JP2009018362A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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亨 長谷川
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Abstract

【課題】 高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体の表面に、(a)下部層として、粒状結晶組織のTiN層、TiCN層のうちの少なくとも1層、(b)中間層として、粒状結晶組織の(Ti,Cr)CNO層、(c)上部層として、縦長成長結晶組織のTiCN層、(d)最表面層として、Al層、上記(a)〜(d)を蒸着形成し、必要により、上記(c)と(d)の間に、密着層として、粒状結晶組織のTi化合物層を蒸着形成する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、高い発熱を伴うとともに切刃に対して大きな機械的負荷がかかる鋼や鋳鉄などの高速重切削加工で、すぐれた耐熱塑性変形性を備え、かつ、すぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、切削工具の工具基体材料としては、WC、Co、Crの炭化物、Ti,Zr,V,Ta,Nbの炭化物、窒化物、炭窒化物等をその構成成分として含有する、炭化タングステン基(以下、WC基で示す)超硬合金がよく知られており、また、上記WC基超硬合金からなる工具基体表面に、
(a)下部層が、粒状結晶組織(以下、粒状という)のTiの炭化物(TiC)層、窒化物(TiN)層、炭窒化物(TiCN)層、炭酸化物(TiCO)層、窒酸化物(TiNO)層、炭窒酸化物(TiCNO)層のうちの少なくとも1層からなるTi化合物層、
(b)上部層が、2〜20μmの平均層厚を有する、縦長成長結晶組織のTiの炭窒化物(以下、l−TiCNで示す)層、
(c)最表面層が、酸化アルミニウム(以下、Alで示す)層、
以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を化学蒸着で全体平均層厚2.5〜30μmの厚さで形成してなる被覆工具(以下、従来被覆工具という)も知られ、そして、この従来被覆工具は、すぐれた耐摩耗性、耐剥離性を発揮することが知られている。
また、上記の従来被覆工具におけるl−TiCN層は、例えば、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度域で化学蒸着することにより形成することができ、そしてこれがすぐれた高温強度を有することも知られている。
特開平6−31503号公報 特開平6−8010号公報
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化、省エネ化、高効率化、低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と過酷な条件下で行われる傾向にあり、被覆工具の長寿命化を図るため、最表面のAl層を厚膜化する試みもなされているが、上記従来被覆工具は、これを鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削に用いた場合には耐摩耗性について特段の問題は生じないが、特にこれを高送り、高切込み等の切刃部に大きな熱的・機械的負荷がかかる高速重切削条件で用いた場合には、被覆工具の耐熱塑性変形性が不十分であるために偏摩耗を生じやすくなり、その結果、十分な耐摩耗性を発揮することができず、Al層を厚膜化しても比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来被覆工具の耐熱塑性変形性、耐摩耗性の向上をはかるべく、硬質被覆層の構成層であるTi化合物層のうちの、特に、TiCNO層、に着目し、研究を行った結果、以下のような知見を得た。
(a)従来被覆工具では、特に、切削加工時の耐熱塑性変形性を高めるために、その工具基体材料の成分としてCrを含有するものが多用されており、Cr成分を含有する基体からなる被覆工具は、Cr成分を含有しないものに比し、すぐれた耐熱塑性変形性を備え、その結果として、鋼や鋳鉄などの通常条件下での切削加工では、すぐれた耐摩耗性を示すようになってきている。
しかし、このような被覆工具、特に、耐摩耗性向上、長寿命化のためにAl層の厚膜化を図った被覆工具においては、化学蒸着により硬質被覆層を形成する際、蒸着装置内に配置された工具基体も長時間高温に曝されるため、工具基体を構成する成分元素の拡散が生じ、特に、高温強度、耐熱塑性変形性等を向上させるためにCr酸化物、Cr炭化物等のCr成分を含有させたWC基超硬合金の場合には、工具基体表面に蒸着形成されたTi化合物層(例えば、粒状結晶組織のTiN層(以下、粒状TiN層という))へのCrの拡散が生じ、しかも、粒状TiN層にはCrの拡散を抑制する機能がないため、上部層(l−TiCN層)にまでCrが拡散し、その結果、上部層(l−TiCN層)において高温硬さの低下が生じ、同時に、工具基体中のCr量が基体表面で減少し、そして、工具基体に形成されたこの低Cr領域は耐熱塑性変形性に劣るため、被覆工具には偏摩耗等が生じやすくなり、耐摩耗性が大幅に低下するため、Al層の厚膜化を行ったとしても、被覆工具の耐摩耗性向上、長寿命化を達成することは非常に困難である。
