本発明の画像形成方法は、潜像担持体上に形成された静電荷潜像を、複数のトナー担持体上に薄層で形成される磁性トナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程を少なくとも有する。そして、本発明の画像形成方法の現像工程において、前記複数のトナー担持体は、回転体であり、内部に複数の磁極を有する磁界発生手段が固定配置される。
この現像構成は、現像ニップが広く、また複数のトナー担持体が現像時に異なる役割を果たすため、高画質化には非常に有利な構成でもある。つまり、上流側のトナー担持体が潜像担持体上の潜像に対し忠実にトナーを飛翔させ、下流側トナー担持体が、潜像担持体上から余分なトナー(飛び散り,かぶりトナー)を回収し、高精細,高画質な画像を得ることができるのである。
しかしながら、複数のトナー担持体を有する現像装置においては、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間の2箇所で負荷がかかり、トナーが劣化しやすくなる。また、軽印刷市場向け複写機では、高速高耐久性が要求されるため、長時間高速で現像容器内において攪拌されるため、現像容器内においても負荷が掛かりやすく、トナー劣化が促進されやすい。
この中でも特に、トナー担持体間での規制がトナー劣化を促進している事がわかった。トナー担持体間においては、トナー担持体の相対速度が通常の倍の速度で回転していることになる。その結果、トナー担持体間に存在するトナーは通常よりもより負荷が掛かりやすい状態で存在することとなり、通常の劣化対策では困難であった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、シリカ微粉体を少なくとも有するトナーにおいて、その特定のシリカ微粉体の粒径と比表面積を制御し、且つそのトナーを上記現像構成に用いることで印刷機並の画質を達成しつつ経時においても画質劣化のない良好な画像を得られることを見出した。
これまで、スペーサー作用が得られる微粒子をトナーに添加し、複数のトナー担持体を有する現像装置に適用した場合、程度の差はあるものの必ずスペーサー粒子の遊離現象が発生することがわかっている。
その遊離したスペーサー粒子は磁気的な拘束力を受けないので、トナー担持体間で剤移動せずに、トナー担持体間に蓄積し、トナーコートムラを引き起こし、画像欠陥につながったりした。
また、トナー粒子に何らかの微粒子を添加する場合は、トナー粒子との帯電分布に差が生じ、帯電が不均一となり、反転成分の増加によるかぶりトナーの増加を招く傾向がある。特に、軽印刷用途として、複数のトナー担持体を有する現像方式に適用を考えた場合、トナー担持体間において、トナー担持体の相対速度が高速となるため、トナーの少しの帯電ムラがトナー担持体間でのコート性に影響を及ぼし、現像性が悪化したりした。
この様な背景から、本発明者らは、高速プリント時における耐久安定性を両立させる為には、単に物理的なスペーサー効果や、見かけ上の帯電性制御、或いは流動性制御に頼るべきでないと判断し、トナーに使用される構成材料に関して根本から見直しを行い、検討を進めた。
即ち本発明は、結着樹脂、磁性酸化鉄を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー粒子中に体積基準のメジアン径(D50)が0.70以上3.00μm以下で、比表面積1.0以上10.0m2/g以下のシリカ微粉体を有することを特徴とする。負帯電性磁性トナー粒子中に極めて電気陰性度の大きいシリカ微粉体、即ち負帯電性磁性トナー粒子に対して負帯電能がほぼ等価なシリカ微粉体を添加することでトナーの表面の帯電が均一となる。そして、帯電の不均一により生じるトナー間の静電的な凝集力を緩和する効果が得られることが明らかになった。
特に、体積基準のメジアン径(D50)が0.70以上3.00μm以下で、比表面積1.0以上10.0m2/g以下のシリカ微粉体を用いることで、負帯電性トナー粒子との点接触した存在状態を制御することが出来る。また、負帯電性トナー粒子同士の接触頻度を低減させることが可能となり、粒子間凝集性を大幅に低減することが出来る。その結果、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間の負荷に対するトナーのほぐれやすさ(トナーのパッキングされにくさ)が向上し、高速印字時におけるトナー劣化を防止することが可能となった。さらに、上記効果だけではなく、高速でのジャンピング現像時における電界印加時にトナーの穂立ちが容易にほぐれる、つまりトナーが散らけることで、静電荷像上のトナーの載り量(ライン高さ)を低くすることができると考えられる。このため、高速の現像システムにおいても環境に依存することなく飛び散りが低減した高精細な画像、つまりドットに忠実な画像が得られることが可能となった。
また、トナー粒子と帯電能がほぼ等価な粒子を添加しているため、比較的粒径の大きな本発明のようなシリカ微粉体を添加した場合でも、電気的な安定化が図られ、トナー粒子表面から遊離する割合が低い。さらに、帯電分布が均一になるために耐久現像性が向上する。さらに、遊離分が少ないためトナー担持体上でのコートムラも低減され、耐久前後による画質の振れが小さくなる。
本発明のトナーは体積基準のメジアン径(D50)が0.70以上3.00μm以下のシリカ微粉体を有することを特徴とし、より好ましくは0.70以上2.00μm以下、特に好ましくは0.70以上1.50μm以下である。D50が0.70よりも小さい場合、トナー粒子同士の接触頻度を低減させることが不可能となる。その結果、トナー粒子同士の接触に起因する凝集性の悪化が生じ、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間の負荷に対するトナーのほぐれやすさ(トナーのパッキングされにくさ)が低下し、耐久後半においてトナー劣化を引き起こす。また、トナー粒子同士の凝集により帯電分布が不均一になるため、かぶりが悪化する傾向がある。さらに、ジャンピング現像時における電界印加時にトナーの穂立ちが容易にほぐれにくくなるため、特に高温多湿の様な環境においてドット再現性が悪化する。
また、D50が3.00μmよりも大きい場合、トナー粒子からの遊離が増加し、トナー担持体間の汚染が発生する。その結果、耐久を通して濃度低下が発生するだけではなく、トナー担持体のトナーコートにムラができ、筋等の画質劣化を引き起こす。
本発明のシリカ微粉体の粒度分布の測定は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA製)により測定したものである。測定方法としては、分散媒となるイオン交換水100mlにシリカ微粉体サンプルを、例えば約30mg入れ、この分散液を超音波分散機で1分間処理し、分散液とする。この分散液をサンプル濃度が透過率80%前後になるように測定セルに滴下する。シリカ微粉体と水の相対屈折率をシリカ微粉体の種類に応じ設定して、前記測定装置を使用しシリカ微粉体の体積基準の粒度分布を測定して、メジアン径(D50)を求める。
さらに、本発明のシリカ微粉体は比表面積が1.0以上10.0m2/g以下であることを特徴とし、より好ましくは1.0以上8.0m2/g以下、特に好ましくは2.0以上8.0m2/g以下である。シリカ微粉体の比表面積が1.0m2/gよりも小さい場合、トナー粒子からの遊離が増加し、高速現像時にトナー担持体間の汚染が発生する。その結果、耐久を通して濃度低下が発生するだけではなく、トナー担持体のトナーコートにムラができ、筋等の画質劣化を引き起こす。また、シリカ微粉体の比表面積が10.0m2/gよりも大きい場合、負帯電性トナー粒子に小粒径のシリカ微粉体が付着した状態を取るため、トナー粒子同士の接触頻度を低減させることが不可能となる。その結果、トナー粒子同士の接触に起因する凝集性の悪化が生じ、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間の負荷に対するトナーのほぐれやすさ(トナーのパッキングされにくさ)が低下し、トナー劣化を引き起こす。また、トナー粒子同士の凝集により帯電分布が不均一になるため、かぶりが悪化する傾向がある。さらに、ジャンピング現像時における電界印加時にトナーの穂立ちが容易にほぐれにくくなるため、特に高温高湿環境においてドット再現性が悪化する。
本発明におけるシリカ微粉体の比表面積は、比表面積測定装置ジェミニ2375(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させたガス吸着法により測定した。測定の概略は、島津製作所社発行の操作マニュアルに記載されており、以下の通りである。比表面積の測定前には、試料管にサンプル2gを入れ、100℃で24時間真空引きを行う。真空引き終了後サンプル質量を精秤し、サンプルを得た。得られたサンプルを上記比表面積測定装置を用いて、BET比表面積多点法により比表面積を求めた。
