近年、CCD等の固体撮像素子(以下撮像素子)で撮像した画像を記録媒体(固体メモリ素子を有するメモリカード等)に対し記録及び再生を行う撮像装置(デジタルカメラ)が盛んに開発され、広範に普及してきている。デジタルカメラの普及の背景としては、デジタルカメラから撮影画像を取り込んで処理できるパーソナルコンピュータ(PC)の普及と、インターネット等を利用したデジタル画像情報に対する需要が高まったことなどが挙げられる。
また、デジタルカメラでは次のような傾向が進展している。即ち、デジタルカメラに搭載される撮像素子の高画素化、記録媒体となるメモリカードの大容量化、デジタルカメラの中枢で画像のデジタル信号処理を担うIC(集積回路)の高密度化及び高速化が進展している。
最近では、デジタルカメラには次のような機種が登場している。即ち、増大した静止画サイズと高速連写機能を有し数コマの静止画を動画のように記録できる機種や、静止画サイズよりは小さいサイズながらテレビ受像機さながらのフレームレート(秒60コマ)で動画の記録/再生ができる機種などである。
更に、これまでの静止画の高精細化に加えて動画機能を付加したデジタルカメラも市販され始め、いっそう市場のニーズを喚起している。また、その一方で、民生用デジタルビデオカメラにおいても、民生用デジタルフォーマット規格によってデジタル記録による映像が非常に身近なものとなっている。これに伴い、従来の動画撮影だけではなく動画撮影と静止画撮影を併用できるものが市販され始めている。画像記録方式としては、動画用の記録媒体に動画と一緒に静止画を記録しておく方式や、動画とは独立の記録媒体に動画とは独立に静止画を記録する方式などがある。
他方、静止画記録を機能の中心とするデジタルカメラ(デジタルスチルカメラ)と、動画記録を機能の中心とするデジタルビデオカメラとが、それぞれ静止画記録と動画記録の併用を機能として実現し始めている。
また、デジタルカメラにおける静止画や動画の撮影に関わる解像度や動作速度は、高画質化や高精細化等に対する市場のニーズと相まって年々増加している。解像度や動作速度の向上に伴い、デジタルカメラに搭載される撮像素子に関わる技術においても高速化が急速に進んでいる。即ち、撮像素子を駆動するための駆動信号の高速化や、アナログ信号処理回路及びAD変換器を含む後段の全てのデジタル信号処理回路に関わる駆動周波数の高速化が急速に進んでいる。
また、最近では、デジタルカメラにおいては高画質や高精細といった画質の向上に加えて、様々な撮影シーンで失敗の少ない撮影を可能とする性能(手軽さ)がより一層要求されるようになってきている。これに伴い、動きの速い被写体の撮影(例えばスポーツシーンの撮影)における被写体への追従や、低照明下の撮影(例えば室内撮影)における手ぶれ防止を目的としたシャッタ秒時の高速化が進んでいる。
また、デジタルカメラにおいては、美術館や水族館といったストロボ撮影が禁止されている区域での高感度撮影等を可能とするために、静止画や動画の撮影に関わる高感度化も更に進展している。
上述した撮像装置(デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ)に装備される電源回路としてはDC−DCコンバータが使用され、DC−DCコンバータ内には一般的に積層セラミックコンデンサが実装されている。この種の技術分野に関しては各種技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
上記特許文献2記載の技術では、誘電率の高いセラミックから構成される強誘電体セラミックが有する圧電特性により電歪現象が引き起こされ、電歪現象が回路基板に伝わり共振により音を発生させる問題点が指摘されている。即ち、DC−DCコンバータに実装されるセラミックコンデンサ等の電子部品には、電歪現象が原理的に存在している。
他方、DC−DCコンバータに対するセラミックコンデンサの実装方法を工夫することで電歪現象(圧電現象)に伴う発生音を低減する技術が提案されている(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。しかし、部品単体で発生音を低減する対策は、コスト高となると共に部品を自由に選択できないという問題がある。また、部品の実装方法の工夫による発生音低減対策は、実装上の制限が発生し、回路基板におけるレイアウトの自由度がなくなる等の問題がある。
次に、従来例に係る撮像装置(デジタルカメラ)の具体例と問題点について図11乃至図16を参照しながら説明する。
図11は、従来例に係る撮像装置の撮像部の概略構成を示すブロック図である。
図11において、アナログ信号処理領域2000内のCCD(撮像素子)2001は、被写体像を光電変換し撮像信号を出力する。撮像回路2002は、撮像信号を処理する。A/D変換器2003は、撮像信号をA/D変換する。デジタル信号処理回路2004は、記録媒体に対する撮像信号の記録や液晶モニタに対する画像表示を行う。システム制御部2009は、撮像装置(デジタルカメラ)全体の動作を制御するためのCPUを有する。
発振回路2005は、タイミング発生器506の動作クロックを供給する。発振回路2008は、システム制御部2009の動作クロックを供給する。タイミング発生器2006は、同期信号発生器2007から供給された水平同期信号(HD)及び垂直同期信号(VD)に同期して、CCD2001の駆動パルスをVドライバ(不図示)に供給する。Vドライバは、電圧変換されたパルスをCCD2001に供給する。
