[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるネットワークシステムについて説明する。
(ネットワークシステム)
本実施形態によるネットワークシステムの構成を図1に示す。図1において、複数のクライアントの端末装置である情報処理装置10とサーバ50は、例えば、電話回線を通じてインターネット60に接続されてネットワークを構成している。情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータやコンピュータゲーム装置であって、CPUなどから構成される制御装置、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置及びキーボードやマウスなどの入力装置を備えている。
(ゲーム装置の構成)
本実施形態のネットワークシステムにおける情報処理装置10の一例としてのゲーム装置の構成について図2を用いて説明する。
なお、情報処理装置10としては、家庭用のゲーム装置に限らず、携帯用のゲーム機でもよく、その他、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末等でもよい。また、ゲームセンタやゲームカフェ等の店舗に設置される端末装置や、各家庭にあるパソコン等の電子装置でもよい。更に、これらの装置が混在してひとつのネットワークを構成するようにしてもよい。
ゲーム装置10には、図2に示すように、ゲームプログラムの実行やシステム全体の制御や画像表示のための座標計算等を行うCPU12と、CPU12が処理を行うのに必要なプログラムやデータを格納するバッファメモリとして利用されるシステムメモリ(RAM)14とがバスラインにより共通接続され、バスアービタ20に接続されている。バスアービタ20は、ゲーム装置10の各ブロックや外部に接続される機器とのプログラムやデータの流れを制御する。
更に、ゲームプログラムやデータ(映像データや音楽データも含む)が格納されたプログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16(ゲーム用記録媒体であるCD−ROM等を駆動する光ディスクや光ディスクドライブ等も含む)と、ゲーム装置10を起動するためのプログラムやデータが格納されているBOOTROM18とがバスラインを介してバスアービタ20に接続されている。
また、バスアービタ20を介して、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16から読み出した映像(MOVIE)データを再生したり、遊戯者の操作やゲーム進行に応じて画像表示のための画像を生成するレンダリングプロセッサ22と、そのレンダリングプロセッサ22が画像生成を行うために必要なグラフィックデータ等を格納しておくグラフィックメモリ24とが接続されている。レンダリングプロセッサ22から出力される画像信号は、ビデオDAC(図示せず)によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、ディスプレイモニタ26に表示される。
また、バスアービタ20を介して、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16から読み出した音楽データを再生したり、遊戯者の操作やゲーム進行に応じて効果音や音声を生成するサウンドプロセッサ28と、そのサウンドプロセッサ28により効果音や音声を生成するために必要なサウンドデータ等を格納しておくサウンドメモリ30とが接続されている。サウンドプロセッサ28から出力される音声信号は、オーディオDAC(図示せず)によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、スピーカ32から出力される。
また、バスアービタ20はインタフェースとしての機能も有し、モデム34を介して電話回線等の外部の通信回線と接続される。ゲーム装置10はモデム34により電話回線を介してインターネットに接続され、他のゲーム装置やネットワークサーバ等との通信が可能となる。
また、バスアービタ20には、操作者の操作にしたがってゲーム装置10や外部に接続された機器を制御するための情報をゲーム装置10に出力するコントローラ36が接続されている。
コントローラ36には、表示部と操作ボタンとを有するビジュアルメモリ40が接続されている。ゲーム装置を操作する操作者固有の情報がビジュアルメモリ40に格納される。
また、バスアービタ20には、操作者による文字入力を容易に行うためにキーボード38が接続されている。操作者はキーボード38を用いてチャット等の文字入力を素早く行う。なお、キーボード38を接続する代わりに画面上にソフトキーボードを表示し、そのソフトキーボード上のキーをコントローラ36により選択して文字入力してもよい。
上述したモデム34は電話回線を使用するものであるが、電話回線を使用するターミナルアダプタ(TA)やルータ、ケーブルテレビ回線を使用するケーブルモデム、携帯電話やPHSを利用して無線通信手段、光ファイバを用いた光ファイバ通信手段等の他の通信方法を利用してもよい。
(オンライン組織化方法)
本実施形態のネットワークシステムにおけるオンライン組織化方法について図3を用いて説明する。
図3に示すように、サーバ50に、多数のユーザA、B、C、D、…のゲーム装置10がネットワーク接続している。サーバ50はネットワーク接続されている各ユーザA、B、C、D、…のゲーム装置10から個人情報をオンラインで取得して個人情報のデータベース52を形成している。
ゲーム装置10のコントローラ36には、上述したように、外部記憶手段としてビジュアルメモリ40が接続されている。ビジュアルメモリ40には、プレイヤの個人情報が格納されている。ゲーム装置10が通信回線を介してサーバ50に接続すると、ゲーム装置10は、ビジュアルメモリ40に格納された個人情報をサーバ50に対して送信する。
組織化手段54は、オンライン接続されたユーザA、B、C、D、…を組織化する。
一般的なチャットを行う場合には、組織化手段54が予め複数のチャットルームを用意し、チャットルームへの参加手続きしたユーザを組織化する。参加手続きした各ユーザA、B、Cに同じチャットルームに参加したことを連絡すると共に、情報共有化手段56に組織化情報を送る。情報共有化手段56はユーザA、B、Cのゲーム装置10の情報を共有化し、そこで組織化が成立する。
