JP2009022269A - 肥満の検査方法及び肥満の予防又は治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 肥満を予測するための検査方法、および肥満の予防又は治療薬のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】 MTMR9遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型または該塩基と連鎖不平衡にある塩基の一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて肥満を検査する。また、MTMR9の発現量を変化させる物質を選択することにより肥満の予防又は治療薬のスクリーニングを行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は肥満の検査方法、及び肥満を予防又は治療するための医薬のスクリーニング方法に関する。
近年、食生活などのライフスタイルの変化に伴って、肥満の患者が増加している(非特許文献1)。肥満は糖尿病などの疾患にもつながる危険性があるため、早めに肥満発症を予測し、食生活の改善等に努めることが重要である。
肥満に寄与する要因として、遺伝的要因と環境的要因があるが、遺伝的要因として、多くの肥満関連遺伝子が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、これらの遺伝子と肥満との関連は必ずしも明確ではなく、より正確に肥満発症を予測できる遺伝子解析法の開発が求められていた。
MTMR9はフォスファターゼ活性を有するミオチューブラリン関連タンパク質(myotubularin-related protein)のファミリーに分類されるタンパク質で、細胞増殖制御との関連が示唆されている(非特許文献3:なお、この文献ではMTMR8と記載されているが、後にMTMR9に名称が変更された)。MTMR9はそれ自身フォスファターゼ活性を有さず、同ファミリーに分類されるMTMR7やMTMR6と結合して、これらのイノシトール1,3−2リン酸フォスファターゼ活性を増加させることも報告されている(非特許文献4、5)。しかしながら、MTMR9の肥満への関連については全く知られていなかった。
Kopelman, P.G. Nature 404, 635-643 (2000) Snyder, E.E. et al. Obes. Res. 12, 369-439 (2004) Genomics. 2001 Jul;75(1-3):6-8 Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Aug 19;100(17):9768-73 J Cell Sci. 2006 Jul 15;119(Pt 14):2953-9
本発明は、肥満の発症や進行、さらには肥満に伴う高血圧などの合併症の発症を正確に予測するための検査方法を提供することを課題とする。本発明はまた、肥満及びその合併症の予防薬又は治療薬のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、MTMR9遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型または該塩基と連鎖不平衡にある塩基の一塩基多型が肥満に関連することを見出した。さらに、MTMR9遺伝子の発現を調節する化合物をスクリーニングすれば、肥満の予防・治療薬が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)MTMR9遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型または該塩基と連鎖不平衡にある塩基の一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて肥満を検査する方法。
(2)さらに、前記分析結果に基づいて、肥満患者における高血圧の有無を予測する、(1)の方法。
(3)前記一塩基多型が、配列番号1〜25のいずれかの塩基配列の塩基番号61番目の塩基に相当する塩基における多型である、(1)又は(2)の方法。
(4)配列番号1〜25のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有する肥満検査用プローブ。
(5)配列番号1〜25のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域を増幅することのできる肥満検査用プライマー。
(6)MTMR9遺伝子またはMTMR9遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、MTMR9遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を変化させる物質を選択する工程を含む、肥満の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
本発明の検査方法により、肥満の発症リスクや進行を正確に予測することができるため、肥満を予防したり、進行を抑えたりすることができる。また、本発明のスクリーニング方法によれば、肥満の新規な予防・治療薬を得ることができる。
<1>本発明の検査方法
