JP5186225B2 - 変色性筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は変色性筆記具に関する。詳細には、筆跡を擦過することで筆跡が変色すると共に香気を発現する変色性筆記具に関する。
従来、可逆熱変色性材料を含み、加熱又は冷却により筆跡の色調を変化させる筆記具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記筆記具とは別に、非変色性の一般的な着色剤と香料を含む水性インキ組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−124993号公報 特開2000−248221号公報
前記特許文献1の筆記具を用いて被筆記面に形成される筆跡は、温度変化により変色するのみであり、特許文献2のインキを収容する筆記具を用いて被筆記面に形成される筆跡は、筆記時に芳香を放つのみであり、いずれも単調な作用を発現する飽きのくるものであった。
本発明は、筆記時には一般的な筆記具と同様の筆跡が得られ、該筆跡を摩擦することで筆跡の色調が変化すると共に芳香を放つ、意外性に富んだ筆記具用インキ組成物を収容した変色性筆記具を提供するものである。
本発明は、摩擦による発熱で変色する着色剤と、摩擦により芳香を放つ香料含有カプセルとを少なくとも含み、前記香料含有カプセルが、香料とカプセル壁膜の重量比において、香料/壁膜=1/1〜1/9の範囲にある筆記具用インキ組成物を収容し、摩擦部材を備えてなる変色性筆記具を要件とする。
更に、前記着色剤が香料とは別にカプセルに内包されること、前記着色剤が香料含有カプセルに内包されること、前記着色剤が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性材料であることを要件とする。
更には、前記筆記具用インキ組成物中に非変色性着色剤を含むことを要件とする。
本発明は、被筆記面に形成される初期の筆跡が芳香を放つことなく鮮明に得られると共に、該筆跡を摩擦することで筆跡の色調変化と芳香の発現を生じる、意外性と新奇性を備えた筆記具用インキ組成物とそれを収容した変色性筆記具を提供するものである。
本発明の筆記具用インキ組成物は、摩擦による発熱(加熱)で変色する着色剤と、香料を内包したマイクロカプセルとを必須として含むものである。
前記加熱により変色する着色剤としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性材料が好適に用いられる。
特に、前記可逆熱変色性材料は、単独又は香料と共にマイクロカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料の形態での使用がより好ましい。
前記マイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物を内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料を適用できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(T)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(T)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔T〜Tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
前記可逆熱変色性材料(組成物)の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する(図1参照)。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記TとT間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるTとTの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さ(TとTの温度差)がヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度Tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−30〜0℃、好ましくは−30〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度Tを摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち45〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜60℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類を挙げることができる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
また、エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
更に、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載されている下記一般式(1)で示される化合物、或いは、特開2006−188660号公報に記載されている下記一般式(2)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 0005186225
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
Figure 0005186225
〔式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
また、前記式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物としては、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチル等を挙げることができる。
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)等を用いた可逆熱変色性組成物を内包した加熱発色型のマイクロカプセル顔料を適用することもできる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡を摩擦体による摩擦による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、インキ流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
ここで、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と共に、インキ中に非変色性着色剤として一般有色染料或いは顔料を含有させることにより、加熱により有色(1)から有色(2)に色変化するインキ組成物が得られる。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料が挙げられ、顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料、フタロシアニン系、アゾ系、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の有機顔料が挙げられる。蛍光顔料としては、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
