JP5317084B2 - π共役環状化合物およびその製造方法 - Google Patents

π共役環状化合物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、新規なπ共役環状化合物およびその製造方法に関するものである。特に本発明は、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンおよびその錯体、並びにその製造方法に関するものである。さらに本発明は、π共役環状化合物、特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンおよびその錯体を製造するために有用な新規化合物も提供する。π共役環状化合物、特にポルフィリンおよびその錯体は、有機電子デバイス材料などへの適用が期待される。
ポルフィリンやフタロシアニンは、非常に大きなπ電子系を有するにもかかわらず比較的入手しやすいことから、非線形光学材料、光電変換素子ドーパント、光電導キャリヤ発生材料、光記録材料などとして盛んに研究されてきた。これらのポルフィリン等において、吸収波長や蛍光発光波長のチューニングは、色素としての性能を左右する重要な問題である。
吸収および発光波長の長波長化や高効率化(吸光係数εの増大化)のためには、電子供与性基または電子求引性基を助色団として用いるよりも、π電子系を拡張することが効果的である。π電子系を拡張したポルフィリンとして、以下に記載するテトラベンゾポルフィリンが挙げられる。
上記のように平面性が高くπ電子系が拡張されたテトラベンゾポルフィリンまたはその銅錯体を、有機電子デバイス、特に有機半導体の材料として使用することが、特許文献1または2に記載されている。
ハロゲンを含有するテトラベンゾポルフィリン、特に含フッ素テトラベンゾポルフィリンを合成できれば、有機電子デバイス、特にn型有機電界効果型トランジスター(OFET)や導電性材料として有用と思われる。しかしテトラベンゾポルフィリンは、その平面性が高いため、有機溶媒への溶解度が低く、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン合成の出発物質として用いることはできない。なお上記の特許文献1または2では、含フッ素テトラベンゾポルフィリンまたはその銅錯体について言及されているが、現に製造されておらず、それらの製造方法は不明である。
非特許文献1は、下記式で示すように、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール(A)、ホルムアルデヒドおよび酢酸亜鉛(II)を反応させて、21,22,23,24,71,72,73,74,121,122,123,124,171,172,173,174−ヘキサデカフルオロ−21H,23H−テトラベンゾポルフィリン(以下、「ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン」と略称する)の亜鉛(II)錯体(B)を合成したと報告している。
非特許文献1は、紫外−可視吸収分光法および質量分析の結果のみで、上記錯体(B)を合成したと報告しているが、合成したとされる亜鉛(II)錯体(B)は、NMR測定ができず、また物質として単離されていない。NMRが測定できなかったことについて非特許文献1は、常磁性の不純物が存在しているためと推測している。しかし出発物質が亜鉛(II)塩および有機物の出発物質であるにもかかわらず、NMR測定を妨げることができるほど安定な常磁性種(亜鉛(I)錯体または有機ラジカルなど)が形成されるとは考えにくい。非特許文献1の著者らは見落としているが、上記錯体(B)のNMRが測定できなかった理由として、熱重合反応によりイソインドールオリゴマーが形成されたことなどが考えられる。また上記錯体(B)の分子量は861.81であるにもかかわらず、非特許文献1の質量分析では、理論値から大きく外れた877という実測値が得られており、非特許文献1において高純度の上記錯体(B)が得られているとは考えられない。
さらに非特許文献1では、上記錯体(B)は精製されておらず、物質として単離されていない。単離されていない理由として、(ア)非特許文献1の合成法では熱重合などの影響で錯体(B)自体が充分に合成されていないこと、および(イ)該合成法で錯体(B)自体が合成されていたとしても、その精製が困難であることが考えられる。なぜならテトラベンゾポルフィリンおよびその錯体は、平面性が高いため溶解性が低く、精製が困難だからである。
非特許文献1は、金属の不存在下では収率が低く、金属イオンが反応に参加することが重要であると報告している(非特許文献1の第1453頁第6行〜第11行、殊に第11行参照)。非特許文献1にも記載されているように、一般にポルフィリン合成では、反応系中に金属イオンが存在すると、その金属イオンが中心核として作用するため、ポルフィリン環が形成されやすいという説もある。
また非特許文献1では、酢酸亜鉛(II)に替えて、酢酸ニッケル(II)または酢酸銅(II)を用いると、目的とする生成物が、痕跡量でしか検出されないと報告している(非特許文献1の第1453頁第12行〜第18行、殊に第15行〜第16行参照)。このように非特許文献1の合成反応では、酢酸亜鉛(II)の存在が必須である。
特開2004−6750号公報 特開2005−93990号公報 D. E. Remy, Tetrahedron Lett, 1983, 24, p. 1451-1454
π共役環状化合物、特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンは、有機電子デバイス等への応用が期待されている。しかし含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンの製造例として、非特許文献1はヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン亜鉛錯体の合成を報告しているが、該物質は単離されておらず、且つNMRも測定できないなど、その製造方法が充分に確立されているとは言い難い。
また非特許文献1の合成法では、酢酸亜鉛(II)の存在が必須であり、無金属ポルフィリンではなく、亜鉛ポルフィリン錯体が生成物として得られると報告されている。しかしテトラベンゾポルフィリンおよびその錯体は精製が困難であるため、無金属ポルフィリンを、高純度で製造できることが望ましい。高純度の無金属ポルフィリンが得られれば、非特許文献1で報告されるような亜鉛以外の金属ポルフィリン錯体も高純度で製造でき、且つそのようにして得られる無金属ポルフィリン自体または様々な錯体を、有機デバイス材料として有効に利用できる。
従って本発明の目的は、非特許文献1の方法と異なり、金属塩または半金属塩を用いずに、且つ高純度でπ共役環状化合物(特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン)を製造する技術を提供することにある。また本発明は、亜鉛イオンだけでなく、様々な金属イオンを中心核として有する金属ポルフィリン錯体も製造できる方法を提供することも目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の製造方法は、下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドール(以下「イソインドール(1)」と略称することがある)から、下記式(2)で示されるイソインドールの1位置換体(以下「該1位置換体」を「中間体」と略称することがある)を経て、下記式(3)で示されるπ共役環状化合物(以下「π共役環状化合物(3)」と略称することがある)を製造することを特徴とする。
上記式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。
Zは、OHまたはNR45(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)を表す。
Aは、NまたはNHを表し、jは、1〜5の整数を表し、kは、0または1の整数を表し、実線および点線からなる二重線は、単結合または二重結合を表し、式(3)で示される環状化合物は、二重線の部分でπ共役系を形成する。
上記の本発明の製造方法において、下記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン(以下「ポルフィリン(3a)」と略称することがある)を製造することが好ましい(下記式中、X、Y、mおよびnは、上記と同じ意味である)。
本発明において、上記イソインドールの1位置換体は、下記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドール、または下記式(2d)で示されるアミノメチル化−2H−イソインドールである(下記式中、X、Y、m、n、R4およびR5は、上記と同じ意味である。)
上記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドールは、(ア)イソインドール(1)をホルミル化することによって、下記式(2b)で示される第1の中間体を形成し、次いでこの中間体(2b)を還元することにより、または(イ)イソインドール(1)をアミノメチレン化することによって、下記式(2a)で示される第2の中間体を形成し、この中間体(2a)を加水分解することによって、下記式(2b)で示される第1の中間体を形成し、次いでこの中間体(2b)を還元することにより製造することが好ましい(下記式中、X、Y、mおよびnは、上記と同じ意味であり、R6およびR7は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す)。
上記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドールは、より好ましくは、ハロゲン化ホスホリルの存在下で、イソインドール(1)とジアルキルホルムアミドとを反応させて、上記式(2b)で示される第1の中間体または上記式(2a)で示される第2の中間体を形成し、これらの中間体から製造することができる。このようにして得られるヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を、酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸、および/またはZnCl2、BF3およびBF3・O(C252から選択される少なくとも1種のルイス酸の存在下で脱水環化し、次いで酸化剤を作用させることにより、ポルフィリン(3a)を製造することが好ましい。
イソインドール(1)をアミノメチル化することによって、上記式(2d)で示されるアミノメチル化−2H−イソインドールを製造することができる。このアミノメチル化−2H−イソインドール(2d)を経て、ポルフィリン(3a)を製造する好ましい方法として、(ア)酸の存在下で、イソインドール(1)と、ホルムアルデヒドと、ジアルキルアミンとを反応させ、次いで酸化剤を作用させる方法、または(イ)イソインドール(1)と、ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムとを反応させ、次いで酸化剤を作用させる方法が挙げられる。
