JP2018106956A - 固体高分子電解質膜、膜電極接合体および固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質膜、膜電極接合体および固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Tomoaki Nakanishi
智亮 中西
寺園 真二
Shinji Terasono
真二 寺園
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Toshihiro Tanuma
敏弘 田沼
川本 昌子
Masako Kawamoto
昌子 川本
淳 渡壁
Atsushi Watakabe
淳 渡壁
大吾 宮島
Daigo Miyajima
大吾 宮島
弘樹 荒添
Hiroki Arazoe
弘樹 荒添
枝美子 佐藤
Emiko Sato
枝美子 佐藤
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Takuzo Aida
卓三 相田
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Abstract

【課題】プロトン導電性の低下を抑えつつ、燃料のクロスリークが抑えられた固体高分子電解質膜;発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられた膜電極接合体;および発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられた固体高分子形燃料電池の提供。【解決手段】多孔質ナノシートと、電解質ポリマーとを含む固体高分子電解質膜15;触媒層11を有するアノード13と、触媒層11を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に配置された本発明の固体高分子電解質膜15とを備えた膜電極接合体10;および本発明の膜電極接合体10を備えた固体高分子形燃料電池。【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子電解質膜、膜電極接合体および固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池は、たとえば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟んでセルを形成し、複数のセルをスタックしたものである。膜電極接合体は、触媒層を有するアノードおよびカソードと、アノードとカソードとの間に配置された固体高分子電解質膜とを備えたものである。
固体高分子形燃料電池における反応は、燃料が水素ガスの場合、下式で表される。
アノード:H → 2H + 2e
カソード:2H + 1/2O + 2e → H
したがって、固体高分子電解質膜には、プロトン(H)を伝導することが求められるが、水素ガス(H)等の燃料は透過しないことが求められる。
固体高分子形燃料電池においては、固体高分子電解質膜の抵抗を減らして固体高分子形燃料電池の発電性能を向上させる点から、固体高分子電解質膜の薄肉化が求められている。しかし、固体高分子電解質膜を薄くすると、アノード側に供給された燃料(水素ガス、メタノール等)が固体高分子電解質膜を透過(クロスリーク)してカソード側に移動しやすくなる。燃料がクロスリークしてしまうと、燃料電池における電気化学反応に寄与しない燃料が増えてしまうため、燃料効率が低下する。
燃料のクロスリークが抑えられた固体高分子電解質膜としては、酸化グラフェン等のグラフェン誘導体を含ませた固体高分子電解質膜が提案されている(特許文献1、2)。
米国特許出願公開第2012/0172461号明細書 特表2015−529936号公報
しかし、グラフェン誘導体のような無孔質のナノシートを含む固体高分子電解質膜は、燃料だけではなく、プロトンも透過させにくい。そのため、固体高分子電解質膜の抵抗が高くなり、固体高分子形燃料電池の発電性能が低下する。
本発明は、プロトン導電性の低下を抑えつつ、燃料のクロスリークが抑えられた固体高分子電解質膜;発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられた膜電極接合体;および発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられた固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>多孔質ナノシートと、電解質ポリマーとを含む、固体高分子電解質膜。
<2>前記多孔質ナノシートの含有量が、前記多孔質ナノシートと前記電解質ポリマーとの合計の質量のうち、0.01〜10質量%である、前記<1>の固体高分子電解質膜。
<3>前記多孔質ナノシートが、グラファイト状窒化炭素である、前記<1>または<2>の固体高分子電解質膜。
<4>前記グラファイト状窒化炭素が、プロトン化されたグラファイト状窒化炭素である、前記<1>〜<3>のいずれかの固体高分子電解質膜。
<5>前記固体高分子電解質膜の厚さが、1〜20μmである、前記<1>〜<4>のいずれかの固体高分子電解質膜。
<6>触媒層を有するアノードと、触媒層を有するカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、前記<1>〜<5>のいずれかの固体高分子電解質膜とを備えた、膜電極接合体。
