JP2009019987A - 時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】時計において、駆動トルクの不足、通常動作(第1の動作)よりも短時間の動作であるフライバック動作等第2の動作に要する時間が長くなるのを防止する互いに異なる2つの運針動作を、確実に切り替えて実行する。
【解決手段】正運針モータ51(第1のモータ)と、0秒位置まで一気に戻すフライバック動作(反時計回り方向−Rへの高速の戻り動作)を行わせるレトロモータ52(第2のモータ)と、これら正運針モータ51およびレトロモータ52にそれぞれ噛合した遊星歯車機構60と、遊星歯車機構60に噛合した表示車81および表示車81の回転速度に同期した回転動作を行う表示部材30(レトロ秒針23)と、正運針モータ51およびレトロモータ52の動作に応じた表示部材30による複数種類の回転動作を切り替えるように、正運針モータ51およびレトロモータ52を制御する電子回路90とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は時計に関し、詳細には、1つの表示部材を2つのモータで動作制御する時計に関する。
従来、日付表示機構として、いわゆるレトログラード若しくはフライバックと称される動作を行う機構を用いた時計が実用化されている。
このレトログラードは、文字板等に表示された日付(または曜日)の指標を、月頭の第1日目から月末の最終日まで(または週頭の日曜日(若しくは月曜日)から週末の土曜日(若しくは日曜日)まで)、一方向に移動する指針等で指し示し、次月の月頭の第1日目(または週頭の曜日)になると、指針が月頭の第1日目(週頭の曜日)に対応した指標を指し示すように急速に戻る動作(フライバック動作)を行う。
このようなレトログラードの動作は、上述した日付表示機構(または曜日表示機構)においては、カムとレバーとを用いた機構により、カムの輪郭形状を急激に変化させる(カム車の、回転中心から輪郭縁までの半径を急激に変化させる)ように設定しておくことで実現されている(特許文献1)。
特開2006−071298号公報
ここで、レトログラードの動作を、日付表示機構だけでなく、例えば秒表示用の機構にも採用することが考えられる。
しかし、上述したカムとレバーとを用いた機構をそのまま適用するのは困難である。つまり、日付表示においては、指針は日ごとに指標の一目盛り分だけ動くことが要求されるのに対して、秒表示においては、指針は1秒間に指標の一目盛り分を動くことが要求されるため、日付表示指針よりも減速比が極端に小さく、したがって、秒表示の指針に供給されるトルクは日付表示指針に供給されるトルクよりも極端に小さい。
したがって、秒表示の指針を元の基準位置(0秒表示位置)に短時間(1秒間未満)のうちに一気に戻すのに要するトルクが不足する虞がある。
また、カムの高低差(半径差)をカムレバーで拡大して指針に伝達する機構であるため、カムの輪郭形状の僅かなバラツキであっても、指針の先端部では大きく拡大されて、秒単位の指示精度を確保するのが困難になる。
しかも、指針を往復動させる場合、扇形状をなす角度範囲(例えば、中心角120[°])内で指針を変位させることになるため、通常の1周の角度範囲(360[°])を一方向に運針動作するものよりも、1秒間に対応した目盛り間隔が狭く(一方向に回転動作するものでは、1秒間に対応した角度は6[°](=360[°]/60[秒])、往復動するものでは、1秒間に対応した角度は2[°](=120[°]/60[秒])となり、秒単位の切分の間隔が狭く、上述した指針の動きの誤差の影響を受けやすい。
また、カムの輪郭形状が急激に変化する部分(落下部分)で、カムレバーがその輪郭形状にしたがって落下すると、指針は基準位置にフライバックするが、この落下のタイミングは、カムとカムレバーとの間の摩擦条件(摩擦係数等)などに応じて変化し易く不安定なものであり、フライバック動作の始動タイミングを精度よく維持させ続けるのも困難である。
ここで、トルク不足に対しては、指針を短くして必要トルクを小さくすることも考えられるが、秒表示の指標(切分)は60個(60秒間に対応)であるため、31個(31日間に対応)である日付表示の指標に比べて目盛り間隔が狭くなり、良好な視認性(分解能)を確保する観点からは、指針の長さを短く設定することができない。
そこで、他の方策として、秒表示の指針をレトログラード動作専用の単一のパルスモータで駆動することが考えられる。この方式においては、秒表示の指針を通常運針動作(1秒間で一目盛り移動する動作)させるときは、このパルスモータを正回転させ、一方、指針を元の始動位置に一気に戻すときは、このパルスモータを、正回転時よりも高速に逆回転させればよい(例えば、特開2005−315669号公報等)。
しかし、専用のパルスモータであっても、1秒間未満の短時間のうちに、指針を大きな角度範囲動かす(フライバック動作)ためには、パルスを与える周波数を高める必要があり、使用するパルスモータの性能、特に、入力パルスに追随しうる動作性能の観点から、フライバック動作を所定時間内に完了させるのが困難な場合がある。
すなわち、例えば性能上、入力パルスに追従可能の最高周波数64[Hz]、減速輪列の減速比90、1パルス当たりのロータの回転角度180[°/パルス]、60秒間に指標する角度範囲120[°](=1秒間を表す角度範囲2[°])とすると、通常運針動作においては、入力パルスの周波数1[Hz]によって、指針を角度範囲2[°]運針させることができる。
180[°/パルス]×(1/90)×1[Hz(=[パルス/sec])]
=2[°/sec]
しかし、フライバック動作においては、1[sec]以内に例えば角度範囲120[°]動かす必要があり、上記ステップモータを最高周波数64[Hz]で逆回転駆動させても、約1[sec]の時間を要する。
120[°]/{180[°/パルス]×(1/90)
×64[Hz(=[パルス/sec])]}
=0.935[sec]≒1[sec]
このため、指針を基準位置(0秒表示位置)に停止させていることのできる時間は、非常に短時間となり、視認者に対して違和感を与える虞がある。
また、ステップモータにおけるステータに対するロータの磁極の配置の位相は、ロータが安定的に正回転方向に回転するように設定されているため、これに反してステップモータを逆回転動作させるには、ロータの1ステップ動作ごとに2パルス(引込みパルスおよびこれに続く駆動パルス)の入力が必要となるため、上述した性能上の入力パルスの最高周波数が64[Hz]であっても、出力されるステップ動作はこの半分の周波数である32[Hz]となり、この結果、フライバック動作に要する時間は1[sec]を超え、必要な性能を確保することができない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、互いに異なる2つの運針動作を切り替えて確実に実行することができる時計を提供することを目的とする。
また、第2の動作としてフライバック動作を適用した時計にあっては、駆動トルクの不足を防ぐことができることも目的とする。
本発明に係る時計は、電子回路によって制御された2つのモータのそれぞれが噛合した遊星歯車機構が、単一の指針等表示部材に伝達される回転動作を切り替えることにより、互いに異なる2つの運針動作を確実に実行するようにしたものである。
特に、第2の動作としてフライバック動作を適用したものでは、駆動トルクの不足を防ぐこともできる。
すなわち、本発明に係る時計は、太陽車、前記太陽車に噛合した遊星車、前記遊星車を回転自在に支持するとともに前記太陽車の回転軸と同一直線上に回転軸を有するキャリア車および前記遊星車に噛合した出力車を備えた遊星歯車機構と、そのロータが前記太陽車に回転を伝達する第1モータと、そのロータが前記キャリア車に回転を伝達する第2モータと、前記出力車からの回転の伝達を受ける表示車および前記表示車の回転速度に同期した回転動作を行う表示部材と、前記第1モータおよび前記第2モータの動作に応じた前記表示部材による複数種類の回転動作を切り替えるように、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する電子回路と、を備えたことを特徴とする。
