JP2009018271A - リンの除去を行う廃水処理方法及び装置 - Google Patents

リンの除去を行う廃水処理方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
廃水処理におけるリンや発生汚泥を効果的に処理し、実用的なリンの捕集・回収を行うことができる廃水処理方法と装置を提供する。
【解決手段】
リンを含む有機性廃水の処理を行う廃水処理方法において、前記廃水16を生物学的に処理3して該廃水中のリンを活性汚泥15中に摂取し、リンを摂取した活性汚泥15を濃縮8し、該濃縮汚泥からリンを水中9に放出させ、該水中に放出したリンを、ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と水溶性高分子化合物を母材表面上に複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いて捕集11することとしたものであり、前記水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールがよく、リン捕集材は、繊維状、フィルム状、網状等で使用でき、濃縮汚泥からのリンの放出は、嫌気性処理及び/又は酸化処理で行うことができ、また、リン捕集材はアルカリ洗浄で再生できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃水処理において、廃水処理場からのリンや発生汚泥の効果的な処理に関し、特に、リンの捕集、回収(除去)により、処理された排水の放流による河川等の富栄養化を防止することが出来る廃水処理方法及び装置に関する。
本発明の廃水処理は、各種廃水からリンの捕集・回収を行うものであり、リンを含む廃水であれば何れの廃水にも適応出来、下水、及び製油、ビール等食品の工場廃水、食品、家畜関連等の廃水に好適に使用出来る。
従来技術として、下水処理を例に説明する。
下水処理においては、多量の有機性汚水を処理するため多量の有機性汚泥が発生する。この汚泥は、減量化処理として、濃縮、消化、脱水などの工程を経て処理される場合が多く、これらのプロセスにおいて、汚泥から分離された分離水は、通常水処理系に返送される。
この返送水には、溶解性リン、BOD、アンモニア性窒素等が高濃度含まれており、これらは水処理系の水質を悪化させる原因となっている。この溶解性リン、BOD、アンモニア性窒素の内、特に、リンは近年、水質規制項目に挙がり、取締りが強化されつつある汚染物質の一つである。
従来、リン除去は、生物学的嫌気好気法、凝集剤添加法、晶析法、リン吸着剤法が知られており、それぞれ利点を有するが、一方、リンの除去効率(性能)、安定性、新たな汚泥発生、適正条件の設定、リン回収時の操作性、コスト高等の問題を有しており、今後、一層実用的で効果的な方法の出現が期待されている。
例えば、生物学的嫌気好気法は、槽内の曝気を行わないで、微生物を一旦嫌状態として汚泥からリンを放出させた後、曝気を行って好気状態とし、この時微生物が過剰にリンを摂取する現象を利用して、引き抜かれる余剰汚泥中にリンを移行させるリン除去方法である。この方法は、消費エネルギが少ない利点があるが、汚泥処理工程でリンが再放出されるので、リンの除去効率や安定性に欠ける問題がある。
凝集剤添加法は、排水に凝集剤を添加して、攪拌槽及び沈殿槽により、凝沈汚泥としてリンを除去する方法である。この方法は、安定して高いリン除去率が得られる利点を有するが、凝集剤の添加に伴って新たに汚泥が発生するので、発生汚泥量増大という問題がある。
晶析法は、排水に消石灰を添加し、種晶の存在下で緩速攪拌し、ヒドロキシアパタイトを晶析させ、リンを除去する方法である。この方法は、発生する汚泥量が比較的少ない利点を有するが、過剰な薬剤の投入が必要であり、コストが高くなる問題がある。
また、リン吸着剤法(特開2007−014826号公報、特開2006−297382号公報)は、排水と特殊吸着剤を接触させ、リンを吸着除去する方法である。この方法は、薬剤の投入が不要であり、新たに発生する汚泥量が少ない利点を有するため、その適用が検討されている。しかし、製造方法が複雑であり、適正な吸着条件の設定(前処理)が必要であり、吸着剤のコストが高い等の問題がある。
即ち、特開2007−014826号公報及び特開2006−297382号公報に示されたリン吸着剤は、無機イオン吸着剤の表面積を損なうことなく、吸着を行うことができるように工夫する必要があるために、ポリマーをフィブリル化や多孔質化したりする必要がある。該ポリマーは、無機イオン吸着剤の保持担体であり、無機イオン吸着剤の耐久性をあげるために、表面積や多孔性に制限を加える必要があり、さらには、吸着を効率的に行うために、無機イオン吸着剤は、ポリマー担体の表面付近か、内部の空隙に保持する必要がある等、製造方法が複雑で、結果的にコスト高になるという問題があった。
特開2007−014826号公報 特開2006−297382号公報
本発明は、上記従来技術に鑑み、廃水処理におけるリンや発生汚泥を効果的に処理し、実用的なリンの捕集、回収(除去)を行うことができる廃水処理方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明では、リンを含む有機性廃水の処理を行う廃水処理方法において、前記廃水を生物学的に処理して該廃水中のリンを活性汚泥中に摂取し、リンを摂取した活性汚泥を濃縮し、該濃縮汚泥からリンを水中に放出させ、該水中に放出したリンを、ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と水溶性高分子化合物を母材表面上に複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いて捕集することを特徴とする廃水処理方法としたものである。
