JP2009018551A - アクチュエータ、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧が印加されて圧電素子が撓むときに、圧電素子が振動板から受ける長手方向の引張応力に起因する圧電素子のクラック発生を、確実に防止することができるアクチュエータと、それを用いた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】基板上に配設された振動板と、前記振動板上に配設された下電極60と前記下電極60上に配設された圧電体層70と前記圧電体層70上に配設された上電極80とで構成された圧電素子300とを具備し、前記圧電体層70には、当該圧電体層70を実質的に分離する深さを有する凹部71が幅方向に亘って設けられているとともに、当該凹部71が前記圧電体層70の長手方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上電極80は、前記圧電体層70の前記凹部71内にも連続的に形成する。
【選択図】図3
【解決手段】基板上に配設された振動板と、前記振動板上に配設された下電極60と前記下電極60上に配設された圧電体層70と前記圧電体層70上に配設された上電極80とで構成された圧電素子300とを具備し、前記圧電体層70には、当該圧電体層70を実質的に分離する深さを有する凹部71が幅方向に亘って設けられているとともに、当該凹部71が前記圧電体層70の長手方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上電極80は、前記圧電体層70の前記凹部71内にも連続的に形成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、基板上に配設された振動板と圧電素子とで構成されたアクチュエータとそれを用いた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
基板上に配設された振動板と圧電素子とで構成されたアクチュエータが知られており、こうしたアクチュエータを利用した液体噴射ヘッドの一例として、ピエゾ方式のインクジェット式記録ヘッドが広く知られている。
ピエゾ方式のインクジェット式記録ヘッドとして、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが知られており、長手方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電素子を具備したアクチュエータを用いたインクジェット式記録ヘッドと、圧電素子の短手方向(幅方向)に伸長、収縮するたわみ振動モードの圧電素子を具備したアクチュエータを用いたインクジェット式記録ヘッドが実用化されている。
たわみ振動モードの圧電素子の圧電素子を具備したアクチュエータでは、電圧が印加されると短手方向(幅方向)には変形を起こすが、長手方向には、振動板によって変形が制限されている。したがって圧電素子は、電圧が印加されると振動板から長手方向に強い引張応力を受け、この引張応力が原因となって、圧電体層に、圧電素子の短手方向に沿ったクラックが発生し、圧電素子が破壊してしまうという問題がある。
なお、たわみ振動モードの圧電素子を具備したアクチュエータを用いたインクジェット式記録ヘッドとしては、圧電素子の圧電体層の上層部に凹部を形成し、圧電素子に残留する収縮応力を緩和させて、圧力発生室形成時に圧力発生室に対向する領域の振動板の初期変形を抑え、振動板の耐久性を向上させたインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の圧電素子には、圧電体層の長手方向に沿って凹部が形成されているものがあるが、この構成では、振動板から受ける引張応力は特に減少せずに圧電素子に加わる。このため、振動板から受ける引張応力に起因する圧電素子のクラック発生を防止することはできない。また特許文献1に記載の圧電素子には、圧電体層の幅方向に凹部が形成されているものもあるが、この構成でも圧電素子にクラックが発生する虞がある。具体的には、圧電体層が残っている幅方向両端部で応力集中が発生するため、この部分でクラックが発生し、圧電素子が破壊してしまう虞がある。
また、特許文献1に記載の圧電素子では、凹部が圧電体層と上電極とに設けられ、圧電体層の表面が露出しているため、凹部内で圧電体層にクラックが発生してしまう虞がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑みて発明されたものであり、電圧が印加されて圧電素子が撓むときに、圧電素子が振動板から受ける長手方向の引張応力に起因する圧電体層のクラック発生を、確実に防止することができるアクチュエータと、それを用いた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、基板上に配設された振動板と、前記振動板上に配設された下電極と前記下電極上に配設された圧電体層と前記圧電体層上に配設された上電極とで構成された圧電素子とを具備し、前記圧電体層には、当該圧電体層を実質的に分離する深さを有する凹部が幅方向に亘って設けられているとともに、当該凹部が前記圧電体層の長手方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上電極は、前記圧電体層の前記凹部内にも連続的に形成されていることを特徴とするアクチュエータにある。
かかる態様では、圧電体層に凹部が形成されている部分は、電圧が印加されても実質的に駆動しない非駆動部として機能し、圧電体層に凹部が形成されていない部分は駆動部として機能する。これにより電圧が印加されて圧電素子が撓むときに、圧電素子が振動板から受ける長手方向の引張応力は緩和されるようになり、この引張応力に起因する圧電体層のクラック発生を確実に防止することができる。さらに凹部内にも上電極が配設されているので、凹部内の圧電体層のクラック発生を確実に防止することができる。
