JP2009024228A - 高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法 - Google Patents

高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種の溶接鋼構造物用鋼として高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】 C:0.003〜0.05%、Si:0.60%以下、Mn:0.6〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.010%以下、Cr:0.20〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.060%以下、N:0.001〜0.006%で、必要に応じ、特定量のV、Ti、Ni、Cu、B、Mg、Ca、REMを1種または2種以上をさらに含有し、実質的にMoを含有せず、かつ、PCM値が0.24%以下の鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了した後、放冷または750℃以上の温度から加速冷却を開始し550℃以下の温度で加速冷却を停止する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、火災など高温時の耐力維持を目的とした建築構造用耐火鋼を主たるターゲットとするものであるが、建築用途に限らず、海洋構造物、船舶、橋梁、各種貯槽タンク用など幅広い用途の溶接構造用鋼に適用できる。なお、主に対象とする強度レベルは、降伏強さで235〜475MPa、引張強さで400〜640MPaの、いわゆる一般に40キロ、50キロ鋼と呼ばれるクラスである。
高温耐力の確保を目的とした建築用途でのいわゆる耐火鋼は、特開平2−77523号公報などをはじめとして多くの技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、そのほとんどはMoを含有するものである。確かに、Moは、鋼の高温耐力を確保する上で極めて有効な元素であるが、同時に高価な元素でもある。
ところで、JIS等で規格化されている一般の構造用鋼は、約350℃から強度低下するため、その許容温度は約500℃となっている。すなわち、ビルや事務所、住居、立体駐車場などの建築物に前記の鋼材を用いた場合は、火災時における安全性を確保するため、十分な耐火被覆を施すことが義務付けられており、建築関連諸法令では、火災時に鋼材温度が350℃以上にならないように規定されている。これは、前記鋼材では、350℃程度で耐力が常温の2/3程度になり、必要な強度を下回るためである。このため、一般鋼材を建造物に利用する場合、火災時において鋼材の温度が350℃に達しないように耐火被覆を施す必要がある。
したがって、耐火鋼製造においては、一般鋼+耐火被覆ならびにその施工コストに見合うものであることが前提となる。ところが、高温耐力維持を目的として一般に添加されるMoは市況変化が大きく、添加量にもよるが、耐火被覆コストと見合わない状況も出てくることもある。このため、Moを添加しない安価な高温強度保証鋼の開発・実用化が待たれていた。
特開平2−77523号公報 特開平3−58687号公報
本発明は、市況変動の大きいMoを添加せずに優れた高温強度とともに鋼材の基本性能の一つである低温靭性にも優れる溶接構造用鋼を得るため、比較的低いCとCr−Nb複合添加をベースに鋼成分を溶接割れ感受性組成PCMとともに特定範囲に限定し、さらに製造方法を限定することで、工業的に安定して、しかも低コストで供給可能な高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法を提供することを課題とする。
本発明のポイントは、高温耐力確保・維持にきわめて有効なために通常用いられるMoを添加することなく、高温耐力を安定して確保するため、比較的低いC量とCr−Nbの複合添加により、変態組織強化とCrやNbの析出物(炭窒化物)を利用するものである。Moを含有しない高温耐力保証鋼は、それ自体きわめて画期的であると同時に、焼入性の高いMoを含有しないことで、溶接構造用鋼としての基本性能(強度、靭性)はもちろん、溶接性やガス切断性をもかえって向上させることにもつながる。
本発明は、Cr、Nbのみならず、C、Si、Mnをはじめとする個々の合金元素量およびPCMを限定し、さらに製造条件を限定することで、溶接構造用鋼としての各種使用性能はもちろん、優れた高温強度と低温靭性を両立させたものであるが、その発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 成分が質量%で、
C:0.003〜0.05%、
Si:0.60%以下、
Mn:0.6〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Cr:0.20〜1.5%、
Nb:0.005〜0.05%、
Al:0.060%以下、
N:0.001〜0.006%
さらに、Moがコンタミネーションとして含有する程度の0.03%以下で、実質的にMoを含有せず、残部が鉄および不可避的不純物からなり、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bと定義するPCM値が0.24%以下からなる鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了し、その後放冷することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