前記廃水処理方法において、水溶性高分子化合物は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン及びカルボキシメチルセルロース、これらポリマーの共重合体及びブロックポリマーの群から選ばれた1種以上であり、前記リン捕集材は、形状が繊維状、フィルム状、不織布状、網状、板状、ビーズ状のいずれかであり、前記リン捕集材からのリンの放出は、嫌気性処理及び/又は酸化処理で行うことができ、また、前記捕集に用いたリン捕集材は、アルカリ洗浄で再生することができる。
また本発明では、リンを含む有機性廃水の処理を行う廃水処理装置において、前記廃水を生物学的に処理して活性汚泥中にリンを摂取する生物処理装置と、該リンを摂取した活性汚泥を含む処理液を濃縮する装置と、該濃縮した汚泥からリンを水中に放出させるリン放出手段と、該放出したリンを捕集するジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と水溶性高分子化合物を母材表面上に複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いる捕集手段とを有することを特徴とする廃水処理装置としたものである。
前記廃水処理装置において、リン放出手段は、リンを含む濃縮汚泥を、嫌気性処理及び/又は酸化処理する手段であり、前記リン捕集材は、形状が繊維状、フィルム状、不織布状、網状、板状、ビーズ状のいずれかであり、また、前記水処理装置には、リン捕集材を、アルカリ状態で再生を行う再生手段を有することができる。
(1) ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上を高分子化合物と複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いると、下水処理におけるリンが効果的に捕集される。
(2) ジルコニウム又はチタンは、容易にリン酸基化合物と結合すると共に、アルカリ洗浄することによって容易にリン酸を遊離してリン酸塩を生成分離させるので、リン捕集材の再生とリン酸基の分離を容易に行うことが可能となる。これにより、リン捕集材から分離回収され、且つ元の廃水中のリン濃度から極めて高濃度に濃縮されたアルカリリン酸塩水溶液が得られるので、容易に常法によってリンの回収が可能となり、リン資源としての再利用が可能となる。
(3) 本捕集材の性能は、中性から酸性で効果的であり、リン捕集に当たり、成分調整、あるいはpH調整等予めの前処理が不要である。
上記により、本捕集材は、種種の水質の水、例えば、下水及び製油、ビール等食品の工場における廃水、家畜関連等の廃水に好適に使用出来るので、用途が広がり、実用性が向上した。
(4) 任意形状の母材に付加して使用出来るので、リン捕集、リン回収、再生が一連の連続操作として実施可能である。
即ち、このリン捕集材は、リン捕集後はアルカリ洗浄することにより再生可能であるので、繰り返し使用することができ、再生時に回収されたリン酸塩水溶液は、不純物を殆ど含有しないリン酸塩溶液であるから、リンが容易に濃縮分離可能となる。
(5) 新規添加剤投入の必要が無いので、新たな汚泥等の副産物が生成しない。
(6) 前記より、本捕集材を用いるリン捕集は、リン捕集プロセスが簡易になり、長期安定連続運転が容易に出来ることから実用上効果的である。
本発明は、次の4つの知見に基づき発明されたものである。
(1) 下水処理や工場廃水処理におけるリンは、ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と高分子化合物を適宜の形状、材質の母材(担体)上に複合化させて不溶化してなる材料を含む捕集材を用いると、リンの捕集が効果的である。
(2) このリン捕集材は、水溶液のリン捕集に高性能を発揮するので、被処理発生汚泥(余剰汚泥)中のリンを水溶液に放出(溶出)させるために、先ず、該発生汚泥を嫌気性処理及び/又は酸化処理を行う。これにより、本リン捕集材によるリンの捕集、回収(除去)が効果的に出来る。
(3) 本捕集材は、ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と高分子化合物を、適宜の形状、材質の母材(担体)上にナノ複合化させて、不溶化することにより製造できる。代表的な製造では、塩化ジルコニル(ZrOCl・8HO)水溶液とポリビニルアルコール(PVA)との反応で得られるが、水溶性のジルコニム源としての塩化ジルコニル水溶液と水溶性の高分子PVAを水溶液で混合し、フィルム状などに成形して乾燥することにより不溶化する。不溶化は、PVAがその水酸基を通して溶液中のジルコニウムと結合し、架橋されることにより行われる。該捕集材によるリン捕集メカニズムは、リン捕集材中の架橋不溶化ポリマー中のジルコニウムサイトにリン酸基が反応して、リン酸基を固定することによると考えられる。ジルコニウムはリン酸との親和性の高い元素であり、このことは、種々の組成のリン酸ジルコニウムZrP、 Zr(PO)(HPO)・2HO、 Zr(HPO)・HOが知られていることからも容易に推定される。塩化ジルコニルは水溶性の化合物であり、リン酸と反応して非晶質のリン酸ジルコニウムを沈殿するが、水中で固体として、リン捕集材の機能を有する化合物ではない。リン捕集の詳細な機構は不明であるが、塩化ジルコニルを溶解した水溶液は強い塩酸酸性であり、そのような溶液中で、ジルコニウムが水酸化物として沈殿し、PVAを架橋することは考えにくい。従って、本捕集材は、水酸化ジルコニウム微粒子とPVAからなる通常考えられるような複合体ではなく、ジルコニウムは分子レベルでPVAを架橋し、均一なポリマーとして存在すると考えられる。これは、従来技術のリン捕集能を有する無機化合物を高表面積化して、それ自体はリン捕集機能が無いポリマーに分散して得られる複合体とは異質の化学反応によるリン捕集材であることに特徴がある。本捕集材の優れた特性は、この特徴に由来するものである。
