JP2009029941A - 有機無機複合組成物および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物および光学部品 Download PDF

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Abstract

【課題】微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率とを有する光学部品を提供する。
【解決手段】 疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体と、数平均粒子径が1nm〜15nmの無機微粒子とを含む有機無機複合組成物であって、波長589nmにおける屈折率が1.60以上である有機無機複合組成物を用いた光学部品。
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折性、透明性、軽量性、加工性に優れる有機無機複合組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、低分散性(すなわち高いアッベ数)、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用する。これらに対応するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる手法が報告されている(例えば、特許文献参照)。また、レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。また、レンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散することはこれまでできなかった。
また、数平均粒子サイズ0.5〜50nmの超微粒子が分散した熱可塑性樹脂組成物を主体とする成形体であって、光波長1mm当たりの複屈折率の平均が10nm以下である樹脂組成物成形体(例えば、特許文献5)や、特定の数式で示される屈折率およびアッベ数を有する熱可塑性樹脂と、特定の平均粒子直径と屈折率とを有する無機微粒子とからなる熱可塑性材料組成物およびこれを用いた光学部品が報告されている(例えば、特許文献6、7)。これらも樹脂中に無機微粒子を分散させたものであるが、いずれも樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散するといった観点からは十分な性能を発揮するものではなかった。
一方、有機無機複合組成物としては、例えば、表面有機修飾した無機粒子と、酸性基含有樹脂を溶融混練する方法が報告されているが、無機粒子の添加量は1質量%程度であり、充分とはいえない(特許文献9)。また、無機粒子の表面修飾基と樹脂をリンカーを介して結合させる有機無機複合組成物も報告されているが(特許文献10)、結合形成に高温を要するなど操作が煩雑であり、ゲル化の懸念もあることから成形加工性の観点から充分な性能を発揮するのもではなかった。またいずれにも高屈折率のレンズに使用可能な厚い透明成形体に関しては記載されていない。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73559号公報 特開2003−147090号公報 特開2003−73563号公報 特開2003−73564号公報 特開2004−524396号公報 特開2004−217714号公報 特表2004−352975号公報
高屈折性、耐熱性、透明性および軽量性を併せ持ち、さらには屈折率を任意に制御できる材料組成物、およびそれを含んで構成される光学部品は未だ見出されておらず、その開発が望まれていた。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率とを有する有機無機複合組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、高屈折率を有する透明性に優れた特定の樹脂と特定の屈折率を有する無機微粒子とを原料とした有機無機複合組成物が、微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性とを有することを見出し、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体と、数平均粒子径が1nm〜15nmの無機微粒子とを含む有機無機複合組成物であって、波長589nmにおける屈折率が1.60以上である有機無機複合組成物。
[2] 前記ブロック共重合体が、前記無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有することを特徴とする[1]に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記ブロック共重合体が、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合材料成形物。
Figure 2009029941
[R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表す。]、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、または−Si(OR15m116 3-m1[R15、R16はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
[4] 前記官能基の含有量が前記ブロック共重合体の全体に対して0.05〜5.0mmol/gであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
[5] 前記無機微粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属酸化物微粒子であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
[6] 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを含有する微粒子であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
[7] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 熱可塑性であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
[10] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする[9]に記載の成形体。
[11] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[9]または[10]に記載の成形体。
[12] [9]〜[11]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[13] レンズ基材であることを特徴とする[12]に記載の光学部品。
本発明によれば優れた透明性と高い屈折率とを併せもつ有機無機複合組成物、およびこれを用いた光学部品を提供することができる。また、本発明によれば、機械的強度や耐熱性が良好な光学部品を提供しやすい。
以下において、本発明の有機無機複合組成物およびそれを含んで構成される光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[有機無機複合組成物]
本発明の有機無機複合組成物(以下、単に「本発明の材料組成物」という場合がある。)は、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体と、数平均粒子径が1nm〜15nmの無機微粒子とを含む有機無機複合組成物であって、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする。即ち、本発明の有機無機複合組成物は、本発明におけるブロック共重合体に無機微粒子が分散している組成物である。
本発明の材料組成物では、上記のブロック共重合体と無機微粒子とを必須の構成成分とするが、この他に必要に応じて別種の樹脂、分散剤、可塑剤、離型剤等の添加剤を含んでいても良い。
本発明の材料組成物の屈折率は波長589nmにおいて1.60以上であり、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上であることが特に好ましい。本発明の材料組成物は、使用する樹脂や無機微粒子の種類や使用量を適宜調整することによって、所望の屈折率に制御することができる。制御する屈折率の範囲は1.60以上であれば特に制限されないが、例えば、1.60以上1.67未満、1.63以上1.67未満、1.65以上1.67未満の範囲内などに制御することもできる。