シリカ微粉体の製造法としては、金属ケイ素、ハロゲン化ケイ素物及びシラン化合物等のケイ素化合物を気相で反応させることにより生成する気相法、及びアルコキシシラン等のシラン化合物を水/有機溶媒混合系において加水分解、縮合反応をさせて得られるシリカゾル懸濁液から溶媒除去、乾燥して粒子化する湿式法の二種類に大別される。本発明では、粒径,比表面積の制御の容易さから気相法で製造することが好ましい。
次に本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の概略構成の一例を説明する。ただし、本発明の範囲をそれらに限定するものではない。
本発明では、回転自在な潜像担持体に対向して回転自在に配置される第一トナー担持体及び第二トナー担持体が担持したトナーによって、潜像担持体上に形成された静電潜像を可視像化する。前記第一トナー担持体及び前記第二トナー担持体は、表面にトナーを担持することができる。
潜像担持体に対する前記トナー担持体の配置は、それぞれのトナー担持体が、それぞれ担持するトナーによって前記静電潜像を可視像化(現像)することができる位置に配置されていれば特に限定されない。潜像担持体に対する第一トナー担持体や第二トナー担持体の配置としては、例えば、担持するトナーが潜像担持体に接触する位置への配置や、担持するトナーが潜像担持体には接触せず、トナーが飛翔してトナー担持体から潜像担持体に移動する位置への配置等が挙げられる。潜像担持体の回転方向に対する第一トナー担持体及び第二トナー担持体の配置は特に限定されないが、第一トナー担持体が潜像担持体の回転方向における上流側に配置されることが好ましい。なお、第一トナー担持体及び第二トナー担持体は、潜像担持体に対して所定の位置に常時配置されていても良いし、前記静電潜像の可視像化時(現像時)のみ潜像担持体に対して所定の位置に配置されても良い。
前記第一トナー担持体及び第二トナー担持体は、第一トナー担持体が担持したトナーを、第一トナー担持体での現像に用いた後に第一トナー担持体から第二トナー担持体へ渡し、第二トナー担持体での現像に用いるように回転すれば、その回転方向は特に限定されない。第一トナー担持体及び第二トナー担持体の回転方向は、潜像担持体の回転方向に対して順方向(潜像担持体とトナー担持体との対向部において潜像担持体及びトナー担持体の表面が同じ方向に移動する方向)であっても良いし、逆方向であっても良い。
また、この各々のトナー担持体は、潜像担持体1の周速度に対して30以上200%以下範囲で周速度差を有してもよい。
また、上流側及び下流側のトナー担持体の外周の周速度が異なることがより好ましい形態である。これは、周速度を変えることで、トナーの剤移動がよりスムーズになり、トナー劣化が軽減されるためである。
具体的なトナー担持体の周速としては、表面の移動速度が300以上1000mm/sec以下であることが好ましく、さらには400以上950mm/sec以下であることがより好ましい。
前記第一トナー担持体は磁極Aを有し、前記第二トナー担持体は前記磁極Aとは異なる極の磁極Bを有する。第一トナー担持体及び第二トナー担持体は、前記の磁極以外の磁極をさらに有していても良い。このような磁極は、永久磁石のように常時磁界を発生する手段によって形成されていても良いし、電磁石のように任意の時期及び強度の磁界を発生する手段によって形成されても良い。
また、本発明に用いられるトナー担持体は、その表層に金属メッキを施すことが好ましい。トナー担持体基材の材料としては、一般的にSUSやアルミニウム等が用いられているが、本発明のトナー担持体基材の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、又は銅合金が好ましい。これらは非磁性であるため、磁性トナーを用いた現像方式に適しており、ビッカース硬度Hvが40乃至180程度と比較的軟らかい金属である。このため、粗面化処理等の加工を施しやすく、また熱伝導係数が150W/m・K以上と高く、熱が蓄積しにくいため、例えば潜像担持体ヒーターを具備したa−Si潜像担持体を用いた場合においても、トナー担持体の熱膨張に対する寸法精度を維持する上で好適である。
この場合、問題となる点として、これら材質の持つ「軟らかさ」に起因するトナー担持体表面層の摩耗、及び、それに伴うトナー搬送性能の劣化が挙げられ、この対策のためにも、本発明に用いられるトナー担持体には、金属メッキの施工が有効である。特に本発明で用いられるトナーは、後述する通り特定の金属酸化物及び/又は金属炭化物を少なくとも一種以上含有することがあるため、場合によってはトナー担持体表面層に対して研磨効果を発現することがあり、この点で金属メッキを施す意義は大きい。
本発明で用いられるトナー担持体の表面への金属メッキとしては、高耐久性の面から、ビッカース硬度Hvが200以上であることが好ましく、更には450以上であることが好ましい。トナー担持体表面のビッカース硬度Hvについては、前記トナー担持体の一般的な材料であるSUS316がHv≒200程度であることから、これを下回ることは、実用上好ましくない。また、磁性トナーを用いた現像方式に適用されることから、金属メッキ層自体が非磁性であることが望ましい。この様な観点から、Hvが450以上であるNi−Pメッキ、Ni−Bメッキ等が好適に使用される。
上記ニッケル(Ni)は、単体では強磁性体であるが、例えばリン(P)やホウ素(B)と結合することにより非晶質となり非磁性化することが知られている。Ni−Pメッキの場合、リン含有量は5〜15質量%が好ましく、Ni−Bメッキ被覆中のホウ素含有量は2乃至8質量%が好ましい。
更に、CrメッキはHvが600以上と高く、このため非常に耐摩耗性に優れ、メッキ層厚を薄く抑制できることから、強磁性体であるものの磁気遮蔽の弊害を無視できる範囲にメッキ層厚を抑制することで、特に好ましく用いられる。
尚、金属メッキ層は、無電界メッキ法及び電気メッキ法等の何れの方法で形成しても良いが、金属メッキ層を形成する方法は、高温加熱処理(300℃以上)を伴わない方法が好ましい。高温加熱処理を施す場合は、トナー担持体基体の熱変形が生じ易く、寸法精度の面で良品率が低下するため好ましくない。金属メッキ層厚については、実使用上での摩耗量との兼ね合いにより決定すれば良いが、0.5μm以上であることが好ましい。金属メッキ層厚が0.5μm未満の場合は、安定したメッキ層を形成することが困難となることがあるため好ましくない。
また、本発明に用いられるトナー担持体の表面は、適度の表面粗さを有することが好ましい。ISO 4287:1997に準じて作成されたJIS B 0601:2001で規定されている算術表面粗さRaが0.3以上0.9μm以下の範囲であることが好適である。前記算術表面粗さについては、主にトナーの搬送性に関わる問題であるが、特に本発明で用いられる特定のトナーとの組み合わせにおいて、トナー担持体上でのトナーの流動と間隙部付近でのトナー滞留のバランスを取る上で、上述のRaの範囲が好適に用いられる。
本発明では、トナー担持体の金属メッキ層を形成した後にトナー担持体の表面の粗面化処理を施すことも可能である。メッキ層自体の剥離やブラスト砥粒の付着の可能性の点から、予めトナー担持体基材表面に粗面化処理を施し、Raを0.2以上1.0μm以下程度の表面粗さにしておくことが好ましい。この粗面化処理としては、例えば球形粒子によるブラスト処理が好適に使用できる。
本発明において、Raの測定には、接触式表面粗さ計サーフコーダーSE3300(小坂研究所製)を用いることができる。この場合の測定条件は、カットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が5000倍である。
前記第一トナー担持体及び前記第二トナー担持体は、第一トナー担持体が担持するトナーを第二トナー担持体に渡すことができる位置であって、互いに非接触の位置に配置される。このときの第一及び第二トナー担持体間の距離、すなわちS−Sgapは、前記磁極の強さや用いるトナーの磁気特性等の諸条件によっても異なるが、200以上1000μm以下程度である。このような第一トナー担持体及び第二トナー担持体は、適切なS−Sgapとなる所定の位置に常時配置されていても良いし、現像時のみ前記S−Sgapとなる位置に配置されても良い。
また、前記第一トナー担持体及び前記第二トナー担持体は、第一トナー担持体及び第二トナー担持体の中心軸を横断する断面図において、次のような位置に配置される。即ち、第一トナー担持体及び第二トナー担持体の中心軸を結ぶ線を基準線とし、前記磁極Aの位置と第一トナー担持体の中心軸を結ぶ線と前記基準線との交差角をaとし、前記磁極Bの位置と第二トナー担持体の中心軸を結ぶ線と前記基準線との交差角をbとし、前記可視像化時において前記基準線よりも前記潜像担持体側の領域を正(+)とし、前記基準線を挟んで反対側を負(−)としたときに、
a>0かつb≦0であるか、又はa≧0かつb<0
である位置に配置される。
