JP2009023200A - マークシート用筆記具、マークシート用筆記具セット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 マークシート用紙にマークする筆記具であって、前記筆記具は(イ)電子供与性近赤外吸収有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなり、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性近赤外吸収組成物を着色剤として用いてなり、且つ、摩擦部材を備えてなるマークシート用筆記具、前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物を着色剤として用いてなるマークシート用筆記具と、摩擦体とからなるマークシート用筆記具セット。
【選択図】 図2
Description
前記鉛筆やシャープペンシルを用いてマークする場合、所望の色濃度を得るために同じ箇所を繰り返しマークする手間を有する。
前記問題を解消するために赤外線吸収マーカー用インキを用いてマークシートに筆記することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記赤外線吸収マーカー用インキを用いることにより同じ箇所を繰り返しマークする手間を省くことができる反面、マークする箇所を間違えると消去できないため、新たなマークシートに書き直す必要がある。
一方、鉛筆やシャープペンシルはマークする箇所を間違えた際には消しゴムで擦過して筆跡を消去し、別の箇所にマークすることが可能であるものの、消しかすが用紙に付着していると、マークシートの読み取り時にセンサーが消しかすに反応して正確な読み取りを困難にすることがある。
更には、前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物をカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いてなること、前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物又はマイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、両状態の保持温度域が共に常温域にあり、有色状態から温度が上昇する過程では、温度T3に達すると消色し始め、温度T3より高い温度T4以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度T3より低い温度T2に達すると着色し始め、温度T2より低い温度T1以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度T2と温度T3の間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示し、温度T1は−30〜0℃の範囲にあり、温度T4が45〜95℃の範囲にあること等を要件とする。
更には、(イ)電子供与性近赤外吸収有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなり、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性近赤外吸収組成物を着色剤として用いてなるマークシート用筆記具と、摩擦体とからなるマークシート用筆記具セットを要件とする。
前記着色剤としては、(イ)電子供与性近赤外吸収有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱により消色する可逆熱変色性近赤外吸収組成物、或いは、前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物をカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料が有効である。
前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物としては、特開昭63−145388号公報に記載されている可逆熱変色性近赤外吸収組成物や、特開平10−237436号公報に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=5〜80℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する可逆熱変色性近赤外吸収組成物が用いられる。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記T1とT4間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるT2とT3の間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
本発明に適用される筆記具は、有色状態の可逆熱変色性近赤外吸収組成物、或いは、前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いてなり、前記筆記具により形成された筆跡が指触等では容易に消色されない構成であることが好ましく、しかも、消色した筆跡は再び現出しないことが好ましい。
従って、前述したT1とT4の温度設定は極めて重要な要件となる。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性近赤外吸収有機化合物としては、特開昭63−145388号公報、特開平10−237436号公報に記載されている化合物を用いることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性近赤外吸収組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
また、前記式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物としては、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチル等を挙げることができる。
筆記により形成される筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による摩擦による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1〜3μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)の最大外径の平均値が5.0μmを越えると毛細間隙からの流出性の低下を生じ易く、最大外径の平均値が0.5μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤によりマイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキを挙げることができる。更には、マイクロカプセル顔料とビヒクルとの比重差を0.05以下になるよう調節したインキを挙げることができる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記インキには顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子凝集剤であればすべて適用することができるが、なかでも水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20質量%配合することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm、好ましくは0.4〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mm径程度のものが適用できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
前記インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
また、前記弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
前記摩擦部材や摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
前記摩擦部材や摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)等が好適であるが、シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれることがあるため、SBS樹脂やSEBS樹脂がより好適に用いられる。
前記摩擦部材は筆記具に固着させることにより、携帯性に優れたものとなる。
前記摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒先端部(筆記先端部を設けていない部分)等を挙げることができる。
前記摩擦体は、マークシート用筆記具と組み合わせてマークシート用筆記具セットが得られる。
なお、マークシート用筆記具セットを構成するマークシート用筆記具は前述した筆記具が用いられる。
前記のようにしてマークを終了したシートは、読み取り装置にセットして読み取りを行う。なお、読み取り時にはマークした箇所はセンサーが正確に読み取りを行ない、訂正箇所(消去した箇所)はセンサーが読み取ることはない。
なお、実施例中の部は質量部である。
実施例1
マークシート用筆記具の作製(図2参照)
(イ)成分としてビス3,3−[1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド4.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−8℃、T3:45℃、T4:58℃、ΔH:65.5℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性近赤外吸収組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)25.0部、増粘剤0.2部、湿潤剤13.0部、浸透性付与剤0.03部、系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、水61.02部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ4(冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容管21)に吸引充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、インキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なってマークシート用筆記具1(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒端部には、摩擦部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
マークシート用筆記具の作製