本発明の検査方法は、ミオチューブラリン関連タンパク質9(myotubularin-related protein 9)(MTMR9)遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型(SNP;single nucleotide polymorphism)または該塩基と連鎖不平衡にある塩基の一塩基多型を分析し、該分析に基づいて肥満を検査する方法である。肥満としては、例えば、BMI(Body Mass Index;(体重kg)/(身長m)2)が25以上の状態をいう。なお、本発明において、「検査」とは将来、肥満になるかどうかを予測するための検査、及び肥満の程度が悪化するかどうかを予測するための検査を含む。また、肥満になった場合における、高血圧などの合併症の発症の検査も含む。
MTMR9遺伝子としては、ヒトMTMR9遺伝子が好ましく、例えば、GenBank Accession No. AF131216に登録された配列を有する遺伝子を挙げることができる。ただし、該遺伝子は人種の違いなどによって1又は複数の塩基に置換や欠失等が存在する可能性があるため、上記配列の遺伝子に限定されない。
MTMR9遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型としては、MTMR9遺伝子のエクソンやイントロンに存在する塩基の一塩基多型だけでなく、MTMR9遺伝子の5’−隣接領域や3’−隣接領域に存在する塩基の一塩基多型も含まれる。
肥満に関連するMTMR9遺伝子の一塩基多型は特に制限されないが、例えば、以下に示すSNP-1〜SNP-25が挙げられる。
Figure 2009022269
表1において、例えば、SNP-1はGenBank Accession No. AF131216.2の64422番目の塩基におけるグアニン(G)/チミン(T)の多型を意味し、この塩基がGである場合は肥満になる確率が高い。また、アレルを考慮して解析した場合は、SNP-1がGG>GT>TTの順で肥満になる確率が高い。SNP-1はMTMR9遺伝子の5’隣接領域内に存在するSNPである。dbSNPはNational Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す。この欄が「novel」のSNPはdbSNPデータベースに登録されていない新規SNPである。
その他のSNPについても同様であるが、いずれについても左側の塩基が肥満になりやすい塩基である(例えば、SNP-2の場合、C/AのうちCの場合が肥満になりやすく、SNP-3の場合、T/AのうちTの場合が肥満になりやすい)。
なお、SNP-1〜SNP-25について、SNP塩基及びその前後60bpの領域を含む合計121bpの長さの配列を、それぞれ配列番号1〜25に示した。それぞれ61番目の塩基が多型を有する。
これらの塩基に相当する塩基を本発明においては解析する。ここで、「相当する」とは
、ヒトMTMR9遺伝子上の上記配列を有する領域中の該当塩基を意味し、仮に、人種の違いなどによって上記配列がSNP以外の位置で若干変化したとしても、その中の該当塩基を解析することも含む。
上記SNPの塩基の種類を調べることによって、肥満を検査することができる。検査するSNPの数は、一種類でもよいし、複数(ハプロタイプ解析)でもよい。なお、SNP-1がGであれば他のSNPも左側の塩基(SNP-2=C、SNP-3=T、SNP-4=G、SNP-5=T、SNP-6=A、SNP-7=G、SNP-8=C、SNP-9=C、SNP-10=C、SNP-11=A、SNP-12=T、SNP-13=A、SNP-14=C、SNP-15=C、SNP-16=C、SNP-17=C、SNP-18=G、SNP-19=A、SNP-20=A、SNP-21=A、SNP-22=A、SNP-23=G、SNP-24=A、SNP-25=T)であるというように、上記SNPのタイプは互いに相関するため、一箇所のみを解析することによっても十分正確な肥満の予測を行うことができる。なお、MTMR9遺伝子の配列はセンス鎖を解析してもよいし、アンチセンス鎖を解析してもよい。
また、本発明において解析する塩基は上記のものに限定されず、上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基の多型を分析してもよい。ここで「上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基」とは、上記の塩基とr2>0.5の関係を満たす塩基をいう。
肥満患者においては、SNP-11がAAの場合、高血圧を呈する傾向がある。したがって、肥満患者においてMTMR9遺伝子の一塩基多型を調べることで、肥満患者が、高血圧を引き起こす可能性について予測することもできる。
MTMR9遺伝子の一塩基多型の解析に用いる試料としては、染色体DNAを含む試料であれば特に制限されないが、例えば、血液、尿等の体液サンプル、細胞、毛髪等の体毛、爪などが挙げられる。一塩基多型の解析にはこれらの試料を直接使用することもできるが、これらの試料から染色体DNAを常法により単離し、これを用いて解析することが好ましい。
MTMR9遺伝子の一塩基多型の解析は、通常の一塩基多型解析方法によって行うことができる。例えば、シークエンス解析、PCR、ハイブリダイゼーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。
