JP2009024632A - ウォータポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】負圧を作用させることで磁性体(マグネット)と誘導体(誘導リング)との相対位置を変更し、これにより、駆動側回転体から従動側回転体への伝達トルクを変更して流量を可変とするウォータポンプに対し、負圧を作用させる経路の設計自由度の向上を図ることができるウォータポンプを提供する。
【解決手段】従動側回転体4を回転自在に支持している回転支軸21に、ポンプ流量を可変にするための負圧の導入経路として支軸内負圧通路24を形成する。タイミングチェーンケース2に、インテークマニホールドに繋がる負圧配管13を形成しておき、この負圧配管13と支軸内負圧通路24とをタイミングチェーンケース2の内部で連通させる。これにより、駆動側回転体3が配設されている側に負圧配管を接続するといった構成が必要なくなり、エンジンルームの省スペース化が図れる。
【選択図】図1
【解決手段】従動側回転体4を回転自在に支持している回転支軸21に、ポンプ流量を可変にするための負圧の導入経路として支軸内負圧通路24を形成する。タイミングチェーンケース2に、インテークマニホールドに繋がる負圧配管13を形成しておき、この負圧配管13と支軸内負圧通路24とをタイミングチェーンケース2の内部で連通させる。これにより、駆動側回転体3が配設されている側に負圧配管を接続するといった構成が必要なくなり、エンジンルームの省スペース化が図れる。
【選択図】図1
Description
本発明は、水冷式エンジン等に使用されるウォータポンプに係る。特に、本発明は、流量可変型ウォータポンプの改良に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されているように、水冷式エンジンには冷却系に冷却水を循環させるためのウォータポンプが備えられている。
また、近年、この種のウォータポンプとして、駆動源であるエンジンの駆動力を受けるウォータポンププーリを含む駆動側回転体と、ポンプ渦流室に配設されたポンプインペラを含む従動側回転体とをそれぞれ独立して配設し、この駆動側回転体から従動側回転体への回転力の伝達を非接触で行うようにした流量可変型(容量可変型とも呼ばれる)ウォータポンプが提案されている。
以下、この種のウォータポンプの構成の一例について図10を用いて説明する。この図10に示すウォータポンプは、駆動側回転体bとして、上記ウォータポンププーリc、駆動側ケーシングd、スライダeを備えている。ウォータポンププーリcは補機ベルトfが巻き掛けられてエンジンの駆動力を受ける。駆動側ケーシングdは、ウォータポンプハウジングgにベアリングhを介して回転自在に支持されていると共に、上記ウォータポンププーリcに回転一体に連結されている。スライダeは、上記駆動側ケーシングdの内周面に沿って軸心に沿う方向に摺動可能となっている。また、このスライダeは、ウォータポンププーリcの回転力を、駆動側ケーシングdを介して受けるように、この駆動側ケーシングdの内周面にスプライン嵌合等の手段によって回転一体に連結されている。更に、このスライダeの内側面には磁性体としての永久磁石iが取り付けられている。
一方、従動側回転体mは、上記ポンプインペラn及び誘導体としての誘導リングoを備えている。ポンプインペラnは、タイミングチェーンケースpに形成されたポンプ渦流室p1に配設され、このタイミングチェーンケースpに一体形成された中実の回転支軸p2により水中軸受などを介して回転自在に支持されている。誘導リングoは、上記ポンプインペラnのボス部n1に回転一体に取り付けられており、鉄芯o1の外周にアルミニウム製のリング部材o2が取り付けられた構成となっている。また、上記駆動側回転体bと従動側回転体mとの間は隔壁qにより仕切られている。
そして、上記駆動側回転体bのスライダeに取り付けられた永久磁石iと、従動側回転体mに備えられた誘導リングoとが、上記隔壁qを挟んで所定の間隔を隔てて対向可能に配置されている(図10の上側半分の状態を参照)。
これにより、上記駆動側回転体bの回転に伴って永久磁石iが回転すると、誘導リングoの周囲の磁界が変化し、誘導リングoのリング部材o2には、その磁界の変化を妨げる方向への誘導電流が発生する。この誘導電流の発生に伴って誘導リングoのリング部材o2にはトルクが発生する。その結果、従動側回転体mが回転し、ポンプインペラnの回転によってウォータポンプが駆動することになる。
次に、ポンプ流量を可変とするための構成について説明する。このポンプ流量を可変とするために、上記永久磁石iと誘導リングoとの軸方向のオーバラップ量(軸方向で互いに重なり合っている寸法)が変更可能な構成とされている。つまり、このオーバラップ量を変更することで、従動側回転体mへの伝達トルクを変更し、これによって、ウォータポンプの流量(ポンプ吐出量)を変更可能としている。
具体的には、上記駆動側ケーシングdとスライダeとの間の空間を負圧室rとして構成し、この負圧室rにコイルスプリングsを圧縮状態で収容しておく。このコイルスプリングsにより、上記永久磁石iが誘導リングoに対向する位置となるようにスライダeに付勢力が付与されている。また、駆動側ケーシングdの中心部に負圧導入孔d1を形成しておき、この負圧導入孔d1に負圧配管tを接続することで、上記負圧導入孔d1を介して負圧室rへの負圧の作用を可能にしている。例えば、この負圧配管tをエンジンのインテークマニホールドに接続すると共に、負圧配管tの途中に図示しない切り換えバルブを備えさせている。上記負圧配管tの接続構造としては、上記駆動側ケーシングdの負圧導入孔d1にベアリングt1やエアシールt2を嵌め込んだ構成となっている。
ポンプ流量を可変とする動作として、上記切り換えバルブの切り換え動作によりエンジンの吸入負圧を上記負圧室rへ作用させると、上記コイルスプリングsの付勢力に抗したスライダeのスライド移動により、上記オーバラップ量が少なくなり、リング部材o2に発生するトルクが小さくなってポンプ流量は減少する(図10における下側半分の状態を参照)。一方、切り換えバルブを切り換えて、エンジンの吸入負圧を上記負圧室rへ作用させないようにすれば、上記コイルスプリングsの付勢力によりスライダeがスライド移動して、上記オーバラップ量が多くなり、リング部材o2に発生するトルクが大きくなってポンプ流量は増大する(図10における上側半分の状態を参照)。
特開平9−88592号公報
ところが、上述の如く構成された流量可変型ウォータポンプにあっては以下に述べるような課題があった。
