JP2009013628A - 表面に軟質材を備えた浴室成形品及びその製造方法 - Google Patents

表面に軟質材を備えた浴室成形品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、表面部材となる基布の片面または両面にゴムをトッピングした多層構造シートと、基部の材料となるSMCまたはBMCとをプレス一体成形することにより、表面部材と基部の接着性、成形品表面の耐久性、生産性、滑りにくさ、衝撃吸収性、防音性に優れ、成形時の軟質材の流動や成形後の成形品反りを抑えることができる、より安全で快適な浴室成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、表面部材と基部とを備え、前記表面部材が、基布と、この基布の表裏の一方の面に表面部材接着層とを有する多層構造シートであり、前記表面部材接着層が、前記基布にトッピングされたゴムであり、前記基部がSMCを使用したFRPであり、前記トッピングされたゴムを前記表面部材と前記基部との接着層として、前記表面部材と前記基部とをプレス一体成形した浴室成形品である。
【選択図】図1

Description

本発明は、基部の表面に軟質な表面部材を設けた浴室成形品及びその製造方法であり、より具体的には、基部にシートモールドコンパウンド(以下、「SMC」と言う。)やバルクモールディングコンパウンド(以下、「BMC」と言う。)を用い、表面部材に軟質材のゴムを用いた浴室成形品及びその製造方法に関する。
浴室内に設置される浴室床、防水パン、浴室壁、浴槽、浴槽エプロン、浴室天井等は通常、樹脂(FRP)製、ステンレス製、またはホーロー製等であり、表面の平滑性、重厚感を向上させるため、これを硬質化する傾向があった。なお、FRPとは繊維と樹脂を用いて補強することによって、強度を向上したプラスチックである。
また、浴室内での安全性をより高めるために、発泡ポリウレタン製の軟質材を既設の浴槽上に被覆し、使用後の交換が可能な軟質なセーフティバスが提案されている(特許文献1参照)。
また、熱可塑性エラストマー層と発泡層を有する軟質材を予め真空成形により成形し、これを成形型にセットしてFRPのバックアップ層を積層させて一体化する軟質浴槽(特許文献2参照)や、表面樹脂層をアクリル変性ビニルエステル樹脂などの軟質樹脂で形成し、基材樹脂層をアクリル変性ビニルエステル樹脂などの軟質樹脂に充填剤を添加した材料で形成する人工大理石(特許文献3参照)が提案されている。
特開平7−236587号公報 特開平10−80958号公報 特開2000−62098号公報
しかしながら、特許文献1の方法であると、軟質で強度の弱い発泡ポリウレタンで形成されているため、耐久性に欠け、交換時にさらにコストが発生するといった問題があった。さらに、軟質材には、汚れ、ぬめり等が付着し、不潔であるといった問題点もあった。
また、特許文献2、特許文献3の方法であると、従来のSMC成形等に比べて多工程が必要で時間を要する。また転倒の原因となる滑りを防止することが困難であった。
また、成形品表面に軟質BMCのような軟質材を設け、その表面に施した微細凹凸により、転倒時の衝撃と滑りを抑えた浴室成形品が提案されているが、成形時の軟質材の流動や成形後の成形品反りを調整することが難しかった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、表面部材となる基布の片面または両面に軟質材のゴムをトッピングした多層構造シートと、基部の材料となるSMCまたはBMCをプレス一体成形することにより、表面部材と基部の接着性、成形品表面の耐久性、生産性、滑りにくさ、衝撃吸収性、防音性に優れ、軟質材の清潔性を維持し、しかも、成形時の軟質材の流動や成形後の成形品反りを抑えることができる、より安全で快適な浴室成形品、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、次のものに関する。
(1) 表面部材と基部とを備え、前記表面部材が、基布と、この基布の表裏の一方の面に表面部材接着層とを有する多層構造シートであり、前記表面部材接着層が、前記基布にトッピングされたゴムであり、前記基部がSMCまたはBMCを使用したFRPであり、前記トッピングされたゴムを前記表面部材と前記基部との接着層として、前記表面部材と前記基部とをプレス一体成形した浴室成形品。
(2) (1)において、基布の表裏の他方の面に表面部材表層を有し、前記表面部材表層が前記基布にトッピングされたゴムである浴室成形品。
(3) (2)において、製品面から表面部材表層、基布、表面部材接着層、基部の順に構成され、前記表面部材表層がクロロスルホン化ポリエチレンゴム、前記基布がポリエステル基布、前記表面部材接着層がクロロプレンゴム、前記基部がFRPである浴室成形品。
