JP2009021198A - 固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】均一な分布と強固な構造を持ち、寸法安定性とガスバリア性の高い固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体、電解質膜−電極接合体及び燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜(1)は、プロトン伝導性材料(3)とセラミックス粒子材料(2)(但し、SiO2を除く。)を含み、セラミックス粒子材料(2)は粒子間結合による自己造膜性がある。本発明の電解質膜−触媒層接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されている。本発明の電解質膜−電極接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されている。本発明の燃料電池は前記電解質膜−電極接合体を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池に関するものである。
固体高分子形燃料電池はプロトン伝導性を有する固体高分子膜を電解質とし、この膜の両面に燃料極及び空気極を接合して構成され、燃料極に水素、空気極に酸素あるいは空気を供給して電気化学反応により発電するシステムである。各電極では下記反応が起こっている。
燃料極:H2 → 2H+ + 2e-
空気極:(1/2)O2 + 2H+ + 2e- → H2
全反応:H2 + (1/2)O2 → H2
これらの反応式からわかるように、発電時に生成するのは水のみである。燃料電池は次世代のクリーンエネルギーシステムの一つとして注目されている。
そして、固体高分子形燃料電池は、メタノールを燃料として供給しても発電させることが可能であり、この場合は特に直接メタノール燃料電池と呼ばれる。各電極では下記反応が起こっている。
燃料極:CH3OH+H2O→6H++6e-+CO2
空気極:(3/2)O2+6H++6e-→3H2
全反応:CH3OH+(3/2)O2→2H2O+CO2
固体高分子形燃料電池は、電解質膜としてプロトン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層を配置し、ついでその両面に電極基材を配置し、更にこれをセパレータで挟んだ構造をしている。電解質膜の両面に触媒層を配置したもの(即ち、触媒層/電解質膜/触媒層の層構成のもの)は、電解質膜−触媒層接合体(略称:CCM)と称されており、さらに、その電解質膜−触媒層接合体の両面に電極基材を配置したもの(即ち、電極基材/触媒層/電解質膜/触媒層/電極基材の層構成のもの)は、電解質膜−電極接合体(略称:MEA)と称されている。
プロトン伝導性高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなプロトン伝導性高分子電解質膜の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。
これらのパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーは、上記のとおり電解質膜として高い性能を示すが、一方で、コストが高いという問題がある。また、80℃以上の高温域においては著しい劣化がみられたり、電解質膜の乾燥によりプロトン伝導性が著しく低下したりするといった不具合もみられる。さらに、含水により膨潤して大きな寸法変化を示すために、起動・停止(加湿・乾燥)の繰り返しにおいて電解質膜上に形成した触媒層が剥離するという問題も生じる。これらの欠点を補うために、高分子電解質膜に高分子繊維や無機粒子などのフィラーを埋め込むことで、高温条件下での保水性を増したり、寸法変化を抑制したりという工夫が提案されている(例えば特許文献1〜2)。
特開2003−157862号公報 特開平6−111827号公報
しかし、高分子電解質膜の内部にフィラーを埋め込むことにより、耐熱性の向上や機械強度の向上、保水性の向上など一定の性能向上が見られる一方で、フィラー成分が凝集したり、電解質膜内部に不均一に分布したりすることにより、期待された性能が十分に発揮されていない可能性がある。また、フィラーの材料としてシリカ(SiO2)がよく知られているが、これは、保水性を高める効果が得られる一方で、加水分解による劣化が懸念されている。
本発明は、上記課題を解決するため、均一な分布と強固な構造を持ち、寸法安定性とガスバリア性の高い固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池を提供する。