また、タイミング発生器2006は、撮像回路2002、A/D変換器2003、デジタル信号処理部2004にそれぞれサンプリングクロック信号を供給し、また、同期信号発生器2007に動作クロック(TGCLK)を供給する。同期信号発生器2007は、タイミング発生器2006からの動作クロックを所定数だけ計数して水平同期信号(HD)及び垂直同期信号(VD)を生成し、タイミング発生器2006に供給する。システム制御部2009は、同期信号発生器2007に水平同期信号(HD)及び垂直同期信号(VD)の発生の有無や周期設定等を行うと共に、デジタル信号処理部2004の動作を制御する。
図12は、撮像部の撮像回路2002の詳細構成を示すブロック図である。
図12において、撮像回路2002は、CDS(相関2重サンプリング)回路2002a、増幅器2002b、クランプ回路2002cから構成される。通常、上記CCD2001の後段には、CCD2001の電荷転送時に生じたリセットノイズ成分を除去するためのCDS回路2002aを設けている。CDS回路2002aは、CCD2001の出力信号のうちフィードスルー部のレベルと撮像信号部との差分を求め、これにより1画素周期の相関ノイズ成分を撮像信号から除去する。
増幅器2002bは、CDS回路2002aを介して出力された撮像信号を、後段のA/D変換器2003の入力レンジに合わせて所定の信号レベルに増幅し、クランプ回路2002cに供給する。クランプ回路2002cは、CCD2001の遮光された画素(OB)期間が所定の黒基準値となるように直流電圧レベルの調整を行う。
図13は、撮像部の主要な信号を示すタイミング図である。
図13において、CCD2001出力の画素毎の動作周波数は、タイミング発生器2006により生成されたCCD駆動信号により決まり、例えば30〜40MHzである。
タイミング発生器2006は、CCDの画素ブロックを構成する水平ラインの電荷転送用(以下水平CCD転送用)の駆動パルスH1、H2やリセットゲート信号RGを出力し、CCD2001から撮像信号を出力させる。ここで、H1、H2は、CCD駆動信号の周波数に等しく、30〜40MHzという高速クロックで駆動される。また、CCD2001の水平転送路は容量負荷が大きいため、H1、H2を出力するタイミング発生器2006の電源には100mA程度の電流負荷が発生する。
CCD2001の場合、1水平ラインの周期を構成する画素クロック数の大まかな内訳は図14に示す通りである。即ち、水平CCD転送用の駆動パルスH1、H2が停止しているブランキング期間と、駆動されている画素読み出しの期間(OB(光学的に遮光された)期間+有効画素期間)である。
タイミング発生器2006の電源には、上記H1、H2が出力されている期間は100mA程度の電流負荷が発生する。H1、H2が停止しているブランキング期間は電流負荷がゼロとなり、1水平ライン周期での大きな負荷変動が発生する。また、水平ブランキング期間には通常、電荷の垂直転送が行われるため、VドライバからCCDの画素ブロックを構成する垂直ライン(以下垂直CCD)に転送パルスが供給される。その間、数十mAの電流負荷が発生する。
上記H1、H2が出力されるとき及び垂直転送パルスが出力されるときに発生する電流負荷の変動が原因で、電源供給回路に接続されるコンデンサやインダクタが振動する。これに伴い、部品が実装されている回路基板にその振動が伝わることで、電流負荷変動の周波数に一致した音が発生する。
撮像装置(デジタルカメラ)で動画記録を行う場合、音声記録も同時に行われるため、部品の振動で発生した音(ノイズ)が録音されるという課題がある。従来の音対策としては負荷変動に対して形状歪みの少ない部品を使用してきたが、形状歪みの少ない部品は高価であるため、安価な部品でも音対策が可能な手法が要望されている。
次に、上述した従来の課題を鑑み、従来の動作条件でコンデンサ等の部品が発音する具体的について説明する。
図15は、撮像装置と電源供給系を示すブロック図である。
図15において、DC−DCコンバータ3003は、電池等の電源3001の電圧を撮像装置3008に適する電圧に変換する。充電電流3006は、電源3001から図示の経路を流れる。インダクタ3002は、電流を蓄積し後段に電力を送出する。スイッチ3004は、DC−DCコンバータ3003により制御される。コンデンサ3005は、電圧変換された電圧を蓄積し平滑する。コンデンサ3005から電流3007が撮像装置3008に供給される。消費電流パターン3007?1は、撮像装置3008の駆動により決定される。
撮像装置3008の消費電流が増加した場合、DC−DCコンバータ3003は、出力電圧を監視し予め定められた電圧を一定に保つように常時制御する。また、撮像装置3008で電流を消費した場合、電圧低下が発生しその電圧低下を補い一定電圧に保つように制御する。撮像装置3008の負荷変動によりコンデンサ3005に印加される電圧が変化する。セラミックコンデンサの場合は膨張収縮を繰り返すため、その物理的な変位が回路基板に伝達される結果、振動した回路基板の振動周波数が可聴周波数(50Hz〜20KHz程度)の場合、音声として聞こえるノイズとなる。
次に、撮像装置における音声記録時の動作について図16に基づいて説明する。
図16は、音声記録時の周波数特性を示す図である。
図16において、縦軸は音圧[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示す。上記コンデンサ3005の電歪現象に伴い、回路基板には主に消費電流パターン3007?1による振動が励起される。4001は、音声を録音する時の周波数を示す音声録音帯域である。4002は、音声をA/D変換する際のナイキスト周波数である。4003は、音声を録音する際のサンプリング周波数である。4004は、消費電流パターンにより回路基板が振動し発生する音声ノイズの周波数である。
