JP2009023931A - 含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン、含ハロゲンチアポルフィリンおよびこれらの製造方法 - Google Patents

含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン、含ハロゲンチアポルフィリンおよびこれらの製造方法 Download PDF

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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
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Abstract

【課題】有機半導体として有用な含ハロゲンチアポルフィリンを提供すること。
【解決手段】下記式(1)で示される含ハロゲンチアポルフィリン〔式中、X11はハロゲン原子を表す。Yは、SまたはNHを表す。Rは、アルコキシル基等の置換基を表す。a+b≦4であることを条件として、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。〕。
Figure 2009023931

【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体等として利用できる含ハロゲンチアポルフィリン、前記チアポルフィリンの出発原料として有用な含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン、およびこれらの製造方法に関するものである。
ポルフィリンは、大きなπ電子共役系を有するにもかかわらず比較的入手しやすいことから、非線形光学材料、光電変換素子ドーパント、光電導キャリヤ発生材料、光記録材料などとして盛んに研究されてきた。またポルフィリン環の中心元素として、窒素とは異なる元素を有するヘテロポルフィリンについても、様々な研究がなされている。
例えば特許文献1は、ポルフィリン環の中心元素として硫黄元素を有するチアポルフィリン、および酸素元素を有するオキサポルフィリンを開示している。この特許文献1の請求項1では、置換基は「任意」である旨が記載され、その範囲には、ありとあらゆるチア/オキサポルフィリンが包含されている。しかし特許文献1の発明は、従来技術に比べて特に良好な平面性を有するヘテロポルフィリンを提供することを目的ないし解決課題とする(特許文献1の段落[0005]参照)。その目的から考えると、特許文献1のヘテロポルフィリンは、実質上、ピロール環、チオフェン環およびフラン環に芳香環が縮合したポルフィリン(例えばベンゾチアポルフィリン)に特定される。
そして特許文献1の縮合環を有するヘテロポルフィリンは、ビシクロ環が縮環したピロール、チオフェンおよびフランを出発原料として、まず前駆体であるビシクロ化合物を製造し、次いでこの前駆体を加熱して脱エチレンを行うことによって、縮合環を有するヘテロポルフィリンが製造される(特許文献1の段落[0035]、[0036]および実施例参照)。
特開2004−256450号公報
しかし特許文献1に開示されている方法では、チアポルフィリンの縮合チオフェン環(殊にベンゾチオフェン環)にハロゲンを導入することは難しい。出発原料であるビシクロ環が縮環したチオフェン(殊に、特許文献1の実施例で使用されているビシクロ[2.2.2]オクタジエンが縮環したチオフェン)に、ハロゲンを導入することは困難だからである。
オリゴチオフェンのようなp型の有機半導体に電子求引性基を導入することで、n型半導体に極性変換できることは知られている。そのため、チオフェン環に電子求引性基であるハロゲン原子を導入した含ハロゲンチアポルフィリンは、有用な有機半導体(殊にn型の有機半導体)として期待される。さらに、ベンゾチオフェン環を有するベンゾチアポルフィリンは、平面性が高いため、高いキャリア移動度が期待できる。なお特許文献1の段落[0029]には、ヘキサデカフルオロテトラベンゾチアポルフィリンが開示されている。しかし前述のように、ビシクロ環を有する前駆体を経る特許文献1の方法では、ヘキサデカフルオロテトラベンゾチアポルフィリンの製造は困難である。さらに特許文献1は、ハロゲン原子(殊にフッ素原子)の電子求引性およびその影響について何ら記載していない。
本発明の目的は、有機半導体(殊にn型の有機半導体)として有用な含ハロゲンチアポルフィリン(詳しくは含ハロゲンベンゾチオフェン環を有する含ハロゲンチアポルフィリン)を提供することにある。さらに本発明の別の目的は、上記の含ハロゲンチアポルフィリンを合成するために有用な、含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンを提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の含ハロゲンチアポルフィリンは、下記式(1)で示される含ハロゲンチアポルフィリン(以下「含ハロゲンチアポルフィリン(1)」と略称する)である。
Figure 2009023931
上記式中、X11はハロゲン原子を表す。
Yは、SまたはNHを表す。
11は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
12〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR12とR13、R14とR15、およびR16とR17の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
a+b≦4であることを条件として、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。
含ハロゲンチアポルフィリン(1)の中で、下記式(2)で示される含ハロゲンジチアポルフィリン(以下「含ハロゲンジチアポルフィリン(2)」と略称する)が好ましい。
Figure 2009023931
上記式中、X21およびX22は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。
21およびR22は、それぞれ独立に、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
23〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、脂肪族複素環基、または芳香族複素環基を表すか、或いはR23とR24、およびR25とR26の組合せのいずれか1つまたは2つが、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、または芳香族複素環を形成する。
c+d≦4およびe+f≦4であることを条件として、cおよびeは、それぞれ独立に1〜4の整数を表し、dおよびfは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
含ハロゲンチアポルフィリン(1)の中で、下記式(3)で示される含ハロゲンチアポルフィリン(以下「含ハロゲンチアポルフィリン(3)」と略称する)が好ましい。
Figure 2009023931
上記式中、X31はハロゲン原子を表す。
31は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
32〜R37は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR32とR33、R34とR35、およびR36とR37の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