上記流量可変型ウォータポンプでは、ポンプ流量を可変とするための構成として、上記駆動側ケーシングdに形成された負圧導入孔d1に負圧配管tを接続することで上記負圧室rへの負圧の作用を可能にしている。つまり、ウォータポンププーリcの前側(図10における左側)から負圧配管tを接続し、この負圧配管tをエンジンルーム内でインテークマニホールドに向けて引き回すことで上記負圧室rへ負圧を作用させる構成としている。
このような配管レイアウトでは、この負圧配管tを配設するためのスペースをウォータポンプの前側に確保しておくことが必要となる。つまり、ウォータポンプを流量可変型として構成するために新たな配管スペースがエンジンルーム内に必要になってしまい、エンジンルームの省スペース化を阻害することに繋がってしまうものであった。その結果、この負圧配管tを配設するためのスペースを確保することが困難な車種、例えばエンジンルーム容積の比較的小さな小型車等には適用することができない構成となっていた。
また、上記構成では、回転する駆動側ケーシングdに対して非回転の負圧配管tを接続する必要があることから、この接続部分に上記ベアリングt1やエアシールt2等の部材を適用しておく必要があり、また、この負圧配管tを負圧源(インテークマニホールド等)に向けて引き回すための固定用のブラケットや金属パイプなども必要になり、製造コストの高騰を招くものであった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、負圧を作用させることで磁性体(永久磁石)と誘導体(誘導リング)との相対位置を変更し、これにより、駆動側回転体から従動側回転体への伝達トルクを変更して流量を可変とするウォータポンプに対し、負圧を作用させる経路の設計自由度の向上を図ることができるウォータポンプを提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、従動側回転体を回転自在に支持している回転支軸を、ポンプ流量可変のための負圧導入経路を形成する部材として利用し、この負圧導入経路を、ウォータポンプを支持する構造物側に向けて直接的に引き込むことを可能にしている。つまり、負圧導入経路をウォータポンプの外方側(駆動側回転体が配設される側)に配設する必要がない構成としている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、従動側回転体を回転自在に支持している回転支軸を、ポンプ流量可変のための負圧導入経路を形成する部材として利用し、この負圧導入経路を、ウォータポンプを支持する構造物側に向けて直接的に引き込むことを可能にしている。つまり、負圧導入経路をウォータポンプの外方側(駆動側回転体が配設される側)に配設する必要がない構成としている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、駆動源からの駆動力が伝達されて回転する駆動側回転体と、ポンプインペラを有し且つ回転支軸によって回転自在に支持された従動側回転体とを備え、上記駆動側回転体及び従動側回転体のうちの一方に備えられた磁性体と他方に備えられた誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさを変更するようにしたウォータポンプを前提とする。このウォータポンプに対し、上記磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更するための駆動力として負圧発生源で発生した負圧が作用可能な負圧室を設けておき、上記回転支軸に、上記負圧室に負圧を作用させるための支軸内負圧通路を設けた構成としている。
具体的に、本発明は、駆動源からの駆動力が伝達されて回転する駆動側回転体と、ポンプインペラを有し且つ回転支軸によって回転自在に支持された従動側回転体とを備え、上記駆動側回転体及び従動側回転体のうちの一方に備えられた磁性体と他方に備えられた誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさを変更するようにしたウォータポンプを前提とする。このウォータポンプに対し、上記磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更するための駆動力として負圧発生源で発生した負圧が作用可能な負圧室を設けておき、上記回転支軸に、上記負圧室に負圧を作用させるための支軸内負圧通路を設けた構成としている。
この特定事項により、上記回転支軸に設けられた支軸内負圧通路を経て負圧室に作用する負圧により、例えば磁性体が誘導体に対してスライド移動する。これにより、磁性体と誘導体との相対的な対向位置(上記スライド移動方向でのオーバラップ量)が変更され、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさが変更されて、ウォータポンプの流量が変更される。つまり、対向する磁性体と誘導体とのオーバラップ量が大きいほどウォータポンプの吐出量が多くなる。
また、上記回転支軸は、従動側回転体を回転自在に支持するものであって、その基端側はウォータポンプを支持している構造物(例えばエンジンやタイミングチェーンケース等)に繋がっている。このため、上記支軸内負圧通路としては、この構造物の内部に向けて延長するように形成しておくことが可能となる。つまり、この構造物の配設位置とは反対側である駆動側回転体側から負圧導入のための配管を接続するといった従来の構成を採用する必要がなくなる。その結果、ウォータポンプの前側(駆動側回転体が配設されている側の外方側)に負圧導入用配管を配設するためのスペースを確保しておく必要がなくなる。これにより、エンジンルームの省スペース化を図ることが可能になり、例えばエンジンルーム容積の比較的小さな小型車等に対しても搭載可能なウォータポンプを実現することが可能になる。
上記負圧室に負圧を導入するための具体的な構成としては以下のものが挙げられる。つまり、上記回転支軸を、内燃機関に備えられたケース部材(例えばタイミングチェーンケース等)に一体形成しておき、このケース部材に、上記負圧発生源に繋がるケース内負圧通路を形成しておく。そして、上記回転支軸に形成されている支軸内負圧通路の一端側を負圧室に、他端側を上記ケース内負圧通路にそれぞれ連通させている。
これにより、例えば内燃機関の吸入負圧等を、ケース部材に形成されたケース内負圧通路に導入するようにすれば、この負圧は、ケース内負圧通路及び支軸内負圧通路を経て負圧室に導入されることになる。つまり、上記ケース部材及びこのケース部材に一体形成された回転支軸を利用して、負圧発生源と負圧室とを連通させる負圧導入経路を形成することができ、従来の負圧導入用の配管を必要とすることのない負圧導入経路を実現することが可能になる。
