JP2009013398A - ボンド磁石用熱硬化性バインダー樹脂組成物 - Google Patents

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卓央 杉岡
Teruhisa Fujibayashi
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Abstract

【課題】耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性に優れ、大きな剪断力がかかったり、高温高圧等の環境下で成型しても、磁性特性等の物性の低下が低いボンド磁石を形成できる熱硬化性バインダー樹脂組成物、及び、このような熱硬化性バインダー樹脂組成物を含むボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂を含む有機樹脂成分を必須とし、ボンド磁石を形成する磁性粉末のバインダーとして用いられる熱硬化性バインダー樹脂組成物であって、該熱硬化性バインダー樹脂組成物は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有する熱硬化性バインダー樹脂組成物、及び、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金を必須とする磁性粉末とを含んでなるボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボンド磁石用熱硬化性バインダー樹脂組成物に関する。より詳しくは、自動車、電化製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品・部品を構成する材料であるボンド磁石のバインダーとして用いられる熱硬化性バインダー樹脂組成物、及び、ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物に関する。
ボンド磁石とは、一般に、フェライト、アルニコ、希土類等の磁性を示す物質を含み、当該物質のマトリックスとなるバインダーを含む樹脂組成物を成形した磁石をいう。このようなボンド磁石は、主に焼結法にて製造される従来の磁石に比べて、成形が容易であり、複雑な形状にも高い精度で対応して成形できることから、種々の用途への利用、普及が急速に広まっている。例えば、自動車、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品・部品において使用されている。
ボンド磁石は、通常では、磁性物質とバインダー樹脂との混合物を硬化・成形して得られ、射出成形、押出成形等の加熱成形工程を経て製造される。その際、例えば射出成形においては200℃〜300℃の高温に曝される。また、近年では電気自動車用モーターなど200℃以上での高温作動が求められつつある。このため、磁石表面では酸化がおこり、酸化物により被覆され、また、このような熱履歴のため、磁性物質の保磁力が低下するという技術的な課題があった。
従来のボンド磁石用樹脂組成物に関し、成形過程で高温に曝さないようにする目的で、低温硬化が可能な樹脂組成物が提案され、(A)エポキシ化合物中のエポキシ基の50%以上100%未満を不飽和一塩基酸により部分的にビニルエステル化した重合性化合物からなるバインダー樹脂、(B)熱重合開始剤、および(C)希土類系合金粉末を含んでなる希土類系ボンド磁石用組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉からなる磁石粉末(A)の表面上に、平均膜厚が5〜10nmのリン酸塩被膜(B1)と、平均膜厚が5〜100nmのリン酸塩被膜(B2)とを形成した高耐候性磁石粉末であって、リン酸塩被膜(B1)の鉄/希土類元素比が5以上8未満、かつリン酸塩被膜(B2)の鉄/希土類元素比が8以上であることを特徴とする高耐候性磁石粉末(例えば、特許文献2参照。)、希土類元素を含む遷移金属系磁石合金粉からなる磁石粉末(A)の表面上に、平均膜厚が1〜10nmの銅被膜(B1)と、平均膜厚が5〜100nmの無機リン酸塩被膜(B2)とを順次形成することを特徴とする高耐熱性磁石粉末(例えば、特許文献3参照。)等が開示され、磁石粉末の表面にリン酸被覆を形成し、成形過程におけるボンド磁石表面の酸化による磁気特性の劣化を抑えることが試みられている。しかしながら、従来のボンド磁石における耐熱性等の課題を充分に解決するには、更に性能を向上する必要があり、また、現在ボンド磁石が用いられている用途だけでなく、開発が強く要望されている分野等においても好適に用いることができるものとなるようにするための工夫の余地があった。
特開2001−206926号公報(第1、2頁) 特開2003−217915号公報(第2頁) 特表2003−217916号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性に優れ、大きな剪断力がかかったり、高温高圧等の環境下で成型しても、磁性特性等の物性の低下が充分に抑えられ、優れた特性を発揮するボンド磁石を形成できる熱硬化性バインダー樹脂組成物、及び、このような熱硬化性バインダー樹脂組成物を含むボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、ボンド磁石に用いられる樹脂組成物について種々検討したところ、熱硬化性樹脂が一般的に耐熱性に優れ、ボンド磁石用バインダーとして好適に用いることができることに着目し、熱硬化性樹脂と金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンとを含む熱硬化性バインダー樹脂組成物とすると、耐熱性、耐候性、成形性、耐圧性、機械的・化学的安定性等において更に優れた特性を発揮することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、この熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金を必須とする磁性粉末とを含むボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物は、大きな剪断力がかかったり、高温高圧等の環境下で成型しても、磁性特性等の物性の低下が低いボンド磁石を形成できることを見いだした。そして、従来のボンド磁石においては、強磁性を有する磁性粉末(強磁性粉末)、特に希土類系磁石粉末を樹脂バインダーと混練してボンド磁石を製造する場合、射出成形、押出成形等の加熱成形工程において、粉末の磁気特性が劣化し、保磁力が低下するという問題があったが、本願発明によれば、成形過程における熱履歴による磁気特性の劣化を充分に抑制し、優れた磁気特性等を発揮するボンド磁石を形成することができる熱硬化性樹脂組成物を得ることができることを見いだした。更に、このようなボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物は、電化製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器、自動車用電子機器をはじめとする種々の製品等に好適に適用し得るボンド磁石を得られるものであることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、熱硬化性樹脂を含む有機樹脂成分を必須とし、ボンド磁石を形成する磁性粉末のバインダーとして用いられる熱硬化性バインダー樹脂組成物であって、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有する熱硬化性バインダー樹脂組成物である。
本発明はまた、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金を必須とする磁性粉末とを含んでなるボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明は、ボンド磁石を形成する磁性粉末のバインダーとして用いられる熱硬化性バインダー樹脂組成物である。本発明の熱硬化性バインダー樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む有機樹脂成分を必須とし、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有するものであり、熱硬化性バインダー樹脂組成物は、耐熱性に優れ、ボンド磁石を形成する磁性粉末のバインダーとして用いると、磁性粉末の磁気特性が低下することなく、優れた保磁力を有するボンド磁石を得ることができる。従来のバインダーでは、強磁性粉末(具体的には、希土類系磁石粉末)を樹脂バインダーと混練して、射出成形、押出成形等の加熱成形工程を経ると、磁性粉末の磁気特性が低下し、保磁力が低下していたが、これらの特性を損ねることなく、ボンド磁石を製造することができる。
上記熱硬化性バインダー樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂を含む有機樹脂成分を必須とするものである。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、マレイミド化合物が好適であり、これらの化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。このように、上記有機樹脂成分は、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含むものである有機樹脂成分(有機樹脂成分(1)とも言う。)、上記有機樹脂成分は、多価フェノール化合物を含むものである有機樹脂成分(有機樹脂成分(2)とも言う。)、上記有機樹脂成分は、マレイミド化合物を含むものである有機樹脂成分(有機樹脂成分(3)とも言う。)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
また有機樹脂としては、上述の他に、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビニルエーテル樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリアニリン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適である。
以下、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物、多価フェノール化合物、マレイミド化合物、及び、これらを含む有機樹脂成分について説明する。なお、上記エポキシ基は、オキシラン環を持つ有機基であり、グリシジル基等のオキシラン環を有する有機基の中にはエポキシ基が含まれている。そのため、エポキシ基を有する化合物の中には、グリシジル基を有する化合物が含まれているものとする。また、エポキシ基を少なくとも一つ有する化合物が、グリシジル基を少なくとも一つ有する化合物であることも好ましい形態の一つである。また、複数のエポキシ基を有していてもよく、グリシジル基の他に、グリシジル基が有するエポキシ基とは別のエポキシ基が共存していてもよい。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物(グリシジル基を少なくとも一つ有する化合物を含む。)としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール・クレゾール・キシレノール・ナフトール・レゾルシン・カテコール・ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のフェノール類とホルムアルデヒド・アセトアルテヒド・プロピオンアルデヒド・ベンズアルデヒド・ヒドロキシベンズアルデヒド・サリチルアルデヒド・ジシクロペンタジエン・テルペン・クマリン・パラキシリレングリコールジメチルエーテル・ジクロロパラキシリレン・ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・テトラエチレングリコール・PEG600・プロピレングリコール・ジプロピレングリコール・トリプロピレングリコール・テトラプロピレングリコール・ポリプロピレングリコール・PPG・グリセロール・ジグリセロール・テトラグリセロール・ポリグリセロール・トリメチロールプロパン及びその多量体・ペンタエリスリトール及びその多量体・グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸・ヘキサヒドロフタル酸・安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記有機樹脂成分(1)におけるエポキシ当量としては、下限値が100g/molであることが好ましい。より好ましくは、120g/molであり、更に好ましくは、150g/molである。上限値としては、450g/molであることが好ましい。より好ましくは、420g/molであり、更に好ましくは、400g/molである。
上記有機樹脂成分(1)の粘度としては、25℃又は60℃において、下限値が1200mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、1500mPa・sであり、更に好ましくは、1800mPa・sである。上限値としては、4200mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、4000mPa・sであり、更に好ましくは、3800mPa・sである。
上記有機樹脂成分(1)の熱軟化温度としては、下限値が45℃であることが好ましい。より好ましくは、70℃である。上限値としては、200℃であることが好ましい。より好ましくは、150℃である。
また融点としては、下限値が80℃であることが好ましい。より好ましくは、100℃である。上限値としては、300℃であることが好ましい。より好ましくは、250℃である。
上記有機樹脂成分(1)には、上述の構成要素以外に添加剤を含有していてもよく、例えば、安定剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、溶剤や反応性希釈剤等の希釈剤、可とう化剤、各種ゴム状物、光感光剤、充填材、難燃剤、顔料等を挙げることができる。
上記有機樹脂成分(1)は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。
上記硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。
上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。また硬化時間としては、1〜15時間が好ましい。より好ましくは、5〜10時間である。
上述のようにして得られる硬化物としては、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等を挙げることができ、このような本発明の有機樹脂成分(1)を用いてなる硬化物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記多価フェノール化合物について、説明する。上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等において難燃性が充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
本発明において使用できる多価フェノール化合物としてはまた、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格を形成する化合物(以下、芳香族骨格を形成する化合物ともいう)と、炭素数が2以上の有機骨格を形成する化合物(以下、有機骨格を形成する化合物ともいう)とを必須成分とする反応原料によって製造されるものであることが好適である。