オンラインゲームを行う場合には、個人情報のデータベース52に登録された各ユーザA、B、C、D、…の個人情報に基づいて適合するユーザを選んで組織化する。例えば、組織化手段54により目的が共通なユーザAとユーザBとユーザDを組織化しようとする。組織化手段54は各ユーザA、B、Cに互いに適合する相手である旨を連絡すると共に、情報共有化手段56に組織化情報を送る。各ユーザA、B、Cからの了解が得られれば、情報共有化手段56はユーザA、B、Cのゲーム装置10の情報を共有化し、そこで組織化が成立する。
ユーザA、B、Cのゲーム装置10の組織化が成立すると、情報共有化手段56は、各ゲーム装置10に対して特定のタスクを実行させるための制御情報を送信する。各ゲーム装置10は、この制御情報を受けて同じ特定のタスクを実行する。
(イベントチャット)
本実施形態のオンラインシステムにおけるイベントチャットの概要について説明する。
イベントチャットとは、チャットの文字列中の特定の文字列に反応して特定のイベント、例えば、画面内のオブジェクト(プレイヤキャラクタや、ノンプレイヤキャラクタ(NPC)、物体、背景等)を変化させたり、特定の音や音楽等を発生させたりするイベントを生じさせるチャットである。
イベントを発生させる文字列と発生するイベントとの対応はデータテーブルとして用意されている。イベントチャットの基本データテーブルは、ゲーム装置10に装着されるゲーム用CD−ROMであるプログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16に格納されている。サーバ50には、基本データテーブルを修正又は追加する更新データテーブルが格納されている。ゲーム装置10が起動したときにCD−ROM16内の基本データテーブルが、ゲーム装置10内のシステムメモリ14に展開される。ゲーム装置10がサーバ50に接続すると、サーバ50内の更新データテーブルにより、システムメモリ14内のテーブルが最新のデータテーブルに更新される。
イベントチャットの基本動作は、他のユーザからのチャット文字列がサーバ50を介してゲーム装置10に送信されてきたときに、システムメモリ14内のデータテーブルを参照して、一致する文字列が含まれているか否かを検出する。一致する文字列が含まれているときには、データテーブルに定められたイベントを実行する。チャットルームに参加した全てのユーザの各ゲーム装置10においても同様な制御が行われる。
イベントチャットの制御フローの概略について図4を用いて説明する。
ユーザAがゲーム装置10にイベントチャット用のCD−ROM16を装着すると、システムメモリ14にイベントチャットプログラムをロードする。このときイベントチャット用の基本データテーブルをシステムメモリ14に展開する。次に、ゲーム装置10をインターネット60を介してサーバ50に接続する(ステップS10)。サーバ50にゲーム装置10が接続されると、サーバ50からイベントチャット用の更新データテーブルがゲーム装置10に送信される(ステップS11)。
ユーザAがイベントチャットを開始し(ステップS12)、あるチャットルームに入室して、他のユーザが入室するのを待つ(ステップS13)。ユーザBが、ユーザAが入室しているチャットルームに入室すると(ステップS14)、ユーザAとユーザBとの間でチャットが可能となる。
ユーザAが文字列を入力すると(ステップS15)、送信された文字列の中に特定の文字列があるか否かを判定する(ステップS16)。特定の文字列が含まれていない場合には、通常のチャットとして処理する(ステップS17)。特定の文字列が含まれている場合には、ユーザAのゲーム装置10とユーザBのゲーム装置10において特定の文字列に対応してイベントを発生させる(ステップS18)。ユーザAとユーザBとが文字列を入力してチャットを行うたびにステップS15〜S18を繰り返してイベントチャットの処理を行う。
次に、他のユーザCがチャットルームに入室すると(ステップS19)、そのチャットルームの現時点の状態をユーザCのゲーム装置10に送信して、ユーザA、ユーザBと情報を共有する(ステップS20)。
その後、ユーザA、ユーザB、ユーザCによりチャットを行い、ユーザの発言の度にイベントチャットの処理を行うと共に、ユーザの入室、退室の度に共有する情報の更新を行う。
(イベントチャットの具体例)
イベントチャットの具体例について図面を用いて説明する。
(第1具体例)
図5に第1具体例を示す。本具体例は、チャットの文字列の中に所定の文字列が含まれている場合、これを検出してチャットに参加している全てのユーザキャラクタを変化させるものである。
あるチャットルームに3名のユーザが入室していると、図5(a)に示すように、チャットルーム内に3つのユーザキャラクタが表示される。あるユーザが文字列を入力すると各ユーザの画面に入力した文字列が表示される。このようにしてユーザは文字列を交換してチャットを行う。
あるユーザが入力した文字列中に「ははは」という文字列が含まれていると、ゲーム装置10はシステムメモリ14内に展開されたデータテーブルから「ははは」という文字列に対応したイベントを発生させる。本具体例では、図5(b)に示すように、チャットに参加している全てのユーザキャラクタが「ははは」と笑い声を発して笑いの動作を行う。チャットに参加している全てのユーザのゲーム装置10において同様の制御が行われる。
なお、上述した具体例の他にも、「ははは」という文字列により、自分以外の全てのユーザキャラクタだけに笑いの動作を行わせたり、「ははは>Bさん」という文字列により、イベントが発生するユーザキャラクタを指定したりしてもよい。また、「ははは」という文字列ではイベントを発生するが、「がははは」という文字列ではイベントを発生させない等、文字列の検出に所定の条件を設けるようにしてもよい。
また、文字列の入力時には、文字列とと共に、自分のユーザキャラクタが行うモーション、例えば、怒り、笑い、泣き等々や、吹き出しの形状も指定することができる。データテーブルに、入力した文字列だけでなく、入力したモーションや吹き出し形状の項目も設け、これらの入力項目も加味してイベントを発生するか否かを判定するようにしてもよい。
(第2具体例)
図6に第2具体例を示す。本具体例は、チャットの文字列の中に所定の文字列が含まれている場合、これを検出してチャットに参加している特定のユーザキャラクタを変化させるものである。
図6(a)に示すように、チャットルームに2名のユーザが参加している。右側のユーザキャラクタはリボンを付けている。左側のユーザキャラクタが「帽子をあげる>Bさん」と発言すると、図6(b)に示すように、左側のユーザキャラクタの吹き出しに「帽子をあげる>Bさん」と表示すると共に、「B」というハンドルネームの右側のユーザキャラクタに帽子を被せるイベントが発生する。
