JP5422805B2 - 新規糖尿病性腎症感受性遺伝子 - Google Patents
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「糖尿病合併症」最新医学別冊 新しい診断と治療のABC(30)、最新医学社発行、第101頁 「糖尿病合併症」最新医学別冊 新しい診断と治療のABC(30)、最新医学社発行、第93頁 The Journal of Clinical Investigation, Vol.108, No.2, 2001, p.289-301 J. Exp. Med. Volume 194, Number 1, July 2, 2001, p.13-27 J. Biol. Chem., Vol.276, No.23, 2001, p.20397-20406 Mol. Cancer Ther., 2006, 5(12), 2006, p.3191-3196
項1.下記の工程を有する、糖尿病性腎症の予防または治療剤をスクリーニングする方法:
(1)被験物質とEHF遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2)被験物質を接触させた細胞のEHF遺伝子の発現量を測定する工程、及び
(3)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞のEHF遺伝子の発現量よりも小さい被験物質を選択する工程。
(1’)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(2’)被験物質を接触させた細胞またはその細胞画分のEHFの産生量を測定する工程、及び
(3’)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞もしくはその細胞画分のEHFの産生量よりも小さい被験物質を選択する工程。
(1”)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分を接触させる工程、
(2”)被験物質を接触させた細胞またはその細胞画分のEHFの作用を検出する工程、及び
(3”)上記の検出した作用が、被験物質を接触させない対照細胞またはその細胞画分のEHFの作用よりも低い被験物質を選択する工程。
項7.被験者由来の生体試料(被験試料)におけるEHF遺伝子のmRNA発現量を測定する工程を含み、ここで、被験試料における当該発現量が、正常人由来の生体試料(対照試料)におけるEHF遺伝子のmRNA発現量よりも大きいことを、前記被験者が糖尿病性腎症に罹患する可能性が高いとの指標とする、糖尿病性腎症に罹患する可能性が高い被験者の選別方法。
項10.EHF遺伝子のイントロン1に存在する48番目における塩基を検出するための試薬を含む、糖尿病性腎症の罹患性診断キット。
項11.EHF遺伝子の発現を抑制するsiRNAを有効成分として含む糖尿病性腎症の予防又は治療剤。
本明細書における塩基配列(ヌクレオチド配列)、核酸などの略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAc-IUB communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138; 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作製のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該分野における慣用記号に従うものとする。
本発明者らは、糖尿病性腎症感受性遺伝子を探索するために、多くの日本人2型糖尿病患者を対象として、gene-based SNPsを用いたケースコントロール相関解析ならびに連鎖不平衡(LD)マッピングを行うことにより、第11番染色体p12(11p12)領域に存在するets homologous factor遺伝子(EHF遺伝子)のイントロン1の塩基配列上に存在する1つのSNP(rs717582)を見出し、糖尿病性腎症を発症している患者は、当該SNPがシトシン(C)になっている頻度が有意に高く、このことから、当該SNPが糖尿病性腎症の発症やその進行に有意に関係していることが示唆された(糖尿病性腎症感受性SNP)。また本発明者らは、EHFを過剰発現している系では、腎臓の糸球体濾過機能に重要なpodocalyxinの発現が有意に低下していることから、EHF遺伝子の発現の亢進(増加)が、腎症の悪化、すなわち糖尿病性腎症の発症と深く関わっていることを見出し、EHF遺伝子が糖尿病性腎症の発症やその進行に深く関わる糖尿病性腎症感受性遺伝子であるとの結論に至った。