上記反応原料とは、芳香族骨格を形成する化合物と、有機骨格を形成する化合物とを必須成分とし、必要により用いられる他の化合物を含み、また、反応を行うために必要により用いられる溶剤等を含む混合物を意味する。なお、芳香族骨格を形成する化合物、及び、有機骨格を形成する化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、芳香族環に1個又は2個以上のフェノール性水酸基が結合する化合物であればよく、1個又は2個以上の水酸基以外の置換基が結合していてもよい。上記芳香族骨格を形成する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−ヒドロキシエチルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等が好適である。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が好適であり、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格を形成する化合物も好適である。
上記有機骨格を形成する化合物としては、(1)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基及びα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物、(2)不飽和結合を有する化合物、(3)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物、(4)これら特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物、(5)アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基及びジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物等が好適である。
上記(1)の芳香族系化合物としては、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−ジアセトキシメチルベンゼン、m−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールジメチルエーテル、m−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイロプロピルベンゼン、4,4´−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4´−メトキシメチルビフェニル、4,4´−アセトキシメチルビフェニル、3,3´−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3´−メトキシメチルビフェニル、3,3´−アセトキシメチルビフェニル、4,4´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4´−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4´−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3´−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適である。
上記(2)の不飽和結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン類等が好適である。上記(3)のカルボニル基を有する化合物としては、炭素数5〜15の各種アルデヒド類又はケトン類が好適であり、ベンズアルデヒド、オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、スベルアルデヒド等が好ましい。
上記(4)の特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物において、カルボニル基と不飽和結合とを有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。また、α−ヒドロキシアルキル基又はα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
上記(5)のアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、及び、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン、尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素、エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、m−キシリレンジアミン、m−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、4,4´−オキシジアニリン、4,4´−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4´−メチレンジアニリン、4,4´−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等が好適である。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン骨格を有する化合物等が好ましい。
上記反応原料としては、芳香族骨格を形成する化合物(以下、原料Aともいう)と、上記(1)〜(5)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料Bともいう)とを必須成分とすることが好ましい。より好ましくは、原料Aと、上記(1)〜(4)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B1ともいう)と、上記(5)の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B2ともいう)とを必須成分とすることである。この場合の反応原料の反応順序としては、反応開始前に原料A、原料B1及び原料B2をあらかじめ混合させておき、原料Aと原料B1との反応が完結する前に原料B2を反応させることが好ましく、例えば、原料Aと原料B1と原料B2とを同時に反応させるか、又は、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることが好ましい。これにより、難燃性をより確実に向上させることができ、また、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適に適用することができるものとなる。より好ましくは、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることである。
上記多価フェノール化合物を製造するときに用いる原料Aと原料Bとの配合モル比(原料A/原料B)としては、1/1以上が好ましく、また、10/1以下が好ましい。1/1よりも原料Aが少ないと、本発明の有機樹脂成分の製造の際にゲル化するおそれがあり、10/1よりも原料Aが多いと、有機樹脂成分の難燃性が発現しにくくなるおそれがある。より好ましくは、有機樹脂成分が高温度で高強度を発揮することが可能となることから、1.3/1以上であり、また、8/1以下である。更に好ましくは、1.8/1以上であり、また、5/1以下である。
上記多価フェノール化合物は、上記反応原料を触媒の存在下で反応させてなるものであることが好ましい。多価フェノール化合物の製造に用いることができる触媒としては、上記反応原料を反応させることができるものであればよい。上記触媒において原料B1を反応させる場合、酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の無機酸や有機スルホン酸の他、三フッ化ホウ素又はその錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸等の超強酸、活性白土、合成ゼオライト、スルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒等が好適である。上記原料B1を反応させる場合の触媒の使用量としては、それぞれの酸強度によって適宜設定されるが、原料B1に対して、0.001〜100質量%が好ましい。これらの範囲で均一系となるような触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が好ましく、これらの使用量としては0.001〜5質量%が好ましい。不均一系のイオン交換樹脂や活性白土等の使用量としては、1〜100質量%が好ましい。
上記触媒において原料B2を反応させる場合には、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が好適であり、酸触媒としては、塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、酢酸亜鉛等の2価金属塩等の塩基性触媒が好適である。また、本発明の有機樹脂成分は、ボンド磁石用のエポキシ樹脂硬化剤として使用されることなり、金属等の無機物が触媒残査として残ることは好ましくないことから、塩基性触媒としてはアミン類、酸性の触媒としては有機酸を使用するのが好ましい。
また、原料B2の反応後に必要に応じて、中和、水洗して塩類等の不純物を除去することが好ましい。なお、触媒としてアミン類を使用した場合には中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
上記多価フェノール化合物は、原料Aにおける芳香環と、原料Bにおける置換基とが縮合して得られることになるが、この際に多価フェノール化合物と共にカルボン酸やアルコール、水等が副生することになる。このように副生するカルボン酸やアルコール、水は、反応中や反応後に減圧下で留去したり、溶媒との共沸等の操作を行ったりすることにより煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことが可能である。なお、反応生成物とは、上記のように反応させることにより得られるものすべてを含む混合物を意味し、多価フェノール化合物や副生するカルボン酸やアルコール、水の他に、必要に応じて用いられる触媒や後述する溶媒等を含むことになる。
上記多価フェノール化合物の製造での反応条件において、反応温度としては、副生するカルボン酸や、アルコール、水等が揮発して留去される温度とすることが好ましく、100〜240℃とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃であり、更に好ましくは、130〜160℃である。このように、多価フェノール化合物の製造では、カルボン酸等が副生することになるが、反応生成物から容易に取り除くことが可能である。また、使用する原料、触媒の種類や量、反応温度等に依存するが、反応時間としては、原料Aと原料Bとの反応が実質的に完結するまで、すなわちカルボン酸やアルコール、水が生じなくなるまでとすることが好ましく、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。
上記多価フェノール化合物の製造における反応方法としては、溶媒の存在下で反応を行ってもよく、溶媒としては、原料Aと原料Bとの反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等を用いることができる。溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化することができる。また、原料B1を反応させる場合には無溶媒で反応を行うことが好ましい。
上記多価フェノール化合物の製造において、反応生成物からカルボン酸、アルコール、水等の副生物や溶媒を取り除く場合、0.1〜10kPaの減圧下、上記温度で蒸留することにより留去させることが好適である。このとき、未反応のフェノール類も留去されることもあるため、反応が実質的に完結した後に行うことが好ましい。
上記有機樹脂成分(2)としては、熱軟化温度が、45℃以上であることが好ましく、また、200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、70℃以上であり、また、150℃以下である。また、上記多価フェノール化合物としては、水酸基価が、100g/mol以上であることが好ましく、また、280g/mol以下であることが好ましい。より好ましくは、120g/mol以上であり、また、240g/mol以下である。
本発明の多価フェノール化合物を、後述する硬化性有機樹脂成分(2)の調製に用いる際、溶液、ワニス、又は、ペーストのような形態で用いる方が好ましい場合がある。この場合、シラン化合物と多価フェノールとを共に分散させ、かつ良好な流動性を保持させることが必要となる。これらの利用形態において有機樹脂成分(2)としては、溶剤、可塑剤、滑剤として、エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を含有してなることが好ましい。
上記エーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
上記エステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
上記窒素原子を含有してなる化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物の使用量としては、有機樹脂成分100重量部に対して5重量部以上が好ましく、また1000重量部以下が好ましい。より好ましくは10重量部以上であり、300重量部以下である。
本発明の有機樹脂成分(2)は、グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物やその他の添加剤等と混合され、用いることができる。また、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物は、上記多価フェノール化合物、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサン(以下、「無機成分」又は「特定成分」とも言う。)、並びに、グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物を必須とする組成物であることも本発明の好ましい形態の一つである。上述した多価フェノール化合物と上記特定成分を含有してなる組成物を、グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物に混合する方法以外に、上記多価フェノール化合物と上記シラン化合物とを、同時にグリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物と混合することにより、又は、上記シラン化合物がグリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物に分散されたものを、上記多価フェノール化合物と混合することによっても得ることができる。このように、本発明の有機樹脂成分(2)と、グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物とを必須成分とする硬化性有機樹脂成分もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド類、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン、ビス(クロロメチル)ビフェニル類、ビス(メトキシメチル)ビフェニル類等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。これらの中でも、ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は耐熱性をより優れたものとすることができる点から好ましいものである。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記有機樹脂成分(2)とエポキシ樹脂との配合質量比(有機樹脂成分(2)/エポキシ樹脂)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。