ここで、出力車は、キャリア車と同様に太陽車の回転軸と同一直線上に回転軸を有するが、太陽車およびキャリア車に対しては回転自在となっている。
なお、各モータは、一般に用いられているパルスモータ(一般的な時計用ステップモータ)を適用することができる。
このように構成された本発明に係る時計によれば、第1モータを駆動かつ第2モータを停止することで、太陽車は回転するとともにキャリア車は停止するため、遊星車は自転し、この遊星車の回転動作が、出力車および表示車を介して表示部材を第1の動作で駆動する。
これに対して、第1モータを停止かつ第2モータを駆動することで、太陽車は停止するとともにキャリア車は回転するため、遊星車は太陽車の回転軸回りに公転し、この遊星車の回転動作が、出力車および表示車を介して表示部材を第2の動作で駆動する。
したがって、電子回路による、第1モータの停止または駆動、および第2モータの停止または駆動を切り替える制御により、単一の指針等表示部材に伝達される回転動作を第1の動作と第2の動作とのうち一方(または第3の動作等さらに多くの種類の動作のうちいずれかの動作)に、簡単に切り替えることができる。
しかも、太陽車、キャリア車および遊星車の各歯車の歯数を、適宜設定することで、表示部材の動作(回転速度)を任意に設定することができるため、駆動トルクの不足を防ぐことができるとともに、第2の動作を要望に応じて変化させることができる。
なお、時計の駆動機構において遊星歯車機構を用いた先行技術として、特開昭55−030676号公報、特開平9−021886号公報に記載のものがあるが、これらは、遊星歯車機構に入力される2つの駆動力がそれぞれ、人力とゼンマイのバネ力との組合せであり、本発明に係る時計において遊星歯車機構に入力される2つの駆動力がいずれもモータによる駆動力である点において相違し、人力による駆動では、駆動トルクの不足や第2の動作に要する時間の長短による問題が生じないため、上述した本発明が解決しようとする課題が存在せず、したがって本発明を適用することの意義を有しないものである。
本発明に係る時計において、前記第1モータ、前記第2モータ、前記遊星歯車機構および前記表示車により、減速輪列機構を形成するとともに、前記減速輪列機構のうち、前記第1モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比が、前記第2モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比よりも大きく設定されているものを適用したものでは、第2の動作の方が、第1の動作よりも表示部材の動作範囲(変位量)を大きく設定することができるため、第1の動作を通常の運針動作等とし、第2の動作をフライバック動作として適用することができる。
なお、減速比とは、被駆動側の歯車の1回転に要する駆動側の歯車の回転数として表され、被駆動側歯車の歯数を駆動側歯車の歯数で除して求めることができる。
そして、第2の動作としてフライバック動作を適用した上記発明によれば、駆動トルクの充足、フライバック動作のタイミングの精度向上、およびフライバック動作に要する時間の短縮を実現することができ、高品位のレトログラード動作の時計を実現することができる。
一方、本発明に係る時計において、前記第1モータ、前記第2モータ、前記遊星歯車機構および前記表示車により、減速輪列機構を形成するとともに、前記減速輪列機構のうち、前記第2モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比が、前記第1モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比よりも大きく設定されているものを適用したものでは、第1の動作の方が、第2の動作よりも表示部材の動作範囲(変位量)を大きく設定することができるため、第1の動作を通常の運針動作等とし、第2の動作を、第1の動作よりも細かい分解能(小さい変位幅)で、かつ速い周期の動作である、例えばクロノグラフ機能(ストップウォッチ機能)等における指針の動作(以下、クロノグラフ動作という。)として適用することができる。
このように、第2の動作としてクロノグラフ動作を適用した上記発明によれば、通常の時刻表示における秒運針動作(第1の動作として)を行う指針等表示部材を、第1の動作より運針時間間隔が短く、かつ運針動作角度間隔が狭いクロノグラフ動作に切り替えさせることができ、高品位のクロノグラフ機能付き時計を実現することができる。
本発明に係る時計によれば、互いに異なる2つの運針動作を切り替えて確実に実行することができる。
以下、本発明に係る時計の具体的な実施の形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る時計の一実施形態であって、表示部材を構成する秒針23(以下、レトロ秒針23(表示部材(表示指針))という。)がレトログラード動作を行うように設定された腕時計100のうち、時計ケース、風防ガラス、裏蓋および時計ベルト(ブレスレット)を除いた要部を示す斜視図、図2は、図1に示した腕時計100の構成を示すブロック図、図3は、図2に示した遊星歯車機構60を示す断面図、図4は、同じく遊星歯車機構60を示す斜視図である。なお、図4(b)においては、遊星車上カナ63aと太陽車62との噛合状態の視認性を高めることを目的として、後述する遊星5番歯車61の記載を省略している。
図示の腕時計100は、図1に示すように、文字板10の中心C1を中心として等角度間隔および中心C1から等距離の位置に形成されたバーインデックス11(指標)を、時針21および分針22がそれぞれ指し示すことで、時刻の時と分とを表示するとともに、文字板10の周縁近傍に設定された中心C2を中心として等角度間隔および中心C2から等距離の位置に形成された秒目盛り12(指標)を、レトロ秒針23が指し示すことで、時刻の秒を表示するレトログラード動作を行う。
ここで、レトログラード動作を行うレトロ秒針23は、文字板10に表示された秒目盛り12の0秒を表す位置(0秒位置)である左端から60秒を表す位置(60秒位置)である右端まで、時計回り方向Rに1秒間に相当する角度間隔(2°)ずつ回転して指し示し(通常の秒を指し示す運針(正運針動作))、60秒位置に到達すると0秒位置まで反時計回り方向−Rに一気に戻る(フライバック動作)ように往復回転動作を行う。
なお、0秒位置と60秒位置とは、指し示す時刻自体または時間自体は実質的に同一の正分(m時n分60秒=m時(n+1)分0秒)であるため、本実施形態の腕時計100では、レトロ秒針23は、60秒位置に到達する1秒前の59秒を表す位置(59秒位置)に到達した後、60秒位置に到達することなく、0秒位置に一気に戻る構成としている。したがって、本実施形態におけるレトロ秒針23は、0秒位置と59秒位置との間で往復回転動作を行う。
そして、本実施形態の腕時計100は、図2に示すように、このレトロ秒針23の上述した往復回転動作を実現するために、正運針動作(時計回り方向Rへの秒ごとの運針動作)を行わせる正運針モータ51(第1のモータ)と、0秒位置まで一気に戻すフライバック動作(反時計回り方向−Rへの高速の戻り動作)を行わせるレトロモータ52(第2のモータ)と、これら正運針モータ51およびレトロモータ52にそれぞれ噛合した遊星歯車機構60と、遊星歯車機構60に噛合した表示車81および表示車81の回転速度に同期した回転動作を行う表示部材30(レトロ秒針23)と、正運針モータ51およびレトロモータ52の動作に応じた表示部材30による複数種類の回転動作を切り替えるように、正運針モータ51およびレトロモータ52を制御する電子回路90とを備えている。
ここで、正運針モータ51には、遊星歯車機構60の他に、時針21および分針22に回転動作を減速しつつ伝達する減速輪列70も噛合している。
