JP2009019018A - 肝機能改善剤 - Google Patents

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昭一 池水
Yuji Iwasaki
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Abstract

【課題】 効果が高い肝機能改善剤と、その肝機能改善剤を含有する動物及びヒト用食品を提供する。
【解決手段】 キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖及びハタケシメジエキスを有効成分として含有することを特徴とする肝機能改善剤であり、前記酸性キシロオリゴ糖が、キシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であり、かつ、平均重合度が2.0〜15.0であるのが好ましく、前記酸性キシロオリゴ糖が、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理して得ることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ペット用の肝機能改善剤に関し、さらには、ネコの重度の肝リピドーシスに対して優れた改善効果を有する肝機能改善剤に関する。
脂肪肝とは肝細胞の中に脂肪滴(中性脂肪)が異常に蓄積された状態を言い、過栄養、肥満、糖尿病及びアルコール多飲が原因とされている。脂肪肝は、肝硬変に進行する可能性があること、また、動脈硬化を進行させる可能性があることなどが分かってきている。
一方、ペットとして一般的なネコの脂肪肝(肝リピドーシス)は更に深刻である。ヒトの場合は、慢性的な経過で徐々に脂肪が肝臓に蓄積するが、ネコでは脂肪の蓄積が急激に起こり、短期間に肝機能不全が進行する。肝リピドーシスの原因は解明されていないが、多くは肥満傾向にあるネコにおいてストレス等をきっかけに発症し、元気・食欲の低下後、急激に黄疸が出る。オーナーがネコの黄疸症状に気付き難いこともあり、動物病院での初診の時点で危機的な状態にあることが多い。なお、現状では肝リピドーシスの治療の為の薬剤はない為、栄養剤の静脈点滴や経腸補給に頼らざるを得ない。従って、肝リピドーシス、特に重度の場合に対して改善効果及び即効性を有する肝機能改善剤が求められている。
キシロオリゴ糖入りのペットフードとしては、本出願人らの提案が知られているが、酸性キシロオリゴ糖の効果については記載されていない(特許文献1参照)。
また、酸性キシロオリゴ糖の生理作用に関する提案は、例えば、酸性キシロオリゴ糖組成物を含有する腸内環境改善剤(特許文献2参照)、酸性キシロオリゴ糖を含有するヒスタミン遊離抑制剤(特許文献3参照)等の提案がなされているが、肝機能改善剤としての報告はない。その他、抗高脂血症剤(特許文献4参照)、アトピー性皮膚炎改善剤(特許文献5参照)などの作用が知られている。なお、本出願人が提案した酸性キシロオリゴ糖の製法については、特許文献6に詳細に記載されている。
ハタケシメジエキスはハタケシメジ子実体から抽出したエキスであり、抗腫瘍作用(非特許文献1参照)、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用(非特許文献2参照)、コレステロール低下作用(非特許文献3参照)、血糖値低下作用(非特許文献4参照)等が開示されている。また、イヌやネコに対する皮膚脂漏症改善作用(非特許文献5参照)も報告されているが、肝機能改善剤としての提案はなされていない。なお、ハタケシメジ抽出物の製法ならびに粉末化法については、特許文献7に記載されている。
特開2002−369658号公報 特開2004−182609号公報 特開2004−059481号公報 特開2004−182615号公報 特開2004−210666号公報 特開2003−183303号公報 特開2003−34647号公報 Journal of Bioscience and Bioengineering Vol90 No1 p98-104 2000年 日本食品科学工学会誌 第48巻 第1号 p58-63 2001年 日本食品科学工学会誌 第48巻 第7号 p520-525 2001年 Biol. Pharm. Bull. Vol25 No9 p1234-1237 2002年 小動物臨床 第21巻 第6号 p457-462 2002年
本発明の課題は、ネコの重度の肝リピドーシスに対して優れた改善効果を有する肝機能改善剤を提供することである。
本発明者らは前記課題を解決する為、鋭意研究した結果、ウロン酸を有し、かつ、平均重合度が2以上15以下の酸性キシロオリゴ糖組成物に、ハタケシメジエキスを併用したものが、特に優れた肝機能改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する為、本発明は、以下の構成を採用する。即ち、本発明の第1は、「キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖及びハタケシメジエキスを有効成分として含有することを特徴とする肝機能改善剤。」である。