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜は、プロトン伝導性材料とセラミックス粒子材料(但し、SiO2を除く。)を含む固体高分子形燃料電池用電解質膜であって、前記セラミックス粒子材料は、粒子間結合による自己造膜性があることを特徴とする。
本発明の電解質膜−触媒層接合体は、前記電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されていることを特徴とする。
本発明の電解質膜−電極接合体は、前記電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、前記電解質膜−電極接合体を用いた燃料電池である。
本発明によれば、均一な分布と構造を持つ支持体を内包するプロトン伝導性電解質膜を得ることができる。また、内包する無機フィラーが電解質膜の構造を保持するために、加湿に際して大きな形状変化を示すことがなく、加湿・乾燥の繰り返しにおける電解質膜上に形成された触媒層の剥離を抑制できる。さらに、保水性の高い無機フィラーを用いることにより、高温運転における電解質膜の乾燥が抑制され、より高温での発電性能の向上効果が得られる。また、自己造膜性のある無機フィラーにより高いガスバリア性が発現し、燃料あるいは酸化剤のクロスリークによる発電性能の低下を抑制できる。さらに、液体燃料を用いる直接メタノール燃料電池での使用においても、アノード側からカソード側へのメタノール水溶液のクロスオーバーを抑制し、発電性能の低下を防ぐ効果を示す。
本発明において、セラミックスの粒子間結合による自己造膜性があるとは、例えばチタニア表面の水酸基同士が脱水縮合して化学結合(-Ti-OH + HO-Ti- → -Ti-O-Ti-,但しTiは4価であるが2価を省略している。)を形成し、粒子間が結合することをいう。その結果、粒子自体で造膜性を有する。このような反応はアルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、マイカ、及び雲母でも起こる。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記電解質膜の2重量%〜50重量%の範囲であることが好ましく、前記プロトン伝導性材料は前記電解質膜の50重量%〜98重量%の範囲であることが好ましい。セラミックス粒子材料が2重量%未満では、強固な構造と寸法安定性とガスバリア性の改善はそれほど高くはならない。また、セラミックス粒子材料が50重量%を超えると、プロトン伝導性が低下する傾向となる。
前記プロトン伝導性材料は、フッ素系プロトン伝導性高分子材料、炭化水素系プロトン伝導性材料、無機プロトン伝導性材料、有機−無機ハイブリッドプロトン伝導性材料、イオン液体、およびこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。フッ素系プロトン伝導性高分子材料は、ナフィオン(商品名)、フレミオン(商品名)、アシプレックス(商品名)等がある。炭化水素系プロトン伝導性材料はリン酸含浸ポリベンズイミダゾール(PBI)、アルキルスルホン酸含浸ポリベンズイミダゾール(PBI)、スルホン化4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン(SPPBP)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、スチレン−エチレン/ブチレン/エチレンブロック共重合体等がある。無機プロトン伝導性材料としては、酸化タングステンや酸化スズの水和物などの金属水和酸化物、SiO2−H3PO4やSiO2−TiO2−P25などの多元系シリカ、TiO2−H3PO4などの金属リン酸化合物、リンタングステン酸やリンモリブデン酸などのヘテロポリ酸複合体、CsHSO4やCsH2PO4、SnXIn(1-X)27などの無機酸素酸塩などが例示できる。有機−無機ハイブリッド材料としては、シリカとポリエチレンオキシド(PEO)やポリプロピレンオキシド(PPO)、またはポリテトラメチレンオキシド(PTMO)などのポリエーテルポリマーからなるハイブリッド材料や、さらにこれらにタングストリン酸などの固体酸を添加したものが例として挙げられる。イオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMI−TFSI)や、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフレート(EMI−Tf)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム フルオロヒドロジェネレート(EMIm(HF)nF)などが例として挙げられる。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、円盤状の平均直径が0.01μm〜10.00μmの範囲の鱗片状材料であることが好ましい。さらに好ましい平均直径は0.05μm〜1.00μmの範囲である。平均直径が前記の範囲であると成膜しやすい。粒子の厚みは0.01μm〜1.00μmの範囲が好ましい。ここで平均直径は、レーザー散乱法・回折式粒度分布計等を用いた測定により、粒子の平均厚みは、走査電子顕微鏡を用いた測定による100個の粒子の平均値より、それぞれ算出した。