(b)そこで、硬質被覆層の下部層を、粒状TiN層あるいは粒状TiCN層からなる層とし、該下部層と、l−TiCN層からなる上部層との間に、粒状TiCNO層のTiの一部をCrで置換した粒状結晶組織のTiとCrの複合炭窒酸化物(以下、粒状TiCrCNOという)層を中間層として蒸着形成すると、この粒状TiCrCNO層は、粒状TiCNO層に比して高温強度が向上し、さらに、粒状TiCrCNO層はCrの拡散抑制作用を有するため、工具基体が高温で長時間曝されたとしても、工具基体からのCr成分の拡散を抑え、したがって、Cr成分がl−TiCN層(上部層)へ拡散することが防止され、その結果として、l−TiCN層の硬度低下が抑えられ、同時に、工具基体からCrが拡散することによって生じていた工具基体表面近傍の低Cr領域の形成も防止されるため、工具基体自体の耐熱塑性変形性の低下も防止される。
(c)さらに、上部層である上記l−TiCN層と、最表面層であるAl層の間に、粒状結晶組織のTi化合物層(例えば、粒状結晶組織のTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、TiCNO層)を、0.1〜3μmの合計層厚で蒸着形成し、密着層として介在させると、上記l−TiCN層と、最表面層であるAl層の密着性が向上するようになり、この結果、被覆工具は切削抵抗の高い被削材の切削においても、硬質被覆層の層間剥離の発生およびチッピングの発生がなく、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮する。
(d)したがって、炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体の表面に、粒状TiN層あるいは粒状TiCN層からなる下部層と、粒状TiCrCNO層からなる中間層と、l−TiCN層からなる上部層と、必要により、粒状Ti化合物層を密着層として介在させ、その上に、Al層からなる最表面層を硬質被覆層として蒸着形成した被覆工具は、たとえ、高温で長時間曝されたとしても、工具基体からの上部層側へのCrの拡散が抑制され、そのため、工具基体表面近傍の低Cr領域の形成による耐熱塑性変形性の低下が防止され、また、l−TiCN層の硬度低下も防止され、さらに、粒状TiCrCNO層がすぐれた高温強度を有することと相俟って、鋼や鋳鉄などの高送り、高切込み等の切刃部に大きな熱的・機械的負荷がかかる高速重切削条件に用いた場合であっても、すぐれた耐熱塑性変形性を示すとともに長期にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮するようになる。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステン基(WC基)超硬合金からなる工具基体の表面に、
(a)下部層が、0.1〜2μmの合計平均層厚を有する化学蒸着で形成された、粒状結晶組織のTiの窒化物層(粒状TiN層)、Tiの炭窒化物層(粒状TiCN層)のうちの少なくとも1層、
(b)中間層が、0.5〜3μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された粒状結晶組織のTiとCrの複合炭窒酸化物層(粒状TiCrCNO層)、
(c)上部層が、2〜20μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された、縦長成長結晶組織のTiの炭窒化物層(l−TiCN層)、
(d)最表面層が、0.2〜15μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された酸化アルミニウム層(Al層)、
以上(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具(被覆工具)。
(2) 前記(1)記載の表面被覆切削工具(被覆工具)において、
上記(c)の縦長成長結晶組織のTiの炭窒化物層(l−TiCN層)と、上記(d)の酸化アルミニウム層(Al層)との間に、0.1〜3μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された粒状結晶組織のTiの炭化物層(粒状TiC層)、窒化物層(粒状TiN層)、炭窒化物層(粒状TiCN層)、炭酸化物層(粒状TiCO層)、窒酸化物層(粒状TiNO層)のうちの少なくとも1層からなる密着層を介在してなる前記(1)記載の表面被覆切削工具(被覆工具)。」