(2) 上記(1)項に記載の鋼成分を有する鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了した後、750℃以上の温度から加速冷却を開始し、550℃以下の温度で加速冷却を停止することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
(3) 上記(1)項に記載の鋼成分に加え、
V:0.01〜0.10%、
Ti:0.005〜0.025%
の範囲で1種または2種をさらに含有することを特徴とする上記(1)または(2)項に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
(4) さらに、質量%で
Ni:0.05〜0.50%、
Cu:0.05〜0.50%、
B:0.0002〜0.003%、
Mg:0.0002〜0.005%
の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)項に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
(5)さらに、質量%で
Ca:0.0005〜0.004%、
REM:0.0005〜0.008%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)項に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
本発明により、高温強度と低温靭性に優れた溶接構造用鋼が大量かつ安価に提供できるようになった。その結果、建築構造用として、耐火被覆の軽減または省略が可能となった。また、建築以外の用途においても、強度、靭性などの基本性能を具備した上で、さらに高温強度をも具備したため、高温に晒される可能性のある溶接構造物用鋼として、構造物の安全性を一段と高めることができるようになった。
本発明が、請求項の通りに鋼成分を限定した理由について説明する。
Cは、高張力鋼としてはきわめて低いレベルに限定しており、本発明の特徴の一つである。これは、後述する他の成分とともに製造方法とも密接に関係している。鋼成分の中でもCは鋼材の特性に最も大きな影響を及ぼすもので、下限0.003%は強度確保や溶接などの熱影響部が必要以上に軟化することのないようにするための最小量である。しかし、C量が多すぎると焼入性が必要以上に上がり、鋼材が本来有すべき強度、靱性のバランス、溶接性などに悪影響を及ぼしたり、後述するように、目的とする板厚や強度によっては加速冷却を比較的低温で停止するケースがあるが、その際に鋼材表層の極端な硬化や板厚断面方向の材質変動を抑えるため、上限を0.05%とした。
Siは、脱酸上鋼に含まれる元素であるが、多く添加すると溶接性、HAZ靭性が劣化するため、上限を0.60%に限定した。鋼の脱酸はTi、Alのみでも十分可能であり、HAZ靱性、焼入性などの観点から低いほど好ましく、必ずしも添加する必要はない。
Mnは、常温の強度、靭性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.6%である。しかし、Mn量が多すぎると焼入性が上昇して溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけでなく、連続鋳造スラブの中心偏析を助長するので上限を2.0%とした。
Pは、本発明鋼においては不純物であり、P量の低減はHAZにおける粒界破壊を減少させる傾向があるため、少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.020%とした。
Sは、Pと同様本発明鋼においては不純物であり、母材の低温靭性の観点からは少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.010%とした。
Crは、本発明における最も重要な元素の一つである。実質的にMoを含有しない本発明鋼においては、高温強度確保のため後述するNbとともにCr添加が必須である。これは、Crの焼入性向上効果により変態温度が低下し、組織的にはセメンタイトを含む硬質組織がベイニティックとなって常温および高温時の強度を嵩上げし、さらに高温時にはCrの析出物を利用するためである。これらの効果を享受するため、最低0.20%、好ましくは0.5%以上が必要である。しかし、添加量が多すぎると母材、溶接部の靭性および溶接性の劣化を招き、経済性も失するため上限を1.5%とした。
Nbは、Crとともに本発明における最も重要な元素である。なぜなら、実質的にMoを含有しない本発明鋼においては、高温耐力確保のためNbの析出物(炭窒化物)を利用しているからである。このため、少なくとも0.005%以上、好ましくは0.01%以上必要である。しかし、多すぎる添加は、溶接部の靭性劣化を招くため、上限を0.05%とした。なお、Nb添加は、オーステナイトの未再結晶温度を上昇させ、熱間圧延時の制御圧延の効果を最大限に発揮することにも寄与する。
Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、脱酸はSiまたはTiだけでも十分であり、本発明鋼においては、Alを添加しなくても良いのでその下限は限定しない。しかし、Al量が多くなると鋼の清浄度が悪くなるだけでなく、溶接金属の靭性が劣化するので上限を0.060%とした。
Nは、不可避的不純物として鋼中に含まれるものであるが、Nbと結合して炭窒化物を形成して強度を増加させ、また、TiNを形成して前述のように鋼の性質を高める。このため、N量として最低0.001%必要である。しかしながら、N量の増加は溶接熱影響部靭性、溶接性に有害であり、本発明鋼においてはその上限は0.006%である。