上記回転支軸及びその内部に形成されている支軸内負圧通路のより具体的な構成としては以下のものが挙げられる。上記駆動側回転体に、駆動源からの駆動力を受けるウォータポンププーリと、このウォータポンププーリの内部にスライド移動自在に収容されたスライダ機構部とを備えさせると共に、上記負圧室を、これらウォータポンププーリとスライダ機構部との間の空間として形成する。そして、上記回転支軸を、従動側回転体の軸心部及び駆動側回転体の軸心部を通って上記ウォータポンププーリの内側空間まで延設させ、その回転支軸の先端において上記支軸内負圧通路を開放させることにより、上記負圧室と支軸内負圧通路とを連通させている。
これにより、支軸内負圧通路をウォータポンププーリの内側空間において負圧室と連通させながらも、この支軸内負圧通路を形成する部材である回転支軸が、従動側回転体ばかりでなく駆動側回転体をも回転自在に支持する構成を構築することが可能になる。このため、従動側回転体及び駆動側回転体に備えられている磁性体及び誘導体は、共に回転支軸の軸心を回転中心として回転する構成となる。つまり、磁性体及び誘導体は、互いの回転軸心にズレが生じることなく回転することができ、この両者間の隙間(エアギャップ)を極めて小さく設定することが可能になる。従来の構成では、駆動側回転体及び従動側回転体は、互いに異なる支持構造であったため、この両者の回転軸心にズレが生じている可能性を考慮して磁性体と誘導体との間の隙間を大きめに設計していた。これに対し、本解決手段によれば、磁性体及び誘導体を同軸上で支持したことで、上記隙間を大幅に小さくすることが可能になり、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達されるトルクの伝達ロスを大幅に削減することができて、ウォータポンプの駆動効率の大幅な上昇を図ることが可能になる。
上記スライダ機構部の具体的な構成としては以下のものが挙げられる。先ず、回転支軸に対して回転自在で且つ軸心方向への移動が不能に支持された回転支持部と、磁性体または誘導体を支持して上記回転支軸の軸心に沿う方向にスライド移動可能とされたスライダと、上記回転支持部とスライダとを連結する弾性材料で成るダイアフラムとをスライダ機構部に備えさせる。そして、上記負圧室に作用する負圧の大きさに応じて上記ダイアフラムが弾性変形してスライダがスライド移動することにより磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更する構成としている。
この構成によれば、負圧室に負圧を作用させ、ダイアフラムを弾性変形させて磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更した状態から、上記負圧室への負圧の作用を解除すると、上記ダイアフラムの復元力により、磁性体と誘導体との相対的な対向位置は元の位置に迅速に戻されることになる。例えば、負圧室に負圧を作用させてウォータポンプの吐出量を制限した状態から、負圧室への負圧の作用を解除してウォータポンプの吐出量を最大に切り換えたい場合に、その応答性を良好に確保でき、要求に応じたウォータポンプの吐出量を迅速に確保することができる。
また、スライダ機構部の他の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、回転支軸の外周面に設けられた高密度繊維体の外周囲にスライダ機構部を外挿することで、このスライダ機構部を、回転支軸に対して回転自在で且つ軸心方向へのスライド移動を可能に支持する。そして、上記負圧室に作用する負圧の大きさに応じて上記スライダ機構部がスライド移動することにより磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更する構成としている。
この構成によれば、スライダ機構部の回転を許容する軸受けとしての機能と、スライダ機構部のスライド移動を可能にするスライダ機能とを高密度繊維体に兼ね備えさせることができ、部品点数の削減及び構成の簡素化を図ることができる。
本発明では、従動側回転体を回転自在に支持している回転支軸を、ポンプ流量を可変とするための負圧の導入経路を形成する部材として利用し、この負圧導入経路を、ウォータポンプを支持する構造物側に向けて直接的に引き込むことを可能にしている。このため、ウォータポンプの前側に負圧導入用配管を配設するためのスペースを確保しておく必要がなくなる。これにより、ウォータポンプ配設空間の省スペース化を図ることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用エンジンに搭載され、エンジンからの駆動力を受けることで作動する車両用ウォータポンプに本発明を適用した場合について説明する。
(第1実施形態)
−ウォータポンプの全体構成−
図1は、本実施形態に係るウォータポンプ1の断面図である。この図1に示すように、ウォータポンプ1は、ポンプ筐体を構成するウォータポンプハウジング11が、エンジンのタイミングチェーンケース(ケース部材)2にボルト止め等の手段によって一体的に取り付けられることで、エンジン前面(縦置きエンジンの場合には車両前方側の面、横置きエンジンの場合には車両側方側の面)に配設されている。
−ウォータポンプの全体構成−
図1は、本実施形態に係るウォータポンプ1の断面図である。この図1に示すように、ウォータポンプ1は、ポンプ筐体を構成するウォータポンプハウジング11が、エンジンのタイミングチェーンケース(ケース部材)2にボルト止め等の手段によって一体的に取り付けられることで、エンジン前面(縦置きエンジンの場合には車両前方側の面、横置きエンジンの場合には車両側方側の面)に配設されている。
そして、このウォータポンプ1は、エンジンからの駆動力を受けることで回転する駆動側回転体3と、この駆動側回転体3に対して非接触状態に配設され且つ後述する回転力伝達構造によって駆動側回転体3から回転力を受けて回転する従動側回転体4とを備えた構成となっている。
(駆動側回転体3の構成)
先ず、上記駆動側回転体3の構成について説明する。この駆動側回転体3は、ウォータポンププーリ5及びスライダ機構部6を備えている。
先ず、上記駆動側回転体3の構成について説明する。この駆動側回転体3は、ウォータポンププーリ5及びスライダ機構部6を備えている。
上記ウォータポンププーリ5は、一方側(上記タイミングチェーンケース2が配設されている側)が開放された有底円筒形状のプーリ本体51と、このプーリ本体51の外周面から外周側に延びて補機ベルトBが巻き掛けられるベルト巻き掛け部52と、上記プーリ本体51の内部における底面(図1において鉛直方向に延びる面)から水平方向に延びる略円筒形状の回転伝達部53とを備えている。