本発明の材料組成物の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また波長405nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有するレンズ基材を得やすい。なお、本発明における厚さ1mm換算の光線透過率は、材料組成物を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
本発明の材料組成物は成形体への埃の付着などを防ぐ目的から帯電しにくいことが望ましい。帯電圧は−2〜15kVであることが好ましく、−1.5〜7.5kVであることがより好ましく、−1.0〜7.0kVであることが特に好ましい。
本発明の材料組成物は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、ガラス転移温度が400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
本発明の材料組成物は、200℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、230℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることであり、特に好ましくは250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることである。
本発明の材料組成物の飽和吸水率は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%であることが特に好ましい。
[無機微粒子]
本発明に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号公報等に記載の微粒子を用いることができる。
具体的には、酸化物微粒子(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫等)、複酸化物微粒子(ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウムなど)、硫化物微粒子(硫化亜鉛、硫化カドミウム等)、その他半導体結晶微粒子(セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等)、あるいはLiAlSiO4、PbTiO3、Sc2312、ZrW28、AlPO4、Nb25,LiNO3などを用いることができる。
これらの中でも特に、金属酸化物微粒子が好ましく、中でも酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることが好ましく、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることがより好ましく、さらには可視域透明性が良好で光触媒活性の低い酸化ジルコニウム微粒子を用いることが特に好ましい。
本発明で用いられる無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物であってもよい。また無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)などで表面修飾しても良い。さらに目的に応じて、これらの2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率に特に制限はないが、本発明の材料組成物の成形体が高屈折率を必要とする光学部品に用いられる場合には、無機微粒子は上記熱温度依存性に加えて高屈折率特性を併せ持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃、589nmの波長において1.9〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.7であり、特に好ましくは2.1〜2.5である。微粒子の屈折率が3.0以下であれば、樹脂との屈折率差が比較的小さいためレイリー散乱を抑制しやすくなる傾向がある。また、屈折率が1.9以上であれば高屈折率化の効果が得られやすくなる傾向がある。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムに成形して、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率から算出する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、材料組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子径分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法を採用してもよい。この際、必要に応じて各種表面処理剤(シランカップリング剤類、アルミネートカップリング剤類、チタネートカップリング剤類、有機酸類(カルボン酸類、スルホン類、ホスホン酸類など))を共存させてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
無機微粒子の合成法としては、上記以外に、分子ビームエピタキシー法やCVD法のような真空プロセスで作製する方法など、例えば特開2006−70069号公報等に記載される各種一般的な微粒子合成法を挙げることができる。
本発明の透明性成形体における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
[樹脂]
本発明で用いられる樹脂は、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体であり、熱可塑性であることが好ましい。
ここで、疎水性セグメント(A)とは、セグメント(A)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解しない特性を有するセグメントをいい、親水性セグメント(B)とは、セグメント(B)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解する特性を有するセグメントをいう。前記ブロック共重合体の型としては、AB型、B1AB2型(2つの親水性セグメントB1とB2とは同じでも異なっていてもよい)およびA1BA2型(2つの疎水性セグメントA1とA2とは同じでも異なっていてもよい)が挙げられ、分散特性が良好な点から、AB型あるいはA1BA2型のブロック共重合体が好ましく、製造適性の点から、AB型あるいはABA型(A1BA2型の2つの疎水性セグメントが同じ型)がより好ましく、AB型が特に好ましい。
前記疎水性セグメントおよび前記親水性セグメントは、各々、ビニルモノマーの重合によって得られるビニルポリマー、ポリエーテル、開環メタセシス重合ポリマーおよび縮合ポリマー(ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなど)など従来公知のポリマーのいずれからでも選択可能であるが、ビニルポリマー、開環メタセシス重合ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルが好ましく、製造適性の点からビニルポリマーがより好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族エステル基、置換または無置換の芳香族エステル基であり、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、具体的には、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(モノ置換体およびジ置換体の置換基は、置換または無置換の脂肪族基、置換または無置換の芳香族基であり、前記置換基としては、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、ビニルカルバゾールなど;スチレン類、具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、トリブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど;その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
中でも、エステル基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;置換基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドおよびN−ジ置換メタクリルアミド;スチレン類;が好ましく、エステル基が置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;スチレン類;がより好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類;親水性の置換基を有するビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドならびにN−ジ置換メタクリルアミドなどが挙げられる。