シークエンスは通常の方法により行うことができる。具体的には、多型を示す塩基の5’側 数十塩基の位置に設定したプライマーを使用してシークエンス反応を行い、その解析結果から、該当する位置がどの種類の塩基であるかを決定することができる。なお、シークエンスを行う場合、あらかじめ多型を含む断片をPCRなどによって増幅しておくことが好ましい。
また、PCRによる増幅の有無を調べることによっても解析することができる。例えば、多型を示す塩基を含む領域に対応する配列を有し、かつ、各多型に対応するプライマーをそれぞれ用意する。それぞれのプライマーを使用してPCRを行い、増幅産物の有無によってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
また、多型を含むDNA断片を増幅し、増幅産物の電気泳動における移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することもできる。このような方法としては、例えば、PCR-SSCP(single−strand conformation polymorphism)法(Genomics. 1992 Jan 1; 12(1): 139−146.)が挙げられる。具体的には、まず、MTMR9遺伝子の多型部位を含むDNAを増幅し、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離し、分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
さらに、多型を示す塩基が制限酵素認識配列に含まれる場合は、制限酵素による切断の有無によって解析することもできる(RFLP法)。この場合、まず、DNA試料をPCRで増幅し、それを制限酵素により切断する。次いで、DNA断片を分離し、検出されたDNA断片の大きさによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
ハイブリダイゼーションの有無を調べることによって多型の種類を解析することも可能である。すなわち、各塩基に対応するプローブを用意し、いずれのプローブにハイブリダイズするかを調べることによってSNPがいずれの塩基であるかを調べることもできる。
なお、本発明の検査法においては、MTMR9遺伝子の多型に加え、他の遺伝子の多型を解析し、それらの遺伝子の多型の組合わせに基いて肥満の検査を行ってもよい。他の遺伝子としては、βアドレナリンレセプター遺伝子(日本臨床、2002 Jul;60 Suppl 7:565-70.)やレプチン遺伝子(Hum Genet., 2001, vol.108(3), p233-236)、セクレトグラニン3遺伝子(WO2006/068249)などが挙げられる。
<2>本発明の検査用試薬
本発明はまた、肥満を検査するためのプライマーやプローブなどの検査試薬を提供する。このようなプローブとしては、MTMR9遺伝子における上記多型部位を含み、ハイブリダイズの有無によって多型部位の塩基の種類を判定できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1〜25のいずれかの塩基配列の61番目の塩基を含む配列、又はその相補配列を有する10塩基以上の長さのプローブが挙げられる。プローブの長さは好ましくは15〜35塩基であり、より好ましくは20〜35塩基である。
また、プライマーとしては、MTMR9遺伝子における上記多型部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記多型部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのできるプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1〜25のいずれかの塩基配列の61番目の塩基含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。このようなプライマーの長さは10〜50塩基が好ましく、15〜35塩基がより好ましく、20〜35塩基がさらに好ましい。
上記多型部位をシークエンシングするためのプライマーとしては、上記塩基の5’側領域、好ましくは30〜100塩基上流の配列を有するプライマーや、上記塩基の3’側領域、好ましくは30〜100塩基下流の領域に相補的な配列を有するプライマーが例示される。PCRによる増幅の有無で多型を判定するために用いるプライマーとしては、上記塩基を含む配列を有し、上記塩基を3’側に含むプライマーや、上記塩基を含む配列の相補配列を有し、上記塩基の相補塩基を3’側に含むプライマーなどが例示される。
なお、本発明の検査用試薬はこれらのプライマーやプローブに加えて、PCR用のポリメラーゼやバッファー、ハイブリダイゼーション用試薬などを含むものであってもよい。
なお、上記のようなプローブやプライマーは肥満患者が高血圧を引き起こすかどうかを予測するためにも用いることができる。
<3>スクリーニング方法
