JP2009013228A - カラーフィルタ用インクジェットインク及びそれを用いたカラーフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドから吐出し着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで広がり、硬化性及び基板との密着性に優れたカラーフィルタ用インクジェットインク及びそれを用いて得られるカラーフィルタを提供する。
【解決手段】(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物、(B)顔料、(C)分子内に基板密着性基を有する化合物、及び、(D)溶剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインクであり、さらに、(E)酸を発生させる化合物、(F)バインダーを含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタの画素部(着色層)に代表される如き所定パターンの着色硬化層形成に用いられるカラーフィルタ用インクジェットインク、当該インクジェット用インクを用いて作製されたカラーフィルタに関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることからコストダウン、生産性向上の要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウン、生産性向上の要求が高い。このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。しかし、インクの蒸発速度が早すぎると、吐出ヘッドのノズル先端でインクの粘度が急激に増加してインク滴の飛行曲がりが発生したり、時間を空けて間歇的に吐出すると目詰まりを起こして再吐出できなくなったりする。
また、インクジェット方式で基板上に着色インクを吹き付けた時に、乾燥速度が速すぎるとインク層表面が吐出直後の波打ったまま又は傾いたままの状態で固化してしまいレベリングが不十分となり、一方、乾燥速度が遅すぎると加熱プロセスによって完全に乾燥させることが困難になるか又は乾燥可能であっても能率が悪い。従って、吐出性能のみ考えれば乾燥し難いインクを用いれば良いことになるが、インク層を完全に乾燥させるためには適度な乾燥性も必要になる。カラーフィルタの着色剤としては顔料を用いることが多いが、カラーフィルタ用インクの顔料分散性が悪いと、顔料粒子同士の凝集により吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす。従って、着色剤として顔料を用いる場合には、顔料分散性もインクの吐出性能に影響を与える。
目詰まり抑制の技術としては、着色剤、バインダー樹脂、及び、常圧における沸点が250℃以上の溶媒を含有するインクジェット方式カラーフィルタ用樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この樹脂組成物は高沸点の溶剤を用いているので、吐出ヘッドのノズル先端でインクが乾燥し難く、目詰まりを起こし難い。しかし、インクを基板上に吐出した後は、インク層を乾燥させる過程において、乾燥し難い湿潤剤や高沸点溶剤が最後まで残り、完全に乾燥させることが困難となり、生産性に問題が生じる。
このような問題点をうけて、本発明者らは、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができるカラーフィルタ用インクジェットインクとして、バインダー成分、顔料、及び、溶剤をからなり、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、前記溶剤の全量に対して90重量%以上の割合で含有するカラーフィルタ用インクジェットインクを提案した(特許文献3、参照)。
このインクにより、吐出性、乾燥速度の問題は解決されたものの、インクジェット方式を用いたカラーフィルタの製造に関する技術の検討が進むにつれ、より優れた画質のカラーフィルタを実現することが求められている。
即ち、インクジェット方式用の基板に対し、インクがそれぞれの画素に対応するブラックマトリクスの間隙に安定に塗出しうるとともに、着弾したインクがブラックマトリックスの枠内に均一に広がることができ、ガラスなどの基板への親和性に優れたインク、塗出後の乾燥時における硬化収縮が抑制され、ブラックマトリックス内の区画された領域内において安定的に形状を再現よく維持するとともに、効率的に硬化しうるインク、基板への密着性が向上し、結果として、インクを塗出し、加熱や露光により硬化させた後、保護膜を塗布する際の溶剤との接触、或いは、使用時の取り扱いにおいても、傷つきや基板からの剥れのない着色パターンを形成しうるカラーフィルタ用インクジェットインクが求められている。
特開昭59−75205号公報 特開2000−310706号公報 特開2002−201387号公報
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、ヘッドから吐出し着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで広がり、インクジェットにより形成された画像の平坦性に優れ、また、硬化性及び基板との密着性に優れたカラーフィルタ用インクジェットインクを提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、前記本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクを用いることで得られる、硬化性が良好で基板との密着性に優れ、色抜けなく均一性の高い画素部を備えたカラーフィルタを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、特定の基板密着性に優れた化合物を用いることにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 少なくとも(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物、(B)顔料、(C)分子内に基板密着性基を有する化合物、及び、(D)溶剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク。