本発明の含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンの製造方法において、イソインドール(1)が、下記式(1a)で示されるものであることが好ましく、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドールまたは4,5,6,7−テトラクロロ−2H−イソインドールであることがより好ましい(下記式中、X1およびX4は、それぞれ独立にFまたはClを表し、X2およびX3は、それぞれ独立にH、FまたはClを表す。)。
また本発明は、下記式(2a)〜(2c)で示されるアミノメチレン化−1H−イソインドール、ホルミル化−2H−イソインドールおよびヒドロキシメチル化−2H−イソインドールも提供する。これらの化合物は、上記のように含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンを製造するために有用である。またこれらの化合物は、ポルフィリンの製造だけでなく、ポリイソインドレニンビニレンのようなポリマー材料の製造に用いることができる(下記式中、X、Y、m、n、R6およびR7は、上記と同じ意味である)。
本発明は、π共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))、および下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体(以下「ポルフィリン錯体(4)」と略称することがある)も提供する(下記式中、X、Y、mおよびnは、上記と同じ意味であり、Mは、金属または半金属イオンを表す。)。
ポルフィリン錯体(4)は、ポルフィリン(3a)と金属または半金属イオンMを含む塩とを混合すれば、製造できる。
本発明の含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンの製造方法では、上記式(2)で示されるイソインドールの1位置換体を環化することにより、ポルフィリン(3a)を製造しているが、イソインドールの1位置換体(2)を環化すると、一旦、下記式(5)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリノーゲン(ポルフィリンの還元体、以下「ポルフィリノーゲン(5)」と略称することがある)が形成すると考えられる。そしてこのポルフィリノーゲン(5)に対して酸化剤(例えばキノン類または空気中の酸素など)を作用させれば、ポルフィリン(3a)が得られる。そこで上記の含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン製法の途中で、即ちイソインドールの1位置換体(2)の環化後かつ酸化前の段階(即ちポルフィリノーゲン(5)が形成していると考えられる段階)で、金属または半金属イオンMを含む塩を添加し、その後に酸化を行うことによっても、ポルフィリン錯体(4)を製造できる。即ち、ポルフィリノーゲン(5)と、金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させることにより、ポルフィリン錯体(4)を製造することができる(下記式中、X、Y、mおよびnは、上記と同じ意味である。)。
ポルフィリノーゲン(5)と金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させることによるポルフィリン錯体(4)の製造方法としては、好ましくは、
(ア)ハロゲン化ホスホリルの存在下で、イソインドール(1)とジアルキルホルムアミドとを反応させて、上記式(2b)で示される中間体を形成し、この中間体(2b)を還元することにより、上記式(2c)で示される中間体を形成し、この中間体(2c)を、酸(好ましくは酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸、および/またはZnCl2、BF3およびBF3・O(C252から選択される少なくとも1種のルイス酸)と混合し、次いで金属または半金属イオンMを含む塩と混合した後に、酸化剤を作用させる方法、
(イ)ハロゲン化ホスホリルの存在下で、イソインドール(1)とジアルキルホルムアミドとを反応させて、上記式(2a)で示される中間体を形成し、この中間体(2a)を加水分解することにより、上記式(2b)で示される中間体を形成し、この中間体(2b)を還元することにより、上記式(2c)で示される中間体を形成し、この中間体(2c)を、酸(好ましくは酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸、および/またはZnCl2、BF3およびBF3・O(C252から選択される少なくとも1種のルイス酸)と混合し、次いで金属または半金属イオンMを含む塩と混合した後に、酸化剤を作用させる方法、
(ウ)酸の存在下で、イソインドール(1)と、ホルムアルデヒドと、ジアルキルアミンとを反応させ、次いで反応混合物と、金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させる方法、
(エ)イソインドール(1)と、ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムとを反応させ、次いで反応混合物と、金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させる方法
が挙げられる。
本発明の製造方法は、イソインドール(1)から、中間体(2)を経て、π共役環状化合物(3)、特にポルフィリン(3a)を製造することを特徴とする。この中間体(2)を経ることにより、特にポルフィリン(3a)を選択的に純度良く製造できる。また本発明の製造方法によれば、金属塩を用いずにπ共役環状化合物(3)、特にポルフィリン(3a)を製造できる。
本発明の製造方法により得られるπ共役環状化合物(3)、特にポルフィリン(3a)およびその錯体は、様々な用途、例えば有機デバイス材料等に適用できる。また上記式(2a)〜(2c)で示される化合物は、π共役環状化合物(3)、特にポルフィリン(3a)の製造だけでなく、ポリイソインドレニンビニレンのようなポリマー材料の製造に適用できる。
本発明の製造方法は、イソインドール(1)から、一旦、上記式(2)で示される中間体(イソインドールの1位置換体)を形成し、それからπ共役環状化合物(3)、特にポルフィリン(3a)を製造することを特徴とする。なお以下では、π共役環状化合物(3)の中でも、代表的なポルフィリン(3a)の製造方法を中心に説明する。
本発明の製造方法とは異なり、ベンゼン環で修飾されていない通常のポルフィリンをピロールから合成する場合、(ア)酸の存在下でピロールとホルムアルデヒドとを反応させて、一段階でポルフィリンを製造する方法、または(イ)ピロールから、一旦、中間体として2位置換体(例えば2−ヒドロキシメチルピロールまたは2−ジメチルアミノメチルピロール)を形成し、この2位置換体を環化することによる、多段階でポルフィリンを製造する方法などが知られている。
しかし本発明者らが検討した結果、ピロールと同様に一段階反応でイソインドールを環化(特にポルフィリン化)しようとしても、π共役環状化合物(特にテトラベンゾポルフィリン)が充分に得られないことを見出した。テトラベンゾポルフィリンが充分に得られない理由として、ピロールと異なりイソインドールは、重合しやすい1H−イソインドール構造をとり、一段階反応では、環化反応だけでなく重合反応も生ずるためであると推察される。
そこで本発明者らがさらに検討を続けた結果、含ハロゲンイソインドールから一段階反応で直接、π共役環状化合物を製造するのではなく、一旦、中間体としてイソインドールの1位置換体(ヒドロキシメチル体またはアミノメチル体)を形成する多段階反応により、π共役環状化合物(特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン)を良好な選択率および収率で製造できることを見出した。中間体を経ることで選択率および収率が向上する理由としては、イソインドールから直接、π共役環状化合物(特にテトラベンゾポルフィリン)を製造しようとすると、イソインドール環が活性化されて、π共役環状化合物以外の重合物が形成されるが、中間体では、イソインドール環ではなく1位置換基が活性化されて、スムーズにπ共役環状化合物が形成されることが考えられる。なお本発明は、このような推定メカニズムに限定されない。
よって本発明のπ共役環状化合物(特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン)の製造方法は、中間体として含ハロゲンイソインドールの1位置換体を一旦形成することを特徴とする。
製造するπ共役環状化合物として、ポルフィリン(3a);下記式(3b)で示されるコロール(上記式(3)中、j=1、k=0);下記式(3c)で示されるサフィリン(上記式(3)中、j=2、k=0);および下記式(3d)で示されるペンタフィリン(上記式(3)中、j=2、k=1)が好ましく、ポルフィリン(3a)がより好ましい。以下では下記式(3b)〜(3d)で示されるπ共役環状化合物を、それぞれ、「コロール(3b)」、「サフィリン(3c)」および「ペンタフィリン(3d)」と略称する。
本発明は、含ハロゲンイソインドールの1位置換体自体も提供する。これら1位置換体は、上記のようにπ共役環状化合物(特に含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン)の製造に有用であるという利点を有するだけでなく、無置換の含ハロゲンイソインドールよりも安定であるという利点を有する。さらにこれら1位置換体は、π共役環状化合物以外の化合物、例えばポリイソインドレニンビニレンのような重合体の製造にも利用できる。本発明の含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンの製造方法でも、副生成物として、微量の重合体、または他の環状化合物が形成されている。
イソインドール(1)の合成法について、本発明者らは既に詳細な検討を行っており、その結果は、特願2006−211294号明細書に記載している。本発明でも、この特願2006−211294号明細書に記載の製造方法を採用できる。具体的には以下に示すように、ハロゲンを含有するフタロニトリル類を還元することによって、イソインドール(1)を製造できる。
上記式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。
上記式中のフタロニトリル類として、例えばアルドリッチ社、シンクエスト社、アズマックス株式会社若しくはセントラル薬品株式会社などから市販されているもの、または既知の方法で合成できるものが使用できる。但し、目的物のイソインドール(1)は、ハロゲン原子が存在することによって安定化されると考えられるので、上記式中のハロゲン原子Xの数は、好ましくは2以上(即ちm≧2)、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4であることが推奨される。