本発明の第2は、前記第1発明において、「酸性キシロオリゴ糖が、キシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であり、平均重合度が2.0〜15.0である肝機能改善剤。」である。
本発明の第3は、前記第1または第2の発明において、「酸性キシロオリゴ糖が、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分離して得たものである肝機能改善剤。」である。
本発明の第4は、前記第1〜第3のいずれかの発明において、「ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸である肝機能改善剤。」である。
本発明の第5は、「前記第1〜第4のいずれかの発明における肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とする家畜用飼料。」である。
本発明の第6は、「前記第1〜第4のいずれかの発明における肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とするペットフード。」である。
本発明の第7は、「前記第1〜第4のいずれかの発明における肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とするペット用機能性食品。」である。
本発明により、ネコの重度の肝リピドーシスに対して優れた改善効果を有する薬剤を提供することが出来る。
以下、本発明の構成について詳述するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
本発明の肝機能改善剤は、キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖組成物及びハタケシメジエキスを有効成分として含有することを特徴とする。キシロオリゴ糖とは、キシロースの2量体であるキシロビオース、3量体であるキシロトリオース、あるいは4量体〜20量体程度のキシロースの重合体を言う。本発明における酸性キシロオリゴ糖とは、キシロオリゴ糖1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を有するものを言う。
また、キシロースの重合度が異なる酸性キシロオリゴ糖の混合組成物であっても良い。一般的には、天然物から製造するために、このような組成物として得られることが多い。以下、主として酸性キシロオリゴ糖組成物について説明する。
酸性キシロオリゴ糖組成物の重合度は、正規分布又はその他の分布をとる。平均重合度としては、2.0〜15.0であるのが好ましく、なかでも、2.0〜11.0であるのが好ましい。キシロース鎖長の上限と下限との差は20以下が好ましく、10以下がより好ましい。ウロン酸は、天然では、ペクチン、ペクチン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸又はデルタマン硫酸等の種々の生理活性を持つ多糖の構成成分として知られている。本発明におけるウロン酸としては、特に限定されないが、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸が好ましい。
上記のような酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることが出来れば、その製法は、特に限定されないが、(1)木材からキシランを抽出し、それを酵素的に分解する方法(セルラーゼ研究会発行、セルラーゼ研究会報第16巻、2001年6月14日発行、p17−26)と、(2)リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで、該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られたキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する酸性キシロオリゴ糖を分離する方法と、を挙げることが出来る。特に、(2)の方法が、5〜10量体の比較的重合度の高いものを大量、かつ、安価に製造することが出来る点で好ましい。以下に、(2)の方法の概要を示す。
酸性キシロオリゴ糖組成物は、化学パルプ由来のリグノセルロース材料を原料とし、加水分解工程、濃縮工程、希酸処理工程、精製工程を経て得ることが出来る。加水分解工程では、希酸処理、高温高圧の水蒸気(蒸煮・爆砕)処理又はヘミセルラーゼ等による酵素分解処理によって、リグノセルロース中のキシランを選択的に加水分解し、キシロオリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体として得る。濃縮工程では逆浸透膜等により、キシロオリゴ糖−リグニン様物質複合体が濃縮され、低重合度のキシロオリゴ糖や低分子の夾雑物などを除去することが出来る。濃縮工程は逆浸透膜を用いることが好ましいが、限外濾過膜、塩析又は透析なども使用可能である。得られた濃縮液の希酸処理工程により、複合体からリグニン様物質が遊離し、酸性キシロオリゴ糖と中性キシロオリゴ糖とを含む希酸処理液を得ることが出来る。この時、複合体から切り離されたリグニン様物質は酸性下で縮合して沈殿するので、セラミックフィルターや濾紙などを用いて、濾過等して除去することが出来る。希酸処理工程では、酸による加水分解を用いることが好ましいが、リグニン分解酵素などによる酵素分解なども用いることが出来る。