上記混合物としては、その他の添加剤等を含有していてもよく、その他の添加剤としては、硬化促進剤、充填剤、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等が好適である。
上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
また、上記したように有機樹脂成分(2)を、溶液、ワニス、ペースト等の流動性のある状態でエポキシ樹脂と配合し、インキや塗料、ワニスのような形態で硬化性有機樹脂成分を得ることもできる。この場合、インキや塗料、ワニス等として用いた後に、エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を、減圧下及び/又は加熱時での乾燥によって除去して有機樹脂成分(2)からなる矩形品を作製してもよい。インクや塗料等の乾燥条件としては、用いたエーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物の蒸気圧や沸点などにより適宜調整してもよい。更にワニスを含浸させて用いる場合、被含浸体としては繊維状の補強材が用いられる場合がある。
上記マレイミド化合物について、説明する。マレイミド化合物としては1分子中に2個以上マレイミド基を有する化合物ならば全て使用可能である。モノマレイミド化合物は毒性が強く、本発明に使用するには好ましくない。
上記マレイミド化合物としては、ビスマレイミド、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N−メチル−p,p’−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−p,p’−ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−メチレンビス(3−クロロ−p−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、N−フェニルマレイミドとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアルデヒドなどのアルデヒド化合物との共縮合物が好適である。中でも、耐熱性(重量変化率)を向上させる観点からは、N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N−メチル−p,p’−フェニレンビスマレイミドが好ましい化合物ということができる。また、下記一般式:
Figure 2009013398
(式中、R´は、
Figure 2009013398
又は、
Figure 2009013398
よりなる2価の基を表す。Qは、2つの芳香環に直結する基であり、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、6フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基及びオキシド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。)で表されるビスマレイミド化合物が好適である。具体的には、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、下記一般式:
Figure 2009013398
(式中、Qは、置換基があってもよい芳香環からなる2価の基を表す。nは、繰り返し数を表し、平均で0〜10の数である。)で表される化合物等が好適である。上記Qとしては、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の基の2価の基(フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチリデン基等)が好ましい。
上記マレイミド化合物は一般にポリアミン、芳香族アミン化合物などの公知公用の架橋剤を添加して用いられるが、中でもマレイミドの不飽和結合の電子密度e値に差がある不飽和化合物を添加することで電荷移動錯体を形成させ、架橋構造を構築して耐熱性をより高めるので好ましい。
上記マレイミド化合物と電荷移動錯体を形成する化合物としては、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、スチレン、α−メチルスチレン、trans−スチルベン、ビニルフェロセン、4−ビニルピリジン、2−イソプロペニルナフタレン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、インドール、ベンゾフラン、フラン、ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2−ピラン、4H−クロメンに代表される環状ビニルエーテル、酢酸フルフリルに代表されるフラン誘導体、n−オクタデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルに代表されるアルキルビニルエーテル、ケテンアセタール、酢酸イソプロペニル、1−アミノ−1−メトキシエチレンに代表されるケトン、エステル、ラクトン、アルデヒド、アミド、ラクタム等のカルボニル化合物のエノールエーテル、エノールエステル、アリルアセテート、ビニルアセテート、1,2−ジメトキシエチレン、p−ジオキセン、2−クロロエチルビニルエーテル、2−フュニルビニルアルキルエーテル、2−フェニルアルケニルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルアルケニルエーテル、エチルビニルスルフィド、スチリルアルケニルチオエーテル、p−オキサジエン、シクロペンチン、シクロヘキセン、ジビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、ジメチルジビニルシラン等が好適である。
上記有機樹脂成分(3)としては、マレイミドを有する化合物を有するものである。有機樹脂成分(3)は、有機樹脂としてマレイミド化合物を必須とするものであれば特に限定されないが、他の有機樹脂の特徴を有しながら耐熱性をさらに改善できる点で、他の有機樹脂成分を併用する形態が好ましい。併用する有機樹脂としては、上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、上記多価フェノール化合物が好ましい。これらの好ましい有機樹脂と併用する場合、上述した硬化剤等の添加剤を同様に使用することができる。
上記有機樹脂におけるマレイミド化合物の含有量は有機樹脂100質量%に対して、2〜100質量%が好ましい。より好ましくは、5〜100質量%である。
上記有機樹脂成分としては、上述した熱硬化性樹脂を含む限り特に限定されないが、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、ポリイミド、結晶性ポリエステル、PEEK等の熱可塑性樹脂、シリコーン、ポリブタジエンなどの靱性付与成分が好適である。熱硬化性樹脂とその他の樹脂との割合としては、有機樹脂100質量%中、50〜95質量%であることが好適である。より好ましくは、55〜90質量%であり、更に好ましくは、60〜85質量%である。
本発明の熱硬化性バインダー樹脂組成物は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有するものである。このような金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有することで、熱硬化性バインダー樹脂組成物の耐熱性を優れたものとすることができる。例えば、熱硬化性バインダー樹脂組成物をボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物に用いた場合には、希土類系合金を必須とする磁性粉末を含有させた組成物(ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物)の耐熱劣化特性を改善することができる。希土類系合金を必須とする磁性粉末は、希土類合金からなる不溶性の粉末である。無機成分を配合することで、希土類合金等の合金を必須とする合金磁性粉末の耐熱劣化特性が改善される作用効果は、樹脂組成物中において、無機成分が磁性粒子の表面に被着することに基づくと考えられる。すなわち、本発明の熱硬化性バインダー樹脂組成物に含まれる無機成分が、磁性粒子の表面に被着することにより、ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物の耐熱劣化特性が改善され、高温環境下に長時間さらされても磁気特性の劣化が少なく、種々の用途に好適に用いることができるボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物とすることができる。なお、耐熱劣化特性とは、高温環境下にさらされることにより、磁性粉末が表面層から酸化されることによる磁気特性が劣化する特性を言う。このような耐熱劣化特性は、高温環境下における樹脂組成物の重量増加により評価することができる。また、このような酸化によるボンド磁石の機械特性の劣化を引き起こすこともあり、好ましくない。
上記無機成分としては、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンをいずれも好適に用いることができ、耐熱劣化特性が重要視される用途においては、磁性粉末の表面に被着する効果が高いものを用いることが好ましい。このような用途においては、無機成分を構成する金属元素の種類、金属酸化物原子の表面組成、ポリメタロキサンにおける分子構造等によってその効果の大きさは影響されるため、一該には言えないものの、ポリメタロキサン形態の方が優れた上記被着効果が得られる点で好ましい。
上述の効果に加えて、無機成分を含むことで離型効果を発揮することができる。具体的には、有機樹脂成分として例えば熱硬化性樹脂(特に、エポキシ材料)を含む場合、有機樹脂成分が接着効果を有することとなり、このような熱硬化性バインダー樹脂組成物は硬化させた場合に金型に接着するおそれがある。無機成分を適量加えることにより、離型効果がみられ、金型から容易に剥がれることとなり、ボンド磁石の製造において好適なものとすることができる。
上記無機成分としては、熱硬化性バインダー樹脂組成物に含まれていればよくその含有量は特に限定されないが、熱硬化性バインダー樹脂成分の総固形分量に対して、3〜80質量%(重量%)であることが好ましい。無機成分の割合が3質量%未満であると、上述した耐熱性等の無機成分の添加効果が充分には発揮されないおそれがあり、80質量%を超えると、無機成分と樹脂成分を均一に混合できずに性能が充分に発現しないおそれがある。無機成分の含有量としてより好ましくは、5〜70質量%であり、更に好ましくは、10〜60質量%である。すなわち、下限値が5%、特に10%が好ましく、上限は、70%、特に60%が好ましい。なお、熱硬化性バインダー樹脂成分の総固形分量とは、有機樹脂成分と金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンとの合計質量を示す。
上記無機成分(金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサン)を得る方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、種々の方法で得ることができる。例えば、気相合成法、液相合成法、固相合成法等が好適である。中でも、液相合成法で得ることが好ましい。なお、気相合成法、固相合成法は、通常用いられている方法を好適に用いることができる。また、液相合成法の詳細は後述する。
上記無機成分を熱硬化性バインダー樹脂組成物へ配合する方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、種々の方法で配合することができる。例えば、外部添加法、内部析出法等が好適である。中でも、内部析出法により配合することが好ましい。より好ましくは、無機成分を金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンが、有機樹脂成分の存在下で、金属アルコキシド化合物及び/又は金属カルボン酸塩化合物を加水分解、縮合してなるものである内部析出法が好ましい。このような内部析出法を用いることにより、気相合成法等とは異なる構造の無機成分とすることができ、樹脂成分との親和性を向上して、添加効果を大きくすることができる。すなわち、上記金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンは、有機樹脂成分の存在下で、金属アルコキシド化合物及び/又は金属カルボン酸塩化合物を加水分解、縮合してなるものである熱硬化性バインダー樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、外部添加法、内部析出法については、後述する。
上記無機成分は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを意味するものである。このような金属酸化物粒子とは、以下のものを意味又は包含するものである。金属Mを金属成分として、金属−酸素結合(M−O)の繰り返しからなるメタロキサン骨格を有する粒子を意味する。すなわち、金属(M)を金属成分とし、メタロキサン(M−O)結合を主たる結合成分とする化合物を意味する。また、単一の金属成分からなる単一酸化物、複数の金属成分からなる複合酸化物、これらの金属酸化物に金属元素M、酸素とは異なる異種の金属元素が固溶してなる固溶体酸化物が例示される。また、定比組成からなる金属酸化物、不定比組成:例えば、ZnO(1−δ)、TiO(2−δ)、Ni(1−δ)O等の金属元素又は酸素元素が定比組成に対して過剰又は欠損した、不定比組成の金属酸化物も好ましく採用し得る。金属酸化物の形態としては、結晶質、非品質いずれも包含する。結晶質であるか非晶質であるかや、結晶性が高いか低いかは、通常、X線回折測定により評価することができる。また、水和した金属酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。また、金属酸化物粒子の製造過程での原料由来の残基、原子、原子団が、表面又は内部の金属原子又は酸素原子の一部に結合したものも含まれていてもよい。例えば、有機基、水酸基、硝酸根、硫酸根、ハロゲン原子、水素原子、アルカリ金属原子(イオン)等である。上記有機基としては、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;エタノイル基(アセトキシ基)、プロパノイル基等のカルボキシル基;β−ジカルボニル基;β−ケトエステル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基等が好ましく例示される。