このような第一トナー担持体及び第二トナー担持体の配置は、トナー担持体間に、第一トナー担持体側は潜像担持体により近く第二トナー担持体側は潜像担持体からより離れる磁力線を形成する。この磁力線は、前記基準線上に端部を有するか、又は前記基準線を斜めに横切る。本発明では、このような磁力線が形成されれば良い。なお、ここで言う磁力線とは、磁極Aと磁極Bとを結ぶ直線である。
以下に、図面を用いて本発明におけるトナー担持体の磁極の構成について説明する。
図1は、潜像担持体の回転方向上流側の第一トナー担持体及び下流側の第二トナー担持体の最近接部、すなわち間隙部D付近での磁極配置を示す模式図である。各トナー担持体は、潜像担持体の回転方向αに対し、順方向に回転するものとする。
図1に示すように、第一トナー担持体12及び第二トナー担持体13内には、固定配置されたマグネット14、15が設けられる。マグネット14、15は、それぞれ磁極A及び磁極Bを形成する。磁極Aは、潜像担持体の回転方向上流側に配置される第一トナー担持体12の磁極を、磁極Bは潜像担持体回転方向下流側の第二トナー担持体13の磁極を表す。
磁極Aと磁極Bは、それぞれ異極性であり、互いの位置関係としては、第一及び第二トナー担持体の中心軸を結ぶ線を基準線(0°)とし、前記磁極Aの位置と前記第一トナー担持体中心軸を結ぶ線と、前記基準線との交差角をaとし、また前記磁極Bの位置と前記第二トナー担持体中心軸を結ぶ線と、前記基準線との交差角をbとし、前記交差角が前記基準線より潜像担持体側にある場合を+、その反対側にある場合を−と定義したときに、前記交差角a、bの関係が、a>0°かつb≦0°であるか或いは、a≧0°かつb<0°となるように配置される。この磁極配置を維持する範囲で、第一及び第二トナー担持体上でのトナーの適正な流動を維持しやすく、その一方で、間隙部付近でのトナー滞留を比較的有効に抑制できる。
本発明において、前記交差角a及び前記交差角bは、前記基準線までの磁極の距離(交差角の絶対値)や、S−Sgapや用いられるトナーの磁気特性等の諸条件に応じて異なるが、交差角aは25°未満であり、交差角bは−30°未満であることが、トナー担持体間のトナーの円滑な移動とトナー滞留の防止とを実現する上で好ましい。
また、本発明において、前記磁極Aと前記磁極Bとの距離は、前記基準線までの磁極の距離(交差角の絶対値)や、トナー担持体の直径、或いはS−Sgapや用いられるトナーの磁気特性等の諸条件に応じて異なるが、1000μm以下であることが、トナー担持体間のトナーの円滑な移動とトナー滞留の防止とを実現する上で好ましい。
一方、本発明では、第一トナー担持体は、磁極Aよりも更に第一トナー担持体の回転方向の下流側、すなわち現像容器内部側に固定配置される磁極Cを有することが好ましい。磁極Cは磁極Aと同極性であり、磁極の位置関係としては、磁極Cの位置と第一トナー担持体中心軸を結ぶ線と、基準線(0°)との交差角をcとし、前記交差角が前記基準線より潜像担持体側にある場合を+、その反対側にある場合を−と定義したときに、b>cとなるように配置されること(例えば図3参照)が好ましい。この理由としては、磁極Aと磁極Cを同極性とし隣接させることで、互いに反発極として作用させることができ、この結果、第一トナー担持体に連れ回るトナーを第一トナー担持体上から剥離しやすくなると同時に、第二トナー担持体へのトナーの供給をスムーズにできるメリットが得られる。
磁極A、磁極B及び磁極Cを含む全ての磁極の磁力は、トナー担持体表面で20mT以上200mT以下であることが好ましく、更には20mT以上120mT以下であることが好ましい。各磁極の磁力が20mTを下回る場合には、各々の磁極間での磁力線が十分に形成されないため、間隙部付近での適度な磁気的拘束力が発揮されないことがある。また、各磁極の磁力が200mTを超える場合は、間隙部付近での磁気的拘束力が強くなりすぎ、各トナー担持体上で必要以上にトナーを拘束してしまい、結果としてトナー滞留を招き、またトナー流動を妨げることがあるため好ましくない。更に、製造コストを考慮すると、各磁極の磁力は120mT以下であることが好ましい。
本発明において、トナー担持体の各磁極の磁気特性は、ベル社のガウスメーターモデル640を用いて測定することができる。本発明では、トナー担持体表面から垂直上方約100μmの位置にアクシャルプローブをセットして測定した値でトナー担持体の各磁極の磁気特性を示している。
また、現像位置でのトナー担持体12,13と潜像担持体1間の隙間(ギャップ)は150以上450μm以下である。
本発明は、負帯電性トナー粒子の水分散液のpHにおける該負帯電性トナー粒子と該シリカ微粉体のゼータ電位の差が絶対値で50mV以下であることが好ましい。負帯電性トナー粒子を水中に分散させた時の水分散液のpHにおける負帯電性トナー粒子のゼータ電位とは、そのトナー粒子の粉体のpHにおける表面電荷密度を表している。従って、本発明においてトナー粒子表面の表面電荷密度とほとんど等価の表面電荷密度を持つようなシリカ微粉体を使用することを意味する。一般的にトナー粒子にシリカ微粉体を添加した場合、ファンデアワールス力のような分子間力、静電引力,液架橋力等が発生することが知られている。本発明のように、帯電能のほぼ等価なシリカ微粉体の比表面積を制御しトナー粒子と点接触させることで、粒子間の凝集を緩和するだけでなく、トナー粒子表面とシリカ微粉体表面の電荷密度を等価に制御することで、トナー粒子とシリカ微粉体に働く引力を緩和する方向に反発力を作用させることが出来る。このために、よりトナー粒子間凝集力を低下させることが出来る。
負帯電性トナー粒子とシリカ微粉体のゼータ電位の差が50mVよりも大きい場合、上記で説明した引力を緩和させる作用が生じないために粒子間凝集力が大きくなる傾向がある。従って、トナー粒子同士の接触に起因する凝集性の悪化が生じ、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間の負荷に対するトナーのほぐれやすさ(トナーのパッキングされにくさ)が低下し、長時間の連続印字においてトナー劣化を引き起こす。以下に本発明で測定したゼータ電位の測定方法を示す。
トナー粒子及びシリカ微粉体のゼータ電位は、超音波方式ゼータ電位測定装置DT−1200(Dispersion Technology社製)を用いて測定を行った。分散液として純水を用い、トナー粒子及びシリカ微粉体の0.5Vol%水溶液を調製した。必要に応じてゼータ電位に影響を及ぼさないノニオン系の分散剤を粒子濃度に対して0.4wt%添加後、超音波分散機にて3分間分散させた後、約10分間脱泡しながら攪拌し分散液とした。トナー粒子の測定時に上澄みのpHを同時に測定を行った。シリカ微粉体を測定する際にこの分散液を必要に応じて1N HClまたは1N KOHで滴定し、トナー粒子の上澄みのpH値に調整し、上記装置を用いてゼータ電位を測定した。
また、本発明のトナーはトナーの最大圧密応力0.1kPa時における単軸崩壊応力が1kPa以下であり、最大圧密応力20kPa時における単軸崩壊応力が2.0以上6.0kPa以下であることが好ましい。
最大圧密応力(X)と単軸崩壊応力(U)の関係により、任意の荷重で圧密された粉体層のほぐれやすさ、即ち、密に詰まったトナー層の粉体特性(トナー間凝集力)を議論することが可能となる。単軸崩壊応力(U)は、トナー担持体と磁気ブレード間、さらには、トナー担持体間でのパッキング状態に関係する。
トナーの圧密状態における凝集性の評価にはシェアスキャン TS−12(Sci−Tec社製)を用いた。シェアスキャンはProf.Virendra M.Puriによって書かれた‘CHARACTERIZING POWDER FLOWABILITY(2002.01.24発表)’記載のモールクーロンモデルによる原理で測定を行う。
具体的には、断面方向に直線的に剪断力を付加できる直線せん断セル(円柱状,直径80mm,容量140cm3)を使用し室温環境(23℃,60%RH)にて測定を行った。このセルの中にトナーを入れ、2.5kPaになるように垂直荷重をかけ、この垂直荷重における最密な充填状態となるように圧密粉体層を作成する(この圧密状態を圧力を自動で検知し個人差なく作成できる点でシェアスキャンによる測定が本発明においては好ましい。)。同様に、垂直荷重を5.0kPa及び10.0kPaとした圧密粉体層を形成する。そして、各垂直荷重で形成したサンプルに圧密粉体層を形成した際にかけた垂直荷重を継続してかけながら徐々にせん断力を加え、その際のせん断応力の変動を測定する試験を行い、定常点を決定する。定常点に到達したとの判断は、上記試験において、せん断応力の変位と垂直荷重をかけるための荷重印加手段の垂直方向の変位が小さくなり、両者が安定した値を取るようになったとき定常点に到達したものとする。次に、定常点に到達した圧密粉体層から徐々に垂直荷重を除荷し、各荷重における破壊包絡線(垂直荷重応力vsせん断応力のプロット)を作成し、Y切片及び傾きを求める。モールクーロンモデルによる解析において、単軸崩壊応力及び最大圧密応力は下記式で表され、上記Y切片は「凝集力」となり、傾きが「内部摩擦角」になる。
