しかしながら、上述した従来の方法では、記録マークのエッジ位置の測定値に偏りが生じるため、記録パルスのエッジ位置の決定に誤差が生じる場合があるという問題点があった。以下、この問題点について図11ないし図14を参照しながら説明する。
図11ないし図14に、以前に記録されていた記録マークと、オーバーライトした記録マークとの位置関係によって生じるマーク歪みの例を示す。図11ないし図14の各図において、上段に記録マークをオーバーライトする前の光ディスクのトラックの状態、中段にオーバーライトするテスト信号の(記録データ信号としての)パターン、下段に上記記録マークがオーバーライトされた後の上記トラックの状態をそれぞれ示す。
通常、テスト記録用の記録マークを記録するトラックとして、所定のトラックが割り当てられることが多い。この場合、上記所定のトラックには、記録マークが繰り返しオーバーライトされる。そのため、テスト記録すべきトラックにすでに何らかのテスト信号(または情報信号)が記録されている場合、オーバーライトによって記録した記録マークの形状は、すでに記録されていた記録マークの影響を受けて歪みが生じる。
相変化型光ディスクの場合、アモルファス領域(すなわち記録マークの存在する領域)と結晶領域とでは光学的な吸収特性が異なる。そのため、同じエネルギーのレーザ光を照射しても、アモルファス領域と結晶領域とでは光ディスクの記録膜中の昇温速度が異なる。これにより、アモルファス領域での光学的吸収を結晶領域よりも大きくしたディスク構成の場合には、オーバーライトした記録マークがアモルファス領域上で大きくなりやすい。結果として、記録マークのエッジ位置は、図11ないし図14中にハッチングを付して示すように、記録マークが伸びる方向に移動する。これをマーク歪みと呼ぶ。なお、アモルファス領域での光学的吸収が結晶領域よりも小さいディスク構成の場合には、上記の逆になることもあり得る。
従って、テスト記録で記録すべき記録マークと以前の記録マークとの重なり具合によって、記録マークの形状が変化することになる。その結果、記録マークのエッジ位置が変動する。トラックにすでに記録されている信号とオーバーライトするテスト信号とが同じまたは類似している場合には、ディスクの回転変動が大きくない限り、以前の記録マークとオーバーライトした記録マークとの重なり具合が常に同じになる。したがって、以前のデータパターンとオーバーライトしたデータパターンとの位相関係によって、測定されたエッジ位置の測定値に偏りが生じていた。
例えば、図11の上段に示すように、記録マーク113が既に存在するトラック111に、同図の中段に示すパターンのテスト信号を用いて記録マークのオーバーライトを行った場合、図の下段に示すように、オーバーライトした記録マーク112が以前の記録マーク113と重なると、マーク歪み114が生じる。
ここで、記録マーク112と記録マーク115との前端間隔xを測定して3T(Tは記録データ信号のクロック周期)の記録パルスの前端エッジ位置を決定する場合、図11に示すように、オーバーライトした記録マーク112の後端部のみにマーク歪み114が生じている場合には、前端間隔xに対してマーク歪み114の影響は生じない。しかし、図12に示すように、オーバーライトする3Tの記録パルスの記録マーク115の前端が以前の記録マーク113と重なったときには、記録マーク115の前端にマーク歪み116が生じ、測定される前端間隔はx−Δ1となる。
また、図13に示すように、10Tの記録パルスの記録マーク112の前端が以前の記録マーク113に重なったときには、記録マーク112の前端にマーク歪み114が生じ、測定される前端間隔はx+Δ2となる。
また、図14に示すように、3Tの記録パルスの記録マーク115の前端と10Tの記録パルスの記録マーク112の前端との両方が、以前の記録マーク113・116と重なった時には、測定される前端間隔はx−Δ1+Δ2となる。
また従来の方法では、記録パルスを最適なエッジ位置に制御した後で、記録パワーが必ずしも最適ではなくなるという問題点があった。以下、この問題点について図15を用いて説明する。
図15は、最短マーク(例えば、8−16変調の場合は3Tの記録パルスによる記録マーク、以下、3Tマークのように称する)の周期信号を、記録パルス幅を変化させて記録したときの、記録ピークパワーPpとビットエラーレート(ま たはジッタでもよい)との関係を示す。
テスト記録により記録パルスのエッジ位置を調整すると、記録パルス(または記録パルス列)の長さが変化する。そのため、記録パルスが記録マークを形成するために与えるエネルギーが、エッジ位置の調整の影響を受ける。この影響は、最短マークのような短いマークを形成する場合に特に顕著となる。その結果、最適な記録パワーも変化する。
例えば、8−16変調で最短マークである3Tマークを形成するための記録パルスの長さがエッジ位置の調整により小さくなった場合、3Tマークを形成するためのエネルギーが減少するので、ビットエラーレートのピークパワー依存性は、図15に示すg1からg2へ変化する。その結果、最適な記録パワー(これはビットエラーレートが所定のしきい値BthとなるときのパワーPth1またはPth2に一定の値を乗じて決定することが多い)が、エッジ位置の調整前より高くなることになる。
また上記の問題点とは逆に、従来の方法では、記録パワーを調整した後では記録パルスのエッジ位置が必ずしも最適ではなくなるという問題点が生じる場合もあった。この点について以下で説明する。
テスト記録により記録パワーを調整すると、レーザ光により光ディスクの記録膜に与えられるエネルギーは変化する。そのため、記録パルスまたは記録パルス列の長さが同じであっても、記録パワーが変化すると、光ディスク上のトラックに形成される記録マークの長さすなわちエッジ位置も変化する。この影響は短いマークを形成する場合に特に顕著になる。その結果、記録マークのエッジ位置を最適にするための、記録パルスの最適なエッジ位置が変化する。例えば、テスト記録により記録パワーが増大すると、3Tマークのエッジ位置の前端が前に伸びて、エッジ位置の後端が後ろに伸びるので、3Tマークを記録するための記録パルスのエッジ位置が最適ではなくなることになる。
また、Z−CLVフォーマットは、各ゾーン内では一定の回転数で光ディスクを回転させるため、各ゾーン内の半径によって線速度および線密度が異なる。すなわち、各ゾーン内で外周にいくほど線速度と記録線密度が低下する。そのため、従来の方法では、Z−CLVフォーマットの光ディスクに対してテスト記録する場合には、各ゾーン内の全域にわたって最適な記録パワーまたは記録パルスの最適なエッジ位置が必ずしも得られないという問題点があった。
また、例えば特開平9−219022号公報に開示された方法では、テスト記録で記録パルスのエッジ位置を決定するときにもデータパターンの極性がランダムに反転するため、同じデータパターンを記録しても、極性によって記録マークとスペースとの関係(すなわち、記録マークの前端エッジと後端エッジとの関係)が逆になる場合がある。この場合、記録マークの前端エッジと後端エッジとの区別ができなくなるという問題点を有していた。
本発明は、これら従来の問題を解決するために、記録パワーや記録パルスのエッジ位置等の記録条件をテスト記録によって適切に決定することにより、精密な情報信号の記録が可能な光学的情報記録装置、光学的情報記録方法、および光学的情報記録媒体を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の第1の光学的情報記録装置は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前に、前記光学的情報記録媒体にテスト記録を行う光学的情報記録装置において、テスト信号を生成するテスト信号生成手段と、テスト信号および情報信号を記録データ信号に変換し、前記記録データ信号に基づいて光源を駆動して前記光学的情報記録媒体に記録する記録手段と、前記光学的情報記録媒体におけるテスト記録の開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせる記録開始点シフト手段と、前記光学的情報記録媒体から信号を再生する再生手段と、前記テスト信号生成手段から前記記録手段に前記テスト信号を供給させ、前記光学的情報記録媒体の複数のセクタにテスト記録を行わせた後、前記再生手段に前記複数のセクタから前記テスト信号を再生させた結果の平均に基づいて、前記記録データ信号のパルスのエッジ位置を決定する記録条件決定手段とを備えることを特徴とする。
この構成により、光学的情報記録媒体の複数のセクタの各々に記録されるテスト信号の記録開始点が、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトされるので、テスト記録が行われる領域に既に記録されている記録マークと、この記録マークにオーバーライトされるテスト信号の記録マークとの重なり具合がランダムになる。これにより、既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるマーク歪みに起因する、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化される。従って、再生されたテスト信号から算出されるエッジ間隔の値には、光学的情報記録媒体に既に記録されていた記録マークと、テスト信号の記録マークとの位相関係に起因する偏りは生じない。この結果、テスト信号の記録マークのエッジ間隔を精密に算出することができ、記録データ信号のエッジ位置を最適化して情報信号の精密な記録が可能な光学的情報記録装置を提供できる。
また、前記の目的を達成するために、本発明の第2の光学的情報記録装置は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前に、前記光学的情報記録媒体にテスト記録を行う光学的情報記録装置において、テスト信号を生成するテスト信号生成手段と、テスト信号および情報信号を記録データ信号に変換し、前記記録データ信号に基づいて光源を駆動して前記光学的情報記録媒体に記録する記録手段と、前記テスト信号と相関のないデータパターンを生成するデータパターン生成手段と、前記光学的情報記録媒体から信号を再生する再生手段と、データパターン生成手段から前記記録手段にデータパターンを供給させて前記光学的情報記録媒体においてテスト記録を行う領域に記録させた後に、前記テスト信号生成手段から前記記録手段にテスト信号を供給させて前記領域にオーバーライトさせ、前記再生手段が前記領域から前記テスト信号を再生した結果に基づいて記録パルスのエッジ位置の適正値を決定する記録条件決定手段とを備えることを特徴とする。