精製工程は、限外濾過工程、脱色工程、吸着工程からなる。一部のリグニン様物質は、可溶性高分子として溶液中に残存するが、限外濾過工程で除去される。着色物質等の夾雑物は、活性炭を用いた脱色工程によってそのほとんどが取り除かれる。限外濾過工程では、限外濾過膜を用いることが好ましいが、逆浸透膜、塩析又は透析などを用いることが出来る。こうして得られた糖液中には、酸性キシロオリゴ糖と中性キシロオリゴ糖とが溶解している。この糖液を、イオン交換樹脂を用いた吸着工程に導入して、目的の酸性キシロオリゴ糖のみを取り出すことが出来る。以下、糖液を吸着工程に導入して酸性キシロオリゴ糖を精製する概要について説明する。
糖液をまず強陽イオン交換樹脂にて処理し、糖液中の金属イオンを除去する。ついで、強陰イオン交換樹脂を用いて糖液中の硫酸イオンなどを除去する。この工程では、硫酸イオンの除去と同時に弱酸である有機酸の一部と着色成分の除去も同時に行われる。強陰イオン交換樹脂で処理された糖液は、もう一度、強陽イオン交換樹脂で処理し、更に、金属イオンを除去する。最後に弱陰イオン交換樹脂で処理し、酸性キシロオリゴ糖を樹脂に吸着させる。
樹脂に吸着した酸性キシロオリゴ糖を、金属塩の低濃度水溶液によって溶出することにより、夾雑物を含まない酸性キシロオリゴ糖溶液を得ることが出来る。金属塩としては、NaCl、CaCl、KCl又はMgCl等を挙げることが出来る。得られた溶液を、例えば、スプレードライ処理や凍結乾燥処理により、白色の酸性キシロオリゴ糖組成物の粉末を得ることが出来る。
化学パルプ由来のリグノセルロースを原料とし、キシロオリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体とした酸性キシロオリゴ糖組成物の上記製造法のメリットは、経済的である点と、キシロースの平均重合度の高い酸性キシロオリゴ糖組成物が容易に得られる点とにある。キシロースの平均重合度は、例えば、希酸処理条件を調節するか、再度ヘミセルラーゼで処理することによって変えることが可能である。また、弱陰イオン交換樹脂溶出時に用いる溶出液の塩濃度を変化させることによって、1分子あたりに結合するウロン酸残基の数が異なる酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることも出来る。さらに、適当なキシラナーゼ又はヘミセルラーゼを作用させることによってウロン酸結合部位が末端に限定された酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることも可能である。
以下、本発明において使用するハタケシメジエキスについて概説する。ハタケシメジ(Lyophyllum decastes Sing.)とは、ホンシメジと同じキシメジ科シメジ属に属する美味しい食用キノコである。自然界では、秋に林内や畑地において株状に生え、4〜9cmの褐色から灰褐色のまんじゅう形の傘をつける。近年、人工栽培技術が確立され、食用きのことして販売されている。
ハタケシメジエキスに関しては、シイタケと同等以上の抗腫瘍活性が良く知られており、その活性本体はβ-1,6分岐を持つβ-1,3グルカンならびにβ-1,3分岐を持つ酸性β-1,6グルカンであることが明らかになっている。ハタケシメジエキスの製法は、得られるエキスが前記β-グルカンを含有すれば特に限定されない。例えば、前記ハタケシメジの子実体または培養菌糸を原料として、熱水で抽出したエキスを濃縮して得ることが出来る。具体的には、ハタケシメジ子実体にイオン交換水を加え、一昼夜加熱抽出、固液分離、抽出液の濃縮後、スプレードライすることでハタケシメジエキスが粉末として得ることが出来る(特許文献7参照)。
上記の酸性キシロオリゴ糖組成物及びハタケシメジエキスを適当な比率で混合して得られた混合剤を、本発明の肝機能改善剤として使用することが出来る。酸性キシロオリゴ糖組成物粉末のハタケシメジエキス粉末に対する混合比率は0.5〜10倍が好ましく、1〜3倍がより好ましい。本発明の肝機能改善剤における酸性キロオリゴ糖及びハタケシメジエキスの含有率としては、0.01%以上(以下全て質量%)であれば使用することが出来るが、10%以上がより好ましい。また、それぞれ、酸性キシロオリゴ糖組成物とハタケシメジエキスにデキストリン等を加えて調製した粉末剤を、ペットフード上に別々に降り掛けることで両粉末剤の併用とすることも出来る。
酸性キシロオリゴ糖組成物及びハタケシメジエキスを配合した肝機能改善剤は、直接的に摂取することもでき、飲料や食品に添加したりして間接的に摂取することも出来る。また、本発明の肝機能改善剤は、粉体化することもでき、打錠して錠剤化することも出来る。
本発明に於ける酸性キシロオリゴ糖組成物及びハタケシメジエキスを配合した肝機能改善剤は、ネコやイヌ用のペットフードや機能性食品、家畜用飼料として用いることが出来る。また、他の食品、経腸栄養剤、他の栄養成分と混合して用いることが出来る。これらの場合、いずれも、食品・飼料中に本肝機能改善剤を0.1〜20質量%含有するように配合する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。また、本実施例では断りのない限り、「%」は、「質量%」を示す。