前記着色剤とともにインキ組成物中に添加される香料含有カプセルは、筆跡の形成時(初期)には芳香を発することがなく、該筆跡を摩擦することで筆跡の色調が変化すると共に芳香を放つためのものである。
前記香料としては、グレープフルーツ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、ジャスミン油、ペパーミント油、ローズマリー油、ナツメッグ油、カツシア油、ラベンダー油、ヒノキ油、ヒバ油、フェンネル油等の精油類、ヘキシルアルコール、フェニルエチルアルコール(ローズP)、フルフリルアルコール、シクロテン、ゲラニオール等のアルコール類、ヘプタナール、オクタナール、ドデカナール、テトラデカナール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類、エチルアセトアセテート、プロピルアセテート、アミルアセテート、リナリルアセテート、ベンジルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ベンジルプロピオネート等のエステル類、ヌートカトン、エチルピラジン、レモンターペンレス、オレンジターペンレス、ワニリン、エチルワニリン、フルフリルメルカプタン、ボーネオール及びヘリオトロープ等の芳香族化合物、α−ピネン、β−ピネン、リモネン等のテルペン油類を例示できる。
更に、前記香料を組み合わせた調合香料、例えば、バナナ香料、ブルーベリー香料、バニラ香料、ミント香料、アップル香料、ピーチ香料、メロン香料、パイナップル香料、グレープ香料、ライラック香料、ジャスミン香料などの調合香料を使用することもできる。
前記香料をマイクロカプセル壁膜に内包したものが香料含有カプセルとしてインキ中に添加され、マイクロカプセル化は前述した可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化と同様の方法で行われる。
その際、前記香料含有カプセルが、香料とカプセル壁膜の重量比において、香料/壁膜=1/1〜1/9、好ましくは1/2〜1/8の範囲になるように調製される。
前記比率とすることで、被筆記面に形成された初期の筆跡が芳香を放つことなく鮮明に得られると共に、該筆跡を摩擦により変色させた段階で香料がカプセル壁膜外へ透過して芳香を放つようになる。香料とカプセル壁膜の重量比が1/1より小さい場合、筆記した段階で筆跡が香ってしまい、また、1/9より大きい場合、筆跡の色調が変化した段階(即ち、筆跡を変色させるために一定の摩擦を行った状態)では香料がカプセル壁膜外へ透過されないために芳香を放つことができず、過度の擦過が必要となるため、筆跡の色調変化との連動性を満足しないものとなる。
前記香料含有カプセルは、マイクロカプセル顔料型着色剤と共に二種のカプセルとしてインキ中に添加される他、前記着色剤を香料含有カプセルに内包して一種のカプセルとすることも可能である。
尚、前記香料として、インキの色調から連想される同様な色調を有した物体の香りの香料を用いることで、いっそう意外性に富む筆記具用水性インキ組成物とそれを収容する筆記具を得ることができる。
前記インキは、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤により着色剤(マイクロカプセル顔料)を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキを挙げることができる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することにより、香料含有カプセルやマイクロカプセル顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
前記水溶性高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、水溶性セルロース誘導体等を挙げることができる。水溶性多糖類として具体例にはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げることができ、水溶性セルロース誘導体として具体例には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を挙げることができる。
前記インキには顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子凝集剤であればすべて適用することができるが、なかでも水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
インキ中には水と、必要により水溶性有機溶剤を添加することもできる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
また、本発明のインキをボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
その他、必要に応じてアクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
前記インキは、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン等の筆記具に充填して実用に供される。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm、好ましくは0.4〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mm径程度のものが適用できる。
前記インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、前記増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるペン先を直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、前記インキ吸蔵体とペン先が連結されてなるマーキングペンの前記インキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンや、ペン先の押圧により開放する弁体を介してペン先とインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
前記ペン先は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
前記インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
また、前記弁体はポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
更に、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン先を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させた複合筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