また、リン溶出メカニズムは、これを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによって、リン酸基はリン酸ナトリウム〔NaPOやNaHPO〕となって溶出し、架橋体のZrサイトは元の状態に再生されるものである、と考えられる。
(4) 本捕集材は、下記の特徴から実用上効果的である。
本捕集材の性能は、他の物質が共存しても共存物の影響を受けにくい。また、中性から酸性領域で効果的であるため、リン捕集に当たり、成分調整、あるいはpH調整等予めの前処理が不要である。
即ち、本発明対象の水のpH値は、通常、中性付近、例えば、下水では6.9〜7.1の範囲であるので、pH調整等の前処理を行わないで、本捕集材を使用出来る。更に、任意形状の母材に付加し使用出来るので、リン捕集、リン回収、再生が一連の連続操作として実施可能である。
この様に、本捕集材を用いると、リン捕集プロセスが簡易になり、長期安定連続運転が容易に出来る。
また、上記の如く、任意形状の母材に付加して使用することにより、リン捕集、リン回収、再生が一連の連続操作として実施可能である。また、新規添加剤投入の必要が無く、長期間繰り返し再生使用出来るため、新たな廃棄物の発生もほとんどない。
次に、本発明の構成を詳細に説明する。
(1) リン捕集材
本発明のリン捕集材は、ジルコニウム化合物(Zr化合物)又はチタン化合物(Ti化合物)の1種以上と高分子化合物を、適宜の形状、材質の母材(担体)上にナノ複合化させて不溶化した材料である。この構成を採用することにより、捕集材としてのZr化合物又はTi化合物を水中のリン化合物と反応させてリン酸化合物を生成させた後に、アルカリ洗浄することによって容易に元の状態に再生可能となる。
このリン捕集物質は、下記の3つの機能を有している。即ち、第1は、高分子化合物との複合化による架橋反応性である。第2は、水溶性又は水分散性である。第3は、再生可能性である。
前記の第1の機能は、リン捕集物質を高分子化合物と化学的に結合させて安定して保持させるための必須の要件であり、単に吸着等による物理的保持では、繰り返し使用される過程でリン捕集物が水中に放出されてリン吸収剤の性能低下を招くことになる。第2の機能は、リン捕集材の製造上、水溶性高分子化合物と均一に混合させて、均一なリン捕集材を製造するために必要な機能である。第3の機能は、本発明の重要な機能であり、捕集したリンを回収してリン資源として再利用するために必要な機能である。
これらの機能を発揮させるために、本発明のリン捕集物質は、Zr化合物又はTi化合物であり、具体的には、塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、キレート系ジルコニウム、アミノカルボン酸系ジルコニウム、水酸化ジルコニウムゾル、ジルコニアゾル、三塩化チタン、四塩化チタン、硫酸チタン、酸塩化チタン、乳酸チタン、ペルオキソチタネート、キレート系チタネート、チタニアゾル、加水分解により水溶性あるいは水分散性のチタン化合物を生じるチタンテトライソプロポキシド等のチタンアルコキシドの群から選ばれた水溶性又は水分散性のジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上から選択するのが好ましい。
高分子化合物としては、次の2つの機能を有するものであれば何れも使用出来る。第1は水溶性であり、第2はジルコニウム化合物又はチタン化合物との複合化による架橋反応性である。第1の機能は、前述の通り水溶性又は水分散性のZr化合物やTi化合物と均一に混合させて均一なリン捕集材を製造するために必要な機能であり、第2の機能は、リン捕集機能を有するZr化合物やTi化合物を不溶化して安定化させるために必要な機能である。この様な観点から、本発明の捕集材で使用される水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、これらポリマーの共重合体及びブロックポリマーが挙げられる。中でも架橋性と経済性を考慮すると、PVAが好ましい材料である。
次に、母材について、説明する。
母材は、ジルコニウム化合物(Zr化合物)又はチタン化合物(Ti化合物)の1種以上と高分子化合物を、該表面上に効果的にナノ複合化させて不溶化出来る材料であれば何れも使用出来る。この様な材料として、SUSのような金属材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロンのような有機性材料がある。形状は、繊維状、フィルム状、不織布状、網状、板状、ビーズ状がある。
この内、ビニロンは、化学耐久性に優れ、軽いこと、安価なこと等から用途、仕様によっては好ましい。
次に、母材上へのジルコニウム化合物(Zr化合物)又はチタン化合物(Ti化合物)の1種以上と、高分子化合物の複合化(架橋反応)による不溶化について説明する。
母材の存在下に、前述の水溶性高分子化合物に、架橋剤としてZr化合物やTi化合物を添加すると共に加熱処理すると、ZrやTiが架橋点となってポリマー鎖のアルコール基やアミノ基、カルボン酸基と反応して架橋し、ポリマーの組織を母材上に3次元化して不溶化する。架橋反応による不溶化率は、Zr化合物やTi化合物と水溶性高分子材料の比率や加熱温度及びpH並びに化合物の組合せによって異なるので、高不溶化率を得るための最適条件は、試験等を通して適宜設定すればよい。