前述するように、本発明者らは、EHF遺伝子の発現の亢進(増加)が、podocalyxin遺伝子の発現低下を伴い、糖尿病性腎症の発症やその進行に深く関わっていることを見出した。このことから、EHFが糖尿病性腎症の発症抑制またはその進行抑制に関わっており、EHF遺伝子の発現(mRNA発現)を抑制させて、podocalyxin遺伝子の発現低下を防止しえる物質は、糖尿病性腎症の予防または治療に有効な成分として有用であると考えられる。
当該スクリーニングは、被験物質の中から、EHF遺伝子の発現を抑制する作用を有する物質を、EHF mRNAの発現量を指標として探索し、抗糖尿病性腎症剤の有効成分として取得する方法である。
(1)被験物質とEHF遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2)被験物質を接触させた細胞のEHF遺伝子の発現量を測定する工程、及び
(3)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞のEHF遺伝子の発現量よりも小さい被験物質を選択する工程。
当該スクリーニングは、被験物質の中から、EHFの産生を低下させる作用を有する物質を、EHFの産生量の低下を指標として探索し、抗糖尿病性腎症剤の有効成分として取得する方法である。
(1’)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(2’)被験物質を接触させた細胞または細胞画分のEHFの産生量を測定する工程、及び
(3’)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞(EHFを産生可能な細胞)または被験物質を接触させない細胞画分(EHFを産生可能な細胞から調製)のEHFの産生量よりも小さい被験物質を選択する工程。
当該スクリーニングは、被験物質の中から、EHFの作用を低下させる作用を有する物質を、EHF作用の低下を指標として探索し、抗糖尿病性腎症剤の有効成分として取得する方法である。
(1”)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分を接触させる工程、
(2”)被験物質を接触させた細胞または細胞画分のEHFの作用を検出する工程、及び
(3”)上記の検出した作用が、被験物質を接触させない対照細胞(EHFを産生可能な細胞)または細胞画分(EHFを産生可能な細胞から調製)のEHFの作用よりも低い被験物質を選択する工程。
本発明は、また被験者について糖尿病性腎症の罹患・進行リスク(糖尿病性腎症を発症し易いまたは進行易いか/発症し難いまたは進行し難いかの別)を測定し、当該被験者の中から上記リスクの高い被験者を選別する方法を提供する。なお、本発明では、これらのリスクが高い被験者を「糖尿病性腎症易罹患者」と称する。
当該方法は、被験者由来の生体試料におけるEHF遺伝子の発現量、すなわちEHF mRNA発現量を測定することによって行うことができる。ここで生体試料としては、EHF遺伝子を発現し得る細胞を含む試料であればよいが、具体的には、血液を挙げることができる。
当該方法は、被験者由来の生体試料におけるEHFの産生量を測定することによって行うことができる。ここで生体試料としては、EHF遺伝子を発現し、EHFを産生し得る細胞を含む試料であればよいが、具体的には血液を挙げることができる。
当該方法は、被験者から得られるゲノムDNAを対象として、ヒトEHF遺伝子のイントロン1の48位(rs717582)について塩基を検出し同定する工程を有するものである:
本発明の検出方法として好ましくは、ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、ヒトEHF遺伝子のイントロン1の48位(rs717582)について塩基を検出し同定する工程を有し、さらに、検出し同定した塩基がシトシン(C)である場合に、当該被験者を、糖尿病性腎症に罹りやすい者(糖尿病性腎症易罹患者)として判定し、選択する工程を有することができる。
本発明はまた、糖尿病性腎症の罹患リスクを診断するための試薬キット(診断キット)を提供する。特に、上記(4-3)で説明する糖尿病性腎症易罹患者の選別方法に使用される診断キットを提供する。
上記(4-3)にて説明する糖尿病性腎症感受性SNP並びに当該塩基を含むヌクレオチドの検出には、ヒト第11染色体(11p12)のEHF遺伝子上の糖尿病性腎症感受性SNPを含むオリゴまたはポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、当該SNPを検出することができるオリゴまたはポリヌクレオチドが用いられる。かかるオリゴまたはポリヌクレオチドは、上記EHF遺伝子上においてSNP4139を含む16〜500塩基長、好ましくは20〜200塩基長、より好ましくは20〜50塩基長の連続した遺伝子領域と特異的にハイブリダイズするように、上記塩基長を有するオリゴまたはポリヌクレオチドとして設計される。