なお、上述した具体例の他にも、相手を特定せずに、自分以外の全てのユーザキャラクタに帽子を被せることや、帽子以外のものを指定して与えるようにしてもよい。
(第3具体例)
図7に第3具体例を示す。本具体例は、交換するチャットの文字列中に含まれる所定の文字列の組み合わせを検出して、特定の組み合わせが検出された場合に特定のイベントを発生させるものである。
図7(a)に示すように、チャットルームに2名のユーザが参加している。左側のユーザキャラクタが「テーブル」と発言すると、図7(a)に示すように、右側のユーザキャラクタの吹き出しに「テーブル」と表示されるが特定のイベントは発生しない。続いて、左側のユーザキャラクタが「猫」と発言すると、図7(b)に示すように、左側のユーザキャラクタの吹き出しに「猫」と表示すると共に、中央のテーブルの上に猫が表示されるイベントが発生する。
このように本具体例では、一方のユーザの場所を指定する文字列と、他方のユーザの置く物を指定する文字列の組み合わせにより様々なイベントを発生させることができる。例えば、図7(c)に示すように、「テレビの上」と「猫」の組み合わせでテレビの上に猫が表示されたり、「部屋の隅」と「猫」の組み合わせで部屋の隅に猫が表示される。
なお、上述した具体例の他にも、「テレビの上>Bさん」、「猫>Aさん」等により相手を指定して、その相手に物を置く動作を行わせるようにしてもよい。
(第4具体例)
図8に第4具体例を示す。本具体例は、チャットの文字列の中に所定の文字列が含まれている場合、これを検出してチャットルームの状態を変化させるものである。
図8(a)に示すように、音響設備のあるチャットルームに2名のユーザが参加している。このチャットルームには音楽が流れていないものとする。そこで、左側のユーザキャラクタが「BGM」と発言すると、図8(b)に示すように、右側のユーザキャラクタの吹き出しに「BGM」と表示されると共に、チャットルーム全体の背景の色調が変化して、所定の音楽が流れ、画面上に「ズンズン」と音楽にあった文字が表示される。
このように本具体例では、特定の文字列を発言することにより、音楽を鳴らす等の特定のイベントを発生させるが、イベントによってはチャットルームの種類を条件に加えてもよい。
例えば、図8に示すように音響設備のあるチャットルームの場合には「BGM」という文字列は有効であるが、図6、図7に示すような音響設備のないチャットルームでは「BGM」という発言をしてもイベントを発生させないようにする。
また、図5に示す列車内のボックスシートのチャットルームにおいて、「富士山」という文字列により窓に富士山を表示したり、「トンネル」という文字列によりトンネル内を通過している音を発生するようにしてもよい。
(第5具体例)
図9に第5具体例を示す。本具体例は、チャットの文字列中に所定の制御文字が含まれている場合、これを検出して所定の処理を行うものである。
図9(a)に示すように、クイズを行うチャットルームに3名のユーザが参加している。画面上部に問題「おっちょこちょいな人は?」が表示されている。左側のユーザキャラクタのユーザが「誰だろー?」と入力すると、図9(a)に示すように、その発言が左側のユーザキャラクタの通常の発言として吹き出し内に表示される。
回答をする場合には、ユーザは回答を『』により囲んで入力する。左側のユーザキャラクタのユーザが「『○○さん!』」と入力すると、図9(b)に示すように、画面下部に『○○さん!』と表示される。そして、『』により囲んで入力された文字列は回答であると判断し、図9(c)に示すように、左側のユーザキャラクタの回答表示欄に「○○さん!」と表示される。このとき制御文字である『』を除いて表示する。
このように本具体例では、特定の制御文字を用いることにより回答を特定するようにしたが、同様にして、問題文を入力したり、議論のテーマを設定したりするようなことに応用するようにしてもよい。また、チャットルームの種別やチャットルームの現在の状態を加味して発生させるイベントを判断するようにしてもよい。
(変形具体例)
本実施形態では上述した具体例の他にも様々な条件により多様なイベントを発生させるようにしてもよい。
イベントチャットとは、チャットの文字列中に特定の文字列に反応して特定のイベントを生じさせるチャットである。
チャットの文字列の表示方法としては、特定の文字列を含むチャット文字列をそのまま表示するか、チャット文字列に所定の処理を施して表示するか、チャット文字列を全く表示しないか等の態様がある。特定のユーザだけにチャット文字列を表示するようにしてもよい。チャット文字列の表示方法についてはデータテーブルにより指定する。
特定のイベントが、ユーザキャラクタが変化するイベントの場合、どのキャラクタが変化するか指定することができる。例えば、全てのユーザのキャラクタが変化するか、自分のキャラクタのみ変化するか、相手のキャラクタのみ変化するか、指定したキャラクタのみ変化するか等を指定することができる。
また、キャラクタの現在位置により変化するかどうか決定してもよい。例えば、所定のエリア内であるとか、特定のオブジェクトから所定の距離内であるとか、自分のキャラクタから所定の距離内であるとかである。
また、自己のキャラクタの状態をユーザ側で指定できるようにして、キャラクタの状態が取り込み中、離席中等のビジー状態である場合には、変化する指示が発せられても変化させないようにしてもよい。
キャラクタが変化する態様としては、喜び、怒り、悲しみ等の様々な感情等を表すようにする。
特定のイベントが、物が変化するイベントの場合、変化する物としては、窓、ドア、壁等のチャットルームの構成物や、ろうそく、テーブル等のチャットルーム内の物の他、犬、猫、子供等がある。物が変化する態様としては、物が出現したり消滅したりする、物の色が変化する、物の位置が変化する、物の形が変化するとかの態様がある。
(チャットセンサ)
本実施形態のオンラインシステムにおけるチャットセンサの概要について説明する。
チャットセンサは、チャットの文字列中に特定の文字列に反応して特定のイベントが発生するという点では上述したイベントチャットと類似しているが、複数のユーザがチームを組んで行うオンラインゲームにおけるものである点に特徴がある。オンラインゲームでは複数のユーザがチームを組んで互いにチャットによりコミュニケーションをとりながらゲームを進める。このチーム内のチャットに反応して特定のイベントが発生する。