単軸崩壊応力=2c(1+sinφ)/cosφ
最大圧密応力=((A−(A2sin2φ−τssp 2cos2φ)0.5)/cos2φ) ×(1+sinφ)−(c/tanφ)
(A=σssp+(c/tanφ)、c=凝集力、φ=内部摩擦角、τssp=c+σssp×tanφ、σssp=定常点における垂直荷重)
各垂直荷重において算出した単軸崩壊応力と最大圧密応力をプロット(Flow Function Plot)し、そのプロットに基づき直線を引く。この直線より、最大圧密応力0.1kPa,20.0kPa時の単軸崩壊応力を求める。
最大圧密応力(X)と単軸崩壊応力(U)の関係により、任意の荷重で圧密された粉体層のほぐれやすさ、即ち、密に詰まったトナー層の粉体特性(トナー間凝集力)を議論することが可能となる。単軸崩壊応力(U)は、トナー容器内での攪拌によるほぐれやすさや、トナーが規制部材によるシェアを受けながら規制部を通過してトナー担持体上にコートされる際状況に関係する。さらに本発明における最大圧密応力(X)とは、現像器内で受けるシェアにより密に詰まったトナーにかかる応力を表している。
従って、最大圧密応力0.1kPa時における単軸崩壊応力によって、トナーに係るシェアが比較的小さい状態における粉体特性を議論し、最大圧密応力20.0kPa時における単軸崩壊応力によって、トナーにかかるシェアが大きい状態における粉体特性を議論することができる。そして、それら最大圧密応力間における単軸崩壊応力の推移を評価することで、圧密状態下のトナー層の粉体特性を表した。
本発明のトナーはトナーの最大圧密応力0.1kPa時における単軸崩壊応力が1kPa以下であり、且つ該トナーの最大圧密応力20kPa時における単軸崩壊応力が2.0以上6.0kPa以下であることが好ましい。上記範囲に制御することで、軽圧、高圧何れの圧密された状態においても、凝集することなく、現像時に解れ易くなり好ましい。
また、本発明におけるシリカ微粉体は、30℃における水分吸・脱着等温線において、相対湿度80%RHにおける吸着過程の吸着水分量が0.01以上3.00質量%以下が好ましい。より好ましくは0.01以上2.50質量%以下、特に好ましくは0.01以上1.50質量%以下である。相対湿度80%RHにおける吸着水分量が3.00質量%より大きい場合、吸着する水分量が多いことを示す。このようなシリカ微粉体の場合、トナーの帯電性の低下や凝集性が悪化するため、現像性が悪化(濃度低下、カブリの増大)する。一方、該吸着水分量が0.01質量%より低い場合、シリカ微粉体が過度の疎水性を有することを示す。疎水性が過度に強すぎるとチャージアップ等、帯電のバランスが崩れ、濃度低下やかぶりが悪化する傾向になる。
本発明におけるシリカ微粉体の吸着水分量は、吸着平衡測定装置(JTトーシ社製「EAM−02」)によって測定したものである。これは、対象とする気体(本発明の場合は水)のみが存在する条件下で固−気平衡に到達させ、この時の固体重量と蒸気圧を測定する装置である。
実際の吸・脱着等温線の測定は、以下に示す乾物質量の測定、水中の溶存空気の脱気から、吸・脱着等温線の測定まで、全てコンピューターによって自動的に行われる。測定の概略は、JTトーシ株式会社発行の操作マニュアルに記載されており、以下の通りである。なお、本発明においては溶媒液として水を用いる。
先ず、吸着管内の試料容器にシリカ微粉体を約5g充てん後、恒温槽温度、試料部温度を30℃に設定した。その後、空気弁V1(主バルブ)、V2(排気バルブ)を開き真空排気部を作動させ、真空容器内を0.01mmHg程度に真空引きすることにより、試料の乾燥を行う。試料の重量変化がなくなった時点の質量を「乾物質量」とする。
溶媒液としての水中には空気が溶解しているため、脱気を行う必要がある。先ず、水を液だめに入れ、真空排気部を作動させ、空気弁V2、V3(液だめバルブ)を交互に開閉し、溶存している空気を除去する。上記操作を数回繰り返し、水中に気泡が見られなくなった時点で脱気終了とする。
乾物質量の測定、水中の溶存空気の脱気に続いて、真空容器内を真空下に保持したまま空気弁V1、V2を閉じ、空気弁V3を開くことによって、液だめから水蒸気を導入し、空気弁を閉める。次いで、空気弁V1を開くことによって、溶媒蒸気を真空容器内に導入し、その圧力を圧力センサーにより測定する。真空容器内の圧力が設定圧力に達しない場合は、上記操作を繰り返すことにより真空容器内の圧力を設定圧力にする。平衡に達すると、真空容器内の圧力と重量が一定になるので、その時の圧力と温度、及び試料質量を平衡データとして測定する。
以上のように操作して、水蒸気の圧力を変更することにより、吸・脱着等温線を測定することができる。実際の測定においては、予め、吸着量を測定する相対蒸気圧を設定する。設定圧として、例えば、5%、10%、30%、50%、70%、80%、90%、95%とした場合、本発明における「吸着過程」とは、5%から順に水分吸着量を測定し等温線を測定していく過程である。「脱離過程」とは、吸着過程に引き続き行う、吸着過程とは逆に95%から相対蒸気圧を下げていきながら水分吸着量を測定していく過程を示す。
本装置では、圧力の設定は相対蒸気圧(%RH)で行い、吸・脱着等温線は、吸着量(%)と相対蒸気圧(%RH)で表示される。吸着量と相対蒸気圧の計算式を以下に示す。
M={(Wk−Wc)/Wc}×100
Pk=(Q/Q0)×100
(ここで、Mは吸着量(%)、Pkは相対蒸気圧(%)、Wk(mg)は試料重量、Wc(mg)は試料の乾物重量、Q0(mmHg)は、吸・脱着平衡時の温度Tk(℃)からAntoineの式により求められる水の飽和蒸気圧、Q(mmHg)は平衡データとして測定した圧力、をそれぞれ示す。)
さらに、シリカ微粉体として細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲で測定される全細孔容積が0.200cm3/g以下であり、好ましくは0.070cm3/g以下、より好ましくは0.025cm3/g以下のシリカ微粉体を用いることを特徴とする。
細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲で測定される全細孔容積を0.200cm3/g以下にすることは、表面細孔が少ないことを表す。このように、細孔が無く均一な表面構造を有することで、シリカ微粉体の帯電性が均一となり、且つ耐水性も大幅に向上するため帯電性を環境に依らず長期にわたり安定的に維持することが可能となる。そのため、トナーの帯電性も均一且つ安定となるため長時間連続運転する複写機においても、トナーが凝集することなく高精細な潜像を忠実に再現することが可能となる。その結果、良好な濃度安定性、ドット再現性を環境に依らず長期に渡り安定的に得ることができる。
全細孔容積が0.200cm3/gより大きい場合、シリカ微粉体表面に細孔が多く存在していることを示す。このようなシリカ微粉体の場合、表面微細構造が不均一なため帯電性も不均一となり、さらには、大気中の水分子が細孔に入り込むため耐久を続けると帯電能自体が低下する。その結果、耐久後半においてトナーの帯電性が不均一になることで凝集性が悪化し、ドット再現性が悪化する。さらに帯電能が低下することで、画像濃度の低下やかぶりが悪化する。
本発明においては、シリカ微粉体の表面細孔状態を再現良く測定可能であり、細孔状態がロングレンジで正確に測定される細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲における全細孔容積を測定した。
また、本発明におけるシリカ微粉体は平均細孔径が5.0nm以上50.0nm以下、好ましくは5.0nm以上30.0nm以下、より好ましくは10.0nm以上30.0nm以下であることが好ましい。
平均細孔径が5.0nmより小さい場合、シリカ微粉体表面に細孔が小さいことを示す。このようなシリカ微粉体の場合、表面微細構造が不均一なため帯電性も不均一となり、帯電能自体が低下する。
平均細孔径が50.0nmより大きい場合、シリカ微粉体表面に細孔が大きいことを示す。このようなシリカ微粉体の場合、高湿環境において吸湿量が多くなり帯電能の低下が生じ易くなるため好ましくない。
本発明におけるシリカ微粉体の平均細孔径及び細孔容積は、細孔分布測定装置Tristar3000(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させるガス吸着法により測定したものである。測定の概略は、島津製作所社発行の操作マニュアルに記載されており、以下の通りである。細孔分布の測定前には、試料管にサンプル1gを入れ、100℃で24時間真空引きを行う。真空引き終了後サンプル重量を精秤し、サンプルを得た。得られたサンプルを上記細孔分布測定装置を用いて、BJH脱着法により細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲における全細孔容積及びを平均細孔径求めた。