次に必要に応じて含有することができるV、Tiの添加理由について説明する。
Vは、Nbとほぼ同様の効果を有し、本発明におけるVの役割は、Nbを補完するものである。ただし、Vは、Nbに比べて効果は小さく、焼入れ性にも影響を及ぼすため、上下限を限定したものだが、下限はV添加の効果を確実に享受できる最少量として0.01%に、上限は後述するPCMへの影響も勘案し0.10%とした。
Tiは母材および溶接熱影響部靭性向上のために必須である。なぜならばTiは、Al量が少ないとき(例えば0.003%以下)、Oと結合してTi2O3を主成分とする析出物を形成、粒内変態フェライト生成の核となり溶接熱影響部靭性を向上させる。また、TiはNと結合してTiNとしてスラブ中に微細析出し、加熱時のγ粒の粗大化を抑え圧延組織の細粒化に有効であり、また鋼板中に存在する微細TiNは、溶接時に溶接熱影響部組織を細粒化するためである。これらの効果を得るためには、Tiは最低0.005%必要である。しかし多過ぎるとTiCを形成し、低温靭性や溶接性を劣化させるので、その上限は0.025%である。
次に、Ni、Cu、B、Mgの添加理由について説明する。
基本となる成分に、さらにこれらの元素を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強度、靭性などの特性を向上させるためである。したがってその添加量は自ずと制限されるべき性質のものである。
Niは、過剰に添加しなければ、溶接性、溶接熱影響部靭性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靭性を向上させる。これら効果を発揮させるためには、少なくとも0.05%以上の添加が必須である。一方、過剰な添加は高価なだけでなく、溶接性に好ましくない。また、Niを多く添加すると液体アンモニア中で応力腐食割れ(SCC)を誘起する可能性が指摘されている。発明者らの実験によれば、0.5%までの添加は溶接性や液体アンモニア中でのSCCを大きく劣化させず、強度、靭性向上効果の方が大きいが、経済性を優先し、上限を0.5%とした。
Cuは、Niとほぼ同様の効果、現象を示し、上限の0.50%は溶接性劣化に加え、過剰な添加は熱間圧延時にCu−クラックが発生し製造困難となるため規制される。下限は実質的な効果が得られるための最小量とすべきで0.05%である。
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、フェライトの生成を抑制することを介して、焼入性を向上させ、強度向上に寄与する。この効果を享受するため、最低0.0002%以上必要である。しかし、多すぎる添加は焼入性向上効果が飽和するだけでなく、靭性上有害となるB析出物を形成する可能性もあるため、上限を0.003%とした。なお、タンク用鋼などとして、応力腐食割れが懸念されるケースでは、母材および溶接熱影響部の硬さの低減がポイントとなることが多く(例えば、硫化物応力腐食割れ(SCC)防止のためにはHRC≦22(HV≦248)が必須とされる)、そのようなケースでは焼入性を増大させるB添加は好ましくない。
Mgは、溶接熱影響部においてオーステナイト粒の成長を抑制し、細粒化する作用があり、溶接部の強靭化が図れる。このような効果を享受するためには、Mgは0.0002%以上必要である。一方、添加量が増えると添加量に対する効果代が小さくなるため、コスト上得策ではないので上限は0.005%とした。
次に、請求項4にかかるCaまたはREMの添加理由について説明する。
CaおよびREMは、MnSの形態を制御し、母材の低温靭性を向上させるほか、湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を低減させる。これらの効果を発揮するためには、最低0.0005%必要である。しかし、多すぎる添加は、鋼の清浄度を逆に悪化させ、母材靭性や湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を高めるため、添加量の上限はCa、REMそれぞれ0.004%、0.008%に限定した。CaとREMは、ほぼ同等の効果を有するため、いずれか1種を上記範囲で添加すればよく、両者を添加してもよい。
鋼の個々の成分を限定しても、成分系全体が適切でないと優れた特性は得られない。本発明では、PCMの値を0.24%以下に限定する。PCMは溶接性を表す指標で、低いほど溶接性は良好である。一般に、PCMが0.24%以下であれば優れた溶接性の確保が可能であり、本発明における前記限定は、本発明の特徴をより明確にすることを企図したものである。下限は特に限定しないが、各成分の限定範囲から自ずと制約されるものである。
限定された鋼成分において、優れた高温強度と低温靭性を両立する溶接構造用高張力鋼を得るためには、製造条件も本発明の通りに限定することが必要である。以下、その理由について説明する。
圧延に先立つ加熱温度を1000〜1300℃に限定した理由は、加熱時のオーステナイト粒を小さく保ち、圧延組織の微細化を図るためである。1300℃は加熱時のオーステナイトが極端に粗大化しない上限温度であり、加熱温度がこれを超えるとオーステナイト粒が粗大混粒化し、変態後の組織も粗大化するため鋼の靭性が著しく劣化する。一方、加熱温度が低すぎると、板厚によっては後述する圧延終了温度の確保が困難となるばかりでなく、オーステナイトの未再結晶温度を上昇させ、熱間圧延時の制御圧延の効果を最大限に発揮させたり、析出硬化を発現させるためのNbの溶体化の観点から下限を1000℃に限定した。