上記式中のXは、ハロゲン原子を表し、好ましくはフッ素、塩素または臭素原子、より好ましくはフッ素または塩素原子、さらに好ましくはフッ素原子である。Xとして、同時に複数種のハロゲン原子が存在しても良い。上記式中のR1、R2およびR3は、それぞれ独立に、好ましくはC1〜C20アルキル基、より好ましくはC1〜C10アルキル基、さらに好ましくはC1〜C5アルキル基;好ましくはC6〜C20アリール基、より好ましくはC6〜C12アリール基;または好ましくはC7〜C20アルキルアリール基、より好ましくはC7〜C15アルキルアリール基、さらに好ましくはC7〜C10アルキルアリール基である。R1、R2およびR3は、その炭素骨格上に、ハロゲン原子を含有していても良い。置換基Yとして、R1、OR2およびSR3のいずれかが複数存在する場合、複数存在するR1、R2およびR3は、異なる置換基(例えばアルキル基とアリール基)であっても良い。
上記のフタロニトリル類として、まずハロゲン原子Xのみを有するもの(n=0のもの)が挙げられる。ハロゲン原子のみを有するフタロニトリル類は、アルドリッチ社などから販売されている。また市販のハロゲン原子のみを有するフタロニトリル類から、従来既知のハロゲン置換反応により、市販されていないハロゲン原子のみを有するフタロニトリル類を製造することもできる。例えば特開2002−332254号には、含フッ素イソフタロニトリルのフッ素原子を、臭化剤(例えば臭化ナトリウム、臭化カリウムおよび臭化リチウム、好ましくは臭化ナトリウムおよび臭化カリウム)を用いて、臭素原子で置換する技術が開示されている。また By J. M. Birchell, R. N. Haszeldlne, and J. O. Morley, "Polyfluoroarenes. Part XI. Reactions of Tetrafluorophthalronitrile with Nucleophilic Reagents", J. Chem. Soc. (C), 1970, p. 456 - 462 には、テトラフルオロイソフタロニトリルのフッ素原子を、LiClを用いて、塩素原子で置換する技術が開示されている。
置換基Yとして、R1基を有するフタロニトリル類は、ハロゲン原子を含有するフタロニトリル類を用いて、合成化学分野で周知であるカップリング反応により製造することができる。例えばR1基を有するフタロニトリル類は、ニッケルやパラジウム触媒の存在下で、ハロゲン原子を含有するフタロニトリル類とグリニャール試薬とのカップリング反応を行うことにより、詳しくは上記フタロニトリル類のハロゲン原子を、グリニャール試薬からのアルキル、アリールまたはアルキルアリール基で置換することにより、得ることができる。このカップリング反応は、熊田−玉尾カップリングとして、合成化学分野でよく知られている。またR1基を有するフタロニトリル類は、パラジウム触媒の存在下で、ハロゲン原子を含有するフタロニトリル類と有機ホウ素化合物とのカップリング反応を行うことによっても得ることができる。このカップリング反応も、鈴木−宮浦カップリングとして、合成化学分野でよく知られている。
置換基Yとして、OR2基またはSR3基を有するフタロニトリル類は、従来既知の方法、例えば特開2002−302477号に記載されているような方法により、上記フタロニトリル類のハロゲン原子を、HOR2および/またはHSR3で置換することによって、製造することができる。
上記のフタロニトリル類の還元は、ヒドリド還元法、または接触水素化法により行うことが好ましい。以下ではまずヒドリド還元法について説明する。ヒドリド還元試薬としては、金属若しくは半金属の水素化物またはそれらの錯体を用いることができる。使用し得るヒドリド還元試薬を、以下に列挙する:
アルキルアラン、ジアルキルアラン、アルコキシアラン、ジアルコキシアラン等のアルミニウム水素化物。
LiAlH4、LiAlH3R、LiAlH22、LiAlHR3、NaAlH4、NaAlH3R、NaAlH22、NaAlHR3、NaAlH2(OCH2CH2OCH32、Al23(OCH2CH2OCH33、R3N−AlH3、Et2O−AlH3等のアルミニウム水素化物の錯体(式中Rは、アルキル、アリールまたはアルコキシル基を表す。)。
ジボラン(B26)、アルキルボラン、ジアルキルボラン、アルコキシボラン、ジアルコキシボラン等のホウ素水素化物。
NaBH4、NaBH3R、NaBH22、NaBHR3、NaBH3CN、NaBH3N(CH32、NaBH3(NH(t−Bu))NaBH33、NaBH2(SCH2CH2S)、LiBH4、LiBH3R、LiBH22、LiBHR3、H3N−BH3、RH2N−BH3、R2HN−BH3、R3N−BH3、THF−BH3、ピリジン−BH3、R2HP−BH3、R3P−BH3、KBHR3等のホウ素水素化物の錯体(式中Rは、アルキル、アリールまたはアルコキシ基を表す。)。
Cl2SiH2、Cl3SiH、R2SiH2、R3SiH、((CH33Si)3SiH、ポリメチルヒドロシラン等のケイ素水素化物(式中Rは、アルキル、アリール、ベンジルまたはアルコキシ基を表す。)。
2SnH2、R3SnH、Ph2SnH2、Ph3SnH、(n−Bu)2SnH2、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等のスズ水素化物(式中Rは、アルキル、アリールまたはアルコキシ基を表す。)。
上記のものの中でも、反応性の観点から、アルミニウム水素化物若しくはその錯体、またはホウ素水素化物若しくはその錯体が好ましく、水素化ジイソブチルアルミニウム、およびBH3錯体がより好ましい。ヒドリド還元試薬は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
ヒドリド還元試薬が少なすぎると、イソインドール(1)の収率が低下する。一方、ヒドリド還元試薬が多すぎると、副反応が起こるおそれがある。よって上記フタロニトリル類1モルに対し、ヒドリドが、好ましくは2〜6モル、より好ましくは2.5〜5モル、さらに好ましくは2.7〜4.5モル、最も好ましくは3モルになるようにヒドリド還元試薬を使用することが推奨される。
還元反応後は、通常、ヒドリド還元試薬を水でクエンチする必要がある。この際、水と共に、酸(好ましくはプロトン酸)またはアルカリを用いることが好ましい。なぜならイソインドール類の収率が向上するからである。プロトン酸を用いる場合、ヒドリド還元試薬1モルに対してプロトン(H+)が、好ましくは1モル以上(より好ましくは1.5モル以上)、好ましくは4モル以下(より好ましくは3モル以下)となるような量で、プロトン酸を使用することが推奨される。他方、アルカリを用いる場合、ヒドリド還元試薬1モルに対して、好ましくは1モル以上(より好ましくは2モル以上)、好ましくは5モル以下(より好ましくは3モル以下)の量で、アルカリを使用することが推奨される。プロトン酸またはアルカリを過剰に用いた場合、残りのプロトン酸またはアルカリを、次の精製工程の前に中和することが好ましい。
ヒドリド還元試薬は、ルイス酸と組み合わせて使用してもよい。殊にケイ素水素化物またはスズ水素化物を使用する場合、ルイス酸を添加すると還元反応の進行が促進される。ルイス酸は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ルイス酸としては、特に限定は無く、例えばAlCl3、AlBr3、TiCl4、SnCl2、SnCl4、FeCl3、BF3、BF3・O(C252、トリスペンタフルオロフェニルホウ素、NbF5、TaF5、PF5、AsF5、SbF5等の周期律表第IIIB族、第IVA族、第IVB族、第VA族または第VB族元素のハロゲン化合物、その錯体またはアルコキシド化合物が挙げられる。
ヒドリド還元は、通常、溶媒を用いて行われる。溶媒としては特に限定は無いが、出発原料である上記フタロニトリル類を溶解できるものが好ましい。溶媒として、例えばクロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;およびスルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホラン類などを挙げることができる。溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合、出発原料である上記フタロニトリル類の濃度は、好ましくは0.01〜1M程度、より好ましくは0.05〜0.5M程度である。
ヒドリド還元では、還元試薬の分解を抑制するため、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また上記フタロニトリル類の溶液を冷却しながら、ヒドリド還元試薬の溶液をゆっくりと添加しても良いし、ヒドリド還元試薬の溶液を冷却しながら、上記フタロニトリル類の溶液をゆっくりと添加しても良い。還元反応の温度は、用いる溶媒などにも影響されるが、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下である。還元反応の時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
イソインドール(1)の収率を向上させるため、ヒドリド還元の後に、反応混合物とプロトン酸またはアルカリとを混合することが好ましい。還元後に用いるプロトン酸には特に限定は無く、有機または無機プロトン酸を使用することができる。プロトン酸は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。同様にこのためのアルカリにも特に限定は無く、1種のアルカリを使用しても良く、2種以上のアルカリを併用しても良い。
ヒドリド還元後、通常の処理工程により、反応混合物からイソインドール(1)を精製することが推奨される。例えば過剰のプロトン酸を用いた場合、塩基による中和工程、水または食塩水などによる洗浄工程、濃縮工程および精製工程を行うことが推奨される。本発明において精製手段には特に限定はなく、該技術分野で通常使用されている手段、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶などを使用することができる。
上記フタロニトリル類を接触水素化法で還元することによっても、イソインドール(1)を製造することができる。接触水素化反応に用いる触媒としては、該技術分野で知られている通常の金属触媒を使用することができる。金属触媒は、上記フタロニトリル類に対して、触媒の中心金属が好ましくは0.01〜30モル%、より好ましくは0.1〜20モル%、さらに好ましくは1〜10モル%となるような量で使用することが推奨される。
金属触媒として、ルテニウムやロジウムにホスフィンなどが配位して構成される均一触媒が挙げられる。但し反応性、反応後の回収および再生処理の容易性を考慮すると、不均一触媒を用いることが好ましい。不均一触媒の中でも、表面積を増大させて触媒活性を向上させるために、金属の微粉末を担体に担持させた触媒が好ましい。不均一触媒として、例えばニッケル、ラネーニッケル、銅−酸化クロム、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、酸化白金などの金属、またはこれらの金属微粉末を活性炭、アルミナ、珪藻土などの担体に担持させたものが挙げられる。これらの中でも、活性炭にパラジウムを担持させた触媒が、優れた触媒活性を示すので、より好ましい。