なお、本実施形態ではオンラインゲームを例として説明するが、複数のユーザがチームを組んで行うものはゲームに限らず、その他、仕事、課業、学業等のあらゆる種類の作業、職務等のタスクを行うものでもよい。
オンラインゲームには、例えば、探検する領域内の通路や扉、障害物等の配置を定めるマップ情報と、探検していく筋書きを定めるスクリプト情報がある。チャットセンサは、チャットの文字列中の特定の文字列に反応して、これらマップ情報やスクリプト情報に応じてイベントを発生する。
例えば、チャットで「開けゴマ」とプレイヤーが入力すると開く扉や、ノンプレイヤーキャラクタ(NPC)である街の人の近くで「職業は?」と入力すると、その内容に応じた情報を聞き出すことができる。
自分が入力したチャットだけでなく、ネットワークを介して他人が入力したチャットにも反応することに特徴がある。チャットを利用するので、入力したメッセージが自分だけでなくチームの他の仲間も見ることができる。例えば、チームの仲間全員で「この扉の合言葉は?」とチャットで入力し合ってキーワードを探し出すというようなことができる。
(チャットセンサの具体例)
次に、チャットセンサの処理の流れの概略について図10を用いて説明する。「開けゴマ」というキーワードをチャットで入力することによって開く扉を例として説明する。
図10に示すように、あるゲーム領域に次のゲーム領域に行くための扉70が設けられている。ユーザキャラクタ72がゲーム領域に進入してきてチャットを行い、そのチャットに特定の文字列を含ませることにより扉70を開く。
まず、ユーザキャラクタ72がマップ情報で定められた扉70の指定範囲74内に進入して、ユーザがチャットとして文字列を入力する。その文字列中に予め指定された特定の文字列「開けゴマ」を含んでいると、扉70のスイッチIDをオンにする。扉70のスイッチIDがオンになることにより、スイッチIDにより指定された扉70のカギが開く。指定範囲74外にいるユーザキャラクタ72′が特定の文字列「開けゴマ」を入力しても無効であり扉70のカギは開かない。
特定の文字列とイベントとの関係情報は、イベントチャットと同様に基本情報はCD−ROMから読み込むが、スクリプト情報に関係情報を組み込んでおけば、オンラインゲーム開始時にサーバからスクリプト情報を読み込むときに同時に読み込むことができる。
なお、特定の文字列として、複数のキーワードを設定し、これに反応するようにしてもよい。例えば、「開けゴマ」、「開け扉」、「開け道」のいずれを入力しても、扉を開けるという同じ反応をするように指定する。
また、例えば、キーワードが「弁当」だった場合、それに通常の接頭辞や接尾辞等が付された文字列、例えば、「お弁当」でも反応するようにできる。
また、チームを組んでオンラインゲームを行っている場合、チームの全員が特定の文字列「開けゴマ」と言わなければ、扉を開かないようにしてもよい。
また、キーワードを分割して、分割したそれぞれの文字列をチームの全員がほぼ同時に入力しなければ扉を開かないようにしてもよい。例えば、「ひら」・「け」・「ゴ」・「マ」と4つの分割した文字列をそれぞれが入力したときのみ扉が開くようにしてもよい。
なお、チャットに反応するものとしては、上述した扉の他に、通路、NPC等のオブジェクトの他に、シナリオの展開であってもよい。ゲーム中にチームと交わしたチャット中の文字列がシナリオ展開に影響を与えるようにしてもよい。チャットで普通に会話する文字列にも気を付ける必要があり、深みのあるゲームを実現することができる。
(クエスト内のチャットセンサ)
本実施形態のオンラインシステムにおけるクエスト内のチャットセンサについて説明する。
クエストとは、独自のシナリオによって進行するショートストーリのようなものである。ゲーム時間としては10分程度の短いものから数時間を越えるものまで幅広い。クエストは比較的ボリュームが小さいので、適宜サーバからダウンロードする。
チャットセンサで反応させる文字列を入れるテーブルは、クエストのスクリプトファイル中に設ける。スクリプトファイルのある場所はクエストの種類によって異なる。クエストは大きく分けて2種類あり、それぞれスクリプトファイルのある場所が異なる。
オンラインゲームを行っている間は、ゲーム装置10のシステムメモリ14内にテーブルが存在する。必要に応じてシステムメモリ14内のテーブルを参照する。
クエストには、オンラインクエストとダウンロードクエストがある。オンラインクエストは当初はサーバ50に格納され、必要に応じてゲーム装置10に配信される。ダウンロードクエストは常時はビジュアルメモリ40に格納され、必要に応じてゲーム装置10に取り込むことができる。ダウンロードクエストは、オンライン時にサーバ50からビジュアルメモリ40にダウンロードしておき、必要に応じてビジュアルメモリ40からゲーム装置10に読み出すことができる。
オンラインクエストにもダウンロードクエストにも、チャットセンサに必要な文字列を取り込んでおくことができるので、多種多様なテーブルを事実上無限に作り出すことができる。
(クエスト内チャットセンサの具体例)
クエスト内のチャットセンサの具体例について説明する。例えば、チャットの文字列内の特定の文字列に反応してノンプレイヤキャラクタ(NPC)が返答を返すものである。特定の文字列に反応して、ノンプレイヤキャラクタ(NPC)が必要な情報をくれたり、自分のユーザキャラクタの好感度が上昇したりする。
また、ノンプレイヤキャラクタ(NPC)やオブジェクトをチャットにより動かすことができる。例えば、「前」「歩け」「止まれ」「戦え」等の文字列を検出して、その文字列に適合した動作を行わせる。
また、チャットセンサにおいて設定された文字列を発言すると罰を受けるようにすることができる。例えば、チャットにおいて「ダメージを食らう」「小さくなる」「死ぬ」等を含む発言を行うと、後退や減点等の罰を受ける。
また、チャットによってユーザキャラクタ、他のユーザキャラクタ、NPCが感情表現をするようにできる。例えば、チャットにおいて「怒った」というと炎があがったり、「好き」というとハートマークが表れたりする。
また、チャットによって、自分以外の他のユーザに影響を与えることができる。例えば、他のユーザのキャラクタを生き返らせたり、一定時間動けなくしたり、魔法を使えなくしたり、殺したりする。
また、チャットセンサで設定された文字列に応じて特定のオブジェクト等のあらゆるもの出現させることができる。例えば、NPC、敵、扉、追加ステージ等を特定の文字列に反応して出現させる。
(キャラクタのお墓)
本実施形態のオンラインシステムにおけるキャラクタのお墓について説明する。