この構成により、光学的情報記録媒体にテスト記録を行う前に、テスト記録を行おうとする領域に、テスト信号と相関のないデータパターンが記録されるので、この領域にオーバーライトされるテスト信号の記録マークと、既に記録されている記録マークとの重なり具合がランダムになる。これにより、既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるマーク歪みに起因する、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化される。従って、再生されたテスト信号から算出されるエッジ間隔の値には、光学的情報記録媒体に既に記録されていた記録マークと、テスト信号の記録マークとの位相関係に起因する偏りが生じない。この結果、テスト信号の記録マークのエッジ間隔を精密に算出することができ、記録データ信号のエッジ位置を最適化して情報信号の精密な記録が可能な光学的情報記録装置を提供できる。
前記第2の光学的情報記録装置において、光学的情報記録媒体における記録の開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせる記録開始点シフト手段をさらに備え、少なくとも前記テスト信号について、記録の開始点をランダムにシフトさせることが好ましい。
この構成によれば、既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれをさらに平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第2の光学的情報記録装置において、前記データパターンが、ランダムパターンであることが好ましい。
この構成によれば、テスト記録を行おうとする領域にランダムパターンが記録されるので、既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれをさらに平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置の最適値をより精密に決定することが可能となる。
前記の目的を達成するために、本発明の第3の光学的情報記録装置は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前に、前記光学的情報記録媒体にテスト記録を行う光学的情報記録装置において、テスト信号を生成するテスト信号生成手段と、テスト信号および情報信号を記録データ信号に変換し、前記記録データ信号に基づいて光源を駆動して前記光学的情報記録媒体に記録する記録モード、および前記光源を駆動して所定の消去パワーで前記光学的情報記録媒体に光を照射させることにより前記光学的情報記録媒体から情報を消去する消去モードのいずれかで動作する記録・消去手段と、前記光学的情報記録媒体から信号を再生する再生手段と、前記記録・消去手段を前記消去モードで動作させて前記光学的情報記録媒体においてテスト記録を行う領域の情報を消去させた後に、前記テスト信号生成手段から前記記録・消去手段を記録モードで動作させて前記テスト信号生成手段から供給させたテスト信号を前記領域に記録させ、前記再生手段が前記領域から前記テスト信号を再生した結果に基づいて記録パルスのエッジ位置の適正値を決定する記録条件決定手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、光学的情報記録媒体においてテスト記録を行おうとする領域が、既に記録されている記録マークの状態に関わらずに初期化された状態となるので、テスト信号のエッジ間隔のずれがなくなり、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記の目的を達成するために、本発明の第1の光学的情報記録方法は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前にテスト記録を行う光学的情報記録方法において、光源の記録パワーを初期値に設定し、第1のテスト信号を光学的情報記録媒体に記録するステップ(a)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(a)で記録された第1のテスト信号を再生した結果に基づき記録パルスのエッジ位置の適正値を決定するステップ(b)と、記録パルスのエッジ位置を、前記ステップ(b)で決定された適正値に設定して、第2のテスト信号を前記光学的情報記録媒体に記録するステップ(c)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(c)で記録された第2のテスト信号を再生した結果に基づき記録パワーの適正値を決定するステップ(d)とを含むことを特徴とする。
この方法では、記録パルスのエッジ位置の適性値を決定した後に、この適性値に設定された記録パルスによってさらにテスト記録を行って記録パワーの最適化を行う。これにより、記録パルスのエッジ位置と記録パワーとの両方を最適化することができるので、情報信号を光学的情報記録媒体に精密に記録することが可能となる。
前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)において、前記光学的情報記録媒体における記録開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせることが好ましい。
この方法によれば、光学的情報記録媒体においてテスト記録を行おうとする領域に既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれを平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)の前に、前記光学的情報記録媒体においてテスト記録を行う領域に、テスト信号と相関のないデータパターンを記録するステップを含むことが好ましい。
この方法によれば、テスト記録を行おうとする領域にオーバーライトされるテスト信号の記録マークと、既に記録されている記録マークとの相関性がさらに低下するので、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)に先立って、記録パルスのエッジ位置を所定の値に設定して、第2のテスト信号を前記光学的情報記録媒体に記録するステップ(e−1)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(e−1)で記録された第2のテスト信号を再生した結果に基づいて記録パワーの適正値を決定するステップ(e−2)とをさらに含み、前記ステップ(e−2)で決定された記録パワーの適正値を前記ステップ(a)において記録パワーの初期値として用いることが好ましい。
これにより、記録パルスのエッジ位置と記録パワーとの両方をさらに精密に最適化することができ、情報信号を光学的情報記録媒体に精密に記録することが可能となる。
前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記第1のテスト信号のエッジ間隔と、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のエッジ間隔とを比較するステップを含むことが好ましい。
または、前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が最小となるような記録パルスのエッジ位置を適正値として決定することが好ましい。
または、前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(d)が、前記光学的情報記録媒体から前記第2のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が所定の値以下となるような記録パワーの値に基づき記録パワーの適正値を決定することが好ましい。
さらに、前記第1の光学的情報記録方法において、前記ステップ(e−2)が、前記光学的情報記録媒体から前記第2のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が所定の値以下となるような記録パワーの値に基づき記録パワーの適正値を決定することが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明の第2の光学的情報記録方法は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前にテスト記録を行う、光学的情報記録方法において、記録パルスのエッジ位置を初期位置に設定し、第1のテスト信号を光学的情報記録媒体に記録するステップ(a)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(a)で記録された第1のテスト信号を再生した結果に基づき光源の記録パワーの適正値を決定するステップ(b)と、前記ステップ(b)で決定された記録パワーに基づいて、前記光学的情報記録媒体に第2のテスト信号を記録するステップ(c)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(c)で記録された第2のテスト信号を再生した結果に基づき記録パルスのエッジ位置の適正値を決定するステップ(d)とを含むことを特徴とする。
この方法では、記録パワーの適性値を決定した後に、この適性値に設定された記録パワーによってさらにテスト記録を行って記録パルスのエッジ位置の最適化を行う。これにより、記録パルスのエッジ位置と記録パワーとの両方を最適化することができるので、情報信号を光学的情報記録媒体に精密に記録することが可能となる。
前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(c)において、前記光学的情報記録媒体における記録開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせることが好ましい。
この方法によれば、光学的情報記録媒体においてテスト記録を行おうとする領域に既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれを平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(c)の前に、前記光学的情報記録媒体においてテスト記録を行う領域に、テスト信号と相関のないデータパターンを記録するステップを含むことが好ましい。
この方法によれば、テスト記録を行おうとする領域にオーバーライトされるテスト信号の記録マークと、既に記録されている記録マークとの相関性がさらに低下するので、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)に先立って、記録パワーを所定の値に設定して、第1のテスト信号を前記光学的情報記録媒体に記録するステップ(e−1)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(e−1)で記録された第1のテスト信号を再生した結果に基づいて記録パルスのエッジ位置の適正値を決定するステップ(e−2)とをさらに含み、前記ステップ(e−2)で決定された記録パルスのエッジ位置の適正値を前記ステップ(a)における記録パルスのエッジ位置の初期位置として用いることが好ましい。