g+h≦4であることを条件として、gは1〜4の整数を表し、hは0〜3の整数を表す。
含ハロゲンチアポルフィリン(1)は、出発原料として、下記式(11)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン(以下「ジホルミル体(11)」と略称する)を用いて製造することができる。
Figure 2009023931
上記式中、X11、Y、R11〜R17、aおよびbの説明は、上記式(1)のものと同じである。
含ハロゲンジチアポルフィリン(2)は、下記式(21)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン(以下「ジホルミル体(21)」と略称する)を還元して、下記式(22)で示される含ハロゲン−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ベンゾチオフェン(以下「ビス(ヒドロキシメチル)体(22)」と略称する)を形成し、これと下記式(23)で示されるピロール(以下「ピロール(23)」と略称する)とを反応させ、次いで酸化することによって製造することが好ましい。
Figure 2009023931
上記式中、X21、X22およびX23は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。
21、R22およびR27の説明は、上記式(2)でR21等について説明したものと同じである。
23〜R26、R28およびR29の説明は、上記式(2)でR23等について説明したものと同じである。
c+d≦4、e+f≦4およびj+k≦4であることを条件として、c、eおよびjは、それぞれ独立に1〜4の整数を表し、d、fおよびkは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
含ハロゲンチアポルフィリン(3)は、下記式(31)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン(以下「ジホルミル体(31)」と略称する)と、下記式(32)で示されるトリピラン(以下「トリピラン(32)」と略称する)とを反応させ、次いで酸化することによって製造することが好ましい(下記式中、X31、R31〜R37、gおよびhの説明は、上記式(3)のものと同じである)。
Figure 2009023931
本発明は、さらに、下記式(4)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン(以下「ジホルミル体(4)」と略称する)を提供する。
Figure 2009023931
上記式中、X41はハロゲン原子を表す。
41は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。
ジホルミル体(4)は、まず下記式(41)で示される含ハロゲン−2−ベンゾチオフェン(以下「ベンゾチオフェン(41)」と略称する)をホルミル化して下記式(42)で示されるモノホルミル体(以下「モノホルミル体(42)」と略称する)を形成し、次いでこのモノホルミル体(42)のホルミル基を保護してからホルミル化を行い、その後にホルミル基の脱保護を行うことによって、製造することができる。
Figure 2009023931
上記式中、X41、R41、mおよびnの説明は、上記式(4)のものと同じである。
本発明によれば、含ハロゲンベンゾチオフェン環を有する含ハロゲンチアポルフィリンが提供される。この含ハロゲンチアポルフィリンは、電子求引性であるハロゲンおよび平面性を高めるベンゾチオフェン環を有するので、有機半導体(殊にn型の有機半導体)として有用である。さらに本発明によれば、前記ポルフィリンを製造するために有用な、含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンが提供される。
まず本発明の含ハロゲンチアポルフィリン(1)について、説明する。
Yは、SまたはNHを表す。含ハロゲンチアポルフィリン(1)としては、Y=Sである含ハロゲンジチアポルフィリン、およびY=NHである含ハロゲンチアポルフィリンの両方とも好ましい。
11は、ハロゲン原子を表し、好ましくはフッ素、塩素または臭素原子、より好ましくはフッ素または塩素原子、さらに好ましくはフッ素原子である。同時に複数種のハロゲン原子が存在してもよい。電子求引性の観点からハロゲン原子の数aは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4である。電子求引性の観点からは、X11がフッ素原子であり、且つaが4であることが最も好ましい。
11は、アルコキシル基(−OR)またはチオアルコキシル基(−SR)であってもよい。R11のアルコキシル基またはチオアルコキシル基中のRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数が1〜20(より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基);または好ましくは炭素数が6〜20(より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基(好ましくはフェニル基)である。
11は、好ましくは炭素数が1〜20(より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基);好ましくは炭素数が6〜20(より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基(好ましくはフェニル基)であってもよい。脂肪族炭化水素基の形状は、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のいずれでもよい。またR11は、脂肪族または芳香族複素環基でもよい。複素環基は、単環または縮合環のいずれの形状でもよいが、好ましくは3〜6員環(より好ましくは5または6員環)の単環(例えばフラン、チオフェンまたはピロール等)形状の複素環基が望ましい。これらの脂肪族または芳香族の炭化水素基または複素環基は、その炭素骨格上の置換基として、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよい。さらに前記芳香族炭化水素基および複素環基は、さらなる置換基(例えばアルキル基)等を有していてもよい。
12〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、置換若しくは未置換アミノ基(−NR’2)、カルボン酸アミド基(−NHCOR)、スルホン酸アミド基(−NHSO2R)、アルコキシル基(−OR)、チオアルコキシル基(−SR)、ホルミル基(−CHO)、アシル基(−COR)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR)、置換若しくは未置換カルバモイル基(−CONR’2)、スルホ基(−SO3H)、スルホン酸エステル基(−SO3R)、置換若しくは未置換スルファモイル基(−SO2NR’2)であってもよい。前記アミノ基等のR’は、それぞれ独立に、水素原子;好ましくは炭素数が1〜20(より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基);または好ましくは炭素数が6〜20(より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基(好ましくはフェニル基)である。R12〜R17のアルコキシル基等のRは、R11のアルコキシル基等で説明したものと同じである。さらにR12〜R17は、R11で説明したものと同じ脂肪族または芳香族の炭化水素基または複素環基であってもよい。