前記インキ組成物を収容した筆記具より形成される筆跡は、指による摩擦や摩擦体の適用により変色・芳香させることができる。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。尚、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦体が用いられる。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)が好適に用いられるが、シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
前記摩擦体は、筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)として形成し、筆記具と組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、筆記具に摩擦部材(摩擦体)固着させることにより、携帯性・利便性に優れた筆記具を構成できる。
前記摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒先端部(筆記先端部を設けていない部分)が挙げられる。
更に、キャップの一部、或いは軸筒の一部に任意形象の小突部を設けて摩擦部材とすることもできる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の部は重量部である。
実施例1(図1、2参照)
筆記具用インキ組成物の調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物と共に、レモン香料〔高砂香料工業(株)製、商品名:LEMON TJP−F−000765〕10部を内包するように膜材となる芳香族イソシアネート20部を用いてマイクロカプセル化した(香料/壁膜=1/2)。
次いで、前記マイクロカプセル(T1:−18℃、T2:−9℃、T3:45℃、T4:64℃、ΔH:67℃、平均粒子径:2.5μm、橙色から無色に色変化する)20部、サクシノグルカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、防黴剤0.1部、潤滑剤1.0部、トリエタノールアミン1.0部、水77.7部からなる筆記具用インキ組成物を調製した。
筆記具の作製
前記インキ(予め冷却してマイクロカプセルを発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理による脱気処理を行なってボールペン(筆記具1)を得た。
尚、前記ボールペンチップ3は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると橙色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると橙色の筆跡は無色に変色(消色)すると共に、筆跡中に含まれるマイクロカプセルからレモン香料がカプセル外に放出されてレモンの香りが発せられた。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が消色すると共に芳香を発生する意外性に富んだものとなった。
実施例2(図1、2参照)
筆記具用インキ組成物の調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン3部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を、芳香族イソシアネート30部を用いてマイクロカプセル顔料(T1:−18℃、T2:−9℃、T3:45℃、T4:64℃、ΔH:67℃、平均粒子径:2.5μm、橙色から無色に色変化する)を調製した。
次いで、オレンジ香料〔三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、商品名:オレンジオイルNo.2450〕10部とカプリン酸セチル45部を内包するように膜材となる芳香族イソシアネート25部を用いてマイクロカプセル化した(香料/壁膜=1/2.5)。
得られた香料含有カプセル5部と共に、前記マイクロカプセル顔料20部、サクシノグルカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、防黴剤0.1部、潤滑剤1.0部、トリエタノールアミン1.0部、水72.7部からなる筆記具用インキ組成物を調製した。
筆記具の作製
前記インキ(予め冷却してマイクロカプセルを発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理による脱気処理を行なってボールペン(筆記具1)を得た。
尚、前記ボールペンチップ3は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると橙色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると橙色の筆跡は無色に変色(消色)すると共に、筆跡中に含まれるマイクロカプセルからオレンジ香料がカプセル外に放出されてオレンジの香りが発せられた。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が消色すると共に筆跡の色調から連想される芳香を発生する意外性に富んだものとなった。
実施例3(図1、2参照)
筆記具用インキ組成物の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−18℃、T2:−9℃、T3:42℃、T4:63℃、ΔH:66℃、平均粒子径:2.5μm、青色から無色に色変化する)を調製した。
次いで、ストロベリーの香りの香料〔高砂香料工業(株)製、商品名:STRAWBERRY TJP−F−000764〕10部とカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部を内包するように膜材となる芳香族イソシアネート50部を用いてマイクロカプセル化した(香料/壁膜=1/5)。
得られた香料含有カプセル5部と共に、前記マイクロカプセル顔料20部、赤色染料0.4部、サクシノグルカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、防黴剤0.1部、潤滑剤1.0部、トリエタノールアミン1.0部、水73.3部からなる筆記具用インキ組成物を調製した。
筆記具の作製
前記インキ(予め冷却してマイクロカプセルを発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理による脱気処理を行なってボールペン(筆記具1)を得た。
尚、前記ボールペンチップ3は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.7mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると紫色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると紫色の筆跡は赤色に変色すると共に、筆跡中に含まれるマイクロカプセルからストロベリー香料がカプセル外に放出されてストロベリーの香りが発せられた。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が変色すると共に、変色後の筆跡の色調から連想される芳香を発生する意外性に富んだものとなった。