(4) (2)又は(3)において、表面部材の表面部材表層及び表面部材接着層が予め加硫させたゴムシートであり、プレス一体成形で金型形状を表面部材表層に転写する浴室成形品。
(5) (2)〜(4)の何れかにおいて、表面部材と基部との接着層である表面部材接着層がクロロプレンゴムであり、前記クロロプレンゴムの基部との接着面側にバフ掛けを施した浴室成形品。
(6) (1)〜(5)の何れかにおいて、浴室成形品が、浴室床、防水パン、浴室壁、浴槽、浴槽エプロン、浴室天井の何れかである浴室成形品。
(7) 製品面から表面部材、基部を形成するSMCの順に金型内に投入し、プレス一体成形してなる(1)〜(6)の何れかの浴室成形品の成形方法。
本発明によれば、表面部材となる基布の片面または両面に軟質材のゴムをトッピングした多層構造シートと、基部の材料となるSMCまたはBMCとをプレス一体成形することにより、表面部材と基部の接着性、成形品表面の耐久性、生産性、滑りにくさ、衝撃吸収性、防音性に優れ、軟質材の清潔性を維持し、しかも、成形時の軟質材の流動や成形後の成形品反りを抑えることができる、より安全で快適な浴室成形品、及び、その製造方法を提供することができる。
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
本発明における表面に軟質部材を備えた浴室用部材の断面構成は図1、及び、図2に示すように、表面部材4と基部5からなり、表面部材4が基布2の両面または片面にゴムをトッピングした多層構造シート4、基部5がSMCまたはBMCを使用したFRPで、上記の表面部材4と基部5とをプレス一体成形した浴室成形品である。
基部5の材料には安価で生産性に優れるSMCを使用することが好ましいが、BMCの使用も可能である。また、基部5の厚みは1〜20mmとすることが好ましい。厚みが1mm未満になると徐々に成形品の強度が乏しくなり、20mmを超えると徐々に成形品重量が増し、成形性も乏しくなるためである。
基部5の材料に用いるSMCとは、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量体、低収縮剤、硬化剤、重合禁止剤、充填剤、増粘剤を配合してなる不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させた繊維強化成形材料であって、シート状に形成されたものである。また、BMCとは樹脂に各種の添加剤、繊維補強材が加えられた塊粘土状の成形用材料である。
熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂が多く用いられるが、ビニルエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を用いることができる。
重合性単量体は、例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フェニルマレイミド等が挙げられる。
低収縮剤は、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ブタジエンゴムなどの熱可塑性樹脂が用いられる。使用量は、成形品の成形収縮率や表面平滑性、表面光沢等の表面特性を考慮して決定され、特に制限はない。低収縮剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して20〜50質量%の範囲で使用されることが好ましい。
硬化剤は、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等が挙げられる。硬化剤の量は、材料の保存性、成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対し0.5〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
重合禁止剤は、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、ハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合禁止剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して0.8質量%以下で使用されることが好ましい。
充填剤は,炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等が使用できる。その含有量は,増粘性及び成形した場合の表面特性,機械特性等を考慮して決定されるが不飽和ポリエステル樹脂組成物中の含有量が10質量%以上60質量%以下になるように加えられる。
