JP2009019177A - 乾性潤滑被膜組成物及び該乾性潤滑被膜組成物を摺動層としたすべり軸受 - Google Patents

乾性潤滑被膜組成物及び該乾性潤滑被膜組成物を摺動層としたすべり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】 軸受性能、特に非焼付性、初期なじみ性、耐キャビテーション性を一層向上できるすべり軸受を提供する。
【解決手段】 銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層1の表面に摺動層2を備え、摺動層2は、ポリアミドイミド樹脂を主成分とし、エポキシ樹脂、カップリング剤を添加し高せん断を加えポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、20〜75質量%の固体潤滑剤と、を含む構成としたことにより、摺動層2に靭性と強度が付与され、非焼付性、初期なじみ性、耐キャビテーション性も向上できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、乾性潤滑被膜組成物及び該乾性潤滑被膜組成物を摺動層としたすべり軸受に関する。
従来、自動車エンジン用軸受は、鋼板製の裏金上に銅系軸受合金やアルミニウム系軸受合金を接合したものであった。この種のすべり軸受においては、例えば、特開平4−83914号公報(特許文献1)や特開平9−79262号公報(特許文献2)等に示されるように、軸受合金層の表面に、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、ポリイミド樹脂 (PI樹脂)、エポキシ樹脂(EP樹脂)等の熱硬化性樹脂に固体潤滑剤等を含有した摺動層を被覆形成することにより、耐摩耗性・非焼付性・初期なじみ性の向上を図ることが行われている。また、特開2001−343022号公報(特許文献3)に示されるように、保護層を、固体潤滑剤と、極性溶媒に可溶な熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなるバインダーにより構成してなじみ性を維持しつつ早期の耐摩耗性の向上を図ることが行われている。
また、すべり軸受使用時において、潤滑油中でキャビティー(気泡)が発生し、その結果、軸受表面にエロージョンが発生する現象がある。これは、潤滑油中に発生したキャビティーが高い圧力のもとで崩壊し、崩壊時のエネルギーが軸受表面を侵蝕的に破壊させる現象である。その対策として摺動層の材料強度を上げることにより、耐キャビテーション性を向上させてきた。例えば、特開2004−19758号公報(特許文献4)には、ポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI樹脂)に固体潤滑剤等を含ませた摺動層を設けることにより、耐摩耗性、非焼付性、耐キャビテーション性の向上を図ることが行われている。また、特開2003−56566号公報(特許文献5)には、鉛を含む固体潤滑剤とPAI樹脂、PI樹脂、EP樹脂及びPBI樹脂の少なくとも1種からなる樹脂バインダーにより、摺動特性の改善が行われている。更に、前述した特開平9−79262号公報、特開平7−247493号公報(特許文献6)には、シランカップリング剤などで固体潤滑剤表面を被覆することにより、バインダー樹脂と固体潤滑剤を強固に一体化することにより、固体潤滑剤の脱落を防止でき、初期なじみの向上を図ることが行われている。
特開平4−83914号公報 特開平9−79262号公報 特開2001−343022号公報(段落0007) 特開2004−19758号公報 特開2003−56566号公報 特開平7−247493号公報
しかし、上記した特許文献1〜特許文献6に記載される発明においては、近年の高出力化及び高回転化した内燃機関のすべり軸受に要求される軸受性能(非焼付性・初期なじみ性・耐キャビテーション性)を充分に充足するものではなかった。例えば、上記の特許文献5に開示される発明は、PAI樹脂、PI樹脂、EP樹脂及びPBI樹脂を混合し樹脂バインダーとするとの記載があるが、単純なポリマーブレンドであると、樹脂どうしが相溶しておらず、樹脂がクラスター状に分散されているのみである。そのため、摺動層内において物性のバラツキが発生し、充分な非焼付性、特に耐キャビテーション性が得られないという欠点があった。
また、上記した特許文献3には、『熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂は溶媒に溶かされると、分子に近い極微細な単位で渾然と混じり合い、・・・・・中間の性質を持つようになる。』との記載があるが、『渾然と混じり合う』とは溶媒中にて熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が極微細ではあるが、クラスター状となっていること意味している(マイクロクラスター)。そのため、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は相溶しておらず、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を微細な分散を行うことにより、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の中間の性質を実現している。キャビテーション現象がおこる条件で使用されるすべり軸受の摺動層として用いられる場合には、キャビテーションによる応力が物理的性質の連続しなくなる各樹脂相の界面に集中するため耐キャビテーション性は低下するという欠点があった。