<2> (E)酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物を含有することを特徴とする<1>記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
<3> (F)バインダーを含有する<1>又は<2>記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
<4> 支持体上に、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のカラーフィルタインクジェットインクにより形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
本発明によれば、ヘッドから吐出し着弾したインク滴が適度な濡れ広がり性を有し、インク層形成領域全体の隅々にまで広がるとともに、硬化性及び基板との密着性に優れたカラーフィルタ用インクジェットインクを提供することができる。
また、本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクを用いることで、硬化性が良好で基板との密着性に優れ、色抜けなく均一性の高い画素部を備えたカラーフィルタを提供することができる。
なお、以下、本明細書において「光」とは、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線を包含し、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。即ち、「光」は、具体的には、「波長5μm以下の電磁波、及び電子線」のことを言う。
また、本発明において、「(メタ)アクリル」と記載した場合、アクリル及びメタクリルのいずれか或いは双方を指し、同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレート、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの、それぞれいずれか或いは双方を意味する。
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、少なくとも(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物、(B)顔料、(C)分子内に基板密着性基を有する化合物、及び、(D)溶剤を含有するものであり、これらの成分について順次説明する。
まず、本発明の特徴的成分である(C)分子内に基板密着性基を有する化合物について述べる。
<(C)分子内に基板密着性基を有する化合物>
本発明において用いられる「分子内に基板密着性基を有する化合物(以下、適宜、
密着剤と称する)」は、分子内に基板との密着性に優れる官能基を有し、且つ、インクジェット用インクに可溶な化合物であれば特に制限はない。
基板密着性基は、基板に用いられる硬質材料表面との間に、共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、及び、ファンデルワールス相互作用からなる群から選ばれる何らかの相互作用を形成することが可能な基であり、具体的には、酸基、酸のエステル基、酸オニウム塩、酸金属塩、加水分解によりシラノール基を生成する置換基、オニウム基、フェノール性水酸基、両性イオン性基、及び、キレート性基からなる群より選ばれる1種以上の部分構造を有する基が挙げられる。
本発明のインクジェットインクは、カラーフィルタの着色パターン形成に使用されるが、カラーフィルタ用の基板としては、ガラス、シリコン基板などの無機材料、或いは、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどの有機樹脂材料などが挙げられる。これらのなかでも、透明な硬質材料またはシリコン基板から選ばれるものが好適に挙げられ、特にガラス基板またはシリコン基板が好ましい。
これらの基板との相関を考慮して選択される好ましい密着性基の例としては、例えば、スルホン酸基、ホスホン酸基およびこれらのエステル基またはその塩、カルボキシル基およびその塩、アンモニウム基、ピリジニウム基、アセチルアセトン基、加水分解によりシラノール基を生成する置換基からなる群から選ばれる官能基が挙げられ、なかでも、アンモニウム基、加水分解によりシラノール基を生成する置換基、ホスホン酸基およびそのエステル基が好ましい。
本発明において(C)密着剤として用いることができる化合物としては、分子内にシリル基を有する化合物が挙げられ、より具体的には、下記一般式(I)で示される有機シラン化合物が挙げられる。
Figure 2009013228
一般式(I)中、Lは1価の有機基を表し、R及びRは各々独立に炭化水素基を表す。nは1〜3の整数を表す。
一般式(I)中、Lは1価の有機基であるが、経時安定性の観点で、その構造内にエチレン性二重結合を有しない有機基であることが望ましい。
一般式(I)は、本発明の硬化性組成物の光硬化させた場合の硬化性の観点、および、硬化部以外を現像等の工程により除去する場合の除去性の観点から、より好ましくは一般式(II)で表される有機シラン化合物、即ち、親水性部位を含む1価の有機基を有するシラン化合物が好ましい。
Figure 2009013228
L’は親水性部位を含む1価の有機基を表し、R及びRは各々独立に炭化水素基、nは1〜3の整数を示す。
〜親水性部位の説明〜
ここで、1価の有機基L’に含まれる親水性部位とは、水に代表される高極性物質との親和性が高い有極性の原子団を表し、例えば酸素、窒素、硫黄、リンなどの原子を含む。このような親水性部位として、水に代表される高極性物質との双極子−双極子相互作用、双極子−イオン相互作用、イオン結合、水素結合等が可能な部位が挙げられる。