消費電流パターン3007?1の負荷が増える周期によりコンデンサ3005の電圧が変化し、電歪現象が撮像装置3008の水平駆動周波数により発生するため、音声ノイズ周波数4004は撮像装置3008の水平駆動周波数となっている。例えば、撮像装置3008の水平駆動周波数を3KHz、サンプリング周波数4004を10KHzとした場合、サンプリングのナイキスト周波数は5KHzとなる。つまり、理論的には5KHzまでの音声周波数を録音可能になる。水平駆動周波数が3KHzであった場合、音声ノイズ周波数も3KHzとなり音声ノイズとして記録されることになる。
上記のようにDC−DCコンバータ内に実装するコンデンサがセラミックコンデンサの場合は、電歪現象が起こりやすいため、タンタルコンデンサや高分子コンデンサ等に変更することで音声ノイズを低減することになる。また、音声ノイズ周波数を可聴帯域から外すべく、撮像装置3008の水平駆動周波数を十分に高い周波数(例えば20KHz以上)にシフトすることが考えられる。しかし、撮像装置の水平駆動周波数は使用デバイスにより予め定められているため、自由に周波数を高くすることはできない。
特開2005−109151号公報
特開平08−115843号公報
特開2003−324030号公報
「村田製作所 記事"鳴かないチップ積層セラミックコンデンサ:GJ4シリーズについて"」
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態では撮像装置の全体構成と撮影基本処理を図1乃至図4に基づき説明した後、本発明の特徴的な動作を図5に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、撮像装置は、システム制御回路50が有する機能(後述)以外は公知の構成であり、各構成要素については適宜説明を省略または簡略化する。レンズ310に入射した光線は、絞り312、シャッタ12を介し光学像として撮像部14に結像される。撮像部14は、CCD型撮像素子を含む。A/D変換器16は、撮像部14の出力信号をアナログデジタル変換する。タイミング発生回路18は、撮像部14、 A/D変換器16、 D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給する。15はアナログ撮像信号領域である。
画像処理回路20は、 A/D変換器16或いはメモリ制御回路22からのデータに画素補間処理や色変換処理を行い、また、撮像した画像データを用いて演算処理を行う。システム制御回路50は、演算結果に基づき露光制御部40、測距制御部42の制御を行う。メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、メモリ30等を制御する。
画像表示メモリ24は、表示用の画像データを記憶する。画像表示部28は、画像を表示する。メモリ30は、静止画像データや音声付き動画像データ(音声が付加された動画)を格納する。また、メモリ30は、システム制御回路50の作業領域としても使用される。圧縮・伸長回路32は、メモリ30の画像データに圧縮/伸長処理を行い、メモリ30に書き込む。
シャッタ制御部40は、測光部46からの測光情報に基づき、絞り制御部340と連携しシャッタ12の開閉を制御する。測距部42は、AF(オートフォーカス)処理を行うものであり、被写体の光学像の合焦状態を測定する。測光部46は、AE(自動露出)処理を行うものであり、被写体の光学像の露出状態を測定する。
システム制御回路50(設定手段、制御手段)は、撮像装置全体の制御を司る。また、システム制御回路50は、制御プログラムに基づき後述の各フローチャートに示す処理を実行すると共に、撮像された映像信号の水平ラインの周期の設定、動画撮影の音声記録時のノイズ低減制御等を行うものであり、以下の機能を有する。
システム制御回路50は、動画撮影時の音声記録を行う際において、フレーム信号を構成するフィールド信号の少なくとも1つの水平ライン周期をフィールド単位で他のフィールド信号の水平ライン周期と異なる設定にする際に、次の制御を行う。1以上の整数Nの水平ライン周期毎に水平駆動周波数を変更し、各々の水平駆動周波数の差が、低域阻止フィルタ特性のカットオフ周波数よりも低く、或いは高域阻止フィルタ特性のカットオフ周波数よりも高くなるよう制御する。
また、システム制御回路50は、動画撮影時の音声記録を行う際において、フレーム信号を構成するフィールド信号の少なくとも1つの水平ライン周期をフィールド単位で他のフィールド信号の水平ライン周期と異なる設定にする際に、次の制御を行う。1以上の整数Nの水平ライン周期毎に変更する水平駆動周波数を、低域阻止フィルタ特性のカットオフ周波数よりも低い周波数、或いは高域阻止フィルタ特性のカットオフ周波数よりも高い周波数に設定する。
また、システム制御回路50は以下の制御を行う。撮像部14を構成するCCD型撮像素子における水平ラインの有効画素期間以外の期間の長さを調整することで水平ライン周期を変更する。水平ラインのブランキング期間の長さを調整することで水平ライン周期を変更する。水平ラインの空転送期間の長さを調整することで水平ライン周期を変更する。上述したシステム制御回路50の機能については各実施の形態の動作説明箇所で詳述する。
メモリ52は、システム制御回路50の動作用の定数、変数、制御プログラム等を記憶する。表示部54は、動作状態やメッセージ等を表示する。不揮発性メモリ56は、データを電気的に消去・記録可能である。モードダイアル60は、静止画撮影モードと動画撮影モードの切り替えに用いる。電源スイッチ72は、撮像装置の電源オン/オフ、レンズユニット、外部ストロボ、記録媒体200、210の電源オン/オフの切り替えに用いる。リアルタイムクロック回路74は、タイマ機能を実現する。