また、上記した特許文献2,6には、シランカップリング剤などで固体潤滑剤表面を被覆し、バインダー樹脂と固体潤滑剤を強固に一体化することにより、固体潤滑剤の脱落を防止でき、初期なじみの向上を図ることが行われている。実施例内容では先にシランカップリング剤などで固体潤滑剤表面を被覆し、次いでバインダーとの混合を行っている(前処理法)。そのため、シランカップリング剤の多くは固体潤滑剤とバインダー間に存在しており、軸受合金層の表面とバインダー間の密着性向上は充分でない。また、カップリング剤などの添加方法として、バインダー樹脂に直接カップリング剤を添加するインテグラルブレンド法がある。しかし、特許文献3と同様に、クラスター状となっており、樹脂バインダー中にカップリング剤が点在しているため軸受合金層の表面とバインダー間の密着性向上は充分でない。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、軸受性能、特に非焼付性、初期なじみ性、耐キャビテーション性を一層向上できる乾性潤滑被膜組成物及び該乾性潤滑被膜組成物を摺動層としたすべり軸受を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、主成分であるポリアミドイミド樹脂にエポキシ樹脂、カップリング剤を添加し、高せん断を加えポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、20〜75質量%の固体潤滑剤を分散含有していることを特徴とする。
請求項2に係る発明においては、請求項1記載の乾性潤滑被膜組成物において、前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化タングステンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
請求項3に係る発明においては、請求項1又は請求項2記載の乾性潤滑被膜組成物において、前記ポリマーアロイ化樹脂100重量部中のエポキシ樹脂の配合量が3〜30重量部であることを特徴とする。
請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物において、前記ポリマーアロイ化樹脂100重量部中のカップリング剤の配合量が0.3〜10重量部であることを特徴とする。
請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物において、前記ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が、150〜350℃であることを特徴とする。
請求項6に係る発明においては、銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面の摺動層を、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物としたすべり軸受を特徴とする。
請求項7に係る発明においては、請求項6記載のすべり軸受において、前記摺動層は、摺動層表面粗さが、Ra0.5μm以下であることを特徴とする。
請求項8に係る発明においては、請求項6又は請求項7記載のすべり軸受において、前記摺動層は、摺動層膜厚が1〜30μmであることを特徴とする。
請求項1に係る発明において、摺動層の主成分となるポリアミドイミド樹脂(以下、「PAI樹脂」という。)は、熱硬化性樹脂のなかでも耐熱性に優れていると共に、材料強度が高いので、耐摩耗性を向上できる。また、高温雰囲気における材料強度の低下や、摺動時の発熱による材料強度の低下も少ないので、高温摺動時でも良好な耐摩耗性を維持できる。さらにPAI樹脂は、エポキシ樹脂(以下、「EP樹脂」という。)、カップリング剤を添加し高せん断を加えポリマーアロイ化されることにより、樹脂バインダー自体の接着性が向上する。そのため軸受合金層の表面とバインダー間の密着性が向上し、摺動層の剥離が防止できるため非焼付性、耐キャビテーション性が向上できる。ポリマーアロイ化する前のPAI樹脂、EP樹脂またはカップリング剤は、それぞれの樹脂の分子どうしが絡み合った状態にある。通常の混合方法では、分子どうしの絡み合いを、完全にはほぐすことができないので樹脂どうしを完全に相溶させることができない。高せん断を加えながら混合すると各樹脂の分子どうしの絡み合いがほぐされて樹脂どうしを均質に相溶させることができる。
また、摺動層は固体潤滑剤を含有しているため、摩擦係数を小さくでき、非焼付性を向上できる。この場合、固体潤滑剤の含有率が20質量%未満では固体潤滑剤による潤滑性向上効果がほとんど得られず、75質量%を超えると、耐キャビテーション性が低下する。従って、固体潤滑剤の含有率としては、20〜75質量%の範囲が好ましい。