かかる態様では、圧電体層に凹部が形成されている部分は、電圧が印加されても実質的に駆動しない非駆動部として機能し、圧電体層に凹部が形成されていない部分は駆動部として機能する。これにより電圧が印加されて圧電素子が撓むときに、圧電素子が振動板から受ける長手方向の引張応力は緩和されるようになり、この引張応力に起因する圧電体層のクラック発生を確実に防止することができる。さらに凹部内にも上電極が配設されているので、凹部内の圧電体層のクラック発生を確実に防止することができる。
ここで、前記凹部内には、前記圧電体層より誘電率が低い低誘電体層が設けられ、当該凹部の底面部分が、前記低誘電体層で覆われており、前記上電極が前記圧電体層上及び前記低誘電体層上に連続的に形成されていることが好ましい。これによれば、圧電素子の非駆動部では低誘電体層にほとんどの電圧がとられ、圧電体層にはほとんど電圧がかからなくなるので、非駆動部の圧電体層の電界強度は大幅に減少する。したがって、圧電素子の非駆動部の圧電体層からのクラックの発生を防止することができる。
また、前記凹部が前記圧電体層の厚さ方向に貫通して設けられ、前記圧電体層が当該凹部で完全に分離されていることが好ましい。これによれば、圧電素子の非駆動部の圧電体層が完全に除去されている。したがって圧電素子の非駆動部の圧電体層からのクラックの発生を確実に防止することができる。
また、前記圧電体層の前記凹部の側面部分が、前記低誘電体層で覆われていることが好ましい。これによれば、圧電体層の凹部の側面部分での電界集中を防止することができ、圧電体層の凹部の側面部分からのクラック発生を確実に防止することができる。
また、前記低誘電体層が、前記下電極上に前記圧電素子の長手方向に亘って連続的に形成され、前記低誘電体層上に前記圧電体層が配設されているが好ましい。これによれば、低誘電体層を比較的容易に形成することができ、圧電素子の変位も確保される。
また、前記低誘電体層が絶縁性を有する材料からなることが好ましい。これによれば、圧電素子の非駆動部の圧電体層には電圧がかからなくなるので、圧電素子の非駆動部は完全に変位しなくなる。したがって、電圧が印加されて圧電素子が撓むときに、圧電素子が振動板から受ける長手方向の引張応力はさらに緩和され、この引張応力に起因する圧電体層のクラック発生をより確実に防止することができる。
さらに、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室を具備する流路形成基板と、当該流路形成基板の前記圧力発生室に対向する領域に配設された上記態様のアクチュエータとを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、耐久性が向上した液体噴射ヘッドを実現することができる。
かかる態様では、耐久性が向上した液体噴射ヘッドを実現することができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、信頼性を大幅に向上させた液体噴射装置を実現することができる。
かかる態様では、信頼性を大幅に向上させた液体噴射装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び圧力発生室の長手方向の断面図である。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び圧力発生室の長手方向の断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路13と連通路14とが隔壁11によって区画されている。また、連通路14の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部15が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14、及び連通部15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路13は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路13は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通路14から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路13を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路14は、インク供給路13の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路13の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路14を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路13と、このインク供給路13に連通するとともにインク供給路13の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路14とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路13とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO2)等からなる絶縁体膜55が積層形成されている。
また、この絶縁体膜55上には、例えば白金(Pt)やイリジウム(Ir)等からなる下電極膜60と、圧電材料の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば白金(Pt)やイリジウム(Ir)等からなる上電極膜80とが積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。
一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
本実施形態では、図1、図2に示すように、下電極膜60を複数の圧力発生室12に対向する領域に亘って連続して設けることで、複数の圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80及び圧電体層70を各圧電素子300毎に切り分けることで、上電極膜80を各圧電素子300の個別電極としている。