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等から構成され、電池の装着の有無等を検出する。更に、電源制御部80は、検出結果とシステム制御回路50の指示に基づきDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。DC−DCコンバータに実装された電子部品に起因した回路基板の振動に伴う、動画撮影における音声記録時のノイズを低減する制御については後述する。
I/F90、94は、記録媒体とのインタフェースを司る。コネクタ92、96は、記録媒体と接続を行う。検知部98は、コネクタ92、96に対する記録媒体200、210の装着の有無を検知する。アンテナ/アンテナ112は、通信部110により有線/無線通信で外部装置と接続する。記録媒体200、210は、メモリカードやハードディスク等から構成され、それぞれ、記録部202、I/F204、コネクタ206、記録部212、I/F214、コネクタ216を備える。
絞り制御部340は、測光部46からの測光情報に基づき、シャッタ制御部40と連携し絞り312を制御する。測距制御部342は、撮影レンズ310のフォーカシングを制御する。ズーム制御部344は、撮影レンズ310のズーミングを制御する。レンズシステム制御部350は、レンズユニット全体を制御する。
マイク155は、音声の録音に用いる。スピーカ157は、録音された音声もしくは予め格納された音声を再生する。音声A/D・D/A変換部159は、マイク155から入力された音声を撮像装置に適したレベルと形式にA/D変換して送出し、出力された音声データをD/A変換してスピーカ157に送出する。音声A/D・D/A変換部159を含む音声信号処理系(図10)の詳細は後述する。
図2は、撮像装置の撮影基本処理を示すフローチャートである。
図2において、本処理はシステム制御回路50がプログラムに基づき実行する。電源投入に伴い撮像装置各部を初期設定する(ステップS201)。次に、電源スイッチ72の状態を判定し(ステップS202)、電源OFFの場合は、電源制御部80により終了処理を行った後(ステップS203)、ステップS202に戻る。電源スイッチ72が電源ONの場合は、電源86の残容量や動作情況が撮像装置の動作に問題があるか否かを判断する(ステップS204)。
問題がある場合は、警告表示を行った後(ステップS205)、ステップS202に戻る。問題が無い場合は、記録媒体200、210の装着の有無、記録された画像データの管理情報の取得、その動作状態が画像記録再生動作に問題があるか否かを判断する(ステップS206)。問題がある場合は、警告表示を行った後(ステップS205)、ステップS202に戻る。問題が無い場合は、撮像素子14の読み出し画素数を電子ファインダ動画として必要なレートに速める等の制御を行う電子ファインダモードに移行する(ステップS207)。
次に、シャッタスイッチSW1の状態を判断し(ステップS208)、シャッタスイッチSW1が押されていない場合は、ステップS202に戻る。シャッタスイッチSW1が押された場合は、更に、モードダイアルスイッチ60の状態を判断する(ステップS209)。静止画撮影モードの場合は、動画モードフラグをリセットし(ステップS210)、動画撮影モードの場合は、動画モードフラグをセットする(ステップS211)。この後、測距処理、測光処理、WB(ホワイトバランス)検知を行う(ステップS212)。
次に、シャッタスイッチSW2の状態を判断し(ステップS213)、シャッタスイッチSW2が押された場合は、動画モードフラグを確認する(ステップS214)。フラグがリセット状態の場合は、静止画撮影処理を行い(ステップS216)、ステップS202に戻る。フラグがセット状態の場合は、動画撮影処理を行い(ステップS217)、ステップS202に戻る。シャッタスイッチSW2が押されていない場合は、シャッタスイッチSW1が放されるまで(ステップS215)、現在の処理を繰り返す。シャッタスイッチSW1が放されたら、ステップS202に戻る。
図3は、撮像装置の静止画撮影処理を示すフローチャートである。
図3において、本処理はシステム制御回路50がプログラムに基づき実行する。撮影条件を設定し、絞り312を所定の絞り値まで駆動した後(ステップS301)、CCD駆動モードの設定(ステップS302)、電子シャッタの設定を行う(ステップS303)。次に、撮像部14の露光を開始し(ステップS304)、シャッタ12を閉じ(ステップS305)、撮像部14の露光を終了する(ステップS306)。次に、撮像信号の読み出し処理を行い(ステップS307)、メモリ30の所定領域に撮影静止画像データを書き込む(ステップS308)。本処理後、図2の処理に戻る。
図4は、撮像装置の動画撮影処理を示すフローチャートである。
図4において、本処理はシステム制御回路50がプログラムに基づき実行する。撮影条件を設定し、絞り312を所定の絞り値まで駆動した後(ステップS401)、CCD駆動モードの設定(ステップS402)、電子シャッタの設定を行う(ステップS403)。次に、撮像信号の読み出し処理を開始する(ステップS404)。
まず、撮像部14から電荷信号を読み出し、1水平ライン周期を変更する(ステップS405)。1水平ライン周期は任意の長さに変更可能である。更に、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16から直接メモリ制御回路22を介して、メモリ30の所定領域に動画像データを書き込む(ステップS406)。
