JP4066152B2 - シリカの難燃性付与性能の評価方法、並びに、シリカ及び該シリカを含有する樹脂組成物 - Google Patents

シリカの難燃性付与性能の評価方法、並びに、シリカ及び該シリカを含有する樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカの難燃性付与性能の評価方法、並びに、該評価方法により優れた難燃性付与性能を有すると評価されるシリカ及び該シリカを含有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の樹脂組成物は、成形材料や接着剤、塗料等の製造原料に広く利用されているが、これらの用途の中でも、優れた難燃性が要求される場合がある。例えば、成形材料としてはプリント配線基板等の複合材や半導体封止材、接着剤としては電子材料用において難燃性が要求されることとなる。このような分野においては、樹脂に対してブロム化エポキシ樹脂等の難燃剤を添加した材料等が用いられているが、ハロゲン系化合物の中には燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生するものがあり、廃棄物の焼却処理時、更に熱回収によるサーマルリサイクルを行った際の環境負荷や人体への影響が課題となっている。
【0003】
このため、ハロゲン系化合物を全く用いない難燃化技術として、リン化合物等の難燃剤を用いた材料等も検討されているが、廃棄老廃物からのリン含有漏出成分による土壌や湖沼の富栄養化といった懸念もある上、成形品の機械物性や耐湿性を低下させるものもある。従って、リン化合物とは全く異なる概念の難燃化技術であって、ハロゲンフリーであり、しかも電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に要求される難燃性と、優れた機械及び電気特性の全てを満たすことができるものが求められている。
【0004】
特開平10−36686号公報には、樹脂と特定の金属アルコキシドの縮合物とを主成分とする樹脂組成物について、耐熱性等の特性を有することが開示されている。しかしながら、電子材料等において充分な難燃性が付与されるようにするための工夫の余地があった。また、特開2000−313614には、表面積が30m/g未満で、サイズ範囲が30〜2,500ナノメートルの孔でユニモーダルな孔径分布を有し、核磁気共鳴サインで判定して、少なくとも10%のQシラノール類と0.5%未満のQシラノール類を有するアモルファス・シリカについて、シリカの熱水処理に関することが開示されている。しかしながら、このようなアモルファス・シリカにおいても、充分な難燃性が付与されるようにするための工夫の余地があり、また、実施例においては、熱水処理シリカの試料調製においてすべてアルカリで処理されていることから、アルカリが影響を与える電子材料等の分野においても用いることができるようにする工夫の余地があった。更に、特開平9−208839号公報には、(A)熱硬化性樹脂と、(B)シラノ−ル基と反応性の官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(C)シリコンアルコキシドと、(D)水及びシリコンアルコキシドの反応触媒と、(E)有機溶剤とを含む熱硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、このような熱硬化性樹脂組成物においても、充分な難燃性が確実に付与されるようにするための工夫の余地があった。
【0005】
ところで、電子材料等の分野において充分な難燃性が確実に付与されるようにする方法については研究されていないことから、精度よく樹脂に対する難燃性付与性能を評価することにより、様々な用途において有用であり、かつ充分な難燃性が付与された樹脂組成物を調製することができれば、ハロゲン系化合物を全く用いない難燃化技術として有用であり、このような技術が切望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シリカの樹脂に対する難燃性付与性能を簡便に評価することができるシリカの難燃性付与性能の評価方法、並びに、該評価方法により判断される難燃性付与性能の優れたシリカ、及び、該シリカを含有してなる難燃性に優れる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、難燃性に優れる樹脂組成物に関し、樹脂に対する難燃性付与性能を評価する方法を検討するうち、シリカが樹脂に対して難燃性付与性能を有することに着目し、シリカが高温でシラノール基の脱水縮合によりHOを生じさせるような構造を有し、かつシリカ表面及び内部に存在する有機脱離基の濃度を一定水準にまで低下させると、電子材料等の分野においても充分に難燃性付与性能を発揮することを見いだした。そして、シリカを特定条件で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により得られる発熱量と、29Si−DD/MAS−NMR測定によって得られる積分強度比AQ3/AQ4とを組み合わせて評価し、判断することにより、充分な難燃性付与性能を確実に発揮することを見いだして上記課題をみごとに解決することができることに想到した。なお、積分強度比AQ3/AQ4におけるAQ3とは、ケイ素原子に隣接するSiO原子団の数が3つであるQシリカ成分のピーク面積値を表し、AQ4とは、ケイ素原子に隣接するSiO原子団の数が4つであるQシリカ成分のピーク面積値を表す。AQ3/AQ4は、それぞれのピークを波形分離により分離したピークの積分面積から算出される値である。また、このような評価方法により判断される難燃性付与性能の優れたシリカ、及び、該シリカを含有してなる難燃性に優れる樹脂組成物がハロゲン系化合物を全く用いない難燃化技術において有用であることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、シリカの樹脂に対する難燃性付与性能を評価する方法であって、上記シリカの難燃性付与性能の評価方法は、上記シリカを空気流通下で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により100℃〜400℃で確認される単位重量当たりの発熱量と、上記シリカを29Si−DD/MAS−NMR測定することにより得られる−120〜−80ppmの範囲に位置するピークを、Qシリカ成分とQシリカ成分とに分離して得られる積分強度比AQ3/AQ4とを組み合わせて評価するシリカの難燃性付与性能の評価方法である。
【0009】