まず、各測定法の概要、本発明で有効成分として含有させた酸性キシロオリゴ糖(UX10)及びハタケシメジエキスの調製例を示す。
<測定法の概要>
(1) 全糖量の定量
全糖量は、検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製し、フェノール硫酸法(「還元糖の定量法」、学会出版センター発行)にて定量した。
(2) 還元糖量の定量
還元糖量は、検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製し、ソモジ−ネルソン法(「還元糖の定量法」、学会出版センター発行)にて定量した。
(3) ウロン酸量の定量
ウロン酸量は、検量線をD−グルクロン酸(和光純薬工業(株)製)を用いて作製し、カルバゾール硫酸法(「還元糖の定量法」、学会出版センター発行)にて定量した。
(4) 平均重合度の決定法
サンプル糖液を50℃に保ち15,000rpmにて15分間遠心分離して不溶物を除去し、上清液を得た。この上清液の全糖量を還元糖量(共にキシロース換算)で割って平均重合度を求めた。
(5) 酸性キシロオリゴ糖の分析方法
オリゴ糖鎖の分布はイオンクロマトグラフ(ダイオネクス(株)社製、分析用カラム:Carbo Pac PA−10)を用いて分析した。分離溶媒には100mMのNaOH水溶液を用い、溶出溶媒には前述の分離溶媒に酢酸ナトリウムを500mMとなるように添加し、溶液比で、分離溶媒:溶出溶媒=10:0〜4:6となるような直線勾配を組み分離した。得られたクロマトグラムより、キシロース鎖長の上限と下限との差を求めた。
(6) オリゴ糖1分子あたりのウロン酸残基数の決定法
サンプル糖液を50℃に保ち15,000rpmにて15分間遠心分離して不溶物を除去し、上清液を得た。この上清液のウロン酸量(D−グルクロン酸換算)を還元糖量(キシロース換算)で割ってオリゴ糖1分子あたりのウロン酸残基数を求めた。
(7) 酵素力価の定義
酵素として用いたキシラナーゼの活性測定には、カバキシラン(シグマ(株)社製)を用いた。酵素力価の定義は、キシラナーゼがキシランを分解することで得られる還元糖の還元力をDNS法(「還元糖の定量法」、学会出版センター発行)を用いて測定し、1分間に1マイクロモルのキシロースに相当する還元力を生成させる酵素量を1ユニットとした。
<調製例1:酸性キシロオリゴ糖>
混合広葉樹チップ(国内産広葉樹70%、ユーカリ30%)を原料として、クラフト蒸解及び酸素脱リグニン工程により、酸素脱リグニンパルプスラリー(カッパー価9.6、パルプ粘度25.1cps)を得た。スラリーからパルプを濾別、洗浄した後、パルプ濃度10%、pH8に調製したパルプスラリーを用いて、以下のキシラナーゼによる酵素処理を行った。
バチルスsp.S−2113株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター、寄託菌株FERM BP−5264)の生産するキシラナーゼを1単位/パルプgとなるように添加した後、60℃で120分間処理した。その後、濾過によりパルプ残渣を除去し、酵素処理液1050Lを得た。
次に、得られた酵素処理液を濃縮工程、希酸処理工程、精製工程の順に導入した。濃縮工程では、逆浸透膜(日東電工(株)製、RO NTR−7410)を用いて濃縮液(40倍濃縮)を調製した。希酸処理工程では、得られた濃縮液のpHを3.5に調整した後、121℃で60分間加熱処理し、リグニンなどの高分子夾雑物の沈殿を形成させ、この沈殿をセラミックフィルター濾過で取り除いて、希酸処理溶液を得た。
精製工程では、希酸処理溶液を限外濾過・脱色工程、吸着工程の順に導入した。限外濾過・脱色工程では、希酸処理溶液を限外濾過膜(オスモニクス社製、分画分子量8000)で濾過処理した後、濾液を活性炭(770g、和光純薬工業(株)製)処理及びセラミックフィルター濾過処理した。吸着工程では、精製工程で得られた脱色処理液を強陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PK218)、強陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PA408)、強陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PK218)各100kgを充填したカラムに順次導入した後、弱陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製WA30)100kgを充填したカラムに導入した。この弱陰イオン交換樹脂充填カラムに75mMのNaCl水溶液を導入して、弱陰イオン交換樹脂に吸着した酸性キシロオリゴ糖を溶出させ、溶出液を得た。得られた溶出液をスプレードライ処理して、酸性キシロオリゴ糖の白色粉末(全糖量353g、回収率13.1%)を得た。以下、この酸性キシロオリゴ糖をUX10とする。前述の測定方法により、UX10は平均重合度10.3、キシロース鎖長の上限と下限との差は10、酸性キシロオリゴ糖1分子あたりウロン酸残基を1つ含む糖組成化合物であった。