本発明の磁性酸化鉄の個数平均粒子径としては、0.05μm以上1.00μm以下が好ましく、更に好ましくは0.10μm以上0.60μm以下が良い。
磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。また、本発明の磁性酸化鉄はトナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時のスラリーにせん断をかけ、磁性酸化鉄を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
本発明に使用される結着樹脂は、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
その中でも少なくともポリエステルユニットを含有している事が好ましい。特に帯電特性の高いポリエステルユニットと、且つ離型剤との相溶性の高いビニル系共重合ユニットを化学的に結合したハイブリッド樹脂である方が、帯電特性を最適な状態にする上で好ましい。これは、樹脂をハイブリット樹脂とする事で適度な分岐構造をとる樹脂となり、分岐末端にポリエステル部の水酸基やカルボキシル基といった帯電能の高い置換基が存在しやすく、二つのトナー担持体上で帯電分布がより均一に成り易いためである。
本発明に用いられるポリエステル樹脂を製造することができるモノマーとしては以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、また、(i)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(ii)式で示されるジオール類が挙げられる。
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
また、2価のカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂のその他のモノマーとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、さらには、例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、好ましくは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物である。
また、スチレン/アクリル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては次のようなものが挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロビレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロヘニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトフコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1以上10質量部以下含まれることが好ましく、0.1以上5質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;が挙げられる。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、例えば芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体;等が挙げられる。
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学社)があげられ、また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
前記トナー粒子は、着色剤を含有しても良い。このような着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等が挙げられる。これらは、定着画像の光学濃度を維持するために必要な量が用いられる。その量は顔料の種類によって異なるが、結着樹脂100質量部に対し0.1以上20質量部以下、好ましくは0.2以上10質量部以下の添加量が良い。
また、前記染料としては、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料が挙げられる。前記染料の使用量も染料の種類によって異なるが、結着樹脂100質量部に対し0.1以上20質量部以下、好ましくは0.3以上10質量部以下の添加量が良い。
本発明においては、トナーに離型性を与える観点から、前記トナー粒子がワックス類を含有することが好ましい。このようなワックス類としては、融点が70以上165℃以下で、160℃における溶融粘度が1000mPa・s以下のワックスである。その具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックスや、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1のような直鎖のα−オレフィン及び分枝部分が末端にあるような分枝α−オレフィン、及びこれらの不飽和基の位置の異なるオレフィンの単独重合体、もしくはこれらの共重合体等が挙げられる。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、エステルワックス、天然ワックスも用いられる。更に、前記ワックス類は、ビニル系モノマーによりブロック共重合体、グラフト変性等を施した変性ワックスでも良く、また、酸化処理を施した酸化ワックスでも良い。
これらワックスは、トナーの製造に際し、あらかじめ重合体成分中に添加・混合しておくこともできる。その場合は、重合体成分の調製時に、ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子重合体溶液と混合する方法が好ましい。これによりミクロな領域での相分離が緩和され、高分子量成分の再凝集が制御され、低分子重合体との良好な分散状態が得られる。
また、ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.1以上20質量部以下であることが好ましく、1以上10質量部以下であることがより好ましい。なお、二種類以上のワックスを併用して添加しても良い。
ワックスの融点は、ASTM D3418−8に準じて測定される吸熱曲線における主体極大ピーク(main peak)値の温度で表され、例えばパーキンエルマー社製DSC−7や、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いて、昇温速度10℃/minで測定することができる。またワックスの溶融粘度は、例えばHAAKE社製VT−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用いて測定することができる。
本発明のトナーに流動性向上剤として無機微粉体を使用しても良い。該流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものならば使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらもシリカとして包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001以上2μm以下の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002以上0.2μm以下の範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
AEROSiL(日本アエロジル杜)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84;Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5;Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GNBH社)V15、N20E、T30、T40;D−CFine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Francil社)
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉末に疎水化処理した処理シリカ微粉末を用いることが好ましい。該処理シリカ微粉末において、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上80以下の範囲の値を示すようにシリカ微粉末を処理したものが特に好ましい。
疎水化方法としては、シリカ微粉末と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉末を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