上記プーリ本体51の外周面と上記ウォータポンプハウジング11との間にはボールベアリング54が配設されている。これにより、ウォータポンププーリ5はウォータポンプハウジング11によって水平軸回りに回転自在に支持されている。
上記ベルト巻き掛け部52の外周面には上記補機ベルトBが巻き掛けられている。この補機ベルトBは、エンジンのクランクシャフトに取り付けられた図示しないクランクプーリの他、種々の補機類に備えられたプーリに掛け渡されている。このため、エンジンの駆動時には、エンジンのクランクシャフトの回転駆動力が、補機ベルトBを介して、各補機類に伝達されると共に、上記ベルト巻き掛け部52に伝達されてウォータポンププーリ5にも伝達され、このウォータポンププーリ5が水平軸回りに回転するようになっている。
上記回転伝達部53は上記プーリ本体51と同軸上に配設された略円筒形状の部材である。尚、この回転伝達部53は、上記スライダ機構部6へ回転力を伝達するための部材であるが、この回転力を伝達するための構成については後述する。また、この回転伝達部53の複数箇所には、この回転伝達部53の内側空間V1と外側空間Vとを連通する比較的小径の開口56,56が形成されている。この開口56,56は、後述する負圧室Vに負圧を導入するための負圧経路として利用されるものである。この負圧経路の詳細については後述する。
上記スライダ機構部6は、上記ウォータポンププーリ5のプーリ本体51内部に収容されており、回転支持部61、スライダ62、ダイアフラム63を備えている。
上記回転支持部61は、略円筒形状の部材であって、上記タイミングチェーンケース2から水平方向に延びる回転支軸21にボールベアリング64を介して回転自在に支持されている。また、このボールベアリング64に隣接した上記タイミングチェーンケース2側(図中右側)の位置における上記回転支持部61と回転支軸21との間にはエアシール65が配設されている。
また、回転支持部61は、上記プーリ本体51に備えられた回転伝達部53に対して相対回転不能に嵌め込まれており、ウォータポンププーリ5が回転すると、その回転力がプーリ本体51及び回転伝達部53を介して回転支持部61に伝達され、スライダ機構部6全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転するようになっている。具体的には、図3(図1におけるIII−III線に対応した位置での断面図)に示すように、回転伝達部53の内周面における周方向の2箇所(図3における上下2箇所)には平坦面部55,55が形成されており、回転支持部61の外周面の2箇所(図3における上下2箇所)にも上記平坦面部55,55に対応する同様の平坦面部66,66が形成されている。この平坦面部55,66同士が位置合わせされて上記回転支持部61が回転伝達部53の内部に嵌め込まれていることで、平坦面部55,66同士が当接し、回転伝達部53と回転支持部61とは相対回転が不能な状態で嵌め合わされている。これによって、スライダ機構部6の全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転する構成となっている。
上記スライダ62は、上記プーリ本体51の内周面に沿って軸心Lに沿う方向に摺動可能に配設されている。また、このスライダ62の外周面にはOリングO1が設けられており、プーリ本体51の内周面との間を気密状態にシールしている。そして、このスライダ62の内周面には上記回転力伝達構造の一部を構成する円筒形状の磁性体としてのマグネット(磁性体)67が一体的に取り付けられている。
上記ダイアフラム63は、例えばゴム製であって、上記回転支持部61の一端部(タイミングチェーンケース2側の端部)とスライダ62の一端部(タイミングチェーンケース2側とは反対側の端部)とを連結する略円板形状の部材で形成されている。これにより、プーリ本体51とスライダ機構部6との間で形成される空間が、外気から遮断された略密閉空間としての負圧室Vとして形成されている。また、この負圧室Vは、上述した如く、上記回転伝達部53に形成された開口56,56を介して、この回転伝達部53の内側空間V1に連通している。また、上記ダイアフラム63が弾性変形することにより、プーリ本体51の内周面に沿うスライダ62の摺動(スライド移動)が許容される構成となっている。図1は、このスライダ62が最もタイミングチェーンケース2側の位置まで移動した状態を示し、図2は、このスライダ62がタイミングチェーンケース2側とは反対側の最大スライド位置まで移動した状態を示している。上記プーリ本体51の内面にはストッパ57が形成されており、上述した如く、スライダ62がタイミングチェーンケース2側とは反対側の最大スライド位置まで移動した場合には、このストッパ57によってスライダ62のスライド位置が規制されるようになっている。
以上のように、この駆動側回転体3は、上記タイミングチェーンケース2から水平方向に延びる回転支軸21によって回転自在に支持されている。つまり、この駆動側回転体3に備えられている上記マグネット67は、回転支軸21の軸心Lを回転中心として回転する構成となっている。
(従動側回転体4の構成)
次に、従動側回転体4の構成について説明する。この従動側回転体4は、ポンプインペラ7及び誘導リング(誘導体)8を備えている。
次に、従動側回転体4の構成について説明する。この従動側回転体4は、ポンプインペラ7及び誘導リング(誘導体)8を備えている。
上記ポンプインペラ7は、上記タイミングチェーンケース2の表面に設けられた凹陥部22により形成されるポンプ渦流室23に配設され、水中軸受などを介して上記回転支軸21により回転自在に且つ軸心方向へのスライド移動が不能に支持されている。そして、このポンプインペラ7の回転によりポンプ渦流室23内の冷却水がエンジンの冷却水通路に送り出され、これにより冷却水の循環動作が行われるようになっている。
上記誘導リング8は、上記ポンプインペラ7のボス部71に回転一体に取り付けられており、鉄芯81の外周にアルミニウム製のリング部材82が取り付けられた構成となっている。
また、この誘導リング8の配設位置としては、上記スライダ62が最もタイミングチェーンケース2側の位置まで移動した状態(図1の状態)では、その全体がマグネット67に対向し、スライダ62がタイミングチェーンケース2側とは反対側の最大スライド位置まで移動した状態(図2の状態)では、その全体がマグネット67に対向しないように設定されている。
以上のように、この従動側回転体4は、上記駆動側回転体3と同様に、上記タイミングチェーンケース2から水平方向に延びる回転支軸21によって回転自在に支持されている。つまり、この従動側回転体4に備えられている上記誘導リング8は、上記マグネット67と同様に回転支軸21の軸心Lを回転中心として回転する構成となっている。
(隔壁の構成)