なお、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータと称する。上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみを残して下電極膜60を振動板としてもよい。
また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上まで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35によって接合されている。リザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部15と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、流路形成基板10の連通部15を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路13を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下より、上述したインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータ部分について詳細に説明する。
図3(a)は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータ部分の断面図であり、図3(b)は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータ部分の外観斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係るアクチュエータは、振動板を構成する弾性膜50及び絶縁体膜55と、圧電素子300を構成する下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80とで構成されている。なお上述したとおり、下電極膜60は、振動板としても機能する。
そして、圧電素子300の圧電体層70には、圧電素子の長手方向に沿って、複数、本実施形態では2カ所、凹部71が設けられている。これらの凹部71はそれぞれ、圧電体層70を実質的に分離する深さで、圧電素子300の幅方向に亘って連続して設けられている。
本実施形態では、圧電体層70の各凹部71内にも上電極膜80が連続的に配設されているが、この圧電体層70に凹部71が形成された部分の圧電素子300は、両電極間に電圧が印加されても実質的に駆動されない。つまり各凹部71下側の圧電体層70は、厚さが極めて薄いため、この圧電体層70に凹部71が形成されている部分の変位は、圧電素子300の変位に実質的に影響しない程度のものである。
したがって、本実施形態に係るアクチュエータの圧電素子300は、電圧が印加されることで変位する駆動部と、電圧が印加されても実質的に駆動しない非駆動部とが圧電素子の長手方向で交互に並設されてなる。
ここで、圧電素子300の駆動部は、電圧を印加することで圧電素子の幅方向では振動板と共に変形するが、圧電素子の長手方向では振動板によって変形が規制されてしまう。したがって、圧電素子の駆動部は、圧電素子の長手方向で振動板から引張応力を受け、この引張応力に起因してクラックが発生し易い。
しかしながら、本発明に係る圧電素子300は、上述したように、その長手方向で駆動部と非駆動部とが交互に並設されてなるため、クラックの発生が抑えられる。つまり、圧電素子300の長手方向において、各駆動部の両側には非駆動部(凹部)が存在するため、各駆動部にかかる引張応力は、大幅に緩和される。すなわち圧電素子300全体に係る長手方向の引張応力は大幅に緩和され、この引張応力に起因する圧電体層70のクラック発生を防止することができる。
なお凹部71は、圧電素子300の幅方向に亘って連続して形成されている必要がある。これは例えば、凹部71を圧電素子300の幅方向の一部に形成するようにした場合、圧電体層70が残っている部分に応力集中が発生し、そこからクラックが発生してしまう虞があるからである。
また、凹部71が形成された部分の圧電体層70は、その厚さが極めて薄いため、特にクラックが発生しやすい。しかしながら凹部71内の圧電体層70上にも金属材料からなる上電極膜80を連続的に形成することで、圧電体層70にクラックが発生するのを防止することができる。
また、本実施形態に係るアクチュエータは、圧電体層70に2カ所、凹部71を設けるようにしたが、もちろん3カ所以上設けるようにしても構わない。また、圧電体層70に凹部71を3カ所以上設ける場合、各凹部71の間隔は一定であってもよいが、圧電素子300にかかる引張応力に応じて適宜決定すればよい。例えば、引張応力を受けやすい部分に形成する凹部71の間隔は、他の部分に形成される凹部71の間隔よりも短くするようにしてもよい。
また、アクチュエータの製造方法は、特に限定されないが、本実施形態では、次の手順で形成している。まず、流路形成基板10上に弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60を順次形成し、下電極膜60を所定形状にパターニングする。次いで、下電極膜60が形成された流路形成基板10の全面に、例えば、ゾル−ゲル法等によって圧電体層70を形成した後、圧電体層70をエッチングすることにより所定形状にパターニングする。なお、本実施形態では、イオンミリングによって圧電体層70をパターニングしている。このため、圧電体層70の側面は、流路形成基板10の表面に対して傾斜する傾斜面で構成されている(図3等参照)。そして、このように圧電体層70をパターニングした後、流路形成基板10の全面に上電極膜80を形成し、上電極膜80を所定形状にパターニングすることで圧電素子300を形成している。
(実施形態2)