一般には、室温から250℃の温度域で加熱することにより不溶化できるが、好ましくは100〜160℃の温度域を用いる。
従来技術の特開2007−014826号公報及び特開2006−297382号公報に示されたリン吸着剤は、前記の第3(再生可能)の特徴は同様と推定されるが、本発明のリン吸着剤とは製造方法が原理的に異なり、通常の吸着捕集である。
特開2007−014826号公報及び特開2006−297382号公報に示されたリン吸着剤は、無機イオン吸着剤の表面積を損なうことなく、吸着を行うことができるように工夫する必要があるために、ポリマーをフィブリル化や多孔質化したりする必要がある。また、無機イオン吸着剤の耐久性をあげるために、表面積や多孔性に制限を加える必要があり、さらには、吸着を効率的に行なうために、無機イオン吸着剤は、ポリマー担体の表面付近か内部の空隙に保持する必要がある等、製造方法が複雑で、結果的にコスト高になるという課題があった。
これに対し、本発明の吸着剤は、母材上で、PVAのような水溶性高分子化合物に架橋剤として、Zr化合物やTi化合物を添加し、加熱処理すると、ZrやTiが架橋点となってポリマー鎖のアルコール基やアミノ基、カルボン酸基と反応して架橋し、ポリマーの組織を金網や有機材料等の母材上に3次元化して不溶化するものであり、生成した吸着剤は、均質なフィルムあるいは塊状のポリマーであり、ポリマー組成自体が本吸着剤の化学反応による捕集に重要な機能(役目)を果たす。
これにより、本発明のリン捕集機構は、ジルコニウム化合物を用いた場合は、リン捕集材中のジルコニウムサイトがリン酸基と反応してリン酸ジルコニウム〔Zr(HPO〕やZr(HPO)(PO)様の結合を生成することにより、リン酸水溶液中のリン酸を強い化学結合により捕集するものであり、長期安定して連続運転可能な化学反応による捕集の吸着剤となる。
(2) 水処理プロセスにおける発生汚泥からのリン放出工程
水処理プロセスの生物処理において発生する汚泥(余剰汚泥)には、乾燥重量当たり0.5〜4%(W/W)程度のリン分が含まれている。
本発明のリン捕集材は、水溶液のリン捕集に高性能を発揮するので、被処理発生汚泥(余剰汚泥)中のリンを水溶液に放出(溶出)させるために、先ず、該発生汚泥を嫌気処理及び/又は酸化処理を行う。これにより、本発明のリン捕集材によるリンの捕集、回収(除去)が効果的に出来る。
嫌気処理は、嫌気性消化処理や嫌気好気法汚泥からのリン放出(嫌気的雰囲気下)等、汚泥を嫌気性雰囲気下に曝露することにより、活性汚泥中のリンを溶液側に放出させるものであれば良く、周知の方法が使用出来る。
この嫌気性雰囲気は、絶対嫌気性状態が高い効率を得られることから好ましい。該絶対嫌気性状態は、溶存酸素が存在せず、NOx−N等のような酸化物も無い(極低濃度)ような状態である。微生物の活動は、環境条件、雰囲気に依存するため、必ずしもNOx−N濃度と1:1で対応しない。即ち、微生物の物質の利用可能な濃度は、環境条件に依存する。しかし、絶対嫌気性状態の程度は、NOx−N濃度と傾向的に対応し、また該濃度は簡易に計測出来ることから、NOx−N濃度を指標に嫌気性状態を制御出来る。絶対嫌気性状態のNOx−N濃度は、一般に1mg/L以下、好ましくは0.1mg/L以下である。また、絶対嫌気性状態では、水中酸素濃度も低いので、簡便法として、水中酸素濃度を指標に制御出来る。絶対嫌気性状態の水中酸素濃度は、0.1mg/L以下、好ましくは0.05mg/L以下である。
該嫌気性状態の維持(安定運転)は、前記測定値による『予備試験等で決めた嫌気性状態の領域から外れた場合』、リン蓄積菌を多く含んだ微生物を添加することにより、行うことが出来る。
嫌気性処理は、汚泥中に存在する微生物(リン蓄積菌)が嫌気性状態において、リンを放出するものである。即ち、活性汚泥中のリン蓄積菌が嫌気性状態において、有機物(BOD)を栄養源として菌体内のリンを放出する。
酸化処理は、発生汚泥を酸化雰囲気下で分解することにより、活性汚泥中のリンを溶液側に放出(溶出)させるものであれば良く、周知の方法が使用出来る。この方法として、湿式酸化法、低圧湿式酸化法、オゾン酸化法、フェントン酸化法、酸及び過硫酸塩を用いる酸化法、酸及び/又は熱を用いる酸化法が有り、酸を用いる処理法は酸性処理という。
ここでの酸は、添加により汚泥を構成する微生物の細胞壁や細胞膜、細胞質に損傷を与え、汚泥の細胞中に含まれるリンを水側へ放出させる作用を発揮する。この作用は、酸化によるものと考えられる。該酸化は、適正pH値と混合・攪拌が効果を発揮させるために重要であり、pH値は4以下、好ましくはpHが2以下であり、混合・攪拌を行うと更に効果的であることから好ましい。
この様な酸として、塩酸、硫酸、硝酸が効果(性能)、取り扱いの点から好ましい。
前記酸化処理では、加熱(加温)することにより、反応を促進出来る。加熱は、ヒータ等周知の手段を用いることが出来、温度は30℃〜200℃で効果的反応促進が得られる。
汚泥処理法の選択(嫌気性処理又は酸化処理の選択)、雰囲気、処理条件は、適用先、規模、仕様、コスト等から適宜予備検討を行い決めることが出来る。
(3) リン捕集材の再生及びリン回収
捕集材として、ジルコニウム化合物を用いた場合は、リン捕集材中のジルコニウムサイトがリン酸基と反応してリン酸ジルコニウム〔Zr(HPO〕やZr(HPO)(PO)様の結合を生成することにより、リン酸水溶液中のリン酸を化学反応により捕集する。リン溶出メカニズムは、これを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによって、リン酸基はリン酸ナトリウム〔NaPOやNaHPO〕となって溶出し、Zr基は元の水酸化ジルコニウムに再生されるものである。