<7>前記<6>の膜電極接合体を備えた、固体高分子形燃料電池。
本発明の固体高分子電解質膜は、プロトン導電性の低下を抑えつつ、燃料のクロスリークが抑えられたものとなる。
本発明の膜電極接合体は、発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられたものとなる。
本発明の固体高分子形燃料電池は、発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられたものとなる。
膜電極接合体の一例を示す模式断面図である。 膜電極接合体の他の例を示す模式断面図である。
本明細書においては、式(u1)で表される単位を、単位(u1)と記す。他の式で表される単位も同様に記す。
本明細書においては、式(m1)で表される化合物を、化合物(m1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「ナノシート」とは、構成原子が二次元方向に結合したシート状の分子もしくはその集合、または構成原子がシート状に配列した結晶を意味する。
「電解質ポリマー」とは、イオン交換基を有するポリマーを意味する。
「イオン交換基」とは、該基に含まれる陽イオンの一部が、他の陽イオンに交換しうる基を意味する。イオン交換基としては、H、一価の金属カチオン、アンモニウムイオン等を有する基が挙げられる。
「スルホン酸基」は、−SO および−SO (ただし、Mは、一価の金属イオン、または1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。)を包含する。
「単位」とは、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位を意味する。単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「燃料」とは、燃料電池における燃料となる物質のことであり、固体高分子形燃料電池における水素ガス、直接メタノール燃料電池におけるメタノール等のことである。本発明における「燃料」とは、特に断りのない限り、水素ガスまたはメタノールのことである。
<固体高分子電解質膜>
本発明の固体高分子電解質膜は、多孔質ナノシートと、電解質ポリマーとを含む。
本発明の固体高分子電解質膜は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて補強材をさらに含んでいてもよい。
固体高分子電解質膜における多孔質ナノシートの含有量は、多孔質ナノシートと電解質ポリマーとの合計の質量のうち、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜8質量%がより好ましく、0.03〜5質量%がさらに好ましい。多孔質ナノシートの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが充分に抑えられる。多孔質ナノシートの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、固体高分子電解質膜のプロトン導電性の低下が充分に抑えられる。
固体高分子電解質膜の厚さは、1〜20μmが好ましく、2〜18μmがより好ましく、3〜15μmがさらに好ましい。固体高分子電解質膜の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが充分に抑えられる。また、固体高分子電解質膜にシワが発生しにくくなり、破断しにくい。固体高分子電解質膜の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、固体高分子電解質膜の抵抗が充分に低くなるため、発電性能がさらに優れる膜電極接合体が得られる。
(多孔質ナノシート)
多孔質ナノシートは、プロトンが透過できる程度のナノメートルオーダーの孔を多数有するナノシートである。孔としては、複数の構成単位(たとえば、後述のメレム構造単位)が二次元方向に連結されて形成されたナノシートにおける構成単位間の間隙;規則的な環状構造に由来する孔がその代表例として挙げられる。
孔としては、プロトンが電気的に通りやすい点およびプロトンが伝導しやすい点から、炭素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子が環状に結合して形成された孔が好ましい。
前記原子が環状に結合して形成された孔の大きさは、燃料として使用する水素ガス、メタノール等の分子は通さずに、プロトンの透過性に優れる大きさであれば、特に限定されない。炭素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む、10員環以上の孔が好ましく、15員環以上の孔がより好ましく、18員環であるものがさらに好ましい。
多孔質ナノシートの厚さは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。多孔質ナノシートの厚さは、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。多孔質ナノシートの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、多孔質ナノシートを添加した固体高分子電解質膜において抵抗を低く抑えやすく、プロトン伝導性が良好となりやすい。多孔質ナノシートの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、多孔質ナノシートが固体高分子電解質膜の膜面方向に対して平行に配向しやすく、燃料の透過抑制効果が高くなりやすい。