本発明は、またヒト第11染色体のEHF遺伝子上の糖尿病性腎症感受性SNPを含む配列領域を特異的に増幅するためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドを提供する。
上記本発明のプローブまたはプライマーには、遺伝子多型検出のための適当な標識物、例えば蛍光色素、酵素、タンパク質、放射性同位体、化学発光物質、ビオチン等が付加されたものが含まれる。
本発明の診断キットは、糖尿病性腎症罹患リスクの診断に使用する試薬として、上記プローブまたはプライマーとして用いられるオリゴまたはポリヌクレオチド(なお、これらは標識されていても、また固相に固定化されていてもよい)を少なくとも1つ含むものである。本発明の診断キットは上記プローブまたはプライマーの他、必要に応じてハイブリダイゼーション用の試薬、プローブの標識、ラベル体の検出剤、緩衝液など、本発明の方法の実施に必要な他の試薬、器具などを適宜含んでいてもよい。
後述する実施例3に示すように、EHF遺伝子のsiRNAによると、EHF遺伝子を導入した細胞におけるEHF mRNAの発現が抑制されるとともに、podocalyxin遺伝子の発現を促進することができる。このことから、EHF遺伝子の発現を抑制するsiRNAは、糖尿病性腎症の予防又は治療剤の有効成分として使用することができることがわかる。
(1)対象2型糖尿病患者
インフォームドコンセントの下、滋賀医科大学、東京女子医科大学、順天堂大学、川崎医科大学、岩手医科大学、取手協同病院、川井クリニック、大阪市立総合医療センター、千葉徳洲会病院、または大阪労災病院に定期的に来診する2型糖尿病患者を対象として実験を行なった。
1)糖尿病性腎症症例(94症例):糖尿病網膜症と、明らかな糖尿病性腎症(尿中アルブミン排泄率が200μg/分を超えるか、若しくは尿中アルブミン/クレアチニン比が300mg/gCrを超える)とを伴う患者、又は慢性透析療法を受けている患者、
2)対照群(94症例):腎機能障害の兆候は示していないが糖尿病網膜症を伴う患者(尿中アルブミン排泄率が20μg/分未満か、若しくは尿中アルブミン/クレアチニン比が30mg/gCr未満)。
前記2型糖尿病患者の末梢血液を採血し、得られた末梢血液10mlを3000回転で5分間遠心分離して、血清を除去した。ついで、得られた産物に、赤血球溶解液を添加して、室温で20分間インキュベートした。その後、インキュベーション後の混合物を、3000回転で5分間遠心分離して、上清を除去した。得られた沈殿に、プロティナーゼKを添加し、37℃で4時間以上インキュベートした。得られた産物を、フェノール−クロロホルムで処理し、得られた上層(水層)を回収し、これにイソプロパノールを添加して、DNAの沈殿を生じさせた。ついで、これを遠心分離(12000回転、10分)してDNAを回収し、1mlの70v/v%エタノール含有水溶液(含水エタノール)を添加し、得られたDNAのペレットをTE緩衝液(組成:10mM Tris-HCl, 1mM EDTA(pH8.0))に溶解し、DNA試料を得た。
斯くして調製したDNA試料を用いて、インベーダー法により遺伝子型の判定を行った。解析するSNPは、Japanese SNPデータベース(IMS-JST SNPsデータベース:http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp)から無作為に選択した。各SNP遺伝子座の遺伝子型を、Multiplex PCRと組み合わせたインベーダー法(例えば、オオニシ(Ohnishi Y.)ら,J. Human. Genet., 46, 471-477, 2001等を参照のこと)により解析した。
反応溶液
組成:16.6mM (NH4)2SO4, 67mM Tris(pH8.8), 6.7mM MgCl2, 10mM 2-メルカプトエタノール, 6.7μM EDTA, 1.5mM dNTP, 10xTaqミックス(2.5U/μl Taq DNAポリメラーゼ, 31.25U/μl Taq Antibody), 0又は10% DMSO, 各0.25μMプライマー。
95℃, 5分の反応後、95℃で15秒と60℃で45秒と72℃で3分とを1サイクルとする反応を40サイクル。
糖尿病性腎症症例の94検体及び対照群の94検体のそれぞれに対し、81315個のSNP座について遺伝子タイピングを行なった。ついで、2x3分割表又は2x2分割表を用いた統計学的データを評価することにより、糖尿病性腎症症例と対照群との間の遺伝子型又は対立遺伝子頻度に、有意な差異を示したSNPを選択した。