本実施形態では、オンラインゲームにおいて敵等と戦った結果、キャラクタが死亡した場合、その場所にキャラクタのお墓を設け、死亡時の情報を保存しておく。そのキャラクタが再びその場所に差し掛かったときに、死亡時の情報を表示する。そのユーザとチームを組んでいる他のユーザもお墓の情報を見ることができる。
オンラインゲームは、図11に示すように、スタート地点からゴール地点に至るまでの間にいくつものゲーム領域80を通過していく。複数のユーザキャラクタ82がチームを組んでゲーム領域80で敵等と戦いながらゴールに向かって進んでいく。
オンラインゲームの途中において敵等と戦った結果、キャラクタが死亡した場合、その場所にお墓84を立て、死亡時の情報を保存する。死亡時の情報は、例えば、死亡したキャラクタ名、死亡日時、チーム名、敵の名前、キャラクタの最後の言葉等であり、そのユーザのゲーム装置10のシステムメモリ14を介してビジュアルメモリ40に保存される。
一度死亡したユーザが再びチームを組んでオンラインゲームを行い、その死亡した地点に達すると、図12に示すように、お墓84が表れ、死亡時の情報86、例えば、失格回数、戦った敵の名前、最後の言葉、死亡日時等が表示される。チームを組んだときに死亡時の情報も含めて情報を共有しているので、同じチームの他のユーザもそのユーザのお墓84と死亡時の情報86を見ることができる。
お墓84及び死亡時の情報86は、同じチーム内でゲームを行っているユーザー同士が共有している。したがって、死亡時に一緒にいたチームメンバでなくとも、今回同じチームメンバになれば、その人のお墓84や死亡情報86を見ることが可能でる。なお、死亡時に一緒にいたチームメンバであっても、別のチームのメンバである場合には、その人のお墓84や死亡情報86を見ることはできない。
オンラインゲームを進めていく過程において、自分が死亡した地点を確認したり、同じチームのユーザの死亡時の情報を確認することができるので、更に興味深くオンラインゲームを行うことができる。
なお、チャレンジモードのオンラインゲームの場合、チームのうち一人でも死亡すると、全員がスタート地点からゲームを再度開始する必要がある。このようなオンラインゲームの場合には、お墓の情報を活用して、各メンバーが気を付けながらゲームを遂行することができる。
(アイテムの履歴)
本実施形態のオンラインシステムにおけるアイテムの履歴機能について説明する。
オンラインゲームにおいては、武器、防具等のアイテム(道具)を道具屋で売買したり、ユーザ同士でやり取りしたりする。本実施形態では、アイテムの履歴機能として、このように独立して取引されるアイテムにその履歴情報を付随させる。
ユーザがアイテムを購入するときに、図13に示すように、そのアイテムに自分の名前を登録することができる。道具屋でアイテムを購入するときには、まず、アイテムの種類を選択する。図13(a)では「SABER」を選択している。次に、アイテムに付ける名前をソフトキーボードを用いて入力する。図13(b)では「FUKAZAWA」と入力している。その結果、アイテムである「SABER」に名前「FUKAZAWA」が付され、図13(c)に示す最終確認の後に購入する。
ユーザがこのアイテム「FUKAZAWA SABER」を用いてオンラインゲームを行うと、そのときの戦闘の記録が履歴情報として加えられる。その結果、アイテムに様々な履歴情報が付され、使用したユーザの名前、保有期間、倒した敵の数や名前、使用した日時等が履歴情報として付されたオリジナルなアイテムとなる。
アイテムの履歴情報は、所有しているユーザのゲーム装置10のシステムメモリ14を介してビジュアルメモリ40に保存される。道具屋が所有している場合には、アイテムの履歴情報はサーバ内で保存される。
アイテムに履歴情報を付随できるのでオリジナルなアイテムを形成する楽しみができる。また、アイテムは、道具屋で売買したり、ユーザ同士で受け渡ししたりして流通するので、伝説のアイテムや、有名人の名づけたアイテムが存在するとか誰かが取得した等の情報がインターネットの世界で広がる楽しみができる。
アイテムに希少価値が出るように、自分が名前を付けられる名無し状態のアイテムは、ある程度のレベルに達しない限り取得できないようにしてもよい。
(ワールドランキング)
本実施形態のオンラインシステムにおけるワールドランキング機能について説明する。
ワールドランキング機能とは、オンラインゲームの途中で、ゲームデータを1ボタンでゲーム装置10からサーバ50へと転送し、ランキング結果に反映させ、その結果をダウンロードする機能である。ゲームの途中で、ゲームの進行に影響を与えることなく、サーバ50に接続してデータをアップロード及びダウンロードする。
ゲームの途中でサブメニューからワールドランキングを選択すると、ユーザのゲーム装置10のビジュアルメモリ40のデータをサーバ50にアップロードし、サーバ50から最新データをダウンロードする。例えば、最短クリア時間、最高スコア、エンブレム枚数及び所有時間等である。その結果、図14に示すワールドランキングを画面に表示する。ユーザの総合順位、アップロードした年月日等と共に、各ステージ毎の順位等の情報が表示される。ステージを選択するとそのステージにおける詳細な情報が表示される。
サーバ50からデータをダウンロードするときに、広告情報をダウンロードし、広告をゲーム画面に表示させるようにしてもよい。新たな広告収入を得ることが可能となる。また、必要に応じて、ダウンロードしたデータをゲームの進行に反映するようにしてもよい。
(文字入力アシストシステム)
本実施形態における文字入力アシストシステムについて説明する。
(ソフトウエアキーボード用文字入力アシストシステム)
ゲーム装置10にコントローラ36のみが接続されていることを考慮して、本実施形態ではソフトウエアキーボードが用意されている。ソフトウエアキーボードとは、図15(a)に示すように、画面上にキーボード100が表示され、キーをクリックまたは操作入力することによって文字の入力ができるキーボードのことである。
ソフトウエアキーボードでは、コントローラ36により画面上のカーソルを動かして、入力したい文字上に位置させ、そこで選択操作することにより文字を入力する。濁音や半濁音を入力する場合には、文字を選択したあとに、濁点や半濁点を選択する必要があり、非常に面倒であった。本実施形態の文字入力アシストシステムは、面倒な文字入力を助けて、簡単に文字入力できるようにするものである。