遊星歯車機構60の基本的な構成は、図3の断面図および図4の斜視図にそれぞれ示すように、回転軸C3回りに回転する太陽車62、太陽車62に噛合した遊星車63、遊星車63を回転自在に支持するとともに太陽車62の回転軸C3と同一直線上に回転軸を有するキャリア車64および遊星車63に噛合した出力車65を備えたものであり、本実施形態においては、所望の減速比および占有スペースの観点から、回転軸C3回りに回転する遊星5番歯車61が太陽車62に一体化され、さらに、回転軸C3回りに回転する出力カナ66が出力車65に一体化されて設けられている。
なお、図示において、太陽車62および回転軸C3に沿って延びた太陽車軸62aは一体であり、遊星5番歯車61は太陽車軸62aに固定されており、キャリア車64、出力車65および出力カナ66は、太陽車軸62aに対して回転自在に支持されている。図示において、符号67は、これらキャリア車64、出力車65および出力カナ66が太陽車軸62aから脱落するのを防止するためのストッパである。
また、遊星車63は、遊星5番歯車61とキャリア車64との間に配置された遊星車上カナ63aと、キャリア車64を挟んで遊星車上カナ63aとは反対の面側に配置された遊星車下カナ63bとからなり、これら遊星車上カナ63aおよび遊星車下カナ63bは、共通の回転軸回りに一体的に構成され、キャリア車64に対してその共通の回転軸回りに回転自在とされている。
そして、遊星車63のうち遊星歯車上カナ63aが太陽車62に噛合し、遊星歯車下カナ63bが出力車65に噛合している。
遊星歯車機構60と各モータ51,52との関係は、これらモータ51,52、遊星歯車機構60および減速輪列70の配置を示す斜視図である図5、およびこれらモータ51,52と遊星歯車機構60等との噛合状態を示す要部断面図である図6,7に示すように、正運針モータ51の出力軸であるロータの第1カナ51aが、遊星5番歯車61を介して太陽車62に回転を伝達し、レトロモータ52の出力軸であるロータのカナ52aが、キャリア車64に回転を伝達する構造となっている。
また、表示車81は、上述した各モータ51,52、遊星歯車機構60、減速輪列70および電子回路90と同様に、時計ムーブメント40の基板41上に配置されており、図8の斜視図に示すように、レトロ秒針23の回転軸(回転中心C2)と同心であり、その回転軸C2回りの略半周の角度範囲αの部分81aについてのみ、出力カナ66に噛合する歯81bが形成され、歯81bの形成されていない角度範囲βに対応した部分81cの外周縁は、歯81bの形成されている角度範囲αの部分81aの外周縁よりも、回転軸C2からの半径r(歯81bの形成された角度範囲αに対応した部分81aの外周縁までの半径をr2、歯81bの形成されていない角度範囲βに対応した部分81cの外周縁までの半径をr1(<r2))が短く形成され、この短い側の半径r1の外周縁側が時計ムーブメント40の周縁41aに近い側に位置するように配設されている(図5参照)。
ここで、文字板10の背面側に設けられた時計ムーブメント40は、図1に示すように、文字板10と略同じ半径を有しており、文字板10の外周縁近傍に回転中心C2を有するレトロ秒針23が、秒目盛り12の表示範囲外まで回転する不測の事態が生じると、表示車81に形成された回転軸C2に沿って延びた軸81dに固定されたレトロ秒針23の先端が、時計ケース(図示せず)の内側に衝突するなどの問題が生じ得る。
そこで、表示車81の歯81bの形成された部分81aと歯81bの形成されていない部分81cとの間の外周縁には、表示車81の回転角度範囲を規制するために基板41に設けられたストッパ43の爪43a,43aに突き当たって、表示車81の軸81dに固定されたレトロ秒針23が、秒目盛り12の表示範囲外まで回転するのを防止する突当て部81e,81eが形成され、上述したレトロ秒針23の衝突の問題を防止している。
表示部材30は、本実施形態においては、この秒目盛り12の表示範囲(所定の回転角度範囲)である、C2を中心とする角度120[°]の範囲を上述したレトログラード動作(往復動)して秒目盛り12の一単位指標12aを指し示すレトロ秒針23によって構成されている。
電子回路90は、正運針モータ51を駆動する制御により、レトロ秒針23を0秒位置(所定の基準位置)から時計回り方向R(正転方向)に正運針動作(通常運針動作)を行わせ、レトロモータ52を駆動する制御により、レトロ秒針23を反時計回り方向−R(逆転方向)に、かつ正運針動作よりも高速度に、0秒位置に復帰させるフライバック動作を行わせる。
ここで、両モータ51,52はいずれもパルスモータ(一般的な時計用のステップモータ)であり、電子回路90から入力された制御信号に応じたタイミング、角度だけ、そのロータのカナ51a,52aを回転させるものであり、本実施形態における両モータ51,52は、電子回路90からの制御信号の1パルス当たり、ロータのカナ51a,52aをそれぞれ180[°]回転させるように設定されている。
減速輪列70は、要部断面図である図9に示すように、正運針モータ51のロータに設けられた第2カナ51bに噛合した5番車71、5番車71のカナに噛合した4番車72、4番車72のカナに噛合した3番車73、3番車73のカナに噛合した2番車74および2番車74を1/12に減速した筒車75aからなり、これら減速輪列70は、時計ムーブメント40の基板41上に配置され、図10の斜視図に示すように、輪列受79と基板41とによって軸支されている。
同様に、両モータ51,52の各ロータ、遊星歯車機構60、および表示車81は、時計ムーブメント40の基板41上に配置され、図10の斜視図に示すように、輪列受69と基板41とによって軸支されている。
なお、輪列受69には、押さえバネ69bが取り付けられているが、この押さえバネ69bは、輪列受69を貫通した表示車81の軸81dの端面81fに当接することで、この端面81fに摩擦力を与え、この摩擦力によって、表示車81と出力カナ66との間のバックラッシュによる表示車81のがたつきを抑制するものである。
減速輪列70の2番車74の軸74aは、文字板10の中心C1に沿って延び、文字板10を貫通して分針22が固定されている。また、筒車75aも2番車74の軸74aと同心に文字板10を貫通して、時針21が固定されている。
ここで、4番車72の軸72aには、秒飾り25(秒飾り機構)を支持する秒飾り保持バネ42(秒飾り機構)が固定されており、この秒飾り保持バネ42は、図11に示すように、その中心部分42aが4番車72の軸72aに固定され、その外周部分42bが秒飾り25を固定支持している。そして、外周部分42bと中心部分42aとは、渦巻き状の細い梁部42cによって接続されているため、外周部分42bは中心部分42aに対して、特に周方向について可撓性を有する構造となり、外周部分42bに固定支持された秒飾り25は慣性により、中心部分42aに対して周方向に揺動し易くなり、秒飾り25の揺動動作が視覚的に興味を惹かせることで、商品性を高める効果を発揮している。
なお、この秒飾り25としては、2番車74の回転に追従して回転するため、上下左右が非対称のものであると、回転に伴う姿勢の変化を視認させやすくすることができる。また揺動動作を効果的に視覚に訴える観点から、入射した光を反射させる透明な材質の鉱石(宝石類やその他の鉱物)や鏡状のものを用いるのが好ましい。
正運針モータ51、遊星歯車機構60および表示車81と、レトロモータ52、遊星歯車機構60および表示車81とは、それぞれレトロ秒針23に対する減速輪列機構を構成しており、この減速輪列機構のうち、正運針モータ51から表示車81までの輪列機構部分による減速比Gnは、レトロモータ52から表示車81までの輪列機構部分による減速比Grよりも大きく設定されている(Gr<Gn)。
すなわち、正運針モータ51の第1カナ51aの歯数をZr1、レトロモータ52のカナ52aの歯数をZr2、遊星5番歯車61の歯数をZ5、太陽車62の歯数をZ1、遊星車上カナ63aの歯数をZ2、遊星車下カナ63bの歯数をZ3、キャリア車64の歯数をZca、出力車65の歯数をZ4、出力カナ66の歯数をZo、表示車81の歯数をZre、とすると、
(1)正運針動作における総減速比Gnは、
Gn=(Z5×Z2×Z4×Zre)/(Zr1×Z1×Z3×Zo)
であり、
(2)フライバック動作における総減速比Grは、
Gr=(Zca/Zr2)×[1/{1−(Z1×Z3)/(Z2×Z4)}]×(Zre/Zo)
である。