不均一触媒を使用する場合、接触水素化反応の前に、水素雰囲気下で触媒をプロトン酸と混合して活性化することが好ましい。プロトン酸を用いなくても目的物のイソインドール(1)は得られるが、収率を向上させるためには、プロトン酸を用いることが推奨される。活性化に用いるプロトン酸としては、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸が好ましい。プロトン酸の量が、上記フタロニトリル類に対して、多くても、少なくても、不純物が多く生成し、収率が低下する。よって原料の上記フタロニトリル類1モルに対し、プロトン(H+)が、好ましくは0.6〜1.6モル、より好ましくは0.8〜1.2モル、さらに好ましくは0.9〜1.1モル、最も好ましくは1モルになるようにプロトン酸を使用することが推奨される。活性化の温度は、通常、室温〜50℃程度であり、活性化の時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下、さらに好ましくは2時間以下である。
接触水素化による還元の場合も、通常、溶媒を用いて行われる。溶媒としては特に限定は無いが、出発原料である上記フタロニトリル類を溶解できるものが好ましい。溶媒として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホラン類;およびギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類などを挙げることができる。また接触水素化法では、アミド類または酢酸類と水との混合溶媒も使用できる。溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合、出発原料である上記フタロニトリル類の濃度は、好ましくは0.01〜1M程度、より好ましくは0.05〜0.5M程度である。
接触水素化の温度は、用いる溶媒などに応じて適宜設定できるが、例えば0℃以上(より好ましくは20℃以上)、150℃以下(より好ましくは120℃以下)である。還元反応の時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。接触水素化を促進するために、水素を加圧状態で用いることが好ましい。水素圧(絶対圧)は、好ましくは1.1気圧以上、より好ましくは1.5気圧以上、さらに好ましくは2気圧以上である。但し設備の制約などから水素圧(絶対圧)は、好ましくは5気圧以下、より好ましくは3気圧以下である。
反応系に絶えず水素ガスを供給して、接触水素化反応を行うことができる。また一定圧まで水素ガスを供給した後に、反応系を密閉して接触水素化反応を行い、反応の進行に伴い系内の圧力が低下してから、再び水素ガスを供給することもできる。水素ガス供給の前に、反応系を減圧にすることが望ましい。また触媒に多くの水素原子を吸着させるために、減圧および水素ガスの供給を複数回繰り返して行うことが、殊に溶媒存在下で接触水素化反応を行う場合に推奨される。
上述のようにして得られるイソインドール(1)の中でも、安定性などの観点から、上記式(1a)で表されるものが好ましく、4,5,6,7−テトラフルオロイソ−2H−インドールまたは4,5,6,7−テトラクロロ−2H−イソインドールがより好ましく、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドールがさらに好ましい。
イソインドール(1)から、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)またはアミノメチル化−2H−イソインドール(2d)を製造する方法には特に限定は無く、有機合成化学の分野で知られているあらゆる方法を使用することができる。しかし反応の容易性などの観点から、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)はビルスマイヤー(Vilsmeier)反応でホルミル化した後に還元することにより、アミノメチル化−2H−イソインドール(2d)はマンニッヒ(Mannich)反応により製造することが好ましい。
まずヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)の好ましい製造方法を説明する。ハロゲン化ホスホリルPOX5 3(式中、X5は、F、ClまたはBrを表す。)の存在下で、イソインドール(1)とジアルキルホルムアミドHCONR67(式中、R6およびR7は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)とを反応させるビルスマイヤー反応では、反応条件の違いにより、詳しくは基質の反応性または反応温度の違いにより、第1の中間体であるホルミル化−2H−イソインドール(2b)、または第2の中間体であるアミノメチレン化−1H−イソインドール(2a)が形成される。例えばイソインドール(1)として4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドールを用いた場合、ビルスマイヤー反応における加水分解反応を還流下で行うと第1の中間体(2b)が得られ、反応を室温下で行うと第2の中間体(2a)が得られる。なお第2の中間体(2a)が得られた場合、これを加水分解することにより、容易に第1の中間体(2b)に転化することができる。
ビルスマイヤー反応に用いるハロゲン化ホスホリルとして、例えばフッ化ホスホリル、塩化ホスホリルまたは臭化ホスホリルが挙げられるが、これらの中でも反応性の観点から、塩化ホスホリルが好ましい。またハロゲン化ホスホリルの代わりに、またはハロゲン化ホスホリルと共に、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド等のスルホニルクロリド類、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、スルホン酸無水物等のスルホン酸無水物類、ホスゲン、チオホスゲン、オキサリルクロリドなども使用できる。ジアルキルホルムアミドとして、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジイソプロピルホルムアミドおよびジブチルホルムアミドなどが挙げられるが、これらの中でもDMF(R6=R7=CH3)が好ましい。中間体(2a)または(2b)への転化率を高めるため、ジアルキルホルムアミドおよびハロゲン化ホスホリルは、イソインドール(1)に対して当量以上で用いることが好ましい。具体的にはジアルキルホルムアミドおよびハロゲン化ホスホリル量は、イソインドール(1)1モルに対してそれぞれ、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.3モル以上である。しかしジアルキルホルムアミド等の量があまりに過剰であると、原料および精製コストが増大する。そこでジアルキルホルムアミドおよびハロゲン化ホスホリル量は、イソインドール(1)1モルに対してそれぞれ、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下、さらに好ましくは2モル以下である。
中間体(2a)または(2b)を製造するためのビルスマイヤー反応は、通常、溶液中で行われる。出発物質の1つであるジアルキルホルムアミド、特にDMFは、溶媒の代わりとして用いることができる。その他の溶媒として、例えばクロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類;およびトルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類を用いることができる。イソインドール(1)の溶液濃度は、好ましくは0.01〜2M程度、より好ましくは0.05〜1M程度である。
イソインドール(1)、ハロゲン化ホスホリル、およびジアルキルホルムアミドを混合して反応系中でビルスマイヤー試薬([R67N=CHX5(+)5(-))を形成させてもよいし、先にハロゲン化ホスホリルとジアルキルホルムアミドとを混合して、予めビルスマイヤー試薬を形成させてもよい。予めビルスマイヤー試薬を形成する場合、ビルスマイヤー試薬中にイソインドール(1)を添加しても良いし、逆にイソインドール(1)にビルスマイヤー試薬を添加しても良い。それぞれの添加・混合工程では発熱を抑制するために、必要に応じて冷却すればよい。ビルスマイヤー反応の温度は、用いる溶媒などにも影響されるが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。ビルスマイヤー反応の時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、好ましくは20時間以下、より好ましくは15時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
アミノメチレン化−1H−イソインドール(2a)は、加水分解により、ホルミル化−2H−イソインドール(2b)に容易に転化することができる。この加水分解は、アミノメチレン化−1H−イソインドール(2a)と水とを混合するだけでも行い得るが、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムなどのようなアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液を用いる場合、加水分解の温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃であり、その時間は通常0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
ホルミル化−2H−イソインドール(2b)を還元することにより、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を製造することができる。ホルミル基(アルデヒド)からヒドロキシメチル基(アルコール)への還元は容易であり、有機合成化学の分野において周知の方法で行うことができる。還元剤としては、例えばNaBH4、BH3-THF等のホウ素水素化物の錯体、LiAlH4、水素化ジイソブチルアルミニウム等のアルミニウム水素化物の錯体などが挙げられる。なおイソインドール環の還元を抑制して、ホルミル基だけが条件で還元を行う必要がある。例えばLiAlH4のような強い還元剤を用いる場合、還元反応を短時間で終了させればよい。
中間体(2a)、(2b)または(2c)を製造した後、これらを精製せずに、反応混合物のまま、次の中間体またはπ共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))の製造に用いることもできる。しかし純度の高いπ共役環状化合物(3)を製造するためには、中間体(2a)、(2b)および(2c)の1つ以上を精製してから、次の工程で使用することが推奨される。精製手段として、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶、晶析などが利用できる。
ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)は、出発物質であるイソインドール(1)よりも安定化されているが、通常のポルフィリンを製造するために使用されるピロールと比べて反応性が高い。そのためピロールからポルフィリンを合成するために通常用いられるクロロ酢酸などの存在下で、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を反応させると、重合してイソインドールオリゴマーなどが形成される。重合反応を抑制しつつ、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)からπ共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))を製造するためには、クロロ酢酸よりも弱い酸を用いて脱水環化することが必要である。このための酸として、例えば酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族モノカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;およびZnCl2、BF3およびBF3・O(C252などの弱いルイス酸を使用することができ、これらの中でも前記脂肪族モノカルボン酸および前記ルイス酸が好ましい。前記脂肪族モノカルボン酸および/または前記ルイス酸は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述の脱水環化は、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を単離してから行ってもよいし、またホルミル化−2H−イソインドール(2b)を還元した後、反応混合物をそのまま用いてもよい。単離したヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を脱水環化に用いる場合、ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)1モルに対する酸の使用量は、前記ルイス酸では1.5モル程度、前記脂肪族カルボン酸では1.5モル程度以上である。また前記脂肪族カルボン酸は、溶媒として、過剰量で使用できる。ヒドリド還元試薬を用いて得られたヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)を単離せずに反応混合物を脱水環化に用いる場合、前記脂肪族カルボン酸を、ヒドリド還元試薬のクエンチのためにも使用することができる。この場合、前記脂肪族カルボン酸は、過剰量で用いることが好ましい。
ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)の脱水環化の反応温度は、その反応性に応じて適宜設定すればよく、例えば、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。この反応時間は、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上であり、好ましくは96時間以下、より好ましくは72時間以下である。
上記の脱水環化により、π共役環状化合物(3)の還元体(特にポルフィリノーゲン(5))が得られ、これを酸化剤で酸化することにより、π共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))を製造することができる。脱水環化で酢酸程度の弱酸を用いた場合、π共役環状化合物(3)の還元体(特にポルフィリノーゲン(5))の酸化前にこの弱酸を、中和しても、しなくても良いが、好ましくは酸化工程の前に、脱水環化で用いた酸を中和することが推奨される。
このための酸化剤として、酸素、空気等の酸素含有ガス;およびp−クロラニル(2,3,5,6−テトラクロロ−p−ベンゾキノン)、DDQ(2,3−ジシアノ−5,6−ジクロロ−p−ベンゾキノン)等のキノン類を使用できる。酸化剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化反応温度は、例えば、通常10℃以上、好ましくは20℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。この反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
ヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)から、脱水環化および酸化によりπ共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))を合成する反応は、通常、溶液反応である。そのための溶媒として、前記脂肪族カルボン酸を使用できる。またこれ以外の溶媒として、例えばクロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などを挙げることができる。溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合、出発原料であるヒドロキシメチル化−2H−イソインドール(2c)の濃度は、好ましくは1〜1000mM程度、より好ましくは5〜500mM程度である。
上記のようにして得られたπ共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))は、昇華、再結晶、晶析などにより精製することができる。例えばフェノキシ基のような置換基を有するポルフィリン(3a)であれば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィーで精製することもできる。
次にアミノメチル化−2H−イソインドール(2d)の好ましい製造方法を説明する。アミノメチル化−2H−イソインドール(2d)は、酸の存在下で、イソインドール(1)と、ホルムアルデヒドと、ジアルキルアミンNHR45(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)とを用いるマンニッヒ反応により、製造できる。また、予め調製したハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムH2C=NR456(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表し、X6は、ハロゲン原子を表す。)と、イソインドール(1)とを用いて、マンニッヒ反応を行っても良い。
まずホルムアルデヒドおよびジアルキルアミンを用いる場合について説明する。このマンニッヒ反応に用いる酸として、例えばハロゲン化水素酸(塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、硝酸、硫酸等の無機酸;およびギ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の有機酸を挙げることができ、これらの中でも塩酸、臭化水素酸、硫酸およびトリフルオロ酢酸が好ましい。一塩基酸を、イソインドール(1)1モルに対して、好ましくは1〜2モル、より好ましくは1.1〜1.5モルで使用することが推奨される。なお多塩基酸を用いる場合、推奨されるその使用量は、一塩基酸の上記量に、多塩基酸の価数を掛けた量である。またジアルキルアミンとして、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンおよびジブチルアミンなどが挙げられるが、これらの中でも反応性などの観点から、ジメチルアミン(R4=R5=CH3)が好ましい。ジアルキルアミンおよびホルムアルデヒドを、イソインドール(1)1モルに対してそれぞれ、好ましくは1〜2モル、より好ましくは1.1〜1.5モルの量で使用することが推奨される。
次にハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムを用いる場合について説明する。ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムは、ホルムアルデヒドとジアルキルアミンとから製造することができ、また例えばハロゲン化メチレンジメチルアンモニウムは、アルドリッチ社から入手できる。ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムとして、ハロゲン化メチレンジメチルアンモニウムが好ましく、ヨウ化メチレンジメチルアンモニウムおよび塩化メチレンジメチルアンモニウムがより好ましい。ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムは、イソインドール(1)1モルに対して、好ましくは1〜2.5モル、より好ましくは1.05〜2モル、さらに好ましくは1.1〜1.5モルの量で使用することが推奨される。
マンニッヒ反応は、通常、溶媒を用いて行われる。溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;およびアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類などを挙げることができる。溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合、出発原料であるイソインドール(1)の濃度は、好ましくは0.01〜2M程度、より好ましくは0.05〜1M程度である。
上記のマンニッヒ反応の温度は、用いる溶媒などにも影響されるが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。この反応時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、好ましくは72時間以下、より好ましくは48時間以下である。
含ハロゲンイソインドールの1位置換体である中間体(2d)は、中間体(2a)〜(2c)と同様に、無置換のイソインドール(1)よりも安定であると考えられる。しかし中間体(2d)は、中間体(2c)と比べて活性であるため、形成されると直ぐに環化して、π共役環状化合物(3)の還元体(特にポルフィリノーゲン(5))、次いでπ共役環状化合物(3)(特にポルフィリン(3a))が形成される。よってマンニッヒ反応を経る本発明の方法では、上記マンニッヒ反応の後で、酸化剤を作用させることにより、π共役環状化合物(3)を製造することができる。マンニッヒ反応およびそれに続く環化反応後の酸化反応は、上述と同様にして行うことができる。
上記のようにして得られたポルフィリン(3a)は、ポルフィリン化学の分野で良く知られているように、様々な金属または半金属イオンと結合してポルフィリン錯体(4)を形成することができる。ポルフィリン錯体(4)と結合する金属または半金属イオンとして、例えばBeおよびRaを除く第2族元素、希土類元素、Th、U、第4族〜第12族元素、Bを除く第13族元素、Cを除く第14族元素、並びにNおよびPを除く第15族元素のイオンを挙げることができる。これらの中でも金属イオンが好ましく、Co、Zn、Cu、Ni、Pd、Pt、FeまたはMnイオンがより好ましい。ポルフィリン配位子は、3価以上の金属または半金属イオンと結合することができ、この場合にポルフィリン錯体の中心金属は、ハロゲン、アルキル、アルコキシル基等と結合して、電荷が釣り合わされる。
これら金属または半金属のポルフィリン錯体(4)を形成するためには、金属または半金属イオンを含む金属塩、例えばハロゲン化物塩(殊に塩化物塩、臭化物塩およびヨウ化物塩)または酢酸塩等と、ポルフィリン(3a)とを混合すればよい。また中間体(2c)または(2d)の環化後かつ酸化前(即ち、ポルフィリノーゲン(5)の段階)で、金属または半金属イオンを含む金属塩を添加した後、酸化することによっても、ポルフィリン錯体(4)を形成できる。この錯化反応は、通常、溶媒中で行われ、そのための溶媒としてはポルフィリン製造のものと同じものを使用できる。錯化反応のための温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。また錯化反応のための時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、好ましくは96時間以下、より好ましくは72時間以下である。