また、前記鱗片状、すなわち扁平な円盤状の粒子は、直径/厚みが5〜50の範囲が好ましく、とくに約10程度が好ましい。このような鱗片状、すなわち扁平な円盤状の粒子であると、平面方向に配列しやすく、プロトン伝導性材料と混合してキャスト成膜する際に成膜性が良好となる。また、表面に−OH基を有する無機材料には、脱水縮合による自己造膜性がある。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、公知のセラミックス材料およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素、マイカ、雲母などを例として挙げられる。但し、シリカは除く。特に、耐熱性や機械強度、化学的安定性、保水性に優れるチタニアやジルコニアがより好ましい。また、上記セラミックス粒子材料は、機械強度向上等を目的に異種金属元素が添加されていてもよい。例えば、ジルコニアに関しては、イットリウムを添加した部分安定化ジルコニア(”YSZ”と呼称される)などが例として挙げられる。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記プロトン伝導性材料により厚さ0.01μm〜1.00μmの被膜で覆われていることが好ましい。プロトン伝導性を高く維持できるからである。
以下、本発明に係る固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の図面においては、同一符号は同一物を示す。
図1Aは、本発明の一実施形態における鱗片状でかつ自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2の模式的斜視図である。図1Bは、同セラミックス粒子材料2を平面状に配置し、自己組織化により積層することで、ガスバリヤ性のある無機材料膜を形成した後の模式的平面図である。図1Cは図1Bの模式的断面図である。図1Dは、自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2およびプロトン伝導性材料3からなる電解質膜1の断面を示す模式図である。
上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2の懸濁液と上記プロトン伝導性材料3の溶液を攪拌、混合した液を図示しない基板表面上にコーティングし、乾燥することにより上記電解質膜1が得られる。上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の懸濁液と上記プロトン伝導性材料の溶液の混合、攪拌において、スターラーや超音波照射、ボールミルなどの公知の方法を用いることができる。また、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の懸濁液と上記プロトン伝導性材料の溶液を混合、攪拌した液の基板上へのコーティングにおいて、ナイフコートやグラビアコート、バーコート、スクリーン印刷など公知の方法を用いることができる。また、上記基板としては、ガラスやアルミナなどの公知のセラミックスからなる基材やポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど、公知のポリマーフィルムなど、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料およびプロトン伝導性材料からなる電解質膜が乾燥後に該基材から剥離することが可能な材質であれば、いかなる材質の基材でも用いることができる。また、任意の形状の皿状の容器に上記溶液を注ぎ、加熱、乾燥させることにより成膜を行ってもよい。乾燥方法は、2段階の加熱により行うのが好ましい。第1段階の加熱は、セラミックス粒子材料2の懸濁液とプロトン伝導性材料3の溶液を攪拌する際に、50℃から100℃の範囲で行う。これは、上記溶液の粘度をコーティングに適した状態に調整することを目的とする。第2段階の加熱は、上記手法によりコーティングされた溶液を乾燥、成膜することを目的に80℃から150℃の範囲で行う。上記加熱温度は、用いるプロトン伝導性材料の耐熱性やガラス転移点により最適値が異なるため、上記温度領域に限定するものではない。また、成膜処理は枚葉で行ってもよいし、長尺の基材フィルム上に連続的にコーティングすることにより任意の長さの長尺の膜を成膜してもよい。