そして、各歯数Zは、Zr1=10、Zr2=10、Z5=60、Z1=10、Z2=20、Z3=12、Zca=60、Z4=18、Zo=12、Zre=20(120°に対して。360°に対して60に相当)に設定されており、これにより、正運針動作における総減速比Gn=90、フライバック動作における総減速比Gr=45、となり、Gr<Gn、の条件を満たしている。
電子回路90は、図12のタイミングチャートに示すように、正運針モータ51に対して、1秒間隔で1パルス(=1Hz)となるパルス信号を出力することで、レトロ秒針23を、1秒間隔で、秒目盛り12の0秒位置から59秒位置まで、一単位指標12a(角度2[°])ずつ、時計回りR方向に回転させる。
すなわち、正運針動作では、電子回路90は正運針モータ51に対してのみパルス信号を出力するため、正運針モータ51は回転し、レトロモータ52は停止している。
この正運針動作においては、正運針モータ51のロータの第1カナ51aから遊星5番歯車61を介して回転が伝達されることにより、太陽車62は回転するが、レトロモータ52のロータのカナ52aに噛合したキャリア車64は回転しないため、太陽車62に噛合した遊星車63は自転し、この遊星車63の回転動作が、出力車65、出力カナ66、表示車81に順次伝達されて、レトロ秒針23を正運針させる。
正運針動作におけるレトロ秒針23に対する総減速比Gnは90であるから、正運針モータ51のロータの1パルス当たりの回転角度180[°]は、レトロ秒針23において回転角度2[°](=180[°]×(1/90))となり、正運針モータ51に対して入力されるパルス信号は1[Hz]であるから、レトロ秒針23は1秒間隔で、秒目盛り12の一単位指標12a(角度2[°])ずつ時計回りR方向に回転し、秒に対応した正運針動作を得ることができる。
一方、電子回路90は、レトロモータ52に対して、60秒ごとに、例えばレトロ秒針23が59秒位置(59秒に対応したタイミング)にあるときから1秒未満のタイミングで、64Hzのパルス信号を30パルス分出力することで、レトロ秒針23を、約0.5秒間(厳密には、0.47秒間)に、秒目盛り12の一単位指標12aの60秒間分(角度120°に対応)、反時計回り−R方向に回転させる。
すなわち、フライバック動作では、電子回路90はレトロモータ52に対してのみパルス信号を出力するため、正運針モータ51は停止し、レトロモータ52は回転する。なお、正運針モータ51とレトロモータ52とは、反対向きに回転するように設定されている。
このフライバック動作においては、正運針モータ51のロータの第1カナ51aから回転を伝達される太陽車62は停止しているが、レトロモータ52のロータのカナ52aから回転を伝達されるキャリア車64は回転するため、太陽車62に噛合した遊星車63は太陽車62の周囲を公転し、この遊星車63の回転動作が、出力車65、出力カナ66、表示車81に順次伝達されて、レトロ秒針23をフライバック動作させる。
フライバック動作におけるレトロ秒針23に対する総減速比Grは45であるから、レトロモータ52のロータの1パルス当たりの回転角度180[°]は、レトロ秒針23において正運針動作とは反対向きに回転角度4[°](=180[°]×(1/45))となり、レトロモータ52に対して入力されるパルス信号は周波数64[Hz]で30パルス分であるから、レトロ秒針23を、この30パルス分のパルス信号が入力された期間(30/64=0.47[秒間])中に、120[°]反時計回り−R方向に回転させて、秒目盛り12の左端の0秒位置まで一気に復帰させることができる。
厳密には、フライバック動作によってレトロ秒針23が戻る基準位置は、0秒位置ではなく、−1秒位置(59秒位置から角度120[°]戻った位置)であるが、フライバック動作が完了した直後に、正運針モータ51から、レトロ秒針23を1秒に対応した秒目盛り12の一単位指標12a分だけ正運針させる1[Hz]のパルスが入力されるため、レトロ秒針23は−1秒位置までフライバックした直後に0秒位置に戻り、レトロ秒針23が−1秒位置にとどまっている時間は極めて短く、実質的には、0秒位置にフライバックしたものと認識される。
なお、電子回路90がレトロモータ52に対して60秒ごとに1秒間未満のタイミングで64Hzのパルス信号を30パルス分出力するのは、レトロ秒針23が上述した59秒位置(59秒に対応したタイミングの位置)にあるときに限定されるものではなく、60秒位置(60秒に対応したタイミングの位置)に到達した直後のタイミングであってもよい。
すなわち、レトロ秒針23が60秒位置に到達してから1秒間未満(好ましくは0.5秒間未満)のタイミングにおいて、レトロ秒針23をフライバック動作させるように、レトロモータ52を制御するようにしてもよい。ただし、この場合、レトロ秒針23が0秒位置にとどまれる時間は、1秒間からフライバック動作に要する時間である約0.5秒を差し引いた時間であるため、レトロ秒針23が他の位置(例えば、2秒位置や3秒位置など)にとどまれる時間(約1秒間)に対して非常に短くなるため、使用者に対して、違和感を与える虞がある。
一方、最初に説明した、レトロ秒針23が59秒位置に到達してから1秒間未満(好ましくは到達してから約0.5秒後)のタイミングにおいて、レトロ秒針23をフライバック動作させるようにレトロモータ52を制御する本実施形態によれば、レトロ秒針23が0秒位置にとどまれる時間は、他の位置(例えば、2秒位置や3秒位置など)にとどまれる時間(約1秒間)と同等の長さの時間を確保することができるため、使用者に対して違和感を与えにくいという効果がある。
上述したように、本実施形態に係る腕時計100によれば、正運針モータ51を駆動かつレトロモータ52を停止することで、太陽車62は回転するとともにキャリア車64は停止するため、遊星車63は自転し、この遊星車63の回転動作が、レトロ秒針23を正運針動作で駆動する。
これに対して、正運針モータ51を停止し、かつレトロモータ52を駆動することで、太陽車62は停止するとともにキャリア車64は回転するため、遊星車63は太陽車62回りに公転し、この遊星車63の回転動作が、レトロ秒針23をフライバック動作で駆動する。
したがって、電子回路90による、正運針モータ51の停止または駆動、およびレトロモータ52の駆動または停止、をそれぞれ切り替える制御により、単一のレトロ秒針23に伝達される回転動作を正運針動作とフライバック動作とのうち一方に、簡単に切り替えることができる。
しかも、太陽車62、キャリア車64および遊星車63等遊星歯車機構を構成する各歯車の歯数Zを適宜設定することで、レトロ秒針23の動作(回転速度)を任意に設定することができるとともにフライバック専用のモータ(レトロモータ52)を用いているため、フライバック動作のように正運針動作よりも大きな範囲を短時間のうちに移動させるのに要する駆動トルクの不足を防ぐことができるとともに、フライバック動作に要する時間が長くなるのを防止することができる。
さらに、カムとカムレバーとの組合せであるカム機構を用いてフライバック動作を実現する構成ではないため、フライバック動作が開始されるタイミングの精度を向上させることもでき、信頼性の高い高品位の腕時計100を実現することができる。
また、本実施形態に係る腕時計100は、正運針モータ51、遊星歯車機構60および表示車81からなる輪列機構部分の減速比Gnが、レトロモータ52、遊星歯車機構60および表示車81からなる輪列機構部分の減速比Grよりも大きく設定されている(Gr<Gn)ため、フライバック動作のような正運針動作よりも大きな角度範囲を移動(回転)する動作を簡単に実現することができる。
本実施形態に係る腕時計100は、表示部材30として、秒目盛り12が表示された文字板10とこの秒目盛り12の回転角度範囲を往復動して秒目盛り12の一単位指標12aを指し示すレトロ秒針23とを有するものとし、電子回路90は、正運針モータ51を駆動する制御により、レトロ秒針23を0秒位置から正転方向に正運針動作させ、レトロモータ52を駆動する制御により、レトロ秒針23を逆転方向に、かつ正運針動作よりも高速度に、0秒位置に復帰させるフライバック動作を行わせることにより、レトログラード動作を、2つのモータ51,52および遊星歯車機構60の組合せで実現することができる。