さらにR12とR13、R14とR15、およびR16とR17の組合せのいずれか1つ(好ましくは2つ、より好ましくは3つ全部)が、互いに結合して、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素環または複素環を形成していてもよい。これらの環は、その炭素骨格上の置換基として、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、その他の置換基(例えばアルキル基等)を有していてもよい。
12とR13等が形成する環は、好ましくは芳香族炭化水素環、より好ましくはベンゼン環またはナフタレン環、さらに好ましくはベンゼン環である。R12とR13等が芳香族炭化水素環を形成することによって、チアポルフィリンの平面性が高まり、有機半導体としての特性(特にキャリア移動度)が向上し得るからである。
12とR13等が形成する脂肪族炭化水素環としては、ビシクロ[2.2.2]オクタジエンが好ましい。このビシクロ環を有するチアポルフィリンは、溶媒への溶解性が高いからである。またこのビシクロ環は、加熱・脱エチレンによってベンゼン環に変換でき、そうして平面性の高いチアポルフィリンが得られるからである。
次に、本発明の好ましいジチアポルフィリン(2)について説明する。好ましいジチアポルフィリン(2)は、ハロゲン原子が、ピロール環側(R23、R24、R25およびR26)には存在せず、ベンゾチオフェン環側にのみ(X21およびX22として、またはR21およびR22中のさらなる置換基として)存在することを特徴とする。このようにハロゲン原子が偏在することによって、ジチアポルフィリン(2)中の電子配向に異方性が生じ、特異な電気的性質が現れ得る。またハロゲン原子の偏在によってジチアポルフィリンの結晶は、特異的に(例えば90°回転した形で)パッキングすると考えられ、このことによっても特異な電気的性質が得られると予想される。
ジチアポルフィリン(2)のX21およびX22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、好ましくはフッ素、塩素または臭素原子、より好ましくはフッ素または塩素原子、さらに好ましくはフッ素原子である。同時に複数種のハロゲン原子が存在してもよい。電子求引性の観点からハロゲン原子の数cおよびeは、それぞれ独立に、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4である。電子求引性の観点からは、X21およびX22がフッ素原子であり、且つcおよびeが4であることが最も好ましい。
含ハロゲンチアポルフィリン(2)のR21およびR22としては、前述のR11で説明したものと同じ置換基を選択し得る。またR23〜R26としては、ハロゲン原子が存在しないことを条件に、前述のR12〜R17と同じ置換基または環を選択し得る。
含ハロゲンチアポルフィリン(2)の有機半導体としてのキャリア移動度を高めるために、R23とR24、およびR25とR26の組合せのいずれか1つ(好ましくは2つ)が、それぞれ独立に、芳香族環(好ましくはベンゼン環またはナフタレン環、より好ましくはベンゼン環)を形成していることが望ましい。またR23とR24、およびR25とR26の組合せのいずれか1つ(好ましくは2つ)が、ビシクロ[2.2.2]オクタジエンを形成していることも好ましい態様である。このビシクロ環は、熱処理によって平面性の高いベンゼン環に変換できるからである。
溶媒への溶解度を高めるためには、R23〜R26の少なくとも1つ(好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ全部)が、それぞれ独立に、好ましくは炭素数が4〜10(より好ましくは6〜8)の脂肪族炭化水素基(好ましくは直鎖状アルキル基)であることが望ましい。
含ハロゲンチアポルフィリン(2)の好ましい具体例として、以下のものを挙げることができる。
Figure 2009023931
Figure 2009023931
次に、本発明の好ましいチアポルフィリン(3)について説明する。
ハロゲン原子X31およびその数gの説明は、前述のX11およびその数aと同じである。また含ハロゲンチアポルフィリン(3)のR31としては、前述のR11で説明したものと同じ置換基を選択することができ、R32〜R37としては、前述のR12〜R17と同じ置換基または環を選択し得る。
電子求引性の効果をより高めるためには、R32〜R37の1つ以上(好ましくは全部)が、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)であることが望ましい。
含ハロゲンチアポルフィリン(3)の有機半導体としてのキャリア移動度を高めるために、R32とR33、R34とR35、およびR36とR37の組合せのいずれか1つ(好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ全部)が、それぞれ独立に、芳香族環(好ましくはベンゼン環またはナフタレン環、より好ましくはベンゼン環)、またはビシクロ[2.2.2]オクタジエンを形成していることが好ましい。さらにR32とR33、R34とR35、およびR36とR37の組合せのいずれか(好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ全部)が形成するベンゼン環は、ベンゼン環の炭素に結合する置換基として、1〜4個(好ましくは2〜4個、さらに好ましくは3〜4個)のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよい。
含ハロゲンチアポルフィリン(3)の溶媒への溶解度を高めるためには、R32〜R37のいずれか1つ(好ましくは2〜6つ、より好ましくは3〜6つ、さらに好ましくは6つ全部)が、それぞれ独立に、好ましくは炭素数が4〜10(より好ましくは6〜8)の脂肪族炭化水素基(好ましくは直鎖状アルキル基)であることが望ましい。
含ハロゲンチアポルフィリン(3)の好ましい具体例として、以下のものを挙げることができる。
Figure 2009023931
Figure 2009023931
Figure 2009023931
Figure 2009023931
含ハロゲンチアポルフィリン(1)は、出発原料として、新規化合物であるジホルミル体(11)を用いることによって、製造することができる(なおジホルミル体(11)については、以下で詳述する)。詳しくはY=Sである含ハロゲンチアポルフィリン(1)は、例えば下記の含ハロゲンジチアポルフィリン(2)の好ましい製造方法のように、まずジホルミル体を還元してビス(ヒドロキシメチル)体を形成し、これとピロール類とを反応させることによって製造することができる。またY=NHである含ハロゲンチアポルフィリン(1)は、例えば下記の含ハロゲンチアポルフィリン(3)の好ましい製造方法のように、トリピラン類とジホルミル体とを反応させることによって製造することができる。以下では、含ハロゲンチアポルフィリン(1)の製造方法の説明を兼ねて、含ハロゲン(ジ)チアポルフィリン(2)および(3)の好ましい製造方法を、順に説明する。
まず含ハロゲンジチアポルフィリン(2)の好ましい製造方法を説明する。
上記式(21)および(22)におけるX23、R27、kおよびjの説明は、上記式(2)におけるX21、X22、R21、R22、c〜fのものと同じである。上記式(23)におけるR28およびR29の説明は、上記式(2)におけるR23〜R24のものと同じである。上記式(2)中のX21とX22、R21とR22、cとe、dとf、R23およびR24とR25およびR26とが異なる含ハロゲンジチアポルフィリン(2)を製造するためには、ジホルミル体(21)の混合物、それから得られるビス(ヒドロキシメチル)体(22)の混合物、ピロール(23)の混合物を、出発原料として用いればよい。