該無機微粉末は、シリコーンオイル処理されても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30以上1000mm2/s以下のものが用いられ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
シリコーンオイル処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;べースとなるシリカ微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法;を用いることが可能である。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。流動性向上剤の前記比表面積は、例えば比表面積測定装置ジェミニ2375(島津製作所)等の通常の測定装置を用い、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET比表面積多点法から求めることができる。また、トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01以上8質量部以下、好ましくは0.1以上4質量部以下使用するのが良い。
また、本発明のトナーには必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。
例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、離型剤、滑剤、研磨剤などの働きをする樹脂微粒子や無機微粒子などである。このようなものとしては、例えば、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。あるいは、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。あるいは、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。あるいはケーキング防止剤や、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズなどの導電性付与剤、また、逆極性の微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
トナーと混合される樹脂微粒子または無機微粉末または疎水性無機微粉末などは、トナー100質量部に対して、0.1以上5質量部以下使用するのが好ましい。
また本発明のトナーは、画像濃度、解像度などの点から、重量平均粒径が3以上9μm以下であることが好ましい。
本発明において、トナーの重量平均粒径及び長さ平均粒径は、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)、又はコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定することができる。これらの装置による測定で使用される電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液や、市販の電解液、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、更に測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散機で約1分間分散処理を行い、100μmアパーチャーをアパーチャーとして用いて、前記測定装置により、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係る体積分布から求めたトナーの重量平均粒径(D4)を求め、累積%を求める。また、個数分布から求めたトナーの個数平均粒径(D1)を求め、累積%を求める。
チャンネルとしては、2.00以上2.52μm未満、2.52以上3.17μm未満、3.17以上4.00μm未満、4.00以上5.04μm未満、5.04以上6.35μm未満、6.35以上8.00μm未満、8.00以上10.08μm未満、10.08以上12.70μm未満、12.70以上16.00μm未満、16.00以上20.20μm未満、20.20以上25.40μm未満、25.40以上32.00μm未満、32.00以上40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
本発明のトナーは、結着樹脂、磁性体、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機等の混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕機によって粉砕し、必要に応じて粗粒等をふるい分け、分級機によって分級することで所望の粒度分布を持つトナー粒子を得、更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合することによって得ることができる。
前記混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製)、スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製)、レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
前記混練機としては、例えば、KRCニーダー(栗本鉄工所社製)、ブス・コ・ニーダー(Buss社製)、TEM型押し出し機(東芝機械社製)、TEX二軸混練機(日本製鋼所社製)、PCM混練機(池貝鉄工所社製)、三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製)、ニーデックス(三井鉱山社製)、MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製)、バンバリーミキサー(神戸製銅所社製)が挙げられる。
前記粉砕機としては、例えば、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製)、クロスジェットミル(栗本鉄工所社製)、ウルマックス(日曹エンジニアリング社製)、SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製)、クリプトロン(川崎重工業社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)が挙げられる。
前記分級機としては、例えば、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製)、ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製)、ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製)、YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製)、レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社)、バイブラソニックシステム(ダルトン社製)、ソニクリーン(新東工業社製)、ターボスクリーナー(ターボ工業社製)、ミクロシフター(槙野産業社製)、円形振動篩い等が挙げられる。
本発明では、前述したトナーを前述した現像方法に用いるものであり、前述した現像方法を実現できる現像装置や画像形成装置が用いられる。このような現像装置や画像形成装置は、通常用いられる手段や部材等によって構成することができる。
本発明に用いられる現像装置は、開口部を有し前記トナーを収容する現像容器と、前記トナーを表面に担持でき、現像容器の開口部に回転自在に設けられる前記第一トナー担持体及び前記第二トナー担持体と、前記第一トナー担持体上のトナーを規制してトナーの層厚を制御するトナー規制部材とを有する。前記現像装置は、これらの構成要素のほかにも、例えば現像容器中のトナーを攪拌する手段、現像容器中のトナーを第一トナー担持体に向けて搬送する手段、トナーを補給するための手段等の他の構成要素をさらに有していても良い。
また本発明では、前記現像装置を有する通常の画像形成装置を用いることができる。本発明に用いられる画像形成装置は、潜像担持体と、この潜像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電した潜像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光手段と、前記潜像担持体に形成された静電潜像を前記トナーによって現像(可視像化)する前記現像装置と、前記潜像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を転写材に定着させる定着手段とを有する。前記画像形成装置は、これらの構成要素のほかにも、例えば転写後の潜像担持体に付着するトナーを潜像担持体から取り除くクリーニング手段や、クリーニング後の潜像担持体の静電履歴を消去するための前露光手段や、現像時に現像装置を現像位置に搬送するロータ等の手段等の他の構成要素をさらに有していても良い。