この様に本リン捕集材は、リン捕集後はアルカリ洗浄することにより再生可能であるので、繰り返し使用することができ、再生時に回収されたリン酸塩水溶液は、不純物を殆ど含有しないリン酸塩溶液であるから、リンが容易に濃縮分離可能となる。
Zr又はTiは、容易にリン酸基化合物と結合すると共に、アルカリ洗浄することによって容易にリン酸を遊離してリン酸塩を生成分離させるので、リン捕集材の再生とリン酸基の分離を容易に行うことが可能となる。これにより、リン捕集材から分離回収され、酸基の分離を容易に行うことが可能となる。これにより、リン捕集材から分離回収され、且つ元の下水中のリン濃度から極めて高濃度に濃縮されたアルカリリン酸塩水溶液が得られるので、容易に常法によってリンの回収が可能となり、リン資源としての再利用が可能となる。
次に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されない。
実施例1
図1は、下水処理場における下水処理プロセスを示すフロー構成図である。下水処理プロセスは、水処理系A及び汚泥処理系Bで構成される。
下水処理場の被処理水(下水)16は、沈砂池1に流入され、最初沈殿槽2に導入して、粗大な固形物を沈降分離し、生物処理槽3で汚水と活性汚泥などの微生物を嫌気的及び好気的雰囲気下で攪拌混合処理して、最終沈殿槽4に導入し、処理水5と沈殿汚泥(返送汚泥6と余剰汚泥15)とに分離して、処理水5は、消毒槽7で滅菌した後、処理水17として放流される。
生物処理槽3は、嫌気的雰囲気及び好気的雰囲気が形成され、嫌気的雰囲気では活性汚泥中の微生物、リン蓄積菌が、嫌気性状態において有機物(BOD)を栄養源として菌体内のリン(リン酸)を放出する。好気的雰囲気では、リン蓄積菌が前記放出リンを、体内に過剰摂取する。更に、該好気的雰囲気では、残存する有機成分の酸化分解が行われる。
このようにして、水中有機物は、微生物が分解・同化して、BOD、CODを低下させる。そして、下水中のリンは、汚泥中のリン蓄積菌により取り込まれる(摂取される)。
これにより、下水中の有機物及びリンが水中から除去される。
リンを体内に過剰に取り込んだリン蓄積菌は、汚泥と共に最終沈殿槽4で、沈殿汚泥(返送汚泥6と余剰汚泥15)に含まれた状態で沈降分離される。
沈殿汚泥は、一部が返送汚泥6として、生物処理槽3に返送され、残りが余剰汚泥15として、汚泥処理系Bで処理される。
この様にして、被処理水中のリンは、余剰汚泥15として水処理系Aから抜き取ることにより、水処理系Aからリンは除去される。
沈殿汚泥から分配された余剰汚泥15は、リン放出装置8に導入される。該リン放出装置8は、絶対嫌気性状態が保持され、これにより汚泥からリンが水側に放出され、リンを含有する上澄水9と、リンが放出されたリン放出汚泥10とに沈降分離される。ここで、本例では最初沈殿槽2で沈降分離された生汚泥14もリン放出装置8に導入し、前記余剰汚泥と共に処理される。
リン放出装置8は、汚泥中に存在する微生物(リン蓄積菌)が絶対嫌気性状態を形成することにより、リンを放出させるものである。即ち、活性汚泥中のリン蓄積菌が絶対嫌気性状態の形成において、有機物(BOD)を栄養源として菌体内のリンが放出される。ここでの絶対嫌気性状態は、NOx−N濃度(測定器は図示せず、図3の符号33を参照)を指標に制御され、NOx−N濃度が1mg/L以下になると、リン蓄積菌を多く含んだ微生物(汚泥)が投入される。
リンを含有する上澄水9は、リン捕集・回収装置11に導入され、水中リンが捕集・回収12される。リン捕集・回収装置11でリンが除去された水は、返流水として、沈砂池1に返送される。沈降分離されたリン放出汚泥10は、脱水装置13に送られ、脱水ケーキ18と脱水ろ液19に分離される。脱水ケーキ18は、別途周知の方法で処理され、脱水ろ液19には、微量なリンの残存があり得るので、リン捕集・回収装置11に導入され、水中の微量なリンが捕集・回収12される。
リン捕集・回収装置11には、繊維状SUS母材を、水溶性Zr化合物として塩化ジルコニル、水溶性高分子化合物としてPVAの調整溶液に浸漬して、該表面上に膜状に粘凋液をコーティングし、これを50℃で乾操させた後、更に120℃で1時間熱処理を行うことにより製造されたリン捕集材(水酸化ジルコニウムがリン捕集部の繊維状のリン捕集材)が設置されている。
リン捕集・回収装置11に導入された上澄水9及び脱水ろ液19に含まれるリンは、リン捕集・回収装置11に設置されたリン捕集材中のジルコニウムサイトがリン酸基と反応してリン酸ジルコニウム〔Zr(HPO〕やZr(HPO)(PO)様の結合を生成することにより、リン酸水溶液中のリン酸を化学反応により捕集する。次に、これを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによって、リン酸基はリン酸ナトリウム〔NaPOやNaHPO〕となって溶出し、リン回収12される。
一方、前記の水酸化ナトリウム水溶液の浸漬により、母材表面上のZr基は元の水酸化ジルコニウムに再生されるので、リン捕集材は繰り返し使用され、長期連続運転される。
実施例2
図2は、実施例1(図1)で示した下水処理プロセスの他の例を示すフロー構成図である。
下水処理プロセスは、水処理系A及び汚泥処理系Bで構成され、水処理系Aは、図1と同様であり、同符号は、同じ意味を表している。下水処理場の被処理水(下水)16は、沈砂池1に流入され、最初沈殿槽2に導入して、粗大な固形物を沈降分離し、生物処理槽3で汚水と活性汚泥などの微生物を好気的及び嫌気的雰囲気下で攪拌混合処理して、最終沈殿槽4に導入し、処理水5と沈殿汚泥(返送汚泥6と余剰汚泥15)とに分離して、処理水5は、消毒槽7で滅菌した後、処理水17として放流される。