本発明はまた、空気流通下で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により100℃〜400℃で確認される単位重量当たりの発熱量が3.0cal/g以下であり、かつ、29Si−DD/MAS−NMR測定により得られる−120〜−80ppmの範囲に位置するピークを、Qシリカ成分とQシリカ成分とに分離して得られる積分強度比AQ3/AQ4が0.001以上2.0以下であるシリカでもある。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明のシリカの難燃性付与性能の評価方法においては、示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により特定の条件下で測定される発熱量と、29Si−DD/MAS−NMR測定することにより得られる特定成分の積分強度比AQ3/AQ4とを組み合わせて評価することになる。このような評価方法は、シリカの樹脂に対する難燃性付与性能を簡便に評価するのに有用な方法である。
【0011】
上記発熱量の測定において、示差走査熱量計による示差走査熱量測定(DSC)及び/又は熱天秤による示差熱分析(TG−DTA)により、物質の発熱量を測定することができ、また、熱天秤(TG)により、加熱による物質の質量変化を測定し、この質量変化により発熱量を測定することができる。本発明においては、示差走査熱量測定により発熱量を求めてもよく、熱天秤による示差熱分析から発熱量を求めてもよいが、示差走査熱量測定及び熱天秤による示差熱分析から求めた発熱量の平均値を用いてもよい。
【0012】
上記示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析の測定では、乾燥空気0.1mL/分から5L/分の流量の雰囲気下において、25℃から600℃まで1℃/分から20℃/分の昇温速度で昇温することにより行うことが好ましい。また、本発明における発熱量としては、100℃〜400℃で確認される値をシリカの単位質量当たりの発熱量に換算して求めることが好ましい。
【0013】
上記積分強度比AQ3/AQ4の測定において、29Si−DD/MAS−NMR測定法は、ケイ素原子に関する固体NMR(核磁気共鳴)測定法の1つである。この測定法は、観測核に対して1回パルスを印加し、シグナルの取り込みの間だけHデカップルをする方法で、該オーバーハウザー効果によるシグナル強度の向上が起こらないため、定量性のあるシグナルが得られる。
上記29Si−DD/MAS−NMR測定の条件としては、例えば
核磁気共鳴装置:BRUKER社製 AVANCE400
測定核種:29Si(観測核共鳴周波数 79.487MHz)
測定モード:DD−MAS(ダイポールデカップリング/マジックアングルスピニング)法
照射パルス:10〜60度パルス
パルス繰り返し時間:60秒以上
積算回数:200〜10000回
試料回転数:3〜15kHz
観測温度:300K
外部基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウムを1.534ppm
と設定できる。照射パルスは測定核の緩和時間によって上記範囲内で調整してもよく、積算回数と試料回転数は測定時に用いるサンプルローター径に応じて上記範囲内で調整しても良い。
【0014】
上記積分強度比AQ3/AQ4におけるAQ3とは、ケイ素原子に隣接するSiO原子団の数が3つであるQシリカ成分のピーク面積値を表し、AQ4とは、ケイ素原子に隣接するSiO原子団の数が4つであるQシリカ成分のピーク面積値を表す。AQ3/AQ4は、それぞれのピークを波形分離により分離したピークの積分面積から算出される値を表す。また、上記測定条件においては、Qシリカ成分の存在を示すピークは−120〜−100ppmにピークトップを持ち、Qシリカ成分の存在を示すピークは−100〜−90ppmにピークトップを持つ。例えば、図1及び図2は、シリカを29Si−DD/MAS−NMR測定して得たチャートであるが、図1は、−108ppm付近と−99ppm付近にピークトップが観測されるので、−108ppm付近のピークをQシリカ成分の存在を示すピークとし、−99ppm付近のピークをQシリカ成分を示すピークとし、積分強度比AQ3/AQ4はそれぞれのピークの積分強度値より算出することが出来る。また、図2は、−108ppm付近にピークトップが観測されるので、これをQシリカ成分の存在を示すピークとし、Qシリカ成分の存在を示すピークは無いものとし、積分強度比AQ3/AQ4は0と算出される。
【0015】
本発明の評価方法においては、上記発熱量が3.0cal/g以下であり、かつ、上記積分強度比AQ3/AQ4が0.001以上2.0以下である場合にシリカの樹脂に対する難燃性付与性能が良好であると評価するのがよい。このような基準によりシリカの難燃性付与性能を評価することで、優れた難燃性付与性能を有するかどうかを簡便に判断することが可能となる。
上記シリカ表面及び内部に有機脱離基が存在する場合、その有機脱離基としては、例えば、アルコキシル基、アルキル基、フェニル基、フェノキシル基、アミノ基等が挙げられるが、これらは高温でシリカから脱離するため、空気に暴露されている場合では脱離後に燃焼して多量の発熱を発し、該シリカを含む樹脂組成物の発熱を促す。したがって上記発熱量は、シリカ表面及び/又は内部に存在する有機脱離基の燃焼に起因するものであり、シリカの樹脂組成物に対する難燃性付与性能に影響を及ぼす。さらにシリカの難燃性付与性能は、シリカ中にシラノール基(−Si−OH)が存在し、そのシラノール基が高温下において、脱水縮合してHOを生じることによっても発揮されるものであると考えられるが、発熱量及び積分強度比AQ3/AQ4が上記範囲内であると、シリカが難燃性付与性能に優れる程のシラノール基を充分に有していると考えられる。
このように本発明のシリカの難燃性付与性能の評価方法における上記発熱量が3.0cal/g以下であり、かつ、上記積分強度比AQ3/AQ4が0.001以上2.0以下であるシリカは、樹脂に対する優れた難燃性付与性能を有することになる。
このような空気流通下で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により100℃〜400℃で確認される単位重量当たりの発熱量が3.0cal/g以下であり、かつ、29Si−DD/MAS−NMR測定により得られる−120〜−80ppmの範囲に位置するピークを、Qシリカ成分とQシリカ成分とに分離して得られる積分強度比AQ3/AQ4が0.001以上2.0以下であるシリカもまた、本発明の一つである。
【0016】
上記シリカの製造方法としては、加水分解性のシラン化合物を加水分解する工程と、該加水分解する工程により得られる加水分解物を縮合する工程とを含んでなる製造方法が好適であるが、好ましくは、加水分解及び縮合反応の温度を、0℃以上150℃以下の範囲とすることである。
【0017】