本発明者の研究により、MTMR9は食欲調節に深く関与することが知られている弓状核、室傍核、視床下部外側野に局在することが明らかとなり、MTMR9はこれらの部位において食欲の調節に関与するペプチドホルモンの分泌に関与していることが強く示唆された。以上のことから、MTMR9遺伝子の発現を調節する物質をスクリーニングすることにより、肥満の予防薬又は治療薬となりうる候補物質を得ることができる。また、MTMR9の発現している室傍核は自律神経の中枢でもあり血圧調節にも関与していることから肥満に伴う、高血圧症などの合併症の予防薬又は治療薬となりうる候補物質を得ることもできる。
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、MTMR9遺伝子またはMTMR9遺伝子
のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、MTMR9遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を変化させる物質を選択する工程を含む、肥満またはその合併症の予防薬又は治療薬のスクリーニング方法である。
MTMR9遺伝子を発現する細胞としては、神経系の細胞が好ましく、SH-SY5Y細胞(ATCC CRL-2266)やBE(2)-C細胞(ATCC CRL-2268)、HIT-T15細胞(ATCC CRL-1777)などを用いることができる。また、骨格筋や脂肪細胞にも発現しているので、C2C12細胞や3T3L-1細胞なども使用できる。
MTMR9遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を用いる場合、MTMR9遺伝子のプロモーターとしては、該遺伝子の転写開始点の上流の約10kbpを含む領域が好ましい。
レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、GFP遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子などが例示できる。これらのレポーター遺伝子をMTMR9遺伝子のプロモーターに連結し、これを哺乳類細胞に遺伝子を導入するために用いられるプラスミドに組み込み、リポフェクションなどの通常の方法にて細胞にトランスフェクションする。
上記のようなMTMR9遺伝子を発現する神経細胞、又はレポーター遺伝子が導入された細胞に医薬候補物質を添加し、MTMR9遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する。
医薬候補物質としては特に制限はなく、例えば、低分子合成化合物であってもよいし、天然物に含まれる化合物であってもよい。また、ペプチドであってもよい。スクリーニングには個々の被検物質を用いてもよいが、これらの物質を含む化合物ライブラリーを用いてもよい。候補物質の中からMTMR9遺伝子又はレポーター遺伝子の発現量を変化させるものを選択することにより、肥満薬の候補物質を得ることができる。なお、「変化」とは、医薬候補物質が、非添加時に比べて、MTMR9遺伝子の発現量を増加させること、および減少させることを含む。
MTMR9遺伝子の発現量はRT−PCR、定量PCR、ノーザンブロット、ELISA、Western blotting、In situ hybridization、免疫組織染色などの方法により測定することができる。
レポーター遺伝子の発現量はレポーター遺伝子の種類にもよるが、蛍光強度などによって測定することができる。
MTMR9遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を変化させた物質を抗肥満薬の候補物質として選択することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(1)多型解析
以下のようにして、肥満に関連するSNPの探索を行った。
日本各地の医療施設の外来患者から選ばれた肥満患者(BMI≧30)を解析の対象とした。各被検者より書面のインフォームドコンセントを得たうえで、各施設の倫理委員会及び理化学研究所の承認を得たプロトコルに基づいて解析を行った。
BMIが30以上の日本人肥満患者(男性39名、女性55名の計94名:平均年齢47±2歳、BMI 36.3±0.5kg/m2)をケース1とした。
JSNPデータベース(IMS-JST: Institute of Medical Science-Japan Science and Technology Agency Japanese SNP database:Nucleic. Acids. Res., 30, 158-162)に登録された一般的な日本人の群658名をコントロール1とした。
BMIが30以上の日本人肥満患者(男性289名、女性275名の計564名:平均年齢50±1歳、BMI 34.4±0.2kg/m2)をケース2とした。
BMIが25未満の日本人健常人(男性231名、女性333名の計564名:平均年齢56±1歳、BMI 21.6±0.1kg/m2)をコントロール2とした。
BMIが30以上の日本人肥満患者(男性156名、女性240名の計396名:平均年齢48±1歳、BMI 34.4±0.3kg/m2)をケース3とした。
BMIが25未満の日本人健常人(男性456名、女性514名の計970名:平均年齢44±1歳、BMI 21.7±0.1kg/m2)をコントロール3とした。
2次的肥満や遺伝的肥満の患者は解析対象から除いた。投薬による肥満の患者も除いた。
<DNAの調製とSNPジェノタイピング>
試料として、各被検者の血液サンプルから染色体DNAを、通常の手順にて調製した。