なお、前記現像装置は、前記現像装置及び前記潜像担持体を少なくとも有するプロセスカートリッジとして前記画像形成装置に配置することも可能である。前記プロセスカートリッジは、前記現像装置と前記潜像担持体とを一体的に有し、かつ前記画像形成装置の本体に着脱自在に構成される。前記プロセスカートリッジは、通常用いられる手段や部材等によって構成することができ、前述した構成要素のほかにも、例えば前記帯電手段や前記クリーニング手段等の他の構成要素をさらに有していても良い。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
<トナー担持体の製造例1>
トナー担持体基材として、外径20mm、肉厚0.6mmのアルミニウム素管を用い、ブラスト処理を行うことでローラ表面を粗面化した。ブラスト粒子としては、#600球形ガラスビーズを用い、任意の速度で回転させたアルミニウム素管に対し、ブラスト圧2.5kg/cm2(2.45×105Pa)で吹きつけ処理を行い、洗浄乾燥後の表面粗さRaが0.6μmになるように処理した。
次に、ブラスト処理の終わったアルミニウムローラ表面をジンケート処理し、Ni−Pメッキ液(S−754、日本カニゼン株式会社製)中に浸して無電界メッキを行い、5μm厚のNi−Pメッキ層を形成した。
続いて、Ni−Pメッキ処理が施されたアルミニウムローラをCrメッキ液(市販の触媒無水クロム酸液)中に浸して電気メッキを行い、1.0μm厚のCrメッキ層を形成し、本発明のトナー担持体1を得た。トナー担持体1の表面粗さRaは0.6μmであり、表面硬さはビッカース硬度Hvが620であった。
同様に、表1に示すようにして、トナー担持体2乃至5を作製した。
次に、前記トナー担持体内に設けられるマグネットを用意した。マグネットは、トナー担持体内壁から500μmのクリアランスを隔て設置されるように製造した。本実施例で用いられるマグネットを表1に示す。
なお、マグネットの磁力(測定値)に関して、本実施例ではトナー担持体を通して上方100μmの位置で測定した場合と、トナー担持体を通さずにマグネット上方1.2mmの位置で測定した値とは、ほぼ同じ値が得られ、その差が測定誤差内であることから、表1中の各磁極の磁力については、マグネット上の各磁極から1.2mm上方での測定値を示している。
また、各磁極の角度については、第一及び第二トナー担持体の中心軸を結ぶ線を基準線(0°)とした時に、各トナー担持体の磁極から前記ローラ中心軸を結ぶ線と基準線との交差角を示し、この交差角が基準線より潜像担持体側にある場合を+、その反対側にある場合を−でそれぞれ示している。
次にトナー粒子(分級品)の製造例について述べる。
<結着樹脂1の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 25.0mol%
テレフタル酸: 33.0mol%
無水トリメリット酸: 5mol%
アジピン酸: 6.5mol%
アクリル酸: 3.5mol%
フマル酸: 2.0mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共に4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下にて135℃で攪拌する。本発明において所望の架橋構造を得るために本製造例においては反応の初期と後期にフマル酸を分割添加した。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン:84mol%と2エチルヘキシルアクリレート:14mol%)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2mol%を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、135℃で5時間反応した後、重縮合時の反応温度を230℃に昇温して縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。
この結着樹脂1の諸物性については表2に示した通りである。
<結着樹脂2の製造例>
テレフタル酸 31mol%
トリメリット酸 7mol%
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 35mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 27mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共に4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下にて135℃で攪拌する。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン:84mol%と2エチルヘキシルアクリレート:14mol%)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2mol%を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、135℃で5時間反応した後、重縮合時の反応温度を230℃に昇温して縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂2を得た。
この結着樹脂2の諸物性については表2に示した通りである。
<結着樹脂3の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 46.8mol%
テレフタル酸: 34.8mol%
無水トリメリット酸: 11.8mol%
イソフタル酸: 5.6mol%
フェノールノボラックEO付加物: 1.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂3を得た。この結着樹脂3の樹脂の諸物性については表2に示した通りである。
<結着樹脂4の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物): 47.1mol%
テレフタル酸: 49.9mol%
無水トリメリット酸: 3.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器水分分離装置、窒素ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂4を得た。これらの樹脂の諸物性については表2に示した通りである。
<結着樹脂5の製造例>
四つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
この還流下で、スチレン76質量部,アクリル酸−n−ブチル24質量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕し結着樹脂5を得た。
<結着樹脂6の製造例>
四つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
この還流下で、まず、スチレン73質量部,アクリル酸−n−ブチル27質量部,ジビニルベンゼン0.005質量部及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.8質量部の混合液を4時間かけて滴下する。全てを滴下した後、2時間保持し重合を完了し、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕し結着樹脂6を得た。この結着樹脂の諸物性については表2に示した通りである。
<シリカ微粉体1の製造例>
反応容器中にアルゴンと酸素の体積比が3:1の混合ガスを導入し大気と置換させる。この反応容器中に、酸素ガスを40(m3/hr)及び水素ガスを20(m3/hr)で供給し着火装置を用いて酸素−水素からなる燃焼炎を形成する。次いでこの燃焼炎中に圧力490kPa(5kg/cm2)の水素キャリアガスで原料の金属ケイ素粉末を投入し、粉塵雲を形成する。この粉塵雲は燃焼炎により着火し粉塵爆発による酸化反応を生じさせる。酸化反応後、反応容器内を冷却しシリカ微粉体1を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体2の製造例>
製造例1においてキャリアガスの圧力を1176kPa(12kg/cm2)とする以外は製造例1と同様にしてシリカ微粉体2を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体3の製造例>