<調製例2:ハタケシメジエキス>
ハタケシメジエキスは以下のように調製した。乾燥させたハタケシメジ子実体約50kgに5kLのイオン交換水を加えて、一昼夜加熱抽出後、固液分離、抽出液を濃縮した。得られた濃縮液に33%(質量%)のデキストリンを添加し、スプレードライヤーで粉末化することで、20kgのハタケシメジエキスを得た。
<調製例3:酸性キシロオリゴ糖粉末剤>
調製例1で得たUX10粉末にデキストリンを加え、酸性キシロオリゴ糖粉末剤を数百包作製した。酸性キシロオリゴ糖粉末剤1包(1000mg)の組成は、酸性キシロオリゴ糖250mg及びデキストリン750mgとした。
<調製例4:ハタケシメジエキス粉末剤>
調製例2で得たハタケシメジエキスにプルランを加え、ハタケシメジエキス粉末剤を数百包作製した。ハタケシメジエキス粉末剤1包(317mg)の組成は、ハタケシメジエキス160mg、デキストリン80mg及びプルラン77mgとした。
次に、調製例3及び調製例4で得られた酸性キシロオリゴ糖粉末剤及びハタケシメジエキス粉末剤を用いて行ったネコの肝リピドーシス改善試験の概要と結果を、実施例及び比較例に示す。
<実施例1、比較例1及び比較例2>
酸性キシロオリゴ糖及びハタケシメジエキスの併用による肝機能改善効果を確認する為に、獣医師により肝リピドーシスと診断されたネコへの投与試験を実施した。以下にその概要を示す。
元気食欲がなく黄疸症状の出ている体重5kg前後のネコ9匹を3群に分けて試験に用いた。実施例1(5匹)は、酸性キシロオリゴ糖粉末剤及びハタケシメジエキス粉末剤を1日当り各2包投与した。また、比較例1及び比較例2(各2匹)は、それぞれ酸性キシロオリゴ糖粉末剤またはハタケシメジエキス粉末剤を1日当り各2包投与した。なお、各粉末剤のネコに対する嗜好性は良好であり、ペットフードの上に降り掛けることで容易に投与することが出来た。粉末剤の投与開始後4日目と10日目に、獣医師により経過観察を行い、黄疸症状及びQOL(Quality of Life:生活の質)に対する所見(「著明改善(劇的に改善)」、「改善(明らかに改善)」、「やや改善(何らかの改善)」、「不変」、「悪化」)をもとに肝リピドーシスの改善状況を診断した。その結果を表1に示す。
Figure 2009019018
<実施例2及び実施例3>
実施例1の症例1〜3の3匹のネコについては、粉末剤投与期間中(50日間)、定期的に血液の生化学的検査を行った。GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、実施例2)及びTBIL(血清ビリルビン、実施例3)は、何れも肝機能の指標であり、肝リピドーシスによる黄疸症状時は高値となる。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2009019018
Figure 2009019018
酸性キシロオリゴ糖粉末及びハタケシメジエキス粉末の併用により、ネコの肝リピドーシスは数日で改善した。特に、実施例1症例1のネコの黄疸症状は重篤で、初診時は死亡直前との診断であったが、元気食欲ともに回復し、肝機能(GPT及びTBIL)も正常値まで下がった。
本発明で得られる酸性キシロオリゴ糖組成物及びハタケシメジエキスを含有した肝機能改善剤は、即効性及び優れた薬理活性を有しており、食品、医薬部外品及び医薬品分野に於いて利用することが出来る。また、動物用の食品や医薬品としても用いることが可能である。

Claims (7)

  1. キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖及びハタケシメジエキスを有効成分として含有することを特徴とする肝機能改善剤。
  2. 前記酸性キシロオリゴ糖がキシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であり、平均重合度が2.0〜15.0である前記請求項1に記載の肝機能改善剤。
  3. 前記酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで、該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分離して得たもの」である前記請求項1又は2に記載の肝機能改善剤。
  4. ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の肝機能改善剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とする家畜用飼料。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載された肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とするペットフード。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載された肝機能改善剤を有効量含有することを特徴とするペット用機能性食品。
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