なお、上記表示部材30は、レトロ秒針23であるが、時計100が備える文字板10における秒目盛り12と対応関係がないものであってもよい。指標となる秒目盛り12が無くとも、文字板10上におけるレトロ秒針23の指し示す位置に応じて、使用者はレトロ秒針23が表す概略の秒を把握することができるため、そのような表示指針のみからなる表示部材30であっても、大きな影響はないからである。
また、指針のように先端部が鋭く尖っているものである必要もなく、アニメーション等のキャラクタ等を付したものを適用することもできる。
さらに、指針のような表示部材ではなく、カレンダ機能に用いられる日板と同様に、秒の数字や他の形態のインデック等が記載された扇形等の板状体(秒板という。)などでもよい。なお、いわゆるムーン・フェイズのように、秒を数字で表す代わりに、色彩の変化や模様等を変化させた秒板等を適用することもできる。
また、本実施形態に係る腕時計100によれば、秒針23を正運針動作させることで、通常の時刻表示またはクロノグラフ動作における時間表示を行なわせるとともに、0秒位置にフライバック動作させることで、日付表示や曜日表示においてレトログラード動作させる時計よりも、視覚的な変化を頻繁に披露することができ、動作の変化を視認させる機会を格段に増やして、商品性を高めることができる。
本実施形態に係る腕時計100においては、正運針モータ51およびレトロモータ52はいずれもパルスモータであり、電子回路90は、これら両モータ51,52を駆動するパルス信号のパルス数を計数するカウンタと、このカウンタにより計数されたパルス数とレトロ秒針23の回転角度位置との対応関係が予め設定された初期的な状態に戻す初期化手段と、を内部に備えている。
これにより、電池が消耗等して、パルス数やレトロ秒針23の現在位置を記憶しているメモリにおける記憶内容が消失した場合においても、そのような初期化手段によるリセット機能を実行することで、パルス数とレトロ秒針23の回転角度位置との対応関係を、予め設定された初期的な状態に簡単に戻すことができる。
以下、この初期的な状態に戻す作用について、図13に示したタイミングチャートを参照して説明する。
(1)まず、リューズが引き出され(プッシュボタンなどの外部操作部材に対する操作であってもよい。)、針合わせ(時刻合わせ)のできるリセット状態とされる。このときレトロ秒針23は、その時点における動作位置で停止する。
(2)次いで、レトロ秒針23が、偶数秒に対応した位置に停止しているのか、または奇数秒に対応した位置に停止しているのかの別を、電子回路90内部のカウンタに基づいて電子回路90が判定し、偶数秒に対応した位置で停止していると判定されたときは、レトロ秒針23が奇数秒に対応した位置で停止した状態となるように、正運針モータ51が1パルス(☆印)を出力する。奇数秒に対応した位置で停止していると判定されたときは、正運針モータ51からパルス(☆印)は出力されない。
このように、レトロ秒針23を奇数秒に対応した位置に停止させる理由は、本実施形態においてはレトロ秒針23が59秒という奇数秒に対応した位置を指し示した後にフライバックするように設定されており、フライバックの1ステップは角度4[°](秒目盛り12の一単位指標12aの2つ分(2秒))であるから、フライバック動作中にレトロ秒針23がステップごとに指し示す秒の位置は、常に奇数秒(59秒→57秒→55秒→…→1秒→−1秒)に対応した位置となり、電子回路90がフライバック後に正運針動作に切り替える制御の設計を行う上で、この奇数秒の位置を始点位置とするのが都合がよいからである。
(3)レトロモータ52に対して30パルス分の信号が出力され、レトロ秒針23は、表示車81の突当て部81eがストッパ43の爪43aに突き当たったとき、−1秒に対応した位置で停止し、停止後の残りのパルス信号によっても、レトロモータ52のロータは回転できずに、いわゆるパルスの空打ちとなり、30パルス分の信号の出力終了時は、常にレトロ秒針23は−1秒に対応した位置に停止した状態となり、初期位置へのリセットとなる。
(4)そして、レトロモータ52への30パルスの信号出力終了直後に、電子回路90は、正運針モータ51に対して1パルス分の信号が出力され、正運針モータ51は、−1秒に対応した位置を指し示しているレトロ秒針23を1秒分(正運針モータ51の1ステップ(1パルスに対応)の角度2[°]に対応した秒数)変位させ、レトロ秒針23は基準位置である0秒位置に停止した状態となる。
(5)その後、リューズが押し込まれてリセット状態が解除されると、正運針モータ51による1[Hz]のパルス信号に対する上述した正運針が再開して、レトロ秒針23は1秒ごとに2[°](一単位指標12aの1つ分)ずつ回転する。
(6)そして、59秒に対応したタイミングから約0.5秒後に、レトロモータ52に対して、64[Hz]のパルス信号が30パルス分出力されて、レトロ秒針23は、−1秒位置までフライバックする。
(7)ここで、上述の初期的な状態に戻した動作(上記(3)の動作終了時)では、レトロモータ52の、ステータに対するロータの磁極の極性が反転している可能性があり、ロータの極性がリセット前の状態に揃っていない場合は、リセット解除後の最初のフライバック動作(上記(6)の動作)において、レトロモータ52の、ステータに対するロータの磁極の極性を、リセット動作前の状態に揃える必要がある。
そこで、この場合は、レトロモータ52に対するパルス信号を1パルス分余分に出力(31パルス出力)する。このとき、ロータの磁極の極性が、リセット前の状態に揃っていないときは、最初の1パルス目が空打ちとなり、これによって、ロータの磁極の極性を常に一定に揃えることができる。なお、1パルス目が空打ちになったか否かは、入力パルスによって生じた逆起電力を検出することで、電子回路90が判定する。
また、本実施形態に係る腕時計100は、電子回路90が、レトロ秒針23の針付けや機構の調整のためのテストを行うために、各モータ51,52の動作を制御するテストモードを有しており、以下、このテストモードの制御内容を、図14に示したタイミングチャートを参照して説明する。
本実施形態の腕時計100は、レトロ秒針23が秒目盛り12の範囲(120[°]の角度範囲)を逸脱したり、表示車81の歯81bが出力カナ66との噛合いを逸脱するのを防止するために、基板41にストッパ43を備えているが、ストッパ43の爪43aが表示車81の突当て部81eに突き当たった状態が、レトロモータ52のロータの回転停止位置に完全に一致するように設定されていると、レトロモータ52のロータは、完全に180[°]回転し切らずに戻ってしまう場合が生じ得る。したがって、ロータの回転停止位置が不安定になる虞がある。
そこで、表示車81の歯81bが出力カナ66との噛合いを維持し、あるいは基板41の外周縁から突出しないような反時計回り−R方向の最大許容角度になる位置に、ストッパ43を仮止めする。
このとき、表示車81は、このストッパ43の爪43aに実際の突き当てる必要はない。
電子回路90によるテストモードでは、電子回路90がモータ51,52を制御することで、表示車81は反時計回り−R方向の最大限度の角度位置まで回転される。
そして、表示車81の突当て部81eがストッパ43の爪43aに突き当てられた後は、レトロモータ52に対するパルスは空打ちとなり、表示車81は回転しない。
表示車81の突当て部81eとストッパ43の爪43aとの隙間が、表示車81のフライバック動作における1パルスに対応した回転角度(4[°])の1/4(1[°])と、正運針動作における1パルスに対応した回転角度(2[°])との和(3[°])となるように、ストッパ43の爪43aの位置を調整し、固定する。
ここで、ロータは回転作動中に多少のオーバーランを生じる構造的な問題を有しており、ストッパ43に突き当てる機械的な方策によってこの問題を解決しようとすると、ロータの回転動作が不安定になる虞があり、上述した調整・固定により、このようなオーバーランによる動作分に対応して余裕を設けるとともに、上述したロータの回転停止位置の一致を回避することができる。
