JP2009114907A - ウォーターポンプ - Google Patents

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教介 十河
Takasuke Shikita
卓祐 敷田
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Abstract

【課題】簡素な構成で、しかも、複雑な制御を要することなく、流量を変更可能なウォーターポンプを提供する。
【解決手段】ウォーターポンプ10は、駆動側回転体20と、従動側回転体30とを備え、駆動側回転体20に設けられたマグネット25と、従動側回転体30に設けられた誘導リング32との軸方向のオーバーラップ量を変更することにより、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力の大きさを変更するように構成される。駆動側回転体20には、マグネット25を支持するスライド部材24が設けられる。スライド部材24は、作動流体が封入される作動室50と、そのような作動流体が封入されていない空気室60とを区画するように配設される。そして、作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することでスライド部材24が移動することにより上記オーバーラップ量が変更される。
【選択図】図1

Description

本発明は、水冷式エンジン等に用いられるウォーターポンプに関する。特に、本発明は、流量可変型のウォーターポンプの改良に関する。
水冷式エンジン等に用いられるウォーターポンプとして、流量可変型(容量可変型とも呼ばれる)のものが知られている。この種のウォーターポンプにおいて、駆動源であるエンジンの駆動力を受けるウォーターポンププーリを含む駆動側回転体と、ポンプ渦流室に配設されたポンプインペラを含む従動側回転体とをそれぞれ配設し、駆動側回転体から従動側回転体への回転力の伝達を非接触の状態で行うようにしたものがある。具体的には、駆動側回転体に取り付けられた磁性体としてのマグネットと、従動側回転体に取り付けられた誘導体としての誘導リングとの間で回転力が伝達されて、ウォーターポンプが駆動されるようになっている。マグネットと誘導リングとは、所定の間隔をあけて対向して配置され、両者の間には、ステンレス製などの隔離壁(隔壁)が介在される。誘導リングは、例えば、鉄芯の外周にアルミニウム製のリング部材が取り付けられた構成となっている。
そして、上述のような非接触式のウォーターポンプにおいては、磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力をエンジンの運転状態に応じて変更することによって、ウォーターポンプの流量(ポンプ吐出量)が変更されるようになっている。例えば、特許文献1には、マグネットを軸方向(回転軸方向)に沿ってスライドさせることによって、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力を調整して流量を可変とするウォーターポンプが示されている。また、ウォーターポンプの上部に設けたアクチュエータにより、マグネットをスライドさせることが示されている。
特開平11−6433号公報
ところで、従来では、上述したような流量可変型のウォーターポンプにおいて、磁性体と誘導体との相対的な対向位置を変更するためのアクチュエータとして、例えば、負圧式のものや、電動式のものなどが利用される場合がある。しかし、この場合、アクチュエータの機構が複雑になり、コストアップや、搭載性の悪化が懸念される。また、アクチュエータの制御が複雑になるという問題点がある。例えば、負圧式のアクチュエータの場合、負圧を導入するための配管や切り換えバルブなどが必要になり、また、制御装置によって切り換えバルブの制御を行うにあたって、予めその適合が必要になり、そのための工数を要してしまう。
本発明は、そのような問題点を鑑みてなされたものであり、簡素な構成で、しかも、複雑な制御を要することなく、流量を変更可能なウォーターポンプを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、ウォーターポンプであって、駆動源からの駆動力が伝達されて回転する駆動側回転体と、ポンプインペラを有し且つ回転支軸によって回転自在に支持された従動側回転体とを備え、上記駆動側回転体および従動側回転体のうちの一方に設けられた磁性体と、他方に設けられた誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、上記駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさを変更するように構成されている。そして、上記駆動側回転体または従動側回転体には、上記磁性体および誘導体のうちの一方を支持する支持部材が設けられており、上記支持部材は、冷却水温度にしたがって膨張・収縮可能な作動流体が封入される作動室と、そのような作動流体が封入されていない空気室とを区画するように配設されており、上記支持部材は、上記作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することによって移動され、この支持部材の移動により上記磁性体と誘導体との対向位置が変更されることを特徴としている。