動画記録(ステップS406)を中止するまではAF処理を継続し、測距(AF)が合焦と判断した場合は、測光部46によりAE(自動露出)処理を行う(ステップS407)。測距・測光が適正と判断した場合は、測距・測光データ及び(或いは)設定パラメータを記憶し、感度値(Dv値)、絞り値(Av値)、シャッタ速度(Tv値)、フォーカスを再設定し(ステップS408)、動画記録を継続する(ステップS406)。シャッタスイッチSW2が再度押されるか或いは動画記録終了の操作が行われた場合(ステップS409)、本処理を終了し、図2の処理に戻る。
次に、上記構成を有する本実施の形態の撮像装置において動画撮影処理中の電流負荷変動の周波数分散を行う制御について図5に基づき説明する。
本実施の形態では、電流負荷変動の周波数分散制御により、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、動画撮影における音声記録時のノイズの低減を可能とし良好な音声録音を可能とする。
上記図1に示した撮像装置の主要部(アナログ撮像信号領域15(撮像部14、A/D変換器16を含む)、タイミング発生回路18、システム制御回路50)は、従来例(図11)に示した機能と同様の機能を有する。即ち、同期信号発生回路2007、発振回路2008と同様の機能は、システム制御回路50に内蔵されている。発振回路2005と同様の機能は、タイミング発生回路18に内蔵されている。
また、従来例(図11)に示したデジタル信号処理部2004と同様の機能は、図1では単一のブロックに内蔵されているものではなく、画像処理部20、メモリ制御部22、画像表示メモリ24等に分割して内蔵されている。
図5は、撮像装置の動画撮影処理の1水平ライン周期変更(図4のステップS405)の詳細を示すタイミング図である。
図5において、CCD型撮像素子の場合、撮像信号(映像信号)の水平ライン周期を構成する画素クロック数は、ブランキング期間と、駆動されている画素読み出し期間とに大別される。ブランキング期間は、タイミング発生回路18から出力される水平CCD転送用の駆動パルス(H1、H2)が停止している期間である。画素読み出し期間は、OB(光学的に遮光された)画素期間+有効画素期間である。
本実施の形態では、図5に示すように1水平ライン毎に水平ラインの周期を変更し、画素読み出し期間に影響を与えずに、水平ブランキング期間の長さを調整する方法を利用している。つまり、基準となる1水平ライン期間の周期を(tHD1=tIMG+tBLK1)とした場合、(tBLK2=tBLK1+Δt)とすることで、画素読み出し期間には影響を与えずに1水平ライン期間の長さを変化させることができる。
具体的な動作としては、上記図4の撮像信号読み出し処理(ステップS404)において、システム制御回路50からタイミング発生回路18に対し、(tBLK2=tBLK1+Δt)に対応する水平ブランキングのアクティブ期間を設定する。タイミング発生回路18は、設定された水平ブランキングのアクティブ期間情報(PBLK)を受けて、水平ブランキング期間の終了部分のタイミング変更に連動する。タイミング発生回路18は、撮像部14内のCCD素子やアナログ信号処理回路及びA/D変換器16に供給している全ての水平系タイミング信号の駆動開始タイミングを相対的に変更する機能を有する。
図5で一例を示すと、OB(光学的に遮光された)画素レベルを撮像信号の黒基準値となるように直流電圧レベルの調整を行うために、OB画素期間を指し示すクランプパルス(CLPOB)もPBLKの伸張に連動してタイミング位置が変更される。
水平ブランキング期間を変更することで1水平ライン期間の長さを変化できるため、1水平ライン期間毎のH1、H2及び垂直転送パルスが出力される周期を変えることができる。これに伴い、タイミング発生回路18の電流負荷の周期が変わる。
つまり、上述したように、タイミング発生回路18からH1、H2が出力されている期間は100mA程度の電流負荷が発生し、H1、H2が出力されていないブランキング期間は電流負荷がゼロとなる。1水平パルスのブランキング期間が変わることで、H1、H2により発生する電流負荷と、垂直転送パルスにより発生する電流負荷の発生周期が変わり、電流負荷変動の周波数分散を実現することができる。
例えば、Δt=(tHD1)/2とすると、tHD2=tIMG+tBLK1+(tHD1)/2=1.5*tHD1となる。これにより、tHD2を1水平ライン期間(tHD1)の1.5倍の長さにすることができ、電流負荷の周期も1.5倍となる。1水平ライン期間毎にΔtを任意の時間に変えることで、電流負荷変動の周波数分散を実現することができる。
尚、本実施の形態では、フィールド信号毎の水平ライン周期の変更に伴い、画素読み出し期間に影響を与えずに水平ブランキング期間の長さを調整する方法を利用した。この方法の場合、水平ブランキング期間の終わりのタイミング変更に連動して、撮像部14内のCCD素子やアナログ信号処理回路及びA/D変換器16に供給している全ての水平系タイミング信号の駆動開始タイミングを変更する必要がある。そのための機能をタイミング発生回路18に持たせたが、タイミング発生回路18がこのような機能を持たない場合も想定される。