に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆工具について、詳細に説明する。
(a)工具基体(WC基超硬合金)
WC基超硬合金からなる工具基体は、通常、硬質相成分と結合相成分からなり、硬質相の主要構成成分としてはWCを含有し、これに加えてさらに、周期律表の4a、5a、6a族の金属炭化物、窒化物、炭窒化物を含有し、また、結合相の主要構成成分としては、鉄族金属元素の少なくとも1種、特にCo、を含有し、これらの構成成分からなるWC基超硬合金は硬質材料であってすぐれた耐摩耗性を有するが、Crの炭化物、窒化物、炭窒化物が含有されている場合には、工具基体表面へ硬質被覆層を蒸着形成する際、特に、厚膜Al層を形成するような場合、長時間高温に曝されるため、Crが硬質被覆層中へ拡散し、工具基体の表面近傍には低Cr領域が形成され、工具基体の耐熱塑性変形性が低下して偏摩耗を生じやすくなり、結果として被覆工具の耐摩耗性が劣化し、一方、硬質被覆層中に拡散Crが含有されることにより、硬質被覆層の高温強度は増大するが、その反面、特に、l−TiCN層の高温硬さが低下し、これも被覆工具の耐摩耗性低下の原因となる。
しかし、この発明では、硬質被覆層の中間層として、それ自体高温強度にすぐれ、さらに、Crの拡散抑制作用を有する粒状TiCrCNO層を蒸着形成したことによって、WC基超硬合金からなる工具基体の構成成分としてCr成分を含有する工具基体であっても、これを高温下で長時間曝したとしても、特にCrの拡散防止が図られることにより、被覆工具の耐熱塑性変形性の低下を防止されるとともに、耐摩耗性の維持向上が図られる。
(b)下部層(粒状TiN層、粒状TiCN層)
粒状TiN層、粒状TiCN層からなる下部層は、それ自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体と中間層である粒状TiCrCNO層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、その合計平均層厚が0.1μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が2μmを越えると、特に高速重切削でチッピングを起し易くなることから、その合計平均層厚を0.1〜2μmと定めた。
(c)中間層(粒状TiCrCNO層)
通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成:容量%で、TiCl:3〜10%、CrCl:0.1〜1%、CO:0.5〜2%、CH:1〜3%、N:10〜20%、H2:残り、
反応雰囲気温度: 900〜1020 ℃、
反応雰囲気圧力: 7〜20kPa、
の条件で化学蒸着を行うと、平均層厚が0.5〜3μmの粒状結晶構造のTiCrCNO層を蒸着形成できるが、この粒状TiCrCNO層は、粒状TiCNO層に比して、すぐれた高温強度を有し、さらに、Crの拡散抑制機能を有するため、硬質被覆層の化学蒸着時に、Cr成分が工具基体から硬質被覆層側へと拡散し、工具基体の表面近傍に低クロム領域が形成されることによる耐熱塑性変形性の低下を防止すると同時に、粒状TiCrCNO層の上面に設けられたl−TiCN層中へCrが拡散し、含有されることによるl−TiCN層の硬度低下を防止し、その結果として、被覆工具の偏摩耗の発生を防ぎ、もって、高い発熱を伴う鋼や鋳鉄などの高速重切削加工における被覆工具の耐摩耗性向上、長寿命化に寄与する。
粒状TiCrCNO層におけるCr成分の含有割合は、Tiとの合量に占めるCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))で0.01〜0.2(但し、原子比)が望ましく、Cr含有割合が0.2を超えると、粒状TiCrCNO層上面に蒸着形成されているl−TiCN層中へCrが拡散を生じやすくなり、その結果として、l−TiCN層の高温硬度が低下傾向を示すようになり、一方、Cr含有割合が0.01未満になると、Crを含有させたことによる粒状TiCrCNO層の高温強度向上効果を望めなくなることから、Tiとの合量に占めるCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))は0.01〜0.2(但し、原子比)とすることが望ましい。
また、粒状TiCrCNO層の平均層厚が0.5μm未満では、Crの拡散抑制作用が十分に機能せず、高温強度向上効果も少なく、また、その平均層厚が3μmを超えると、チッピングを発生する恐れがあるので、粒状TiCrCNO層の平均層厚は0.5〜3μmと定めた。
(d)上部層(l−TiCN層)
上部層としての、縦長成長結晶組織を有するl−TiCN層は、例えば、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成:容量%で、TiCl:2〜10%、CHCN:0.5〜3%、N:10〜30%、H2:残り、
反応雰囲気温度:800〜900℃、
反応雰囲気圧力:6〜20kPa、