本実施形態の文字入力アシストシステムでは、文字選択のためにカーソルを選択した文字上に位置させると、図15(a)に示すように、選択された文字を中心とした十字型のウインドウ102が表示される。このウインドウ102の中央には選択した文字(つ)が表示され、その周囲には、選択した文字に関連する文字(づ、っ)が表示される。選択した文字(つ)を入力する場合には、そのまま選択する。関連する文字(づ、っ)を入力する場合には、カーソルを移動して選択する。関連する文字入力の場合でも、カーソルを移動するだけであり、効率的な文字入力が可能である。
コントローラを用いた操作の具体例について説明する。まず、方向キーでカーソルを選択文字に合わせてボタン(例えばAボタン)を押す。画面上に選択文字を中心として方向キーを模した画像102が重なって表示される。Aボタンを押したままで方向キーを使って関連する文字を選んだ後、Aボタンを離すと、その文字が選択される。選択文字を入力する場合には、方向キーの操作を行うことなく、そのままAボタンを離せばよい。この操作方法は、従来のソフトウエアキーボードの操作方法と同じであり、従来の操作方法との互換性が確保でき、戸惑うことなく操作することができる。
ウインドウ102の周囲に表示する関連文字としては、上述したような、濁音、半濁音、小文字の他に、半角文字、1/4角文字、2倍角文字等の大きさの異なる文字や、カタカナ、「きゃ」「きゅ」「きょ」等の拗音や促音、「。」「、」等の句読点でもよい。また、「 (スペース)」「@」「¥」等の記号や、「年」「月」「日」等の漢字、「こんにちは」「よろしく」「さよなら」等の定型の文字列でもよい。
関連文字の配列には一定のルールを設けることが望ましい。例えば、上側には濁音、下側には半濁音、右側には小文字とする。このようなルール化することにより迅速に入力することが可能となる。
ウインドウ102の具体例を図15(b)乃至(i)に示す。図15(b)のウインドウは、中央の選択文字が「あ」で、右側の文字が小文字の「ぁ」である。図15(c)のウインドウは、中央の選択文字が「や」で、右側の文字が小文字の「ゃ」である。図15(d)のウインドウは、中央の選択文字が「は」で、上側の文字が濁音の「ば」で、下側の文字が半濁音の「ぱ」である。図15(e)のウインドウは、中央の選択文字が「A」で、右側の文字が小文字の「a」である。図15(f)のウインドウは、中央の選択文字が「た」で、上側の文字が濁音の「だ」で、左側の文字が句点の「。」である。「た」の後には句点「。」が続くことが多いことを考慮している。図15(g)のウインドウは、中央の選択文字が「し」で、上側の文字が濁音の「じ」で、左側の文字が読点の「、」である。「し」の後には句点「、」が続くことが多いことを考慮している。図15(h)のウインドウは、中央の選択文字が「*」で、上側の文字が「?」で、下側の文字が「!」で、左側の文字が「¥」で、右側の文字が「@」である。よく使う記号をまとめている。図15(i)のウインドウは、中央の選択文字が「年」で、上側の文字が「月」で、下側の文字が「時」で、左側の文字が「日」で、右側の文字が「分」である。よく使う漢字をまとめている。
なお、上述した具体例では十字型のウインドウ102を用いたが、図15(j)に示すように、上下方向だけに関連する文字を配置したウインドウでもよいし、図15(k)に示すように、左右方向だけに関連する文字を配置したウインドウでもよいし、図15(l)に示すように、8方向に関連する文字を配置したウインドウでもよい。
(携帯端末用文字入力アシストシステム)
本実施形態の文字入力アシストシステムは、ソフトウエアキーボードだけでなく、携帯電話や、PHS、PDA等の携帯端末にも適用することができる。
携帯電話用文字入力アシストシステムについて図16を用いて説明する。
携帯電話(PHSを含む)における文字入力は、数字ボタンに50音の各行を割り当て、同じボタンを押すことにより選択する文字を切り換えている。例えば、数字ボタン「1」にはあ行の文字を割り当て、数字ボタン「1」を押すと、まず「あ」が選択され、数字ボタン「1」を押すことにより「あ→い→う→え→お→ぁ→ぃ→ぅ→ぇ→ぉ→あ→…」と選択する文字を切り換える。
本実施形態では、このような面倒な携帯電話の文字入力を簡単にするため、図16に示すように、数字ボタンを押した後、そのボタンを押し続けると、画面内に十字ウインドウを表示し、その十字ウインドウに関連する文字を表示し、方向ボタンで関連する文字を選択するようにしている。
まず、図16(a)に示すように、「1あ」ボタン112を長押しすると、図16(b)に示すように、画面110に十字ウインドウ120が表示される。十字ウインドウ120は中央に「あ」の文字が表示され、上側に「い」の文字が、左側に「う」の文字が、下側に「え」の文字が、右側に「お」の文字が表示される。このとき「1あ」ボタン112を離した場合には「あ」の文字に決定する。図16(b)に示すように、「1あ」ぼたん112を押したまま、方向ボタン114を操作し、図16(c)に示すように、方向ボタン114の下側ボタン116を押すと、十字ウインドウ120の下側の文字「え」の文字に決定する。
なお、本実施形態の携帯電話用文字入力アシストシステムにおいても、ソフトウエアキーボード用文字入力アシストシステムと同様に、十字ウインドウ120における選択文字の配列や、ウインドウの形状等を変えることが可能である。
このように本実施形態の文字入力アシストシステムによれば、従来の文字入力に比べて、ボタン操作回数を激減させることができる。
PDA用文字入力アシストシステムについて図17を用いて説明する。
PDAにおける文字入力は、画面140上にソフトウエアキーボード142を表示し、ソフトウエアキーボード142上の文字をペン146で触れることにより、その文字を入力する。
本実施形態では、このようなPDAの文字入力を簡単にするため、図17に示すように、ペン146で文字に触れた後、その文字に触れ続けると、ソフトウエアキーボード142に十字ウインドウ144が表示される。その十字ウインドウに関連する文字を表示し、ペン146を接触したまま移動することにより、関連する文字を選択する。
まず、図17(a)に示すように、PDAの画面140に表示されたソフトウエアキーボード142の文字「は」上をペン146で触れる。ペン146で触れ続けると、図17(b)に示すように、文字「は」を中心とした十字ウインドウ144が表示される。十字ウインドウ144の中央には文字「は」が表示され、上側には「は」の濁音「ば」が表示され、下側には「は」の半濁音「ぱ」が表示される。文字「は」を入力したい場合には、文字「は」に接触しているペン146をそのまま離す。文字「ば」を入力したい場合には、マウスのドラッグ操作のように、ペン146を接触させたまま移動して文字「ば」の位置でペン146を離す。