これにより、記録パルスのエッジ位置と記録パワーとの両方をさらに精密に最適化することができ、情報信号を光学的情報記録媒体に精密に記録することが可能となる。
さらに、前記ステップ(e−1)において、前記光学的情報記録媒体における記録開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせることが好ましい。
また、前記ステップ(e−1)の前に、前記光学的情報記録媒体においてテスト記録を行う領域に、テスト信号と相関のないデータパターンを記録するステップを含むことが好ましい。
また、前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が所定の値以下となるような記録パワーの値に基づき記録パワーの適正値を決定することが好ましい。
前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(d)が、前記第2のテスト信号のエッジ間隔と、前記光学的情報記録媒体から前記第2のテスト信号を再生して得た再生信号のエッジ間隔とを比較するステップを含むことが好ましい。
また、前記第2の光学的情報記録方法において、前記ステップ(d)が、前記光学的情報記録媒体から前記第2のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が最小となるような記録パルスのエッジ位置を適正値として決定することが好ましい。
また、前記ステップ(e−2)が、前記第1のテスト信号のエッジ間隔と、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のエッジ間隔とを比較するステップを含むことが好ましい。
また、前記ステップ(e−2)が、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が最小となるような記録パルスのエッジ位置を適正値として決定することが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明の第3の光学的情報記録方法は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前にテスト記録を行う、光学的情報記録方法において、第1のテスト信号の極性を反転するか否かをランダムに決定し、前記第1のテスト信号の反転信号および非反転信号のいずれか一方のみを前記光学的情報記録媒体の所定のトラックにテスト記録するステップ(a)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(a)で記録された第1のテスト信号を再生した結果に基づき記録パルスのエッジ位置の適正値を決定するステップ(b)と、前記光学的情報記録媒体に記録する情報信号の反転信号および非反転信号のいずれかを、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムに選択し、記録パルスのエッジ位置を前記ステップ(b)で決定された適正値に設定して前記光学的情報記録媒体に記録するステップ(c)とを備えることを特徴とする。
この方法によれば、光学的情報記録媒体の書き換え可能回数が向上し、なおかつテスト記録を行うことによって最適化された記録条件で情報信号の精密な記録が可能となる。
前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)において、前記光学的情報記録媒体における記録開始点を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトさせることが好ましい。
この方法によれば、光学的情報記録媒体においてテスト記録を行おうとする領域に既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれを平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)の前に、前記所定のトラックに、テスト信号と相関のないデータパターンを記録するステップを含むことが好ましい。
この方法によれば、テスト記録を行おうとする領域にオーバーライトされるテスト信号の記録マークと、既に記録されている記録マークとの重なり具合がランダムになるので、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)の終了後、前記ステップ(c)に先立って、第2のテスト信号の反転信号および非反転信号のいずれかを、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムに選択し、記録パルスのエッジ位置を前記ステップ(b)で決定された適正値に設定して前記光学的情報記録媒体に記録するステップ(b−1)と、前記光学的情報記録媒体から前記ステップ(b−1)で記録された第2のテスト信号を再生した結果に基づき記録パワーの適正値を決定するステップ(b−2)とを含むことが好ましい。
記録パワーを決定するテスト記録では、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト記録や通常の情報信号の記録を行う場合よりも高い記録パワーで記録を行う可能性が高い。この方法によれば、記録パワーを決定するためのテスト記録を行うステップ(b−1)において、第2のテスト信号の極性をランダムに反転させてテスト記録を行うので、光学的情報記録媒体においてテスト記録がなされる領域の記録膜の劣化を防止することができる。
前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記第1のテスト信号のエッジ間隔と、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のエッジ間隔とを比較するステップを含むことが好ましい。
また、前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記光学的情報記録媒体から前記第1のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が最小となるような記録パルスのエッジ位置を適正値として決定することが好ましい。
前記第3の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b−2)が、前記光学的情報記録媒体から前記第2のテスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が所定の値以下となるような記録パワーの値に基づいて記録パワーの適正値を決定することが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明の第4の光学的情報記録装置は、書き換え可能な光学的情報記録媒体を用い、前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前に、前記光学的情報記録媒体に対してテスト信号を用いたテスト記録を行う光学的情報記録装置において、テスト信号を生成するテスト信号生成手段と、テスト信号および情報信号を記録データ信号に変換し、前記記録データ信号に基づいて光源を駆動して前記光学的情報記録媒体に記録を行う記録手段と、前記記録データ信号の極性を反転する極性反転手段と、前記テスト記録を行うときには前記テスト信号から変換された記録データ信号の反転信号および非反転信号のいずれか一方のみを前記記録手段に供給し、前記情報信号を記録するときには前記情報信号から変換された記録データ信号の反転信号および非反転信号のいずれか一方を、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムに選択して前記記録手段に供給する極性反転制御手段と、前記記録データ信号のパルスのエッジ位置を調整する記録パルスエッジ調整手段と、前記光学的情報記録媒体から信号を再生する再生手段と、前記光学的情報記録媒体から前記再生手段に前記テスト信号を再生させた結果に基づいて、記録パルスのエッジ位置の適正値を決定し、前記記録パルスエッジ調整手段に供給する記録条件決定手段とを備えることを特徴とする。
この構成により、光学的情報記録媒体の書き換え可能回数が向上し、なおかつテスト記録によって最適化された記録条件で情報信号の精密な記録が可能なこう学的情報記録再生装置を提供できる。
前記第4の光学的情報記録装置は、記録データ信号の記録開始点を、前記光学的情報記録媒体上で、セクタごとおよびオーバーライトごとの少なくとも一方のタイミングにおいてランダムにシフトする記録開始点シフト手段をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、光学的情報記録媒体においてテスト記録を行おうとする領域に既に記録されている記録マークにテスト信号の記録マークがオーバーライトされることによって生じるテスト信号のエッジ間隔のずれを平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記第4の光学的情報記録装置は、前記テスト信号と相関のないデータパターンを発生させるデータパターン発生手段をさらに備え、テスト記録を行う前に、テスト記録を行うトラックに前記データパターンを記録する構成とすることが好ましい。
この構成によれば、テスト記録を行おうとする領域にオーバーライトされるテスト信号の記録マークと、既に記録されている記録マークとの重なり具合がランダムになるので、テスト信号のエッジ間隔のずれが平均化することができ、記録データ信号のエッジ位置をより精密に最適化することができる。
前記の目的を達成するために、本発明の第4の光学的情報記録方法は、所定の数のトラックで構成される複数のゾーンを記録領域に含み、内周のゾーンから外周のゾーンになるに従って1周あたりのセクタ数が増加し、同一ゾーン内では外周ほど記録線密度が低いZ-CLVフォーマットの光学的情報記録媒体を用い、 前記光学的情報記録媒体に情報信号を記録する前に、前記光学的情報記録媒体にテスト記録を行う、光学的情報記録方法において、前記各ゾーンの最内周のトラックにおける情報信号の記録線密度と略等しい記録線密度で、テスト信号をテスト記録するステップ(a)と、前記光学的情報記録媒体から前記テスト信号を再生し、再生結果に基づいて、記録パルスのエッジ位置および記録パワーのいずれか一方の適正値を決定するステップ(b)とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、各ゾーンの最内周から最外周にわたって良好なジッタ(またはビットエラーレート)を得ることができ、情報信号の精密な記録が可能となる。
前記第4の光学的情報記録方法において、前記ステップ(b)が、前記光学的情報記録媒体から前記テスト信号を再生して得た再生信号のビットエラーレートおよびジッタのいずれかを測定するステップを含み、測定した結果が所定の値以下となるような記録パワーの値に基づき記録パワーの適正値を決定することが好ましい。