JSNPデータベースに登録されたSNPsに対して設計された約100000個のインベーダープローブ(Third Wave Technologies)を用い、94人の日本人の肥満患者(ケース1)において、インベーダーアッセイ(Ohnishi, Y. et al. J. Hum. Genet. 46, 471-477 (2001))によりジェノタイピングを行った。これらのSNPsのジェノタイプとアレル頻度を一般的な日本人からなる658人(コントロール1)と比較した。
マイナーアレルホモザイゴートまたはメジャーアレルホモザイゴートを用いた独立性の試験でP<0.01を示したSNPsを選択した。なお、コントロール1のマイナーアレル頻度が10%未満、あるいは、HWEテストのP値が0.01未満であるSNPは除いた。
これらのスクリーニングによって得られた920のSNPsをさらに、ケース2とコントロール2とで比較した。920のSNPsのうち、918個のSNPsのジェノタイピングに成功したが、P<0.001を示したSNPsはMTMR9遺伝子のイントロン9に位置するSNP(rs2293855)のみであった。このSNPをさらに、ケース3とコントロール3とで比較したところ、P値は低く、肥満と有意に関連するSNPであると考えられた(表2)。
Figure 2009022269
ジェノタイプ分布、アレル頻度はχ2乗検定又はFisher's exact testによって解析した。aのHWEテストはHardy-Weinberg equilibrium test(Nealsen, D.M., Ehm, M.G. & Weir,B.S. Am. J. Hum. Gent. 63, 153-1540 (1998))を示す。bの相関テストは3種類のモードで行った。(1)ジェノタイプモード:2×3の分割表を用いた、ケースとコントロール間の3種類のジェノタイプの比較、(2)アレル頻度モード:2×2の分割表を用い
た、ケースとコントロール間のアレル頻度の比較、(3)メジャーアレルホモザイゴートモード:2×2の分割表を用いた、メジャーアレルホモザイゴートの頻度の比較。c:危険率(Odds ratio)及び95%信頼区間(c.i.)はWoolfの方法に従った。
次に、上記SNPの周辺領域について、MAF(マイナーアレル頻度)>0.15としてdbSNPsを検索した。インベーダーアッセイにより、約570kbのゲノム領域に全部で67個のSNPsがジェノタイプできた。LD分析により、SNPsは70kbのLDブロックに存在することがわかった(図1)。
これらのSNPsの中から、肥満に相関が高いSNPsを上記表1に示した。
これらのいずれかのSNPsの多型を解析することにより、肥満を予測できることが示唆された。
なお、この領域にはMTMR9のほかに、Acyl-malonyl condensing enzyme 1-like 2(AMAC1L2)、スレオニンデヒドロゲナーゼ(TDH)も含まれていた。しかしながら、AMAC1L2はイントロンがなくpolyA tractがゲノム上に存在しているのでpusudogeneである可能性が高く、また、相同性の高い配列があと3ヶ所に認められ、この領域のSNPを特定することは困難である。また、ヒトのTDHはC末端領域とNAD+結合モチーフが欠損しており機能的なタンパク質が発現していないこと、TDH遺伝子上のSNPsのP値は0.01よりも大きかったことなどから、この領域の中ではMTMR9が肥満に機能的に関連する分子であることが示唆された。
次に、上記肥満(ケース)群及びコントロール群において、BMI、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c、血中コレステロール値、血中トリグリセリド値、血中HDL−コレステロール値及び血圧を測定し、それらのパラメーターとSNP-11(rs2293855)の多型との関連を調べた。結果を表3に示す。
その結果、BMI、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c、血中コレステロール値、血中トリグリセリド値、血中HDL−コレステロール値とジェノタイプとの有意な相関はいずれの群においても見出せなかったが、肥満患者ではSNP−11のジェノタイプがAAの場合に血圧(収縮時血圧、拡張時血圧のいずれも)が高い傾向を示した。
Figure 2009022269
a:肥満群(ケース2,3)とコントロール群(コントロール2,3)の間でAAと(AG+GG)を比較した。
b:カッコ内の数字は解析に使用した検体の数を示す。
c:AG+GGと比較したときのAAのP値。
d:有意差なし
さらに、血圧に関して他のパラメーターとの重回帰分析を行った。その結果(表4)、性別、年齢、BMI、AAは血圧と有意な相関が見られた。一方で、GGは血圧と有意な関連が見られなかった。
これらの結果から、SNP-11のジェノタイプは性別、年齢などの他の変数の影響を受けることなく、血圧に相関することが示唆された。
Figure 2009022269
ハプロタイプ解析〜1
表1の25個のSNPsについて全てのSNPsがメジャーアレルであるハプロタイプの頻度を、ケース群とコントロール群とで比較した。その結果、当該ハプロタイプの頻度はケース群で0.61、コントロール群で0.55となり、χ2=20.7、P=5.4×10-6で優位な差を示した。