上記金属酸化物粒子としては、微粒子の樹脂との親和性向上、分散性向上等の目的で、表面処理された粒子も包含される。表面処理剤としては、特に限定されず、微粒子表面に有機鎖、高分子鎖の導入又は表面電荷制御の目的で、各種の有機化合物、無機化合物、有機金属化合物等が用いられる。例えば、
1)カップリング剤;シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤;金属アルコキシド類及びこれらの(部分)加水分解・縮合物;金属石鹸;等の有機金属化合物。
2)有機アミン、βジケトン化合物、カルボン酸等の有機化合物。
3)従来公知の高分子系分散剤の他に、(メタ)アクリル樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル樹脂系、アクリルシリコーン系等のビニル系モノマーの(共)重合体系ポリマー;アルキド樹脂系ポリマー;アミノ樹脂系ポリマー;エポキシ樹脂系ポリマー;ポリアミド樹脂系ポリマー;ポリイミド樹脂系ポリマー;ポリウレタン樹脂系ポリマー;ポリエステル樹脂系ポリマー;フェノール樹脂系ポリマー;オルガノポリシロキサン系ポリマー;ポリアルキレングリコール系ポリマー;フッ素樹脂系等の高分子化合物及びこれらの変性物。
4)(カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系等の)各種界面活性剤。
5)アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン。
等が好適である。
上記金属元素(M)としては、任意であるが、例えば、金属元素(M)としては、特に限定はないが、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属元素;La、Ce等のランタノイド系金属元素;Ac等のアクチノイド系金属元素;Sc、Y等のIIIa族金属元素;Ti、Zr、Hf等のIVa族金属元素;V、Nb、Ta等のVa族金属元素;Cr、Mo、W等のVIa族金属元素;Mn、Tc、Re等のVIIa族金属元素;Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等のVIII族金属元素;Cu、Ag、Au等のIb族金属元素;Zn、Cd、Hg等のIIb族金属元素;Al、Ga、In、Tl等のIIIb族金属元素;Si、Ge、Sn、Pb等のIVb族金属元素;Sb、Bi等のVb族金属元素;Se、Te等のVIb族金属元素等が好適であり、これらが1種または2種以上併存していてもよい。これらの中でも、その酸化物が非磁性又は常磁性であり、可視光に対する吸収がなく、着色がない点で、金属元素(M)が、IIIa族、IVa族、IIIb族及びIVb族、P、Zn、La、Sbであることが好ましい。より好ましくは、Ti、Zr、Al、In、Si、B、P、La、Zn、Sn、Sbである。また、後述する希土類系合金粉末の構成成分であるSm、Nd、Pr、Y、La、Ce、Gd等の希土類金属元素又はFeを金属元素とする金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンは、上述した磁性粒子表面への被着による耐熱劣化特性に優れる点から好ましい。
上記ボンド磁石に好適に用いることができる熱硬化性バインダー樹脂組成物(ボンド磁石用バインダー樹脂組成物)としては磁気的に不活性であり、光学的に無色であることが好ましく、更に透明であることが好ましい。
上記微粒子の形状としては、特に限定されない。形状の具体例としては、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状などが例示される。
上記金属酸化物粒子としては、後述する液相合成法で得られた金属酸化物微粒子が好ましい。例えば、後述するアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物からなる金属酸化物粒子は、気相合成法により得られる金属酸化物粒子とは異なる微細構造を有している。例えば、金属酸化物粒子がSi、Al、P、Fe、Ag、Sn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Sb、La等の金属元素又は非金属元素を含有してなる場合、核磁気共鳴(NMR)測定により確認することができる。一例として、Siを含有する場合について述べると、1個のSi原子の周りを4個の酸素原子が配位したSiO原子団が構成する正四面体が基本構造となっており、SiO原子団同士が酸素原子を共有化するか否かで異なる微細構造をとる。シリカをハロゲン化珪素の加熱分解や加熱還元化した珪素の空気酸化により製造した場合、すべてのSiO原子団は酸素原子を共有化するため、Si−NMR測定を行うと、−120〜−100ppmにピークトップを持つQシリカ成分のみが観測される。これに対して上記アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物の場合、酸素原子を共有しないSiO原子団が出現し、Qシリカ成分とともに−100ppm〜−90ppmにピークトップを持つQシリカ成分も確認される。このようなNMR測定は、金属酸化物粒子がアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であるかどうかを確認するための有力な手法となり得る。更に金属酸化物粒子により期待される各種性能がどの程度付与されうるかを調べることも可能である。
上記熱硬化性バインダー樹脂組成物を得るための金属酸化物粒子の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。
上記金属酸化物粒子の外部添加法、具体的には、金属酸化物粒子の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記金属酸化物粒子の形態としては、粒子が液状の媒体に分散した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適である。
溶媒分散体としては、上記金属酸化物粒子、好ましくは、表面改質された金属酸化物粒子を含み、溶媒をさらに含む。この場合の溶媒としては、上述の溶媒を挙げることができる。溶媒分散体における金属酸化物粒子等の無機系微粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族および芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
可塑剤分散体としては、可塑剤に分散させるものであり、上記金属酸化物粒子、好ましくは表面改質された金属酸化物粒子を含み、可塑剤をさらに含有する。なお、可塑剤としては、通常用いられるものを好適に使用することができる。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径としては、小さいことが好ましく、例えば、1nm〜400nmが好適である。金属酸化物粒子の平均粒子径としては、400nm以下であれば、好適に用いることができるが、100nm以下であることが好ましい。金属酸化物粒子の平均粒子径が100nm以下であることにより、熱硬化性バインダー樹脂組成物の透明性を充分に優れたものとすることができ、また、得られた樹脂組成物における微粒子の配合効果が極めて大きくなるという利点がある。このように、上記金属酸化物粒子は、平均粒子径が100nm以下である熱硬化性バインダー樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記平均粒子径の範囲としてより好ましくは、1〜100nmであり、更に好ましくは、1〜20nmである。なお、上記平均粒径は、樹脂組成物を調製するための上記金属酸化物粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の一次粒子径を表すものであり、微粒子の一次粒径は、例えば、小角X線散乱法による慣性半径を測定する方法、電子顕微鏡より任意の粒子に関して粒子径を測定する方法、比表面積測定により測定される比表面積径Ds(nm);
Ds=6000/(ρ×S)
(但し、ρ:金属酸化物粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物粒子の比表面積(m2/g))、又は、結晶質の場合にはX線回折測定による結晶子径の測定により求めることができる。
上記金属酸化物粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の分散粒径は、一次粒径又はそれに近い大きさに分布していることが好ましく、具体的には、平均粒子径が、400nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また分散粒子径は、動的光散乱法、遠心沈降法等により評価することができる。樹脂組成物中における一次粒径並びに分散粒径に関しても上記微粒子粉体、微粒子分散体の場合と同様の範囲が好ましく、小角X線散乱法等で評価することができる。
このような範囲としては、樹脂組成物においても、同様の範囲であることが好ましい。
上記金属酸化物粒子の一次粒径の大きさ(平均粒径、粒度分布)は、X線小角散乱法による慣性半径とその散乱強度から求めることができる。X線小角散乱法は、密度不均一領域の電子密度の揺らぎがX線照射時の散乱挙動を変えることによって、100nm以下の粒子のサイズを測定することができるため、特に、分散媒中の一次粒子の分布状態をそのまま把握することができる。
上記X線小角散乱法では、樹脂が分散媒の場合であっても、硬化前の分散状態を把握できるというメリットがある。その測定原理を簡単に説明する。通常、有機化合物である分散媒と、ナノサイズの金属酸化物粒子とでは、元来、密度・電子状態・結合様式が異なるものであり、両者の界面で電子密度の揺らぎが生じる。密度が不均一な混合物中を単色X線が通過すると、入射方向に対して極めて小さい角度領域(2θ=0〜5゜)で散漫な回折を生じる。この回折強度パターンを解析することで、密度の不均一領域の大きさや形状がわかり、有機/無機ナノコンポジットのモルフォロジーが明らかになるのである。ここで、粒径(密度不均一領域の大きさ)が均一の場合、ギニエの小角散乱強度式より、散乱強度は次式(1)で表される。
Figure 2009013398
上記式(1)中のqは、数学的には空間をフーリエ変換したものであり、距離の逆数に比例する値(Å−1)であって、散乱角の関数として次式(2)で表される。
Figure 2009013398
ギニエプロットは、X線散乱強度−q値のプロットである。散乱角度の増大により散乱強度の急激な減少を示す領域が小角散乱領域であり、中心ピークの幅は密度の不均一領域のサイズ、すなわち一次粒子の慣性半径とほぼ逆比例する。よって、散乱強度の増減挙動をFunkuchenの方法に適用し、ギニエプロットの右端から順に接線を引いて、各接線の勾配から、慣性半径とその散乱強度を算出すれば、それらの強度比から一次粒子の慣性半径の分布の相対比を求めることができる。
上記金属酸化物粒子の粒子径のその他の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を好適に用いることができる。TEMでは、有機無機複合樹脂組成物における、金属酸化物粒子の分散状態及び個々の粒子径を評価することができる。組成物が液状樹脂の場合には、液状樹脂を試料とし、組成物が固体の場合や、硬化後の成型物の場合には、これらをミクロトームを用いて、薄膜切片を作成し、これを試料としてTEM像を観察することにより、金属酸化物粒子の一次粒径、分散、凝集状態を確認することができる。
X線小角散乱法による慣性半径の測定やTEMによる観察は、樹脂組成物における金属酸化物粒子の一次粒径や粒度分布又は分散状態を直接に評価する方法として有用である。
また組成物における金属酸化物粒子の分散状態や分散粒径を評価する方法として、別法として、樹脂組成物が液状物の場合や溶媒可溶性の樹脂の場合には、動的光散乱式粒度分布測定法等も採用しうる。通常、適度な微粒子濃度になるように溶媒で希釈したものを測定試料とするために、希釈により微粒子の分散状態が変化することがあるが、分散状態・分布の相対的な比較評価を簡易に行える点で有用である。
以上、組成物における金属酸化物粒子の粒子径(一次粒径、分散粒径)に関する評価方法は、目的に応じて、適宜、選ぶことができる。
上記外部添加法に用いる金属酸化物粒子の中で、液相合成法、気相合成法、固相合成法等の製造方法のうち、透明性を確保できる液相合成法で得られた粒子を本明細書中では湿式粒子(湿式金属酸化物粒子)とする。本発明の熱硬化性バインダー樹脂組成物においては、湿式金属酸化物粒子を必須とするものであり、例えば、気相合成法、固相合成法で得られた金属酸化物粒子を含んでいてもよいが、全ての金属酸化物粒子成分が湿式金属酸化物粒子である形態が好ましい。
上記湿式金属酸化物粒子として好適なものとしては、本願の熱硬化性バインダー樹脂組成物の原料として、乾燥工程を経ずに得られ、金属酸化物粒子を含有する液状物として提供できるものである。すなわち、本発明の金属酸化物粒子としては、液相合成法により合成されたものであればよく、中でも、液相合成法により合成されたものであって、乾燥工程を経ないものが好ましい。乾燥工程を経ないとは、液相合成法による微粒子の合成(生成)から、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物の原料として用いるまで、乾燥粉末化する工程を経ないことを表し、いわゆるオール湿式プロセスのことをいう。例えば、一貫した液相プロセス、液状プロセスである。また、ウエットなケーキ状態を経る工程は、湿式プロセスの範囲に含まれる。このような湿式金属酸化物粒子としては、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物の構成成分となる有機樹脂成分の1つに、微粒子合成反応液から乾燥過程を経ずに、分散させたものも含まれる。液状物には、ウエットケーキ、溶媒分散体、液状樹脂分散体等が含まれる。
上記金属酸化物粒子としては、有機金属化合物の加水分解・縮合物であるものが好ましい。上記液相合成法の中でも、内部析出法にも好ましく適用し得る有機金属化合物の加水分解・縮合法について以下に説明する。
有機金属化合物の中でも、アルコキシド化合物(好ましくは金属アルコキシド)及び/又はカルボン酸塩化合物(好ましくはカルボン酸金属塩)が好適である。
以下に、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を示す。
M´(OQ+iHO(加水分解)→M´(OH)+iQOH
M´(OH)→M´(OH)→M´O2/k(縮合物)
(式中、M´は金属元素を表し、Qはアルキル基又はアシル基を表す。i、j及びkは任意の数値である。)
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(a);
M´(OQ(a)
(式中、M´は金属元素、Qはアルキル基又はアシル基を表し、vは1〜7の整数を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(b);
(RγM´(OQ (b)
(式中、M´及びQは一般式(a)と同様である。Qは有機基を表し、w及びpは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(a)及び(b)におけるQのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Qのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
上記一般式(b)におけるQの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