実施例4(図1、2参照)
筆記具用インキ組成物の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物と共に、ミント香料〔高砂香料工業(株)製、商品名:MINT TJP−G−006265〕10部を内包するように膜材となる芳香族イソシアネート70部を用いてマイクロカプセル化した(香料/壁膜=1/7)。
次いで、前記マイクロカプセル(T1:−18℃、T2:−9℃、T3:42℃、T4:63℃、ΔH:66℃、平均粒子径:2.5μm、青色から無色に色変化する)20部、黄色染料0.8部、サクシノグルカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、防黴剤0.1部、潤滑剤1.0部、トリエタノールアミン1.0部、水76.9部からなる筆記具用水性インキ組成物を調製した。
筆記具の作製
前記インキ(予め冷却してマイクロカプセルを発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理による脱気処理を行なってボールペン(筆記具1)を得た。
尚、前記ボールペンチップ3は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.7mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると緑色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると緑色の筆跡は黄色に変色すると共に、筆跡中に含まれるマイクロカプセルからミント香料がカプセル外に放出されてミントの香りが発せられた。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が変色すると共に、筆記時の筆跡の色調から連想される芳香を発生する意外性に富んだものとなった。
実施例5
筆記具用インキ組成物の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン1部、(ロ)成分として、没食子酸ステアリル8部、(ハ)成分として、ラウリルアルコール10.0部、ステアリン酸ヘプチル15部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール3.0部からなる加熱発色型の可逆熱変色性組成物と共に、ミント香料〔高砂香料工業(株)製、商品名:MINT TJP−G−006265〕10部を内包するように膜材となる芳香族イソシアネート40部を用いてマイクロカプセル化した(香料/壁膜=1/4)。
次いで、前記マイクロカプセル(T:12℃、T:22℃、T:36℃、T:50℃、ΔH:26℃、平均粒子径:3.0μm、無色から青色に色変化する)20部、黄色染料0.8部、サクシノグルカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、防黴剤0.1部、潤滑剤1.0部、トリエタノールアミン1.0部、水76.9部からなる筆記具用インキ組成物を調製した。
筆記具の作製
前記インキ(予め冷却してマイクロカプセルを発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理による脱気処理を行なってボールペン(筆記具1)を得た。
尚、前記ボールペンチップ3は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.7mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると黄色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると黄色の筆跡は緑色に変色すると共に、筆跡中に含まれるマイクロカプセルからミント香料がカプセル外に放出されてミントの香りが発せられた。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が変色すると共に、変色後の筆跡の色調から連想される芳香を発生する意外性に富んだものとなった。
比較例1
実施例1において、マイクロカプセルの膜材となる芳香族イソシアネートを9部とした以外は同様の方法を用いて筆記具を得た(即ち、マイクロカプセルにおける香料/壁膜=1/0.9)。
得られた筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると橙色の筆跡が得られた。その際、筆跡からは既にレモン香料によるレモンの香りが発せられてしまい、摩擦により芳香を発するという所望の状態を満たすことができなかった。
比較例2
実施例2において、香料含有カプセルのマイクロカプセル膜材となる芳香族イソシアネートを100部とした以外は同様の方法を用いて筆記具を得た(即ち、マイクロカプセルの香料/壁膜=1/10)。
前記筆記具を用いて筆記用紙に筆記すると橙色の筆跡が得られた。その際、筆跡から香料による芳香は感じられなかった。
更に、前記筆跡を筆記具1に設けた擦過部材8で摩擦すると橙色の筆跡は無色に変色(消色)したが、変色に必要な摩擦力では筆跡中に含まれるマイクロカプセルからオレンジ香料がカプセル外に放出されず、オレンジの香りは発せられなかった。
そのため、筆記時には汎用の筆記具と同様の筆跡が得られ、摩擦することで前記筆跡が消色する熱変色性筆記具と同様の効果を発現するのみで、摩擦により芳香を発するという所望の状態を満たすことができなかった。
本発明に用いられる可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 本発明の筆記具用インキ組成物を収容する筆記具の一実施例を示す縦断面説明図である。
符号の説明
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 筆記具(ボールペン)
2 レフィル
21 インキ収容筒
22 ホルダー
23 尾栓
3 ボールペンチップ
4 インキ
5 インキ逆流防止体
6 軸筒
7 キャップ
8 擦過部材

Claims (5)

  1. 摩擦による発熱で変色する着色剤と、摩擦により芳香を放つ香料含有カプセルとを少なくとも含み、前記香料含有カプセルが、香料とカプセル壁膜の重量比において、香料/壁膜=1/1〜1/9の範囲にある筆記具用インキ組成物を収容し、摩擦部材を備えてなる変色性筆記具。
  2. 前記着色剤が香料とは別にカプセルに内包される請求項1記載の変色性筆記具。
  3. 前記着色剤が香料含有カプセルに内包される請求項1記載の変色性筆記具。
  4. 前記着色剤が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる、加熱により有色から無色に色変化する可逆熱変色性材料である請求項1乃至3のいずれかに記載の変色性筆記具。
  5. 前記筆記具用インキ組成物中に非変色性着色剤を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の変色性筆記具。
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