また、25個のSNPsのうちのSNP-3、SNP-7、SNP-8、SNP-10、SNP-13、SNP-14、SNP-19の7つのSNPについて全てのSNPsがメジャーアレルであるハプロタイプのホモザイゴートの頻度を、ケース群(2,3)とコントロール群(2,3)とで比較した。その結果(表5)、全てのSNPsがメジャーアレルであるハプロタイプのホモザイゴート
はケース群において有意に(P=7.1×10-8)高いことが判明した。
Figure 2009022269
さらに、このハプロタイプの頻度と、年齢、BMI、血圧の各パラメーターの関連をケース群とコントロール群とで重回帰分析によって調べた。結果を表6に示す。
それによると、このハプロタイプの頻度は、BMIおよび血圧と有意に関連することがわかった。以上より、ハプロタイプ解析によっても肥満やそれに伴う高血圧を判定できることが示唆された。
Figure 2009022269
a:肥満群(ケース2,3)とコントロール群(コントロール2,3)の間で全てのSNPsがメジャーアレルであるハプロタイプのホモザイゴートの頻度をそれ以外の頻度と比
較した。
b:カッコ内の数字は解析に使用した検体の数を示す。
c:ハプロタイプのホモザイゴートをその他と比較したときのP値。
d:有意差なし
ハプロタイプ解析〜2
次に、MTMR9遺伝子上のSNPでアレル頻度が0.15以上の6SNPs(表1のSNP No. 3, 7, 10, 11, 13, および19)でハプロタイプを検討した。SNPを組み合わせて肥満とコントロールでP値が最小となるハプロタイプを見いだした。その結果は表7の通りである。肥満症例、コントロールは上記と同様であり、計算はHaploView4.0で行った。
Figure 2009022269
各ハプロタイプの塩基は、左から、表1のSNP No. 3, 7, 10, 11, 13, および19を示す。
*P値はそれぞれのハプロタイプとそれ以外に分けて、2(2のカイ検定を行った。
**Permutated Pはpermutation test(10,000,000回)を行った結果である。これは多重検定の補正のため使用した。
いずれの場合も、非常に低いP値を示し、Haplotype-1が肥満感受性ハプロタイプであることが示された。頻度は低いがHaplotype-7、Haplotype-8、Haplotype-10は肥満に対して防御的に作用することが示唆された。
MTMR9の組織分布の解析
次に、MTMR9の組織分布を調べるため、In situハイブリダイゼーション及び2重ラベル免疫組織化学を行った。
オスのマウス(B57BL/6、8週齢)をクレアジャパンより購入した。ペントバルビタール(100mg/kg)で麻酔した後、マウスを10%ホルマリン中性緩衝液を用いて還流した。視床下部領域を脳から切除し、Tissue Fixative (Genostaff)を用いて固定化し、パラフィンで包埋し、組織片を作製した。組織片(6μm)を脱パラフィン化し、RNAプローブをハイブリダイズさせた。
プローブは、マウスMTMR9のcDNA(GenBank Accession No. NM_177594)の748〜1176番目に相当する428bpのDNA断片をpGEM-T-Easyベクター(Promega)に組み込んで作製した。MTMR6とMTMR7についても、それぞれ、GenBank Accession No. NM_144843の48〜621およびGenBank Accession No. NM_001040699の90〜715をpCRII-TOPO(Invitrogen)組み込んだ。
これらのプラスミドからセンスとアンチセンスのRNAプローブを生成させ、これをDIG RNAラベリングミックス(Roche)を用いて標識することにより調製した。
ジゴキシゲニン標識RNAプローブを、上記組織片に50℃で18時間ハイブリダイズさせた。結合した標識物質は、DIG Nucleic Acid Detection Kit (Roche)を用い、アルカリフォスファターゼ標識DIG抗体及びアルカリフォスファターゼの基質であるNBT-BCIPを用いて検出した。
その結果、MTMR9のmRNAは弓状核(ARC)、室傍核(PVN)、視床下部外側野(LHA)および視索上核(SON)のいずれにも検出された(図2)。また、MTMR9と相互作用することが知られているMTMR6およびMTMR7も同様の発現パターンを示した。
次に免疫組織染色を行った。オスのWisterラット(6週齢:クレアジャパン)から上記と同様の手順で得られた組織切片(厚さ4μm)を、オレキシンB(1:500 Chemicon)、MCH(melanin-concentrating hormone)(1:500 Phenix Pharmaceuticals)、NPY(neuro peptide Y)(1:500 PROGEN Bioteknik)、POMC(proopiomelanocortin)(1:5000 Phenix Pharmaceuticals)、またはMTMR7(1:200 ABGENT)のいずれかに対するウサギポリクローナル抗体と、MTMR9に対するヤギポリクローナル抗体(1:200 Abcam)の組み合わせのそれぞれと4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、蛍光標識された2次抗体(ヤギIgGに対するAlexa Fluor568ロバポリクローナル抗体、及びウサギIgGに対するAlexa Fluor488ロバポリクローナル抗体;いずれも1:2000 Molecular Probe)を加え、室温で2時間インキュベートした。2重免疫蛍光をオリンパスのBX51顕微鏡にて観察した。