本実施形態は、アクチュエータ部分の変形例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態1と同様であり、説明は省略する。また実施形態1のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態は、アクチュエータ部分の変形例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態1と同様であり、説明は省略する。また実施形態1のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図4(a)は、本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係るアクチュエータは、低誘電体層72が下電極膜60上に圧電素子300の長手方向に亘って連続的に形成されており、低誘電体層72上に圧電体層70が配設されている。なお、低誘電体層72に用いられる低誘電材料は、圧電体層70に用いられているチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)より、誘電率が低い材料からなる。例えば、圧電体層70に用いられているチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のジルコニウムの割合をさらに増加させたもの等を用いればよい。また圧電体層70は凹部71で厚さ方向に貫通されて完全に分離されており、圧電素子300の非駆動部では、下電極膜60と上電極膜80との間に、低誘電体層72のみが配設されている。
本実施形態に係るアクチュエータでは、凹部71が形成されている部分が、圧電体層70が完全に除去されていて、下電極膜60と上電極膜80との間に低誘電体層72が配設されている。このような構成にしても、本実施形態に係るアクチュエータの圧電素子300に、電圧が印加されたときに、凹部71が形成されている部分は、実質的に駆動しないので、非駆動部として機能する。また凹部71が形成されていない部分は、下電極膜60上に低誘電体層72が形成されているがその厚さは極めて薄く、この部分の変位には特に影響を与えることがない。したがって、凹部71が形成されていない部分は、圧電素子300の駆動部として機能する。
したがって、このような構成のアクチュエータにしても、電圧が印加されて圧電素子300が撓むときに、圧電素子300全体が振動板から受ける長手方向の引張応力は緩和され、この引張応力に起因する圧電体層70のクラックの発生を確実に防止することができる。
なお図4(a)では、圧電素子300の非駆動部の圧電体層70は完全に除去されているが、図4(b)に示すように、圧電体層70が一部残っていても構わない。
この場合、圧電素子300に電圧が印加されたときに、圧電素子300の非駆動部では、低誘電体層72にほとんどの電圧がとられるので、圧電素子300の非駆動部の圧電体層70にはほとんど電圧がかからず、圧電素子300の非駆動部の圧電体層70の電界強度は大幅に減少する。したがって、電圧が印加されたときに、圧電素子300の非駆動部の圧電体層70でのクラック発生を防止することができる。
なお本実施形態に係るアクチュエータは、下電極膜60を形成した後に、低誘電体層72と圧電体層70とを順次形成し、所定形状にパターニングした後、上電極膜80を流路形成基板10の全面に形成して所定形状にパターニングすることで、作成することができる。
(実施形態3)
本実施形態は、実施形態2のアクチュエータの一部を変形させた例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態2と同様であり、説明は省略する。また実施形態2のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態は、実施形態2のアクチュエータの一部を変形させた例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態2と同様であり、説明は省略する。また実施形態2のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係るアクチュエータは、圧電素子300の非駆動部である、凹部71の底面部分のみに低誘電体層72が配設されている。
このように、凹部71の底面部分のみに低誘電体層72を配設するようにしても、電圧が印加されたときに圧電素子300の非駆動部が変位する量は、第1の実施形態の圧電素子300の非能動部が変位する量よりも小さくなる。したがって、振動板から受ける長手方向の引張応力に起因する圧電体層70のクラック発生をより防止することができるアクチュエータを実現することができる。
また、本実施形態に係るアクチュエータの低誘電体層72が、絶縁性を有する部材で形成されていてもよい。この場合、圧電素子300の非駆動部は完全に変位しなくなるので、圧電素子300全体が振動板から受ける長手方向の引張応力をより緩和させることができる。なお、絶縁性を有する部材としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)等を用いればよい。
(実施形態4)
本実施形態は、実施形態3のアクチュエータの一部を変形させた例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態3と同様であり、説明は省略する。また実施形態3のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態は、実施形態3のアクチュエータの一部を変形させた例である。なお、アクチュエータ部分以外は実施形態3と同様であり、説明は省略する。また実施形態3のアクチュエータと同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図6(a)は、本発明の第4の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係るアクチュエータは、圧電体層70の凹部71内の側面部分にも、低誘電体層72が配設されている。
ここで、圧電体層70の凹部71の側面部分に配設された上電極膜80と、対向する下電極膜60との間で、電界集中が起きる可能性がある。
