JP5328446B2 - 燃料電池用触媒及びその製造方法、並びに燃料電池 - Google Patents
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Description
アノード反応:H2→2H++2e− (1)
カソード反応:2H++2e−+1/2O2→H2O (2)
導電性担体であるカーボンブラックは、微粒子化した電極触媒を担持させるために非常に大きな比表面積(例えば、100〜1000m2/g)を有しており、導電性担体を構成する粒子の間には複雑な細孔構造が形成されている。具体的には、非特許文献1に示されるように、カーボンブラックの細孔構造は、カーボンブラックの一次粒子間に形成される一次細孔(20nm以上40nm未満)と、カーボンブラックの一次粒子が凝集した凝集物(二次粒子)間に形成される二次細孔(40nm以上)とに大きく分類される。
しかしながら、アイオノマー量を必要以上に多くすると、導電性担体中の一次細孔及び二次細孔の全てが閉塞されてしまう。その結果、電極触媒表面への反応ガスの供給が不十分となったり、反応で生成した水の電極外部への排出が滞ったりすることで、電極性能が低下してしまうという問題が生じる。電極触媒へのプロトン及び反応ガスの供給を両立させると共に、反応生成水の排出を円滑に行うためには、導電性担体中の一次細孔及び二次細孔に適量のアイオノマーを導入することが重要となる。
会合度の小さな一部のナフィオン分子は、導電性担体中の一次細孔に導入することが可能であるが、会合度の大きなナフィオン分子は、一次細孔に導入することができず、二次細孔のみに導入される。導電性担体中の一次細孔へのナフィオン分子の不十分な導入は、電極触媒へのプロトンの供給が阻害されるため、触媒利用効率の低下、電池電圧の低下をもたらす。
また、特許文献1と同様に、無機粒子とハイブリッド化したポリマー電解質を電解質成分として用いる方法が、特許文献2にも記載されている。この特許文献2の方法では、ポリマー電解質と粒径100ミクロン以下の層状珪酸塩粒子とから構成される電解質成分を導電性担体中の細孔に導入している。この方法によれば、導電性担体中の細孔に層状珪酸塩粒子を導入することができるので、優れた自己加湿機能を与え、発電性能を低下させることなく低加湿運転を行うことができる。
また、本発明は、様々な条件(特に、高温低加湿条件)下においても性能低下が少ない燃料電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、導電性担体に担持された電極触媒と、前記導電性担体の一次細孔及び二次細孔内に含有されたイオン伝導性ポリマーとを有する燃料電池用触媒であって、前記イオン伝導性ポリマーが、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質と、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質とからなることを特徴とする燃料電池用触媒である。
また、本発明は、導電性担体に担持された電極触媒と、前記導電性担体の一次細孔及び二次細孔内に含有されたイオン伝導性ポリマーとを有する燃料電池用触媒であって、前記イオン伝導性ポリマーが、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質と、動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質とからなることを特徴とする燃料電池用触媒である。
また、本発明は、電極触媒を担持した導電性担体を、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液又は動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質の溶液と攪拌混合した後、その混合物に、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液を加えて攪拌混合することを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法である。
さらに、本発明は、上記燃料電池用触媒を有する燃料電池である。
また、本発明は、様々な条件(特に、高温低加湿条件)下においても性能低下が少ない燃料電池を提供することができる。
本発明の燃料電池用触媒は、動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上の所定のイオン伝導性物質と、動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下の所定のイオン伝導性物質又はポリマー電解質とからなるイオン伝導性ポリマーを、電極触媒を担持した導電性担体の一次細孔及び二次細孔内に含有する。
以下、本発明の燃料電池用触媒及びその製造方法の好適な実施の形態について説明する。
イオン伝導性物質は、ポリマー電解質及び無機粒子から構成される。
ポリマー電解質としては、プロトンや水酸化物イオン等の各種イオンを伝導するものであれば特に限定されない。その中でもポリマー電解質は、高温低加湿条件下でのプロトン伝導性を確保する観点から、プロトン伝導性ポリマーであることが好ましい。ここで、プロトン伝導性ポリマーとは、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、アルキルスルホン酸基、アルキルカルボン酸基、アルキルホスホン酸基、リン酸基、及びフェノール性水酸基等のプロトン酸基を有するポリマーを意味する。