増粘剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等が用いられるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられる。増粘剤の量は、成形材の作業性に応じて決定されるが、前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して、0.5〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜2.0質量%である。
繊維補強材は、ガラス繊維や有機繊維が使用できる。ガラス繊維は,連続繊維,織布等の形態で用いられるが,ロービング状のものを5〜30mmに切断したものを用いることが好ましい。
前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらに適宜、離型剤、安定剤、着色剤等を配合することもできる。
SMCは、通常のSMC製造装置を用いて通常の方法により製造することができる。例えば、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を、上下に配置されたキャリアフィルムに均一な厚さとなるように塗布し、巻き出し装置から巻き出された所定の大きさの繊維補強材を上記した上下に配置されたキャリアフィルム上の不飽和ポリエステル樹脂組成物で挾み込み、次いで、全体を含浸ロールの間に通して、圧力を加えて繊維補強材を不飽和ポリエステル樹脂組成物に含浸させた後、ロール状に巻き取るかつづら折りに畳む。また、繊維補強材として単繊維を用いる場合、キャリアフィルムに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、ついで、単繊維をその上に散布する方法もある。この後、必要に応じて熟成等を行う。増粘剤を配合した場合には室温〜60℃の温度に加熱して熟成することが好ましい。
SMCの粘度は、40℃において15,000〜150,000Pa・sとなるように調整されるのが好ましく,60,000〜120,000Pa・sとなるように調整されるのが特に好ましい。
上記のようにして作製したSMCを基部5として用いると、運搬時等に衝撃を受けた時にクラックが発生しにくくなり、浴室部材として優れた強度、特性を持たせることができる。
表面部材4に用いる多層構造シート4は、使用目的や用途に合わせ、種々のゴムを基布2となる繊維の上下、または、基布2となる繊維の上のみにトッピング加工することで形成できる。製品面となる表面部材4の表面部材表層1には、耐久性、耐候性、耐油性、耐摩耗性に優れたクロロスルホン化ポリエチレンゴムを始め、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、EPDM、ポリウレタン、ポリアミド等、種々の軟質材を使用できる。また、FRPとの接着面となる表面部材4の表面部材接着層3には、接着が容易で強固であり、接着加工が必要な用途に適しているクロロプレンゴムを使用することが好ましいが、クロロスルホン化ポリエチレンゴムを始め、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、EPDM、ポリウレタン、ポリアミド等、種々の軟質材を使用できる。なお、トッピング加工とは、2本の等速ロール間に、分出しシートと布、あるいは布状の各種材質の樹脂などを同時に通し圧着しながら貼り付けることによって、その布の片面や両面に薄いゴム層のある複合体を作る加工である。
表面部材4に用いる軟質材は、成形時の軟質材の流動や成形後の成形品の反りを抑えるため、加硫状態のゴム材を用いることが好ましいが、金型形状の転写性や基部5との密着性、成形時の流動性などに応じて加硫状態を調整でき、未加硫または半加硫状態のゴム材であってもよい。ここで半加硫状態とは、ゴム材を完全に加硫するのではなく、架橋反応が完了する前に加硫を一旦中止した状態をいう。半加硫状態は、キュラストメータ(型式:JSR−3型、JSR製)で測定したトルク値が、完全な加硫状態を100%とした場合に、その70〜90%となった状態が望ましい。70%未満では成形時に軟質材の流動が大きくなり、90%を超えると転写性や密着性が完全な加硫状態と同等まで低下する。塩ビシート、熱可塑性エラストマー、発泡材料等の軟質材料も使用できる。また、表面部材4の硬さは、特に指定するものではないがデュロメーター硬さ試験タイプDで測定した際の硬度が、80以下であることが好ましい。これは、衝撃吸収性の付与と成形後の反り抑制のためである。
