が得られた。特に、実施例3〜5において、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が30%以上の場合には、対水接触角値が50°以下、対オレイン酸接触角値が14°以下となり、より一層優れた親水性と防汚性能が得られた。また、実施例6においては、親水性アクリル樹脂の親水性の官能基に差がある場合でも同様の効果があることが確認できた。
これに対し、比較例2においては、親水性アクリル樹脂の添加重量比率が5%であるため、対水接触角値が73°、対オレイン酸接触角が23°となり、親水性と防汚性能が不良であった。比較例1においては、親水性アクリル樹脂が添加されていないため、対水接触角値が75°、対オレイン酸接触角が21°となり、親水性と防汚性能が不良であった。つまり、人工大理石用樹脂成形体の表面の親水性と防汚性能を高めるには、親水性アクリル樹脂の添加重量比率を10%以上、より好ましくは30%以上添加する必要があると考えられる。
ここで、表1からは、対水接触角値及び対オレイン酸接触角値と防汚性能との間には強い相関性があることも確認でき、耐水接触角と耐オレイン酸接触角の両方についての所定条件を満たすことで防汚性能を向上させることができる。
このように、人工大理石用の主樹脂に、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂を混合させた混合組成物を注型用成形型内に充填して、その混合組成物の官能基を加熱により自己縮合させて製作した人工大理石用樹脂成形体においては、共重合と自己縮合による強固な三次元網目構造となって、強度、耐水性、耐熱性に優れる成形体であって、表面に強い親水性と防汚性能を有する成形体が得られる。

Claims (9)

  1. 人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂とを含み、前記主樹脂と親水性アクリル樹脂との混合組成物に含まれる官能基が加熱により自己縮合する人工大理石用樹脂組成物であって、重合硬化後の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴とする人工大理石用樹脂組成物。
  2. 人工大理石用の主樹脂と、水酸基又は窒素含有基を有する親水性アクリル樹脂との混合組成物を所定の成形型内に充填して、その混合組成物の官能基を加熱により自己縮合させた人工大理石用樹脂成形体であって、その成形体の表面における対水接触角値が55°以下であることを特徴とする人工大理石用樹脂成形体。
  3. 前記主樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂のうちの何れか1又は複数の樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の人工大理石用樹脂成形体。
  4. 前記所定の成形型として浴槽成形用の成形型を用いて浴槽形状に成形されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の人工大理石用樹脂成形体。
  5. 前記成形体の表面における対オレイン酸接触角値が15°以下であることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の人工大理石用樹脂成形体。
  6. 前記親水性アクリル樹脂の添加重量比率が10%以上であることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の人工大理石用樹脂成形体。
  7. 前記親水性アクリル樹脂の添加重量比率が30%以上であることを特徴とする請求項6に記載の人工大理石用樹脂成形体。
  8. 表面処理された無機充填剤が添加されていることを特徴とする請求項2〜7 の何れかに記載の人工大理石用樹脂成形体。
  9. 前記無機充填剤は、硝子フリット、シリカ、アルミ粉、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクのうちから選択された1又は複数の無機充填剤であることを特徴とする請求項8に記載の人工大理石用樹脂成形体。
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