沈殿汚泥からの余剰汚泥15及び最初沈殿槽2で沈降分離された生汚泥14は、濃縮槽20で濃縮され、上澄水29は、返送水として沈砂池1に返送される。濃縮された汚泥は、嫌気性消化槽21において、メタン発酵が行われ40%〜60%が消化されることにより、生成バイオガス27が発電装置22に導入され、発電に利用される。
残りの約50%の未消化汚泥28は、酸化装置23における低圧湿式酸化法による酸化により、該汚泥から水側へのリンの放出及び懸濁物質の沈降分離が促進され、固液分離装置24で夫々が分離される。
固液分離装置24により分離された沈殿物は、脱灰装置25で脱灰処理された後、残渣として嫌気性消化槽21に返送され、未消化汚泥中の有機成分はほぼ完全に分解される。固液分離装置24における上澄水9及び脱灰装置25での上澄水液30は、リン捕集・回収装置11に導入され、水中リンが捕集・回収12される。該リン捕集・回収装置11によるリン回収後の上澄水中のアンモニアイオンは、硝化槽26での処理により硝酸イオンに酸化され(硝化処理水)、該硝化処理水は、生物処理槽3に返送され、該硝酸イオン生物処理における有機成分を水素供与体として脱窒される。
図2において、図1と同符号は、同じ意味を表している。
実施例3
図3は、図1の下水処理プロセスにおける汚泥処理系Bの別の例を示すフロー構成図である。
図3で、図1、図2と同符号は、同じ意味を表している。
余剰汚泥15は、図1で示した下水処理プロセスにおける反応タンクから発生する。即ち、余剰汚泥15は、最終沈殿槽4から排出されるリン含有物である(図1参照)。
余剰汚泥15は、先ず、リン放出装置8に導入される。該リン放出装置8は、絶対嫌気性状態が保持され、これにより、汚泥からリンが水側に放出され、リンを高濃度含有する水と、リンが放出されたリン放出汚泥とに分離される。次に、これを濃縮槽20に導入して、汚泥中リン濃度が低減された濃縮汚泥とリンを高濃度含有(溶解)する濃縮分離水9とに分離する。濃縮槽20は、汚泥中リン濃度を低減させた濃縮汚泥及びリンを高濃度含有する濃縮分離水9とに分離出来るものであれば、何れも使用出来る。このような装置として、重力濃縮装置、遠心濃縮装置、浮上濃縮装置がある。本例は、遠心濃縮装置である。
該濃縮汚泥は、嫌気性消化槽31で消化した後、脱水装置32により脱水汚泥18と脱水分離液34とに分離する。
リン放出装置8には、嫌気状態モニター33が備えられ、これにより、絶対嫌気性状態が監視、モニターされ、絶対嫌気性状態が維持される様に制御が行われる。
ここでの嫌気状態モニター33は、NOx−N測定器であり、NOx−N濃度は1mg/L以下である。絶対嫌気性状態の維持は、NOx−N濃度の測定により監視され、絶対嫌気性状態から外れた場合はリン蓄積菌を多く含んだ微生物(汚泥)を投入することにより行われる。濃縮分離水9と脱水分離液34は、何れも汚泥より放出されたリンを含有するので、リン捕集・回収装置11に導入され、水中リンが捕集・回収12される。
リン捕集・回収装置11後の水は、処理水17として放流される。
実施例4
図4は、図1の下水処理プロセスにおける汚泥処理系Bの別の例を示すフロー構成図である。
図4で、図1〜図3と同符号は、同じ意味を表している。
余剰汚泥15は、図1で示した下水処理プロセスにおける反応タンクから発生する。即ち、余剰汚泥15は、最終沈殿槽4から排出されるリン含有物である(図1参照)。余剰汚泥15は、先ず、リン放出装置8に導入され酸供給装置33から酸(硫酸)が供給される。酸供給装置33から供給される酸は、それ自体が強力な酸であり、汚泥を構成する微生物の細胞壁や細胞膜、細胞質に損傷を与え、汚泥の細胞中に含まれるリンを水側へ放出させる作用を発揮する。即ち、汚泥微生物の外殻を構成する細胞壁をもろくし、その内部にある細胞質からリン成分を水側に溶出させる。リン放出装置8には、酸供給装置33の他に、混合・攪拌機M、pH測定装置Hが備えられており、混合・攪拌下で、pH値がモニターされ、適正酸化反応が行われている。酸供給装置33からの酸の供給量(濃度)は、リン放出装置8に導入される余剰汚泥の量、性状等により、予め定められた条件内で制御されている。
ここでの適正酸化反応は、pH値と混合・攪拌が重要であり、攪拌機Mによる攪拌下で、pH値が1.5〜2.0の範囲に入るように、溶液のpH値をモニターされ、該測定データを酸供給装置33に送ることにより、酸の供給を制御している。
この様にして汚泥からリンが水側に放出され、リンを高濃度含有する水と、リンが放出されたリン放出汚泥とに分離される。次に、これを濃縮槽20に導入して、汚泥中リン濃度が低減された濃縮汚泥とリンを高濃度含有(溶解)する濃縮分離水9とに分離する。濃縮槽20は、遠心濃縮装置であり、これにより、汚泥中リン濃度を低減させた濃縮汚泥及びリンを高濃度含有する濃縮分離水9とに分離される。該濃縮汚泥は、嫌気性消化槽31で消化した後、脱水装置32により脱水汚泥18と脱水分離液34とに分離する。濃縮分離水9と脱水分離液34は、何れも汚泥より放出されたリンを含有するので、リン捕集・回収装置11に導入され、水中リンが捕集・回収12される。
リン捕集・回収装置11後の水は、処理水17として放流される。
実施例5
図1に示した下水処理場における余剰汚泥を絶対嫌気性状態で運転されるリン放出装置に導入し、リンを放出させて、その上澄水を採取し、リン含有試料を作成した。次いで、該リン含有試料に膜状のリン捕集材を1時間浸漬し、リンの捕集を行った。
次に、リンを捕集した該リン捕集材を水酸化ナトリウム溶液に浸漬し、捕集リン(リン酸)をリン捕集材から放出(溶出)させ、リンを回収すると共に、リン捕集材の再生を行った。そして、再生した膜状のリン捕集材は、再び前記リン含有試料中に浸漬し、前述の手順で、捕集したリン酸の溶出とリン捕集材の再生及びリン捕集量の測定を繰り返し実施した。
条件;
(1) 絶対嫌気性状態による余剰汚泥からのリン放出;