表面部材4の表面部材表層1および表面部材接着層3には、表面部材表層1の保護や表面部材接着層3の基部5との接着向上を目的に表面処理を施すことができる。表面部材表層1には、例えば塗装やフィルムの貼り付けのほか、各種トップコート剤等の表面処理剤で表層に処理を施すことができる。表面部材接着層3には、例えばバフ掛け処理、塗装、フィルムの貼り付けのほか、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、アクリル変成シリコーン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、合成ゴム系ラテックス形接着剤、イソシアネート系接着剤、エマルジョン形接着剤、ホットメルト形接着剤、シランカップリング剤等のような各種接着剤を塗布したり、脱脂処理、サンディング処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理等の処理を施すことができる。また、表面処理時には必要に応じて充填材、発泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤の添加や着色加工ができる。また、防カビ・抗菌剤を含有でき、市販の工業用抗菌剤を使用できる。通常、工業用抗菌剤は無機系抗菌剤と有機系抗菌剤に大別されるが、本発明の表面部材4には何れの抗菌剤も用いることができる。
表面部材4に用いる基布2は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、天然繊維、金属繊維、セラミックス繊維等、種々の繊維を使用でき、必要に応じて接着処理等の処理を施すことができる。また、繊維の形態は平織り、朱子織り、不織布、マット等何れの形態であってもよい。
表面部材4には、必要に応じて充填材、発泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を添加できる。また、防カビ・抗菌剤を含有でき、市販の工業用抗菌剤を使用できる。通常、工業用抗菌剤は無機系抗菌剤と有機系抗菌剤に大別されるが、本発明の表面部材4には何れの抗菌剤も用いることができる。
表面部材4は、着色加工ができ、表面部材4を構成する材料に顔料、或いはトナーとした液状またはペースト状の顔料を加えて着色する。また、シート状の表面部材4上にグラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷を施すこともできる。
表面部材4の厚みは10〜5000μmとする。これは、厚みが10μm未満になると、軟質感と衝撃吸収性の効果が低下し、5000μmを超えると、成形品の強度バランスが乏しくなるためである。また、表面部材4と基部4の厚さの比は、必要とされる軟質感、衝撃吸収性、強度などにより決定される。
本発明の表面に軟質材を備えた浴室用部材は、図3、及び、図4に示すように、表面部材4とSMC8をプレス(加熱加圧)一体成形する方法で製造でき、金型内での熱と圧力により表面部材4とSMC8の接着、表面部材4の表面部材表層1へ形状付与を行い、図1、及び、図2に示す成形品を得る。
表面部材4をSMC8と加熱加圧一体成形する場合は、圧縮成形、トランスファー成形等により成形され、予め昇温しておいた金型の製品面側から、表面部材4、SMC8の順に材料をセットし、加熱加圧する。また、成形温度は70〜180℃、成形圧力は0.05〜10MPaであることが好ましい。
表面部材4の表面部材表層1の表面形状は、所望の形状を形成した金型を使用し、表面部材4とSMC8のプレス一体成形時に形成する。また、予め表面部材4にプレス成形や加圧ローラーなどを用いて形状を形成することもできる。また、表面形状は、用途に応じて決定され、細く深い溝形状、微細凹凸形状、フラット形状、ランダム形状などを形成できる。例えば細く深い溝形状や微細凹凸形状の場合、浴室部材が濡れている場合にも表面部材4の表面部材表層1に形成された深い溝の導水作用や微細凹凸によるグリップ効果で滑り転倒を防止することができる。
表面形状の細く深い溝とは、幅が200〜5000μm、深さが200〜5000μm、断面が略U字形またはV字形である溝である。また、微細凹凸とは、表面粗さ形状測定機で評価長さ20mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値0.08mm、フィルタ種別ガウシン、カットオフ比300に設定し、任意に選んだ3箇所以上を測定したときに、算術平均粗さRaの平均値が0.5μm以上であるように施されたものであり、より好ましくは0.7μm以上である。
(SMCの作製)
以下に示す実施例、比較例においては、次のようにSMCを作製した。
スチレンに溶解された不飽和ポリエステル樹脂(商品名:PS−9415、日立化成工業株式会社製)85質量部(スチレン60質量部%)及びスチレンに溶解したポリスチレン15質量部(スチレン60質量部%)の混合物100質量部に対して、硬化剤1.0質量部、重合禁止剤のパラベンゾキノン0.77質量部、離型剤のステアリン酸亜鉛2.5質量部、及び増粘剤の酸化マグネシウム2.0質量部、充填剤として炭酸カルシウムを150質量部配合して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。このように配合して得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を、ガラス繊維に含浸させ、SMCを作製した。