多孔質ナノシートの面方向の最大長さと厚さとの比(最大長さ/厚さ)は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、100以上がさらに好ましい。最大長さ/厚さは、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。最大長さ/厚さが前記範囲の下限値以上であれば、多孔質ナノシートが固体高分子電解質膜の膜面方向に対し平行に配向しやすく、燃料の透過抑制効果が高くなりやすい。最大長さ/厚さが前記範囲の上限値以下であれば、多孔質ナノシートを添加した固体高分子電解質膜においてプロトン伝導性が良好となりやすい。
多孔質ナノシートの具体例としては、グラファイト状窒化炭素が挙げられる。多孔質ナノシートとしては、プロトンの透過性および水素ガスやメタノールの遮蔽性に優れる点から、グラファイト状窒化炭素が好ましい。
グラファイト状窒化炭素としては、たとえば、下式(a)で表されるメレム構造単位が二次元方向に連結された下式(b)で表される構造を有するものが挙げられる。式(b)のグラファイト状窒化炭素は、3つのメレム構造単位に囲まれた炭素原子および窒素原子が環状に結合した18員環の孔を有する。
Figure 2018106956
Figure 2018106956
グラファイト状窒化炭素としては、液状媒体への分散性および電解質ポリマーとの親和性を高める点から、一部の窒素原子にプロトンが付加されたもの、すなわちプロトン化されたグラファイト状窒化炭素が好ましい。該窒素原子へのプロトンの付加は、たとえば、グラファイト状窒化炭素と酸(濃硫酸、濃塩酸、濃硝酸等)とを反応させることによって行われる。
グラファイト状窒化炭素の製造方法としては、たとえば、国際公開第2014/098251号公報に記載の方法が挙げられる。
(電解質ポリマー)
電解質ポリマーは、イオン交換基を有する。
イオン交換基としては、陽イオンがプロトンである酸型と、陽イオンが金属イオン、アンモニウムイオン等である塩型とが挙げられる。固体高分子形燃料電池用の固体高分子電解質膜の場合、通常、酸型のイオン交換基を有する電解質ポリマーが用いられる。酸型のイオン交換基を有する電解質ポリマーにおいては、イオン交換基のプロトンの一部は、セリウムイオン、マンガンイオン等にイオン交換されていてもよい。
酸型のイオン交換基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基、ホスホン酸基、カルボン酸基、ケトイミド基等が挙げられ、酸性度が強く、化学的安定性の高い点から、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基が好ましく、スルホン酸基、スルホンイミド基がより好ましく、スルホン酸基がさらに好ましい。
電解質ポリマーとしては、フッ素原子を含まない電解質ポリマー(イオン交換基を有する炭化水素ポリマー等)、含フッ素電解質ポリマー(イオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマー等)等が挙げられ、耐久性の点から、含フッ素電解質ポリマーが好ましく、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいイオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマーがより好ましい。
イオン交換基を有する炭化水素ポリマーとしては、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルホキシド、スルホン化ポリフェニレンサルファイド、スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトンケトン、スルホン化ポリイミド等が挙げられる。
ペルフルオロカーボンポリマーとしては、燃料電池を運転する際に求められる化学的な安定性、プロトン導電性、耐熱水性、機械的特性の点から、単位(u1)および単位(u2)のいずれか一方または両方を有するポリマー(H)が好ましい。
ポリマー(H)は、ポリマー(H)の機械的特性および化学的耐久性に優れる点から、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位(以下、TFE単位と記す。)をさらに有することが好ましい。
ポリマー(H)は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて単位(u1)、単位(u2)およびTFE単位以外の、他のモノマーに基づく構成単位(以下、他の単位と記す。)をさらに有していてもよい。
単位(u1)は、下式で表される。
Figure 2018106956
ただし、Q11は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Q12は、単結合、またはエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、sは、0または1であり、Rf1は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子であり、aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Zは、H、一価の金属イオン、または1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。単結合は、CYの炭素原子とSOの硫黄原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