関連する全ての水平系タイミング信号に対してタイミング発生回路18がプログラマブルにタイミング変更可能なものであれば、直前の垂直ブランキング中に一斉にタイミング変更することも不可能ではない。この場合は、それだけシステム制御回路50のタスクが重くなる。また、固定タイミングで変更が不可能或いは変更の設定を行ってもすぐには変更の効かないタイミング信号があると、この方法ではフィールド信号毎の水平ライン周期の変更は不可能である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、動画撮影時の音声記録を行う際、フレーム信号を構成するフィールド信号の少なくとも1つの水平ライン周期をフィールド単位で他のフィールド信号の水平ライン周期と異なる設定にする際に、次の制御を行う。1以上の整数Nの水平ライン周期毎に水平駆動周波数を変更する等の制御を行う。
これにより、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品(デカップリングコンデンサ、カップリングインダクタ)の電流の流入/流出の周波数を時間領域において分散することが可能となる。これに伴い、電流/電圧の蓄積放出周波数が時間毎に変化することになるため、単一周波数での駆動電流に比べて周波数方向で電流が分散し、電流負荷変動の周波数分散を実現することができる。
その結果、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、撮像装置の動画撮影における音声記録時のノイズの低減が可能となり、良好な音声録音を行うことが可能となる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので説明を省略する。
本実施の形態では、下記で説明する制御により、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、動画撮影における音声記録時のノイズの低減を可能とし良好な音声録音を可能とする。
本実施の形態は、撮像装置のタイミング発生回路18に対して、フィールド信号毎の水平ライン周期を変更する設定を上記第1の実施の形態とは別の方法で行うものである。
CCD型撮像素子の場合、撮像信号(映像信号)の水平ライン周期を構成する画素クロック数は、ブランキング期間と、駆動されている画素読み出し期間とに大別されることは既に説明した。ただし、ブランキング期間:水平CCD転送用の駆動パルス(H1、H2)が停止している期間。画素読み出し期間:OB画素期間+有効画素期間。
本実施の形態では、ブランキング期間はそのまま変更せずに、画素読み出し期間(OB画素期間+有効画素期間)の末尾に水平CCDの空転送期間を追加することで、水平ラインの周期を変更する。 水平CCDの空転送とは次の状態をいう。受光画素部で露光し蓄積された電荷が水平CCD部に読み出され水平CCD部から転送されて全て読み出された後、更に水平CCD部に対し水平CCD転送用の駆動パルス(H1、H2)を送り続けた場合の蓄積電荷がない空読み状態のことである。
図6は、本実施の形態に係る撮像装置のフィールド信号毎の水平CCD空転送期間の長さ調整による水平ライン周期の変更を示すタイミング図である。
図6において、1水平ラインの有効画素期間の最後に余分に空転送期間を設け、1水平ラインの空転送期間の画素クロック数を(Δtx)とする。次の1水平ラインの空転送期間の画素クロック数を、上記1水平ラインの空転送期間の画素クロック数Δtxにnクロック分だけ足して(Δtx+n)と変更する。
具体的な動作としては、上記図4に示した撮像信号読み出し処理(ステップS404)において以下の2つの設定を行う。即ち、システム制御回路50からタイミング発生回路18に対して、水平同期信号HDに対応する水平CCD転送用の駆動パルス(H1、H2)を次のHD入力まで持続させる設定を行う。また、次の水平同期信号HD入力で、撮像部14内のCCD素子やアナログ信号処理回路及びA/D変換器16に供給している全ての水平系タイミング信号の駆動開始タイミングをリセットする設定を行う。
これにより、上記第1の実施の形態で示したようなOB画素期間を指し示すクランプパルス(CLPOB)のタイミングなども、フィールド毎のタイミングを変更することが不要となる。
また、上記フィールド信号毎の水平CCD空転送期間の長さ調整は、水平CCDの有効画素期間が終了した後の部分での期間調整であり、有効画素期間の途中での電荷転送中止ではない。従って、水平CCDの転送残留電荷によって次のフィールド信号を読み出す時に悪影響が生じる心配もない。また、撮像装置の表示部に表示対象とする本来の画像に対しても何ら影響を与えることがない。
本実施の形態は、1水平ライン期間を変更することに関しては上記第1の実施の形態と同じであるが、タイミング発生回路18の電流負荷の発生期間は上記第1の実施の形態と異なる。ただし、垂直転送パルスにより発生する電流負荷の発生期間は上記第1の実施の形態と同じである。
つまり、1水平ラインの空転送期間の画素クロック数を(Δtx)或いは(Δtx+n)とすることで、水平CCD転送用の駆動パルス(H1、H2)の負荷電流の発生する期間が長くなる。ブランキング期間の長さは同じであるが、H1、H2の負荷電流の発生する期間が変わるため、1水平ライン期間毎の周期が変わり、電流負荷周期を分散することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、撮像装置の動画撮影における音声記録時のノイズの低減が可能となり、良好な音声録音を行うことが可能となる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので説明を省略する。
本実施の形態では、下記で説明する制御により、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、動画撮影における音声記録時のノイズの低減を可能とし良好な音声録音を可能とする。