また、前記第4の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)において、テスト記録を行うトラックが、少なくとも一つのゾーン内における略最内周であることが好ましい。
また、前記第4の光学的情報記録方法において、前記ステップ(a)において、テスト記録を行うトラックが、光学的情報記録媒体の記録領域よりも内周側および外周側のトラックであることが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明の第1の光学的情報記録媒体は、所定の数のトラックで構成される複数のゾーンを記録領域に含み、内周のゾーンから外周のゾーンになるに従って1周あたりのセクタ数が増加し、同一ゾーン内では外周ほど記録線密度が低いZ-CLVフォーマットの光学的情報記録媒体において 、前記ゾーンの少なくとも一つにおける略最内周に、テスト記録用の領域を有することを特徴とする。
前記の目的を達成するために、本発明の第2の光学的情報記録媒体は、所定の数のトラックで構成される複数のゾーンを記録領域に含み、内周のゾーンから外周のゾーンになるに従って1周あたりのセクタ数が増加し、同一ゾーン内では外周ほど記録線密度が低いZ-CLVフォーマットの光学的情報記録媒体において 、前記記録領域よりも内周側および外周側にテスト記録領域を有し、前記テスト記録領域の記録線密度が、前記記録領域内の各ゾーンの最も内周側のトラックにおける情報信号の記録線密度と略等しいことを特徴とする。
前記第1および第2の光学的情報記録媒体において、記録膜が相変化材料よりなることが好ましい。
また、前記第1ないし第4の光学的情報記録装置は、前記光学的情報記録装置の調整時、前記光学的情報記録装置の起動時、前記起動時から所定の時間が経過した時、前記光学的情報記録媒体の交換時、前記光学的情報記録媒体のビットエラーレートが所定の値を越えた時、および前記光学的情報記録装置の使用環境の温度が変化した時の少なくともいずれか一つのタイミングにおいて、テスト記録および記録条件の設定を実行する構成であることが好ましい。
この構成によれば、記録再生装置の調整時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置間の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録装置の起動時、および前記起動時から一定時間経過した時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置自身の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録媒体の交換時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録媒体間の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録媒体のビットエラーレートが所定の値を越えた時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録媒体自身の変動要素を補償できる。また、使用環境の温度が変化した時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体の温度依存性に起因する変動要素を補償できる。
また、前記第1ないし第4の光学的情報記録方法により光学的情報記録媒体に情報の記録を行う光学的情報記録装置は、前記記録再生装置の調整時、前記記録再生装置の起動時、前記起動時から一定時間経過した時、光学的情報記録媒体の交換時、光学的情報記録媒体のビットエラーレートが所定の値を越えた時、前記光学的情報記録装置の使用環境の温度が変化した時の少なくともいずれか一つのタイミングにおいて、テスト記録および記録条件の設定を行うことを特徴とする。
この構成によれば、記録再生装置の調整時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置間の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録装置の起動時、および前記起動時から一定時間経過した時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置自身の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録媒体の交換時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録媒体間の変動要素を補償できる。また、光学的情報記録媒体のビットエラーレートが所定の値を越えた時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録媒体自身の変動要素を補償できる。また、使用環境の温度が変化した時にテスト記録を行うことにより、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体の温度依存性に起因する変動要素を補償できる。
また、前記第1ないし第4の光学的情報記録装置において、光学的情報記録媒体の記録膜が相変化材料よりなることが好ましい。
また、前記第1ないし第4の光学的情報記録方法において、光学的情報記録媒体の記録膜が相変化材料よりなることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における記録再生装置(光学的情報記録装置)の概略構成を示すブロック図である。
本記録再生装置は、光ディスク1を用いて情報の記録再生を行う装置であり、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ10と、レーザ光源(図示せず)を備えて光ディスク1の所望の箇所にレーザ光を集束させる光ヘッド9とを備えている。この記録再生装置全体の動作は、システム制御回路2(記録条件決定手段)によって制御される。光ディスク1としては、記録膜が相変化材料からなる相変化型ディスクを用いることが好ましい。
この記録再生装置は、光ディスク1へ情報の記録を行うために、セクタごとに記録開始点をランダムにシフトする記録開始点シフト回路3(記録開始点シフト手段)と、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を生成するエッジテスト信号生成回路4(テスト信号生成手段)とを備えている。
上記記録再生装置は、記録手段として、記録する情報信号に応じて2値化された記録データ信号を発生させる変調回路5と、記録データ信号に応じてレーザを駆動するための記録パルスを発生させる記録信号生成回路6と、この記録信号生成回路6が出力する記録パルスのエッジ位置を調整する記録パルスエッジ調整回路7とを備えている。さらに、記録パルスエッジ調整回路7が出力する記録パルスに応じて、光ヘッド9内のレーザ光源を駆動させる電流を変調するためのレーザ駆動回路8が設けられている。
また、上記記録再生装置は、光ディスク1から情報の再生を行う再生手段として、光ディスク1からの反射光に基づく再生信号の波形処理を行なう再生信号処理回路11と、再生信号のエッジのタイミングを検出するエッジタイミング検出回路12と、再生情報を得るための復調回路13とを備えている。
次に、図2のフローチャートを用いて、本実施形態の記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず、光ヘッド9が光ディスク1上の所定のトラックにシークし(ステップ1、以下、S1のように略記する)、システム制御回路2がレーザ駆動回路8における記録パワーの設定値を決定する(S2)。そしてエッジテスト信号生成回路4がテスト信号を生成し、記録信号生成回路6へ記録データ信号として送出する(S3)。
記録信号生成回路6は、記録データ信号の信号反転間隔がチャネルクロック周期Tの何倍に相当するかを検出する。そして、記録マークの長さに応じて、所定個数および所定幅の記録パルスを所定のタイミングで発生する。
ここで、記録開始点シフト回路3が、記録ゲート信号の開始位置をセクタごとにランダムにシフトさせて記録信号生成回路6へ送出する。この記録ゲート信号とは、「1」または「0」のディジタル信号で、光ディスク1に情報の記録を行うときのみ「1」となり、それ以外のときは「0」となるような信号である。なお、これとは逆に、記録を行うときに「0」となり、それ以外のときに「1」となるような信号であってもよい。
このように記録ゲート信号の開始位置をランダムにシフトさせることにより、光ディスク1のセクタに記録される一連の記録データ信号の記録開始点が、セクタごとにランダムにシフトする(S4)。その後、記録パルスエッジ調整回路7が、レーザ光源を駆動するための記録パルスをレーザ駆動回路8に入力する。
レーザ駆動回路8は、記録パルスに応じてレーザ光源を駆動する電流を変調し、該当セクタへの記録を行う(S5)。上記のS3ないしS5の記録動作を、所定のセクタ数の記録が終了する(S6にてYes)まで、繰り返し行う。
この結果、たとえ同じパターンのテスト信号を同じトラックにオーバーライトする場合でも、新しい記録マークと古い記録マークとの位相関係は、セクタごとにランダムに変化する。よって、図11ないし図14に示す各種の状態のマーク歪みが、同等の確率で存在することになる。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9が該当のセクタを再生し(S7)、再生信号処理回路11が、再生信号のイコライズと2値化とを行う。そして、エッジタイミング検出回路12が、2値化された再生信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S8)ことにより、記録マークのエッジ間隔を測定する。測定されたエッジ間隔は、システム制御回路2内のメモリ(図示せず)に蓄積される(S9)。上記のS7からS9の処理を、テスト記録を行ったすべてのセクタに対して(S10にてYesになるまで)、繰り返し行う。
その後、システム制御回路2が、メモリに蓄積されているエッジ間隔の測定値の平均を算出する(S11)。前述したとおり、S4において、テスト信号の記録開始点をセクタごとにランダムにシフトして記録したので、図11ないし図14に示したような各種のマーク歪みの影響によるエッジ間隔のずれ(すなわち、図11ないし図14のΔ1とΔ2の影響)は平均化されている。そのため、S11で算出されるエッジ間隔の平均値には、以前のデータパターンとの位相関係に起因する偏りは生じない。その結果、実際の情報信号をオーバーライトしたときと同じ状態の、理想的なエッジ間隔を求めることが可能となる。
次に、テスト記録の結果を再生した再生信号から算出したエッジ間隔と、テスト信号のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S12)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S13)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定し(S14)、テスト記録を終了する。以降、実際に情報信号を記録するときには記録パルスエッジ調整回路7で設定した記録パルスのエッジ位置に従って記録を行うので、理想的なエッジ位置に記録マークを形成できる。