上記駆動側回転体3が配設されている空間と従動側回転体4が配設されている空間とは隔壁9により仕切られている。具体的に、隔壁9は中央部に開口91が形成された略円形状の板金製の部材である。また、この隔壁9は、外周側に位置する外周側円板部92と、この外周側円板部92の内周側に連続する円筒部93と、この円筒部93の一端から内周側に延びる内周側円板部94とを備えている。
上記駆動側回転体3が配設されている空間と従動側回転体4が配設されている空間とは隔壁9により仕切られている。具体的に、隔壁9は中央部に開口91が形成された略円形状の板金製の部材である。また、この隔壁9は、外周側に位置する外周側円板部92と、この外周側円板部92の内周側に連続する円筒部93と、この円筒部93の一端から内周側に延びる内周側円板部94とを備えている。
上記外周側円板部92の外周縁は、上記タイミングチェーンケース2とウォータポンプハウジング11との間で挟持されている。また、この隔壁9とウォータポンプハウジング11との間にはOリングO2が介在されている。
上記円筒部93は、上記マグネット67と誘導リング8との間に配設されており、これら両者との間に僅かな隙間(エアギャップ)を存して配設されている。これにより、マグネット67と誘導リング8とは、上記スライダ62が図1に示すスライド位置にある場合には、円筒部93を挟んで互いに対向配置されるようになっている。このようにマグネット67と誘導リング8とが対向している状態でエンジンが駆動し、上記駆動側回転体3の回転に伴ってマグネット67が回転すると、誘導リング8の周囲の磁界が変化し、誘導リング8のリング部材82には、その磁界の変化を妨げる方向への誘導電流が発生する。この誘導電流の発生に伴って誘導リング8のリング部材82にはトルクが発生し、その結果、従動側回転体4が回転して、ポンプインペラ7の回転によってウォータポンプ1が駆動することになる。
上記内周側円板部94は、その中心部に上記開口91を備えており、この開口91には、上記回転支軸21が挿通されている。また、この開口91の縁部と回転支軸21の外周面との間にはOリングO3が介在されている。
このようにして、上記駆動側回転体3が配設されている空間(大気側空間)と、従動側回転体4が配設されている空間(冷却水側空間)とは隔壁9により仕切られている。
(負圧供給のための構成及び負圧供給動作)
次に、本実施形態の特徴の一つとして、上記負圧室Vに負圧を供給するための構成について説明する。
次に、本実施形態の特徴の一つとして、上記負圧室Vに負圧を供給するための構成について説明する。
ポンプ流量を可変とするために、上記マグネット67と誘導リング8との軸方向のオーバラップ量(軸方向で互いに重なり合っている寸法)が変更可能な構成とされている。つまり、このオーバラップ量を変更することで、駆動側回転体3から従動側回転体4へ伝達されるトルクを変更し、これによって、従動側回転体4の回転数を変更してウォータポンプの流量(ポンプ吐出量)を変更可能としている。
そして、本実施形態では、このオーバラップ量を変更するための動力源として、エンジンのインテークマニホールド内に発生する吸入負圧を利用するようになっている。以下、具体的に説明する。
先ず、上記回転支軸21の中心部には、一端が上記回転伝達部53の内側空間V1に連通し、他端が上記タイミングチェーンケース2の内部にまで延びる支軸内負圧通路24が形成されている。このため、この支軸内負圧通路24の一端側は、上記回転伝達部53の内側空間V1及びこの回転伝達部53に形成された開口56,56を介して上記負圧室Vに連通している。また、この支軸内負圧通路24は、予め中実円柱形状に形成された回転支軸21の中心部に、ドリル等の加工具により軸心に沿う開口として形成されている。
また、上記タイミングチェーンケース2の内部には、一端が上記支軸内負圧通路24に連通し、他端がタイミングチェーンケース2の下端に開放するケース内負圧通路25が形成されている。このケース内負圧通路25もドリル等の加工具により鉛直方向に延びる開口として形成されている。そして、このケース内負圧通路25における下端の開口には円筒状のソケット12を介して負圧配管13が接続されており、この負圧配管13はVSV(バキュームスイッチングバルブ)14を介してエンジンのインテークマニホールド内に連通している。上記VSV14は、上記ケース内負圧通路25が連通する空間を切り換えるためのバルブであって、上記ケース内負圧通路25を大気に連通させる切り換え状態(以下、第1の切り換え状態と呼ぶ)と、ケース内負圧通路25をインテークマニホールド内に連通させる切り換え状態(以下、第2の切り換え状態と呼ぶ)との間で切り換え可能となっている。
このため、VSV14を上記第1の切り換え状態としてインテークマニホールド内の吸入負圧を負圧室Vへ作用させないようにすれば、スライダ機構部6両側の空間の圧力が均圧され、ダイアフラム63が弾性変形することなく、上記スライダ62が最もタイミングチェーンケース2側の位置まで移動した状態となって、マグネット67の略全体が誘導リング8に対向する。つまり、この両者の軸方向のオーバラップ量が大きくなり、リング部材82に発生するトルクが大きくなってポンプ流量は最大になる。
一方、VSV14を上記第2の切り換え状態としてインテークマニホールド内の吸入負圧を、負圧配管13、ケース内負圧通路25、支軸内負圧通路24、回転伝達部53の内側空間V1を介して負圧室Vへ作用させると、例えば図2に示すように、ダイアフラム63の弾性変形に伴ってスライダ62がスライド移動し、上記マグネット67と誘導リング8との軸方向のオーバラップ量が少なく、または、オーバラップ量が「0」となり、リング部材82に発生するトルクが小さくなってポンプ流量は減少する。この場合、負圧室Vに作用させる負圧を大きくするほど、マグネット67と誘導リング8との軸方向のオーバラップ量は小さくなりポンプ流量は減少していく。つまり、この負圧の大きさを調整(例えばVSV14の開閉スイッチング動作(デューティ制御動作)により調整)することにより、ポンプ流量を調整することが可能である。
例えば、エンジンの始動時のような冷間時には、負圧室Vに作用させる負圧を大きく設定し、上記オーバーラップ量を小さくして、ウォータポンプ1のポンプ流量を減少させてエンジンの早期暖機を図る。また、エンジンの暖機後の温間時には、負圧室Vに作用させる負圧を小さく設定し、上記オーバラップ量を大きくして、ウォータポンプ1のポンプ流量を増大させて、冷却効率の向上を図るといった使用形態が可能である。
尚、負圧室Vに作用させる負圧を大きく設定して、図2に示すようにスライダ62がタイミングチェーンケース2側とは反対側の最大スライド位置まで移動した状態では、上記オーバラップ量が「0」となり、マグネット67の磁界が誘導リング8にほとんど作用しなくなるので、誘導リング8に発生する誘導電流がほぼ「0」なる。これにより、従動側回転体4への伝達トルクがほぼ「0」になり、ウォータポンプ1が停止する。