ラット糸球体上皮細胞株Pod-7に、ETS ホモローガスファクター(EHF)を過剰発現させ、podocalyxin発現の変動を調べた。
Pod-7細胞(2 x 104 cells/0.5ml/well)を10%血清入りD-MEM/F-12培地を用いて24ウェルプレートに蒔いて37℃, 5% CO2環境下で培養を開始した。翌日に、これにhuman EHF遺伝子またはGFP遺伝子の発現ベクターを含むレトロウィルスを添加し(各々0.4μl、2μl、10μl)、4時間感染させた後に培地を除いて、血清入り培地に置換した。感染3日後に6ウェルプレートに蒔いて培養を継続し、さらに3日後に100mmディッシュ3枚に蒔いて培養を継続した。2日後(感染からは8日後)に溶解剤を加えて、常法に従いtotal RNAをカラム抽出した。次に、5μg相当量のtotal RNAを逆転写してPCR用のtemplateとし、合成primerを用いて定量real-time PCR法にてEHF mRNA量、podocalyxin mRNA量およびNHERF2 mRNA量を測定した。この時、同時測定したGAPDH mRNA量によって補正し、相対値とした。
Pod-7細胞を、human EHF遺伝子またはGFP遺伝子発現ベクターを含むレトロウィルスを用いて感染導入し、得られた細胞におけるpodocalyxin mRNA発現を定量real-time PCR法にて確認した。
以上の結果から、糸球体濾過機能に重要なpodocalyxinの発現はEHFの導入によって低下することがわかり、EHFは腎症においては病態悪化因子であることが示された(図1a)。さらに、podocalyxinと細胞内アクチン骨格とを仲介しているpodocalyxinの細胞内裏打ちタンパクであるNHERF2の発現は、EHFの導入によって低下する傾向にあることが分かった(図1c)。すなわち、上記のことから、EHFがpodocalyxinのみならずpodocalyxinの細胞内結合因子の発現の抑制を介しても、腎症の悪化に関わっている可能性が示された。
EHF感染導入Pod-7細胞におけるEHF発現をsiRNAによって抑制し、podocalyxin発現の回復の有無を調べた。
上記の結果から、EHF感染によるpodocalyxinの発現制御は可逆的であることが示された。このことは、EHFの発現を抑制することにより、podocalyxinの発現を促進させて腎症の治療が可能となることを示唆するものである。
糖尿病性腎症モデルマウス(db/dbマウス) の腎皮質におけるEHF発現を、定量PCRを用いて調べた。
糖尿病性腎症モデルマウス(db/dbマウス)およびC57BL/6 leanマウス(いずれも13週齢)から腎臓を採取し、PBSにて灌流後、腎皮質組織片を採取し、溶解剤を加えて常法に従いtotal RNAを抽出した。次に、1.1μg相当量のtotal RNAを逆転写してPCR用のtemplateとし、合成primerを用いて定量real-time PCR法にてEHF mRNA量を測定した。この時、同時に測定した36B4 mRNA量によって補正し、36B4 mRNA量に対する相対値(EHF mRNA量/36B4 mRNA量)として算出した。
db/dbマウスおよびC57BL/6 leanマウスの腎皮質におけるEHFの発現量(EHF mRNA量/36B4 mRNA量)を図3aに、また各腎皮質凍結切片の免疫組織画像を図3bに示す。
以上示すように、糖尿病性腎症モデルマウス(db/dbマウス)ではEHFの発現が亢進しており(図3a)、逆に糸球体上皮細胞でのpodocalyxinの発現が低下していたことから(図3b)、糖尿病性腎症の病態において、EHF発現が増加し、その結果podocalyxin発現が低下して腎症を悪化させている可能性が示唆された。
EHFの発現を増加させる因子を探索した。
Pod-7細胞(1 x 105 cells/2ml/well)を、10%血清入りD-MEM培地を用いて6ウェルプレートに蒔いて37℃, 5% CO2環境下で培養を開始した。翌日に血清を除去して培養を続け、さらに翌日、(a)TNF-α(5ng/ml)添加、(b)IL-1β(5ng/ml)添加、または(c)両因子添加〔TNF-α(5ng/ml)+IL-1β(5ng/ml)〕を行って刺激を開始し、7.5時間後に溶解剤を加えて常法に従いtotal RNAを抽出した。次いで1μg相当量のtotal RNAを逆転写してPCR用のtemplateとし、合成primerを用いて定量real-time PCR法にてEHF mRNA量を測定した。この時、同時測定したGAPDH mRNA量によって補正し、GAPDH mRNA量に対する相対値(EHF mRNA量/GAPDH mRNA量)を算出した。