この状態で、レトロ秒針23を0秒位置に取り付ける。図14に示したA期間は、両モータ51,52ともに停止しており、上述した機構の調整および針付け作業を行う。
テストモードを解除すると、59.5秒後に訪れるレトロモータ52の最初の動作では、上述した強制的な回転がストッパ43の爪43aによって機械的に止められたため、電子回路の出力パルス数とレトロモータ52のロータの位相とが一致してない場合がある。
そこで、上述した初期位置合せの動作と同様に、テストモード後の初回の動作では、極性判別機能を有したモータ駆動パルスを含むレトロ運針パルス(図14における※印部)を出力する。これにより、ロータ回転停止位置を安定させることができる。
(実施形態2)
図15は、本発明に係る時計の他の実施形態であって、 図示の腕時計100′は、モード指針27aがモード表示指標27の「TME」を指し示している「通常運針モード」のときは、文字板10′の中心C1を回転中心とする時針21、分針22および秒針23′(表示部材(表示指針))が、等角度間隔および中心C1から等距離の位置に形成された目盛り12′の各切分15をそれぞれ指し示すことで、時刻の時と分と秒とを表示する。
この通常運針モードでは、図16(a)に示すように、秒針23′が、角度θ1=6[°]間隔(第1の角度間隔)で、時計回りR方向に移動する通常の秒運針動作(以下、通常運針動作という。)を行う。
一方、モード指針27aがモード表示指標27の「CHR」を指し示している「クロノグラフモード」のときも、秒針23′が目盛り12′の切分15(指標)を指し示すことで、計測時間の秒を表示するが、このクロノグラフモードでは、図16(b)に示すように、秒針23′が、通常運針動作での移動角度θ1よりも狭い角度間隔である角度θ2=1.2[°]間隔(第2の角度間隔)で、時計回りR方向に移動するクロノグラフ動作を行う。
このため、目盛り12′には、通常運針動作による秒表示用の切分15の間を5等分するクロノ用切分16(指標)が形成されている。
モード表示指標27は、詳細には、図17に示すように、通常運針モードの「TME」、クロノグラフモードの「CHR」の他、時差の有る他地域の時刻(ローカル時刻)を表示するローカルタイムモード「L−TM」、各指針21,22,23′の基準位置を確認・修正するために基準位置を表示する基準位置確認モード「>0<」、アラーム時刻を設定・確認するためにアラーム時刻を表示するアラームモード「ALM」および日付(年、月、日、曜)を表示するカレンダモード「CAL」が設けられており、モード切替ボタンS2を押下するごとに、モード指針27aが回転して、指し示すモード表示指標27を切り替えるとともに、腕時計100′が備える電子回路90′が、切り替えられたモードに応じた動作を行うように、後述するモータ51′および52′を制御している。
なお、図15において、符号22′はクロノグラフモード「CHR」において計測時間の分を表すように回転するクロノグラフ分針(60分計)を表し、符号21′はローカルタイムモード「L−TM」においてローカル時刻を表すように回転するローカルタイム時針(24時間計)を表す。
そして、本実施形態の腕時計100′は、図18のブロック図に示すように、通常運針モード「TME」における通常運針動作を行わせる通常運針モータ51′(第1のモータ)と、クロノグラフモードの「CHR」におけるクロノグラフ動作を行わせるクロノ運針モータ52′(第2のモータ)と、これら通常運針モータ51′およびクロノ運針モータ52′にそれぞれ噛合した遊星歯車機構60′と、遊星歯車機構60′に噛合した表示車81′(一般的な機械式の時計等において秒針が取り付けられている四番車)および表示車81′の回転速度に同期した回転動作を行う表示部材30′(秒針23′)と、通常運針モータ51′およびクロノ運針モータ52′の動作に応じた表示部材30′(秒針23′)による複数種類の回転動作を切り替えるように、少なくとも通常運針モータ51′およびクロノ運針モータ52′を制御する電子回路90′とを備えている。
なお、表示車81′は、分針22および時針21にそれぞれ固定され、図示を省略した歯車を含む輪列機構の一部を構成するとともに、クロノグラフ分針22′およびローカルタイム時針21′にそれぞれ固定され、図示を省略した歯車を含む輪列機構の一部を構成している。
図19,20は、図18に示した遊星歯車機構60′を示す断面図であり、この遊星歯車機構60′の基本的な構成は、回転軸C3回りに回転する太陽車62、太陽車62と噛合した遊星車63、遊星車63を回転自在に支持するとともに太陽車62の回転軸C3と同一直線上に回転軸を有するキャリア車64および遊星車63に噛合した出力車65を備えたものであり、本実施形態においては、所望の減速比および占有スペースの観点から、回転軸C3回りに回転する遊星5番歯車61が太陽車62に一体化され、さらに、回転軸C3回りに回転する出力車65が設けられている。
なお、実施形態1における遊星歯車機構60は、出力カナ66を有していたが、実施形態2における遊星歯車機構60は、出力車65が出力カナ66を兼用する形式となっていて、出力カナ66は備えられていない。
図示において、太陽車62および回転軸C3に沿って延びた太陽車軸62aは一体であり、遊星5番歯車61は、太陽車軸62aに固定されており、キャリア車64、および出力車65は、太陽車軸62aに対して回転自在に支持されている。図示において、符号67は、これらキャリア車64、および出力車65が太陽車軸62aから脱落するのを防止するためのストッパである。
また、遊星車63は、遊星5番歯車61とキャリア車64との間に配置された遊星車上カナ63aと、キャリア車64を挟んで遊星車上カナ63aとは反対の面側に配置された遊星車下カナ63bとからなり、これら遊星車上カナ63aおよび遊星車下カナ63bは、共通の回転軸回りに一体的に構成され、キャリア車64に対してその共通の回転軸回りに回転自在とされている。
そして、遊星車63のうち遊星歯車上カナ63aが太陽車62に噛合し、遊星歯車下カナ63bが出力車65に噛合している。
通常運針モータ51′の出力軸であるロータのカナ51a′が、遊星5番歯車61を介して太陽車62に回転を伝達し、クロノ運針モータ52′の出力軸であるロータのカナ52a′が、キャリア車64に回転を伝達する構造となっている。
また、表示車81′は、上述した各モータ51′,52′、遊星歯車機構60′および電子回路90′等と同様に、時計ムーブメント(図示省略)の基板41上に配置されており、この表示車81′に秒針23′が結合されている。
なお、各図において、実施形態1の腕時計100におけるものと同一符号の構成(例えば輪列受69など)については、実施形態1の腕時計100におけるものと同一の作用、効果を奏するため、説明を省略する。
ここで、両モータ51′,52′はいずれもパルスモータ(一般的な時計用ステップモータであってもよいし、マルチモータであってもよい。)であり、電子回路90′から入力された制御信号に応じたタイミング、角度だけ、そのロータのカナ51a′,52a′を回転させるものであり、本実施形態における両モータ51′,52′は、電子回路90′からの制御信号の1パルス当たり、ロータのカナ51a′,52a′をそれぞれ180[°]回転させるように設定されている。
通常運針モータ51′、遊星歯車機構60′および表示車81′と、クロノ運針モータ52′、遊星歯車機構60′および表示車81′とは、それぞれ秒針23′に対する減速輪列機構を構成しており、この減速輪列機構のうち、クロノ運針モータ52′から表示車81′までの輪列機構部分による減速比Gcは、通常運針モータ51′から表示車81′までの輪列機構部分による減速比Gmよりも大きく設定されている(Gm<Gc)。
すなわち、通常運針モータ51′のカナ51a′の歯数をZr1、クロノ運針モータ52′のカナ52a′の歯数をZr2、遊星5番歯車61の歯数をZ5、太陽車62の歯数をZ1、遊星車上カナ63aの歯数をZ2、遊星車下カナ63bの歯数をZ3、キャリア車64の歯数をZca、出力車65の歯数をZ4、表示車81′の歯数をZre、とすると、
(1)正運針動作における総減速比Gmは、
Gm=(Z5×Z2×Z4×Zre)/(Zr1×Z1×Z3×Z4)