また、請求項2に係る発明のように、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)、グラファイト、二硫化タングステンから選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
また、EP樹脂は摺動層の強度の向上に寄与するため、摺動層にEP樹脂を添加することにより、耐キャビテーション性を一層向上できるようになる。この場合、請求項3に係る発明のように、EP樹脂の添加量が3〜30質量%において、耐キャビテーション性が一層向上する。本発明に使用できるEP樹脂としては大日本インキ化学製エピクロン840、850、860、1050、TSR−960、TSR−601、H−157、H−353、H−360、H−301、H−305などが挙げられる。
また、カップリング剤は、同一分子中にビニル基、メタクリル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基などの有機マトリックスと相溶しやすい部分と無機物表面に吸着しやすい部分からなっており、軸受合金層の表面とバインダー間の密着性向上に寄与する。本発明に使用できるカップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などがあり、東芝シリコーン製TSL8331、TSL8340、日本ユニカー製A−1100,A−1120,A−1160、日本曹達製S−581などが挙げられる。
また、請求項5に係る発明のように、PAI樹脂のガラス転移温度が、150〜350℃であることが好ましい。PAI樹脂はポリイミド樹脂の主鎖にアミド結合を導入した樹脂であり、ポリイミド樹脂に次ぐ耐熱性があり、熱成形が可能で、機械的強度、耐薬品性、電気特性、摺動特性に優れていることから、成形材料や耐熱性塗料に応用されている樹脂である。本発明に用いるPAI樹脂は、高温時の材料強度の低下が少ない、ガラス転移温度が150〜350℃さらには、250〜350℃のものを使用することが好ましい。本発明に用いることができるPAI樹脂としては、東洋紡製PAI樹脂(商品名:バイロマックスHR11NN,HR12N2,HR13NX,HR14ET,HR15ET,HR16NN)などが挙げられる。
また、請求項6に係る発明において、すべり軸受表面に前述した乾性潤滑被膜組成物からなる摺動層を備えることにより、すべり軸受の初期なじみ性、非焼付性が一層向上する。
また、摺動層の摺動層表面粗さが粗いと油膜切れを生じやすく、摺動層表面と相手軸が接触しやすくなり、摩擦による発熱により焼付が発生しやすい。特に、請求項7に係る発明のように、摺動初期の摺動層表面粗さがRa0.5μm以下では油膜切れを生じた際、摺動層表面と相手軸が接触し、摺動層最表面が直ちに摩耗し、表面粗さが細かくなる。そのため摺動層表面に油が供給され、油膜が形成しやすくなり、焼付にくくなる。摺動初期の摺動層表面粗さがRa0.5μmを超える場合、摺動層表面と相手軸が接触し摺動層最表面が摩耗するが、初期の粗さが粗いと摩耗しても摺動層表面の粗さは直ちに細かくならず、摺動層表面に油が供給しにくいままであり、非焼付性が向上しない。
更に、内燃機関用軸受のように、摺動する相手軸にたわみや振動が起こるような条件では、摺動層と相手軸の局部的な接触を起こしやすい。この際、接触部において、摺動層が塑性変形、弾性変形、または摩耗することにより局部的な負荷の上昇を緩和され、そのため発熱による摺動層の材料低下が起こらず、焼付が発生しにくくなる。この局部的な負荷の上昇を緩和するためには摺動層の厚さは、請求項8に係る発明のように、1〜30μmの厚さが好ましい。従来の摺動層は摺動の発熱による材料強度の低下が大きく摺動層そのものが摺動面から消失しやすかったので摺動層の厚さを3μm以下とすることが困難であった。本発明においては、PAI樹脂とEP樹脂またはカップリング剤をポリマーアロイ化することにより、樹脂バインダーの軸受合金層の表面への密着性が向上しているため、PAI樹脂単体を樹脂バインダーとした場合に比べ、剥離が抑えられ、摺動層の厚さを1〜3μmとしても摺動面より容易に消失するようなことはなく、充分に局部的な負荷の上昇を緩和するので焼付性の低下が起こらない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態を模式的に示すすべり軸受の断面図である。すべり軸受は、裏金3の表面に接合された銅系合金又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層1の表面に、摺動層2を設けた構成である。本実施形態において、摺動層2は、樹脂バインダーとなるPAI樹脂を主成分とし、EP樹脂、またはカップリング剤を添加しポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、20〜75質量%の固体潤滑剤を含有する摺動層であり、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン(MoS2)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト(Gr)、二硫化タングステン(WS2)、窒化棚素(BN)等が用いられる。さらに必要に応じて、摺動層に硬質粒子、軟質金属等を含有することができる。硬質粒子として、窒化珪素(Si34)等の窒化物、酸化アルミニウム(Al23)、酸化珪素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)等の酸化物・炭化珪素(SiC)等の炭化物を用いることができ、軟質金属として、銅、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛、ビスマス等、及びこれらの合金を用いることができる。