また、図4に示すように、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の懸濁液と上記プロトン伝導性材料の溶液を基板上に交互にコーティングしてもよい。図4A〜Iは、本発明の一実施形態における固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造工程を示す説明図である。図4Aは分散媒11に分散させた自己造膜性のある鱗片状粒子材料2、図4Bはプロトン伝導性材料3の溶液である。図4Cは基材フィルム12であり、この上に図4D〜Iに示すようにプロトン伝導性材料3と鱗片状粒子材料2を交互にコーティングし、乾燥して積層し、基材フィルムを剥ぎ取る。このようにして電解質膜を得る。上記電解質膜の両面には、上記プロトン伝導性材料からなる層を配置することが好ましい。また、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料と上記プロトン伝導性材料は層間で一部混合されていてもよい。
上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、上記プロトン伝導性材料により薄くコーティングされており、その厚さは約0.01μm〜約1.00μmである。上記プロトン伝導性材料層の厚さが約1.00μmを超えると、上記セラミックス粒子材料の粒子同士の間に働く相互作用が上記プロトン伝導性材料層により阻害され自己造膜性が弱まり効果が抑制されてしまう。また、上記プロトン伝導性材料層の厚さが約0.01μm未満になると、上記プロトン伝導性材料中のプロトン伝導が阻害されプロトン伝導率の低減による性能低下が見られる。このように、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料が自己造膜性を示し、かつ上記セラミックス粒子材料を覆うプロトン伝導性材料が十分なプロトン伝導率を示すには、上記セラミックス粒子材料を覆う上記プロトン伝導性材料の厚さが、適切な領域にある必要がある。

図2は、図1に示す本発明の電解質膜1を用いた電解質膜−触媒層接合体の断面を示す模式図である。図2に示すように、電解質膜1の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層4,4’が形成されている。
図3は本発明の一実施形態における電解質膜−電極接合体の断面図である。電解質膜1の上に触媒層4と電極基材5とからなる燃料極6が配置され、前記電解質膜1の下には触媒層4’と電極基材7とからなる空気極8が配置されている。そして、これらの両外側にさらにリブ付きセパレータおよび集電体(図示せず)が配置されることによって、単セル(燃料電池)が構成される。プロトンは燃料極6から電解質膜1内を通過して空気極8に流れる。また、電子は燃料極6から外部回路を介して空気極8に流れる。これにより燃料極6と空気極8との間に電気が流れる。
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(1)電解質膜の作製
無機フィラーとして、鱗片状アルミナ粒子(円盤状の平均直径0.5μm(レーザー散乱式粒度分布計による測定)、平均厚さ0.05μm(走査電子顕微鏡による100個の粒子の平均値))を使用した。プロトン伝導性材料としてDuPont社の5重量%"Nafion"(商品名)溶液を使用した。組成は、乾燥重量比でアルミナが10重量%、"Nafion"(商品名)が90重量%となるように仕込んだ。
アルミナの水分散液と"Nafion"(商品名)溶液を混合し、マグネチックスターラーによる撹拌と超音波攪拌を繰り返すことで均一な分散液を作製した。得られた分散液を50−80℃で加熱しながらマグネチックスターラーで攪拌し、分散媒を蒸発させながら粘度を調整した。得られた高粘度分散液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板上にキャスティングし、約100℃の乾燥オーブン内で静置・乾燥することにより電解質膜を成膜した。得られた電解質膜は厚さ約110μmであった。
(2)加湿時の寸法変化率測定
得られた膜を長方形に切り出し、室温で蒸留水に浸漬することで十分に加湿し、加湿による寸法変化率を評価した。加湿前後の長さを測定することで次式により寸法変化率を算出した。
[(加湿後の長さ)÷(加湿前の長さ)]×100(%)
室温(25℃)で蒸留水に浸漬した電解質膜の寸法変化率は、110%であった。市販品の"Nafion117"(商品名)膜について同様に測定した寸法変化率は、120%であった。