であり、
(2)クロノ運針動作における総減速比Gcは、
Gc=(Zca/Zr2)×[1/{1−(Z1×Z3)/(Z2×Z4)}]×(Zre/Z4)
である。
そして、各歯数Zは、Zr1=10、Zr2=10、Z5=50、Z1=10、Z2=20、Z3=20、Zca=50、Z4=12、Zre=60に設定されており、これにより、通常針動作における総減速比Gm=30、クロノ運針動作における総減速比Gc=150、となり、Gm<Gc、の条件を満たしている。
電子回路90′は、図21のタイミングチャートに示すように、通常運針動作では、通常運針モータ51′に対して、1秒間隔で1パルス(=1Hz)となるパルス信号を出力することで、秒針23′を、1秒間隔で、目盛り12′の切分15の一目盛り分(角度θ1=6[°])ずつ、時計回りR方向に回転させる。
すなわち、通常運針動作では、電子回路90′は通常運針モータ51′に対してのみパルス信号を出力するため、通常運針モータ51′は回転し、クロノ運針モータ52′は停止している。
この通常運針動作においては、通常運針モータ51′のロータのカナ51a′から遊星5番歯車61を介して回転が伝達されることにより、太陽車62は回転するが、クロノ運針モータ52′のロータのカナ52a′に噛合したキャリア車64は回転しないため、太陽車62に噛合した遊星車63は自転し、この遊星車63の回転動作が、出力車65、表示車81′に順次伝達されて、秒針23′を通常運針させる。
通常運針動作における秒針23′に対する総減速比Gmは30であるから、通常運針モータ51′のロータの1パルス当たりの回転角度180[°]は、秒針23′において回転角度6[°](=180[°]×(1/30))となり、通常運針モータ51′に対して入力されるパルス信号は1[Hz]であるから、秒針23′は1秒間隔で、目盛り12′の切分15の一目盛り分(角度θ1=6[°])ずつ、時計回りR方向に回転し、秒に対応した通常運針動作を得ることができる。
一方、モード切替ボタンS2が押下されて、モード指針27aがモード表示指標27の「CHR」を指し示すように動作モードがクロノグラフモードに切り替えられると、電子回路90′は、通常運針モータ51′に対して、秒針23′を目盛り12′の0秒に対応した切分15に一致させる(帰零)ように、周波数の高い例えば64[Hz]のパルス信号を、帰零に必要な数だけ出力する。なお、この電子回路90′が出力するパルスの数は、電子回路90′が通常運針モータ51′に対して出力したパルスの数を常に記憶しているため、帰零に必要なパルス数は、この記憶されているパルス数を60で除した余りの数を、60から差し引くことで、算出されている。
ここで、電子回路90′は、通常運針モードから他の動作モードに切り替えられた後も、通常運針動作における時刻の時、分、秒を常に更新しつつ記憶しており、切り替えられた他のモードから元の通常運針モード「TME」に復帰したときは、秒針23′が、その復帰したときの時刻(電子回路90′が記憶している時、分、秒)における秒に対応した切分15を指し示すように、通常運針モータ51′を制御する。
通常運針モータ51による帰零動作が完了後、スタート・ストップボタンS1が押下されると、電子回路90′は、クロノ運針モータ52′に対して、0.2[秒]間隔で1パルスとなるパルス信号(すなわち、5[Hz]のパルス信号)を出力する。
この5[Hz]のパルス信号が出力されるクロノ運針動作では、クロノ運針モータ52′に対して、0.2秒間隔で1パルス(=5Hz)となるパルス信号を出力することで、秒針23′を、0.2秒間隔で、目盛り12′のクロノ用切分16の一目盛り分(角度θ2=1.2[°])ずつ、時計回りR方向に回転させる。
すなわち、クロノ運針動作では、電子回路90′はクロノ運針モータ52′に対してのみパルス信号を出力するため、通常運針モータ51′は停止し、クロノ運針モータ52′は駆動されている。
このクロノ運針動作においては、クロノ運針モータ52′のロータのカナ52a′に噛合したキャリア車64は回転するが、通常運針モータ51′のロータのカナ51a′に噛合した太陽車62は回転しないため、太陽車62に噛合した遊星車63は公転し、この遊星車63の回転動作が、出力車65、表示車81′に順次伝達されて、秒針23′をクロノ運針動作させる。
クロノ運針動作における秒針23′に対する総減速比Gcは150であるから、クロノ運針モータ52′のロータの1パルス当たりの回転角度180[°]は、秒針23′において回転角度1.2[°](=180[°]×(1/150))となり、クロノ運針モータ52′に対して入力されるパルス信号は5[Hz]であるから、秒針23′は0.2秒間隔で、目盛り12′のクロノ用切分16の一目盛り分(角度θ2=1.2[°])ずつ、時計回りR方向に回転し、0.2秒間に対応したクロノ運針動作を得ることができる。
そして、スタート・ストップボタンS1が再度押下されると、電子回路90′は、クロノ運針モータ52′に対する5[Hz]のパルス信号の出力を停止し、これにより秒針23′は、対応するいずれかのクロノ用切分16または切分15を指し示した状態で停止する。
次に、モード切替ボタンS2が押下されて、モード指針27aが、モード表示指標27のうち、「CHR」に隣接する「TME」(通常運針モード)に切り替えられると、電子回路90′は、最初に秒針23′が正秒(切分15の位置)に位置するように、必要な数(0個〜4個;電子回路90が備えた内部のカウンタで計数された結果に基づいて必要数を把握)のパルス信号をクロノ運針モータ52′に出力する。その後、電子回路90′内において常に更新しつつ記憶されている現在時刻における秒に対応した切分15を、秒針23′が指し示すように、通常運針モータ51′に対して、必要な数のパルス信号を出力する。
この必要なパルス信号数は、電子回路90′内で更新されながら記憶されている現在時刻における秒に対応した秒針23′の想定位置(目盛り12′のいずれかの切分15)と、クロノ運針モードにおいて停止されている秒針23′の実際の位置(目盛り12′のいずれかの切分15)との関係に基づいて、電子回路90′が算出することで、設定される。
なお、この他のモード(特にクロノグラフモード「CHR」)から元の通常運針モード「TME」に復帰したとき、電子回路90′が通常運針モータ51′に対して出力する単一または複数のパルス信号は、通常運針モータ51′が有する性能に対応した高い周波数(例えば64[Hz]等)の信号であることが好ましい。ごく短時間のうちに、秒針23′を現在時刻の秒に対応した切分15に復帰させることができるからである。
以上のように、本実施形態に係る腕時計100′によれば、通常運針モータ51′を駆動かつクロノ運針モータ52′を停止することで、太陽車62は回転するとともにキャリア車64は停止するため、遊星車63は自転し、この遊星車63の回転動作が、秒針23′を通常運針動作で駆動する。
これに対して、通常運針モータ51′を停止かつクロノ運針モータ52′を駆動することで、太陽車62は停止するとともにキャリア車64は回転するため、遊星車63は太陽車62回りに公転し、この遊星車63の回転動作が、秒針23′をクロノグラフ動作で駆動する。
したがって、電子回路90′による、通常運針モータ51′の停止または駆動、およびクロノ運針モータ52′の駆動または停止、をそれぞれ切り替える制御により、単一の秒針23′に伝達される回転動作を通常運針動作とクロノ運針動作とのうちの一方に、簡単に切り替えることができる。
しかも、太陽車62、キャリア車64および遊星車63等遊星歯車機構を構成する各歯車の歯数Zを適宜設定することで、秒針23′の動作(回転角速度やステップごとの角度間隔)を任意に設定することができ、クロノグラフ動作時の時間分解能を要望に応じて適宜設計することができる。
また、本実施形態に係る腕時計100は、クロノ運針モータ52′、遊星歯車機構60′および表示車81′からなる輪列機構部分の減速比Gcが、通常運針モータ51′、遊星歯車機構60′および表示車81′からなる輪列機構部分の減速比Gmよりも大きく設定されている(Gm<Gc)ため、クロノグラフ動作のような通常運針動作よりも小さな角度範囲(θ2<θ1)を移動する高分解能の動作(時系列的には、1秒未満の時間分解能)を簡単に実現することができる。
