JP2009029234A - 列車運転指示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 走行線区に係る情報および計画運転曲線41を表示し、また列車の現在位置と速度を表す自列車符号42を表示すると共に、進行方向前方において列車が停止もしくは徐行通過すべき場所32,35,36,51を探知して、このような場所が検出されたときは列車が当該場所において停止もしくは徐行できるようなブレーキパターン43〜50を算出して、運転席に配備した表示装置に重複表示させ、また、ブレーキパターンを超えない限界地点で非常ブレーキを動作させる。
【選択図】 図3
Description
既存の鉄道方式では、運転士に与えられる運転指示情報は、標識や信号機によるその時点およびその箇所における速度制限等に限られ、その他多くの判断材料は、運転士の記憶力や注意力に頼っている。列車の運転に必要な走行線区の駅位置、配線、線形、制限速度など、進行方向前方に関する知識は、運転士がその路線に高度に習熟していなければ必要の応じて直ちに想起し的確に利用することができない。
しかし、開示装置は、その時点までの運転実績と以降の固定的情報のみを表示するもので、将来の運転方法に関して必要な情報が完全には網羅されていない。
開示装置は、中央制御室から各列車を遠隔操作できる極めて高度で高価な列車運行システムを対象とするものである。さらに、開示装置は予め定められた運転計画と実際の運転結果が異なるときにこれを回復することだけを目的とし、予想外の障害などを含めて、運転操作に必要な情報を運転士に提示するという点では不十分である。
ヘッドアップディスプレイは、表示画面を通して前方の風景が見通せるディスプレイで、演算して表示された目標運転曲線と実績運転曲線を見ながら前方を見ることができる。
また、現状では、踏切無遮断、ホームでの旅客転落その他の情報が現地で取得されても、運転士にその情報を伝える手段が不十分なため、安全の確保は運転士の注意力に頼る度合いが強い。
また、簡易な鉄道に限らず、現行の各種鉄道においても、運転士に運転に必要な情報が十分に提示されず運転士の記憶力や注意力に頼っているため、運転操作上の不安全要素を残すこと、運転士の養成に多大な手間を要すること、それにより列車運行の経費を押し上げて他の輸送モードとの競争を不利にしていること、といった不合理を生じさせている。
列車位置・速度検出装置は、列車の現在位置と速度とを検出もしくは算出し、通信装置は、走行線区における設備の状態を示す設備状態情報を受信する。
なお、非常ブレーキで危険箇所の手前で停止できるブレーキパターンの限界地点に達したときは非常ブレーキ操作の警報を発して安全を確保できるようにする。また、さらに列車運転指示装置にブレーキ制御装置を接続して、運転士が操作しない場合にも、列車運転指示装置がブレーキ制御装置を動作させて列車を強制的に停止させるようにすることができる。
さらに、先行列車が同位置にあってもその速度が高いほど車間距離を詰められることにすれば、列車の最小運行間隔を短縮してより高密度な運行が可能になる。
これら異常時に対処するためのブレーキパターンは、障害が除かれた後は不要になるので、原因となった事象が解消したときには表示画面から消去することが好ましい。
なお、障害物検知信号などの異常検知信号は、各信号発生器から直接に受信してもよく、また中央管理装置に集中した上で必要な列車に送信するようにしてもよい。
列車と各信号発生器または中央管理装置との通信は、携帯電話などに使われるセルラー通信網や無線LAN通信網を利用した低廉な通信方法を介して行うことができる。
また、表示画面は運転に必要な部分を指定して適当な倍率に拡大表示できるようにしておくことが好ましい。
図1は本実施例における列車運転指示装置の構成図、図2は本実施例の列車運転指示装置を列車の走行線区に適用したシステムの例を示す構成図、図3は表示装置における表示画面例の図面、図4は別列車の状況を反映した表示画面例の図面、図5は別列車の状況を反映するシステム例を示す構成図である。
演算処理装置11と他の装置はデータバス21により接続され、情報はパラレルもしくはシリアルなデジタル信号の形でデータバス21を介して高速に交換される。また、列車位置・速度検出装置15はセンサ検出信号を入出力インターフェース22を介して演算処理装置11に供給する。さらに、演算処理装置11から発せられたブレーキ操作信号は入出力インターフェース22を介してブレーキ制御装置17に供給される。
記憶装置12には、表示装置13の表示画面を形成する上で、運転中には変化しない条件に係る情報を収納する固定情報データベース24と、運転中に変化しうる条件に係る情報を収納する流動情報データベース25が備えられている。
流動情報データベース25の内容は、情報が更新される度に書き換えられ、常時最新の情報が保持される。