上記一般式(a)及び(b)における金属元素M´としては、上記一般式(a)及び一般式(b)に示す化合物の構造を取り得る金属元素であれば周期表のどの元素でもよく、上述した金属(M)と同様のものを採用しうる。このような金属元素としては、上記金属酸化物微粒子において説明したものと同じであることが好ましい。
また前記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、M´が異なる2種以上のものを併用する、又は、2種類以上のM´を複合的に含有するものを使用してもよい。
上記M´がSiである場合のアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アニリン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
上記M´がSi以外である場合のアルコキシド化合物としては、In(OCOCH、Sn(OC、Zn(OC、B(OCH、Al(OCH、Al(OC、Al(iso−OC、Al(OC、Ga(OC、Y(OC、Ge(OC、Sb(OC、La(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(iso−OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等の上記好ましい金属元素M’の単一金属アルコキシド;La[Al(iso−OC、Mg[Al(iso−OC、Mg[Al(sec−OC、Ni[Al(iso−OC、(CO)Zr[Al(OC、Ba[Zr(OC等の複合金属アルコキシド等が好適である。
上記アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解・縮合反応は、これらの化合物を、通常、有機溶媒中で、水と接触させることにより行わせることができる。アルコールが有機溶媒として好ましい。また、加水分解・縮合反応を進めるために、通常、加水分解触媒を共存させる。外部添加法で用いる金属酸化物微粒子を得るための触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましい。金属元素M´の種類により、適宜選択し得る。反応温度は通常0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、10〜100℃である。
内部添加法で好適な触媒、条件に関しては、後述する。
次に、金属酸化物微粒子の中でも特に有用な湿式法ケイ素系酸化物微粒子、その製法について説明する。
上記ケイ素系酸化物粒子(分散体)の具体例としては、SiOを主成分とする、シリカ粒子の他に、ケイ素の一部に、アルキル基等の有機基が結合した、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン系粒子等の下記一般式(c):
SiO(4−u)/2 (c)
で表されるオルガノシロキサン系粒子が好ましい。ここで、uは0<u<3、Rは有機基を表す。uとしてより好ましくは、0<u<2であり、Rとしてより好ましくは、置換基があってもよいアルキル基、アシル基、アリール基、不飽和脂肪酸残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
上記のシリカ粒子としては、a)水ガラスを出発原料とする方法、b)加水分解可能なシリコン化合物の加水分解・縮合反応により得られたものが好ましい。
a)水ガラスと硝酸、塩酸等の無機酸とを水媒体中で混合する方法(前記酸アルカリによる分解沈殿法の一つ)や水ガラス水溶液をイオン交換樹脂と接触させることにより水ガラス中のアルカリ金属成分とプロトンをイオン交換する方法(イオン交換方法)が好ましく用いられる。この方法によると、コロイダル状のシリカ粒子が生成する。
得られた反応液(シリカの微細な粒子が生成、前者の方法では無機酸根とアルカリ金属の塩が溶解している)より、必要に応じて、脱塩処理を施し、溶媒成分を一部除去することにより濃縮されたシリカ粒子の水系分散体が得られる。従来技術公知の方法(加熱溶媒置換、遠心分離と再分散等)で所望の溶媒に溶媒置換することができる。
b)前記一般式(a)において、M´=Siの場合のシリコン化合物を、含水有機溶媒中、好ましくは含水アルコール中で、好ましくは、加水分解触媒存在下で、加水分解、縮合反応させることにより得られる。触媒は、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましく、特に塩基性触媒が好ましい。
得られたシリカ粒子の反応液を濃縮及び/又は所望の有機溶媒に溶媒置換することにより、シリカ粒子の微粒子分散体とすることができる。
上記一般式(c):RSiO(4−u)/2で表されるオルガノシロキサン系粒子の製法例
上記一般式(b)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種、又は、上記一般式(b)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種及び上記一般式(a)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種を、上記b)と同様に、(共)加水分解・縮合することにより得られる。
工業的に入手可能なケイ素系酸化物粒子分散体の例としては、日産化学社製のオルガノシリカゾルが好適である。
本発明で使用する金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンの製造方法としては、上述したバインダー樹脂組成物を構成する有機樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して金属酸化物粒子を得る方法(内部析出法)が好適である。このような製造方法においては、上記金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを製造するとともに、無機成分(金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサン)を内包する熱硬化性バインダー樹脂組成物も製造することができる。すなわち、以下の製造方法は、熱硬化性バインダー樹脂組成物の製造方法として好適に用いることができるものである。
上記樹脂成分(有機樹脂成分)を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンが微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、ボンド磁石を形成する熱硬化性バインダー樹脂組成物に含まれて用いられた場合に、上述したボンド磁石用組成物としての耐熱性や耐熱劣化特性を発揮し、さらに応力特性や低線膨張特性に優れたボンド磁石を与えることができ、優れた硬化性及び難燃性を発揮するものである。
以下に、内部析出法について、説明する。内部析出法においては、上述した有機金属化合物の加水分解・縮合法の説明で記載した原料等を好適に用いることができる。
上記内部析出法としては、まず、有機樹脂成分を少なくとも一種を含有してなる液体媒体、好ましくは樹脂を含有してなる溶液を調製し、その溶液にアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物と、水又はそれを含有する溶媒とを投入して、加水分解反応及び縮合反応を行えばよい。
上記溶媒等の使用量としては、樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、また、500重量部以下が好ましい。より好ましくは、20重量部以上であり、また、200重量部以下である。上記その他の溶媒としては、メタノール、エタノール等が好適である。
上記樹脂を含有する液体媒体中での加水分解及び縮合の反応条件において、反応温度としては、0〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは、10〜100℃であり、更に好ましくは、20〜80℃である。また、反応時間としては、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。反応圧力は常圧としても加圧してもよいが、加水分解結合条件(例えば、加水分解触媒の種類、金属クレーと化合物の種類、水の量、用いる有機金属化合物の種類、溶媒の種類)を適宜選択することにより、金属酸化物粒子を内包する樹脂組成物及び/又はポリメタロキサンを内包する樹脂組成物を得ることができる。
上記内部析出法としては、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一部を加水分解及び縮合した反応液に残りの金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を投入し、引き続き加水分解及び縮合する製造方法であることがより好ましい。
上記金属アルコキシド及びカルボン酸金属塩は金属元素に結合する有機基の種類や数によって加水分解及び縮合の反応速度が異なり、一般に低極性の有機基であってヘテロ元素を介することなく金属にσ結合で結合する有機基が多い、又は、O、Nなどのヘテロ元素を介して結合する有機基が少ないほど反応速度が低い。反応速度の異なる金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を一括投入した場合、反応初期においては反応速度の速い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合し、系内の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の組成が変化してしまい、反応後期においては反応速度の遅い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合する。このため加水分解及び縮合物は原料組成だけでなく、金属酸化物粒子の粒径、ポリメタロキサンの重合度も不均一であり、屈折率の分布が大きくなり、樹脂組成物が可視光透過の際にレイリー散乱を起こしやすい。
上記製造方法としては、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のうち、加水分解及び縮合速度の低い化合物から投入して、所定の反応率まで加水分解及び縮合を進めた後に、加水分解及び縮合速度の速い化合物を投入し、引き続き加水分解及び縮合するのが好ましい。これにより、得られる加水分解及び縮合物の原料組成や、金属酸化物粒子の粒径、ポリメタロキサンの重合度は均一になりやすく、樹脂組成物が可視光透過の際のレイリー散乱を起こしにくくなる。2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の加水分解及び縮合反応の分割数としては、用いる原料の数に分割するのが最も好ましいが、反応速度に応じて反応速度の速い化合物の混合体と反応速度の遅い化合物の混合体に2分割してもよい。
上記加水分解及び縮合の反応率については、種々の方法によって行うことができる。金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一例としてアルコキシシランの場合を挙げる。アルコキシシランの場合ではアルコキシシリル骨格が加水分解しシラノールとなり、更にシラノール同士の脱水縮合又はシラノールとアルコキシシリル骨格との脱アルコール縮合が進行してシロキサン縮合を形成する。そこで例えば、ガスクロマトグラフィーによって未反応シランを定量する、NMRによってアルコキシル基を定量する、FT−IRによりシラノールを定量することで反応率の変化を追跡することが可能となる。
上記加水分解及び縮合反応の次工程を行うかどうかはガスクロマトグラフィーによる未反応の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩での定量によるのが好ましく、残存率としては50〜0%、より好ましくは40〜0%、更に好ましくは30〜0%である。ガスクロマトグラフィーの測定条件は公知公用の条件でよい。
上記加水分解及び縮合反応においては反応を促進するために、金属キレート化合物を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記内部析出法における加水分解・縮合反応においては、このような触媒が好ましい。上記金属キレート化合物としては、Zr(OQ(QCOCHCOQ104−q、Ti(OQ(QCOCHCOQ104−r、及び、Al(OQ(QCOCHCOQ104−sからなる群より選択される1種以上の化合物やこれらの部分加水分解物等が好適である。
上記金属キレート化合物におけるQ及びQは、同一又は異なって、炭素数1〜6の有機基を表し、Q10は、炭素数1〜6の有機基又は炭素数1〜16のアルコキシル基を表し、q及びrは、0〜3の整数、sは、0〜2の整数である。Q及びQにおける炭素数1〜6の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が好適である。また、Q10における炭素数1〜16のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好適である。
上記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が好適である。これらの中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
上記金属キレート化合物の使用量としては、上記一般式(a)で表される化合物及び/又は上記一般式(b)で表される化合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、成形品の表面外観が低下するおそれがある。より好ましくは、20重量部以下であり、更に好ましくは、10重量部以下である。
上記無機成分は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを意味するものである。
上記ポリメタロキサンを得る方法、ポリメタロキサンの熱硬化性バインダー樹脂組成物への配合方法としては、上記金属酸化物粒子において説明したものと同様であることが好ましい。具体的には、ポリメタロキサンは、金属アルコキシド化合物/金属カルボン酸塩化合物の加水分解・縮合反応によって得ることが好ましい。
上記ポリメタロキサン(すなわち、無機成分)の熱硬化性バインダー樹脂組成物への配合方法としては、上述したとおりであり、ポリメタロキサンと、上記有機樹脂成分とを混合して得られる外部添加方法、及び、内部析出法を好適に用いることができる。なお、内部析出法としては、上述のとおりである。すなわち、有機樹脂成分の存在下でポリメタロキサンを生成させる内部生成法である。
上記ポリメタロキサンとは、金属Mを金属成分とし金属酸素結合(M−O)の繰り返しからなるメタロキサン骨格を有する非粒子状のポリマーを意味する。メタロキサンの形状としては、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、環状、かご状、網状などが好適である。ポリメタロキサンの(M−O)の繰り返し数Lとしては、2〜200であることが好ましい。より好ましくは、5〜100であり、更に好ましくは、10〜50である。なお、Lは、平均重合度とも言い、ポリメタロキサンのメタロキサン骨格としては、(M−O)で表されることとなる。