図7は、本実施の形態に係る撮像装置の静止画記録処理と音声付き動画記録処理を示すフローチャートである。
図7において、撮像装置で音声を記録しながら画像を記録するのは一般的に動画撮影の場合であり、静止画撮影の場合は説明済みであるため動画撮影について説明する。操作者による撮像装置の電源投入に伴い(ステップS701)、システム制御回路50は、撮像装置の初期化及び各部への電源供給を含む撮影準備に移行する(ステップS702)。システム制御回路50は、撮影準備ができた状態でCCDの水平駆動周波数の初期値の設定等を行う(ステップS703)。電源投入のタイミングでは通常操作者からの撮影指示がないため、撮影画像の確認モードとなっている。
一般的に撮像装置のレリーズスイッチ、シャッタスイッチSW1、シャッタスイッチSW2等の操作をトリガとして撮影が開始される。そのため、電源投入の後、予め定められた撮影確認のための画像を電子ビューファインダ等の表示部に表示するため上記撮影準備を行う。この後、CCDを含む撮像装置の初期化を行う。これにより、操作者が認識できるように撮影準備が行われたことになる。
操作者による撮影モードの選択に伴い、システム制御回路50は、撮影モードが静止画記録であるか動画記録であるかを判断する(ステップS704)。撮影モードが静止画撮影による静止画記録の場合はステップS301以降の処理を行い、撮影モードが動画撮影による動画記録の場合はステップS705以降の処理を行う。尚、撮影準備のための被写体を撮像装置の表示部に表示しながら動画撮影を行う際も、上記動画撮影と同様の処理を行うことになる。
撮影モードが動画記録の場合、システム制御回路50は、撮影条件を設定する(ステップS705)。具体的には撮影条件として撮影画像サイズや記録対象動画のフレームレート等を設定する。システム制御回路50は、設定した撮影条件に基づいて撮像装置の駆動方法を決定し、上記初期値に設定したCCDの水平駆動周波数を予め定められた水平駆動周波数に変更する。
例えば、1水平駆動周波数毎に、1つ目の水平区間の時間をtとし、2つ目の水平区間の時間を2tとし、3つ目の水平区間の時間をtとした場合の周期の繰り返しを設定する。尚、本実施の形態では、各水平区間の時間をt、2t、t・・・と設定しているが、各水平区間の時間設定は任意に変更可能である。各水平区間の時間設定に合致するように以下の設定を行う。
まず、システム制御回路50は、タイミング発生回路18により撮像部14に対して第1フィールド信号を読み出すための設定を行う(ステップS707)。次に、システム制御回路50は、内蔵した同期信号発生部からタイミング発生回路18に供給する水平及び垂直同期信号の周期を設定すると共に供給を開始する(ステップS708)。
システム制御回路50は、タイミング発生回路18により、上記水平及び垂直同期信号に同期して撮像部14から第1フィールド信号の読み出しを開始し実行する(ステップS709)。システム制御回路50は、撮像部14から読み出された動画データと、マイク155から入力され音声A/D・D/A変換部159によりアナログデジタル変換(A/D変換)された音声データとをメモリ30に記録する。上記一連の処理を終了すると図2の処理に戻る。
上記のように、音声付き動画撮影及び記録を行う際に1水平駆動周波数毎に周波数を変化させて撮像装置を駆動することで、音声ノイズ周波数を分散させることができる。音声ノイズ周波数を分散し低減する様子を下記の図8に示す。
上記従来例(図15)で説明したように、撮像装置の電源回路であるDC−DCコンバータに実装されたコンデンサの電歪現象に起因した主に消費電流パターンによる振動が、撮像装置に搭載された回路基板に励起される。
図8は、本実施の形態に係る撮像装置の音声記録時(音声録音時)の周波数特性を示す図である。
図8において、縦軸は音圧[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示す。1501は、音声を録音する時の周波数を示す音声録音帯域である。1502は、音声をアナログデジタル変換(A/D変換)する際のナイキスト周波数である。1503は、音声を録音する際の音声サンプリング周波数である。1504は、消費電流パターンにより回路基板が振動し発生する音声ノイズの周波数である。902は、上記第2の実施の形態の手法で水平駆動周波数をシフトさせた撮像装置の水平駆動周波数である。
消費電流パターンの負荷が増える周期によりコンデンサの電圧が変化し、電歪現象が撮像装置の水平駆動周波数により発生するため、音声ノイズ周波数1504は撮像装置の水平駆動周波数となっている。例えば、音声サンプリング周波数1503が10KHzに設定され、音声ノイズ周波数1504が発生している場合、1水平ライン周期毎に水平駆動周波数を変更した場合、音声の周波数スペクトルが全体の時間で重み付けされた場合を想定する。音声ノイズ周波数1504は、音声ノイズ周波数(水平駆動周波数)902と、抑制された音声ノイズ周波数903とに分散されるため、全体のエネルギは半分に抑制される。
元の音声に対するノイズの全てのノイズエネルギはそのままであるが、音声ノイズ周波数は分散されることになり、人間に対する聞こえ方としてノイズを低減することができる。シフトされた音声ノイズ周波数902も同様に時間的に重み付けされたエネルギは半分になり、周波数のピークを低減することができる。これにより、動画撮影の音声記録時において特にピークがノイズとして顕著に録音されることで生じる音声ノイズを低減することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、撮像装置の動画撮影における音声記録時のノイズの低減が可能となり、良好な音声録音を行うことが可能となる。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので説明を省略する。