なお、運行センターを用いないで、列車ごとに自律的に運転を任せる簡易なシステムでは、無線通信網を介して線路沿いの設備と列車の間で直接的に情報を送受信するようにしてもよい。この場合は、列車が進行するにつれて近づいてくる設備の信号発生器を列車側から次々に呼び出して回答させるようにしてもよい。
通信装置14を介して新しい情報を受信したときは、流動情報データベース25に格納された情報を書き換えて常に新しい情報を保持するようにする。
なお、通信装置14やデータ入出力装置16は、図示を省略したが、それぞれ適合するインターフェースを付属することは言うまでもない。
さらに、線路を区間に区切って絶縁し、左右の線路が車輪を介して短絡したときにその区間に列車がいることを知る方法もある。この位置検出方法は走行線区に列車が存在することを知る目的で使用され、位置精度は高くない。
線路3に沿って設けられる設備に付帯するセンサには、駅におけるホーム旅客転落検知装置6や、踏切における踏切障害物検知装置7、災害の発生が危惧される箇所における、たとえば落石検知器、橋梁異常検知器、異常天象検知器などの異常警報器8、あるいは分岐器における鎖錠検出器などがある。なお、橋梁の異常は振動計や水位計、変位計などで検出することができる。また、異常天象検知器には地震計、雨量計、風速計などがある。
移動中の自列車1とセンサ類6,7,8の間の通信は、中継アンテナ10を使ったセルラー通信網や無線LANなどの無線通信を使うことができる。
センサ類6,7,8の状態を示す情報は、常時送信する代わりに、列車1からの発呼を待って必要な列車にのみ送信するようにしてもよい。また、運行センターが設けられている場合は、センサ類6,7,8と運行センターを常時通信接続、あるいは異常発生時に接続して、運行センターに異常情報を集約し、走行する列車毎に運転上必要になったセンサ類の情報を送信するようにしてもよい。
下段に走行線区の状況を示す。下段図には、まず、運転中には変化しない配線や線形などの状況を、固定情報データベース24に格納された情報を引き出して処理することにより表示する。
図3には、起点となる甲駅31と甲駅から1.95km離れた乙駅32の間の配線33が示されており、配線図の下にカーブの位置と曲線半径34が示されている。甲駅31から約1kmと約1.8kmの位置に踏切35の表示がある。
また、線路上には甲駅31を先ほど出発した953列車(自列車)37が表示されている。自列車37は、270mの地点を50km/hの速度で走行している。
グラフ上に速度規制のある区域と設定された制限速度が記載されている。図3では、全域にわたり上限速度65km/hで、部分的に25km/h、55km/h、45km/h、35km/hの制限速度が設定されていることが示されている。
なお、速度規制区域の位置を示す符号には自列車の車長を加えて、列車の最後尾が規制区域を通過するまでは速度制限を受けることを明確にしている。
グラフには、流動情報データベース25に格納された自列車情報に基づき、自列車の位置・速度の場所に自列車の符号42が記入される。自列車符号42は自列車の車長に相当する長さを持たせると便利である。
なお、出発以来の自列車の運転実績を示す実績運転曲線を表示し、計画された運転と実際の運転の差異を明確にして、今後の運転の参考にさせることもできる。
さらに、障害のないことが確認された進路を下段の線路図上に太線などで表示するようにしてもよい。
駅における自列車の出発、到着、通過の場合は、それぞれダイヤに基づき、必要な分岐器の転換および鎖錠が正確に行われているかを鎖錠信号を受信して確認し、走行予定の進路が開通したかを表示する。
なお、より高い安全を確保するために、列車運転指示装置にブレーキ制御装置17を接続して、非常ブレーキパターン44を超えない限界地点に達したときに強制的な非常ブレーキ操作信号を入出力インターフェース22を介してブレーキ制御装置17に送信するようにしてもよい。
踏切に到達する前に踏切が遮断されたことが受信信号で確認されたら、これらのブレーキパターンは消去されて、通常の運転が認められる。
直近以外の踏切については列車進行中に遮断状態になる可能性が高いのでこれらブレーキパターンを薄色で表示しておく。
異常検知箇所を通過した後は通常の運転曲線に復帰する。
また、異常検知が取り消された場合は、その時点でブレーキパターンは消去する。
図4は、先行する別列車が自列車の進行方向前方に存在する場合の表示画面例を示す図面、図5は別列車の状況を反映するシステム例を示す構成図である。
本システムでは、図5に示すように、列車の運行を管理する運行センター4が設けられている。また、各設備のセンサ6,7,8の検出情報は信号線を使った有線通信システム5を利用して一旦運行センター4で収集し、必要な情報のみ無線通信網を介して走行している列車1,2に伝送する。
先行する別列車2の位置・速度はたとえばGPS衛星9を用いたGPS測定結果をマップに当て嵌めて算出され、別列車2から無線通信により運行センター4に送信される。