このような構成のウォーターポンプでは、作動流体の膨張・収縮による作動室の内圧の変化にともなって支持部材が移動することで、磁性体と誘導体との対向位置が変更され、駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさが変更される。これにより、ウォーターポンプの流量が変更される。そして、上記構成によれば、作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することによって、上記対向位置が変更されるので、例えば、負圧式のアクチュエータや、電動式のアクチュエータを用いて上記対向位置を変更する構成に比べて、極めて簡素な構成によりウォーターポンプの流量を変更することができる。これにより、部品点数の削減やコストダウンを図ることができ、搭載性の向上を図ることができる。しかも、制御装置による複雑な制御を必要とすることなく、ウォーターポンプの流量を変更することができる。さらに、予め適合を行うことも不要になり、そのための工数を省くことができる。
本発明において、冷却水温度が変化する範囲で、上記対向位置を変更するのに必要な作動流体の膨張量(収縮量)を確保するには、作動流体として、熱膨張率が空気よりも大きい流体を用いることが好ましい。あるいは、作動流体として、沸点が冷却水温度の変化する範囲内にある流体を用いることが好ましい。このような作動流体としては、例えば、ジエチルエーテルが好適である。
本発明において、上記磁性体と誘導体との対向位置を変更する具体的な態様としては、例えば、上記支持部材を回転軸方向に沿ってスライド可能に設け、この支持部材のスライド移動により上記磁性体と誘導体との回転軸方向のオーバーラップ量を変更する構成が挙げられる。
本発明によれば、作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することによって、磁性体と誘導体との対向位置が変更されるので、例えば、負圧式のアクチュエータや、電動式のアクチュエータを用いて磁性体と誘導体との対向位置を変更する構成に比べて、極めて簡素な構成によりウォーターポンプの流量を変更することができる。これにより、部品点数の削減やコストダウンを図ることができ、搭載性の向上を図ることができる。しかも、制御装置による複雑な制御を必要とすることなく、ウォーターポンプの流量を変更することができる。さらに、予め適合を行うことも不要になり、そのための工数を省くことができる。
本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。この実施形態は、自動車用エンジンに搭載され、エンジンからの駆動力を受けることで作動する車両用ウォーターポンプに本発明を適用した例について説明する。
−ウォーターポンプの全体構成−
まず、ウォーターポンプの全体的な構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るウォーターポンプの断面図である。
図1に示すように、ウォーターポンプ10は、ポンプ筐体を構成するウォーターポンプハウジング11が、エンジンのタイミングチェーンケース(ケース部材)12にボルト13によって一体的に取り付けられることで、エンジン前面(縦置きエンジンの場合には車両前方側の面、横置きエンジンの場合には車両側方側の面)に配設されている。
ウォーターポンプ10は、ウォーターポンププーリ21が設けられた駆動側回転体20と、ポンプインペラ31が設けられた従動側回転体30と、駆動側回転体20と従動側回転体30との間を仕切る隔壁40とを備えている。そして、駆動側回転体20から従動側回転体30への回転力の伝達が、後述するように、非接触の状態で行われるようになっている。
駆動側回転体20は、ウォーターポンププーリ21、取付プレート22、駆動側ケーシング23、スライド部材24、および、磁性体としてのマグネット25を備えており、これらが水平軸まわりに一体的に回転するように構成されている。駆動側回転体20は、その水平軸まわりにほぼ回転対称な形状になっている。
ウォーターポンププーリ21は、ボルト26によって取付プレート22に一体的に取り付けられている。ウォーターポンププーリ21のベルト巻き掛け部21aの外周面には、補機ベルト14が巻き掛けられている。補機ベルト14は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられた図示しないクランクプーリの他、種々の補機類に備えられたプーリに掛け渡されている。このため、エンジンの駆動時には、エンジンのクランクシャフトの回転駆動力が、補機ベルト14を介して、各補機類に伝達されるとともに、ウォーターポンププーリ21にも伝達され、このウォーターポンププーリ21が水平軸まわりに回転するようになっている。