この製造方法では、まずジホルミル体(21)を還元して、ビス(ヒドロキシメチル)体(22)を形成させる。ホルミル基(アルデヒド)からヒドロキシメチル基(アルコール)への還元は容易であり、有機合成化学の分野において周知の方法で行うことができる。還元剤としては、例えばNaBH4、BH3-THF等のホウ素水素化物の錯体、LiAlH4、水素化ジイソブチルアルミニウム等のアルミニウム水素化物の錯体などが挙げられる。
次いで、ビス(ヒドロキシメチル)体(22)とピロール(23)とを反応させて、脱水環化を行う。この脱水環化反応は、通常、酸の存在下で行われる。脱水環化に使用できる酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸およびトリフルオロ酢酸などの脂肪族モノカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;メタンスルホン酸などのスルホン酸;並びにZnCl2、BF3およびBF3・O(C252などのルイス酸を挙げることができる。前記脂肪族モノカルボン酸および/または前記ルイス酸は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ビス(ヒドロキシメチル)体(22)1モルに対する酸の使用量は、前記ルイス酸では1.5モル程度、前記脂肪族カルボン酸またはスルホン酸では1.5モル程度以上である。また前記脂肪族カルボン酸は、溶媒として過剰量で使用できる。脱水環化のための反応温度は、溶媒にも依存するが、通常0〜140℃(好ましくは20〜120℃)である。
脱水環化の後に、得られた反応中間体(ジチアポルフィリノーゲン)を酸化することによって、目的生成物である含ハロゲンジチアポルフィリン(2)が得られる。使用できる酸化剤としては、酸素、空気等の酸素含有ガス;およびp−クロラニル(2,3,5,6−テトラクロロ−p−ベンゾキノン)、DDQ(2,3−ジシアノ−5,6−ジクロロ−p−ベンゾキノン)等のキノン類を使用できる。酸化剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化の反応温度は、溶媒にも依存するが、通常、10〜100℃(好ましくは20〜80℃)である。
次に含ハロゲンジチアポルフィリン(3)の好ましい製造方法を説明する。この方法では、ジホルミル体(31)とトリピラン(32)とを反応させて(環化反応)、次いで酸化させることによって、含ハロゲンジチアポルフィリン(3)を製造する。
トリピラン(32)は、公知の方法で製造することができる。例えば、宇野英満らの論文 "Synthesis of Porphyrin Dimers Fused with a Benzen Unit"(Chem. Eur. J. 2007. 13. pp. 5773 - 5784)に記載の方法によって、下記式(33)で示されるエステル形態のトリピラン(以下「トリピラン(33)」と略称する)を形成し、これを酸の存在下で脱炭酸することによって、トリピラン(32)を形成させることができる。トリピラン(33)中のR32〜R37は、上述のものと同じであり、R38およびR39は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数が1〜8(より好ましくは1〜4)のアルキル基を表し、代表的なものとしてt−ブチル基が挙げられる。
Figure 2009023931
トリピラン(33)の脱炭酸に用いる酸としては、ルイス酸も使用できるが、後処理等の観点からプロトン酸が好ましい。好ましいプロトン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸およびトリフルオロ酢酸などの脂肪族モノカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;メタンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。これらの酸を、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、トリフルオロ酢酸が好ましい。プロトン酸が強酸である場合、そのプロトン量は、トリピラン(33)1モルに対して0.05モル以上(5モル%以上)程度であればよい。他方、上記の好ましいプロトン酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸)は過剰に用いてもよく、そのプロトン量は、トリピラン(33)1モルに対して、例えば20〜30モル程度である。
上述のようにして得られるトリピラン(32)を、次いでジホルミル体(31)と混合することで(好ましくはトリピラン(32)を含む混合物中にジホルミル体を添加することで)、環化反応を行う。前記の脱炭酸および環化の反応温度は、溶媒にも依存するが、通常0〜140℃(好ましくは20〜120℃)である。縮合環化反応後の酸化によって、含ハロゲンジチアポルフィリン(3)が得られる。この酸化の条件(酸化剤の種類および反応温度)としては、上述のものを採用できる。
またトリピラン(32)との反応相手として、ジホルミル体(31)の代わりに、下記式(34)で示されるビス(ヒドロキシメチル)体(以下「ビス(ヒドロキシメチル体)(34)」と略称する)を用いることもできる〔下記式中、X31、R31、gおよびhの説明は、上記式(3)のものと同じである。〕。詳しくは、出発原料のジホルミル体(31)を還元してビス(ヒドロキシメチル)体(34)を形成し、トリピラン(32)とビス(ヒドロキシメチル)体(34)とを反応させ(脱水環化)、次いで酸化することによって、含ハロゲンチアポルフィリン(3)を製造することもできる。前記の脱水環化の反応温度は、通常0〜140℃(好ましくは20〜120℃)である。
Figure 2009023931
上記の含ハロゲン(ジ)チアポルフィリンの製造方法では、通常、一連の反応を溶媒中で行う。使用できる溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などを挙げることができる。溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記方法で製造される含ハロゲン(ジ)チアポルフィリンは、昇華、再結晶、晶析、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィーなどによって精製することができる。
次に、本発明のジホルミル体(4)について説明する。ジホルミル体(4)のハロゲン原子X41およびその数mの説明は、前述のX11およびその数aのものと同じである。またジホルミル体(4)のR41としては、前述のR11で説明したものと同じ置換基を選択することができる。電子求引性の観点から、最も好ましいジホルミル体(4)は、4,5,6,7−テトラフルオロ−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン(式(4)中、X41=Fおよびm=4)である。
ジホルミル体(4)は、ベンゾチオフェン(41)を出発原料として製造することができる。しかしベンゾチオフェン(41)から、一段階で、ジホルミル体(4)を得ることはできない。ベンゾチオフェン(41)は不安定であり、またジホルミル化反応に対する反応性が低いからである。よって本発明のジホルミル体(4)の製造方法は、まずベンゾチオフェン(41)をホルミル化してモノホルミル体(42)を形成し;次いでこのモノホルミル体(42)のホルミル基を保護し:次いでホルミル基が保護されたモノホルミル体のホルミル化を行い;その後にホルミル基の脱保護を行う;という多段階反応によって、ジホルミル体(4)を製造することを特徴とする。