電解質膜は、加湿時における寸法変化率が"Nafion117"膜に比べて小さく、寸法安定性に優れるといえる。無機フィラーとして用いた鱗片状アルミナが膜内で強固なマトリックスを形成することによる効果と考える。その結果として、燃料電池の起動・停止の際の膜の湿潤・乾燥に伴う寸法変化が抑制されることにより、電極触媒層の剥離など電解質膜−電極接合体の破損を抑制する効果が期待できる。
(3)加湿時のプロトン伝導率測定
得られた膜を長方形に切り出し、室温で蒸留水に浸漬することで十分に加湿し、インピーダンスアナライザーを用いて膜の伝導率を測定した。その結果、25℃−100%RHにおける電解質膜の伝導率は0.06S/cmであった。これは、"Nafion117"膜の伝導率0.08S/cmに比べて25%低い。電解質膜内の鱗片状アルミナのマトリックスがプロトン伝導を阻害する要因になりうると考えられるが、一方で、高温耐性や保湿性、形状安定性などの性能向上が達成できるのであれば、伝導率の低下は問題にはならないといえる。
(4)発電性能評価(メタノール燃料)
電解質膜−触媒層接合体および電解質膜−電極接合体の作製:上記(1)にて作製した厚さ約110μmの電解質膜の両面に、触媒(田中貴金属製Pt/C(TEC10E50E)、Pt-Ru/C(TEC61E54))および電解質バインダー(DuPont社、5重量%”Nafion”(商品名)溶液)からなる触媒層を形成した。具体的には、一対の基材フィルム上に上記触媒および電解質バインダーからなる触媒層を形成した触媒転写フィルムで電解質膜を挟持し、熱プレス(温度:135−150℃、圧力:4−6MPa)により電解質膜上に触媒層を転写・形成した。さらに、上記電解質膜−触媒層接合体を一対のガス拡散層(東レ社製、カーボンペーパー)で挟持し、電解質膜−電極接合体を形成した。上記電解質膜−電極接合体を燃料および酸化剤を供給するための流路を持つセパレータおよび集電体で挟持し、単セルを構成した。アノード極は3mg−Pt−Ru/cm2、カソード極は1mg−Pt/cm2とした。
燃料として6重量%メタノール水溶液(4mL/min)、酸化剤として乾燥空気(80mL/min)をそれぞれ燃料極と空気極に供給し、室温(30℃)で上記電解質膜−電極接合体の直接メタノール燃料電池の発電性能を評価した。
得られた開放起電力は約640mVであり、最大出力密度は15mW/cm2が得られた。
比較例として、約200μmの厚みを有する"Nafion117"膜を用いた単セルを同様に評価したところ、本実施例と大きな差異は見られなかった。つまり、低電流密度領域はメタノールのクロスオーバーの影響でセル電位の低下が見られる領域であるが、上記本実施例の電解質膜の厚さは約110μmで、"Nafon117"膜の厚さ(約200μm)の約半分であるにもかかわらず、比較例に対しセル電位に差異が見られなかった。これは、上記電解質膜が"Nafion117"膜に比べてメタノール透過阻止能が高いことを示している。
(5)発電性能評価(水素ガス燃料)
電解質膜−触媒層接合体および電解質膜−電極接合体の作製:上記(1)にて作製した厚さ約110μmの電解質膜の両面に、触媒(田中貴金属製Pt/C(TEC10E50E)、Pt−Ru/C(TEC62E58))および電解質バインダー(DuPont社、5重量%”Nafion”(商品名)溶液)からなる触媒層を形成した。具体的には、一対の基材フィルム上に上記触媒および電解質バインダーからなる触媒層を形成した触媒転写フィルムで電解質膜を挟持し、熱プレス(温度:135−150℃、圧力:4−6MPa)により電解質膜上に触媒層を転写・形成した。さらに、上記電解質膜−触媒層接合体を一対のガス拡散層(東レ社製、カーボンペーパー)で挟持し、電解質膜−電極接合体を形成した。そして、上記電解質膜−電極接合体を燃料および酸化剤を供給するための流路を持つセパレータおよび集電体で挟持し、単セルを構成した。アノード極は1.1mg−Pt−Ru/cm2、カソード極は0.5mg−Pt/cm2とした。
燃料として水素ガス(0.1NLM、露点80℃)、酸化剤として空気(0.5NLM、露点70℃)をそれぞれ燃料極と空気極に供給し、80℃で上記電解質膜−電極接合体の水素燃料電池の発電性能を評価した。得られた開放起電力は約1.01Vであった。なお、上記「NLM」とは、normal liter per minuteのことを指す。
比較例として、約125μmの厚みを有する"Nafion115"膜を用いた単セルを同様に評価したところ、開放起電力は0.98Vであった。上記本実施例では、電解質膜の厚さは約110μmであり、"Nafon115"膜の厚さ(約125μm)に比べて12%薄いにもかかわらず、比較例に比べ30mVも高い開放起電力が得られた。これは、上記電解質膜が"Nafion115"膜に比べて燃料ガスおよび酸化剤ガスのクロスリークに対するバリア性に優れることを示している。
(実施例2)