11、Q12のペルフルオロアルキレン基がエーテル性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子結合末端のうち、硫黄と結合する炭素原子結合末端には挿入されない。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料のモノマーの沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。また、炭素数が6以下であれば、ポリマー(H)のイオン交換容量の低下が抑えられ、プロトン伝導性の低下が抑えられる。
12は、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。Q12がエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であれば、Q12が単結合である場合に比べ、長期にわたって固体高分子形燃料電池を運転した際に、発電性能の安定性に優れる。
11、Q12の少なくとも一方は、エーテル性酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基を有するモノマーは、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
f1のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基等が好ましい。
単位(u1)が2つ以上のRf1を有する場合、Rf1は、それぞれ同じ基であってもよく、それぞれ異なる基であってもよい。
−SO(SOf1 としては、−SO 、−SON(SOf1、または−SOC(SOf1 が挙げられる。
としては、フッ素原子、またはエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のペルフルオロアルキル基が好ましい。
単位(u1)としては、ポリマー(H)の製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位(u1−1)〜(u1−3)が好ましい。得られるポリマー(H)が柔軟であり、固体高分子電解質膜としたときに、湿潤状態における膨潤と乾燥状態における収縮とを繰り返しても破損しにくい点から、単位(u1−2)または単位(u1−3)がより好ましい。
Figure 2018106956
単位(u2)は、下式で表される。
Figure 2018106956
ただし、Qは、単結合、またはエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、tは、0または1であり、Rf2は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子であり、bは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Zは、H、一価の金属イオン、または1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。単結合は、CFYの炭素原子とSOの硫黄原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
のペルフルオロアルキレン基がエーテル性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子結合末端のうち、硫黄と結合する炭素原子結合末端には挿入されない。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、ポリマー(H)のイオン交換容量の低下が抑えられ、プロトン伝導性の低下が抑えられる。
f2のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基等が好ましい。
−SO(SOf2 としては、−SO 、−SON(SOf2、または−SOC(SOf2 が挙げられる。
としては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
単位(u2)としては、ポリマー(H)の製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位(u2−1)〜(u2−4)が好ましい。
Figure 2018106956
他の単位は、単位(u1)、単位(u2)およびTFE単位以外の、他のモノマーに基づく単位である。
他のモノマーとしては、たとえば、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ペルフルオロα−オレフィン(ヘキサフルオロプロピレン等)、(ペルフルオロアルキル)エチレン((ペルフルオロブチル)エチレン等)、(ペルフルオロアルキル)プロペン(3−ペルフルオロオクチル−1−プロペン等)、ペルフルオロビニルエーテル(ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有アルキルビニルエーテル)等)、国際公開第2011/013578号に記載された5員環を有するペルフルオロモノマー等が挙げられる。