(実施例1)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側と表面部材接着層3側の両方にクロロスルホン化ポリエチレンゴムをトッピングし完全に加硫させた多層構造シート4と、SMC8とを、図3のように、金型上に投入し、加熱加圧成形により、図1の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。なお、成形条件は、SMC投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は鏡面の型を使用した。
(実施例2)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴム、表面部材接着層3側にクロロプレンゴムをトッピングし完全に加硫させた多層構造シート4と、SMC8とを、図3のように、下金型7上に投入し、加熱加圧成形により、図1の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。なお、成形条件は、SMC8投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は鏡面の型を使用した。
(実施例3)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴム、表面部材接着層3側にクロロプレンゴムをトッピングし半加硫状態とさせた多層構造シート4と、SMC8とを、図3のように、下金型7上に投入し、加熱加圧成形により、図1の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。ここでの半加硫状態は、キュラストメータ(型式:JSR−3型、JSR製)で測定したトルク値が、完全な加硫状態を100%とした場合に、その80%となった状態とした。なお、成形条件は、SMC投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は鏡面の型を使用した。
(実施例4)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴム、表面部材接着層3側にクロロプレンゴムをトッピングし完全に加硫させた後、SMC8との接着面となるクロロプレンゴム表面をバフ掛けした多層構造シート4と、SMC8とを、図3のように、下金型7上に投入し、加熱加圧成形により、図1の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。バフ掛けは、#100の研磨紙を用いて行った。なお、成形条件は、SMC8投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は鏡面の型を使用した。
(実施例5)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴム、表面部材接着層3側にクロロプレンゴムをトッピングし完全に加硫させた後、SMC8との接着面となるクロロプレンゴム表面をバフ掛けした多層構造シート4と、SMC8とを、図3のように、下金型7上に投入し、加熱加圧成形により、図1の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。バフ掛けは、#100の研磨紙を用いて行った。なお、成形条件は、SMC8投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は幅0.8mm×深さ0.7mmの細く深い溝を菱形状に表面に施した型を使用した。
(実施例6)
ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴムをトッピングし完全に加硫させた多層構造シート4と、SMC8とを、図4のように、下金型7上に投入し、加熱加圧成形により、図2の構成の200mm角の成形品を得た。多層構造シート4は、ハイパロン(デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー登録商標)ゴム引布(商品名:T−10、アキレス株式会社製)を使用した。なお、成形条件は、SMC8投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は幅0.8mm×深さ0.7mmの細く深い溝を菱形状に表面に施した型を使用した。
(比較例1)
SMC8を下金型7上に投入し、加熱加圧成形により200mm角の成形品を得た。なお、成形条件は、SMC8投入重量300g、チャージ面積0.05m(15cm角)、成形圧力3MPa、保圧時間10分で成形し、上金型6は幅0.8mm×深さ0.7mmの細く深い溝を菱形状に表面に施した型を使用した。