NOx−N濃度:1mg/L以下、水中酸素濃度:0.1mg/L以下で、1時間。
(2) リン捕集材の製造;
水溶性Zr化合物として塩化ジルコニル(ZrOC1・8HO)を用い、水溶性高分子化合物としてPVA(重合度1700、ケン化度98%)を用いた。先ず、0.5モル/Lの塩化ジルコニル水溶液40mlに10wt%のPVA水溶液160mlを混合撹拌して均一混合物を形成し、エバポレータを用いて50〜60℃の熱水浴で体積が約半分になるまで濃縮した。この濃縮して得られた粘凋液中に24メッシュのステンレス金網を3回浸漬して該金網面に膜状に粘凋液をコーティングし、これを50℃で乾操させ、この乾燥物を0.05モル/Lの水酸化ナトリウムで洗浄し、乾燥物中に残留している塩素分を除去した後、更に150℃で、1時間熱処理を行ってステンレス金網を母材(担体)とする膜状のリン輔集材を形成した。尚、ZrとPVAの架橋反応は、前記50〜60℃での濃縮工程や50℃での乾燥工程及び150℃での熱処理工程のいずれでも進行している。
(3) リン含有試料;
試料溶液中のリン濃度は、正リン酸イオン(PO4-P)として、43mg/L。pH:7.1。
(4) 水酸化ナトリウム溶液の濃度;0.05モル/L。
(5) リン酸濃度の測定;ICP法。
結果
(1) リン捕集・回収率について
図5に、捕集・回収、再生の繰り返しの回数とリン捕集・回収率の関係を示す。リン捕集・回収率は、リン含有試料中リン濃度に対する回収値から求めた。図5は、下水から発生するリンは、85%以上捕集・回収率され、また、リン捕集材は、再生により長期連続使用可能であることを示している。
(2) リンの捕集及びリン捕集材の再生(メカニズム)について
このリン捕集と溶出メカニズムは、リン捕集材中のジルコニウムサイトがリン酸基と反応してリン酸ジルコニウム〔Zr(HPO〕やZr(HPO)(PO)様の結合を生成することにより、リン酸水溶液中のリン酸を化学反応により捕集する。これを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することにより、リン酸基はリン酸ナトリウム〔NaPOやNaHPO〕となって溶出し、Zr基は元の水酸化ジルコニウムに再生されると考えられる。
(3) 前処理について
リン含有試料からのリン捕集・回収は、pH調整等の前処理は行っていない。即ち、本リン捕集材は、前処理不要で使用出来る。
実施例6
実施例5で製造したリン捕集材1枚を300mLのメタン発酵消化液(pH;8.6、PO−P濃度;123mg/L)に浸漬してリン酸捕集量を測定した。その結果を表1、図6に示す。
Figure 2009018271
表1から明らかなように、リン吸着量は8.2mg/g−捕集材〜26mg/g−捕集材であり、pHの増加に伴い低減した。また、リン吸着量は反応pHが7の時、反応時間24時間で19mg/g−捕集材であった。
実施例7
図7は、製油工場における廃水処理プロセスを示すフロー構成図である。
廃水処理場の被処理水(工場廃水;リン含有水)16は、調整槽1に流入された後、生物処理槽3で汚水の活性汚泥処理が行われ、沈殿槽4に導入し、リン含有水35と沈殿汚泥(返送汚泥6と余剰汚泥15)とに分離される。リンを含有する上澄水35は、リン捕集・回収装置11に導入され、水中リンが捕集・回収12される。該リン捕集・回収装置11におけるリン含有水35からのリンの捕集・回収は、実施例1(図1)に記載した如く実施され、リン捕集・回収装置11後の清浄化された水は、処理水41として放流される。図7において、実施例1(図1)と同一符号は、同じ意味を示す。
実施例8
チタン化合物を用いてリン捕集材を製造し、実施例5と同様に、リン捕集(吸着)、回収及びリン捕集材の再生について試験した。
(1)リン捕集材の製造
チタン化合物(水溶性のチタニアゾル)として、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OC)) 14.3gを1モル/L濃度 の塩酸溶液240mlに加え(モル比でHCl/Ti=5)、室温で数時間撹拌した。チタンイソプロポキシドは加水分解により、最初はゲル状の白色沈殿を生じるが、撹拌を続けると塩酸により解膠し、透明な溶液が得られた。PVA(重合度2000,ケン化度98%)を5wt%含む水溶液にチタンイソプロポキシド塩酸溶液を加え混合した。この時、Ti/PVA重量比が0.3(30wt%)となるように混合量を調整した。得られた混合溶液を実施例5と同様に、24メッシュのステンレス製金網を用いて成膜し、50℃で乾燥させ、0.05モル/L NaOH水溶液で洗浄後、乾燥器を用いて100℃で30分、続いて120℃で1時間乾燥させた。同様にして、チタン含有量(Ti/PVA)を10wt%に調整したリン捕集材を製造した。このようにして製造した30wt%及び10wt%のTi含有リン捕集材をそれぞれ、Ti(30)−PVA及びTi(10) −PVAと標記する。
(2)試験方法
24メッシュのステンレス製金網に成膜したTi−PVAリン捕集材について、実施例5と同様に、試料からリン捕集(吸着)、回収及びリン捕集材の再生を行った。
(2)−1 試料1(リン濃度:300mg/L);
捕集(吸着)は、リン濃度300mg/Lのリン酸溶液(試料)を用い、リン捕集材を5時間浸漬した後、試料溶液の濃度変化からリン捕集(吸着)量を測定した。この後、リン捕集材をよく水洗し、0.05 モル/L NaOH水溶液にメッシュリン捕集材を3時間浸漬し、溶液に溶出するリン酸量から脱着量を測定した。
(2)−2 試料2(実施例5の下水処理場の余剰汚泥からのリン、正リン酸イオン濃度:45mg/L);
実施例5と同様に、下水処理場における余剰汚泥を絶対嫌気性状態で運転されるリン放出装置に導入し、リンを放出させて、その上澄水を採取し、リン含有試料を作成し、試料からリン捕集(吸着)、回収及びリン捕集材の再生について調べた。