撹拌機、滴下口、温度計を備えた30Lのガラス製反応器に、エタノール14L及び28%アンモニア水溶液1.5kgを添加した後更にアンモニアガスを吹き込み0.26kgを吸収させて混合しアンモニア混合液を調製した。該混合液を10℃±0.5℃に調整し、撹拌しなからシラン化合物としてテトラエトキシシラン1,130g及びシラン化合物として3−アミノプロピルトリエトキシシラン63gの混合液を反応容器内の温度を25℃に保ちながら滴下して加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁体を得た。更に該微粒子を250℃で焼成しシリカ微粉体3を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体4の製造例>
反応容器中にアルゴンと酸素の体積比が3:1の混合ガスを導入し大気と置換させる。この反応容器中に、酸素ガスを40(m3/hr)及び水素ガスを20(m3/hr)で供給し着火装置を用いて酸素−水素からなる燃焼炎を形成する。次いでこの燃焼炎中に圧力441kPa(4.5kg/cm2)の水素キャリアガスで原料のヘキサメチルジシロキサン粉末を投入し、粉塵雲を形成する。この粉塵雲は燃焼炎により着火し粉塵爆発による酸化反応を生じさせる。酸化反応後、反応容器内を3℃/分の速度で冷却ししシリカ粉末4を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体5の製造例>
製造例1においてキャリアガスの圧力を147kPa(1.5kg/cm2)とする以外は製造例1と同様にしてシリカ微粉体5を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体6の製造例>
撹拌機、滴下口、温度計を備えた30Lのガラス製反応器に、水2.18L、メタノール7L及び28%アンモニア水溶液1.0kgを添加しアンモニア混合液を調製した。該混合液を40℃±0.5℃に調製し、撹拌しなからシラン化合物としてテトラメトキシシラン912gとメタノール1.2Lとの混合液を反応容器内の温度を40℃に保ちながら滴下して加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁体を得た。更に該微粒子を250℃で焼成しシリカ微粉体6を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<シリカ微粉体7の製造例>
撹拌機、滴下口、温度計を備えた30Lのガラス製反応器に、エタノール14L及び28%アンモニア水溶液1.5kgを添加した後更にアンモニアガスを吹き込み0.26kgを吸収させて混合しアンモニア混合液を調製した。該混合液を10℃±0.5℃に調整し、撹拌しなからシラン化合物としてテトラエトキシシラン1,130g及びシラン化合物として3−アミノプロピルトリエトキシシラン63gの混合液を、反応容器内の温度を40℃に保ちながら滴下して加水分解を行い、シリカ微粒子の懸濁体を得た。更に該微粒子を250℃で焼成しシリカ微粉体7を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<無機微粉体8の製造例>
製造例1においてキャリアガスの圧力を1274kPa(13kg/cm2)とする以外は製造例1と同様にしてシリカ微粉体8を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<無機微粉体9の製造例>
反応容器内に酸素ガスを38(m3/hr)及び水素ガスを18(m3/hr)で供給し点火装置により着火して酸素―水素炎からなる燃焼炎を形成する。ここに原料となるトリクロロシランを130kg/hrで供給し火炎加水分解反応を行わせシリカ微粉体9を得た。このシリカ微粉体の諸物性については表3に示した通りである。
<トナー粒子の製造例1>
結着樹脂1 80質量部
結着樹脂2 20質量部
マグネタイト(八面体、平均粒子径=0.15μm、保磁力Hc=9.9kA/m、残留磁化σr=12.5Am2/kg、飽和磁化σs=87.9Am2/kg)
60質量部
フィッシャートロプシュワックス(融点105℃) 4質量部
荷電制御剤−1 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、疎水性シリカ微粉末(BET140m2/g、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理)を1.0質量部とシリカ微粉体1を0.2質量部、及びチタン酸ストロンチウム3.0質量部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー内添処方及び物性値を表4に記す。
<トナー粒子の製造例2〜15>
トナー粒子の製造例1において、表4に記載した処方とした以外は同様にし、トナー2〜15を得た。
<実施例1>
図3に示すように、上流側の第1トナー担持体12内には、5極を有するマグネットロール14を内装させたトナー担持体1を、第2トナー担持体13には、4極を有するマグネットロール15を内装させたトナー担持体2を設置した。また、第1トナー担持体12と磁気ブレード16の距離S−Bギャップを200μm、第1トナー担持体12と第1トナー担持体13との距離S−Sギャップを400μmに設置した。表1に使用したトナー担持体の処方を、表4に使用したトナー担持体を記載する。
この現像装置は現像レール部材に支持され、画像形成装置本体との間の設けられた加圧部材によって潜像担持体に向かって押圧される。そして、トナー担持体両側の回転軸に取り付けられた突き当てコロにより潜像担持体とトナー担持体との距離S−Dギャップが250μmになるように設置した。
2つのトナー担持体は、表1に示す周速度、対潜像担持体周速で回転させ、+150Vの直流電圧とVpp1500V、周波数2.7kHZの短波形の交番電圧を現像バイアスとして印加した。
この改造機により、高温高湿環境下(32.5℃/85%RH)において、画像比率1%の文字画像をA4横送りで、16時間連続複写耐久を5日間行い、計50万枚複写を行った。
それぞれ画像濃度、カブリ、ドット再現性、トナー担持体汚染等の評価を以下の様にして行った。
(1)画像濃度
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、直径5mm丸の画像の反射濃度測定を行った。画出し耐久試験では1.30以上のものを可レベルとして評価した。
(2)カブリ
「反射濃度計」(リフレクトメーター、モデルTC−6DS、東京電色社製)を用いて、画像形成前の転写紙の反射濃度(Dr)と、ベタ白画像をコピーした後の反射濃度の最悪値を(Ds)とを測定し、その差分(Ds−Dr)をカブリ値として評値した。1.5以下のものを可レベルとして評価した。
(3)トナー劣化評価
高温高湿環境下の耐久終了後に、磁気ブレード周辺部のトナーを採取し、耐久前後でのトナーのBET比表面積を測定し比較することで、外添剤のトナー表面への埋め込み程度を評価した。耐久前トナーに対する耐久後トナーのBET値を百分率で表し、トナー劣化評価の指標とした。81%以上を可レベルとし、81%未満を不可レベルとして評価した。
BET比表面積の測定法としては、比表面積測定装置ジェミニ2375(島津製作所)を用い、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET比表面積多点法を用いて比表面積を計算した。試料については6ccのセル中にトナーを約2g入れ、低真空域に減圧した状態で一晩脱気した後、トナー量を精秤し測定した。
(4)ドット再現性
耐久初期及び終了後に、1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の静電荷潜像を潜像担持体上にレーザーで形成される画像を測定サンプルとした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性に優れていることを示す。
(5)トナー担持体汚染
高温高湿環境下での50万枚の複写試験を行い、5,000枚ごとに目視によりトナー担持体に汚染がないか確認し、発生枚数により評価を行った。発生枚数が遅いほど、トナー担持体の汚染性に優れていることを示す。
これらの画像評価結果を表5にまとめた。
<実施例2〜10>
表4に示すトナー担持体構成及びトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、トナーNo2〜8を作成し、評価を行った。評価結果を表5にまとめて示す。
<比較例1〜7>
表4に示すトナー担持体構成及びトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にトナーNo9〜15を作成した。尚、比較例6では無機微粉体としてアルミナ(TM10、大明化学社製)を用いた。この評価結果を表5に記す。