また、図4の上段の運転曲線も、先行する別列車2に追突しないようなブレーキパターンを追加する以外は、図3の表示と同様である。
列車運転指示装置は、非常ブレーキパターン53を超えない限界地点で、非常ブレーキ操作を促す警報を発する。また、非常ブレーキ操作信号を送信してブレーキ制御装置17を作動させるようにしてもよい。
なお、先行列車に対するブレーキパターンは、自列車と先行列車の距離が所定距離以内に近づいた場合にのみ表示してもよい。
なお、システムにエラーが生じたときにも列車運行全てを停止するのではなく、個々の列車は運転士の判断により危険を回避できる安全速度で運転することとすれば、最低限の運行を確保できる。
2 先行列車
3 線路
4 運行センター
5 有線通信システム
6 ホーム旅客転落検知装置
7 踏切障害物検知装置
8 異常警報器
9 GPS衛星
10 中継アンテナ
11 演算処理装置
12 記憶装置
13 表示装置
14 通信装置
15 列車位置・速度検出装置
16 データ入出力装置
17 ブレーキ制御装置
21 データバス
22 入出力インターフェース
23 画像メモリ
24 固定情報データベース
25 流動情報データベース
31、32 駅
33 配線
34 カーブの位置と曲線半径
35 踏切
36 異常箇所
37 自列車
41 計画運転曲線
42 自列車符号
43 駅における通常ブレーキパターン
44 駅における非常ブレーキパターン
45 制限速度まで減速するときの通常ブレーキパターン
46 制限速度まで減速するときの非常ブレーキパターン
47 踏切未遮断のときの通常ブレーキパターン
48 踏切未遮断のときの非常ブレーキパターン
49 設備異常があったときの通常ブレーキパターン
50 設備異常があったときの非常ブレーキパターン
51 別列車表示
52 先行列車があったときの通常ブレーキパターン
53 先行列車があったときの非常ブレーキパターン
Claims (7)
- 列車位置・速度検出装置と通信装置と記憶装置と演算処理装置と表示装置を備える列車運転指示装置であって、
前記列車位置・速度検出装置は、自列車の現在位置と速度とを検出もしくは算出し、
前記通信装置は、走行線区における設備の状態を示す設備状態情報を受信し、
前記記憶装置には固定情報データベースと流動情報データベースを備えて、
前記固定情報データベースに少なくとも、自列車の性能情報と、前記設備の位置を示す設備位置情報、制限速度情報および計画運転曲線とを予め格納し、
前記流動情報データベースに少なくとも、自列車が実際に走行した速度履歴情報、前記列車位置・速度検出装置により検出された現在位置と速度情報および前記受信した設備状態情報を格納し、
前記演算処理装置は、前記流動情報データベースに格納された設備状態情報に基づいて、進行方向前方にある設備の異常の有無を判定し、異常と判定した場合には当該設備の位置に応じたブレーキパターンを生成し、
前記表示装置は、前記設備状態情報および前記設備位置情報を示す画像と、前記生成されたブレーキパターンと、前記固定情報データベースに格納された運転曲線とを表示する、
列車運転指示装置。 - 前記通信装置は、さらに前記走行線区の進行方向前方に存在する他の列車から、該他の列車の位置情報と速度情報を受信し、
前記記憶装置は、さらに前記受信した該他の列車の位置情報と速度情報を格納し、
前記演算処理装置は、さらに該他の列車の位置および速度に応じたブレーキパターンを生成し、
前記表示装置は、さらに前記他の列車の位置および速度に応じたブレーキパターンを表示する、
請求項1記載の列車運転指示装置。 - さらに、自列車が前記演算処理装置により生成されたブレーキパターンを超過する限界地点においてブレーキを動作させるブレーキ制御装置を備える、
請求項1または2記載の列車運転指示装置。 - 前記演算処理装置は、さらに列車が実際に走行した位置と当該位置における列車の速度との関係を示す実績運転曲線を算出して前記表示装置に表示させる、
請求項1から3のいずれかに記載の列車運転指示装置。 - 前記演算処理装置は、さらに、異常と判定された前記設備が正常になった場合には前記ブレーキパターンを前記表示装置から消去する、
請求項1から4のいずれかに記載の列車運転指示装置。 - 前記表示装置に表示される走行線区における設備は、踏切、プラットホーム、分岐器、橋梁、トンネルのいずれかを含み、
前記設備状態情報は、障害物検知装置、ホーム旅客転落検知装置、分岐器鎖錠装置、橋梁異常検知器、異常天象検知器、落石検知器のうち1つ以上から発信される、
請求項1から5のいずれかに記載の列車運転指示装置。 - 前記表示装置は、前記固定情報データベースに格納された列車の性能情報と前記流動情報データベースに格納された現在位置情報とに基づいて、列車の現在位置を列車長を表す記号で表記する、
請求項1から6のいずれかに記載の列車運転指示装置。
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