以上に述べたように本実施形態では、テスト信号の記録開始点をセクタごとにランダムにシフトして複数のセクタにテスト記録を行い、その再生信号から得た記録マークのエッジ間隔の平均値を求めることにより、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となり、より精密な情報信号の記録が可能になる。
なお、上記では、テスト信号の記録開始点のランダムなシフトをセクタごとに行う例を説明したが、オーバーライトを行うごとに記録開始点をランダムにシフトするようにしてもよい。または、セクタが変わるごとおよびオーバーライトを行うごとに記録開始点をランダムにシフトさせてもよい。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態における記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
この記録再生装置は、光ディスク1を用いて情報の記録再生を行う装置であり、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ10と、レーザ光源(図示せず)を備えて光ディスク1の所望の箇所にレーザ光を集束させる光ヘッド9とを備えている。この記録再生装置全体の動作は、システム制御回路22によって制御される。
この記録再生装置は、記録手段(または記録・消去手段)として、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を生成するエッジテスト信号生成回路4と、記録する情報信号に応じて2値化された記録データ信号を発生させる変調回路5と、記録データ信号に応じてレーザを駆動するための記録パルスを発生させる記録信号生成回路6と、この記録信号生成回路6が出力する記録パルスのエッジ位置を調整する記録パルスエッジ調整回路7とを備えている。さらに、記録パルスエッジ調整回路7が出力する記録パルスに応じて、光ヘッド9内のレーザ光源を駆動させる電流を変調するためのレーザ駆動回路8が設けられている。
また、上記記録再生装置は、光ディスク1から情報の再生を行うために、光ディスク1からの反射光に基づく再生信号の波形処理を行なう再生信号処理回路11と、再生信号のエッジのタイミングを検出するエッジタイミング検出回路12と、再生情報を得るための復調回路13とを備えている。
本実施形態の記録再生装置は、第1の実施形態における記録開始点シフト回路3の代わりに、テスト信号を記録しようとするトラックにテスト信号の記録に先立って記録するデータパターンを生成するデータパターン生成回路21が設けられている。なお、このデータパターンとしては、テスト信号とは相関のないデータを用いる。
次に、図4のフローチャートを用いて、システム制御回路22によって制御される本実施形態の記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず、光ヘッド9が、光ディスク1上の所定のトラックをシークし(S21)、システム制御回路22が、レーザ駆動回路8における記録パワーの設定値を決定する(S22)。そして、データパターン生成回路21が、テスト信号のパターンとは相関のないデータパターンを生成し、記録データ信号として記録信号生成回路6へ送出する(S23)。この記録データ信号を記録信号生成回路6で記録パルスに変換し、レーザ駆動回路8でレーザの駆動電流を変調し、後にテスト記録を行う該当セクタへ記録する(S24)。
その後、エッジテスト信号生成回路4から記録信号生成回路6へ、テスト信号を記録データ信号として送出する(S25)。この記録データ信号を、同様にして記録信号生成回路6で記録パルスに変換し、レーザ駆動回路8でレーザの駆動電流を変調し、上記S24にてデータパターン生成回路21からのデータパターンの記録を行ったセクタへオーバーライトする(S26)。
ここで、S26でオーバーライトする以前にS24にて記録されたデータパターンは、テスト信号のパターンと相関のないパターンであるので、テスト信号による記録マークと、以前の記録マークとの重なり具合はランダムとなり、図11ないし図14に示す各種のマーク歪みの状態が同等の確率で存在することになる。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9でS26でオーバーライトしたセクタを再生し(S27)、再生信号処理回路11が再生信号のイコライズと2値化とを行う。そして、エッジタイミング検出回路12が、2値化信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S28)ことにより、記録マークのエッジ間隔が測定される。測定されたエッジ間隔は、システム制御回路22内のメモリに蓄積される(S29)。
次に、システム制御回路22が、エッジ間隔の測定値の平均を算出する(S30)。前述のようにオーバーライトする以前に記録されたデータパターンは、テスト信号のパターンと相関のないパターンであるので、図11ないし図14に示す各種のマーク歪みの影響によるエッジ間隔のずれ(すなわち、図11ないし図14のΔ1とΔ2の影響)は平均化される。そのため、算出したエッジ間隔の値には、以前のデータパターンとの位相関係に起因する偏りは生じない。その結果、精密な記録マークのエッジ間隔を求めることが可能となる。
そして、テスト記録したテスト信号の再生信号から算出したエッジ間隔と、テスト信号本来のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S31)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S32)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定し(S33)、テスト記録を終了する。以降、実際に情報信号を記録するときには記録パルスエッジ調整回路7で設定した記録パルスのエッジ位置で記録するので、理想的なエッジ位置に記録マークを形成できる。
以上述べたように、本実施形態では、テスト記録に先立って、テスト信号を記録しようとするトラックにテスト信号のパターンと相関のないデータパターンを記録することにより、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となり、より精密な情報信号の記録が可能になる。
なお、本実施形態において、さらに第1の実施形態で述べたような、記録開始点をランダムにシフトする記録開始点シフト回路3を設け、複数のセクタについてテスト信号を記録再生する方法を併用すれば、テスト記録前のデータパターンとテスト信号のデータパターンとの相関性が一層低下するので、より精密に記録パルスのエッジ位置を決定することができるという点でさらに好ましい。
また、本実施形態においては、テスト信号を記録するに先立って記録するデータパターンをテスト信号のパターンと相関のないパターンとしたが、このデータパターンとしてランダムパターンを用いる構成としてもよい。この場合、システム制御回路22にあらかじめランダムな記録情報を持たせ、その記録情報を変調回路5で変調するような構成とすれば、データパターン生成回路21を省略することができ、記録再生装置の構成を簡略化できるという点でより好ましい。あるいは、本記録再生装置に接続された外部装置(例えばコンピュータなど)からランダムな記録情報をシステム制御回路22に送出させ、その記録情報を変調回路5で変調するような構成としても、同様の効果が得られる。
また、テスト信号を記録するに先立って記録する相関のないデータパターンは、パターンの周期が異なる他のテスト信号のデータパターンであってもよい。この場合も、データパターン生成回路21を省略することができ、記録再生装置の構成が簡略化されるので、より好ましい。
また、テスト信号の記録に先立ってテスト信号に相関のないデータパターンを記録する代わりに、光ディスク1に一定レベルの消去パワー(Pb)でレーザ光 を照射することにより、テスト信号を記録しようとするトラックに記録されているすべての信号を消去するようにしてもよい。光ディスク1が相変化型光ディスクの場合には、消去パワーPbのレーザ光が連続的に照射された部分の記録膜が 結晶状態となることにより、記録されている情報が消去される。この場合も、データパターン生成回路21を省略でき、記録再生装置の簡略化が図れるという点でより好ましい。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態における記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
この記録再生装置は、光ディスク1を用いて情報の記録再生を行う装置であり、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ10と、レーザ光源(図示せず)を備えて光ディスク1の所望の箇所にレーザ光を集束させる光ヘッド9とを備えている。記録再生装置全体の動作は、システム制御回路32により制御される。
この記録再生装置は、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を生成するエッジテスト信号生成回路4と、記録する情報信号に応じて2値化された記録データ信号を発生させる変調回路5と、記録データ信号に応じてレーザを駆動するための記録パルスを発生させる記録信号生成回路6と、この記録信号生成回路6が出力する記録パルスのエッジ位置を調整する記録パルスエッジ調整回路7とを備えている。さらに、記録パルスエッジ調整回路7が出力する記録パルスに応じて、光ヘッド9内のレーザ光源を駆動させる電流を変調するためのレーザ駆動回路8が設けられている。
また、上記記録再生装置は、光ディスク1から情報の再生を行うために、光ディスク1からの反射光に基づく再生信号の波形処理を行なう再生信号処理回路11と、再生信号のエッジのタイミングを検出するエッジタイミング検出回路12と、再生情報を得るための復調回路13とを備えている。
以上は、第1の実施形態で図1に示した構成とほぼ同様である。本実施形態の記録再生装置が第1の実施形態と特に異なるのは、記録開始点シフト回路3を備えず、記録パワーを決定するビットエラーレート(図中、BERと略記する)測定回路31と、記録パワーを決定するためのテスト信号を生成するパワーテスト信号生成回路33とを備えていることである。