以上説明したように、本実施形態では、上記誘導リング8に対するマグネット67のオーバラップ量を変更するための負圧を負圧室Vへ作用させる支軸内負圧通路24が上記回転支軸21の内部に形成されている。この回転支軸21の基端側はウォータポンプ1を支持しているタイミングチェーンケース2に繋がっているため、上記支軸内負圧通路24としては、回転支軸21からタイミングチェーンケース2の内部に直接的に(配管等を介することなく)引き込むことが可能である。つまり、駆動側回転体3が配設されている側から負圧配管を介して負圧室に負圧を作用させるといった従来の構成(図10の構成)が必要なくなる。その結果、ウォータポンプ1の前側に負圧配管を配設するためのスペースを確保しておく必要がなくなる。これにより、エンジンルームの省スペース化を図ることが可能になり、例えばエンジンルーム容積の比較的小さな小型車等に対しても搭載可能なウォータポンプ1を実現することが可能になる。
また、この負圧配管を不要としたことで、この負圧配管の支持に必要であったベアリングやエアシール等の部材(図10において符号t1,t2で示す部材)を廃止することができ、且つ負圧配管を引き回すための固定用のブラケットや金属パイプなども不要になるので、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
また、本実施形態のものでは、上述した如く、駆動側回転体3及び従動側回転体4は、共に回転支軸21によって回転自在に支持されている。つまり、この駆動側回転体3に備えられている上記マグネット67及び従動側回転体4に備えられている上記誘導リング8は、共に回転支軸21の軸心Lを回転中心として回転する構成となっている。このため、マグネット67と誘導リング8との回転軸心にはズレが生じることはなく、この両者間の隙間(エアギャップ)を高精度で管理することが可能である。従来の構成では、図10に示したように、駆動側回転体b及び従動側回転体mは、互いに異なる支持構造であったため、この両者の回転軸心にズレが生じている場合にマグネットiや誘導リングoが隔壁qに接触してしまう可能性があることを考慮して上記エアギャップを大きめに(例えば1mm程度に)設計していた。これに対し、本実施形態の構成では、このエアギャップを大幅に小さくする(例えば0.3mm程度に設計する)ことが可能になる。このため、駆動側回転体3から従動側回転体4へ伝達されるトルクの伝達ロスを大幅に削減することができ、ウォータポンプ1の駆動効率の大幅な上昇を図ることが可能である。また、この駆動効率の大幅な向上に伴い、従来のウォータポンプよりも小型のウォータポンプであっても従来同様の高い能力を発揮させることが可能になる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係るウォータポンプ1は、スライダ機構部6の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と略同様である。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係るウォータポンプ1は、スライダ機構部6の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と略同様である。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図4及び図5は本実施形態に係るウォータポンプ1の断面図であって、上記第1実施形態における図1及び図2にそれぞれ相当する図である。また、図6は、図4におけるVI−VI線に対応した位置での断面図である。尚、これら各図において、ウォータポンプ1の主な構成部品であって上記第1実施形態のものと同様の部品については同一の符号を付し、その説明を省略する。
これら図に示すように、本実施形態に係るウォータポンプ1におけるスライダ機構部6は、上記ダイアフラム63は備えておらず、上記回転支持部61とスライダ62とがリング形状の連結プレート68によって一体的に連結された形状となっている。そして、このスライダ機構部6を回転支軸21に対して回転自在とし且つ軸心に沿う方向にスライド移動可能とするための構成として、上記回転支軸21の外周面に高密度の繊維体26が固着されており、上記スライダ機構部6の回転支持部61が、この高密度繊維体26の外周部に当接するように配設されている。この高密度繊維体26は、化学繊維が高密度で束ねられ、上記スライダ機構部6のスライド移動範囲の全体に亘って、回転支軸21の外周面に巻き付けまたは植毛などの手法によって固着されたものである。このように繊維が高密度で束ねられていることで、スライダ機構部6の両側の空間、つまり、負圧室Vと大気側との間を気密状態で隔離している。
このため、VSV14を上記第1の切り換え状態としてインテークマニホールド内の吸入負圧を負圧室Vへ作用させないようにすれば、図4に示すように、マグネット67と誘導リング8との間の吸引力によりマグネット67の略全体が誘導リング8に対向する。つまり、この両者の軸方向のオーバラップ量が大きくなり、リング部材82に発生するトルクが大きくなってポンプ流量は最大になる。一方、VSV14を上記第2の切り換え状態としてインテークマニホールド内の吸入負圧を負圧室Vへ作用させると、図5に示すように、マグネット67と誘導リング8との軸方向のオーバラップ量が少なく、または、オーバラップ量が「0」となり、リング部材82に発生するトルクが小さくなってポンプ流量は減少することになる。
また、本実施形態において、スライダ機構部6の全体をウォータポンププーリ5と一体的に回転させるための構成としては以下の構成が採用されている。
つまり、上記スライダ機構部6のスライダ62は、上記ウォータポンププーリ5のプーリ本体51に対して相対回転不能に嵌め込まれており、ウォータポンププーリ5が回転すると、その回転力がプーリ本体51を介してスライダ62に伝達され、スライダ機構部6全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転するようになっている。具体的には、図6に示すように、プーリ本体51の内周面における周方向の2箇所(図6における上下2箇所)には平坦面部58,58が形成されており、スライダ62の外周面の2箇所(図6における上下2箇所)にも上記平坦面部58,58に対応する同様の平坦面部69,69が形成されている。この平坦面部58,69同士が位置合わせされて上記スライダ62がプーリ本体51の内部に嵌め込まれていることで、平坦面部58,69同士が当接し、スライダ62とプーリ本体51とは相対回転が不能な状態で嵌め合わされている。これによって、スライダ機構部6の全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転する構成となっている。