本発明で用いられるブロック共重合体は、本発明の無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましい。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
無機微粒子と結合しうる官能基は、無機微粒子と化学結合を形成することによって、無機微粒子を熱可塑性樹脂中に安定に分散させる機能を有する。無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、
Figure 2009029941
[R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表す。]、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、または−Si(OR15m116 3-m1[R15、R16はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]から選ばれる官能基である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子である。
15、R16の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14と同様である。m1は、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 2009029941
、−SO3H、−CO2H、または−Si(OR15m116 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 2009029941
または−CO2Hである。
本発明では特に、前記ブロック共重合体が、
Figure 2009029941
、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、−OH、および、−Si(OR15m116 3-m1から選ばれる官能基を有し、該官能基の含有量が0.05〜5.0mmol/gであることが好ましい。
中でも、親水性セグメント(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類が好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)は疎水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(B)を含有していてもよい。前記疎水性セグメント(A)に含有される前記ビニルモノマー(A)と前記ビニルモノマー(B)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)は親水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(A)を含有していてもよい。前記親水性セグメント(B)に含有される前記ビニルモノマー(B)と前記ビニルモノマー(A)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は各々、1種類を単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は、種々の目的(例えば、酸含量調節やガラス転移点(Tg)の調節、有機溶剤や水への溶解性調節、分散物安定性の調節)に応じて選択される。
前記官能基の含有量は前記ブロック共重合体の全体に対して0.05〜5.0mmol/gであるのが好ましく、0.1〜4.5mmol/gであるのがさらに好ましく、0.15〜3.5mmol/gであるのが特に好ましい。前記官能基の含有量が少なすぎると分散適性が小さくなる場合があり、多すぎると水溶性が高くなりすぎたり、本発明の材料組成物がゲル化したりする場合がある。尚、前記ブロック共重合体において、前記官能基はアルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+など)またはアンモニウムイオンなどカチオン性のイオンと塩を形成していてもよい。
前記ブロック共重合体の分子量(Mn)としては、1000〜100000が好ましく、2000〜80000であることがより好ましく、3000〜50000であることが特に好ましい。ブロック共重合体の分子量を1000以上とすることにより、安定な分散物を得やすくなる傾向にあり、100000以下とすることにより、有機溶剤への溶解性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体は、屈折率が1.49より大きいことが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.58より大きいことがさらに好ましく、1.60より大きいことがさらにより好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。なお、ここでいう、屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明において用いられるブロック共重合体は、ガラス転移温度が80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を80℃以上とすることにより、耐熱性が向上する傾向にあり、ガラス転移温度を400℃以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
本発明において用いられるブロック共重合体は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
前記ブロック共重合体の具体例(例示化合物Q−1〜Q−22)を以下に列挙する。尚、本発明に用いられるブロック共重合体は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2009029941
Figure 2009029941
前記ブロック共重合体は、必要に応じてカルボキシル基などを保護したり、ポリマーに官能基を導入する手法を用いてリビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用して合成することができる。また、末端官能基ポリマーからのラジカル重合および末端官能基ポリマー同士の連結によって合成することができる。中でも、分子量制御やブロック共重合体の収率の点から、リビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用するのが好ましい。前記ブロック共重合体の製造方法については、例えば、「高分子の合成と反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1992))」、「精密重合(日本化学会編、学会出版センター発行(1993))」、「高分子の合成・反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1995))」、「テレケリックポリマー:合成と性質、応用(R.Jerome他、Prog.Polym.Sci.Vol16.837−906頁(1991))」、「光によるブロック,グラフト共重合体の合成(Y.Yagch他、Prog.Polym.Sci.Vol15.551−601頁(1990))」、米国特許5085698号明細書などに記載されている。
これらの樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[添加剤]
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に、均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等の観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
<表面処理剤>
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは200〜10000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(1)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(1)
A−B
一般式(1)中、Aは本発明における無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明における樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられる。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明の熱可塑性樹脂中に導入される微粒子結合性の官能基として前記したものと同じである。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ-α-ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることがとくにこのましい。
<可塑剤>