本実施の形態では、下記で説明する制御により、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、動画撮影における音声記録時のノイズの低減を可能とし良好な音声録音を可能とする。
図9は、本実施の形態に係る撮像装置の音声記録時(音声録音時)の周波数特性を示す図であり、(a)は、減衰特性を加味する前の周波数特性、(b)は、減衰特性を加味した後の周波数特性である。
図9において、縦軸は音圧[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示す。1501は、音声を録音する時の周波数を示す音声録音帯域である。1502は、音声をアナログデジタル変換(A/D変換)する際のナイキスト周波数である。1503は、音声を録音する際のサンプリング周波数である。1504は、消費電流パターンにより回路基板が振動し発生する音声ノイズの周波数である。
消費電流パターンの負荷が増える周期によりコンデンサの電圧が変化し、電歪現象が撮像装置の水平駆動周波数により発生するため、音声ノイズ周波数1504は撮像装置の水平駆動周波数となっている。1601は、音声ノイズ周波数902にフィルタ減衰特性を重畳した音声ノイズ周波数である。1603は、A/D変換する前に掛けられるフィルタ周波数特性である。1604は、音声ノイズ周波数902でのフィルタ特性による減衰量である。
即ち、図9(a)では、音声ノイズ周波数(水平駆動周波数)902と、音声ノイズ周波数1504とに分散されている様子を示している。図9(b)では、抑制された音声ノイズ周波数903と、音声ノイズ周波数902にフィルタ減衰特性を重畳した音声ノイズ周波数1601とに分散されている様子を示している。
図10は、撮像装置の音声信号処理系の構成を示すブロック図である。
図10において、マイクアンプ1701は、マイク155から入力された音声信号を後段に適したレベルにする。フィルタ1703は、マイクアンプ1701から送出された音声信号に帯域制限を施し、後段のA/D変換に適した特性に変換する。音声A/D・D/A変換部159のA/D変換部1705は、音声信号をアナログデジタル変換(A/D変換)し、システム制御回路50が処理しやすい形式に変換する。
音声A/D・D/A変換部159のD/A変換部1711は、システム制御回路50から送出される音声信号をデジタルアナログ(D/A変換)する。フィルタ1709は、D/A変換された音声信号にフィルタ特性を施す。出力アンプ1707は、スピーカ157から音声信号を発音するために適したレベルに変換する。
マイク155から入力された音声信号は、マイクアンプ1701、フィルタ1703、A/D変換部1705を介してシステム制御回路50に入力される。音声ノイズ周波数1504(図9)を持つ信号が発生している場合、システム制御回路50の制御により周波数を周期毎に分散する。即ち、音声ノイズ周波数1504を低減分散させ、音声ノイズ周波数903と音声ノイズ周波数902のレベルに分散させる。この際に、フィルタ1703が、システム制御回路50により予め決定された周波数特性を基に、音声ノイズ周波数902を周波数領域においてレベル変換する。
システム制御回路50は、上記周波数特性とA/D変換部1705のサンプリング周波数を決定する。サンプリング周波数は、操作者が撮像装置の操作部から変更可能であり、予め定め得られた周波数を選択する。選択された周波数と同時に音声記録時の状態によってもフィルタ1703の周波数特性を変更可能である。一般的には風きりフィルタと呼ばれる低域阻止フィルタなどが頻繁に用いられる。
例えば、システム制御回路50によりフィルタ1703が低域阻止フィルタの構成に設定されている場合で、フィルタ周波数特性1603の場合を想定する。シフトされた音声ノイズ周波数902は、フィルタ特性による減衰量1604により、音声ノイズ周波数1601のように抑圧される。このように、予め定められたフィルタ特性のカットオフ周波数の減衰領域に撮像装置の水平駆動周波数を変化させて音声ノイズ周波数を移動させることで、分散させた音声ノイズを更に抑圧することが可能となる。
尚、上記フィルタ1703をA/D変換部1705の後段にデジタルフィルタとして配置する構成としてもよい。また、フィルタ1703を低域阻止フィルタとして構成したが、高域阻止フィルタ或いは帯域通過フィルタとして構成してもよい。この場合は、周波数を減衰する特性の周波数領域に周波数分散してノイズ低減を図ってもよい。勿論、周波数の減衰特性には、信号全体にゲインを持っている場合は相対的な減衰という意味も含まれる。
撮像装置の負荷変動に伴う電源回路の電子部品(コンデンサ)に起因した振動が回路基板に伝達され発生する音声ノイズを、本実施の形態の上記制御により効果的に減衰させることが可能となる。また、音声ノイズ低減を、コストをかけることなく安価に実現することが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、撮像装置の電源ラインに接続されている電子部品のいわゆる鳴き現象を目立たなくし、撮像装置の動画撮影における音声記録時のノイズの低減が可能となり、良好な音声録音を行うことが可能となる。
[他の実施の形態]
上記各実施の形態では、撮像装置の種類については言及しなかったが、本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのいずれにも適用することが可能である。