ポリマー(H)は、単位(u1)、単位(u2)および他の単位を、それぞれ1種ずつ有していてもよく、それぞれ2種以上有していてもよい。
ポリマー(H)における各単位の割合は、電解質ポリマーに要求されるイオン交換容量、プロトン導電性、水素ガス透過性、耐熱水性、機械的特性等に応じて、適宜調整すればよい。
電解質ポリマーのイオン交換容量は、0.7〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.9〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂がより好ましい。イオン交換容量が前記範囲の下限値以上であれば、プロトン導電性が高くなるため、充分な電池出力を得ることできる。イオン交換容量が前記範囲の上限値以下であれば、分子量の高いポリマーの合成が容易であり、また、電解質ポリマーが過度に水で膨潤しないため、機械的強度を保持できる。
ポリマー(H)は、前駆体であるポリマー(F)の−SOF基をイオン交換基に変換することによって製造される。すなわち、ポリマー(F)は、ポリマー(H)の単位(u1)における−SO(SOf1 基が−SOF基に置換された構造、およびポリマー(H)の単位(u2)における−SO(SOf2 基が−SOF基に置換された構造のいずれか一方または両方を有する。
ポリマー(F)は、化合物(m1)および化合物(m2)のいずれか一方または両方と、必要に応じてTFE、他のモノマーとを重合することによって製造される。
化合物(m1)は、下式で表される。
Figure 2018106956
11、Q12、Y、sは、単位(u1)におけるQ11、Q12、Y、sと同様であり、好ましい形態も同様である。
化合物(m1)は、たとえば、国際公開第2007/013533号に記載の方法等、公知の合成方法によって製造できる。
化合物(m2)は、下式で表される。
Figure 2018106956
、Y、tは、単位(u2)におけるQ、Y、tと同様であり、好ましい形態も同様である。
化合物(m2)は、たとえば、D.J.Vaugham著,”Du Pont Inovation”,第43巻、第3号,1973年、p.10に記載の方法、米国特許第4358412号明細書の実施例に記載の方法等、公知の合成方法によって製造できる。
重合法としては、特に限定なく、従来公知の方法が挙げられる。
ポリマー(F)の−SOF基をイオン交換基に変換する方法としては、国際公開第2011/013578号に記載の方法が挙げられる。たとえば、−SOF基を酸型のスルホン酸基(−SO 基)に変換する方法としては、ポリマー(F)の−SOF基を塩基と接触させて加水分解して塩型のスルホン酸基とし、塩型のスルホン酸基を酸と接触させて酸型化して酸型のスルホン酸基に変換する方法が挙げられる。
固体高分子電解質膜は、補強材で補強されていてもよい。補強材としては、多孔体、繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強材の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
(固体高分子電解質膜の形成)
固体高分子電解質膜の形成方法としては、薄肉でありながら機械的強度が高い固体高分子電解質膜が得られる点から、多孔質ナノシートと電解質ポリマーと液状媒体とを含む混合液を用いて固体高分子電解質膜を形成する方法が好ましい。
混合液を用いて固体高分子電解質膜を形成する方法としては、具体的には、混合液を基材フィルムまたは触媒層の表面に塗布し、乾燥させる方法(キャスト法)が挙げられる。
なお、混合液に含まれる多孔質ナノシートは凝集しやすい。よって、下記の手順にて固体高分子電解質膜を形成することが好ましい。
・多孔質ナノシートと電解質ポリマーと第1の液状媒体とを混合して、第1の液状媒体中に多孔質ナノシートが分散し、電解質ポリマーが分散または溶解した第1の混合液を調製する。
・第1の混合液中で多孔質ナノシートが均一に分散している状態で、多孔質ナノシートの分散性を損なわない乾燥方法(たとえば、凍結乾燥法またはスプレー乾燥法)にて、第1の混合液を乾燥し、電解質ポリマー中に多孔質ナノシートが均一に分散した状態で複合化された複合化物の乾燥物を得る。
・乾燥物と第2の液状媒体とを混合して、第2の液状媒体中に前記複合化物が分散した第2の混合液を調製する。
・第2の混合液を基材フィルムまたは触媒層の表面に塗布し、乾燥させて固体高分子電解質膜を形成する。
第1の混合液としては、多孔質ナノシートを非プロトン性極性溶媒に分散させた多孔質ナノシートを含む分散液と、電解質ポリマーを水とアルコールを含む混合溶媒に分散させた電解質ポリマーを含む分散液とを準備して、これらの分散液を混合することにより得られるものが好ましい。
第2の混合液においては、多孔質ナノシートと電解質ポリマーは複合化しているため、多孔質ナノシートは凝集しにくい。よって、電解質ポリマー中に多孔質ナノシートが均一に分散した固体高分子電解質膜を形成しやすい。
多孔質ナノシートと電解質ポリマーとの複合化は、多孔質ナノシートと電解質ポリマーのイオン交換基との間の静電的相互作用によるものと考えられる。たとえば、多孔質ナノシートがプロトン化されたグラファイト状窒化炭素である場合、具体的には、正の電荷を有する多孔質ナノシートのプロトン化された窒素と、負の電荷を有する電解質ポリマーのイオン交換基が、相互に働きかけることによって複合化が引き起こされると考えられる。