しかしながら本実施形態に係るアクチュエータでは、凹部71の側面部分にも低誘電体層72が配設されているので、この部分での電界集中を防止することができ、圧電体層70の凹部71の側面部分からクラックが発生するのを確実に防止することができる。
また、本実施形態に係るアクチュエータは、低誘電体層72で圧電体層70の凹部71の底面部分と側面部分が覆われていればよいので、図6(b)に示すように、凹部71内に低誘電体層72が充填されていても構わない。
(他の実施形態)
以上のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
以上のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記で説明したようなアクチュエータを具備したインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図7に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図示しない紙送りモータの駆動力により回転できるようになっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 11 隔壁、 12 圧力発生室、 13 インク供給路、 14 連通路、 15 連通部、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 33 貫通孔、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 41 封止膜、 42 固定板、 43 開口部、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 71 凹部、 72 低誘電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 121 接続配線、 200 駆動回路、 300 圧電素子、
Claims (8)
- 基板上に配設された振動板と、前記振動板上に配設された下電極と前記下電極上に配設された圧電体層と前記圧電体層上に配設された上電極とで構成された圧電素子とを具備し、
前記圧電体層には、当該圧電体層を実質的に分離する深さを有する凹部が幅方向に亘って設けられているとともに、当該凹部が前記圧電体層の長手方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上電極は、前記圧電体層の前記凹部内にも連続的に形成されていることを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1に記載のアクチュエータにおいて、前記凹部内には、前記圧電体層より誘電率が低い低誘電体層が設けられ、当該凹部の底面部分が、前記低誘電体層で覆われており、前記上電極が前記圧電体層上及び前記低誘電体層上に連続的に形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項2に記載のアクチュエータにおいて、前記凹部が前記圧電体層の厚さ方向に貫通して設けられ、前記圧電体層が当該凹部で完全に分離されていることを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項2又は請求項3に記載のアクチュエータにおいて、前記圧電体層の前記凹部の側面部分が、前記低誘電体層でさらに覆われていることを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項2又は請求項3に記載のアクチュエータにおいて、前記低誘電体層が、前記下電極上に前記圧電素子の長手方向に亘って連続的に形成され、前記低誘電体層上に前記圧電体層が配設されていることを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項2〜4の何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、前記低誘電体層が絶縁性を有する材料からなることを特徴とするアクチュエータ。
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室を具備する流路形成基板と、当該流路形成基板の前記圧力発生室に対向する領域に配設された請求項1〜6の何れか一項に記載のアクチュエータとを具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項7に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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JP2007184893A JP2009018551A (ja) | 2007-07-13 | 2007-07-13 | アクチュエータ、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
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JP2010208111A (ja) * | 2009-03-09 | 2010-09-24 | Canon Inc | 圧電体素子、それを用いた液体吐出ヘッド及び記録装置 |
US8444256B2 (en) | 2009-07-23 | 2013-05-21 | Seiko Epson Corporation | Piezoelectric actuator and liquid ejecting head |
JP2015110338A (ja) * | 2015-01-21 | 2015-06-18 | セイコーエプソン株式会社 | 圧電素子 |
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-
2007
- 2007-07-13 JP JP2007184893A patent/JP2009018551A/ja active Pending
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