ベンゾチオフェン(41)(含ハロゲン−2−ベンゾチオフェン)は、例えば Gerald M. Brooke らの論文 "Partially Fluorinated Heterocyclic Compounds. Part 27.1 The Synthesis of 4,5,6,7-Tetrafluorobenzo[c]thiophene and 4,5,6,7,8,9-Hexafluoronaphtho[1,2-c]thiophene; some Chemistry and Electrochemistry"(J. Chem. Soc. Perkin Trans.1 1990, pp. 1919 - 1923)に記載されているような、公知の方法で製造することができる。
ジホルミル体(41)の製造方法では、まずベンゾチオフェン(41)をモノホルミル化して、モノホルミル体(42)を形成する。このモノホルミル化は、ビルスマイヤー(Vilsmeier)反応によって行うことができる。詳しくはハロゲン化ホスホリルPOX51 3(式中、X51は、F、ClまたはBrを表す。)の存在下で、ベンゾチオフェン(41)と式:HCONR5152(式中、R51およびR52は、それぞれ独立に炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を表す。)で示されるN−置換ホルムアミドとを反応させることによって、モノホルミル体(41)を合成できる。
ビルスマイヤー反応に用いるハロゲン化ホスホリルとして、例えばフッ化ホスホリル、塩化ホスホリルまたは臭化ホスホリルが挙げられるが、これらの中でも反応性の観点から、塩化ホスホリルが好ましい。またハロゲン化ホスホリルの代わりに、またはハロゲン化ホスホリルと共に、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド等のスルホニルクロリド類、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、スルホン酸無水物等のスルホン酸無水物類、ホスゲン、チオホスゲン、オキサリルクロリドなども使用できる。
N−置換ホルムアミドとしては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジイソプロピルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、N−ホルミルピペリジン等のジアルキルホルムアミド;およびN−メチルホルムアニリド(MFA)等のアルキル−アリールアミドなどが挙げられる。これらの中でもDMFおよびMFAが好ましい。
ベンゾチオフェン(41)、ハロゲン化ホスホリル、およびN−置換ホルムアミドを混合して反応系中でビルスマイヤー試薬([R5152N=CHX51(+)51(-))を形成させてもよいし、先にハロゲン化ホスホリルとジアルキルホルムアミドとを混合して、予めビルスマイヤー試薬を形成させてもよい。予めビルスマイヤー試薬を形成する場合、ビルスマイヤー試薬中にベンゾチオフェン(41)を添加しても良いし、逆にベンゾチオフェン(41)にビルスマイヤー試薬を添加しても良い。それぞれの添加・混合工程では発熱を抑制するために、必要に応じて冷却すればよい。
ビルスマイヤー反応は、通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;およびTHF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;を挙げることができる。溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビルスマイヤー反応によるモノホルミル化では、以下のような反応条件を採用することが好ましい。N−置換ホルムアミドおよびハロゲン化ホスホリル量は、ベンゾチオフェン(41)1モルに対して、通常、1〜10モル(好ましくは1.2〜1.5モル)である。なおN−置換ホルムアミドは、溶媒として、過剰に使用することもできる。反応温度は、通常、0〜60℃(好ましくは20〜40℃)である。
ホルミル基の保護/脱保護は、有機合成化学の分野で周知である。ホルミル基の保護としては、例えばホルミル基とグリコールまたはジチオグリコールとを反応させて、アセタールまたはチオアセタールを形成することが良く知られている。これらのアセタールまたはチオアセタールは酸性下で容易に加水分解するので、簡単にホルミル基に戻すことができる(脱保護)。ホルミル基の保護として、p−トルエンスルホン酸(触媒)の存在下で、ホルミル基とエチレングリコールとを脱水しながら反応させて、保護基(2,5−ジオキサシクロペンチル基)を形成させることが好ましい(下記の合成例2参照)。この保護基も、酸性条件下で容易に加水分解し、簡単にホルミル基に戻すことができる(下記の合成例4参照)。
ホルミル基が保護された含ハロゲンベンゾチオフェン(以下「保護ベンゾチオフェン」と略称する)に第2のホルミル基を導入するには、例えば有機金属化合物(特に有機リチウム化合物)のホルミル化を利用すればよい。
詳しくは、まず保護ベンゾチオフェンとリチウム試薬とを反応させ、保護ベンゾチオフェンの3位の水素原子がリチウム原子で置換した有機リチウム化合物を形成する。この反応に用いることができるリチウム試薬としては、例えばn−、sec−およびt−ブチルリチウム、フェニルリチウムおよびメチルリチウムを挙げることができる。また保護ベンゾチオフェンの水素原子とリチウム原子との置換を促進するために、上記反応系中に、リチウム試薬の水素引き抜きを活性化する添加剤(例えばテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)またはヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)など)を存在させても良い。
次いで、上記のように形成した有機リチウム化合物とN−置換ホルムアミドとを反応させて、第2ホルミル基を導入することができる。この態様としては、上記の保護ベンゾチオフェンおよび有機リチウム化合物(および場合によりTMEDA等)の混合物中に、N−置換ホルムアミドを添加することが好ましい。この反応に用いるN−置換ホルムアミドとしては、ビルスマイヤー反応で上述したものを用いることができ、殊にDMF、MFAおよびN−ホルミルピペリジンが好ましい。
第2ホルミル基を導入するための上記の一連の反応は、通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;およびTHF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。上記の一連の反応は、低温(好ましくは−100℃〜0℃、より好ましくは−78℃〜−40℃)で行われる。
上記のジホルミル体(4)の製造方法において、1つの反応工程が終了した後に精製してから次の反応工程を行ってもよく、精製せずに、反応混合物を用いて次の反応工程を行っても良い。ジホルミル体(4)およびその反応中間体(モノホルミル体(41)など)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶、晶析などによって精製できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〈合成例1:ホルミル基の導入〉
4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェン−1−カルボアルデヒド(以下「目的化合物1」と略称する)の製造
Figure 2009023931