なお、本実施形態の携帯電話用文字入力アシストシステムにおいても、ソフトウエアキーボード用文字入力アシストシステムと同様に、十字ウインドウ144における選択文字の配列や、ウインドウの形状等の変形することが可能である。
このように本実施形態の文字入力アシストシステムによれば、従来の文字入力に比べて、直感的な操作により文字を入力することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるネットワークシステムについて説明する。
本実施形態のネットワークシステムは、サーバ上に、チャオなるキャラクタを育成するチャオ幼稚園を設け、ユーザが所有するチャオのデータをチャオ幼稚園にアップロードし、一定期間預けることにより、チャオのデータが自然にアップグレードするようにしたものである。チャオ幼稚園に預けられた各ユーザのチャオ同士が影響しあうことにより、チャオのデータがアップグレードする。従来のように、人為的に影響を与えるのではなく、他のチャオのデータから自然に影響を受けるようにしたことに特徴がある。
本実施形態によるゲームでは、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタとは別に、育成を目的とした「チャオ」と呼ばれるキャラクターが存在している。プレイヤはチャオに様々なアイテムを与えることによって、形態を変化させたり、チャオの持つスキルを変化させたりすることが可能である。
従来のゲームでは、チャオの育成を自分のゲーム装置内のオフライン環境の中だけで行っていたが、本実施形態ではネットワークに接続することにより、サーバ内に設けられたチャオ幼稚園にチャオのデータをアップロードし、そこで更に成長させることが可能である。
図18(a)に示すように、チャオ幼稚園は複数のゲームサーバ151〜154に分割されている。ゲームサーバ151〜154のひとつひとつがチャオ幼稚園の中の「クラス」に設定されている。ユーザは自分のチャオのデータをどのクラスに預けるかを選択する。
図18(b)に示すように、各クラスのゲームサーバ151〜154には、チャオのどのパラメータをスキルアップさせるかを設定しているプログラム151A〜151Fが導入されている。これを「おけいこ」という設定で、ユーザに選択させる。ユーザはチャオのどのスキルをアップさせたいのかによって、そのスキルに合ったクラスを選択する。
チャオを預けてから、そのデータが更新されるまでに例えば1日の時間を要する。ユーザは1日経過したら、チャオを迎えにいく設定でデータのダウンロードを行う。ダウンロードしたデータにはアップロード時に選択したクラス(おけいこ)に応じたスキルが反映される。例えば、クラス151Aの「ラッパ」を選択していたら、ダウンロードしたチャオにはアップロード前には無かったラッパを吹けるスキルが備わっている。
本実施形態のネットワークシステムのシーケンスの概略について図19を用いて説明する。
まず、ユーザのゲーム装置10をインターネット60を介してサーバ50に接続する(ステップS30)。サーバ50に接続すると、図18(a)に示すチャオ幼稚園の画面が表示される。表示されたゲームサーバ151〜154から自分のチャオを預けるためのゲームサーバ151を選択し、続いて、ゲームサーバ151内のクラス151A〜151Fからラッパのクラス151Aを選択する(ステップS31)。ゲームサーバ151のクラス151Aを選択すると、ゲーム装置10に接続されたビジュアルメモリ40からゲームサーバ151のクラス151Aにチャオのデータをアップロードする(ステップS32)。ここでインターネット接続を切断して1日経過するのを待つ。
次の日に、ユーザのゲーム装置10をインターネット60を介してサーバ50に再び接続する(ステップS33)。サーバ50におけるゲームサーバ151から成長したチャオのデータをダウンロードしてゲーム装置10のビジュアルメモリ40に格納する(ステップS34)。
このようにしてチャオのデータをサーバにアップロードし、後日、サーバで成長したデータをダウンロードすることにより、自分のチャオのデータの成長を楽しむことができる。
本実施形態では、ひとつのゲームサーバに何人ものユーザが自分のチャオのデータをアップロードするので、様々なパラメータを持つチャオが共存している。チャオのデータは全てサーバ60内のデータベースによって管理されている。
本実施形態では、このように多数のユーザのチャオのデータが同じサーバで管理されていることを利用して、アップロードされたチャオのデータ同士を互いに影響させて、チャオのデータを変化させるようにする。
現実の世界において、いままで性格のおとなしかった子供が、学校に通いだすことによって性格の強い子に影響されて、その子の性格も強くなっていくように、チャオのデータにも性格と影響力というパラメータを導入して、同様の現象を起こさせようとするものである。
性格パラメータとして、「泣虫」「おとなしい」「普通」「わんぱく」「乱暴」等を設定し、影響力パラメータとして0〜100までの数値を設定する。影響力パラメータが高いと、他のチャオの性格パラメータに影響されやすい。
例えば、図20に示すように、性格が「泣虫」のチャオA(影響力:80/100)と、性格が「乱暴」のチャオB(影響力:80/100)とが同じクラスにアップロードされた場合、1日経過すると、互いに同程度に影響しあって、チャオAは性格が「おとなしく」に変化し、チャオBは性格が「わんぱく」に変化する。ユーザはクラスを決定する際には、そのクラスに預けられているチャオのパラメータを見て決めるようにしてもよい。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるネットワークシステムについて説明する。
本実施形態のネットワークシステムは、ネットワークゲームにおいて、接続されたプレーヤについてのアンケートが取られ、その結果が、特定のプレーヤのゲーム進行に反映されるシステムである。あらゆるネットワーク機器を利用したゲーム環境で、ユーザ同士がお互いの評価を下すことによって、お互いのゲーム進行状況が変化していくシステムである。
例えば、ゲーム中に「この中で、一番ダサイやつはだれだ?」という設問が出され、接続中のプレーヤがそれぞれ回答を入力する。1番回答が多く集まったプレーヤキャラクタAの「かっこよさ」についてのパラメータ値が下がる。その結果、ゲーム中にプレイヤキャラクタAが身につけられるアイテムが限定されることになる。このように、他プレーヤからの入力によって、プレーヤの予想を越えたパラメータが変わっていく点に特徴がある。