本発明のπ共役環状化合物(3)(好ましくはポルフィリン(3a)、コロール(3b)、サフィリン(3b)およびペンタフィリン(3d);より好ましくはポルフィリン(3a))は、様々な用途、例えば有機電子デバイス、特に有機導電性材料、有機半導体材料、n型有機電界効果型トランジスター(OFET)、太陽電池材料、光電導素子、非線形光学材料、光電変換素子ドーパント、光電導キャリヤ発生材料、光記録材料、および触媒などに適用できる。さらに本発明のポルフィリン錯体(4)も同様の用途に適用できる。また上記式(2a)〜(2c)で示される化合物は、π共役環状化合物(3)の製造だけでなく、ポリイソインドレニンビニレンのようなポリマー材料の製造に適用できる。
本発明のポルフィリン(3a)およびポルフィリン錯体(4)の中でも、ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンおよび21,22,23,24,71,72,73,74,121,122,123,124,171,172,173,174−ヘキサデカクロロ−21H,23H−テトラベンゾポルフィリンおよびその錯体が好ましく、ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンおよびその錯体が好ましい。フッ素または塩素、特にフッ素は電子求引性であるので、それらを多数含有するポルフィリンおよびその錯体は、殊にn型の有機半導体または有機電界効果型トランジスターの材料への適用が期待できるからである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〈実施例1〉
1−(N,N−ジメチルアミノメチレン)−4,5,6,7−テトラフルオロ−1H−イソインドール(以下、「アミノメチレン体」と略称する。)の製造
還流装置を備えた50mlの二口ナスフラスコを窒素置換し、氷浴で冷却しながらジメチルホルムアミド0.21ml(2.75mmol)を加え、そこに塩化ホスホリル0.26ml(2.75mmol)をゆっくりと滴下し、15分間撹拌した。塩化メチレン2mlを加えて析出した固体を溶かし、そこに4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール480mg(2.54mmol)を塩化メチレン2mlに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、その後氷浴を外して55℃に加熱し、15分間還流した。次に室温まで冷却して、酢酸ナトリウム1.25gをイオン交換水2.5mlに溶かした溶液をゆっくりと加えた後、反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、抽出した有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧下で濃縮して、褐色の固体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で精製し、アミノメチレン体350mg(1.42mmol、収率55.9%)を得た。
アミノメチレン体のスペクトルデータ
(1)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(CDCl3):δ3.39(s、3H)、3.78(s、3H)、7.53(s、1H)、8.09(s、1H)
19F−NMR(CDCl3):δ−166.15(dd、J=21、20Hz、1F)、−161.89(dd、J=21、20Hz、1F)、−151.46(dd、J=21、20Hz、1F)、−148.22(dd、J=21、20Hz、1F)
(2)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS-MS 700v型)
MS(EI):m/z=244(M+)(計算分子量:244.19)
〈実施例2〉
1−ホルミル−4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール(以下、「ホルミル体」と略称する)の製造
還流装置を備えた50mlの二口ナスフラスコを窒素置換し、氷浴で冷却しながらジメチルホルムアミド0.21ml(2.75mmol)を加え、そこに塩化ホスホリル0.26ml(2.75mmol)をゆっくりと滴下し、15分間撹拌した。析出した固体に塩化メチレン1.5mlを加えて固体を溶かし、そこに4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール470mg(2.49mmol)を塩化メチレン6mlに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、その後氷浴を外して55℃に加熱し、15分間還流した。次に室温まで冷却して、酢酸ナトリウム1.25gをイオン交換水2.5mlに溶かした溶液をゆっくりと加えた後、55℃で2時間還流し、室温まで冷却した。次いで反応混合物を、ジエチルエーテルで抽出し、抽出した有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧下で濃縮して、褐色の固体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル30体積%/ヘキサン70体積%)で精製し、ホルミル体70mg(0.322mmol、収率12.9%)を得た。
ホルミル体のスペクトルデータ
(1)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR((CD32CO):δ8.01(s、1H)、9.81(s、1H)
19F−NMR((CD32CO)):δ−168.54(dd、J=17、18Hz、1F)、−162.64(dd、J=17、18Hz、1F)、−149.20(dd、J=20、18Hz、1F)、−146.90(m、1F)
(2)マススペクトル(装置:日本電子製、型式:JMS-MS 700v型)
MS(EI):m/z=217(M+)(計算分子量:217.12)
〈実施例3〉
アミノメチレン体からのホルミル体の製造
還流装置を備えた100mlのナスフラスコにアミノメチレン体326.7mg(1.33mmol)を加えて窒素置換し、これにエタノール35mlを加えて溶解させた後、1MのNaOH水溶液2ml(2mmol)を加えて、60℃で1.5時間加熱し、室温まで冷却した。次いで反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、水によりエタノールを除去し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧下で濃縮することにより、白色固体として、ホルミル体208.6mg(0.96mmol、収率72.2%)を得た。
〈実施例4〉
1−ヒドロキシメチル−4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール(以下、「ヒドロキシメチル体」と略称する)の製造
100mlのナスフラスコにホルミル体108.6mg(0.5mmol)を加えて窒素置換し、これに乾燥THF20mlを加え、−78℃で撹拌しながら1Mの水素化ジイソブチルアルミニウム溶液1.1ml(1.1mmol)を加え、さらに2時間撹拌した。−78℃のまま1MのHClを加えてクエンチし、室温に戻してから反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧下で濃縮することにより、赤紫色の固体として、ヒドロキシメチル体103mg(0.47mmol、粗収率94%)を得た。
〈実施例5〉
ヒドロキシメチル体からのヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンの製造
実施例4で得られたヒドロキシメチル体103mg(粗収量0.47mmol)を、そのまま100mlのナスフラスコに加えて窒素置換した後、エタノール47mlを加えて溶解させ、酢酸3ml(51.8mmol)を加えた後、室温で3日間撹拌した。次いで反応混合物にトリエチルアミン5.24g(51.8mmol)を加えて中和した後、DDQ(2,3−ジシアノ−5,6−ジクロロ−p−ベンゾキノン)119.3mg(0.53mmol)を加えて室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を吸引ろ過することにより、深緑色の固体として、ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン28mg(粗収量0.035mmol、粗収率29.8%)を得た。
ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンのスペクトルデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=798.80(M+)(計算分子量:798.03)
(2)紫外−可視吸収スペクトル(装置:日立ハイテクノロジーズ製、型式:U−2800)
λmax(CHCl3)=416、430、599、667、690nm
なおTOF−MS測定から、粗生成物中に、下記式で示されるコロール(実測値:m/z=785.87、計算分子量:786.03)、サフィリン(実測値:m/z=985.95、計算分子量:985.04)およびペンタフィリン(実測値:m/z=997.93、計算分子量:997.04)が生成していることを確認した。
〈実施例6〉
1−(N,N−ジメチルアミノ)メチル−4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール(「アミノメチル体」)を経るヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンの製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール100mg(0.529mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム102mg(0.553mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル8.41gを加え、室温で32時間撹拌した。その後DDQ 150mg(661mmol)を加えて、室温でさらに24時間撹拌した。その後に飽和重曹水14.2gを加えて反応を終了させた。反応液を濾過して得られた濾物を、さらにメタノール、次いでクロロホルムで超音波洗浄することにより、ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン20mg(0.025mmol、収率18.9%)を得た。
〈実施例7〉
1−(N,N−ジメチルアミノ)メチル−5,6−ビス(ペンタフルオロフェニル)−4,7−ジフルオロ−2H−イソインドール(「アミノメチル体」)を経る22,23,72,73,122,123,172,173−オクタキス(ペンタフルオロフェニル)−21,24,71,74,121,124,171,174−オクタフルオロ−21H,23H−テトラベンゾポルフィリン(以下、「オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリン」と略称する)