窒素置換した反応容器に、N−メチルホルムアニリド(上記式中「MFA」と記載)0.8ml(6.48mmol)および塩化ホスホリル1.0ml(10.72mmol)を加え、約30分間撹拌した。これとは別に、上述の J. Chem. Soc. Perkin Trans.1 1990, pp. 1919 - 1923 の記載に基づき4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェンを合成し、乾燥THF5.0mlに4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェン300.0mg(1.46mmol)を溶かした溶液を調製した。このTHF溶液を反応容器内に滴下し、室温で6時間撹拌した。その後、反応混合物に水を注いでクエンチした後、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を、水、次いで飽和食塩水で洗浄した。次いで有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。得られた固体の粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル20体積%/ヘキサン80体積%)で精製して、目的化合物1を、90.4%の収率(284.7mg、1.32mmol)で得た。
目的化合物1のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
MS(EI):m/z=233.9763(M+
(計算値;精密質量=233.9762、分子量=234.1702)
(2)外観:黄色の結晶
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ8.42(1H、s、α−H)、10.43(1H、t、ホルミル)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−143.04(1F)、−145.88(1F)、−153.80(1F)、−160.68(1F)
〈合成例2:ホルミル基の保護〉
2−(4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェン−1−yl)−1,3−ジオキソラン(以下「目的化合物2」と略称する)の製造
Figure 2009023931
反応容器に、目的化合物1:800mg(3.4mmol)、蒸留エチレングリコール0.45ml(8.0mmol)、およびトルエン40ml、並びに触媒としてp−トルエンスルホン酸(上記式中「p−TsOH」と略称する)50mgを加えた。次いで反応容器を綿栓し、綿栓の上に無水硫酸ナトリウムを含む容器を取り付け、その容器上に還流冷却器を取り付け、その上に風船を設置した装置を組んだ。その装置で、反応系から水を無水硫酸ナトリウムで取り除きながら、2時間還流し、その後ゆっくりと室温に戻した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を注いでクエンチした後、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を、水、次いで飽和食塩水で洗浄した。次いで有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム30体積%/ヘキサン70体積%)で精製して、目的化合物2を、98%の収率(963mg、3.3mmol)で得た。
目的化合物2のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
MS(EI):m/z=278(M+
(計算値;精密質量=278、分子量=278.22)
(2)外観:白色の結晶
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ4.06−4.24(4H、m、アセタール)、6.65(1H、d)、7.82(1H、d、α−H)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−147.87(1F、q)、−148.87(1F、q)、−161.33(1F、t)、−163.11(1F、t)
13C−NMR(CDCl3、TMS):δ65.71、98.87、115.35、133.85、134.90、136.29、136.86、137.50、138.81、139.36、140.05
〈合成例3:ホルミル基の導入〉
2−(4,5,6,7−テトラフルオロ−3−ホルミル−2−ベンゾチオフェン−1−yl)−1,3−ジオキソラン
4,5,6,7−テトラフルオロ−1−ホルミル−3−(2’,5’−ジオキサシクロペンチル)−2−ベンゾチオフェン(以下「目的化合物3」と略称する)の製造
Figure 2009023931
反応容器に、目的化合物2:900mg(3.2mmol)を加えて窒素置換し、乾燥THF:15ml、蒸留テトラメチルエチレンジアミン(上記式中「TMEDA」と記載)0.73ml(4.8mmol)を加えて、−78℃に冷却した。その後、n−BuLi:2.2ml(3.5mmol)を滴下し、−10℃の恒温槽に移して30分間撹拌した。その後に−50℃の恒温槽で、乾燥DMFを滴下し、ゆっくりと室温に戻した。反応混合物に1Mの塩化アンモニウム水溶液を注いでクエンチした後、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を、水、炭酸ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した。次いで有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル20体積%/ヘキサン80体積%)で精製して、目的化合物3を、79.5%の収率(682mg、2.2mmol)で得た。
目的化合物3のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
MS(EI):m/z=306(M+
(計算値;精密質量=306、分子量=306.23)
(2)外観:黄色の結晶
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ4.16(4H、m)、6.67(1H、d)、10.41(1H、s)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−142.26(1F)、−143.77(1F)、−154.44(1F)、−159.98(1F)
〈合成例4:ホルミル基の脱保護〉
4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェン−1,3−ジカルボアルデヒド(以下「目的化合物4」と略称する)の製造
Figure 2009023931
反応容器に、目的化合物3:670mg(2.19mmol)、THF:25ml、1.5Mの塩酸20mlを加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に炭酸ナトリウム水溶液を注いでクエンチした後、クロロホルムで抽出し、有機相を、飽和食塩水、次いで炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。目的化合物4が定量的に得られた(570mg、2.17mmol)。
目的化合物4のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
MS(EI):m/z=262(M+
(計算値;精密質量=261.97、分子量=262.18)
(2)外観:黄色の結晶
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ10.56(2H、s)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−140(2F)、−153.4(2F)