の条件で蒸着形成されるが、粒状TiCN層に比して、一段とすぐれた高温強度を具備するため、高速重切削加工における耐チッピング性の向上に寄与する。
そして、上記l−TiCN層の平均層厚が2μm未満では、高温強度向上効果が少なく、また、平均層厚が20μmを超えるとチッピングを発生しやすくなることから、l−TiCN層の平均層厚を2〜20μmと定めた。
(e)密着層(粒状Ti化合物層)
上部層である上記l−TiCN層と、最表面層であるAl層の間に、粒状結晶組織のTi化合物層(例えば、粒状結晶組織のTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、TiCNO層)を0.1〜3μmの合計層厚で蒸着形成し、密着層として介在させると、上記l−TiCN層と、最表面層であるAl層の密着性が向上するようになり、この結果、被覆工具は切削抵抗の高い被削材の切削においても、硬質被覆層の層間剥離の発生およびチッピングの発生がなく、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮する。
(f)最表面層(Al層)
Al層からなる上部層は、すぐれた高温硬さと耐熱性を有し、硬質被覆層の耐摩耗性向上に寄与するが、その平均層厚が0.2μm未満では、硬質被覆層に十分な耐摩耗性を発揮せしめることができず、一方その平均層厚が15μmを越えて厚くなりすぎると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を0.2〜15μmと定めた。
なお、切削工具の使用前後の識別を目的として、黄金色の色調を有するTiN層を、必要に応じて蒸着形成してもよいが、この場合の平均層厚は0.1〜1μmでよく、これは0.1μm未満では、十分な識別効果が得られず、一方前記TiN層による前記識別効果は1μmまでの平均層厚で十分であるという理由からである。
この発明の被覆工具は、硬質被覆層の中間層として形成した粒状TiCrCNO層が、それ自身すぐれた高温強度を有するとともに、WC基超硬合金からなる工具基体の構成成分であるCrの拡散を抑制することにより、工具基体表面近傍に低クロム領域が形成されることを防止し、拡散によりl−TiCN層中にCrが拡散・含有されることを防止し、もって、高い発熱を伴い切刃に対して大きな機械的負荷がかかる鋼や鋳鉄などの高速重切削加工に用いた場合でも、被覆工具のすぐれた耐摩耗性が長期の使用に亘って確保されるものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG120408に規定するインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
つぎに、これらの工具基体A〜Fの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、硬質被覆層の下部層として、粒状TiN層、粒状TiCN層のうちの少なくとも1層を表2に示される条件、かつ、表3に示される組み合わせ、目標層厚で蒸着形成し、
ついで、中間層としての粒状TiCrCNO層を、表2に示される条件にて、表3に示される目標層厚で蒸着形成し、
ついで、上部層としてのl−TiCN層を、表2に示される条件にて、表3に示される目標層厚で蒸着形成し、
ついで、密着層としての粒状Ti化合物層を、表2に示される条件にて、表3に示される組み合わせ、目標層厚で蒸着形成し、
さらに、最表面層としてのAl層を、表2に示される条件にて、表3に示される目標層厚で蒸着形成して本発明被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
なお、中間層としての粒状TiCrCNO層に含有されるTiとの合量に占めるCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))を表2に目標Cr量として示す。
また、比較の目的で、硬質被覆層の中間層として、粒状TiCNO層を表2に示される条件で、表4に示される目標層厚で蒸着形成した以外は、実施例と同様にして、表2に示される条件で、表4に示される下部層、上部層、密着層、最表面層を、表4に示される目標層厚で蒸着形成することにより比較被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
なお、本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13のうちの一部については、密着層の蒸着は行わなかった。
そして、上記の本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13について、これの硬質被覆層の構成層を電子線マイクロアナライザー(EPMA)およびオージェ分光分析装置を用いて観察(層の縦断面を観察)したところ、いずれも目標組成と実質的に同じ組成を有することが確認された。