取付プレート22は、駆動側ケーシング23に一体的に取り付けられている。具体的に、取付プレート22の内周側に設けられるボス部22aに、駆動側ケーシング23の回転軸部23aの軸方向(回転軸方向)の一端部(図1の左端部)が相対回転不能に嵌め込まれている。
駆動側ケーシング23は、軸方向に延びる上述の回転軸部23aと、この回転軸部23aの軸方向他端部(図1の右端部)の外周側に一体的に設けられるケース部23bとを備えている。回転軸部23aは、ボールベアリング27を介して、ウォーターポンプハウジング11に回転自在に支持されている。また、回転軸部23aとウォーターポンプハウジング11との間には、エアシール16が設けられており、これにより、後述する作動室50および空気室60が外気(大気)から遮断されている。
回転軸部23aの中心部には、スライド部材24のスライド軸部24aが挿入される挿入穴23eが形成されている。回転軸部23aの軸方向一端部(左端部)は閉塞されている。この挿入穴23eは、後述する作動室50に連通している。ケース部23bは、一方側(タイミングチェーンケース12が配設されている側)が開放された有底円筒形状の部分であって、回転軸部23aの右端部から外周側に延びる円環部23cと、この円環部23cの外周縁から上記一方側に連続する円筒部23dによって構成される。
スライド部材24は、マグネット25を支持する支持部材である。このスライド部材24は、駆動側ケーシング23の内側に収容されており、駆動側ケーシング23に対し相対回転不能且つ軸方向に沿って摺動可能に設けられている。また、スライド部材24は、後述する作動室50と空気室60とを区画するように配設されている。そして、スライド部材24は、作動室50に封入された作動流体の膨張・収縮にしたがって駆動側ケーシング23に対しスライド移動して、その軸方向位置(スライド位置)が変更される構成となっている。図1は、スライド部材24が最もタイミングチェーンケース12側のスライド位置まで移動した状態を示し、図2は、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側から最も離れたスライド位置まで移動した状態を示している。なお、作動室50や作動流体などの詳細については後述する。
スライド部材24は、具体的に、軸方向に延びるスライド軸部24aと、このスライド軸部24aの軸方向他端部(右端部)の外周側に一体的に設けられるマグネット支持部24bとを備えている。スライド軸部24aは、駆動側ケーシング23の回転軸部23aの内周面にスプライン嵌合等の手段によって相対回転不能且つ軸方向へのスライド移動可能に嵌め込まれている。
マグネット支持部24bは、駆動側ケーシング23のケース部23bと同じく一方側(タイミングチェーンケース12が配設されている側)が開放された有底円筒形状の部分であって、スライド軸部24aの右端部から外周側に延びる円板部24cと、この円板部24cの外周縁から上記一方側に連続する円筒部24dによって構成される。円板部24cは、駆動側ケーシング23の円環部23cと対向して設けられている。円筒部24dの外周面は、駆動側ケーシング23の円筒部23dの内周面と摺接するように設けられている。円筒部24dの外周面にはOリング28が設けられており、円筒部23dの内周面との間を気密状態にシールしている。これにより、後述する作動室50と空気室60とが遮断されている。円筒部24dの内周面には、リング状のマグネット(永久磁石)25が一体的に取り付けられている。
従動側回転体30は、上述した駆動側回転体20に対して非接触状態に配設され且つその駆動側回転体20からの回転力が伝達されて回転する構成となっている。従動側回転体30は、ポンプインペラ31、および、誘導体としての誘導リング32を備えており、これらが水平軸まわりに一体的に回転するように構成されている。従動側回転体30は、その水平軸まわりにほぼ回転対称な形状になっている。
ポンプインペラ31は、タイミングチェーンケース12の表面に設けられた凹陥部12aにより形成されるポンプ渦流室12bに配設されている。ポンプインペラ31は、軸方向に延びる回転支軸33に水中軸受34を介して回転自在且つ軸方向へのスライド移動が不能に支持されている。回転支軸33は、タイミングチェーンケース12に一体的に取り付けられている。そして、ポンプインペラ31の回転によりポンプ渦流室12b内の冷却水がエンジンの冷却水通路に送り出され、これにより冷却水の循環動作が行われるようになっている。
誘導リング32は、ポンプインペラ31のボス部31aに回転一体に取り付けられている。誘導リング32は、鉄芯32aの外周にアルミニウム製のリング部材32bが取り付けられた構成となっている。誘導リング32のリング部材32bと駆動側回転体20のマグネット25とは同心状に配置されおり、径方向の内外で所定の間隔を隔てて配置されている。また、この誘導リング32の配設位置としては、スライド部材24が最もタイミングチェーンケース12側のスライド位置まで移動した状態(図1の状態)では、その全体がマグネット25に対向し、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側とは反対側の最大スライド位置まで移動した状態(図2の状態)では、その全体がマグネット25に対向しないように設定されている。