液状媒体としては、多孔質ナノシートの分散性が良好である点から、非プロトン性極性溶媒を含む溶媒が好ましく、水と非プロトン性極性溶媒とを含む混合溶媒が好ましい。
非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。非プロトン性溶媒としては、多孔質ナノシートの分散性が良好である点から、ジメチルスルホキシドが好ましい。ジメチルスルホキシドは、分子内で分極しており、極性が大きいため、多孔質ナノシートを分散させやすい。また、沸点が高いため、多孔質ナノシートを加熱溶解させる場合にも好適に用いることができる。
液状媒体は、電解質ポリマーの分散性が良好である点から、必要に応じて水酸基を有する有機溶媒を含んでいてもよい。
水酸基を有する有機溶媒としては、アルコールが好ましく、炭素数1〜12の分岐または直鎖のアルキル基、または炭素数1〜12の分岐または直鎖のポリフルオロアルキル基を有するアルコールがより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール等が挙げられる。水酸基を有する有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。水酸基を有する有機溶媒としては、多孔質ナノシートの分散性が良好である点から、メタノールまたはエタノールが好ましい。メタノールおよびエタノールは、極性溶媒であり、安価で取扱いやすい溶媒であるので好ましく利用できる。
第1の液状媒体が水を含む場合、水と非プロトン性極性溶媒との質量比(水/非プロトン性極性溶媒)は、10/90〜90/10が好ましく、30/70〜70/30がより好ましい。水/非プロトン性極性溶媒が前記範囲内であれば、多孔質ナノシートが分散または溶解しやすい。
多孔質ナノシートと電解質ポリマーとの合計の割合は、第1の混合液全質量のうち、0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましい。
第2の液状媒体における水と非プロトン性極性溶媒との質量比(水/非プロトン性極性溶媒)は、10/90〜90/10が好ましく、30/70〜70/30がより好ましい。水/非プロトン性極性溶媒が前記範囲内であれば、前記複合化物が分散または溶解しやすい。
水酸基を有する有機溶媒の割合は、第1の液状媒体または第2の液状媒体のうち、1〜50質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
多孔質ナノシートと電解質ポリマーとの合計の割合は、第2の混合液全質量のうち、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
混合液は、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて多孔質ナノシート、電解質ポリマーおよび液状媒体以外の他の成分を含んでいてもよい。
固体高分子電解質膜は、安定化させるために、アニール処理されていることが好ましい。アニール処理の温度は、120〜200℃が好ましい。アニール処理の温度が120℃以上であれば、電解質ポリマーが過度に含水しなくなる。アニール処理の温度が200℃以下であれば、イオン交換基の熱分解が抑えられる。
以上説明した本発明の固体高分子電解質膜にあっては、多孔質ナノシートを含むため、プロトン導電性の低下を抑えつつ、燃料のクロスリークが抑えられる。
すなわち、多孔質ナノシートの遮蔽効果によって、水素ガスやメタノールが固体高分子電解質膜を透過しにくくなり、燃料のクロスリークが抑えられる。なお、多孔質ナノシートが有するナノメートルオーダーの微小の孔は、水素ガスやメタノールよりも比較的小さなプロトンの方を通しやすい。そのため、固体高分子電解質膜に多孔質ナノシートが含まれていても、固体高分子電解質膜のプロトン導電性の低下は、最小限に抑えられる。
<膜電極接合体>
図1は、膜電極接合体の一例を示す模式断面図である。膜電極接合体10は、触媒層11およびガス拡散層12を有するアノード13と、触媒層11およびガス拡散層12を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に、触媒層11に接した状態で配置された固体高分子電解質膜15とを具備する。
触媒層は、触媒と、電解質ポリマーとを含む層である。
触媒としては、カーボン担体に白金または白金合金を担持した担持触媒が挙げられる。
カーボン担体としては、カーボンブラック粉末、グラファイト化カーボン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
電解質ポリマーとしては、触媒層に用いられる公知の電解質ポリマーが挙げられ、クラックが入りにくい触媒層を形成できる点から、TFE単位と単位(u2)とを有するポリマーが好ましい。
ガス拡散層は、触媒層に均一にガスを拡散させる機能および集電体としての機能を有する。ガス拡散層としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。ガス拡散層は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEとも記す。)等によって撥水化処理されていることが好ましい。