上記金属酸素結合における好適な金属元素としては、上述した金属酸化物粒子におけるものと同様であることが好ましい。具体的には、IIIa族、IVa族、IIIb族及びIVb族、Zn、La及びSbであることが、可視光に対する吸収がなく着色がない点で好ましい。より好ましくは、Ti、Zr、Al、In、Si、B、Zn、La、Sb、Sn及びPであり、更に好ましくは、Siである。金属元素がSiであるポリシロキサンは、工業的に入手しやすく、この点で好ましい。また、後述する希土類系合金粉末の構成成分であるSm、Nd、Pr、Y、La、Ce、Gd等の希土類金属元素又はFeを金属元素とする金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンは、上述した磁性粒子表面への被着による耐熱劣化特性に優れる点から好ましい。
上記ポリメタロキサンは、金属元素の一部に水酸基、水素原子、ハロゲン原子等の置換基が結合していてもよい。
上記ポリメタロキサンとしては、一部又は全部の金属元素に有機基が結合してなる形態も好ましい。このような一部又は全部の金属元素に有機基が結合してなるポリメタロキサン(オルガノポリメタロキサンとも言う。)は、有機樹脂成分と相溶し易い点で好ましい。
上記有機基としては、特に限定されないが、アルキル基、アリール基、アシル基、不飽和脂肪族残基、アルコキシ基が好ましい。これらの有機基は、置換基があってもよい。
上記ポリメタロキサンとしては、上述した構成を有するものである限り、特に限定されないが、イミド結合を含む有機骨格が、ケイ素原子に結合してなるポリシロキサンであることが好ましい。すなわち、上記ポリメタロキサンは、イミド基を有する有機基を持つポリシロキサンである熱硬化性バインダー樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。このようなポリシロキサンとしては、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が少なくとも1個結合してなる構成単位(以下、構成単位(I)とも言う。)とシロキサン結合(シロキサン骨格)とを有するものであることが好ましい。上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)とも言う。)は、このような構造であることから、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性、熱伝導率性に優れ、各種材料に優れた耐熱性等の各種特性を付与することができる。例えば、シロキサン骨格、イミド結合を有する有機骨格、構成単位(I)等の構造を適宜選択し、各種ポリマーに対して高い相溶性を示すものとすることにより、該ポリマーに容易に耐熱性、耐圧性等を付与することができる。耐熱性、耐圧性等を付与されたポリマーは、高温高圧等の過酷な環境下においても各種物性の低下が低い硬化物を形成でき、ボンド磁石用途等に好適に使用することができる。
上記ポリシロキサン(i)において、「イミド結合を有する有機骨格」とは、イミド結合を必須とするものであれば特に限定されないが、(1)イミド構造と炭素数1〜6のアルキレン基とを含む構造、(2)イミド構造と2級アミノ基とを含む構造、(3)イミド構造と3級アミノ基とを含む構造等が好ましい。中でも(1)イミド構造と炭素数1〜6のアルキレン基とを含む構造が熱的安定性が高いポリシロキサンになる点でより好ましい。
上記ポリシロキサン(i)において、上記イミド結合を有する有機骨格が占める割合としては、ポリシロキサン(i)に含まれるケイ素原子100モル中、100〜20モルであることが好ましい。より好ましくは、100〜50モルであり、更に好ましくは、100〜70モルである。
上記イミド結合を有する有機骨格が結合したケイ素原子には、少なくとも1個のイミド結合を有する有機骨格と、少なくとも1個の酸素原子が結合しており、該酸素原子を介してシロキサン骨格を形成している。すなわち、イミド結合を有する有機骨格が結合したケイ素原子には、イミド結合を有する有機骨格と、酸素原子と、場合によりその他の骨格とが結合しており、有機骨格と酸素原子とその他の骨格の結合数の合計が4であり、有機骨格と酸素原子は、ともに1個以上結合している。
上記その他の骨格としては、イミド結合を有さない有機基、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。イミド結合を有さない有機基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基、不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、これらは置換基があってもよい。特に好ましくは、置換基があってもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基である。具体例としては、メチル、エチル、フェニル、ビニル、クロロプロピル、メルカプトプロピル、(エポキシシクロヘキシル)エチル、グリシドキシプロピル、N−フェニル−3−アミノプロピル、(メタ)アクリロキシプロピル、ヘキシル、デシル、オクタデシル、トリフルオロプロピル等が好適である。
上記ケイ素原子に結合するイミド結合を有する有機骨格の結合数としては、1〜3個であり、好ましくは、1〜2個であり、より好ましくは、1個である。また、上記酸素原子(イミド結合を有する有機骨格が結合したケイ素原子に結合する酸素原子)の結合数としては、1〜3個であり、好ましくは、2〜3個であり、より好ましくは、3個である。その他の有機骨格の結合数としては、0〜2個であり、好ましくは、0〜1個であり、より好ましくは、0個である。ケイ素原子に結合する骨格(基)の好適な組み合わせ(結合数)としては、(イミド結合を有する有機骨格、酸素原子、その他の骨格)が(1、3、0)、(2、2、0)、(1、2、1)、(3、1、0)、(2、1、1)、(1、1、2)である。
上記ポリシロキサン(i)は、シロキサン骨格(主鎖骨格とも言う。)を有するものである。このようなシロキサン骨格としては、シロキサン結合を必須とするものであればよく、該シロキサン骨格の構造としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、ラダー状、かご状、キュービック状、網状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。
上記ポリシロキサン(i)において、シロキサン骨格の占める割合としては、ポリシロキサン(i)100質量%中、80〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、70〜15質量%であり、更に好ましくは、50〜20質量%である。
上記ポリシロキサン(i)は、上述の構成であれば特に限定されないが、好適な実施形態としては、(1)シロキサン結合とイミド結合とを有するポリシロキサンであって、該ポリシロキサンは、シロキサン結合(ポリシロキサン結合)を必須とする主鎖骨格を有し、イミド結合を必須とする構造が主鎖骨格に結合した構造を有する形態、(2)ケイ素原子に、イミド結合を含む有機骨格が少なくとも1個結合してなり、且つ、上記ケイ素原子に酸素原子が少なくとも1個結合してなる、構成単位を必須とし、該構成単位の上記ケイ素原子が酸素原子を介してシロキサン骨格を形成してなる形態、(3)シロキサン結合からなる主鎖骨格と、イミド結合を含む有機骨格からなるポリシロキサンであって、該主鎖骨格の少なくとも一部のケイ素原子が該有機骨格と結合してなる構成単位を必須単位として含有する形態、(4)シロキサン結合と、イミド結合を含む有機骨格からなるポリシロキサンであって、該ポリシロキサンは、ポリシロキサン結合を必須とする主鎖骨格を有し、イミド結合を含む有機骨格が主鎖骨格中の少なくとも1個のケイ素原子に結合してなる形態等が挙げられる。
上記好適な実施形態(1)において、「イミド結合を必須とする構造が主鎖骨格に結合した構造」とは、上記イミド結合を必須とする構造(イミド結合を含む有機骨格)の少なくとも1つがポリシロキサン(i)の主鎖骨格(シロキサン骨格)に結合した構造であればよい。すなわち、上記イミド結合を必須とする構造が主鎖骨格以外に有する構造であればよい。具体的には、上記ポリシロキサン(i)はイミド結合を必須とする構造を側鎖に有する形態が好適である。この場合、イミド結合を必須とする構造が「鎖」の形態となった繰り返し単位を有するものに限られず、側鎖として1つ以上含まれればよい。
上記好適な実施形態(2)において、「ケイ素原子に、イミド結合を含む有機骨格が少なくとも1個結合してなり、且つ、上記ケイ素原子に酸素原子が少なくとも1個結合してなる、構成単位」は、下記一般式:
Figure 2009013398
(式中、Xは、イミド結合を有する有機骨格を表す。sは、1〜3の整数であり、2tは、1〜3の整数である。s+2t=4である。)で表されることが好ましい。
上記ポリシロキサンは、下記平均組成式:
SiO
(式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を含む有機骨格を表し、Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)である形態が好ましい。すなわち、Xの係数aは、0<a≦3の数であり、Yの係数bは、0≦b<3の数であり、Zの係数cは、0≦c<3未満の数である。Oの係数dは、0<d<2である。
上記平均組成式:XSiOにおいて、Yとしては、水酸基、OR基であることが好ましい。より好ましくは、OR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基であるOR基である。また、Zとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基、不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは置換基があってもよい。より好ましくは、置換基があってもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基である。
上記ポリシロキサンは、例えば、
Figure 2009013398
(式中、X、Y及びZは、同一若しくは異なって、上述と同様である。n及びnは、重合度を示し、nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で示される。なお、Y/Z−は、Y又はZが結合していることを表し、X1〜2−は、Xが1又は2個結合していることを表し、(Z/Y)1〜2−は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、Z及びYが1個ずつ、合計2個結合することを表す。Si−(X/Y/Z)は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。上記式において、Si−OmとSi−Omは、Si−OmとSi−Omの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmからなるポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記ポリシロキサンとしては、上記平均組成式:XSiOで表すことができるが、該ポリシロキサンのシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。(SiO以外の構造は、イミド結合を有する有機骨格(イミド結合を必須とする構造)X、水素原子、水酸基等のY、イミド結合を含まない有機基Zであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。上記(SiOにおいて、nは、重合度を表すが、該重合度は、主鎖骨格の重合度を表し、イミド結合を有する有機骨格は、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのイミド結合を有する有機骨格が存在していなくてもよい。また、イミド結合を有する有機骨格は、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、上述したように、1つのケイ素原子に2以上のイミド結合を有する有機骨格が結合していてもよい。これらは、以下においても同様である。
上記主鎖骨格(SiOにおいて、mは、1.0以上2.0未満の数であることが好ましい。より好ましくは、m=1.5〜1.8である。
上記nは、重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは、1〜2000であり、更に好ましくは、1〜1000であり、特に好ましくは、n=1〜200である。
上記nが2である場合のポリシロキサンとしては、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が少なくとも1個結合してなる構成単位(構成単位(I))が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、
Figure 2009013398
(式中、AはY又はZであり、X、Y及びZは、上述と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)2つを含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)2つを含むホモポリマーの形態と、構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i))は、上記構造を有するものであれば特に限定されないが、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(1):
Figure 2009013398
(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(以下、ポリシロキサン(1)とも言う。)であることが好ましい。
なお、「上記平均組成式におけるXは、下記式(1)で表されるポリシロキサン」とは、「上記平均組成式:XSiO(式中、Xは、Z、Y、a、b、c及びdは、上述のとおりである。)におけるXが式(1)である平均組成式を有するポリシロキサン」を言う。以下、下記式(2)等においても同様である。
上記Rにおいて、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造とは、Rが芳香族化合物の環構造(芳香環)を有する基、複素環式化合物の環構造(複素環)を有する基及び脂環式化合物の環構造(脂環)を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを表す。Rとしては、フェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等が好ましい。なお、Rがフェニレン基である場合、上記Xが下記式(2)で表されるポリシロキサンとなり、Rが(アルキル)シクロヘキシレン基である場合、上記Xが下記式(3)で表されるポリシロキサンとなり、Rがナフチリデン基である場合、上記Xが下記式(4)で表されるポリシロキサンとなり、Rがノルボルネンの2価基である場合、上記Xが下記式(5)で表されるポリシロキサンとなり、Rがシクロヘキセニル基である場合、上記Xが下記式(6)で表されるポリシロキサンとなる。
上記式(1)において、x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数である。
なお、x+yとしては、0以上10以下の整数であればよいが3〜7であることが好ましく、より好ましくは、3〜5であり、特に好ましくは、3である。