〈合成例5:チアポルフィリンの製造〉
下記式で示されるチアポルフィリン(以下「目的化合物5」と略称する)の製造
Figure 2009023931
上記式で示されるエステル形態のトリピランを、上述の Chem. Eur. J. 2007. 13. pp. 5773 - 5784 に記載されている方法で合成した。前記トリピラン79.2mg(0.11mmol)をナスフラスコに加え、窒素置換し、遮光してトリフルオロ酢酸0.20ml(2.69mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。次いで反応容器内に、乾燥塩化メチレン7.0mlを加え、さらに目的化合物4:28.8mg(0.11mmol)を乾燥塩化メチレン3.0mlに溶かした溶液を加えて、室温で16時間撹拌した。トリエチルアミンで反応溶液を中和した後、DDQ:27.2mg(0.12mmol)を加え、さらに室温で2時間撹拌した。反応溶液を、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル5体積%/ヘキサン95体積%)で精製し、再結晶(溶媒:クロロホルム/メタノール)することで、目的化合物5を、10%の収率(8.2mg、0.011mmol)で得た。
目的化合物5のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
HR−MS:m/z=730.3817(FAB+
(C445134S+H+の計算値;精密質量=730.3818)
(2)外観:茶色の固体
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ−3.10(1H、br、s)、1.03(6H、t、J=7.3Hz)、1.15(6H、t、J=7.3Hz)、1.60(4H、m)、1.80(8H、m)、2.23(4H、m)、2.32(4H、m)、3.25(6H、s)、3.82(4H、t、J=7.6Hz)、4.07(4H,t、J=7.81Hz)、9.96(2H、s)、10.27(2H、s)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−144.2(2F、d、J=17.1Hz)、−158.1(2F、d、J=18.3Hz)
13C−NMR(CDCl3、TMS):δ11.3、14.1、14.2、22.8、23.2、26.2、26.5、32.5、33.6、35.3、103.3、110.9、135.3、137.2、138.1、138.5、144.7、151.8、157.4
(4)紫外−可視吸収スペクトル(装置:日立ハイテクノロジー製、型式:U−2800)
λmax=661.5、601.5、570.5、536、417nm
〈合成例6:ビス(ヒドロキシメチル)体の製造〉
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5,6,7−テトラフルオロ−2−ベンゾチオフェン(以下「目的化合物6」と略称する)の製造
Figure 2009023931
反応容器中で、目的化合物4:52.7mg(0.20mmol)を、THF:5ml、メタノール0.8mlに溶解させ、0℃でその中へNaBH4:22.7mg(0.60mmol)を加えて、その温度で30分間撹拌した。反応溶液を水に注いでクエンチし、有機相をジエチルエーテルで抽出し、塩水および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮することで、目的化合物6を、96.4%の収率(51.6mg、0.19mmol)で得た。
目的化合物6のデータ
(1)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS−MS 700v ハイレゾリューション・マス)
MS(EI):m/z=266.0025(M+
(計算値;精密質量=266、分子量=266.21)
(2)外観:淡黄色の固体
(3)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3、TMS):δ2.17(brs、2H)、5.22(d、4H)
19F−NMR(CDCl3、CFCl3):δ−150.66(m、2F)、−162.91(m、2F)
〈合成例7:ジチアポルフィリンの製造〉
下記式で示されるジチアポルフィリン(以下「目的化合物7」と略称する)の製造
Figure 2009023931
目的化合物6:51.6mg(0.19mmol)、3,4−ジペンチルピロール41.2mg(0.20mmol)を反応容器中で窒素置換し、乾燥塩化メチレン38mlを加え、次いでトリフルオロ酢酸0.474ml(6.38mmol)を滴下した後、室温で一晩撹拌した。トリエチルアミンで反応溶液を中和した後、DDQ:50.4mg(0.20mmol)を加え、さらに室温で2.5時間撹拌した。反応溶液を、水に注ぎ、有機相を塩化メチレンで抽出し、塩水および水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で精製することで、目的化合物7を、4.7%の収率(3.8mg、0.0044mmol)で得た。
目的化合物7のデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF):m/z=870.1544(M+
(計算値;精密質量=868.31、分子量=869.03)
(2)外観:茶色の固体
この合成例7では、分析の結果、下記式で表される副生成物が形成していることを確認した。
Figure 2009023931
上記副生成物のデータ
マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF):m/z=1075.49(M+
(計算値;精密質量=1073.50、分子量=1074.36)
本発明の含ハロゲン(ジ)チアポルフィリン(1)〜(3)は、様々な用途、例えば有機電子デバイス、特に有機導電性材料、有機半導体材料、n型有機電界効果型トランジスター(OFET)、太陽電池材料、光電導素子、非線形光学材料、光電変換素子ドーパント、光電導キャリヤ発生材料、光記録材料、および触媒などに適用できる。また本発明のジホルミル体(4)は、上記の含ハロゲン(ジ)チアポルフィリンを製造するために有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で示される含ハロゲンチアポルフィリン。
    Figure 2009023931
    〔式中、X11はハロゲン原子を表す。
    Yは、SまたはNHを表す。
    11は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    12〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR12とR13、R14とR15、およびR16とR17の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
    a+b≦4であることを条件として、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。〕
  2. 下記式(2)で示される含ハロゲンジチアポルフィリン。
    Figure 2009023931
    〔式中、X21およびX22は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。