本実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態の構成により得られる効果に加えて以下の効果も奏することができる。つまり、上記スライダ機構部6の回転を許容する軸受けとしての機能と、スライダ機構部6のスライド移動を可能にするスライダ機能とを上記高密度繊維体26に兼ね備えさせることができ、部品点数の削減及び構成の簡素化を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態に係るウォータポンプ1も、スライダ機構部6の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と略同様である。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態に係るウォータポンプ1も、スライダ機構部6の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と略同様である。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図7及び図8は本実施形態に係るウォータポンプ1の断面図であって、上記第1実施形態における図1及び図2にそれぞれ相当する図である。また、図9は、図7におけるIX−IX線に対応した位置での断面図である。尚、これら各図においても、ウォータポンプ1の主な構成部品であって上記第1実施形態のものと同様の部品については同一の符号を付し、その説明を省略する。
これら図に示すように、本実施形態に係るウォータポンプ1におけるスライダ機構部6は、上記第2実施形態のものと同様に、上記ダイアフラム63は備えておらず、上記回転支持部61とスライダ62とがリング形状の連結プレート68によって一体的に連結された形状となっている。そして、上記第2実施形態との相違点として、このスライダ機構部6は、外周側がプーリ本体51の内周面に、内周側が回転伝達部53の外周面にそれぞれ当接し、これら各面に沿ってスライド移動可能な構成とされている。そして、スライダ62の外周面及び回転支持部61の内周面にはOリングO1,O4がそれぞれ設けられており、これにより負圧室Vの気密性が確保されている。
また、上記ウォータポンププーリ5の回転伝達部53の内周面と上記回転支軸21の外周面との間には比較的大型のボールベアリング50が備えられており、ウォータポンププーリ5が回転支軸21の軸心Lを回転中心として回転する構成となっている。
また、本実施形態において、スライダ機構部6の全体をウォータポンププーリ5と一体的に回転させるための構成としては以下の構成が採用されている。
つまり、上記プーリ本体51に備えられた回転伝達部53は、上記スライダ機構部6に備えられた回転支持部61に対して相対回転不能に嵌め込まれており、ウォータポンププーリ5が回転すると、その回転力がプーリ本体51及び回転伝達部53を介して回転支持部61に伝達され、スライダ機構部6全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転するようになっている。具体的には、図9に示すように、回転伝達部53の外周面における周方向の2箇所(図9における上下2箇所)には平坦面部59,59が形成されており、回転支持部61の内周面の2箇所(図9における上下2箇所)にも上記平坦面部59,59に対応する同様の平坦面部60,60が形成されている。この平坦面部59,60同士が位置合わせされて上記回転伝達部53が回転支持部61の内部に嵌め込まれていることで、平坦面部59,60同士が当接し、回転伝達部53と回転支持部61とは相対回転が不能な状態で嵌め合わされている。これによって、スライダ機構部6の全体がウォータポンププーリ5と一体的に回転する構成となっている。
尚、本実施形態におけるポンプ吐出量の調整動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態の構成により得られる効果に加えて以下の効果も奏することができる。つまり、ウォータポンププーリ5を回転自在に支持しているベアリング50は、上記スライダ機構部6を回転支軸21の軸心Lを回転中心として回転自在に支持する機能も兼ね備えている。このため、ウォータポンププーリ5に対しては、その外周側を支持するベアリング(第1実施形態におけるベアリング54)が不要になり、ウォータポンプ1全体としてのベアリングの個数を削減でき、軸受け構造の簡素化を図ることができる。
尚、本実施形態のものでは、上記ボールベアリング50に隣接するエアシールを存在させない構成としたが、第1実施形態で示したように、必要に応じてエアシールを適用してもよい。
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、自動車用エンジンに搭載され、エンジンからの駆動力を受けることで作動する車両用ウォータポンプ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用以外の用途に使用されるウォータポンプに対しても適用することができる。また、ウォータポンプ1の駆動源としても内燃機関に限定されるものではなく、電動機(電動モータ)から駆動力を受けるものであってもよい。
以上説明した各実施形態は、自動車用エンジンに搭載され、エンジンからの駆動力を受けることで作動する車両用ウォータポンプ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用以外の用途に使用されるウォータポンプに対しても適用することができる。また、ウォータポンプ1の駆動源としても内燃機関に限定されるものではなく、電動機(電動モータ)から駆動力を受けるものであってもよい。
また、スライダ62をスライド移動させるための駆動力である負圧としてはインテークマニホールド内の吸入負圧を利用するようにしていたが、本発明はこれに限らず、バキュームポンプなどの他の負圧発生源を採用するようにしてもよい。
更に、上記各実施形態では、内周側に誘導リング8を外周側にマグネット67を配設し、マグネット67をスライド移動させることで従動側回転体4への伝達トルクを変更するようにしていた。本発明は、これに限らず、外周側に誘導リングを内周側にマグネットを配設し、誘導リングをスライド移動させることで従動側回転体への伝達トルクを変更する構成を採用してもよい。