次に、図6のフローチャートを用いて、システム制御回路32によって制御される本実施形態の記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず、光ヘッド9が光ディスク1上の所定のトラックにシークし(S41)、システム制御回路32がレーザ駆動回路8における記録パワーの設定値を決定する(S42)。そしてエッジテスト信号生成回路4から記録信号生成回路6へ、記録パルスのエッジ位置決定用のテスト信号(第1のテスト信号)を、記録データ信号として送出する(S43)。記録信号生成回路6は、この記録データ信号を記録パルスに変換し、レーザ駆動回路8がこの記録パルスに基づいてレーザの駆動電流を変調し、テスト記録を行う該当セクタへ記録する(S44)。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9によってS44で記録を行ったセクタを再生し(S45)、再生信号処理回路11が、再生信号のイコライズと2値化とを行う。そして、エッジタイミング検出回路12が、2値化信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S46)ことにより、記録マークのエッジ間隔を測定し、システム制御回路32内のメモリに測定値を蓄積する(S47)。
その後、システム制御回路32が、エッジ間隔の測定値の平均を算出する(S48)。そして、テスト記録したテスト信号の再生信号から算出したエッジ間隔と、テスト信号本来のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S49)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S50)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定する(S51)。
次に、記録パワーをパワー調整範囲の最小値に設定し(S52)、パワーテスト信号生成回路33が、記録信号生成回路6へ、パワー決定用のテスト信号(第2のテスト信号)を送出する(S53)。そして、このテスト信号から生成された記録パルスに基づいて、テスト記録を行う該当セクタに記録を行う(S54)。その後、記録したテスト信号を再生して(S55)、再生信号処理回路11でイコライズや2値化等を行う。
それから、ビットエラーレート測定回路31が、テスト信号のパターンと再生したデータパターンとを比較してビットエラーレートを測定し(S56)、測定値をシステム制御回路32に蓄積する。記録パワーが調整範囲内の最大値になるまで(S57にてYes)、記録パワーを段階的に増加させて(S58)、上記S53〜S56までのステップを繰り返す。
そして、システム制御回路32が、メモリに蓄積された測定値を参照し、ビットエラーレートが一定のしきい値(図15ではBth)となるときの記録パワーの値を算出する(S59)。その値に基づいて、例えばこの値に一定の係数を乗じる等の処理を行って、記録パワーの適性値を決定し(S60)、レーザ駆動回路8にて記録パワーを適正値に設定して(S61)、テスト記録を終了する。この方法によれば、記録パルスのエッジ位置を調整してパルス幅が変化した場合でも、最適な記録パワーで情報信号を記録することができる。
以上に述べたように、本実施形態では、記録パルスのエッジ位置の最適値を決定するテスト記録を行った後に、記録パルスのエッジ位置を上記最適値に設定した状態で、記録パワーの最適値を決定するテスト記録を行う。従って、記録パルスのエッジ位置を調整してパルス幅が変化した場合でも、記録パワーを最適化することができるので、最適なエッジ位置および記録パワーで情報信号を記録することができ、より精密な情報信号の記録が可能になるという点で優れた効果が得られる。
なお、本実施形態では、エッジ位置を決定する時の記録パワーをS42において所定の値に設定したが、この記録パワーの値を決定するためのテスト記録を行うステップをS42の前に追加すれば、より精密に記録パルスの最適なエッジ位置および記録パワーを決定することができるのでより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、第1の実施形態で述べたように、記録開始点をランダムにシフトして複数のセクタからテスト信号を記録再生し記録パルスの最適なエッジ位置を決定する方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、第2の実施形態で述べたように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を記録するトラックに、あらかじめテスト信号のパターンと相関のないデータパターンを記録しておく方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となる点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、後述する第5の実施形態のように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号の記録のときのみ、記録データ信号のランダムな極性反転を禁止して記録する方法を併用すれば、光ディスクの書き換え可能回数を向上させ、なおかつ精密な情報信号の記録が可能になる点でより好ましい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態における記録再生装置の構成は、第3の実施形態において図5に示した構成と同様であるが、システム制御回路32による制御が異なっている。
ここで、図7のフローチャートおよび図5を用いて、システム制御回路32によって制御される本実施形態に係る記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず、光ヘッド9が、光ディスク1上の所定のトラックにシークし(S71)、システム制御回路32が、記録パルスエッジ調整回路7における記録パルスのエッジ位置を所定の位置に設定する(S72)。
次に、記録パワーをパワー調整範囲の最小値に設定し(S73)、パワーテスト信号生成回路33から記録信号生成回路6へ、パワー決定用のテスト信号(第1のテスト信号)を送出し(S74)、テスト記録を行う該当セクタに記録を行う(S75)。
次に、記録したテスト信号を再生して(S76)、再生信号処理回路11でイコライズや2値化等を行う。ビットエラーレート測定回路31が、テスト信号のパターンと再生したデータパターンとを比較してビットエラーレートを測定し(S77)、測定値をシステム制御回路32に蓄積する。記録パワーが調整範囲内の最大値になるまで(S78にてYes)、記録パワーを段階的に増加させて(S79)、上記S74〜S77までの処理を繰り返す。
そして、システム制御回路32が、蓄積された測定値に基づいて、ビットエラーレートが一定のしきい値(図15ではBth)となるパワーを算出する(S80)。そのパワーから記録パワーを決定し(S81)、レーザ駆動回路8にて記録パワーを設定する(S82)。
次に、エッジテスト信号生成回路4から記録信号生成回路6へ、記録パルスのエッジ位置決定用のテスト信号(第2のテスト信号)を記録データ信号として送出する(S83)。記録信号生成回路6は、この記録データ信号を記録パルスに変換する。レーザ駆動回路8は、記録信号生成回路6からの記録パルスに基づいてレーザの駆動電流を変調することにより、テスト記録を行う該当セクタへ記録を行う(S84)。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9で該当のセクタを再生し(S85)、再生信号処理回路11が、再生信号のイコライズと2値化とを行う。そして、エッジタイミング検出回路12が、2値化信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S86)ことにより、記録マークのエッジ間隔を測定し、システム制御回路32内のメモリに測定値を蓄積する(S87)。
その後、システム制御回路32が、メモリに蓄積されたエッジ間隔の測定値の平均を算出する(S88)。そして、テスト記録したテスト信号の再生信号から算出したエッジ間隔と、テスト信号本来のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S89)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S90)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定し(S91)、テスト記録を終了する。この方法により、記録パワーを調整した場合でも、最適な記録パルスのエッジ位置で情報信号を記録することができる。
以上に述べたように、本実施形態では、記録パワーを適正値に決定するためのテスト記録を行った後に、記録パワーを上記適性値に設定した状態で、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト記録を行う。これにより、記録パワーを調整してレーザ光の照射エネルギーが変化した場合でも、最適な記録パルスのエッジ位置で情報信号を記録することができる。この結果、さらに精密な情報信号の記録が可能になるという点で優れた効果が得られる。
なお、本実施形態では、記録パワーを決定する時のエッジ位置をS72において所定の値に設定したが、このエッジ位置を決定するためのテスト記録を行うステップをS72の前に追加すれば、記録パルスの最適なエッジ位置および記録パワーをさらに精密に決定することができるのでより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、第1の実施形態で述べたように記録開始点をランダムにシフトして複数のセクタからテスト信号を記録再生し記録パルスの最適なエッジ位置を決定する方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、第2の実施形態で述べたように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を記録するトラックに、あらかじめテスト信号のパターンと相関のないデータパターンを記録しておく方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となる点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、後述する第5の実施形態のように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号の記録のときのみ、記録データ信号のランダムな極性反転を禁止して記録する方法を併用すれば、光ディスクの書き換え可能回数を向上させ、なおかつ精密な情報信号の記録が可能になる点でより好ましい。
なお、最適な記録パワー及び記録パルスの最適なエッジ位置を決定するテスト記録を行うときに本実施形態の方法を用いるか、前述した第3の実施形態の方法を用いるかは、記録する光ディスクの構造や記録密度、変調方式等に応じて選択すればよい。例えば、エッジ位置の変動に対してジッタまたはビットエラーレートの変動が敏感な光ディスクの場合、本実施形態の方法が好ましく、記録パワーの変動に対してジッタまたはビットエラーレートの変動が敏感な光ディスクでは第3の実施形態の方法が好ましい。