上記加水分解性のシラン化合物としては、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物が好ましい。
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(1);
Si(OR (1)
(式中、Rはアルキル基又はアシル基を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(2);
(RSi(OR - (2)
(式中、Rは一般式(1)と同様である。Rは有機基を表し、pは1〜3の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
【0018】
上記加水分解性のシラン化合物であるアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を次に示す。
Si(OR+4HO(加水分解)→Si(OH)+4ROH
Si(OH)→Si(OH)O→SiO(縮合物)
(式中、Rはアルキル基又はアシル基を表す。)
【0019】
上記一般式(1)及び(2)におけるRのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Rのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
【0020】
上記一般式(2)におけるRの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
【0021】
上記加水分解性のシラン化合物であるアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0022】
上記加水分解及び縮合反応においては反応を促進するために、金属キレート化合物を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記金属キレート化合物としては、Zr(OR(RCOCHCOR - 、Ti(OR(RCOCHCOR - 、及び、Al(OR(RCOCHCOR - からなる群より選択される1種以上の化合物やこれらの部分加水分解物等が好適である。
【0023】
上記金属キレート化合物におけるR及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜6の有機基を表し、Rは、炭素数1〜6の有機基又は炭素数1〜16のアルコキシル基を表し、q及びrは、0〜3の整数、sは、0〜2の整数である。R及びRにおける炭素数1〜6の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が好適である。また、Rにおける炭素数1〜16のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好適である。
【0024】
上記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が好適である。これらの中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
【0025】
上記金属キレート化合物の使用量としては、上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、樹脂に混合され成形品となった場合に、表面外観が低下するおそれがある。より好ましくは、20重量部以下であり、更に好ましくは、10重量部以下である。
【0026】
上記加水分解性のシラン化合物であるアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物、及び、これらを加水分解及び縮合して得られたシリカには、コロイド状シリカ及び/又はコロイド状アルミナを配合することができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記コロイド状シリカとは、高純度の無水ケイ酸を、水及び/又は親水性有機溶媒に分散した分散液であり、その平均粒子径は、5〜100nm、好ましくは10〜50nmで、固形分濃度は、10〜40質量%程度のものである。コロイド状シリカとしては、スノーテックス、イソプロパノールシリカゾル、メタノールシリカゾル(いずれも商品名、日産化学工業社製)、カタロイド、オスカル(いずれも商品名、触媒化成工業社製)、Ludex(商品名、米国デュポン社製)、Syton(商品名、米国モンサント社製)、Nalcoag(商品名、米国ナルコケミカル社製)等が好適である。
【0027】
上記コロイド状アルミナとは、水を分散媒とする、pH2〜6の範囲のアルミナゾル、あるいは親水性有機溶媒を分散媒とするアルミナゾルであり、その平均粒子径は、5〜200nm、好ましくは10〜100nmで、固形分濃度は、5〜30質量%程度のものである。アルミナとしては、合成アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト等が好適である。コロイド状アルミナとしては、アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520(いずれも商品名、日産化学工業社製)等が好適である。
【0028】
上記コロイド状シリカ及び/又はコロイド状アルミナの配合量としては、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物、シリカの固形分100重量部に対して、固形分換算で、60重量部以下が好ましい。60重量部を超えると、樹脂に混合され成形品となった場合に、成形品表面外観が劣るおそれがある。好ましくは、40重量部以下である。
【0029】
本発明のシリカは、難燃性付与性能に優れるので、該シリカを含有してなる樹脂組成物は、優れた難燃性を有することになる。このような樹脂組成物もまた、本発明の一つである。
本発明の樹脂組成物における樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、多価フェノール化合物等のフェノール樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、HIPS、ポリスチレン等のスチレン系樹脂等を挙げることができるが、本発明の樹脂組成物を電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等の材料として用いる場合においては、熱硬化性を有し、その硬化物が物性や耐熱性等に優れ、かつ電気絶縁性に優れるという特性を有するので、多価フェノール化合物及び/又はエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものであることが好ましい。