また、上記各実施形態にあっては、負圧室Vへの負圧の作用を解除した際にスライダ62を元の位置に復帰させるための付勢力の発生源としてコイルスプリングを負圧室V内に圧縮状態で収容しておくようにしてもよい。
更に、上記各実施形態にあっては、タイミングチェーンケース2の表面に設けられた凹陥部22によりポンプ渦流室23を形成していたが、シリンダブロックを利用してポンプ渦流室を形成するものに対しても本発明は適用可能である。
1 ウォータポンプ
2 タイミングチェーンケース(ケース部材)
21 回転支軸
24 支軸内負圧通路
25 ケース内負圧通路
26 高密度繊維体
3 駆動側回転体
4 従動側回転体
5 ウォータポンププーリ
6 スライダ機構部
61 回転支持部
62 スライダ
63 ダイアフラム
67 マグネット(磁性体)
7 ポンプインペラ
8 誘導リング(誘導体)
V 負圧室
L 軸心
2 タイミングチェーンケース(ケース部材)
21 回転支軸
24 支軸内負圧通路
25 ケース内負圧通路
26 高密度繊維体
3 駆動側回転体
4 従動側回転体
5 ウォータポンププーリ
6 スライダ機構部
61 回転支持部
62 スライダ
63 ダイアフラム
67 マグネット(磁性体)
7 ポンプインペラ
8 誘導リング(誘導体)
V 負圧室
L 軸心
Claims (5)
- 駆動源からの駆動力が伝達されて回転する駆動側回転体と、ポンプインペラを有し且つ回転支軸によって回転自在に支持された従動側回転体とを備え、上記駆動側回転体及び従動側回転体のうちの一方に備えられた磁性体と他方に備えられた誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさを変更するようにしたウォータポンプにおいて、
上記磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更するための駆動力として負圧発生源で発生した負圧が作用可能な負圧室が設けられており、
上記回転支軸には、上記負圧室に負圧を作用させるための支軸内負圧通路が設けられていることを特徴とするウォータポンプ。 - 上記請求項1記載のウォータポンプにおいて、
上記回転支軸は、内燃機関に備えられたケース部材に一体形成されており、このケース部材には、上記負圧発生源に繋がるケース内負圧通路が形成されていて、
上記回転支軸に形成されている支軸内負圧通路は、一端側が負圧室に、他端側が上記ケース内負圧通路にそれぞれ連通していることを特徴とするウォータポンプ。 - 上記請求項1または2記載のウォータポンプにおいて、
上記駆動側回転体は、駆動源からの駆動力を受けるウォータポンププーリと、このウォータポンププーリの内部にスライド移動自在に収容されたスライダ機構部とを備えていると共に、上記負圧室は、これらウォータポンププーリとスライダ機構部との間の空間として形成されており、
上記回転支軸は、従動側回転体の軸心部及び駆動側回転体の軸心部を通って上記ウォータポンププーリの内側空間まで延設されており、その回転支軸の先端において上記支軸内負圧通路が開放されていることにより、上記負圧室と支軸内負圧通路とが連通されていることを特徴とするウォータポンプ。 - 上記請求項3記載のウォータポンプにおいて、
上記スライダ機構部は、回転支軸に対して回転自在で且つ軸心方向への移動が不能に支持された回転支持部と、磁性体または誘導体を支持して上記回転支軸の軸心に沿う方向にスライド移動可能とされたスライダと、上記回転支持部とスライダとを連結する弾性材料で成るダイアフラムとを備え、
上記負圧室に作用する負圧の大きさに応じて上記ダイアフラムが弾性変形してスライダがスライド移動することにより磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更する構成とされていることを特徴とするウォータポンプ。 - 上記請求項3記載のウォータポンプにおいて、
上記スライダ機構部は、回転支軸の外周面に設けられた高密度繊維体の外周囲に外挿されて、回転支軸に対して回転自在で且つ軸心方向へのスライド移動が可能に支持されており、
上記負圧室に作用する負圧の大きさに応じて上記スライダ機構部がスライド移動することにより磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更する構成とされていることを特徴とするウォータポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007189647A JP2009024632A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | ウォータポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007189647A JP2009024632A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | ウォータポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009024632A true JP2009024632A (ja) | 2009-02-05 |
Family
ID=40396652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007189647A Pending JP2009024632A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | ウォータポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009024632A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012031624A1 (en) * | 2010-09-07 | 2012-03-15 | Pierburg Pump Technology Gmbh | Mechanical coolant pump |
-
2007
- 2007-07-20 JP JP2007189647A patent/JP2009024632A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012031624A1 (en) * | 2010-09-07 | 2012-03-15 | Pierburg Pump Technology Gmbh | Mechanical coolant pump |
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