次に、本実施例による摺動層を設けた実施例品と従来の摺動層を設けた比較例品について非焼付試験、耐キャビテーション試験を実施し、その結果を表1に示す。実施例品は、裏金となる鋼板上に銅系軸受合金層を接合して、これを平板形状に加工後、脱脂処理し、続いて軸受合金層の表面をブラスト加工により粗面化する。さらに酸洗・湯洗、乾燥後、表1の実施例1〜14に示す組成物を有機溶剤(N−メチル―2−ピロリドン、キシレンおよびエタノール)で希釈し、ホモジナイザーにより組成物に高せん断力を長時間(1時間以上)加え、相溶および均一化を行った組成物を上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に実施例1〜11は5μm、実施例12,13,14は2μmとした。なお、ホモジナイザーにより、組成物に高せん断を加え、ポリマーアロイ化している。
一方、比較例品は、裏金となる鋼板上に銅系軸受合金層を接合して、これを平板形状に加工後、脱脂処理し、続いて軸受合金層の表面をブラスト加工により粗面化する。さらに酸洗・湯洗、乾燥後、表1の比較例1〜5に示す組成物を有機溶剤(N−メチル―2−ピロリドンおよびキシレン)で希釈し、ホモジナイザーにより希釈した組成物に高せん断力を加え、相溶および均一化を行いポリマーアロイ化した組成物を上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に5μmとした。また、比較例6は実施例10と同等の組成物を超音波攪拌機で混合攪拌し、上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。また、比較例7は先ず前処理法にて固体潤滑剤をカップリング剤で処理し、次いでバインダーとの混合を行い組成物をとした後、超音波攪拌機で混合攪拌し、上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に5μmとした。また、実施例と比較例について裏金となる鋼板上に銅系軸受合金層を接合して、これを外径55mm、幅17mm、厚さ1.5mmの半割形状軸受に加工後、上記と同じ条件で厚さ10μmの摺動層を設けた。この半割軸受2個を突合せて円筒状とし、密着性評価用とした。
Figure 2009019177
焼付試験は、スラスト型摩擦摩耗試験機を用い、表2に示す試験条件で行ない、軸受面圧を30分毎に3MPaずつ増加させながら、摩擦トルクと焼付荷重を測定した。軸受の背面温度が200℃を越えるか、または摩擦トルクが392N・m以上を示した時の面圧を焼付荷重とした。耐キャビテーション試験は、超音波を利用した試験機を用い、表3に示す試験条件で行ない摺動層の重量減量を測定し、これを体積換算し、体積減量とした。密着性試験は軸受試験機を用い、表4に示す試験条件で試験後の摺動層の剥離有無により評価した。
Figure 2009019177
Figure 2009019177
Figure 2009019177
上記表1において、摺動層の各成分の数字は、それぞれ質量百分率(質量%)である。まず、摺動層のベース樹脂をPAI樹脂のみで構成した比較例2に対し、実施例1〜8では、PAI樹脂とEP樹脂またはカップリング剤がポリマーアロイとなっていることが異なる。試験結果を見ると、焼付荷重、耐キャビテーション性について実施例1〜8の方が優れている。これは、PAI樹脂にEP樹脂またはカップリング剤が添加されポリマーアロイ化されたことにより、バインダー樹脂自体の密着性が向上したため、非焼付性が向上し、またキャビテーションによるエロージョンの発生が抑制されてきたことによるものである。
また、比較例3と実施例3を比較してみると、焼付荷重、体積減量について、実施例3の方が優れている。これは、比較例3の固体潤滑剤の添加量が75質量%より多いため、摺動層の強度の低下により、焼付荷重、耐キャビテーション性の低下が起こったことによるものである。
また、比較例1と実施例9を比較してみると、体積減量についてはほぼ同じであるが、焼付荷重については、実施例9の方が優れている。これは、比較例1の固体潤滑剤の添加量が20質量%より少ないため、摺動特性が充分でなく、また摺動層の靭性が不十分なことにより、初期なじみが起こりにくいことによるものである。従って固体潤滑剤の添加量は20〜75重量%が望ましい。
また、比較例6と実施例10を比較してみると、焼付荷重、体積減量については、実施例10の方が優れている。これは、比較例6が、樹脂が溶媒に溶かされ、分子に近い極微細な単位で混合攪拌されてはいるが、均一物質ではなく、マイクロクラスター状となっているため、キャビテーションによる応力が物理的性質の連続しなくなる各樹脂相の界面に集中するため耐キャビテーション性の低下が起こったものである。