上記のリン酸濃度の測定には、実施例5と同様に、ICP法を用いた。
結果;
(2)−1 試料1(リン濃度:300mg/L):
Ti(30)−PVAは5回までの繰り返し試験、Ti(10)−PVAは6回までの繰り返し試験におけるリン脱着量から求めたリン捕集(吸着)量の測定結果を図8に示す。
図8より、繰り返し試験によるリン捕集(吸着)性能は良好、即ち、リン捕集材は繰り返し使用しても、リン捕集、リン回収、リン捕集材再生の機能は高性能で維持されることを示している。
リンの吸着量に対し脱着量は85%以上であり、これらはよく対応している。
この結果は、Ti−PVAリン捕集材はZr含有リン捕集材と同様に,リンの吸脱着に繰り返し使用できることを示している。
また、図8より、Ti含有量の多いTi(30)−PVAは,Ti含有量の少ないTi(10)−PVAに比較して、リン吸着容量が3倍以上に大きい。
(2)−2 試料2(実施例5の下水処理場の余剰汚泥からのリン、正リン酸イオン濃度:45mg/L):
図9に、リン捕集・回収、再生の繰り返しの回数とリン捕集・回収率の関係を示す。リン捕集・回収率は、リン含有試料中リン濃度に対する回収値から求めた。図9は、下水から発生するリンは、85%以上捕集・回収率され、また、リン捕集材は、再生により長期連続使用可能であることを示している。
以上の結果は、本発明のTi含有リン捕集材は、実施例5で示したZr含有リン捕集材と同様に、リン捕集、脱着(リン回収)、再生に繰り返し使用できることを示している。
下水処理場における下水処理プロセスを示すフロー構成図。 下水処理場における下水処理プロセスの他の例を示すフロー構成図。 図1の下水処理プロセスにおける汚泥処理系Bの別の例を示すフロー構成図。 図1の下水処理プロセスにおける汚泥処理系Bの別の例を示すフロー構成図。 実施例5における捕集材の再生回数とリン捕集・回収率の関係を示すグラフ。 実施例6における反応pHが7のときの反応時間とPO−P関係を示すグラフ。 製油工場における廃水処理プロセスを示すフロー構成図。 実施例8におけるリン脱着量から求めたリン捕集(吸着)量の結果を示すグラフ。 実施例8における捕集材の再生回数とリン捕集・回収率の関係を示すグラフ。
符号の説明
1:沈砂池、2:初期沈殿槽、3:生物処理槽、4:最終沈殿槽、5:処理水、6:返送汚泥、7:消毒槽、8:リン放出装置、9:上澄水、
10:リン放出汚泥、11:リン捕集・回収装置、12:リン回収、
13:脱水装置、14:生汚泥、15:余剰汚泥、16:下水、17:放流水、18:脱水ケーキ、19:脱水ろ液、20:濃縮槽、21:嫌気性消化槽、
22:発電装置、23:酸化装置、24:固液分離装置、25:脱灰装置、
26:硝化槽、27:バイオガス、28:未消化汚泥、29:返送水、
30:上澄液、31:嫌気性消化槽、32:脱水装置、33:嫌気状態モニター、34:脱水分離水、35:リン含有水

Claims (9)

  1. リンを含む有機性廃水の処理を行う廃水処理方法において、前記廃水を生物学的に処理して該廃水中のリンを活性汚泥中に摂取し、リンを摂取した活性汚泥を濃縮し、該濃縮汚泥からリンを水中に放出させ、該水中に放出したリンを、ジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と水溶性高分子化合物を母材表面上に複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いて捕集することを特徴とする廃水処理方法。
  2. 前記水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン及びカルボキシメチルセルロース、これらポリマーの共重合体及びブロックポリマーの群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記載の廃水処理方法。
  3. 前記リン捕集材は、形状が繊維状、フィルム状、不織布状、網状、板状、ビーズ状のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の廃水処理方法。
  4. 前記濃縮汚泥からのリンの放出は、嫌気性処理及び/又は酸化処理で行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載の廃水処理方法。
  5. 前記捕集に用いたリン捕集材は、アルカリ洗浄で再生することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  6. リンを含む有機性廃水の処理を行う廃水処理装置において、前記廃水を生物学的に処理して活性汚泥中にリンを摂取する生物処理装置と、該リンを摂取した活性汚泥を含む処理液を濃縮する装置と、該濃縮した汚泥からリンを水中に放出させるリン放出手段と、該放出したリンを捕集するジルコニウム化合物又はチタン化合物の1種以上と水溶性高分子化合物を母材表面上に複合化させて不溶化した材料を含むリン捕集材を用いる捕集手段とを有することを特徴とする廃水処理装置。
  7. 前記リン放出手段は、リンを含む濃縮汚泥を、嫌気性処理及び/又は酸化処理する手段であることを特徴とする請求項6記載の廃水処理装置。
  8. 前記リン捕集材は、形状が繊維状、フィルム状、不織布状、網状、板状、ビーズ状のいずれかであることを特徴とする請求項6又は7記載の廃水処理装置。
  9. 前記水処理装置には、捕集に用いた捕集材を、アルカリ状態で再生を行う再生手段を有することを特徴とする請求項6、7又は8記載の廃水処理装置。
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