以上のように、本実施形態の腕時計100′によれば、高品位のクロノグラフ機能付きの時計を実現することができる。
本発明に係る時計の実施形態1の要部を示す斜視図である。 図1に示した腕時計の構成を示すブロック図である。 図2に示した遊星歯車機構を示す断面図である。 遊星雄歯車機構を示す斜視図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は遊星5番歯車の記載を省略した斜視図、(c)は下方から見た斜視図、をそれぞれ示す。 2つのモータ、遊星歯車機構および減速輪列の配置を示す斜視図である。 2つのモータと遊星歯車機構等との噛合状態を示す要部断面図(その1)である。 2つのモータと遊星歯車機構等との噛合状態を示す要部断面図(その2)である。 表示車を示す斜視図である。 減速輪列を含む時計ムーブメントの要部断面図である。 図9に対して輪列受を加えた斜視図である。 秒飾り機構を示す分解斜視図である。 レトログラード動作を説明するタイミングチャートである。 初期的な状態に戻す作用を説明するタイミングチャートである。 レトロ秒針の針付けや機構の調整のためのテストを行うテストモードを説明するタイミングチャートである。 本発明に係る時計の実施形態2を示す外観図である。 秒針の動作の一例を示す模式図であり、(a)は通常運針動作、(b)はクロノグラフ運針動作、をそれぞれ示す。 モード表示指標の詳細を示す図である。 実施形態2の腕時計の構成を示すブロック図である。 図18に示した遊星歯車機構を示す断面図(その1)である。 図18に示した遊星歯車機構を示す断面図(その2)である。 実施形態2の腕時計の電子回路による制御を説明するタイミングチャートである。
符号の説明
12 秒目盛り
23 レトロ秒針
30 表示部材
51 正運針モータ(第1のモータ)
52 レトロモータ(第2のモータ)
60 遊星歯車機構
81 表示車
90 電子回路
100 腕時計(時計)

Claims (15)

  1. (遊星歯車機構&2つのモータ&回転動作の切替え)
    太陽車、前記太陽車に噛合した遊星車、前記遊星車を回転自在に支持するとともに前記太陽車の回転軸と同一直線上に回転軸を有するキャリア車および前記遊星車に噛合した出力車を備えた遊星歯車機構と、
    そのロータが前記太陽車に回転を伝達する第1モータと、
    そのロータが前記キャリア車に回転を伝達する第2モータと、
    前記出力車から回転の伝達を受ける表示車および前記表示車の回転速度に同期した回転動作を行う表示部材と、
    前記第1モータおよび前記第2モータの動作に応じた前記表示部材による複数種類の回転動作を切り替えるように、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する電子回路と、を備えたことを特徴とする時計。
  2. 前記第1モータ、前記第2モータ、前記遊星歯車機構および前記表示車により、減速輪列機構を形成するとともに、
    前記減速輪列機構のうち、前記第1モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比が、前記第2モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の時計。
  3. 前記表示部材は、所定の回転角度範囲を往復動するものであり、
    前記電子回路は、前記第1モータを駆動する制御により、前記表示部材を所定の基準位置から正転方向に通常運針動作を行わせ、前記第2モータを駆動する制御により、前記表示部材を逆転方向に、かつ前記通常運針動作よりも高速度に、前記基準位置に復帰させるフライバック動作を行わせることを特徴とする請求項1または2に記載の時計。
  4. 前記表示部材は、前記通常運針動作によって、時刻表示または時間表示における秒の表示を行ない、
    前記基準位置は、時刻表示または時間表示における0秒に対応した位置に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の時計。
  5. 前記表示部材の回転中心は、時計ムーブメントの周縁近傍に設置されているとともに、
    前記表示車は、その回転軸が前記表示部材の回転軸と同心となるように配設され、かつその回転軸回りの略半周の範囲についてのみ前記出力車から回転の伝達を受ける歯が形成され、前記歯の形成されていない範囲に対応した外周縁は、前記歯の形成されている範囲に対応した外周縁よりも、前記回転軸からの半径が短く形成され、この短い半径の外周縁側が前記時計ムーブメントの周縁に近い側に位置するように配設されていることを特徴とする請求項3または4に記載の時計。
  6. 前記電子回路は、前記通常運針動作における前記表示部材を、59秒に対応したタイミングから1秒未満のタイミングにおいて前記フライバック動作するように、前記第2モータを制御することを特徴とする請求項4または5に記載の時計。
  7. 前記電子回路は、前記通常運針動作における前記表示部材を、60秒に対応したタイミングから1秒未満のタイミングにおいて前記フライバック動作するように、前記第2モータを制御することを特徴とする請求項4または5に記載の時計。
  8. 前記第1モータおよび前記第2モータはステップモータであり、前記電子回路は、前記第1モータおよび第2モータを駆動するパルスの数を計数するカウンタを有し、
    前記カウンタにより計数されたパルスの数と前記表示部材の回転角度位置との対応関係を予め設定された初期的な状態に戻す初期化手段を備えていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の時計。
  9. 時分指針を駆動する時分針用減速輪列を備え、
    前記第1モータは、前記時分針用減速輪列に対しても回転を伝達することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載の時計。
  10. 前記時分針用減速輪列の一部に、前記時分針用減速輪列の動きに連動した秒飾り機構を備えたことを特徴とする請求項9に記載の時計。
  11. 前記第1モータ、前記第2モータ、前記遊星歯車機構および前記表示車により、減速輪列機構を形成するとともに、
    前記減速輪列機構のうち、前記第2モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比が、前記第1モータから前記表示車までの輪列機構部分による減速比よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の時計。
  12. 前記表示部材は、一方向に回転動作するものであり、
    前記電子回路は、前記第1モータを駆動する制御により、前記表示部材を第1の角度間隔で通常運針動作を行わせ、前記第2モータを駆動する制御により、前記表示部材を前記第1の角度間隔よりも角度間隔が狭い第2の角度間隔で、かつ前記通常運針動作よりも高い周波数の高分解能の運針動作を行わせることを特徴とする請求項1または11に記載の時計。
  13. 前記表示部材は、前記通常運針動作によって、時刻表示または時間表示における秒の表示を行ない、前記高分解能の運針動作によって、1秒未満の時間分解能を有するクロノグラフの表示を行うことを特徴とする請求項12に記載の時計。
  14. 前記遊星車は、前記キャリア車の一方の面側に配置された遊星上カナ、および前記キャリア車の他方の面側に配置された、前記遊星上カナと一体的に回転する遊星下カナを備え、前記遊星上カナおよび前記遊星下カナのうち一方が前記太陽歯車に噛合し、他方が前記出力車に噛合していることを特徴とする請求項1から13のうちいずれか1項に記載の時計。
  15. 指標が表示された文字板をさらに有し、前記表示部材は前記指標を指し示しつつ前記回転動作を行う表示指針であることを特徴とする請求項1から14のうちいずれか1項に記載の時計。
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