無機フィラーとしてジルコニア(平均直径1.0μm、平均の厚さ0.1μm)、10重量%を使用し、プロトン伝導性材料として、5重量%Nafion、90重量%を使用した以外は実施例1と同様に電解質膜を作製した。得られた電解質膜の厚さは約105μmであった。
得られた電解質膜を実施例1と同様に評価したところ、次の結果が得られた。
(1)加湿時の寸法変化率:109%
(2)加湿時のプロトン伝導率測定:0.06S/cm
(3)発電性能評価(メタノール燃料):開放起電力約635mV(これは、Nafion117膜の約半分の厚さで同等の性能である)
(4)発電性能評価(水素ガス燃料):開放起電力1.00V(これは、Nafion115膜より約16%薄い膜厚で20mV高い開放起電力があり、バリア性に優れることを示している)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1Aは、本発明の一実施形態における鱗片状でかつ自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の模式的斜視図、図1Bは、同セラミックス粒子材料を平面状に配置し、自己組織化により積層することで、ガスバリヤ性のある無機材料膜を形成した後の模式的平面図、図1Cは図1Bの模式的断面図、図1Dは、自己造膜性のあるセラミックス粒子材料およびプロトン伝導性材料からなる電解質膜の断面を示す模式図である。 同、電解質膜−触媒層接合体の概略をあらわす断面図である。 同、電解質膜−電極接合体の概略をあらわす断面図である。 図4A〜Iは、本発明の一実施形態における固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造工程を示す説明図である。
符号の説明
1 電解質膜
2 セラミックス粒子材料
3 プロトン伝導性材料
4,4’ 触媒層
5,7 電極基材
6 燃料極
8 空気極
11 鱗片状粒子材料の分散媒
12 基材フィルム

Claims (9)

  1. プロトン伝導性材料とセラミックス粒子材料(但し、SiO2を除く。)を含む固体高分子形燃料電池用電解質膜であって、
    前記セラミックス粒子材料は、粒子間結合による自己造膜性があることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  2. 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は前記電解質膜の2重量%〜50重量%の範囲であり、前記プロトン伝導性材料は前記電解質膜の50重量%〜98重量%の範囲である請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  3. 前記プロトン伝導性材料は、フッ素系プロトン伝導性高分子材料、炭化水素系プロトン伝導性材料、無機プロトン伝導性材料、有機−無機ハイブリッドプロトン伝導性材料、イオン液体およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  4. 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、平均直径が0.01μm〜10.00μmの範囲、平均厚みが0.01〜1.00μmの範囲の鱗片状材料である請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  5. 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記プロトン伝導性材料により厚さ0.01μm〜1.00μmの被膜で覆われている請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  6. 前記セラミックス粒子材料は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素、マイカ、及び雲母から選ばれる少なくとも1つである請求項1、2、4又は5に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されていることを特徴とする電解質膜−触媒層接合体。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されていることを特徴とする電解質膜−電極接合体。
  9. 請求項8に記載の電解質膜−電極接合体を用いた燃料電池。
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JP2018106956A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 旭硝子株式会社 固体高分子電解質膜、膜電極接合体および固体高分子形燃料電池

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