結果を図4に示す。図4に示すように、Pod-7細胞に対して(a)TNF-α添加、(b)IL-1β添加、および(c)両因子添加を行った際のEHF mRNA発現は、TNF-α添加によっては殆ど変化なかったが、IL-1β添加によって約1.4倍増加した。また、TNF-αおよびIL-1βを同時に添加することにより、EHF mRNA発現は約2倍にまで増加した。
以上のことから、炎症性サイトカインであるIL-1βによってEHF発現が亢進すること、特にTNF-αおよびIL-1βの併用によってEHF発現が相乗的に亢進することが判明した。糖尿病には肥満を伴って炎症性サイトカインの発現亢進が認められる場合があることから、上記の結果は、糖尿病によりEHF発現が上昇する可能性を示唆するものであった。
配列番号2および3は、rs717582領域を増幅するためのプライマーの塩基配列を示す。
配列番号4はSNPを含む増幅領域を検出するためのインベーダープローブの塩基配列を、配列番号5はSNPを含む増幅領域のT対立遺伝子を検出するためのアレルプローブの塩基配列を、また配列番号6はSNPを含む増幅領域のC対立遺伝子を検出するためのアレルプローブの塩基配列を、それぞれ示す。
配列番号7および8は、EHF siRNA(Invitrogen社の「STEALTH SELECT RNA」の二本鎖RNAの塩基配列を示す。
Claims (10)
- 下記の工程を有する、糖尿病性腎症の予防または治療剤をスクリーニングする方法:
(1)被験物質とEHF遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2)被験物質を接触させた細胞のEHF遺伝子の発現量を測定する工程、及び
(3)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞のEHF遺伝子の発現量よりも小さい被験物質を選択する工程。 - 下記の工程を有する、糖尿病性腎症の予防または治療剤をスクリーニングする方法:
(1’)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(2’)被験物質を接触させた細胞またはその細胞画分のEHFの産生量を測定する工程、及び
(3’)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞もしくはその細胞画分のEHFの産生量よりも小さい被験物質を選択する工程。 - 下記の工程を有する、糖尿病性腎症の予防または治療剤をスクリーニングする方法:
(1”)被験物質とEHFを産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分を接触させる工程、
(2”)被験物質を接触させた細胞またはその細胞画分のEHFの作用を検出する工程、及び
(3”)上記で検出した作用が、被験物質を接触させない対照細胞またはその細胞画分のEHFの作用よりも小さい被験物質を選択する工程。 - EHF遺伝子を発現可能な細胞またはEHFを産生可能な細胞が、糸球体上皮細胞である請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 糖尿病性腎症の予防または治療剤の有効成分を探索する方法である請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 被験者由来の被験試料におけるEHFのmRNA発現量を測定する工程を含み、ここで、被験試料における当該発現量が、正常人由来の対照試料におけるEHFのmRNA発現量よりも大きいことを、前記被験者が糖尿病性腎症に罹患する可能性が高いとの指標とする、糖尿病性腎症に罹患する可能性が高い被験者の選別方法。
- 被験者由来の被験試料におけるEHFの産生量を測定する工程を含み、ここで、被験試料における当該産生量が、正常人由来の対照試料におけるEHFの産生量よりも大きいことを、前記被験者が糖尿病性腎症に罹患する可能性が高いことの指標とする、糖尿病性腎症に罹患する可能性が高い被験者の選別方法。
- 被験者由来の被験試料におけるEHF遺伝子のイントロン1に存在する48番目における塩基を検出する工程を含み、これらの塩基がシトシンであることを、上記被験者が糖尿病性腎症に罹患する可能性が高いことの指標とする、糖尿病性腎症に罹患する可能性が高い被験者の選別方法。
- EHF遺伝子のイントロン1に存在する48番目における塩基がシトシン(C)であることを検出するための試薬を含む、糖尿病性腎症の罹患性診断キット。
- EHF遺伝子の発現を抑制するsiRNAを有効成分として含む糖尿病性腎症の予防又は治療剤。
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