また、上記のポリマー電解質は、一般に市販されており、例えば、デュポン社から販売されているナフィオン(商標名)等を用いることもできる。
イオン伝導性物質は、導電性担体の一次細孔にイオン伝導性物質を選択的且つ効率的に導入する観点から、20nm以下、好ましくは10nm以下のストークス粒径を有する。ストークス粒径が20nmを超えると、導電性担体の一次細孔にイオン伝導性物質を選択的且つ効率良く導入することができない。逆に、ストークス粒径が小さいほど、導電性担体の一次細孔にイオン伝導性物質を選択的且つ効率良く導入することができる。
また、上記のイオン伝導性物質の代わりとしてポリマー電解質を用いることもできる。ポリマー電解質としては、上記で説明した通りである。このポリマー電解質は、一般的に幅広い分布の粒径を有しているため、導電性担体の一次細孔のみに選択的に導入することはできないが、導電性担体の一次細孔に導入する電解質成分としては十分に使用可能である。
また、上記したように、カソードでは、高温低加湿条件下において、反応で生じる生成水が常に存在する一次細孔よりも、電極触媒表面から離れ、ガス拡散パスとしても機能している二次細孔の方が乾燥し易いため、二次細孔での乾燥がプロトン伝導性の低下の主な原因となるが、本実施の形態の燃料電池用触媒では、表面ないし結晶構造内部に水分を保持し易い無機粒子を含むイオン伝導性物質を導電性担体の二次細孔に導入しているので、二次細孔での保水性を高めることができ、二次細孔でのプロトン伝導性の低下を防止することが可能となる。
導電性担体に担持される電極触媒としては、特に限定されず、貴金属触媒等の公知のものを用いることができる。貴金属触媒としては、特に限定されないが、例えば、PtやPt−Ru等のPt系触媒が挙げられる。貴金属触媒は、粒径が好ましくは30nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは3nm以下である。
ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液は、ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液と、無機粒子を極性溶媒に分散させた分散液とを混合することによって調製することができる。
ポリマー電解質を溶解及び無機粒子を分散させる極性溶媒としては、特に限定されず、使用するポリマー電解質及び無機粒子にあわせて適宜選択することができる。例えば、極性溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチルピロリドン、及びN−メチルアセトアミド等が挙げられ、これらは単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
無機粒子を極性溶媒に分散させた分散液は、無機粒子の含有量が好ましくは0.1質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。無機粒子の含有量が0.1質量%未満であると、電極触媒を担持した導電性担体と混合したときに、溶媒量が多くなりすぎてしまい、低粘度となるため、塗工に適した粘度のペーストを調製することが難しくなることがある。一方、無機粒子の含有量が1質量%を超えると、ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液と混合したときに凝集してゲル化することがある。
上記のポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液と、上記の無機粒子を極性溶媒に分散させた分散液とを混合すると、沈殿のない透明な液が得られる。この透明液では、ポリマー電解質によって無機粒子の一部又は全部が被覆等されたストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質が分散している。
ポリマー電解質を溶解及び無機粒子を分散させる極性溶媒としては、特に限定されず、上記と同じものを用いることができる。
ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液は、ポリマー電解質の含有量が好ましくは1質量%超過20質量%以下、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。ポリマー電解質の含有量が1質量%以下であると、電極触媒を担持した導電性担体と混合したときに溶媒量が多くなりすぎてしまい、低粘度となるため、塗工に適した粘度のペーストを調製することが難しくなることがある。一方、ポリマー電解質の含有量が20質量%を超える場合も、電極触媒を担持した導電性担体と混合したときに高粘度となるため、塗工に適した粘度のペーストを調製することが難しくなることがある。
ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液と、無機粒子を極性溶媒に分散させた分散液との配合割合は、質量比で好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2である。ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液の比率が多すぎると、無機粒子と凝集せずに20nm以下のポリマー電解質が分散液中に残存してしまうことがある。一方、ポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液の比率が少なすぎると、イオン導電性が低下し電池性能が低下してしまうことがある。
上記のポリマー電解質を極性溶媒に溶解した溶液と、上記の無機粒子を極性溶媒に分散させた分散液とを混合すると、白濁した液が得られる。この白濁液では、ポリマー電解質が無機粒子間を架橋した架橋凝縮と呼ばれるメカニズムによって凝集している。この凝集物は、内部には極性溶媒を多く含有したストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質であり、架橋によりポリマー電解質の強固なネットワークが形成されているのでイオン伝導性に優れている。なお、燃料電池用触媒を最終的に得る段階では、極性溶媒が除去されるが、凝集物内部の極性溶媒が除去されることによって、反応ガスの拡散や反応生成水の排出に適した細孔が形成される。
また、イオン伝導性物質の分散液やポリマー電解質の溶液には、電極触媒を担持した導電性担体をそれぞれ別個に含浸させてよいが、製造工程を簡略化させる観点から、電極触媒を担持した導電性担体を、ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液又はストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質の溶液と攪拌混合した後、その混合物にストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液を加えて攪拌混合してもよい。
得られた塗工用ペーストは離型性基材に塗布した後、極性溶媒が除去される。ここで、塗布方法としては、特に限定されず、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。また、離型性基材も特に限定されず、離型処理が施された公知の基材を用いることができる。さらに、極性溶媒の除去方法も特に限定されず、使用する極性溶媒にあわせて適宜加熱等を行えばよい。極性溶媒が除去されると、各細孔に導入されたイオン伝導性物質やポリマー電解質が体積収縮して適度な空隙を形成する。この空隙によって、反応ガスの拡散及び反応生成水の排出を円滑に行うことができるようになる。このようにして製造される燃料電池用触媒は、導電性担体の一次細孔及び二次細孔に導入される電解質成分(イオン伝導性物質やポリマー電解質)が最適化されているため、プロトンの供給も円滑に行うことができる。
本発明の燃料電池は、上記の燃料電池用触媒を有するものである。
以下、本発明の燃料電池の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態の燃料電池を構成する電極構造体の断面模式図である。図1において、電極構造体は、固体高分子電解質膜1と、固体高分子電解質膜1を狭持する燃料極2及び空気極3と、固体高分子電解質膜1、燃料極2及び空気極3を狭持する燃料極側セパレータ4及び空気極側セパレータ5と、燃料極2及び空気極3の側面を封止するガスシール6とから構成されている。そして、燃料極2はアノード触媒層7aとガス拡散層8aとから構成され、空気極3は、カソード触媒層7bとガス拡散層8bとから構成されている。また、燃料極2と燃料極側セパレータ4との間には燃料流路9が形成されており、空気極3と空気極側セパレータ5との間には空気流路10が形成されている。さらに、燃料極側セパレータ4及び空気極側セパレータ5には負荷装置11が接続されている。本実施の形態の燃料電池は、この電極構造体が複数積層された構造を有する。電極構造体の積層数は、特に限定されず、使用用途にあわせて適宜設定することができる。また、触媒層(アノード触媒層7a及びカソード触媒層7b)以外の材料は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
(無機粒子の調製)
ジルコニウムアルコキシドをイソプロピルアルコールに加えてジルコニウムアルコキシド溶液(ジルコニウムアルコキシドの含有量:0.05M)を調製した。次に、ジルコニウムアルコキシド溶液中にアセチルアセトン(表面改質剤)を攪拌しながら滴下し、2時間攪拌を続けた。次に、1Mの硝酸溶液を加水分解触媒として用い、激しく攪拌しながらジルコニウムアルコキシド溶液中に加えることによって、透明で安定なジルコニアゾルを得た。このジルコニアゾルを更に一晩攪拌した後、90℃で有機溶媒を留去してジルコニアゲルを得た。その後、空気乾燥器中で1日間、90〜100℃で乾燥して粉末化させることにより、ジルコニア粉体を調製した。
このジルコニア粉体の極性溶剤(N−メチルピロリドン)に対する分散性を、動的光散乱器(MELVERN,Nano−2004,UK)を用いてストークス粒径を測定することによって調査した。その結果、ストークス粒径が2〜3nmのジルコニアゾルが得られていることを確認した。