上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
【0031】
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造を有することが好ましい。
なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよい。
【0032】
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等において、樹脂組成物が難燃性の充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
【0033】
上記多価フェノール化合物としてはまた、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格を形成する化合物(以下、芳香族骨格を形成する化合物ともいう)と、炭素数が2以上の有機骨格を形成する化合物(以下、有機骨格を形成する化合物ともいう)とを必須成分とする反応原料によって製造されるものであることが好適である。
【0034】
上記反応原料とは、芳香族骨格を形成する化合物と、有機骨格を形成する化合物とを必須成分とし、必要により用いられる他の化合物を含み、また、反応を行うために必要により用いられる溶剤等を含む混合物を意味する。なお、芳香族骨格を形成する化合物、及び、有機骨格を形成する化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、芳香族環に1個又は2個以上のフェノール性水酸基が結合する化合物であればよく、1個又は2個以上の水酸基以外の置換基が結合していてもよい。
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等が好適である。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が好適であり、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格を形成する化合物も好適である。
【0036】
上記有機骨格を形成する化合物としては、(1)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基及びα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物、(2)不飽和結合を有する化合物、(3)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物、(4)これら特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物、(5)アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基及びジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物等が好適である。
【0037】
上記(1)の芳香族系化合物としては、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−ジアセトキシメチルベンゼン、m−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールジメチルエーテル、m−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイロプロピルベンゼン、4,4′−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4′−メトキシメチルビフェニル、4,4′−アセトキシメチルビフェニル、3,3′−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3′−メトキシメチルビフェニル、3,3′−アセトキシメチルビフェニル、4,4′−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4′−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4′−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3′−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3′−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3′−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適である。
【0038】
上記(2)の不飽和結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン類等が好適である。
上記(3)のカルボニル基を有する化合物としては、炭素数5〜15の各種アルデヒド類又はケトン類が好適であり、ベンズアルデヒド、オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、スベルアルデヒド等が好ましい。
【0039】
上記(4)の特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物において、カルボニル基と不飽和結合とを有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。
また、α−ヒドロキシアルキル基又はα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
【0040】
上記(5)のアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、及び、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン、尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素、エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、m−キシリレンジアミン、m−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、4,4′−オキシジアニリン、4,4′−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4′−メテレンジアニリン、4,4′−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等が好適である。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン骨格を有する化合物等が好ましい。