駆動側回転体20が配設されている空間と従動側回転体30が配設されている空間とは、ステンレス製(例えばSUS304など)の隔壁40によって仕切られている。この隔壁40は、駆動側回転体20と従動側回転体30との間の部分の形状に応じた形状になっており、具体的には、外周側に位置する外周側円環部41と、この外周側円環部41の内周側に連続する円筒部42と、この円筒部42の一端から内周側に延びる内周側円板部43とを備えている。
外周側円環部41の外周縁は、ウォーターポンプハウジング11とタイミングチェーンケース12との間で挟持されている。外周側円環部41の外周縁とウォーターポンプハウジング11との間にはOリング15が介在されている。
円筒部42は、駆動側回転体20のマグネット25と従動側回転体30の誘導リング32との間に配設されており、これら両者25,32との間に僅かな隙間を存して配置されている。これにより、マグネット25と誘導リング32とは、スライド部材24が図1に示すスライド位置にある場合には、円筒部42を挟んで互いに対向配置されるようになっている。
また、内周側円板部43は、駆動側回転体20のスライド部材24と従動側回転体30を支持する回転支軸33および誘導リング32との間に配設されている。このように、駆動側回転体20が配設されている空間と、従動側回転体30が配設されている空間とは隔壁40によって隔離されており、したがって、駆動側回転体20から従動側回転体30への回転力の伝達が非接触の状態で行われるようになっている。
ここで、駆動側回転体20から従動側回転体30への回転力の伝達について説明する。エンジンが駆動し、ウォーターポンププーリ21が回転すると、その回転力が取付プレート22を介して駆動側ケーシング23およびスライド部材24に伝達され、これにより、駆動側回転体20が一体となって回転する。この駆動側回転体20の回転にともなってマグネット25が回転すると、従動側回転体30の誘導リング32の周囲の磁界が変化し、誘導リング32のリング部材32bには、その磁界の変化を妨げる方向への誘導電流が発生する。この誘導電流の発生にともなってトルクが発生し、これにより、従動側回転体30が一体となって回転する。その結果、ポンプインペラ31が回転し、ウォーターポンプ10が駆動される。なお、マグネット25と誘導リング32のリング部材32bとの間隔を小さく設定するほど、駆動側回転体20から従動側回転体30への回転力の伝達を効率よく行うことが可能になる。
そして、この実施形態では、駆動側回転体20のマグネット25と従動側回転体30の誘導リング32との相対的な対向位置を変更することによって、ウォーターポンプ10の流量(ポンプ吐出量)を変更するようにしている。具体的には、マグネット25と誘導リング32との軸方向のオーバーラップ量(軸方向で互いに重なり合っている寸法)を変更することで、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達されるトルクを変更し、これによって、従動側回転体30の回転数を変更してウォーターポンプ10の流量を変更するようにしている。上記オーバーラップ量は、スライド部材24のスライド位置を変更することによって変更される。スライド部材24のスライド位置は、図1に示す最もタイミングチェーンケース12側の位置と、図2に示すタイミングチェーンケース12側から最も離れた位置との間で変更可能になっている。
−実施形態の特徴部分−
この実施形態の特徴部分は、上述したようなウォーターポンプ10において、作動室50に封入される作動流体の膨張・収縮にしたがってスライド部材24のスライド位置(軸方向位置)を変更し、マグネット25と誘導リング32との相対的な対向位置を変更する点にある。すなわち、マグネット25と誘導リング32との相対的な対向位置を変更するための構成、言い換えれば、上記オーバーラップ量を変更するための構成として、周囲の温度(冷却水温度)にしたがって膨張・収縮可能な特性を有する作動流体を、作動室50に封入する構成を採用したことを特徴としている。以下、この特徴構成について詳しく説明する。
ウォーターポンプ10のウォーターポンプハウジング11と隔壁40とによって囲まれた空間は、外気(大気)から遮断された密閉空間となっている。この密閉空間に、作動流体が封入される作動室50が設けられている。また、この密閉空間には、空気室60が作動室50の隣りに並んで設けられている。作動室50と空気室60とは、スライド部材24を挟んで軸方向に沿って並んで配置されている。言い換えれば、スライド部材24によって、密閉空間が作動室50と空気室60とに区画されている。