(イ)成分としてビス3,3−[1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド4.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−8℃、T3:45℃、T4:58℃、ΔH:65.5℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性近赤外吸収組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)10.0部、増粘剤0.3部、湿潤剤13.0部、浸透性付与剤0.03部、系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、水75.92部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ(冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容管)に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、インキ逆流防止体(液栓)を充填し、尾栓をパイプの後部に嵌合させてレフィルとした。更に、前記レフィルを軸筒(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なってマークシート用筆記具(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒端部には、摩擦部材として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
マークシート用筆記具の作製
(イ)成分として2,4−ジメチル−6−[(4−ジメチルアミノ)アニリノ]−フルオラン3.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−7℃、T3:42℃、T4:56℃、ΔH:62.5℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性近赤外吸収組成物:壁膜=2.6:1.0、暗緑色から無色に色変化する)25.0部、増粘剤0.2部、湿潤剤13.0部、浸透性付与剤0.03部、系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、水61.02部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ(冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容管)に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介してボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、インキ逆流防止体(液栓)を充填し、尾栓をパイプの後部に嵌合させてレフィルとした。更に、前記レフィルを軸筒(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なってマークシート用筆記具(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒端部には、摩擦部材として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
マークシート用筆記具の作製
(イ)成分として3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−[ビス−1,1−(p−ジメチルアミノフェニル)−エチレノ−2]フタリド3.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−8℃、T3:41℃、T4:54℃、ΔH:61.5℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、緑色から無色に色変化する)25.0部、増粘剤0.2部、湿潤剤13.0部、浸透性付与剤0.03部、系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、水61.02部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ(冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容管)に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介してボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、インキ逆流防止体(液栓)を充填し、尾栓をパイプの後部に嵌合させてレフィルとした。更に、前記レフィルを軸筒(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なってマークシート用筆記具(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒端部には、摩擦部材として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
実施例1の(イ)成分を、2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.0部とした以外は同様の方法で可逆熱変色性インキを調整した。
前記インキを用いてマークシート用筆記具(ボールペン)を得た。
前記マークシート用紙をマークシート読取り機(PEARSON NUC製、オプスキャンインサイト4)にセットして読み取りを行った結果、実施例1乃至4の筆記具で記入したマークシート用紙は正常に読み取り可能であったのに対し、比較例1の筆記具で記入したマークシート用紙は読み取り不可能であった。
よって、実施例1乃至4のマークシート用筆記具で記入した筆跡は、発色状態(有色)のみ近赤外を吸収し、マークシート読取り機で読取りが可能となり、消色状態(無色)では近赤外を効率的に吸収しないため、マークシート読取り機で読取りが不可能となるのに対し、比較例のマークシート用筆記具で記入した筆跡は、発色状態(有色)、消色状態(無色)の両状態において効率的に近赤外を吸収しないため、マークシート読取り機で読取りが不可能であった。
マークシート用筆記具の作製
(イ)成分としてビス3,3−[1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド4.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性近赤外吸収組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−8℃、T3:45℃、T4:58℃、ΔH:65.5℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性近赤外吸収組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)10.0部、増粘剤0.3部、湿潤剤13.0部、浸透性付与剤0.03部、系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、水75.92部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ(冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容管)に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、インキ逆流防止体(液栓)を充填し、尾栓をパイプの後部に嵌合させてレフィルとした。更に、前記レフィルを軸筒(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なってマークシート用筆記具(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
摩擦体として長方形のSEBS樹脂を用いて長方形の摩擦体を得た。
前記マークシート用筆記具と摩擦体を組み合わせてマークシート用筆記具セットを得た。
前記マークシート用筆記具を用いてマークシート用紙に筆記した後、マークシート読取り機にセットして読み取りを行った結果、マークシート用紙は正常に読み取り可能であった。
前記各マークシート用紙に記入した筆跡を摩擦体で摩擦して消去した後、マークシート読取り機にセットして読み取りを行った結果、読み取り不可能であった。
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 マークシート用筆記具
2 レフィル
21 インキ収容管
22 ホルダー
23 尾栓
3 ボールペンチップ
4 インキ
5 インキ逆流防止体
6 軸筒
7 キャップ
8 摩擦部材
Claims (4)
- マークシート用紙にマークする筆記具であって、前記筆記具は(イ)電子供与性近赤外吸収有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなり、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性近赤外吸収組成物を着色剤として用いてなり、且つ、摩擦部材を備えてなるマークシート用筆記具。
- 前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物をカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いてなる請求項1記載のマークシート用筆記具。
- 前記可逆熱変色性近赤外吸収組成物又はマイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、両状態の保持温度域が共に常温域にあり、有色状態から温度が上昇する過程では、温度T3に達すると消色し始め、温度T3より高い温度T4以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度T3より低い温度T2に達すると着色し始め、温度T2より低い温度T1以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度T2と温度T3の間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示し、温度T1は−30〜0℃の範囲にあり、温度T4が45〜95℃の範囲にある請求項1又は2記載のマークシート用筆記具。
- (イ)電子供与性近赤外吸収有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなり、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性近赤外吸収組成物を着色剤として用いてなるマークシート用筆記具と、摩擦体とからなるマークシート用筆記具セット。
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