【0041】
上記反応原料としては、芳香族骨格を形成する化合物(以下、原料Aともいう)と、上記(1)〜(5)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料Bともいう)とを必須成分とすることが好ましい。より好ましくは、原料Aと、上記(1)〜(4)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B1ともいう)と、上記(5)の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B2ともいう)とを必須成分とすることである。この場合の反応原料の反応順序としては、反応開始前に原料A、原料B1及び原料B2をあらかじめ混合させておき、原料Aと原料B1との反応が完結する前に原料B2を反応させることが好ましく、例えば、原料Aと原料B1と原料B2とを同時に反応させるか、又は、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることが好ましい。これにより、樹脂組成物の難燃性をより確実に向上させることができ、また、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適に適用することができるものとなる。より好ましくは、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることである。
【0042】
上記多価フェノール化合物を製造するときに用いる原料Aと原料Bとの配合モル比としては、1/1以上が好ましく、また、10/1以下が好ましい。1/1よりも原料Aが少ないと、本発明の樹脂組成物の製造の際にゲル化するおそれがあり、10/1よりも原料Aが多いと、樹脂組成物の難燃性が発現しにくくなるおそれがある。より好ましくは、樹脂組成物が高温度で高強度を発揮することが可能となることから、1.3/1以上であり、また、8/1以下である。更に好ましくは、1.8/1以上であり、また、5/1以下である。
【0043】
上記多価フェノール化合物は、上記反応原料を触媒の存在下に反応させてなるものであることが好ましい。多価フェノール化合物の製造に用いることができる触媒としては、上記反応原料を反応させることができるものであればよい。
上記触媒において原料B1を反応させる場合には、酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の無機酸や有機スルホン酸の他、三フッ化ホウ素若しくはその錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸等の超強酸、活性白土、合成ゼオライト、スルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒等が好適である。
上記原料B1を反応させる場合の触媒の使用量としては、それぞれの酸強度によって適宜設定されるが、原料B1に対して、0.001〜100質量%が好ましい。これらの範囲で均一系となるような触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が好ましく、これらの使用量としては0.001〜5質量%が好ましい。不均一系のイオン交換樹脂や活性白土等の使用量としては、1〜100質量%が好ましい。
【0044】
上記触媒において原料B2を反応させる場合には、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が好適であり、酸触媒としては、塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、酢酸亜鉛等の2価金属塩等の塩基性触媒が好適である。また、本発明の樹脂組成物が電気電子材料用のエポキシ樹脂硬化剤として使用される場合には、金属等の無機物が触媒残として残ることは好ましくないことから、塩基性触媒としてはアミン類、酸性の触媒としては有機酸を使用するのが好ましい。
また、原料B2の反応後に必要に応じて、中和、水洗して塩類などの不純物を除去することが好ましい。なお、触媒としてアミン類を使用した場合には中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
【0045】
上記多価フェノール化合物は、原料Aにおける芳香環と、原料Bにおける置換基とが縮合して得られることになるが、この際に多価フェノール化合物と共にカルボン酸やアルコール、水等が副生することになる。このように副生するカルボン酸やアルコール、水は、反応中や反応後に減圧下で留去したり、溶媒との共沸等の操作を行ったりすることにより煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことが可能である。なお、反応生成物とは、上記のように反応させることにより得られるものすべてを含む混合物を意味し、多価フェノール化合物や副生するカルボン酸やアルコール、水の他に、必要に応じて用いられる触媒や後述する溶媒等を含むことになる。
【0046】
上記多価フェノール化合物の製造での反応条件において、反応温度としては、副生するカルボン酸や、アルコール、水等が揮発して留去される温度とすることが好ましく、100〜240℃とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃であり、更に好ましくは、130〜160℃である。このように、多価フェノール化合物の製造では、カルボン酸等が副生することになるが、反応生成物から容易に取り除くことが可能である。また、使用する原料、触媒の種類や量、反応温度等に依存するが、反応時間としては、原料Aと原料Bとの反応が実質的に完結するまで、すなわちカルボン酸やアルコール、水が生じなくなるまでとすることが好ましく、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。
【0047】
上記多価フェノール化合物の製造における反応方法としては、溶媒の存在下で反応を行ってもよく、溶媒としては、原料Aと原料Bとの反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等を用いることができる。溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化することができる。また、原料B1を反応させる場合には無溶媒で反応を行うことが好ましい。
【0048】