また、これらの被覆工具の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(同じく縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13について、
被削材:JIS・SCM440の丸棒、
切削速度: 300 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.25 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件A)での合金鋼の乾式高速高送り連続切削試験(通常の切削速度、送りは、それぞれ、200m/min、0.10mm/rev)、
被削材:JIS・S35Cの丸棒、
切削速度: 350 m/min、
切り込み: 2.5 mm、
送り: 0.15 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件B)での炭素鋼の乾式高速高切込み連続切削試験(通常の切削速度、切込みは、それぞれ、200m/min、1.5mm)、
被削材:JIS・FCD700の丸棒、
切削速度: 400 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.3 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件C)でのダクタイル鋳鉄の乾式高速高送り連続切削試験(通常の切削速度、送りは、それぞれ、300m/min、0.20mm/rev)、
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表6に示した。
Figure 2009018362
Figure 2009018362
Figure 2009018362
Figure 2009018362
Figure 2009018362
表3〜5に示される結果から、本発明被覆工具1〜13は、硬質被覆層の中間層が粒状TiCrCNO層で構成されていることから、高い発熱を伴うとともに切刃に対して大きな機械的負荷がかかる高速重切削加工でも、前記粒状TiCrCNO層が一段とすぐれた高温強度を備えるとともに、基体からのCr拡散抑制作用を有するので、基体の耐熱塑性変形性の低下はなく、また、l−TiCN層における硬度の低下もなく、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、硬質被覆層の中間層が粒状TiCNO層で構成されている比較被覆工具1〜13においては、硬質被覆層の高温強度が不十分であり、さらに、基体の表面にCr欠乏層が生じるため耐熱塑性変形性に劣り、加えて、l−TiCN層の硬度低下も生じるため、高速重切削加工では耐摩耗性に劣り、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、各種鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、大きな発熱を伴い、かつ、切刃に対して大きな機械的負荷がかかる高速切削加工でもすぐれた耐摩耗性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (2)

  1. 炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体の表面に、
    (a)下部層が、0.1〜2μmの合計平均層厚を有する化学蒸着で形成された、粒状結晶組織のTiの炭化物層、窒化物層、Tiの炭窒化物層のうちの少なくとも1層、
    (b)中間層が、0.5〜3μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された粒状結晶組織のTiとCrの複合炭窒酸化物層、
    (c)上部層が、2〜20μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された、縦長成長結晶組織のTiの炭窒化物層、
    (d)最表面層が、0.2〜15μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された酸化アルミニウム層、
    以上(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具。
  2. 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
    上記(c)の縦長成長結晶組織のTiの炭窒化物層と、上記(d)の酸化アルミニウム層との間に、0.1〜3μmの平均層厚を有する化学蒸着で形成された粒状結晶組織のTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層のうちの少なくとも1層からなる密着層を介在してなる請求項1に記載の表面被覆切削工具。
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