また、一般的に、記録マークのエッジ位置を決定するためのテスト記録の方が、記録パワーを決定するためのテスト記録の方が、記録再生装置に必要とされる構成が複雑となる。従って、例えば、記録再生装置の調整時(出荷時)に、例えばタイムインターバルアナライザ等の外部の測定器を用いてエッジ位置を決定するテスト記録を行い、その後は記録パワーを決定するテスト記録のみを行う場合には、記録再生装置の構成を簡略化できるという点で、第3の実施形態の方法が好ましい。
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係る記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
本記録再生装置は、光ディスク1を用いて情報の記録再生を行う装置であり、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ10と、レーザ光源(図示せず)を備えて光ディスク1の所望の箇所にレーザ光を集束させる光ヘッド9とを備えている。記録再生装置全体の動作は、システム制御回路52によって制御される。
本記録再生装置は、テスト記録用のテスト信号を生成するエッジテスト信号生成回路4と、記録する情報信号に応じて2値化された記録データ信号を発生させる変調回路5と、記録データ信号に応じてレーザを駆動するための記録パルスを発生させる記録信号生成回路6と、記録信号生成回路6が出力する記録パルスのエッジ位置を調整する記録パルスエッジ調整回路7とを備えている。さらに、記録パルスエッジ調整回路7が出力する記録パルスに応じて、光ヘッド9内のレーザ光源(図示せず)を駆動させる電流を変調するためのレーザ駆動回路8が設けられている。
また、上記記録再生装置は、光ディスク1から情報の再生を行うために、光ディスク1からの反射光に基づく再生信号の波形処理を行なう再生信号処理回路11と、再生信号のエッジのタイミングを検出するエッジタイミング検出回路12と、再生情報を得るための復調回路13とを備えている。
上記記録再生装置は、さらに、記録データ信号の極性を反転させる極性反転回路54と、変調回路5またはエッジテスト信号生成回路4から送出された信号の出力先を、記録信号生成回路6と極性反転回路54との間で切り替えるスイッチを内蔵した選択回路55と、ランダムな極性反転の禁止および解除を行う極性反転制御回路53とを備えている。
次に、図9のフローチャートを用いて、本実施形態の記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず、極性反転制御回路53が、選択回路55の出力を記録信号生成回路6側へ固定する制御を行い、エッジテスト信号生成回路4からのすべてのデータが極性反転回路54を通らないようにする(S101)。これにより、記録データ信号の極性反転が禁止される。
次に、光ヘッド9が、光ディスク1上の所定のトラックにシークし(S102)、システム制御回路52が、レーザ駆動回路8における記録パワーを所定の値に設定する(S103)。そして、エッジテスト信号生成回路4が、記録データ信号として、選択回路55へテスト信号を送出する(S104)。ここでは、S101において、選択回路55が、記録信号生成回路6側へ切り替えられているので、エッジテスト信号生成回路4から送出されるすべてのテスト信号が、極性反転回路54を通らずに記録信号生成回路6へ入力される。
記録信号生成回路6は、前述の実施形態と同様にして、入力されたテスト信号を、レーザを駆動するための記録パルスに変換する。レーザ駆動回路8は、この記録パルスに基づいてレーザの駆動電流を変調し、テスト記録を行う該当セクタへ記録する(S105)。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9が、テスト記録を行ったセクタを再生し(S106)、再生信号処理回路11が、再生信号のイコライズと2値化とを行う。さらに、エッジタイミング検出回路12が、2値化信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S107)。検出された反転間隔に基づいて、システム制御回路52が、記録マークのエッジ間隔を測定し、システム制御回路52内のメモリに測定値を蓄積する(S108)。
次に、システム制御回路52は、メモリに蓄積したエッジ間隔の測定値の平均を算出する(S109)。システム制御回路52は、S109において算出したエッジ間隔と、テスト信号本来のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S110)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S111)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定する(S112)。
最後に、極性反転制御回路53が、選択回路55におけるスイッチの切り替えをセクタごとにランダムに行えるように、S101で設定した極性反転禁止を解除して(S113)、テスト記録を終了する。
このテスト記録の後に、実際に情報信号を記録するときには、選択回路55におけるスイッチがセクタごとにランダムに切り替えられる。これにより、情報信号は、変調回路5から極性反転回路54を経由して反転された状態で記録信号再生回路6へ送出される反転状態と、変調回路5から極性反転回路54を経由せずに直接に記録信号再生回路6へ送出される非反転状態とのいずれかが、セクタごとにランダムに選択される。この結果、類似した情報信号を同一のセクタに繰り返し記録した場合でも、光ディスク1の記録膜の特定位置へのダメージが回避されることになる。なお、情報信号の記録時の選択回路55のスイッチの切り替えは、セクタごとに限らず、オーバーライトごとに行ってもよい。
以上に述べたように、本実施形態では、テスト記録を行うときのみ記録データ信号のランダムな極性反転を禁止する制御を行うことにより、記録マークのエッジ位置を決定するときに、記録マークの前端エッジと後端エッジとを区別することでき、精密な情報信号の記録が可能になる。なおかつ、実際に情報信号を記録するときには、記録データ信号の極性をセクタごとまたはオーバーライトごとにランダムに反転する制御をすることにより、光ディスクの書き換え可能回数を向上させることが可能になるという点で優れた効果が得られる。
なお、S101において、上記とは逆に、エッジテスト信号生成回路4から送出されるすべてのテスト信号が極性反転回路54に送られて極性反転されるように、極性反転制御回路53が選択回路55のスイッチの切り替え制御を行うようにしてもよい。要は、一連のテスト記録中において、記録データ信号の極性が常に同一であればよい。
なお、本実施形態では、エッジテスト信号生成回路4を備え、テスト記録により記録パルスの最適なエッジ位置を決定する構成および方法について説明したが、第3の実施形態と同様に、パワーテスト信号生成回路33をさらに備えた構成とし、記録パワーを決定する方法を併用しても良い。この場合、記録パワーを決定する過程では、極性反転の禁止を解除するように制御することが好ましい。これは、記録パワーを決定するためのテスト記録では、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト記録や通常の情報信号の記録よりも高い記録パワーで記録を行う可能性が高いので、極性反転を行うことによって、テストトラックに繰り返し記録を行ったときの記録膜の劣化を抑制できるからである。
また、本実施形態において、さらに、第1の実施形態で述べたように、記録開始点をランダムにシフトして複数のセクタからテスト信号を記録再生し記録パルスの最適なエッジ位置を決定する方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに、第2の実施形態で述べたように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を記録するトラックに、あらかじめテスト信号のパターンと相関のないデータパターンを記録しておく方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点においてより好ましい。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態は、前記した第1の実施形態で図1に示した構成の記録再生装置を用いるが、光ディスク1として、Z−CLVフォーマットの光ディスクを用いる。以下、図10のフローチャートおよび図1を用いて、本実施形態における記録再生装置の動作について説明する。
テスト記録時には、まず光ヘッド9が、光ディスク1上の記録領域のいずれかのゾーンの最内周付近のトラックにシークし(S121)、システム制御回路2が、レーザ駆動回路8における記録パワーを、所定の値に設定値する(S122)。そして、エッジテスト信号生成回路4が、テスト信号を記録データ信号として記録信号生成回路6へ送出する(S123)。記録信号生成回路6は、この記録データ信号を記録パルスに変換し、レーザ駆動回路8が、光ヘッド9のレーザ光源(図示せず)の駆動電流を変調することにより、該当セクタへテスト記録を行う(S124)。
テスト信号の記録後は、光ヘッド9が、テスト記録を行ったセクタを再生し(S125)、再生信号処理回路11が、再生信号のイコライズおよび2値化を行う。そして、エッジタイミング検出回路12が、2値化信号をスライスし、信号反転間隔を検出する(S126)ことにより、記録マークのエッジ間隔を測定して、システム制御回路2内のメモリ(図示せず)に測定値を蓄積する(S127)。さらに、システム制御回路52が、メモリに蓄積された測定値から、エッジ間隔の平均値を算出する(S128)。
そして、システム制御回路2が、S128において算出したエッジ間隔と、テスト信号本来のエッジ間隔との差分(例えば、図11ないし図14に示したようなテスト信号の場合は、算出したエッジ間隔に相当する時間と15Tとの差)を求める(S129)。そして、記録パルスのエッジ位置(例えば、図11ないし図14に示したような例では、3Tマークを記録するための記録パルスの前端エッジ)を上記の差分だけ補正した位置に決定し(S130)、そのエッジ補正量を記録パルスエッジ調整回路7に設定する(S131)。
次に、本実施形態の効果を確かめるために行った比較実験について説明する。本実験では、ビットエラーレートを測定する代わりに、タイムインターバルアナライザにより再生信号のジッタを測定した。また、再生信号のエッジのタイミング検出にもタイムインターバルアナライザを使用した。
本実験で用いた光ディスク1の基板のゾーンフォーマットを表1に示す。このフォーマットでは、半径25.0mm〜50mmまでの記録領域(すなわち、実際に情報信号を記録する領域)を10ゾーンに分割し、各ゾーンで回転数が一定なZ−CLVフォーマットとした。全記録領域にわたってクロック周期は同じである。本実施形態では、各ゾーンの最内周で線速度が同じになるようなフォーマットとしたが、線速度は必ずしも各ゾーンの最内周で同じでなくともよい。