本発明における樹脂のガラス転移温度が高い場合、材料組成物の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の材料組成物の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。成形体の透明性を損ねない範囲で、可塑剤の構造に特に限定はないが、本発明で使用できる可塑剤としては、下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2009029941
(式中、B1およびB2は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、mは0または1を表す。Xは、下記の2価の結合基のうちいずれかを表す。)
Figure 2009029941
また、一般式(2)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
Figure 2009029941
<帯電防止剤>
本発明の有機無機複合組成物の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合組成物では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
<その他>
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加したりしても良く、これらを配合する場合には材料組成物の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
[有機無機複合組成物の作製方法]
本発明に用いられる無機微粒子は、少なくとも1方の高分子鎖末端に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合体を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、tert−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
上記(1)、(2)の方法によって得られた材料組成物溶液は、そのままキャスト成形して成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の手法によって成形することが好ましい。
[成形体]
上述の本発明の有機無機複合組成物を成形することにより、本発明の成形体を製造することができる。本発明の成形体では、材料組成物の説明で前記した屈折率、光学特性を示すものが有用である。
また本発明の成形体は最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品に対して特に有用であり、好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明部品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する材料とすることができる。
[光学部品]
前記の成形体は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れた成形体である。本発明の光学部品は、前記の成形体からなるものである。本発明の光学部品の種類は、特に制限されない。特に、有機無機複合組成物の優れた光学特性を利用した光学部品、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)として好適に利用することができる。かかる光学部品を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
また、光学機能装置に用いられる前記パッシブ光学部品としては、例えば、レンズ、プリズム、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク等が例示される。かかるパッシブ光学部品には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
本発明の材料組成物を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の材料組成物を用いて製造されたレンズ基材は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、材料組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
本実施例において、各分析および評価方法は、下記の手段でおこなった。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(4)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(5)分子量測定
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
[無機微粒子分散液の調製]
(1)酸化チタン微粒子分散液の調製
特開2003−73559号公報の合成例9に記載の方法に従い、酸化チタン微粒子の分散液を調製した。XRDとTEMより、アナタ−ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.5であった。
(2)酸化ジルコニウム微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.1であった。
(3)酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液の調製
前記(2)で合成した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液と日本化薬製の「KAYAMER PM−21」を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出して酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液を作製した。
(4)酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液の調製
前記(2)で調製した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液(濃度15質量%)500gに500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって15質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
[樹脂の合成]
(1)熱可塑性樹脂(Q−1)の合成
tert−ブチルアクリレート2.1g、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸tert−ブチルエステル0.72g、臭化銅(I)0.46g、N,N,N',N',N”,N”−ペンタメチルジエチレンテトラミン0.56g、メチルエチルケトン9mlからなる混合液を調製し、窒素置換した。油浴温度80℃で1時間攪拌し、スチレン136.2gを窒素気流下添加した。油浴温度90℃で16時間攪拌し、室温に戻してから酢酸エチル100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、樹脂を61g得た。この樹脂をトルエン300mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物6gを添加し、3時間加熱還流した。この反応液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体Q−1を55g得た。GPCで測定した該樹脂の数平均分子量は32000、重量平均分子量は35000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(2)熱可塑性樹脂(Q−2)の合成
tert−ブチルアクリレート12.6g、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸tert−ブチルエステル0.72g、臭化銅(I)0.46g、N,N,N',N',N”,N”−ペンタメチルジエチレンテトラミン0.56g、メチルエチルケトン9mlからなる混合液を調製し、窒素置換した。油浴温度80℃で1時間攪拌し、スチレン136.2gを窒素気流下添加した。油浴温度90℃で16時間攪拌し、室温に戻してから酢酸エチル100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、樹脂を70g得た。この樹脂をトルエン300mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物6gを添加し、3時間加熱還流した。この反応液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体Q−1を67g得た。GPCで測定した該樹脂の数平均分子量は31000、重量平均分子量は36000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(3)熱可塑性樹脂(Q−14)の合成