作動室50は、駆動側回転体20の内部に設けられており、駆動側ケーシング23とスライド部材24との間で形成される空間となっている。具体的には、作動室50は、駆動側ケーシング23のケース部23bと、スライド部材24のスライド軸部24aおよびマグネット支持部24bとによって囲まれた空間として構成されている。一方、空気室60は、駆動側回転体20を囲むように設けられている。そして、空気室60は、ウォーターポンプハウジング11と、隔壁40と、駆動側ケーシング23と、スライド部材24との間で形成される空間となっている。作動室50と空気室60とは、上述したOリング28によって遮断されている。そして、作動室50と空気室60とは、ともに気密状態に保たれている。
作動室50に封入される作動流体は、周囲の温度が低いとき(冷却水温度が低いとき)には収縮し、逆に、周囲の温度が高いとき(冷却水温度が高いとき)には膨張する特性を有する流体である。作動流体は、作動室50内で、気体の状態で存在していてもよいし、液体の状態の存在していてもよい。また、作動流体は、気体と液体とが混ざり合った状態で存在していてもよい。さらに、作動流体は、空気と混ざり合った状態で存在していてもよい。
作動流体は、上記オーバーラップ量を変更するのに必要な膨張量(収縮量)を確保できる流体であれば、いかなるものであってもよいが、冷却水温度が変化する範囲で、熱膨張率が空気よりも大きい流体であることが好ましい。あるいは、作動流体は、沸点が冷却水温度の変化する範囲内にある流体であることが好ましい。このような作動流体としては、例えば、ジエチルエーテルが挙げられる。なお、ジエチルエーテルの沸点(大気圧下では約35℃)は、作動室50の内圧に応じて変化するので、空気室60に封入する空気の加圧状態を調整することによって任意に設定することが可能である。この点は、ジエチルエーテル以外の流体を用いた場合も同様である。
一方、空気室60には、そのような作動流体は封入されておらず、空気だけが封入されている。この実施形態では、空気が予め加圧された状態で空気室60に封入されており、空気室60の内圧が大気圧よりも高くなるように設定されている。
次に、以上のような作動流体を有する作動室50を備えたウォーターポンプ10の動作について説明する。
ウォーターポンプ10においては、上述した密閉空間は、冷却水が流通するポンプ渦流室12bに隣接して設けられており、しかも、ポンプ渦流室12bとの間には隔壁40だけしか介在されていないので、冷却水の温度がその密閉空間の作動室50に封入されている作動流体に伝わりやすい状況となっている。このため、作動室50の作動流体は、冷却水温度の変化に応じて膨張または収縮し、これにともない、作動室50の内圧が上昇または低下する。なお、空気室60の空気も冷却水温度の変化に応じて膨張または収縮して、空気室60の内圧が上昇または低下するが、この空気室60の内圧の変化は、作動室50の内圧の変化に比べて緩やかになっている。
具体的には、冷却水温度が高くなれば、作動室50の作動流体が膨張し、作動室50の内圧が上昇する。ここで、作動流体の膨張は、気体状態の作動流体の膨張を意味するとともに、作動流体の気化にともなう膨張をも意味する。作動流体として、ジエチルエーテルを用いた場合、冷却水温度が高くなると、ジエチルエーテルが液体状態から気体状態に変化して膨張するとともに、気体状態のジエチルエーテルが膨張することで、作動室50の内圧が上昇する。
逆に、冷却水温度が低くなれば、作動室50の作動流体が収縮し、作動室50の内圧が低下する。ここで、作動流体の収縮は、気体状態の作動流体の収縮を意味するとともに、作動流体の液化にともなう収縮をも意味する。作動流体として、ジエチルエーテルを用いた場合、冷却水温度が低くなると、気体状態のジエチルエーテルが収縮するとともに、ジエチルエーテルが気体状態から液体状態に変化して収縮することで、作動室50の内圧が低下する。
そして、作動流体の膨張・収縮による作動室50の内圧の変化にともなって、作動室50の壁体を構成するスライド部材24が軸方向に沿ってスライド移動する。つまり、作動流体の膨張・収縮にしたがってスライド部材24のスライド位置が変更される。これにより、マグネット25と誘導リング32との上記オーバーラップ量が変更される。
具体的には、冷却水温度が上昇すると、作動室50の作動流体が膨張して、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側へ向けて移動する。これにより、上記オーバーラップ量が大きくなる。より詳細には、作動室50の作動流体の膨張により、作動室50の内圧が上昇する。そして、作動室50の内圧が空気室60の内圧を上回ると、作動室50の内圧と空気室60の内圧とがバランスを保つように、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側へ向けて移動する。これにより、上記オーバーラップ量が大きくなり、駆動側回転体20のマグネット25の回転によって従動側回転体30の誘導リング32の周囲に発生する磁界が大きくなり、誘導リング32のリング部材32bに発生する誘導電流が大きくなる。この結果、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が大きくなり、ウォーターポンプ10の流量が増大される。