なお、上述した具体例において、設問に対して回答するプレイヤとしては、ネットワークゲームに参加しているプレイヤに限らず、家庭用ゲーム機、形態ゲーム機、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末によりネットワークに接続可能なユーザが回答できるようにしてもよい。
従来のオンラインゲームシステムにおいては「荒らし」と呼ばれるプレイヤが存在する。「荒らし」と呼ばれるプレイヤは嫌がらせ行為等をして他のプレイヤに迷惑をかけたり、参加しているプレイヤを殺したりする。このようなプレイヤは、ネットワークゲームの世界においても迷惑な存在である。しかしながら、視点を変えると、このような行為を行う動機は自己掲示欲にあると思われ、ゲームの世界の中で自分の存在、自分の強さを認めてもらいたいわけである。
そこで、本実施形態では、プレイヤ同士がお互いに評価しあうことで、プレイヤのゲーム界での立場や役割が影響されるようにして、このようなプレイヤの心理をゲームに積極的に取り入れるようにしている。
例えば、ネットワークロールプレイングゲームにおいてはゲームのキャラクタには善悪のパラメータが存在し、そのパラメータによって、ゲーム界での自分の立場と役割が変化していく。図21に示すように、ゲームキャラクタは、善のパラメータが高い順から、神、勇者、剣士、見習剣士、小悪魔、悪魔、魔王、大魔王の序列がつけられる。善悪パラメータの初期設定値は見習剣士と小悪魔の中間に設定される。
本実施形態のゲームには予めシステム側で用意された敵というものは存在しない。しかし、プレイヤは初期設定値を中心に善悪どちらかの立場に分割され、お互いに敵対関係になる。それぞれ反対の立場のプレイヤを倒すと、スキルアップして、そのキャラクタの能力が高くなる。そのようにして、自分を成長させていくのが目的のゲームである。最終的には、自分の立場とは反対の立場の極にいる神又は大魔王のユーザを倒すことが目的となる。
図21における、善悪パラメータの両極に位置するユーザは他の立場のプレイヤに比べて他のプレイヤへの影響度が高い。
ゲーム界での人口分布をシステム側で管理することによって、参加ユーザが増加しても、両極にいるプレイヤが極端に増加することはなく、常に希少価値のものとして扱われるようにする。
プレイヤの立場は、プレイヤ同士で互いに下す評価によって、善悪のパラメータが変化していく。例えば、4人でチームを組んで冒険しているパーティに、あるお店の主人(NPC)が次のような質問をする。「うちの宝物の中身がいつのまにか無くなってしまったわい!お前達の中に盗人がいるだろ!」
その時、それぞれのゲーム画面には、図22に示すように、接続されている各プレイヤの名前(ソニック、テイルズ、ナックルズ、エミー)が選択項目として表示される。
あるプレイヤが「ソニック」というプレイヤを選択したとすると、上述した質問は悪のパラメータを高くするための質問であるので、「ソニック」というプレイヤの善悪パラメータは悪の方向に傾く。その悪のパラメータが一定値を超えたところで、ソニックの立場は初期設定値から子悪魔へと変化する。
また、善悪の極の立場に近ければ近いほど、他のプレイヤに対する影響力は強くなる。上述した質問の場合であれば、剣士レベルのプレイヤがソニックを選択するよりも、勇者レベルのプレイヤがソニックを選択する方が、ソニックの悪パラメータを大きく増やすことになる。
上述したようなシステムを用いて、ゲームの世界で階級を作り出すだけでなく、次のようなコミュニケーションの楽しみ方が可能になる。
例えば、ネットワークサバイバルゲームの場合、このゲームの設定はステージが無人島になっており、参加しているプレイヤ達は生活するための物資を調達しつつ、救助されるのを待つオンラインサバイバルゲームである。
ステージをクリアするには最後まで生き延びながら脱落せずに救助されることが必要である。救助されるとそのプレイヤはステージクリアとなり、次のステージへと進める。
このゲームでは1日の終わりに毎回脱落者を一人決めることにしている。したがって、ゲームオーバとなるのは、延命のための体力がなくなったときと、多数決により脱落者にされたときである。
プレイヤには、それぞれ「スキル」と「好み」のパラメータがあり、「スキル」には「魚を捕ってくるのがうまい」「果物をとるのがうまい」「獲物を狩るのがうまい」等がある。これらのスキルはそれぞれのプレイヤーの「好み」と相互依存関係にある。「肉の好きな人」は肉を食べないと体力がつかず、必然的に「獲物を狩るのが上手い」プレイヤに依頼をする必要がある。
しかし、基本的にはどのプレイヤも他のプレイヤを脱落させるのが目的のため、そう簡単には他のプレイヤの依頼には応えてはくれない。ただし、脱落したプレイヤも陪審員としての一票を持っているため、協力しておくことはゲームをクリアするための必須条件となる。ここにゲームとしての駆け引きが存在する。
例えば、4人のプレイヤ「ソニック」「テイルス」「ナックルズ」「エミー」がいたとする。プレイヤ「ソニック」はプレイヤ「テイルス」に「次はナックルズを脱落させよう!」とメールを送って、同盟をもちかける。
しかし、プレイヤ「テイルス」は、プレイヤ「エミー」の依頼を以前断ったことがありその依頼をプレイヤ「ソニック」が代わりに引き受けていたとする。このままプレイヤ「エミー」が残ったとすると、その次に脱落させられるのは自分かもしれないという疑心にとらわれる。
そこで、プレイヤ「テイルス」はプレイヤ「ナックルズ」に「次はソニックを脱落させよう!」とメールを送って同盟を持ちかけ、プレイヤ「ソニック」を先に脱落させるよう持ちかける。
このように、本実施形態によれば、通常のゲームでは親切な行為はそのまま得点に結びつくが、人が人の評価を下すことによって、その行為がどのように転ぶかわからない進行状況が発生する。このような人と人のコミュニケーションならではの駆け引きのゲーム性が生まれ、興趣あふれるゲームが実現できる。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では情報処理装置として家庭用のゲーム装置によるネットワークシステムに本発明を適用したが、ゲームセンタやゲームカフェ等の店舗に設置される端末装置や、携帯型ゲーム機や、各家庭にあるパソコン等の電子装置や、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末等にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態のゲーム装置ではチャットに本発明を適用したが、チャット以外のコミュニケーションに対しても本発明を適用することができる。