の製造
反応容器に、5,6−ビス(ペンタフルオロフェニル)−4,7−ジフルオロ−2H−イソインドール200mg(0.41mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム76.3mg(0.41mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル17.7gを加え、室温で48時間撹拌した。反応後、エバポレーターを用いて反応液を濃縮し、続けて濃縮物をクロロホルムに溶解させて、クロロホルム相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、再度エバポレーターにより濃縮した。濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル50体積%/ヘキサン50体積%)で精製することにより、オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリン12mg(0.006mmol、収率6.0%)を得た。
オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリンのスペクトルデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=1984.26(M+)(計算分子量:1981.98)
(2)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(CHCl3)=435、451、576、623、632nm
〈実施例8〉
ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン亜鉛錯体(以下、「ポルフィリン亜鉛錯体」と略称する。)の製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール300mg(1.59mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム300mg(1.62mmol)を加えて窒素置換した後に、塩化メチレン69.3gを加え、室温で48時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下から大気下に開放し、酢酸亜鉛256mg(1.40mmol)を加えて、大気下および室温でさらに48時間撹拌した。ポルフィリノーゲンの酸化は、主に、この大気下の撹拌で行われると推定される。その後、反応液を、分液ロートに移して水洗した後、エバポレーターで濃縮した。この濃縮物を、メタノールおよび酢酸エチルで3回超音波洗浄することにより、ポルフィリン亜鉛錯体92mg(0.107mmol、収率26.9%)を得た。
ポルフィリン亜鉛錯体のスペクトルデータ
(1)NMRスペクトル(装置:VARIAN社製、型式:マーキュリー2000)
1H−NMR(C48O):δ10.85(s、1H)
19F−NMR(C48O、基準物質:ヘキサフルオロベンゼン):δ7.2(m、8F)、18.4(m、8F)
(2)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=860.84(M+)(計算分子量:859.95)
(3)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(THF)=407、432、623nm
〈実施例9〉
ポルフィリン亜鉛錯体の製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール517mg(2.734mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム528mg(2.85mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル41.27gを加え、室温で48時間撹拌した。その後、酢酸亜鉛700mg(3.81mmol)を加えて、室温でさらに6時間撹拌した後、DDQ 910mg(4.008mmol)を加えて、室温でさらに24時間撹拌した。その後、反応液を飽和重曹水60gへ注ぎ、濾過により濾物を回収し、濾物を、メタノール、次いでイソプロピルアルコールで洗浄した後、ソクスレー抽出によりポルフィリン亜鉛錯体50mg(0.058mmol、収率8.49%)を得た。
〈実施例10〉
ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリン銅錯体(以下、「ポルフィリン銅錯体」と略称する。)の製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール700mg(3.70mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム700mg(3.78mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル98.3gを加え、室温で48時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下から大気下に開放し、酢酸銅一水和物744mg(3.73mmol)を加えて、大気下および室温で48時間撹拌した。ポルフィリノーゲンの酸化は、主に、この大気下の撹拌で行われると推定される。その後、反応液をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を、メタノール、酢酸エチル、次いでTHFで超音波洗浄することによりポルフィリン銅錯体250mg(0.291mmol、収率31.4%)を得た。
ポルフィリン銅錯体のスペクトルデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=859.78(M+)(計算分子量:858.95)
(2)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(THF)=405、422、620nm
〈実施例11〉
ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンニッケル錯体(以下、「ポルフィリンニッケル錯体」と略称する。)の製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール100mg(0.529mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム100mg(0.54mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル5.53gを加え、室温で24時間撹拌した。その後、酢酸ニッケル四水和物133mg(0.534mmol)を加えて、室温で22時間撹拌した。その後、DDQ 124mg(0.546mmol)を加えて、室温で48時間撹拌した。その後、反応液を撹拌しながら、1Mの重曹水15mlへ注ぎ、濾過し、得られた濾物を、メタノール、次いで希塩酸で洗浄した。さらに濾物を、酢酸エチル、メタノール、クロロホルムの各溶媒で順に超音波洗浄した後、ソクスレー抽出することによりポルフィリンニッケル錯体4mg(0.005mmol、収率3.5%)を得た。
ポルフィリンニッケル錯体のスペクトルデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=854.69(M+)(計算分子量:853.95)
(2)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(THF)=405、430、617nm
〈実施例12〉
ヘキサデカフルオロテトラベンゾポルフィリンコバルト錯体(以下、「ポルフィリンコバルト錯体」と略称する。)の製造
反応容器に、4,5,6,7−テトラフルオロ−2H−イソインドール100mg(0.529mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム100mg(0.54mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル5.54gを加え、室温で24時間撹拌した。その後、酢酸コバルト四水和物134mg(0.538mmol)を加えて、室温で22時間撹拌した。その後、DDQ 120mg(0.529mmol)を加えて、室温で48時間撹拌した。その後、反応液を撹拌しながら、1Mの重曹水8mlへ注ぎ、濾過した。得られた濾物をベンゾニトリルに溶解させ、メタノールに注いで結晶を析出させた後に再び濾過し、得られた濾物を、酢酸エチル、メタノール、クロロホルムの各溶媒で順に超音波洗浄した後、ソクスレー抽出することによりポルフィリンコバルト錯体3mg(0.004mmol、収率2.7%)を得た。
ポルフィリンコバルト錯体のスペクトルデータ
(1)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=855.84(M+)(計算分子量:854.95)
(2)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(THF)=421、433、447、614nm
〈実施例13〉
オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリン亜鉛錯体の製造
反応容器に、5,6−ビス(ペンタフルオロフェニル)−4,7−ジフルオロ−2H−イソインドール200mg(0.40mmol)およびヨウ化メチレンジメチルアンモニウム76.3mg(0.41mmol)を加えて窒素置換した後に、アセトニトリル17.7gを加え、室温で48時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下から大気下に開放し、酢酸亜鉛64.7mg(0.35mmol)を加えて、大気下および室温でさらに48時間撹拌した。ポルフィリノーゲンの酸化は、主に、この大気下の撹拌で行われると推定される。その後、反応液をエバポレーターで濃縮し、続けて濃縮物をクロロホルムに溶解させ、このクロロホルム相を、水および希塩酸で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水して、再度エバポレーターで濃縮した。濃縮物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル20体積%/ヘキサン80体積%)で精製することにより、オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリン亜鉛錯体21mg(0.010mmol、収率10.2%)を得た。
オクタキス(ペンタフルオロフェニル)オクタフルオロテトラベンゾポルフィリン亜鉛錯体のスペクトルデータ
(1)NMRスペクトル(装置:日本電子製、型式:JNM−AL400)
1H−NMR(C55N):δ11.97(s、1H)
19F−NMR(C55N):δ−159.49(m、2F)、−149.55(m、1F)、−138.13(m、2F)、−118.73(s、1F)