この場合、冷却水温度が上昇するほど、作動室50の作動流体の膨張量が大きくなり、スライド部材24のスライド位置がタイミングチェーンケース12側へ変更されて、上記オーバーラップ量が大きくなる。これにともない、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が大きくなり、ウォーターポンプ10の流量が大きくなる。
そして、スライド部材24が図1に示すスライド位置まで移動すると、マグネット25のほぼ全体が誘導リング32に対向する。このとき、上記オーバーラップ量が最大となり、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が最大となり、ウォーターポンプ10の流量が最大となる。この場合、ストッパ29によって、スライド部材24のタイミングチェーンケース12側への移動が規制されるようになっている。
これに対し、冷却水温度が低下すると、作動室50の作動流体が収縮して、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側とは反対側へ向けて移動する。これにより、上記オーバーラップ量が小さくなる。より詳細には、作動室50の作動流体の収縮により、作動室50の内圧が低下する。そして、作動室50の内圧が空気室60の内圧を下回ると、作動室50の内圧と空気室60の内圧とがバランスを保つように、スライド部材24がタイミングチェーンケース12側とは反対側へ向けて移動する。これにより、上記オーバーラップ量が小さくなり、駆動側回転体20のマグネット25の回転によって従動側回転体30の誘導リング32の周囲に発生する磁界が小さくなり、誘導リング32のリング部材32bに発生する誘導電流が小さくなる。この結果、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が小さくなり、ウォーターポンプ10の流量が減少される。
この場合、冷却水温度が低下するほど、作動室50の作動流体の収縮量が大きくなり、スライド部材24のスライド位置がタイミングチェーンケース12側とは反対側へ変更されて、上記オーバーラップ量が小さくなる。これにともない、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が小さくなり、ウォーターポンプ10の流量が小さくなる。
そして、スライド部材24が図2に示すスライド位置まで移動すると、マグネット25の全体が誘導リング32に対向しなくなる。このとき、上記オーバーラップ量が最小となり、駆動側回転体20から従動側回転体30へ伝達される回転力が最小となり、ウォーターポンプ10の流量が最小となる。この場合、上記オーバーラップ量が「0」となり、ウォーターポンプ10が停止するようになっている。なお、このとき、スライド部材24の円板部24cが駆動側ケーシング23の円環部23cに接触することによって、スライド部材24の移動が規制されるようになっている。
したがって、例えばエンジンの暖機後のような温間時には、冷却水温度が高いので(例えば70℃以上)、上記オーバーラップ量が大きくなり、その結果、図3の実線L1で示すように、ウォーターポンプ10の流量を増大させて冷却効率を向上させることが可能になる。また、例えばエンジンの始動時のような冷間時には、冷却水温度が低いので(例えば20度以下)、上記オーバーラップ量が小さくなり、その結果、図3の実線L2で示すように、ウォーターポンプ10の流量を減少させてエンジンの早期暖機を図ることが可能になる。
以上のようなウォーターポンプ10によれば、作動室50に封入された作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することによって、上記オーバーラップ量が変更されるので、例えば、負圧式のアクチュエータや、電動式のアクチュエータを用いて上記オーバーラップ量を変更する構成に比べて、極めて簡素な構成によりウォーターポンプ10の流量を変更することができる。これにより、部品点数の削減やコストダウンを図ることができ、搭載性の向上を図ることができる。しかも、制御装置による複雑な制御を必要とすることなく、ウォーターポンプ10の流量を変更することができる。さらに、予め適合を行うことも不要になり、そのための工数を省くことができる。また、ジエチルエーテルは、作動流体として適しており、図3に示すようなエンジンの冷間時および温間時のウォーターポンプ10の流量の実現に好適である。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態はさまざまに変形することが可能である。
駆動側回転体20から従動側回転体30への回転力の伝達が非接触の状態で可能な構成であれば、駆動側回転体20、従動側回転体30、隔壁40の構成部材や、それらの形状、配置位置などは、上述した場合だけに限定されず、さまざまに変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、駆動側回転体20にマグネット25を設け、従動側回転体30に誘導リング32を設けたが、駆動側回転体に誘導リングを設け、従動側回転体にマグネットを設ける構成としてもよい。