固体高分子電解質膜は、本発明の固体高分子電解質膜である。
図2に示すように、膜電極接合体10は、触媒層11とガス拡散層12との間にカーボン層16を有してもよい。
カーボン層を配置することによって、触媒層の表面のガス拡散性および発電により生成した水の排水性が向上し、固体高分子形燃料電池の発電性能が大きく向上する。カーボン層は、アノードおよびカソードのいずれか一方の触媒層とガス拡散層との間に配置されていてもよく、アノードおよびカソードの両方の触媒層とガス拡散層との間に配置されていてもよい。
カーボン層は、カーボンと非イオン性含フッ素ポリマーとを含む層である。
カーボンとしては、カーボン粒子、カーボンファイバー等が挙げられ、繊維径1〜1,000nm、繊維長1,000μm以下のカーボンナノファイバーが好ましい。
非イオン性含フッ素ポリマーとしては、PTFE等が挙げられる。
膜電極接合体10は、触媒層11とガス拡散層12との間に中間層を有していてもよい。中間層は、触媒層11とカーボン層16の間に配置されてもよい。
中間層を配置することによって、触媒層と、ガス拡散層またはカーボン層との接着強度が高まり、膜電極接合体としての機械的強度が向上するとともに、湿潤環境下での触媒層からの排水および乾燥下での保湿により固体高分子形燃料電池の発電性能が大きく向上する。
中間層は、電解質ポリマーと炭素材料とを含む。
電解質ポリマーとしては、触媒層や固体高分子電解質膜に含まれる電解質ポリマーと同様のものが挙げられ、工業的実施が容易な点から、TFE単位と単位(u2)とを有するポリマーが好ましい。
炭素材料としては、炭素繊維が好ましい。微細でかつ電子伝導性を有する点から、カーボンナノファイバーが好ましい。カーボンナノファイバーとしては、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等)等が挙げられる。
(膜電極接合体の製造方法)
膜電極接合体は、本発明の固体高分子電解質膜を用いて、たとえば、国際公開第2008/090990号、国際公開第2009/116630号等に記載される従来公知の方法により製造することができる。中間層についても、たとえば、国際公開第2009/116630号に記載の従来公知のものを用いて、従来公知の方法により、ガス拡散層上に形成できる。
本発明の膜電極接合体は、プロトン導電性の低下を抑えつつ、燃料のクロスリークが抑えられた本発明の固体高分子電解質膜を備えているため、発電性能の低下を抑えつつ、固体高分子電解質膜における燃料のクロスリークが抑えられる。
<固体高分子形燃料電池>
膜電極接合体の両面に、ガスの流路となる溝または多数の孔が形成されたセパレータを配置することにより、固体高分子形燃料電池が得られる。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂を混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することにより、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電を行うメタノール燃料電池にも、膜電極接合体を適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1、2は実施例であり、例3は比較例である。
(略号)
GCN:グラファイト状窒化炭素、
DMSO:ジメチルスルホキシド、
PFA:テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、
フレミオン膜:固体高分子電解質膜(旭硝子社製、フレミオン(登録商標)、膜厚25μm)。
(イオン交換容量)
ポリマー(H)からなる固体高分子電解質膜を120℃で12時間真空乾燥した。固体高分子電解質膜を0.85モル/gの水酸化ナトリウム溶液(溶媒:水/メタノール=10/90(質量比))に浸漬して、イオン交換基を中和した。イオン交換基を中和した後の水酸化ナトリウム溶液を0.1モル/Lの塩酸で逆滴定してポリマー(H)のイオン交換容量を求めた。
(厚さ)
デジマチックインジケータ(Mitsutoyo社製、型番:543−250、フラット測定端子:φ5mm)を用いて固体高分子電解質膜の9箇所の厚さを測定し、これらを平均して固体高分子電解質膜の厚さとした。
(プロトン導電率)
固体高分子電解質膜の厚さ方向のプロトン導電率は、固体高分子電解質膜の厚さ方向に外部から交流電圧を印加し、その高周波応答特性を解析することによって求めた。
セラミック製鋏を用いて固体高分子電解質膜から2cm角のサンプルを切り出した。サンプルを、金めっきを施した10mmφの電極を備えた専用治具(東陽テクニカ社製、サンプルホルダ SH2−Z)に設置し、電極間に2N・mのトルクで固定化した。高精度インピーダンス装置(英国ウィンカー社製、6440B)を用いて、50mVの交流電圧を印加し、3MHzから20Hzまでの測定周波数領域で周波数応答測定を行い、厚さ方向のプロトン導電率を算出した。プロトン導電率は1.0mS/cm以上であれば実用上好ましい。
(水素ガス透過係数)
評価対象の固体高分子電解質膜をフレミオン膜で挟んだ3層の積層膜をガス透過装置用セルに組み込んだ。80℃の条件下、セル有効ガス透過面積3.3cm、ガス流量30cm/minの条件で、該積層膜の一方に湿度を調節した水素ガスを流し、積層膜の他方に湿度を調節したアルゴンガスを流した。アルゴンガス側に透過してくる水素ガスを、ガスクロマトグラフィで検出し、水素ガス透過量を測定した。得られた水素ガス透過量を用いて、標準状態(0℃、1気圧)において、膜面積1cm、透過ガスの圧力差1Paあたり、1秒間に透過するガスの流量を求め、厚さ1cmの膜に換算した値を積層膜の水素ガス透過係数Pとした。