上記yとしては、0又は1であり、0であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(1)は、上述のポリシロキサン(i)において記載した用途に好適に用いることができ、特に、最先端MPU、車載用実装材料などの従来家電用途よりも高い熱時安定性が必要とされる実装分野で好ましく用いることができる。また、上記ポリシロキサン(1)は、非常に高い耐熱性を有し、かつ、各種ポリマーに対して高い相溶性を示すことから、容易に耐熱性を付与することができる。具体的には、耐熱性を向上させるために、芳香族系プラスチック等の種々の材料に添加する場合、該材料に後で添加して分散させるという従来のシリコーン化合物の添加方法を必ずしも用いる必要がなく、例えば、各種ポリマー材料の原料中にあらかじめ添加しておき、原料を反応させて各種ポリマーとすることにより均一に混合することがき、優れた耐熱性を付与することができる。このように、耐熱性のある芳香族系プラスチックに、上記ポリシロキサン(1)を加えると、更に耐熱性があがり、上記用途に好適に用いることができる。
上記平均組成式XSiOで表されるポリシロキサン(i)は、いずれの方法によっても得ることができるが、下記(a)や(b)の製造方法により得ることが好ましい。(a)上記ポリシロキサン(i)におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するアミド結合を有する有機骨格X´と、シロキサン結合とを有する平均組成式X´SiOで表される(ポリシロキサンからなる)中間体をイミド化させる工程を含む製造方法。(b)上記該ポリシロキサン(i)におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するイミド結合を有する有機骨格が、ケイ素原子に結合しかつ加水分解性基を有するポリシロキサンよりなる中間体を、加水分解・縮合させる工程を含む製造方法。
上記ポリシロキサン(1)は、平均組成式X´SiOにおけるX´(X´は、アミド結合を含む有機骨格を表す。他は、上記平均組成式に同じ。)がポリシロキサンからなる中間体をイミド化させる工程、又は、ポリシロキサンからなる中間体を加水分解し、重縮合させる工程を含む製造方法により得ることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)又は(1))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(2):
Figure 2009013398
(式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(ポリシロキサン(2)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜Rとしては、全てが水素原子である形態が好ましい。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)又は(1))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(3):
Figure 2009013398
(式中、R〜R及びR6´〜R9´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(ポリシロキサン(3)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜R及びR6´〜R9´としては、R若しくはRがメチル基で残りの全てが水素原子である形態、又は、R〜R及びR6´〜R9´全てが水素原子である形態、又は、R〜R及びR6´〜R9´全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、R又はRがメチル基で残りの全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)又は(1))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(4):
Figure 2009013398
(式中、R10〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(ポリシロキサン(4)ともいう。)であることが好ましい。
上記R10〜R15としては、全てが水素原子である形態、又は、全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)又は(1))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(5):
Figure 2009013398
(式中、R16〜R21は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(ポリシロキサン(5)ともいう。)であることが好ましい。
上記R16〜R21としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)又は(1))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(6):
Figure 2009013398
(式中、R22〜R25、R22´及びR25´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるポリシロキサン(ポリシロキサン(6)ともいう。)であることが好ましい。
上記R22〜R25、R22´及びR25´としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサン(ポリシロキサン(i)、ポリシロキサン(1)〜(6))において、上記ポリシロキサンの平均組成式におけるXは、下記式(7):
Figure 2009013398
(式中、R26は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。)で表されるポリシロキサンであることが好ましい。
上記R26は、上記ポリシロキサン(1)において説明したRと同様であることが好ましい。
上記ポリシロキサンの特に好ましい形態としては、R26がフェニレン基であるポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン)、R26がメチルシクロヘキシレン基であるポリ{γ−(へキサヒドロ−4−メチルフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がナフチリデン基であるポリ{γ−(1,8−ナフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がノルボルネンの2価基であるポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がシクロヘキセニル基であるポリ〔(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン〕である。これらの化合物の構造は、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定して同定することができる。
本発明はまた、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金を必須とする磁性粉末とを含んでなるボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物でもある。このように、熱硬化性バインダー樹脂組成物と希土類系合金とを必須とすることにより、耐熱性及び耐熱劣化特性に優れ、粉末の磁気特性が低下せず、優れた保磁力を有するボンド磁石とすることができる。本発明のボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物はこれらの優れた効果を有することから、電化製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器、自動車用電子機器をはじめとする種々の製品等に好適に適用し得るボンド磁石を得ることができることとなる。なお、耐熱劣化特性としては、上述したように、希土類系合金を必須とする磁性粉末の表面に、熱硬化性バインダー樹脂組成物に含まれる無機成分が被着することにより発揮されることとなる。
このように、熱硬化性樹脂成分、希土類系合金粉末からなるボンド磁石用の熱硬化性バインダー樹脂組成物(熱硬化性バインダー組成物)であって、該熱硬化性バインダー樹脂組成物中に、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有するボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物、及び、上記熱硬化性バインダー樹脂組成物(熱硬化性バインダー組成物)と希土類系合金粉末とからなるボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記希土類系合金を必須とする磁性粉末は、希土類系合金を含み、磁性を示すものであれば特に限定されないが、磁性を有する元素として鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンの少なくとも一つを含むものであることが好ましい。すなわち、希土類系元素と鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンの少なくとも一つとを含む合金(希土類系磁石合金)の粉末であることが好ましい。このような鉄系磁石合金としては、希土類−鉄−ほう素系、希土類−鉄−窒素系の各種磁石粉末などが好適である。中でも、希土類−鉄−窒素系の磁石粉末が好ましい。より好ましくは、鉄又はコバルトを含む合金の粉末である。このような希土類系磁石合金としては、希土類−鉄−ほう素系、希土類−鉄−窒素系、希土類−コバルト系の各種磁石粉末などが好適である。
上記希土類系元素としては、Sm、Nd、Pr、Y、La、Ce、Gd、Dy、Tb等の1種又は2種以上を好適に用いることができる。2種以上を用いる場合は、混合物として使用できる。これらの中でも、Sm、Ndが好ましい。
上記希土類系元素と鉄とを必須とする磁性粉末は、希土類元素と鉄以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、磁性粉末が磁性を発するという特性を発揮する限り特に限定されず、例えば、フェライト、アルニコ等、通常ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末等が好適である。なお、上記ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末としては、異方性磁石粉末だけでなく、等方性磁石粉末も好適に用いることができる。これらの磁石粉末は、上記希土類系元素と鉄とを必須とする磁性粉末と混合して用いることが好適である。
上記その他の成分、具体的には、ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末は、異方性磁場(HA)が、50kOe以上であることが好ましい。
上記磁性粉末としては、特にSm又はNdを5〜40at.%(原子%)、Fe又はCoを50〜90at.%含有するものが好ましい。
上記磁性粉末の平均粒径としては、5μm以下であることが好ましい。特に3μm以下であることが望ましい。平均粒径が5μmを超えると、成形性が悪化し、ボンド磁石の原料として好適に用いることができなくなるおそれがある。
上記ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金との割合としては、希土類系合金100重量部に対し、熱硬化性バインダー樹脂組成物を0.1〜100重量部含むことが好ましい。0.1重量部未満であると、硬化成形後の機械的強度が不充分となる場合があり、100重量部を超えると、所望の磁気特性が得られがたくなる場合がある。より好ましくは、1〜50重量部であり、更に好ましくは、3〜30重量部である。
上記ボンド磁石用樹脂組成物としては、上述した熱硬化性バインダー樹脂組成物と希土類系合金粉末とを含むものであればよく、必要に応じて、硬化のための成分(硬化剤)等その他の成分を含んでいてもよい。上記硬化剤としては、上述した硬化剤を好適に用いることができる。具体的には、熱硬化性バインダー樹脂組成物の熱硬化性樹脂として、エポキシ基を有する化合物、多価フェノール化合物、マレイミド化合物等が好適であり、これらの化合物に使用される硬化剤等を用いることができる。
上記その他の成分としては、上述の硬化剤以外に添加剤を含有していてもよく、例えば、安定剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、溶剤や反応性希釈剤等の希釈剤、可とう化剤、各種ゴム状物、光感光剤、充填材、難燃剤、顔料等を挙げることができる。
上記ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物において、組成物に含まれる各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機、或いはバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機が使用できる。
上記ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物の混合において用いられる混合機としては、混合時の剪断発熱などによって熱硬化性樹脂組成物の硬化が進まないようなものであることが好ましい。具体的には、剪断力が弱く、かつ冷却機能を有するであることが好ましい。混合により組成物が塊状化するので、下記の成形方法により成形してボンド磁石とすることが好ましい。
上記ボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形法、押出成形法、圧延成形法、又は、トランスファー成形法などによって成形することが好ましい。このようにして、磁気特性、形状自由度のみならず、耐錆特性、機械的強度、柔軟性、耐熱性などに優れたボンド磁石を容易に製造することができる。
本発明の樹脂組成物及びその硬化部材は、上述の構成よりなり、電化製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器、自動車用電子機器をはじめとする種々の製品等に好適に適用し得るボンド磁石を形成できる熱硬化性バインダー樹脂組成物、及び、このような熱硬化性バインダー樹脂組成物を含むボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物であり、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性に優れ、大きな剪断力がかかったり、高温高圧等の環境下で成型しても、磁性特性等の物性の低下が低いボンド磁石を形成できる熱硬化性バインダー樹脂組成物である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
合成例1
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口1Lフラスコに、フェノール432.9g、ベンゾグアナミン172.2g、37%ホルムアルデヒド溶液179.2gを仕込み、窒素気流中で60℃で白濁溶液を撹拌しながらアンモニア水9mlを滴下した。反応液が透明になったところで80℃まで昇温し、撹拌しながら4時間保持し、反応液の昇温を再開した。100℃付近から留去しはじめた生成水をトラップに補集しながら180℃まで昇温し、4時間保持した。水を160g回収したところで水の生成が終了したので、60℃まで冷却した後、メタノール100gと酢酸8.3gを投入した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、20℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン210.1gと水99.4gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに補集しながら180℃まで撹拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の樹脂組成物Aを得た。収量486g、熱軟化温度は98℃、水酸基価は204g/mol、無機化合物含有率は16.5%だった。