上記多価フェノール化合物の製造において、反応生成物からカルボン酸、アルコール、水等の副生物や溶媒を取り除く場合、0.1〜10kPaの減圧下、上記温度で蒸留することにより留去させることが好適である。このとき、未反応のフェノール類も留去されることもあるため、反応が実質的に完結した後に行うことが好ましい。
【0049】
本発明の樹脂組成物における樹脂として好適であるエポキシ樹脂としては、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物であればよく、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフトール、ハイドロキノン等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。
【0050】
上記エポキシ樹脂の製造方法としては、多価フェノールを多官能グリシジルエーテル化する方法が好適である。
上記グリシジルエーテル化としては、公知の方法が適用でき、例えば、多価フェノールとエピハロヒドリンを、通常、アルカリ金属水酸化物の存在下で40〜120℃の温度で5〜24時間撹拌することにより反応生成物を得る方法等が好適である。
上記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が好適であり、多価フェノールとエピハロヒドリンの加熱混合物に徐々に添加し、反応混合物のpHを6〜10で保持するようにするのが好ましい。
【0051】
上記エピハロヒドリンとしては、多価フェノールのヒドロキシル基に対して2〜30倍当量、好ましくは2〜10倍当量の過剰量のエピハロヒドリンが用いられる。反応後、未反応のエピハロヒドリンは、減圧留去、又は各種溶剤との共沸等によって除去された後、未反応のアルカリ金属化合物及び反応副生塩は水洗等により除去されることが好ましい。また、4級アンモニウム塩、ホスフォニウム塩等の相間移動触媒の存在下で通常40〜120℃の温度でエピハロヒドリンを多価フェノールに付加した後、前述のアルカリ金属水酸化物を添加して通常40〜120℃の温度で閉環する反応によってもグリシジルエーテル化は可能である。得られるエポキシ樹脂は、エポキシ当量220〜300g/eqであることが好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物が樹脂として多価フェノール化合物を用いてなる場合においては、(1)上述したように多価フェノール化合物とシリカとをそれぞれ製造した後に混合する方法、(2)多価フェノール化合物を製造し、その多価フェノール化合物を含有してなる溶液中で、加水分解性のシラン化合物であるアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合してシリカを得ることで混合する方法、(3)上述の多価フェノール化合物用反応原料を含有してなる溶液中でアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合してシリカを得た後、多価フェノール化合物を製造することで混合する方法等が好適であるが、(2)又は(3)の方法が好ましい。
【0053】
上記(2)の樹脂組成物の製造方法としては、まず、上述したように多価フェノール化合物を製造し、その多価フェノール化合物を含有してなる溶液を調製する。次に、その溶液にアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物と、水又はそれを含有する溶媒とを投入して、加水分解及び縮合反応を行うことになる。
【0054】
上記多価フェノール化合物を含有してなる溶液としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等の親水性有機溶媒等の溶媒に多価フェノール化合物を含有したものが好適である。また、必要に応じて、その他の溶媒等を添加してもよい。
上記溶媒の使用量としては、多価フェノール化合物100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、また、500重量部以下が好ましい。より好ましくは、20重量部以上であり、また、200重量部以下である。
上記その他の溶媒としては、メタノール、エタノール等が好適である。
【0055】
上記(3)の樹脂組成物の製造方法としては、まず、上述したような多価フェノール化合物用反応原料を含有してなる溶液中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合してシリカを得る。次に、シリカが含有している溶液中で、多価フェノール化合物用反応原料を反応させることで多価フェノール化合物を合成し、本発明の樹脂組成物を製造することになる。
【0056】
上記多価フェノール化合物用反応原料を含有してなる溶液としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等の親水性有機溶媒等の溶媒に多価フェノール化合物用反応原料を含有したものが好適である。また、必要に応じて、その他の溶媒等を添加してもよい。
【0057】
上記製造方法によって得られた樹脂組成物としては、シリカの含有率が、樹脂組成物を100質量%とすると、3質量%以上であることが好ましく、また、150質量%以下であることが好ましい。3質量%未満であると、優れた難燃性が発現しないおそれがあり、150質量%を超えると、ハンドリング性が低下して成型性が悪くなるおそれがある。より好ましくは、5質量%以上であり、また、100質量%以下である。
【0058】
本発明の樹脂組成物は、用いる樹脂等によって適宜好適な方法で硬化させることができ、高温下でのプレス成形、焼付け等により熱硬化させることが好適であるが、樹脂としてエポキシ樹脂を用いた樹脂組成物を硬化させる場合、エポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができる。
上記硬化剤としては、例えば、ビス(4−アミノフェニル)メタン、アニリン/ホルムアルデヒド樹脂、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、プロパン−1,3−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエトキシトリアミン、トリエチレンテトラミン、2,2,4−トリメチルヘキサミン−1,6−ジアミン、m−キシレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等のアミン化合物;脂肪族ポリアミン;これらアミン類と2〜3量化脂肪酸から得られるポリアミノアミド:フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル等を縮合反応させて得られる多価フェノール;無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の酸無水物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0059】