    21およびR22は、それぞれ独立に、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    23〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、脂肪族複素環基、または芳香族複素環基を表すか、或いはR23とR24、およびR25とR26の組合せのいずれか1つまたは2つが、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、または芳香族複素環を形成する。
    c+d≦4およびe+f≦4であることを条件として、cおよびeは、それぞれ独立に1〜4の整数を表し、dおよびfは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。〕
  3. 下記式(3)で示される含ハロゲンチアポルフィリン。
    Figure 2009023931
    〔式中、X31はハロゲン原子を表す。
    31は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    32〜R37は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR32とR33、R34とR35、およびR36とR37の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
    g+h≦4であることを条件として、gは1〜4の整数を表し、hは0〜3の整数を表す。〕
  4. 下記式(11)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンを出発原料として用いて、下記式(1)で示される含ハロゲンチアポルフィリンを製造することを特徴とする、含ハロゲンチアポルフィリンの製造方法。
    Figure 2009023931
    〔式中、X11はハロゲン原子を表す。
    Yは、SまたはNHを表す。
    11は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    12〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR12とR13、R14とR15、およびR16とR17の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
    a+b≦4であることを条件として、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。〕
  5. 下記式(21)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンを還元して、下記式(22)で示される含ハロゲン−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ベンゾチオフェンを形成し、これと下記式(23)で示されるピロールとを反応させ、次いで酸化することによって、下記式(2)で示される含ハロゲンジチアポルフィリンを製造することを特徴とする、含ハロゲンジチアポルフィリンの製造方法。
    Figure 2009023931
    〔式中、X21、X22およびX23は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。
    21、R22およびR27は、それぞれ独立に、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    23〜R26、R28およびR29は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、脂肪族複素環基、または芳香族複素環基を表すか、或いはR23とR24、R25とR26、およびR28とR29の組合せのいずれかまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、または芳香族複素環を形成する。
    c+d≦4、e+f≦4およびj+k≦4であることを条件として、c、eおよびjは、それぞれ独立に1〜4の整数を表し、d、fおよびkは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。〕
  6. 下記式(31)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンと、下記式(32)で示されるトリピランとを反応させ、次いで酸化することによって、下記式(3)で示される含ハロゲンチアポルフィリンを製造することを特徴とする、含ハロゲンチアポルフィリンの製造方法。
    Figure 2009023931

    〔式中、X31はハロゲン原子を表す。
    31は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    32〜R37は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは未置換アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換若しくは未置換カルバモイル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、置換若しくは未置換スルファモイル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表すか、或いはR32とR33、R34とR35、およびR36とR37の組合せのいずれか1つまたは全部が、互いに結合して、脂肪族炭化水素環、ハロゲン化脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、ハロゲン化芳香族炭化水素環、脂肪族複素環、ハロゲン化脂肪族複素環、芳香族複素環またはハロゲン化芳香族複素環を形成する。
    g+h≦4であることを条件として、gは1〜4の整数を表し、hは0〜3の整数を表す。〕
  7. 下記式(4)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェン。
    Figure 2009023931
    〔式中、X41はハロゲン原子を表す。
    41は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
  8. 下記式(4)で示される含ハロゲン−1,3−ジホルミル−2−ベンゾチオフェンの製造方法であって、まず下記式(41)で示される含ハロゲン−2−ベンゾチオフェンをホルミル化して下記式(42)で示されるモノホルミル体を形成し、次いでこのモノホルミル体のホルミル基を保護してからホルミル化を行い、その後にホルミル基の脱保護を行うことによって下記式(4)で示されるジホルミル体を形成することを特徴とする方法。
    Figure 2009023931
    〔式中、X41はハロゲン原子を表す。
    41は、アルコキシル基、チオアルコキシル基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状の脂肪族炭化水素基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のハロゲン化脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、ハロゲン化脂肪族複素環基、芳香族複素環基、またはハロゲン化芳香族複素環基を表す。
    m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
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