合成例2
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口2Lフラスコに、p−キシリレングリコール302.6g、フェノール687.0g、p−トルエンスルホン酸12.6gを仕込み、窒素気流中で昇温を開始した。115℃付近から水が生成し始め、トラップに水を補集しながら150℃まで昇温し、6時間保持した。水を79g回収したところで水の生成が終了したので、60℃まで冷却した後、ジグライム176gを投入した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、20℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン336.4gと水157.8gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールとジグライムをトラップに補集しながら180℃まで撹拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の樹脂組成物Bを得た。収量619g、熱軟化温度は52℃、水酸基価は193g/mol、無機化合物含有率は20.7%だった。
合成例3
ガスインレット、冷却管、撹拌棒付きの4つ口500mLフラスコに、ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX4000H」、ジャパンエポキシレジン社製)163.43g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート163.43gを仕込み、80℃にてよく撹拌して均一溶液になったところで、テトラメトキシシラン54.15g、フェニルトリメトキシシラン56.43g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン16.81g、トリメトキシボロン0.89g、イオン交換水44.87gを投入、90℃で10時間撹拌した。引き続き150℃に昇温しながら、未反応の水、副生物のメタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートを減圧留去し、冷却後に淡黄色透明な粘凋液体である樹脂組成物Cを得た。収量234g、エポキシ当量は258g/mol、無機微粒子含有率は29.5重量%だった。
合成例4
ガスインレット、冷却管、撹拌棒付きの4つ口500mLフラスコに、ナフタレン型エポキシ樹脂(商品名「NC7000L」、日本化薬社製)163.43g、N,N’−ジメチルアセトアミド163.43gを仕込み、80℃にてよく撹拌して均一溶液になったところで、テトラメトキシシラン54.15g、フェニルトリメトキシシラン56.43g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン16.81g、トリエチルホスフェート1.18g、イオン交換水44.87gを投入、90℃で10時間撹拌した。引き続き150℃に昇温しながら、未反応の水、副生物のメタノール、N,N’−ジメチルアセトアミドを減圧留去し、冷却後に淡黄色透明な固体である樹脂組成物Dを得た。収量234g、エポキシ当量は275g/mol、無機微粒子含有率は30.3重量%だった。
合成例5
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口500mLフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN−1020−65」、エポキシ当量210g/mol、日本化薬社製)168g、エチレングリコールジアクリレート122.3gを仕込み、80℃で撹拌しながら溶解した後、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル0.011g、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド1.01gを投入し、空気流通下、110℃でアクリル酸59.1gを2時間掛けて滴下投入した。投入後反応液を空気流通下115℃で6時間撹拌し、反応液酸価が7mgKOH/g以下になってのを確認して、40℃まで冷却した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、40℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン121.78gと5%アンモニア水57.6gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに空気流通下、650mmHgで昇温を再開し、65℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに補集しながら120℃まで撹拌を続けた。留去が終了したのち室温まで冷却し、乳白色液状の樹脂組成物Eを得た。収量398g、無機化合物含有率は13.6%、不揮発分含有率は72%だった。
合成例6
撹拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた300mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム35.1gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン30.8gを投入し、撹拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に100℃のまま反応液温度を維持しながら5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物28.2gを30分かけて4分割投入した。投入終了後9時間で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。続いて脱イオン水9.3gを一括投入し冷却管で副生メタノールの還流に掛かるように昇温し、95℃で10時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノールおよび縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時にピリジン1.4gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持した。反応液は不揮発分58.2%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2340、重量平均分子量2570であった。1H−NMR、13C−NMRを測定し、γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピル基を有するポリシロキサン化合物であることを確認した。この反応液24.0gとクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN−1020−65」、エポキシ当量210g/mol、日本化薬社製)26.0gを撹拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた100mL4つ口フラスコ中で120℃で混合し、ジグライムを脱揮して冷却後に淡黄色透明な固体である樹脂組成物Fを得た。収量38.3g、エポキシ当量は323g/molだった。
合成例7
合成例6のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN−1020−65」、エポキシ当量210g/mol、日本化薬社製)の代わりにフェノールアラルキル樹脂(商品名「MEH−7851−SS」、明和化成工業社製)を用いることで茶褐色な固体である樹脂組成物Gを得た。収量38.3g、水酸基当量は312g/molだった。
合成例8
合成例1のテトラメトキシシランと水を投入する工程を省略して淡黄色固形の樹脂組成物Hを得た。収量406g、熱軟化温度は92℃、水酸基価は170g/mol、無機化合物含有率は0%だった。
合成例9
合成例2のテトラメトキシシランと水を投入する工程を省略して褐色半固形の樹脂組成物Iを得た。収量491g、熱軟化温度は43℃、水酸基価は155g/mol、無機化合物含有率は0%だった。
合成例10
合成例5のテトラメトキシシランと水を投入する工程を省略して淡黄色液体の樹脂組成物Jを得た。収量343g、無機化合物含有率は0%、不揮発分含有率は64%だった。
合成例11
合成例6のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN1020−65」、エポキシ当量 210g/mol、日本化薬社製)のかわりにフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(商品名「NC−3000H」、エポキシ当量 295g/mol、日本化薬社製)を用いたところ、淡黄色透明な固体である樹脂組成物Kを得た。収量38.3g、エポキシ当量は454g/molであった。
合成例12
合成例6のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN1020−65」、エポキシ当量 210g/mol、日本化薬社製)のかわりにトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(商品名「EPPN501H」、エポキシ当量 165g/mol、日本化薬社製)を用いたところ、淡黄色透明な固体である樹脂組成物Lを得た。収量38.3g、エポキシ当量は254g/molであった。
合成例13
合成例6のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN1020−65」、エポキシ当量 210g/mol、日本化薬社製)のかわりにフェノールアラルキル樹脂(商品名「MEH−7851−3H」、水酸基当量 220g/mol、昭和化成工業社製)を用いたところ、濃褐色透明な固体である樹脂組成物Mを得た。収量38.3g、水酸基当量は、324g/molであった。
合成例14
合成例6のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EOCN1020−65」、エポキシ当量 210g/mol、日本化薬社製)のかわりにトリスフェノールメタン型フェノール樹脂(商品名「MEH−7500」、水酸基当量 97g/mol、昭和化成工業社製)を用いたところ、濃褐色透明な固体である樹脂組成物Nを得た。収量38.3g、水酸基当量は、142g/molであった。
合成例15
合成例6において、更に4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(商品名「BMI1000」、大和化成工業社製)14.06gを添加し、完全に均一溶解して褐色透明な固体である樹脂組成物Oを得た。収量52.4g、エポキシ当量442g/molであった。
合成例16
合成例12において、更に4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(商品名「BMI7000」、大和化成工業社製)11.42gを添加し、完全に均一溶解して褐色透明な固体である樹脂組成物Pを得た。収量49.7g、エポキシ当量330g/molであった。
無機微粒子の粒度分布
無機微粒子の粒度分布を調べるために、小角X線回折測定を実施した。
組成物A・B・Dについては乳鉢で粉砕し、300メッシュのふるいを透過したものを1mmφの石英ガラス製キャピラリーに振動を与えながら充填して測定を供した。組成物C・Eについては、60℃まで加温したものを1mmφの石英ガラス製キャピラリーに振動を与えながら充填して測定に供した。
測定条件
使用機器:RINT−2400(理学電気社製)
多層膜ミラーモノクロメーターを通じて入射X線を単色化、3個のスリットを通過した後、測定試料に照射し、真空パスを通じてカメラ長250mmに設置したシンチレーションカウンターで散乱X線を検出した。
使用X線:CuKα
管電圧・管電流:40kV、200mA
操作方法:Fixed Lime法
測定方法:透過法(2θ単独操作)
走査範囲2θ、ステップ間隔:0.1〜5.0deg、0.01deg
計数時間:5.0秒
測定後
得られた散乱プロファイルからFaukuchenの方法によりギニエプロットを作成して慣性半径を算出。
Figure 2009013398
樹脂組成物A〜Pへの磁性粉末配合と物性評価用サンプルの調製
市販のSmFeN系異方性磁石粉末(住友金属鉱山社製)と上記樹脂組成物A〜P、硬化触媒、シランカップリング剤を、加熱ロール混練器を用いて混合した。各成分の配合重量比は表2及び表3に示すとおりとし、混練条件は80℃、5分、ロール締圧0.5MPaとした。得られたコンパウンドは加圧成型機を用いて厚さ1mmの平板に成型したのちに凍結粉砕器を用いて評価用サンプルとした。
成型品の耐熱性
上記の評価用サンプルの耐熱性評価として、TG−DTA(機器名 TG−DTA2000SR、ブルカー社製)を用いた空気流通加熱下での重量増加率を調べた。測定温度は150℃、180℃、200℃とし、測定時間は24時間、サンプリング間隔180秒とした。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2009013398
Figure 2009013398
実験結果
比較例・実施例いずれの場合でも150℃程度であれば重量増加率は同程度であり、耐酸化性は同等であると思われるが、180℃、200℃とさらに高温にした場合、比較例では大幅に重量増加率が増えて耐酸化性の劣化が伺えるが、実施例では重量増加率の増え方は緩やかであり、耐酸化性の低下はわずかであった。また、特に、実施例5〜8のように、エポキシ主骨格を最適化する、あるいはマレイミド化合物を添加することにより、更に重量増加率の増え方は緩やかであり、優れた性質を示した。

Claims (5)

  1. 熱硬化性樹脂を含む有機樹脂成分を必須とし、ボンド磁石を形成する磁性粉末のバインダーとして用いられる熱硬化性バインダー樹脂組成物であって、
    該熱硬化性バインダー樹脂組成物は、金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンを含有することを特徴とする熱硬化性バインダー樹脂組成物。
  2. 前記金属酸化物粒子は、平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性バインダー樹脂組成物。
  3. 前記金属酸化物粒子及び/又はポリメタロキサンは、有機樹脂成分の存在下で、金属アルコキシド化合物及び/又は金属カルボン酸塩化合物を加水分解、縮合してなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性バインダー樹脂組成物。
  4. 前記ポリメタロキサンは、イミド基を有する有機基を持つポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性バインダー樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性バインダー樹脂組成物と、希土類系合金を必須とする磁性粉末とを含んでなることを特徴とするボンド磁石用熱硬化性樹脂組成物。
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