本発明のシリカ、及び、該シリカを含有した樹脂組成物は、建材、ハウジング類、積層板、ビルドアップタイプ配線基板、封止剤(具体的には、半導体用封止剤)、注型材や、機械部品、電子・電気部品、車両、船舶、航空機等に用いられる成形物の成形材料や、接着剤、電気絶縁塗料等の製造原料として好適に用いることができるものである。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0061】
(製造例1)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、攪拌棒付きの4つ口2Lフラスコに、p−キシリレングリコール302.6g、フェノール687.0g、p−トルエンスルホン酸12.6gを仕込み、窒素気流中で昇温を開始した。115℃付近から水が生成し始め、トラップに水を補集しながら150℃まで昇温し、6時間保持した。水を79g回収したところで水の生成が終了したので、60℃まで冷却した後、メタノール176gを投入した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、60℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン336.4gと水157.8gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間かけて投入し、投入後60℃で4時間保持した。更に窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに補集しながら180℃まで攪拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の多価フェノール組成物Aを得た。収量619g、熱軟化温度は52℃、水酸基価は193g/mol、無機化合物含有率は20.7%だった。
【0062】
(製造例2)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、攪拌棒付きの4つ口1Lフラスコにフェノール432.9g、ベンゾグアナミン172.2g、37%ホルムアルデヒド溶液179.2gを仕込み、窒素気流中で60℃で白濁溶液を攪拌しながらアンモニア水9mlを滴下した。反応液が透明になったところで80℃まで昇温し、攪拌しながら4時間保持し、反応液の昇温を再開した。100℃付近から留去しはじめた生成水をトラップに補集しながら180℃まで昇温し、4時間保持した。水を160g回収したところで水の生成が終了したので60℃まで冷却した後、メタノール100gと酢酸8.3gを投入した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、60℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン210.1gと水99.4gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間かけて投入し、投入後60℃で4時間保持した。更に窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに補集しながら180℃まで攪拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の多価フェノール組成物Bを得た。収量486g、熱軟化温度は98℃、水酸基価は204g/mol、無機化合物含有率は16.5%だった。
【0063】
(製造例3)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、攪拌棒付きの4つ口2Lフラスコに、メタノール109.0gを仕込み、4つ口フラスコ内のメタノール液中にPTFEチューブを2本差し込んで、室温に温度を保ちながらテトラメトキシシラン251.2gと15%アンモニア水142.0gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間かけて投入し、投入後60℃で4時間保持した。次にメラミン・フェノール類樹脂(商品名「エピキュアYLH969」、水酸基価148g/mol、軟化点温度118℃、窒素含有率15%、ジャパンエポキシレジン社製)421gを反応器内に投入して60℃にて溶解し、窒素気流中で昇温を開始した。65℃付近からメタノールが留去しはじめ、メタノール、未反応の水をトラップに補集しながら180℃まで攪拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の多価フェノール組成物Cを得た。収量521g、熱軟化温度は123℃、水酸基価は183g/mol、無機化合物含有率は19.2%だった。
【0064】
(製造例4)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、攪拌棒付きの4つ口1Lフラスコに、メタノール109.0gを仕込み、4つ口フラスコ内のメタノール液中にPTFEチューブを2本差し込んで、室温に温度を保ちながらテトラメトキシシラン251.2gと15%アンモニア水142.0gをそれぞれ別々のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間かけて投入し、投入後60℃で4時間保持した。生成物を室温まで冷却後、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで白色粉末を回収したのち、空気流通下、600℃、2時間の条件で焼成し、室温まで冷却後にメノウ乳鉢で粉砕した。この粉末を、ガスインスレット、攪拌棒付きの4つ口1Lフラスコ中で150℃で溶融状態にあるメラミン・フェノール類樹脂(商品名「エピキュアYLH969」、水酸基価148g/mol、軟化点温度118℃、窒素含有率15%、ジャパンエポキシレジン社製)421g中に添加し、冷却後に乳白色固形の多価フェノール組成物Dを得た。収量518g、熱軟化温度は123℃、水酸基価は183g/mol、無機化合物含有率は19.0%だった。
【0065】
(製造例5)
製造例2において、テトラメトキシシランの加水分解時に投入する水の量を減らして45.0gとした以外は、製造例2と同等の手順で製造を行い、乳白色固形の多価フェノール組成物Eを得た。収量493g、熱軟化温度は98℃、水酸基価は204g/mol、無機化合物含有率は16.0%だった。