光ディスク1の基板には、直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネー ト樹脂を用いた。この樹脂基板には、凸凹形状の位相ピットをアドレス情報としてプリフォーマットし、セクタ領域には記録用トラックを形成した。トラックピッチは1.2μmである。基板上に保護膜、相変化記録膜、保護膜、および反射膜をスパッタリング法により成膜し、その上に保護基板を接着した。
保護膜としてZnS−SiO2、相変化記録膜としてTe−Sb−Ge、反射 膜としてAlを用いた。そして、スピンドルモーター10により、この光ディスク1を表1に記載の回転数で回転させ、波長660nmのレーザ光を開口数(NA)0.6の対物レンズで集束させて、記録再生を行なった。スポットサイズの半値全幅は0.62μmである。
テスト記録時のレーザ光のパワーは、Pp=11mW、Pb=5mW、Pr=1 mWとした。記録情報の変調方式は、DVDで用いられている(8−16)パルス幅変調を用いた。最短である3Tのマーク長は0.42μmとした。
情報信号の記録に先立って、第0ゾーンの最内周付近のトラックでテスト記録を行い、記録パルスのエッジ位置を決定した。決定方法は、第1の実施形態で図2のフローチャートに示した手順に従った。
ただし、記録パルスのエッジ位置の前端は、記録するマークの長さ(3Tマーク、4Tマーク、5T以上のマーク)と、マークの直前のスペースの長さ(3Tスペース、4Tスペース、5T以上のスペース)との9通りの組み合わせについてそれぞれ決定した。また、記録パルスのエッジ位置の後端は、記録するマークの長さ(3Tマーク、4Tマーク、5T以上のマーク)と直後のスペースの長さ(3Tスペース、4Tスペース、5T以上のスペース)との9通りの組み合わせについて決定した。エッジ位置の調整精度は0.5nsである。
3Tマーク、4Tマークおよび5T以上のマークでエッジ位置の調整値をそれぞれ別々にしたのは、3Tマークおよび4Tマークでは、いわゆる筆先記録の状態になることからスポットサイズに対してマーク長が小さくなるので、エッジ位置を5T以上のマーク長の場合とは異ならせる必要があるからである。3Tスペース、4Tスペースおよび5T以上のスペースでエッジ位置の調整値を変化させたのは、3Tスペース、4Tスペースではマーク間の熱干渉の影響が無視できなくなるためである。
次に、このテスト記録で決定した記録パルスのエッジ位置に基づいて、第0ゾーンの最内周(すなわち半径25.0mm)付近のトラックと最外周付近のトラックで(8−16)パルス幅変調のランダム情報信号を10回オーバーライト記録し、再生信号のジッタを測定した。
次に、上記と同様にして、第0ゾーンの最外周(すなわち半径27.5mm)付近のトラックでテスト記録し、記録パルスのエッジ位置を決定した。そして、このテスト記録で記録した記録パルスのエッジ位置に基づいて、第0ゾーンの最内周付近のトラックと最外周付近のトラックで(8−16)パルス幅変調のランダムな情報信号を10回オーバーライト記録し、再生信号のジッタを測定した。以上のジッタの測定結果を表2に示す。
表2に示すように、ゾーン最内周付近およびゾーン最外周付近いずれのトラックでテスト記録を行っても、ランダム情報信号のジッタはゾーン最外周付近の方が良くなることがわかった。これはゾーン最外周の方が記録線密度が低いためである。例えば、表1に示されるように、第0ゾーンでは最外周の最短マーク長は最内周の1.1倍である。
また、ゾーン最内周でテスト記録を行い、最外周でランダム情報信号を記録したときのジッタは、ゾーン最外周でテスト記録を行い、最外周でランダム情報信号を記録したときのジッタとほぼ同等である。一方、ゾーン最外周でテスト記録を行い、最内周でランダム情報信号を記録したときのジッタは、ゾーン最内周でテスト記録を行い、最内周でランダム情報信号を記録したときのジッタよりも約1%増加した。
この理由は、以下のように考えられる。ゾーン最外周では記録線密度が低いために、テスト記録したときに、記録パルスのエッジ位置のずれに対するジッタ値の変化度が小さい。そのため、テスト記録によるエッジ位置の調整時に調整誤差が生じやすく、その影響が最内周に記録したときのジッタ値の増加として現れたと推測できる。
以上に述べたように本実施形態では、Z−CLVディスクの各ゾーンの最内周のトラックにおける情報信号の記録線密度と略等しい記録線密度でテスト信号を記録して、記録パルスのエッジ位置を決定することにより、各ゾーンの最内周から最外周にわたって良好なジッタ(またはビットエラーレート)を得ることができ、精密な情報信号の記録が可能になるという点で優れた効果が得られる。
なお、本実施形態では、光ディスクの記録領域、すなわち情報信号を記録する領域、のゾーン内における最内周付近でテスト記録を行ったが、光ディスクの少なくとも一つのゾーンの最内周付近の領域をテスト記録用の領域として設け、その領域にテスト記録をしてもよい。
また、表3に示すように、光ディスク上での記録領域よりも内周側および外周側にテスト記録用の領域を設け、その領域の記録線密度を各ゾーンの最内周における記録線密度と略等しい記録線密度としても同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト記録について説明したが、記録パワーを決定するためのテスト記録についても、記録領域の各ゾーンの最内周のトラックにおける情報信号の記録線密度と略等しい記録線密度でテスト記録を行えば、各ゾーンの最内周から最外周にわたって最適な記録パワーを設定することができ、精密な情報信号の記録が可能になるという効果が得られる。
また本実施形態において、さらに第1の実施形態で述べたように記録開始点をランダムにシフトして複数のセクタからテスト信号を記録再生し記録パルスの最適なエッジ位置を決定する方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに第2の実施形態で述べたように記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号を記録するトラックに、あらかじめテスト信号のパターンと相関のないデータパターンを記録しておく方法を併用すれば、記録マークのエッジ位置を偏りなく精密に決定するテスト記録が可能となるという点でより好ましい。
また、本実施形態において、さらに第5の実施形態のように、記録パルスのエッジ位置を決定するためのテスト信号の記録のときのみ、記録データ信号のランダムな極性反転を禁止して記録する方法を併用すれば、光ディスクの書き換え可能回数を向上させ、なおかつ精密な情報信号の記録が可能になる点でより好ましい。
なお、上記の第1ないし第6の実施形態において、テスト記録を行うのが望ましいタイミングは、少なくとも、記録再生装置の調整時、記録再生装置の起動時、前記起動時から一定時間経過した時、光ディスクの交換時、光ディスクのビットエラーレートが所定の値を越えた時、使用環境の温度が変化した時である。
記録再生装置の調整時にテスト記録を行うことにより、記録再生装置間の変動要素を補償できる。また、記録再生装置の起動時、および前記起動時から一定時間経過した時にテスト記録を行うことにより、記録再生装置自身の変動要素を補償できる。また、光ディスクの交換時にテスト記録を行うことにより、光ディスク間の変動要素を補償できる。また、光ディスクのビットエラーレートが所定の値を越えた時にテスト記録を行うことにより、光ディスク自身の変動要素を補償できる。また、使用環境の温度が変化した時にテスト記録を行うことにより、記録再生装置および光ディスクの温度依存性に起因する変動要素を補償できる。
また、上記の第1〜第6の実施形態においては、記録パルスのエッジ位置の決定には特定のテスト信号を記録して再生信号のエッジ間隔を測定する方法を用いたが、エッジ位置を変化させた複数種類のテスト信号(例えば複数種類のランダム信号)を記録してビットエラーレート(またはジッタ)を測定し、ビットエラーレート(またはジッタ)が最小となったテスト信号で設定した記録パルスのエッジ位置を最適値として決定する方法でも同様の効果が得られる。
また、上記の第1〜第6の実施形態においては、記録パルスのエッジ位置を決定するために、ある特定のテスト信号を記録して測定した記録マークのエッジ間隔と最適なエッジ間隔との差分をエッジ位置調整回路で補正する方法とした。しかし、記録パルスのエッジ位置を段階的に変化させた複数種類のテスト信号を記録してそれぞれのテスト信号について記録マークのエッジ間隔を測定し、最も最適なエッジ間隔が得られたテスト信号における記録パルスのエッジ位置を、最適値としてエッジ位置調整回路に設定する方法でも同様の効果が得られる。
また、上記の第1〜第6の実施形態においては、記録マークのエッジ間隔の測定をエッジタイミング検出回路で行い、測定したエッジ間隔の蓄積および平均値の算出をシステム制御回路にて行ったが、これらの処理を、例えばタイムインターバルアナライザ等の、本記録再生装置の外部の測定器にて行ってもよい。
また、上記の第1〜第6の実施形態においてはテスト信号を発生させるためにテスト信号生成回路を設けたが、システム制御回路から特定の情報信号を発生させて変調した信号をテスト信号としても良い。これにより、テスト信号生成回路を別途設ける必要がなくなるので、装置の小型化を図れる。さらに、このテスト信号にエラー訂正符号の付加やインターリーブ処理が行われたものでもよく、ビットエラーレートは、復調およびエラー訂正後に測定されるものであってもよい。
また、上記の光ディスクの層数、構成や材料は上記に限るものではなく、光磁気材料や色素材料等、記録マークと非マーク部で光学的特性の異なる媒体であればいずれも上記の方法を適用することができる。しかし、記録膜として相変化材料を用いた光ディスクであれば、結晶−アモルファス間で光学的な吸収が異なるので、上記のテスト記録方法で特に大きな効果を得ることができる。
また、上記の記録パワー、線速度、変調方式、記録密度、各パルスの長さ・位置、テスト信号のパターン等は本実施形態で示したものに限るわけではなく、記録条件や媒体に応じて適切なものを設定することが可能なことは言うまでもない。さらに、ビットエラーレートの測定はジッタの測定に置き換えてもよく、ジッタの測定はビットエラーレートの測定に置き換えてもよい。
以上に述べたように、本発明の光学的情報記録装置によれば、テスト記録の際に、記録マークのエッジ間隔に対するマーク歪みの影響が平均化されるので、テスト記録によって記録マークのエッジ位置を精密に決定することができる。この結果、より精密な情報信号の記録が可能な光学的情報記録装置を提供できる。
また、本発明の光学的情報記録方法によれば、テスト記録によって、記録パワーと記録パルスのエッジ位置との両方を最適化することができるので、より精密な情報信号の記録が可能になる。
また、本発明の光学的情報記録媒体によれば、各ゾーンの最内周から最外周にわたって良好なジッタまたはビットエラーレートを得ることができ、精密な情報信号の記録が可能になる。