パーフルオロスルホン酸ポリマー(ナフィオン、デュポン社製)をN−メチルピロリドン(極性溶媒)に溶解させて溶液を調製した。この溶液においてパーフルオロスルホン酸ポリマーの含有量を0.5質量%とした。次に、上記の無機粒子をN−メチルピロリドン(極性溶媒)に分散させて分散液を調製した。この分散液において無機微粒子の含有量を0.2質量%とした。これらの溶液と分散液とを1:1の質量比で混合し、攪拌することによって、沈殿のない透明な液を得た。この液について、動的光散乱器(MELVERN,Nano−2004,UK)を用いてストークス粒径を測定することによって調査したところ、約10nmのストークス粒径を有するイオン伝導性物質の分散液であることがわかった。
パーフルオロスルホン酸ポリマー(ナフィオン、デュポン社製)をN−メチルピロリドン(極性溶媒)に溶解させて溶液を調製した。この溶液においてパーフルオロスルホン酸ポリマーの含有量を10質量%とした。次に、上記の無機粒子をN−メチルピロリドン(極性溶媒)に分散させて分散液を調製した。この分散液において無機微粒子の含有量を5質量%とした。これらの溶液と分散液とを1:1の質量比で混合し、攪拌することによって、白濁した液を得た。この液について、動的光散乱器(MELVERN,Nano−2004,UK)を用いてストークス粒径を測定することによって調査したところ、0.1〜1μmのストークス粒径を有するイオン伝導性物質の分散液であることがわかった。
パーフルオロスルホン酸ポリマー(ナフィオン、デュポン社製)をN−メチルピロリドン(極性溶媒)に溶解させて溶液を調製した。この溶液においてパーフルオロスルホン酸ポリマーの含有量を5質量%とした。
各細孔に対する上記のイオン伝導性物質及びポリマー電解質の導入量の評価を行うために、細孔体積測定用サンプルを作製した。具体的には、白金を担持したカーボンブラックと、電解質成分(イオン伝導性物質又はポリマー電解質)との質量比が1:1となるようにして、白金を担持したカーボンブラックと上記のイオン伝導性物質の分散液又はポリマー電解質の溶液とをそれぞれ配合し、粘度変化がなくなるまで攪拌混合した。その後、この混合物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上にキャスティングした後、真空減圧下で十分に乾燥させることによって、細孔体積測定用サンプルとした。
図2に示されているように、ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質(イオン伝導性物質A)の分散液を用いて作製したサンプルでは、二次細孔の体積は大きいのに対して、一次細孔の体積が小さいことから、ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質は一次細孔に選択的に導入され易いことがわかる。一方、ストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質(イオン伝導性物質B)の分散液を用いて作製したサンプルでは、二次細孔の体積は小さいのに対して、一次細孔の体積が大きいことから、ストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質は二次細孔に選択的に導入され易いことがわかる。また、ポリマー電解質の溶液を用いて作製したサンプルでは、上記2つの分散液を用いて作製した燃料電池用触媒サンプルの中間的な性質を示したことから、ポリマー電解質は、各細孔に対する選択性が少なく、一次細孔及び二次細孔の両方に導入され易いことがわかる。
(燃料電池用触媒の作製)
白金を担持したカーボンブラックと、上記のストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液とを配合し、粘度変化がなくなるまで攪拌混合した。次に、この混合物に、上記のストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液を加えて攪拌混合した後、極性溶媒を揮発させることによって、電極塗工に適した粘度を有するペーストを得た。ここで、ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液と、ストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液との配合割合は、質量比で2:1とした。
得られたペーストを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上にスクリーン印刷で50mm×50mmの正方形状に塗布した。PTFEシート上に塗布したペーストを乾燥させた後、これを固体高分子電解質膜(ナフィオン膜、デュポン社製)の両面に重ね合わせ、電解質成分のガラス転位点付近の温度でホットプレスし、両者を熱融着させた。その後、PTFEシートを除去することによって、図3に示すような、固体高分子電解質膜1の両面に2つの触媒(アノード触媒層7a及びカソード触媒層7b)を形成し、触媒層−電解質接合体を得た。
上記で得られた触媒層−電解質接合体を用いて、図1に示すような、燃料電池を構成する電極構造体(単セル)を作製した。具体的には、上記の触媒層−電解質接合体に、ガス拡散層8a、8bとして撥水処理を施したカーボンペーパー(TGP−H−120、東レ株式会社製)を触媒層7a、7b上に重ね合わせ、電解質成分のガラス転位点付近の温度でホットプレスし、両者を熱融着させた。触媒層7a、7bとガス拡散層8a、8bとから構成される燃料極2及び空気極3の側面にガスシール6を貼り付けた後、これらをカーボン製の燃料極側セパレータ4及び空気極側セパレータ5で挟み込み、燃料電池単セルを得た。
ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液の代わりにポリマー電解質の溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製した。
カーボンブラックの細孔内に電解質成分を導入するために、ポリマー電解質の溶液のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製した。
<比較例2>
カーボンブラックの細孔内に電解質成分を導入するために、ストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製した。
<比較例3>
ストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液の代わりにポリマー電解質の溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製した。
図4に示されているように、実施例1〜2の燃料電池単セルのセル電圧は、比較例1〜3の燃料電池単セルのセル電圧に比べて高かった。
図5に示されているように、実施例1〜2の燃料電池単セルのセル電圧は、比較例1〜3の燃料電池単セルのセル電圧に比べて高かった。
また、本発明によれば、様々な条件(特に、高温低加湿条件)下においても性能低下が少ない燃料電池を提供することができる。
Claims (8)
- 導電性担体に担持された電極触媒と、前記導電性担体の一次細孔及び二次細孔内に含有されたイオン伝導性ポリマーとを有する燃料電池用触媒であって、
前記イオン伝導性ポリマーが、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質と、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質とからなることを特徴とする燃料電池用触媒。 - 導電性担体に担持された電極触媒と、前記導電性担体の一次細孔及び二次細孔内に含有されたイオン伝導性ポリマーとを有する燃料電池用触媒であって、
前記イオン伝導性ポリマーが、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質と、動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質とからなることを特徴とする燃料電池用触媒。 - 前記イオン伝導性物質における前記ポリマー電解質及び前記無機粒子の少なくとも一方は、プロトン伝導性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒。
- 前記無機粒子は、ジルコニウム化合物、チタン化合物、セリウム化合物、ウラン化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物、カルシウム・ヒドロキシアパタイト及び水和カルシウム・ヒドロキシアパタイトからなる群から選択される少なくとも1種の粒子であり、且つその動的散乱法によるストークス粒径が20nm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒。
- 電極触媒を担持した導電性担体を、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液又は動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質の溶液に含浸させた後、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液に含浸させることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
- 電極触媒を担持した導電性担体を、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液又は動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質の溶液と攪拌混合した後、その混合物に、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液を加えて攪拌混合することを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
- ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のイオン伝導性物質の分散液又は動的散乱法によるストークス粒径が20nm以下のポリマー電解質の溶液よりも少ない質量の、ポリマー電解質及び無機粒子からなり且つ動的散乱法によるストークス粒径が50nm以上のイオン伝導性物質の分散液を加えることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒を有する燃料電池。
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CN110676477A (zh) * | 2019-09-12 | 2020-01-10 | 深圳市科晶智达科技有限公司 | 纽扣电池自动批量化制样方法 |
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