(試験方法)
(1)一体成形時の軟質材の流動性評価
表面部材4と基部5をプレス一体成形した際の表面部材4として用いた軟質材の流動性の評価は、一体成形で軟質材が成形時の圧力の影響で流動せず形状を維持した場合を○、やや流動した場合を△、流動し形状を維持できない場合を×として評価した。
(2)表面部材と基部の接着性評価
表面部材4と基部5の接着性の評価は、一体成形品の表面部材4の引っ張り試験を行った際の強度が30N以上である場合を○、10N以上30N未満である場合を△、10N以下の場合を×として評価した。
(3)衝撃吸収性の評価
得られた成形品上に500mmの高さから卓球ボールを落下させ、跳ね返り高さを計測し、衝撃吸収性を比較評価した。
(4)防音性の評価
得られた成形品上で風呂イスの引きずりを行った際、SMC成形品の騒音値65dBよりも値が10dB以上小さい場合を○、10dB未満または同等の場合を△、同等以下の場合を×とした。
(5)滑りにくさの評価方法
得られた成形品に5%濃度の石鹸水をかけ、質量90gの錘を載せ、成形品を少しずつ傾け、錘が滑り落ち始める角度を読み取った。
(6)生産性の評価
得られた成形品の生産性を、軟質部材を有しないSMC成形品の製造工程と比較した。
その結果、表1に示すように、本発明の基部5を配し、その表面に軟質な表面部材4を設けた成形品は、従来のSMC成形品に比べて衝撃吸収性があり、転倒した場合であっても衝撃を抑えることができる。また、軟質部材の表面に微細凹凸などの形状を付与することにより、成形品を傾けた際の成形品上の錘が滑り始める角度が大きく、滑りくいものであった。ポリエステル基布2の表面部材表層1側にクロロスルホン化ポリエチレンゴム、表面部材接着層3側にクロロプレンゴムをトッピングし完全に加硫させた後、SMC8との接着面となるクロロプレンゴム表面をバフ掛けした多層構造シート4を使用した場合は、一体成形時の軟質材流動の抑制、接着性、生産性に優れ、良好な結果が得られた。
Figure 2009013628

本発明の実施例1〜5の浴室成形品の断面構成図である。上金型は鏡面のものと細く深い溝を表面に施したものの何れかを使用するが、本図では後者で代表させた。 本発明の実施例6の浴室成形品の断面構成図である。 本発明の実施例1〜5の浴室成形品の浴室成形品の製造方法を示す図である。上金型は鏡面のものと細く深い溝を表面に施したものの何れかを使用するが、本図では後者で代表させた。 本発明の実施例6の浴室成形品の浴室成形品の製造方法を示す図である。
符号の説明
1 表面部材表層(ゴム)
2 基布
3 表面部材接着層(ゴム)
4 表面部材(多層構造シート)
5 基部(FRP)
6 上金型
7 下金型
8 SMC

Claims (7)

  1. 表面部材と基部とを備え、
    前記表面部材が、基布と、この基布の表裏の一方の面に表面部材接着層とを有する多層構造シートであり、
    前記表面部材接着層が、前記基布にトッピングされたゴムであり、
    前記基部がSMCまたはBMCを使用したFRPであり、
    前記トッピングされたゴムを前記表面部材と前記基部との接着層として、
    前記表面部材と前記基部とをプレス一体成形した浴室成形品。
  2. 請求項1において、
    基布の表裏の他方の面に表面部材表層を有し、
    前記表面部材表層が前記基布にトッピングされたゴムである浴室成形品。
  3. 請求項2において、
    製品面から表面部材表層、基布、表面部材接着層、基部の順に構成され、
    前記表面部材表層がクロロスルホン化ポリエチレンゴム、
    前記基布がポリエステル基布、
    前記表面部材接着層がクロロプレンゴム、
    前記基部がFRPである浴室成形品。
  4. 請求項2又は3において、
    表面部材の表面部材表層及び表面部材接着層が予め加硫させたゴムシートであり、
    プレス一体成形で金型形状を表面部材表層に転写する浴室成形品。
  5. 請求項2〜4の何れかにおいて、
    表面部材と基部との接着層である表面部材接着層がクロロプレンゴムであり、
    前記クロロプレンゴムの基部との接着面側にバフ掛けを施した浴室成形品。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、
    浴室成形品が、浴室床、防水パン、浴室壁、浴槽、浴槽エプロン、浴室天井の何れかである浴室成形品。
  7. 製品面から表面部材、基部を形成するSMCまたはBMCの順に金型内に投入し、
    プレス一体成形してなる請求項1〜6の何れかの浴室成形品の成形方法。
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