tert−ブチルアクリレート2.1g、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸tert−ブチルエステル0.72g、臭化銅(I)0.46g、N,N,N',N',N”,N”−ペンタメチルジエチレンテトラミン0.56g、メチルエチルケトン9mlからなる混合液を調製し、窒素置換した。油浴温度80℃で1時間攪拌し、メチルメタクリレート160.7gを窒素気流下添加した。油浴温度90℃で8時間攪拌し、室温に戻してから酢酸エチル100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、樹脂を72g得た。この樹脂をトルエン300mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物6gを添加し、3時間加熱還流した。この反応液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体Q−1を68g得た。GPCで測定した該樹脂の数平均分子量は26000、重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(4)ポリメチルメタクリレート(PMMA)の合成
メタクリル酸メチル5.00g、アゾビスイソブチロ二トリル0.25gを2-ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、PMMAを合成した。重量平均分子量は100,000であった。
[有機無機複合組成物の調製および透明成形体(レンズ基材)の作製]
[実施例1]
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に、樹脂(Q−1)および表面処理剤(4−プロピル安息香酸)を、質量比がZrO2固形分/Q−1/4−プロピル安息香酸=42/50/8となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣の表面をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例2]
実施例1におけるZrO2固形分、樹脂、表面処理剤の質量比を、ZrO2固形分/Q−1/3−フェニルプロピオン酸=50/42/8とする以外は実施例1と同様にして実施例2の透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例3]
実施例1におけるZrO2固形分、樹脂、表面処理剤の質量比を、ZrO2固形分/Q−1/4−プロピル安息香酸=46/45/9とする以外は実施例1と同様にして実施例3の透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例4]
前述した酸化チタン微粒子分散液を、樹脂(Q−1)および表面処理剤(4−プロピル安息香酸)が溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下し、得られた混合液から溶媒を留去した(質量比:TiO2固形分/Q−1/4−プロピル安息香酸=31/61/8)。濃縮残渣を実施例1と同様にして成形することにより実施例4の透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例5]
実施例1におけるZrO2固形分、樹脂、表面処理剤の質量比を、ZrO2固形分/Q−14/3−フェニルプロピオン酸=52/38/10とする以外は実施例1と同様にして実施例5の透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例6]
実施例4におけるTiO2固形分、樹脂、表面処理剤の質量比を、TiO2固形分/Q−14/4−プロピル安息香酸=41/49/10とする以外は実施例4と同様にして実施例6の透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例7〜12、比較例1〜3]
実施例7〜12と比較例1〜3の各成形体(レンズ基材)を以下の手順で製造した。以下の手順において使用した樹脂の種類と無機微粒子の種類と使用量とは下記表3に示す通りとした。但し、比較例1では無機微粒子を添加せず樹脂のみを成形した。
トルエンに分散させた酸化チタン微粒子もしくは酸化ジルコニウム微粒子を、樹脂のアニソール溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去した。得られた有機無機複合組成物を220℃で加熱成形し、厚さ1mmの成形体(レンズ基材)を得た。
[試験例]
実施例1〜12と比較例1〜3で調製した各成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果は以下の表3に記載した。
Figure 2009029941
表3から明らかなように、本発明により屈折率が1.60より大きくて透明性が良好な光学部品が得られた(実施例1〜12)。比較例2のポリスチレン、比較例3のPMMAでは無機微粒子を均一に分散することができず、白濁してしまい、透明なレンズが得られなかった。さらに、無機微粒子を用いなかった比較例1では、屈折率が1.60よりも低かった。
また実施例1〜12の材料組成物は、いずれも耐電圧が−1.0〜7.0kVの範囲内であり、ガラス転移温度が100〜400℃の範囲内であり、250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であり、飽和吸水率は0.5質量%であった。
また、本発明の有機無機複合組成物は、凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて生産性よく正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
本発明の光学部品は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持つ有機無機複合組成物を含むものである。本発明によれば、屈折率を任意に調節した光学部品を比較的容易に提供することができる。また、機械的強度や耐熱性が良好な光学部品も提供しやすい。このため、本発明は、高屈折レンズ等の広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (13)

  1. 疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体と、数平均粒子径が1nm〜15nmの無機微粒子とを含む有機無機複合組成物であって、波長589nmにおける屈折率が1.60以上である有機無機複合組成物。
  2. 前記ブロック共重合体が、前記無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記ブロック共重合体が、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合材料成形物。
    Figure 2009029941
    [R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表す。]、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、または−Si(OR15m116 3-m1[R15、R16はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
  4. 前記官能基の含有量が前記ブロック共重合体の全体に対して0.05〜5.0mmol/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
  5. 前記無機微粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
  6. 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを含有する微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合材料成形物。
  7. 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  8. 熱可塑性であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
  10. 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
  11. 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の成形体。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
  13. レンズ基材であることを特徴とする請求項12に記載の光学部品。
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