【0066】
(製造例6)
ガスインレット、攪拌棒付きの4つ口1Lフラスコ中で150℃で溶融状態にあるメラミン・フェノール類樹脂(商品名「エピキュアYLH969」、水酸基価148g/mol、軟化点温度118℃、窒素含有率15%、ジャパンエポキシレジン社製)421g中に、市販溶融シリカ(商品名「PLR−6」、平均粒径4.1μm、龍森社製)99.1gを添加し、冷却後に乳白色固形の多価フェノール組成物Fを得た。収量518g、熱軟化温度は123℃、水酸基価は183g/mol、無機化合物含有率は19.0%だった。
【0067】
(多価フェノール組成物中のシリカの評価例)
上記多価フェノール組成物A〜Fをテトラヒドロフランの入ったスクリュー瓶中に入れ、シェイカーで2時間攪拌したところ、白濁溶液が得られた。これを遠心分離器にかけて、更に1日静置させることで不溶分を沈降させ、上澄み液のみを除去してスラリーに再度テトラヒドロキシフランを入れた。この作業を3回繰り返して得られたスラリーを孔径0.025μmのメンブレンフィルターで濾過して各多価フェノール組成物中のシリカを単離した。
【0068】
得られたシリカはDSC(DSC−3100、マックサイエンス社製)を用いて100℃〜400℃の間に出現する発熱ピークの発熱量を測定した。測定条件は、昇温速度:10℃/min、測定温度領域:25〜600℃、測定雰囲気:乾燥空気、流量150mL/minとした。
【0069】
また、得られたシリカ固体は、BRUKER社製AVANCE400を用いて29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを観測した。測定条件は、測定核を29Si(観測共鳴周波数79.487MHz)、測定モードをDD/MAS(ダイポールデカップリング)法、照射パルスを20〜45度パルス、パルス繰り返し時間を60秒、積算回数を200〜5000回、試料回転数を3〜10kHz、観測温度を300Kとした。また、3−(トリメチルシリル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウムを外部基準物質とし、観測されるピークを1.534ppmとした。−110〜−80ppmの範囲に出現したピークは、波形分離処理を行ってQシリカ成分及びQシリカ成分をそれぞれ抽出し、その積分強度値から積分強度比AQ3/AQ4を算出した。
【0070】
(多価フェノール組成物の評価例)
上記多価フェノール組成物A〜Fを、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名「YDF−170」、エポキシ当量169.5g/mol、東都化成社製)、トリフェニルホスフィンを表1に示す組成で混合し、110℃でバッチ混練して均一な混合物とした後、平板用金型に移して180℃、0.98MPa、2時間の条件でプレス成形を行い、平板状の硬化物を得た。硬化物の難燃性はUL−94試験法に準じて調べた。
【0071】
(結果)
単離したシリカの分析結果を表1に示す。実施例1〜3には多価フェノール組成物A〜C中のシリカの分析結果が、比較例1〜3には多価フェノール組成物D〜F中のシリカの分析結果がそれぞれ記されている。
実施例1〜3では、AQ3/AQ4が0.001以上であり、100℃〜400℃の間の発熱ピークは極微小であることから、シリカ中にシラノール基が多量に存在することが示唆される。比較例1及び3では、AQ3/AQ4が0であり100℃〜400℃の間の発熱ピークは極微小であることから、シリカ中にシラノール基は全く存在しないことが、比較例2では、AQ3/AQ4が比較的大きく、100℃〜400℃の間の発熱ピークが大きいことから、シリカ中にシラノール基以外の可燃性の有機基が多量に存在することが、それぞれ示唆される。
【0072】
上記硬化物の難燃性を表1に示す。実施例1〜3には多価フェノール組成物A〜Cを用いた硬化物の難燃性が、比較例1〜3には多価フェノール組成物D〜Fを用いた硬化物の難燃性がそれぞれ記されている。
実施例1〜3では、UL−94試験法によってV−0の難燃性が発現しているのに対し、比較例1〜3では、難燃性がV−0に到達しなかった。この結果は表1で示唆されたシリカ中のシラノール基の存在に相関していた。このことから、シリカ添加による難燃性の発現は、シリカの29Si−DD/MAS−NMRスペクトルで確認されるQピークのQピークに対する強度比、及び、DSCスペクトル中の100℃〜400℃の間の発熱量から容易に推察できることを意味している。
【0073】
【表1】
Figure 0004066152
【0074】
表1において、「YDF−170」とは、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名、エポキシ当量169.5g/mol、東都化成社製)を意味する。
【0075】
【発明の効果】
本発明のシリカの難燃性付与性能の評価方法は、上述のような構成からなるので、シリカの樹脂に対する難燃性付与性能を簡便に評価することができ、この評価方法によって難燃性付与性能の優れたシリカ、及び、該シリカを含有してなる難燃性に優れる樹脂組成物を簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、シリカの29Si−DD/MAS−NMR分析のチャートである。
【図2】図2は、シリカの29Si−DD/MAS−NMR分析のチャートである。

Claims (3)

  1. シリカの樹脂に対する難燃性付与性能を評価する方法であって、該シリカの難燃性付与性能の評価方法は、
    該シリカを空気流通下で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により100℃〜400℃で確認される単位重量当たりの発熱量と、
    該シリカを29Si−DD/MAS−NMR測定することにより得られる−120〜−80ppmの範囲に位置するピークを、Qシリカ成分とQシリカ成分とに分離して得られる積分強度比AQ3/AQ4とを組み合わせて評価する
    ことを特徴とするシリカの難燃性付与性能の評価方法。
  2. 空気流通下で示差走査熱量測定及び/又は示差熱分析により100℃〜400℃で確認される単位重量当たりの発熱量が3.0cal/g以下であり、かつ、29Si−DD/MAS−NMR測定により得られる−120〜−80ppmの範囲に位置するピークを、Qシリカ成分とQシリカ成分とに分離して得られる積分強度比AQ3/AQ4が0.001以上2.0以下である
    ことを特徴とするシリカ。
  3. 請求項2記載のシリカを含有してなる
    ことを特徴とする樹脂組成物。
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