上述のような条件で加熱した鋳片または鋼片を、800℃以上で熱間圧延を終了した後、放冷または750℃以上の温度から加速冷却を開始し、550℃以下の温度で加速冷却を停止することが必要である。圧延終了温度が800℃を下回ると、C量が比較的少ない本発明鋼においては、フェライトが変態析出し、フェライトを加工(圧延)する恐れがあり、低温靭性確保の点で好ましくない。このため、圧延終了温度は、800℃以上に限定する。
800℃以上で熱間圧延を終了した後、比較的強度の低い、いわゆる40キロ級鋼(例えばJIS規格のSM400、SN400鋼)は、放冷しても所定の強度を満足できる。しかし、50キロ級鋼(例えばJIS規格のSM490、SN490鋼)で特に板厚が厚くなると放冷では強度の安定確保が困難となるため、800℃以上で熱間圧延を終了した後、750℃以上の温度から加速冷却することとする。圧延後の加速冷却は、鋼材の特性をより高めるためであって、本発明の優れた特徴を損なうものではない。
加速冷却は、そもそも変態域の冷速を早めることで組織を微細化し、強度と靭性を同時に向上させるためのものである。したがって、変態開始前あるいは少なくとも変態終了前に開始しなければ実質的に意味を持たない。このため、加速冷却開始温度は750℃以上に限定したものである。この加速冷却は、その効果を享受する上で550℃以下の温度まで冷却する必要がある。550℃を超える温度では、加速冷却時の変態が十分に進行せず、組織の微細化が不十分となるためである。
なお、加速冷却時の冷速は、鋼成分や意図する強度や低温靭性レベルによっても変わるため一概には言えないが、板厚1/4厚位置の加速冷却開始温度から550℃までの平均冷速で、少なくとも3℃/秒以上とすることが望ましい。
また、圧延材(放冷または加速冷却材)に対し、Ac1温度以下の焼き戻し処理を付加しても本発明の優れた特徴を損ねることはなく、冷却の不均一性をキャンセルし、材質の板内均一性を高めるためにはむしろ好ましい。
転炉−連続鋳造−厚板工程で種々の鋼成分の鋼板(厚さ19〜100mm)を製造し、その材質を調査した。
表1に比較鋼とともに本発明鋼の鋼成分を、表2に鋼板の製造条件と諸特性を示す。
本発明法にしたがって製造した鋼板(本発明鋼)は、すべて良好な特性を有する。これに対し、本発明によらない比較鋼は、いずれかの特性が劣る。
比較鋼11はC量が高いため、本発明鋼に比較し母材、再現HAZとも低温靭性に劣る。比較鋼12はNbが添加されておらず、また、比較鋼13はCr量が低いため、いずれも高温強度が低い。比較鋼14は、C量が低いために高温強度が低い。比較鋼15はCr量が高いため、母材、再現HAZとも靭性に劣る。比較鋼16はNbが高いため、HAZ靭性に劣る。
比較鋼17は成分上は本発明鋼5と同一である。しかし、比較鋼17−1は圧延終了温度が低く、結果として加速冷却開始温度が確保できずに低くなってしまったため、常温、高温強度ともに低い。比較鋼17−2は加速冷却開始温度が低いため、常温、高温強度ともに低い。比較鋼17−3は、加速冷却停止温度が高いため、常温、高温強度ともに低い。
なお、本発明鋼はもちろん比較鋼においてもPCMは低いため、溶接性(斜めy形溶接割れ試験)はいずれも良好で、明確な差は見られなかった。
Figure 2009024228
Figure 2009024228

Claims (5)

  1. 成分が質量%で、
    C:0.003〜0.05%、
    Si:0.60%以下、
    Mn:0.6〜2.0%、
    P:0.020%以下、
    S:0.010%以下、
    Cr:0.20〜1.5%、
    Nb:0.005〜0.05%、
    Al:0.060%以下、
    N:0.001〜0.006%
    さらに、Moがコンタミネーションとして含有する程度の0.03%以下で、実質的にMoを含有せず、残部が鉄および不可避的不純物からなり、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bと定義するPCM値が0.24%以下からなる鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了し、その後放冷することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鋼成分を有する鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了した後、750℃以上の温度から加速冷却を開始し、550℃以下の温度で加速冷却を停止することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
  3. 請求項1に記載の鋼成分に加え、
    V:0.01〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.025%
    の範囲で1種または2種をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
  4. さらに、質量%で
    Ni:0.05〜0.50%、
    Cu:0.05〜0.50%、
    B:0.0002〜0.003%、
    Mg:0.0002〜0.005%
    の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
  5. さらに、質量%で
    Ca:0.0005〜0.004%、
    REM:0.0005〜0.008%
    の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
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