(2)マススペクトル(装置:アプライド・バイオシステムズ製、型式:Voyager−DETM PRO)
MS(TOF−MS):m/z=2047.14(M+)(計算分子量:2043.9)
(3)紫外−可視吸収スペクトル(装置:島津製作所製、型式:uv−1650Pc)
λmax(THF)=429、457、595、643nm

Claims (20)

  1. 下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールから、下記式(2)で示されるイソインドールの1位置換体を経て、下記式(3)で示されるπ共役環状化合物を製造する方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。
    Zは、OHまたはNR45(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)を表す。
    Aは、NまたはNHを表し、jは、1〜5の整数を表し、kは、0または1の整数を表し、実線および点線からなる二重線は、単結合または二重結合を表し、式(3)で示される環状化合物は、二重線の部分でπ共役系を形成する。〕
  2. 下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールから、下記式(2)で示されるイソインドールの1位置換体を経て、下記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンを製造する、請求項1に記載の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。
    Zは、OHまたはNR45(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)を表す。〕
  3. 上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールをホルミル化することによって、下記式(2b)で示される第1の中間体を形成し、次いでこの中間体(2b)を還元することにより、上記イソインドールの1位置換体として下記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドールを形成する、請求項2に記載の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
  4. 上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールをアミノメチレン化することによって、下記式(2a)で示される第2の中間体を形成し、次いでこの中間体(2a)を加水分解することにより、上記式(2b)で示される第1の中間体を形成する、請求項3に記載の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、R6およびR7は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。〕
  5. ハロゲン化ホスホリルの存在下で、上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールとジアルキルホルムアミドとを反応させて、上記式(2b)で示される第1の中間体または上記式(2a)で示される第2の中間体を形成する、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸、および/またはZnCl2、BF3およびBF3・O(C252から選択される少なくとも1種のルイス酸の存在下で上記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドールを脱水環化し、次いで酸化剤を作用させることにより、上記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンを製造する、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールをアミノメチル化することによって、上記イソインドールの1位置換体として下記式(2d)で示されるアミノメチル化−2H−イソインドールを形成する、請求項2に記載の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。〕
  8. 酸の存在下で、上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールと、ホルムアルデヒドと、ジアルキルアミンとを反応させ、次いで酸化剤を作用させることにより、上記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンを製造する請求項7に記載の製造方法。
  9. 上記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールと、ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムとを反応させ、次いで酸化剤を作用させることにより、上記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンを製造する請求項7に記載の製造方法。
  10. 下記式(2a)で示されるアミノメチレン化−1H−イソインドール。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、R6およびR7は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表す。〕
  11. 下記式(2b)で示されるホルミル化−2H−イソインドール。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
  12. 下記式(2c)で示されるヒドロキシメチル化−2H−イソインドール。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
  13. 下記式(3)で示されるπ共役環状化合物。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1、2又は3を表し、nは0、1、2又は3を表す。ただし、mが2のとき、nは1又は2である。
    は、NまたはNHを表し、jは、1〜5の整数を表し、kは、0または1の整数を表し、実線および点線からなる二重線は、単結合または二重結合を表し、式(3)で示される環状化合物は、二重線の部分でπ共役系を形成する。〕
  14. 下記式(3a)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリンである請求項13に記載のπ共役環状化合物。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1、2又は3を表し、nは0、1、2又は3を表す。ただし、mが2のとき、nは1又は2である。〕
  15. ハロゲン化ホスホリルの存在下で、下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールとジアルキルホルムアミドとを反応させて、下記式(2b)で示される中間体を形成し、この中間体(2b)を還元することにより、下記式(2c)で示される中間体を形成し、この中間体(2c)を、酸と混合し、次いで金属または半金属イオンMを含む塩と混合した後に、酸化剤を作用させることにより、下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体を製造することを特徴とする、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
  16. ハロゲン化ホスホリルの存在下で、下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールとジアルキルホルムアミドとを反応させて、下記式(2a)で示される中間体を形成し、この中間体(2a)を加水分解することにより、下記式(2b)で示される中間体を形成し、この中間体(2b)を還元することにより、下記式(2c)で示される中間体を形成し、この中間体(2c)を、酸と混合し、次いで金属または半金属イオンMを含む塩と混合した後に、酸化剤を作用させることにより、下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体を製造することを特徴とする、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、R6およびR7は、それぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基を表し、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
  17. 酸の存在下で、下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールと、ホルムアルデヒドと、ジアルキルアミンとを反応させ、次いで反応混合物と、金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させることにより、下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体を製造することを特徴とする、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
  18. 下記式(1)で示される含ハロゲンイソインドールと、ハロゲン化メチレンジアルキルアンモニウムとを反応させ、次いで反応混合物と、金属または半金属イオンMを含む塩とを混合した後に、酸化剤を作用させることにより、下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体を製造することを特徴とする、含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体の製造方法。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
  19. 下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R1、OR2またはSR3(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、m+n≦4であることを条件として、mは1、2又は3を表し、nは0、1、2又は3を表し(ただし、mが2のとき、nは1又は2である)、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
  20. 下記式(4)で示される含ハロゲンテトラベンゾポルフィリン錯体。

    〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Yは、R 1 、OR 2 またはSR 3 (式中、R 1 、R 2 およびR 3 は、それぞれ独立にアルキル、アリールまたはアルキルアリール基を表す。)を表し、mは2であり、nは1又は2であり、Mは、金属または半金属イオンを表す。〕
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