同様の方法で、フレミオン膜の単独膜の水素ガス透過係数P1を算出した。
積層膜の厚さをL、フレミオン膜の厚さをL1、評価対象の固体高分子電解質膜の厚さをL2とし、積層膜の水素ガス透過係数をP、フレミオン膜の水素ガス透過係数をP1、評価対象の固体高分子電解質膜の水素ガス透過係数をP2としたとき、L/P=L1/P1×2+L2/P2が成り立つ。この式から、評価対象の固体高分子電解質膜の水素ガス透過係数P2を算出した。
(製造例1)
ジシアンジアミドをるつぼ内に入れ、マッフル炉内で550℃で熱処理することによってGCNを得た。次に、得られたGCNを濃硫酸中で100℃に加熱してプロトン化処理を行った。プロトン化処理後の液をメタノール中に滴下し、析出させることによってGCN硫酸塩を得た。
(例1)
GCN硫酸塩をDMSO中に分散させ、GCN硫酸塩分散液(8mg/mL)を得た。
ポリマー(H−1)(旭硝子社製、フレミオン(登録商標)、TFE単位と単位(u2−1)を有する酸型の電解質ポリマー、イオン交換容量1.1ミリ当量/g)を、固形分濃度が26質量%となるように水/エタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に分散させ、ポリマー(H−1)分散液を得た。
GCN硫酸塩分散液とポリマー(H−1)分散液とを混合して、第1の混合液を得た。GCN硫酸塩の含有量は、GCN硫酸塩とポリマー(H−1)との合計の質量のうち、4質量%であった。水とDMSOとの質量比(水/DMSO)は、1/5であった。エタノールの割合は、液状媒体全量のうち、20質量%であった。
第1の混合液を液体窒素で凍結させ、このまま減圧下で液状媒体を除去して固形分を得た。固形分を160℃で30分間乾燥させて、乾燥物を得た。
乾燥物を水/DMSO=50/50(質量比)の混合溶媒に分散させて第2の混合液を得た。乾燥後の厚さが20μmになる量の第2の混合液をPFA製のシャーレの底に均一に広がるように入れて、室温で真空乾燥して透明な固体高分子電解質膜Aを得た。固体高分子電解質膜Aの厚さおよびプロトン導電率を表1に示す。
固体高分子電解質膜Aを両側からフレミオン膜で挟み、130℃、5分間、3MPaの条件下で圧着させて積層膜を得た。該積層膜を用いて各湿度下における固体高分子電解質膜Aの水素ガス透過係数を求めた。結果を表2に示す。
(例2)
GCN硫酸塩の含有量を、GCN硫酸塩とポリマー(H−1)との合計の質量のうち、0.5質量%とした以外は、例1と同様にして固体高分子電解質膜Bを得た。固体高分子電解質膜Bの厚さおよびプロトン導電率を表1に示す。
(例3)
フレミオン膜のプロトン導電率を表1に示す。
固体高分子電解質膜Aの代わりにフレミオン膜を用いる以外は、例1と同様にして積層膜を得た。該積層膜を用いて各湿度下におけるフレミオン膜の水素ガス透過係数を求めた。例3で得られたフレミオン膜の水素ガス透過係数に対する、例1の固体高分子電解質膜Aの水素ガス透過係数の割合(水素ガス透過係数比)を表2に示す。
Figure 2018106956
Figure 2018106956
表2に示すように、すべての湿度において、GCN硫酸塩を添加した固体高分子電解質膜Aの水素ガス透過係数は、フレミオン膜の水素ガス透過係数の80%以下に抑えられた。
本発明の固体高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体における固体高分子電解質膜;水電解、過酸化水素製造、オゾン製造、廃酸回収等に用いるプロトン選択透過膜;食塩電解用陽イオン交換膜;レドックスフロー電池の隔膜;脱塩または製塩に用いる電気透析用陽イオン交換膜等として有用である。
10 膜電極接合体、
11 触媒層、
12 ガス拡散層、
13 アノード、
14 カソード、
15 固体高分子電解質膜、
16 カーボン層。

Claims (7)

  1. 多孔質ナノシートと、電解質ポリマーとを含む、固体高分子電解質膜。
  2. 前記多孔質ナノシートの含有量が、前記多孔質ナノシートと前記電解質ポリマーとの合計の質量のうち、0.01〜10質量%である、請求項1に記載の固体高分子電解質膜。
  3. 前記多孔質ナノシートが、グラファイト状窒化炭素である、請求項1または2に記載の固体高分子電解質膜。
  4. 前記グラファイト状窒化炭素が、プロトン化されたグラファイト状窒化炭素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子電解質膜。
  5. 前記固体高分子電解質膜の厚さが、1〜20μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体高分子電解質膜。
  6. 触媒層を有するアノードと、
    触媒層を有するカソードと、
    前記アノードと前記カソードとの間に配置された、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体高分子電解質膜と
    を備えた、膜電極接合体。
  7. 請求項6に記載の膜電極接合体を備えた、固体高分子形燃料電池。
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