その結果(図3)、MTMR9タンパク質は主にARCとLHAに検出された。
ARCニューロンは食欲調節に関与しており、NPYやPOMCを発現し、レプチンによって制御されてLHAやPVNのオレキシン発現ニューロンに神経シグナルを伝達する。2重免疫染色の結果、ARC内では、MTMR9タンパク質はNPYと同じ部位に局在していることが確かめられた。
一方、LHAは、食欲抑制に関与するオレキシンやMCHが存在する部位である。2重免疫染色の結果、オレキシン発現ニューロンやMCH発現ニューロンはMTMR9を共発現していることが確かめられた。
また、LHAやARCにおいてMTMR9はMTMR7と同じ細胞に検出できたことから、MTMR9は視床下部においてMTMR7と一緒になって機能していることが示唆された。なお、MTMR6については適当な抗体がなかったためこの実験を行っていないが、MTMR7と同様、MTMR9と共存する可能性が示唆された。
摂食によるMTMR9の発現量の変動
摂食のMTMR9発現への影響を調べるために、オスのC57BL/6Jマウス(7週齢:クレアジャパン)を一晩絶食させた。一方、高脂肪食負荷のMTMR9発現への影響を調べるため、オスのC57BL/6Jマウス(7週齢:クレアジャパン)に、4週間、通常餌(CRF-1、オリエンタル酵母)または高脂肪食(CLEA Rodent Diet Quick Fat、クレアジャパン)を与えた。通常餌は3.59kcal/g(脂肪14%、炭水化物61%、タンパク質25%)で、高脂肪食は4.25kcal/g(脂肪33%、炭水化物44%、タンパク質23%)であった。
その後、マウスをペントバルビタール(100mg/kg)で麻酔し、視床下部領域を切除し、RNA調製のために直ちに凍結させた。
MTMR9、NPY、AGRP、オレキシン、POMC、およびβ−アクチンのmRNAの量を定量リアルタイムPCRで調べた。Superscript III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)を用いて1μgのトータルRNAから逆転写反応を行った。定量PCRはABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems)を用い、SYBE
R green I dyeの二本鎖DNAへの結合によって生じる蛍光を測定することによって行った。
用いたプライマーセットは以下のとおりである。
MTMR9; 5'-GCTTATGCCTCACAGTTCGGGACA-3' (配列番号26)
5'-TGAACTTACTCAGCTCGCCGGGCCG-3' (配列番号27)
NPY; 5'-GTTTGGGCATTCTGGCTGAGGG -3' (配列番号28)
5'-GTGTCTCAGGGCTGGATCTCTTGC-3' (配列番号29)
AGRP; 5'-GTCTAAGTCTGAATGGCCTCAAG-3' (配列番号30)
5'-GACTCGTGCAGCCTTACACAG-3' (配列番号31)
POMC; 5'-ATAGATGTGTGGAGCTGGTGCC-3' (配列番号32)
5'-TCATCTCCGTTGCCAGGAAACAC-3' (配列番号33)
β-actin; 5'-GAATGGGTCAGAAGGACTCCTATG-3' (配列番号34)
5'-CCAGTTGGTAACAATGCCATGT-3' (配列番号35)
結果を図4に示した。各遺伝子の発現量は恒常的な発現を示すβ−アクチンのmRNA量で標準化した。
その結果、MTMR9のmRNA量は一晩の絶食により上昇した。一方、1ヶ月の高脂肪食の負荷によってマウスの体重はあまり変わらなかったが(通常餌25.6±0.3g、高脂肪食26.5±0.7g)、MTMR9のmRNA量は顕著に減少した。
NPYやAGRPのmRNA量も既報のとおり絶食で増加し、高脂肪食負荷で減少したことから、MTMR9の発現もこれらの因子と同様に食事によって調節を受けることが示唆された。
MTMR6やMTMR7はフォスファチジルイノシトール3リン酸を脱リン酸化する。フォスファチジルイノシトール3リン酸はエンドソームの機能に重要で、エンドソーム膜にエフェクタータンパク質を誘引する。NPY結合後にNPY受容体が内在化することや、AGRP結合後にAGRP受容体が内在化することが知られている。
今回、MTMR9が視床下部のARC、LHA、PVNなどに発現し、MTMR7(おそらくMTMR6も)と共発現していることがわかったので、MTMR9はMTMR7やMTMR6と相互作用することにより、フォスファチジルイノシトール3リン酸の濃度を調節し、NPYなどの食欲に関係する神経ペプチドの受容体の内在化を調節し、それによって肥満と関係していることが示唆された。
SNPがmRNAの安定性に及ぼす影響の解析
表7のハプロタイプ解析によりrs2293855(SNP No. 11)のみでなく、ハプロタイプとして肥満発症に関連していることが示唆された。このハプロタイプに含まれるrs6996368(SNP No. 19)はエクソン10の非翻訳領域に存在する。また、このSNPとほぼ絶対連鎖不平衡にあるSNPが複数存在している(rs6995404(SNP No. 15), rs7016671(SNP No. 18), rs3779891(SNP No. 21), rs3174048(SNP No. 24))。非翻訳領域はmRNAの安定性に関連しているのでmRNAの安定性について検討した。