また、マグネット25と誘導リング32のオーバーラップ量を変更可能な構成であれば、作動室50、空気室60の構成部材や、それらの形状、配置位置などは、上述した場合だけに限定されず、さまざまに変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、マグネット25の移動によりマグネット25と誘導リング32のオーバーラップ量を変更したが、誘導リング32を移動させることによって、マグネット25と誘導リング32のオーバーラップ量を変更する構成としてもよい。
また、空気室60内にコイルスプリングを圧縮状態で配設する構成としてもよい。この場合、作動室50の内圧と、空気室60の内圧およびコイルスプリングの付勢力とのバランスによって、スライド部材24の軸方向への移動が可能になる。
上記実施形態では、予め加圧した空気を空気室60に封入したが、空気の加圧は必ずしも必要ではない。また、空気室は、密閉空間ではなく、大気と連通した空間であってもよい。ただし、上述したように、空気室60に予め空気を加圧した状態で封入する構成では、その空気圧を調整することによって、作動室50の作動流体の沸点を適宜に設定することが可能になる。
上記実施形態では、タイミングチェーンケース12の表面に設けられた凹陥部12aによりポンプ渦流室12bを形成した場合について説明したが、エンジンのシリンダブロックを利用してポンプ渦流室を形成するものに対しても本発明は適用可能である。
上記実施形態では、自動車用エンジンに搭載され、エンジンからの駆動力を受けることで作動する車両用ウォーターポンプに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用以外の用途に使用されるウォーターポンプに対しても適用することができる。また、ウォーターポンプの駆動源としてもエンジン(内燃機関)に限定されるものではなく、電動機(電動モータ)から駆動力を受けるものであってもよい。
実施形態に係るウォーターポンプを示す断面図であって、高水温時の状態を示す図である。 実施形態に係るウォーターポンプを示す断面図であって、低水温時の状態を示す図である。 高水温時および低水温時のエンジン回転数とウォーターポンプの流量との関係の一例を示す図である。
符号の説明
10 ウォーターポンプ
11 ウォーターポンプハウジング
12 タイミングチェーンケース
12b ポンプ渦流室
20 駆動側回転体
21 ウォーターポンプギア
24 スライド部材(支持部材)
25 マグネット(磁性体)
30 従動側回転体
31 ポンプインペラ
32 誘導リング(誘導体)
33 回転支軸
40 隔壁
50 作動室
60 空気室

Claims (5)

  1. 駆動源からの駆動力が伝達されて回転する駆動側回転体と、ポンプインペラを有し且つ回転支軸によって回転自在に支持された従動側回転体とを備え、上記駆動側回転体および従動側回転体のうちの一方に設けられた磁性体と、他方に設けられた誘導体との相対的な対向位置を変更することにより、上記駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさを変更するように構成されたウォーターポンプにおいて、
    上記駆動側回転体または従動側回転体には、上記磁性体および誘導体のうちの一方を支持する支持部材が設けられており、
    上記支持部材は、冷却水温度にしたがって膨張・収縮可能な作動流体が封入される作動室と、そのような作動流体が封入されていない空気室とを区画するように配設されており、
    上記支持部材は、上記作動流体が冷却水温度にしたがって膨張・収縮することによって移動され、この支持部材の移動により上記磁性体と誘導体との対向位置が変更されることを特徴とするウォーターポンプ。
  2. 請求項1に記載のウォーターポンプにおいて、
    上記作動流体が、熱膨張率が空気よりも大きい流体であることを特徴とするウォーターポンプ。
  3. 請求項1に記載のウォーターポンプにおいて、
    上記作動流体が、沸点が冷却水温度の変化する範囲内にある流体であることを特徴とするウォーターポンプ。
  4. 請求項1に記載のウォーターポンプにおいて、
    上記作動流体が、ジエチルエーテルであることを特徴とするウォーターポンプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のウォーターポンプにおいて、
    上記支持部材は、回転軸方向に沿ってスライド可能に設けられており、この支持部材のスライド移動により上記磁性体と誘導体との回転軸方向のオーバーラップ量が変更されることで、上記駆動側回転体から従動側回転体へ伝達される回転力の大きさが変更されることを特徴とするウォーターポンプ。
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