これに対し、実施例10では混合時に高せん断を加え、PAI樹脂とEP樹脂を単分子どうしで存在させることによりポリマーアロイ化することができ、樹脂どうしを相溶させ、単一物質となるため、樹脂バインダー内において、不連続部が発生しないため、耐キャビテーション性が向上している。
また、実施例2,3をみるとポリマーアロイ化した樹脂バインダー中のEP樹脂の添加量が3〜30質量%であり、非焼付性がとくに良好であることがわかる。
また、実施例12、実施例13、実施例14をみると、さらに焼付荷重、体積減量が優れている。これは、PAI樹脂とEP樹脂、カップリング剤をポリマーアロイ化することにより、樹脂バインダーの密着性が向上しているため、PAI樹脂単体を樹脂バインダーとした場合に比べ、摺動層の厚さを1〜3μmとしても摺動面より容易に消失するようなことはないばかりでなく、薄膜になるため放熱性が向上し、非焼付性も向上したことがわかる。
また、比較例7と実施例8を比較してみると、焼付荷重、体積減量については、実施例8の方が優れている。これは、比較例7が、前処理法にてカップリング剤が固体潤滑剤の表面に被覆されているため、カップリング剤が軸受合金の表面とバインダー間に存在しにくいのに対し、実施例8は、インテグラルブレンド法にてカップリング剤を添加し、かつ高せん断を加えることのよりポリマーアロイ化するため、軸受合金の表面とバインダー間の密着性が向上することによる。なお、表1には、固体潤滑剤として二硫化タングステンを分散含有した摺動層についての試験結果を示していないが、出願人らは、二硫化タングステンを分散含有した摺動層において同様の実験を行っており、それらが実施例1〜14とほぼ同等の結果となったことを確認している。
本発明は上記しかつ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。樹脂組成物に高せん断を加える装置としては、ホモジナイザーに限らず、高圧ジェット撹拌混合機等でも良い。軸受合金層の表面を粗面化する方法としては、ブラスト加工に限らず、エッチング、溶射、化成処理等でも良い。樹脂摺動層の塗布方法は、エアスプレー法に限らず、パッド印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法等でも良い。なお、軸受合金層1上に摺動層2を設けた後に、すべり軸受形状に加工してすべり軸受を製造することもできる。本発明のすべり軸受は、自動車のエンジン用以外の用途、すなわち銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金に限らず用いることができる。たとえばコンプレッサーなどへの用途にも用いることができる。更に、本発明のすべり軸受は、流体潤滑下での使用以外に、境界潤滑下、無潤滑下でも使用することができる。
本発明に係る実施形態におけるすべり軸受の断面図である。
符号の説明
1 軸受合金層
2 摺動層
3 裏金

Claims (8)

  1. 主成分であるポリアミドイミド樹脂にエポキシ樹脂、カップリング剤を添加し、高せん断を加えポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、20〜75質量%の固体潤滑剤を分散含有していることを特徴とする乾性潤滑被膜組成物。
  2. 前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化タングステンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の乾性潤滑被膜組成物。
  3. 前記ポリマーアロイ化樹脂100重量部中のエポキシ樹脂の配合量が3〜30重量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乾性潤滑被膜組成物。
  4. 前記ポリマーアロイ化樹脂100重量部中のカップリング剤の配合量が0.3〜10重量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物。
  5. 前記ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が、150〜350℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物。
  6. 銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面の摺動層を、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物としたことを特徴とするすべり軸受。
  7. 前記摺動層は、摺動層表面粗さが、Ra0.5μm以下であることを特徴とする請求項6記載のすべり軸受。
  8. 前記摺動層は、摺動層膜厚が1〜30μmであることを特徴とする請求項6又は請求項7記載のすべり軸受。
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