ヒトMTMR9(GenBank Accession No. MN_015458, 1-7406)の配列をもとに上記5個のSNPsのmajorアレルを持つ全長cDNA(5'非翻訳領域、3'非翻訳領域を含む)とminorアレルを持つ全長cDNAをRT-PCRにて増幅した。PCR産物をpcDNA3.1/myc-HIS(-)(Invitrogen)のNheIとXhoI制限酵素切断部位に挿入した。プラスミドをNotIで切断し、RiboMax T7 Express
System (Promega)を使用し、T7からRNAを合成しDNase処理した。SH-SY5Y細胞からM-PER Mammalian Protein Extraction Reagent (PIERCE)にてcell lysateを調製した(1 mg protein/ml)。cell lysateを500倍に希釈し(200 (g protein/ml)、合成RNA10(g(10(l)に対して、cell lysate 10(lを混合し室温で120分反応した。サンプルバッファー20(l(最終濃度20mM MOPS[pH 7.0], 5mM sodium acetate, 1mM EDTA,2.2M formladehyde, 50% formamide)で反応を終了し、65(Cで10分間加熱、変性した。それを2.2 M formaldehyde
を含む1%アガロースで電気泳動し、SYBER Greenで染色し、蛍光強度をTyphoon(Amersham)で測定した。0分の蛍光強度を100%として30分、60分、120分後の2個のハプロタイプmRNA量を比較した。独立した実験(細胞調節から)を3回行い、分解されずに残ったmRNA量の差をt-検定で解析した。
結果を図5に示す。それによると、30分、60分、120分でp<0.05の有意差を持って、Major(ハプロタイプ1)(疾患感受性ハプロタイプ)のmRNAの方が安定性が悪いことが示された。
MTMR9遺伝子周辺のLDマッピング、多型、P値を示す図。P値はケース2,3とコントロール2,3を用いたメジャーアレル頻度のP値を対数で示してある。SNP-11(rs2293855)周辺の全てのSNPsについてLD係数(D')を計算した。この分析で用いた全てのSNPsのマイナーアレル頻度は15%以上であった。各SNPは4つの新規SNPsを除いてdbSNPの番号で示してある。真ん中にゲノム構造を示してある。*はrs2293855である。rs2293855のP値を矢印で示した。 弓状核(ARC)、室傍核(PVN)、視床下部外側野(LHA)および視索上核(SON)における、MTMR6、MTMR7、MTMR9のIn situ hybridization の結果を示す図(写真)。 LHAにおける、MTMR9、MCH、Orexin B、MTMR7の発現、およびARCにおける、MTMR9、NPY、POMC、MTMR7の発現を示す図(写真)。 絶食(A)または高脂肪食負荷時(B)のMTMR9、NPY、AGRP、POMCのmRNAの発現を示す図。各群n=6で行い、データは平均値±SEで示した。*はp<0.05、**はp<0.01である。 majorアレルを有するハプロタイプとminorアレルを有するハプロタイプから合成されたmRNAの安定性を示すグラフ。データは平均値±標準偏差で示した。縦軸はarbitrary unitを、横軸は時間(分)を示す。

Claims (6)

  1. MTMR9遺伝子上に存在する塩基の一塩基多型または該塩基と連鎖不平衡にある塩基の一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて肥満を検査する方法。
  2. さらに、前記分析結果に基づいて、肥満患者における高血圧の有無を予測する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記一塩基多型が、配列番号1〜25のいずれかの塩基配列の塩基番号61番目の塩基に相当する塩基における多型である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 配列番号1〜25のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有する肥満検査用プローブ。
  5. 配列番号1〜25のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域を増幅することのできる肥満検査用プライマー。
  6. MTMR9遺伝子またはMTMR9遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、MTMR9遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を変化させる物質を選択する工程を含む、肥満の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
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