親水性部位の例としては、酸素、窒素、硫黄などの原子を含む極性基や解離基、水素結合ドナー、水素結合アクセプター、複数の孤立電子対を有しこれらが集まって親水場を提供できる部位等が挙げられ、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、チオカルボニル基、メルカプト基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基などの親水性基、スルホンアミド部位、ウレタン部位、チオウレタン部位、アミド部位、エステル部位、チオエーテル部位、ウレア部位、チオウレア部位、オキシカルボニルオキシ部位、アンモニウム基、2級アミン部位、3級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)、および下記構造式で表される部分構造などの親水性部位等が挙げられる。
Figure 2009013228
上記構造式中、M、M、Mはそれぞれ独立に水素原子、1価の金属原子、又は、NR を表し、ここで、Rは炭素数1〜4の炭化水素鎖を表す。
このような親水性部位のなかでも、経時安定性の観点から、後に説明する(A)成分に包含される化合物であるエチレン性不飽和二重結合を含有する化合物のエチレン性二重結合に対してマイケル付加反応を起こさない構造がより好ましく、したがって、そのような観点からは、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、ウレタン部位、チオウレタン部位、アミド部位、エステル部位、チオエーテル部位、ウレア部位、チオウレア部位、オキシカルボニルオキシ部位、アンモニウム基、3級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)、および下記構造式で表される部分構造が好ましい。
Figure 2009013228
また、前記一般式(II)の部分構造である−Si(OR 3−nが加水分解反応を受けると、硬化性組成物が経時により増粘などの要因となることがあり、このような加水分解反応を誘発しにくいという観点からは、親水性部位のなかでも、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオカルボニル基、ウレタン部位、チオウレタン部位、アミド部位、エステル部位、チオエーテル部位、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、ウレア部位、チオウレア部位、3級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)が好ましく、ヒドロキシ基、ウレタン部位、チオウレタン部位、アミド部位、スルホンアミド部位、エステル部位、ウレア部位、チオウレア部位、3級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)が更に好ましく、ヒドロキシ基、ウレタン部位、チオウレタン部位、ウレア部位、3級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)が最も好ましい。
(C)密着剤に用いうる有機シラン化合物の分子内に、前記した親水性部位は少なくとも1つ有することが好ましく、複数有することがより好ましい。複数の親水性部位が分子内に存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、R及びRは各々独立に炭素数1〜6の炭化水素基が好ましく、この炭化水素基は置換基を有するものであってもよい。これらのなかでも直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基などが好ましい。R及びRの好ましい例を挙げれば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基であり、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。
nは1〜3の整数を表し、安定性の観点から好ましくは3である。
上記(C)密着剤として好適な特定有機シラン化合物の更に好ましい例としては下記一般式(III)または一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009013228
上記一般式(III)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表す。このR及びRは一般式(I)又は(II)におけるのと同義であり、好ましい例も同様である。
は炭素数1〜12の炭化水素鎖を表す。なお、Rは、その鎖状構造中に環構造、不飽和結合を有していてもよい。また、この炭化水素基は置換基を有するものであってもよく、また、その構造内に1価の親水性部位を有していてもよい。ここでいう親水性部位とは、前記L’において説明したのものうち、1価の親水性部位として挙げたものを指し、好ましい例も同様である。
Xは1価の親水性部位を表す。ここでいう親水性部位とは、前記L’において説明したのものうち、1価の親水性部位として挙げたものを指し、好ましい例も同様である。
nは1〜3の整数を表し、安定性の観点から、好ましくは3である。
Figure 2009013228
上記一般式(IV)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表す。このR及びRは一般式(I)又は(II)におけるのと同義であり、好ましい例も同様である。
、R、R及びR7は各々独立に単結合、または、炭素数1〜12の炭化水素鎖を示す。ただし、R、R、R及びR7が炭化水素鎖を表す場合、その鎖状構造中に環構造、不飽和結合を有していてもよい。これらの炭化水素鎖は置換基を有していてもよく、そのような置換基として1価の親水性部位を有するものであってもよい。
X’は水素原子、又は、親水性部位を含んでもよい1価の置換基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に2価の親水性部位を表し、Zはqの値に応じた2価または3価の親水性部位を表す。即ち、qが1の場合、Zは2価の親水性部位を表し、qが2の場合、Zは3価の親水性部位を表す。2価、或いは3価の親水性部位としては、前記一般式(I)又は(II)の説明において述べた親水性部位のうち、2価、或いは3価の親水性部位として例示されたものと同様である。
pは0〜20の整数、qは1または2、rは1〜3の整数を示す。
nは1〜3の整数を表す。
前記一般式(III)中のR、または、一般式(IV)中のR、R、R及びR7が炭化水素鎖を表す場合に、炭化水素鎖としては、直鎖、分岐鎖、又は環状構造を含むアルキル鎖、芳香環が好ましい。炭化水素鎖は置換基を有するものであってもよく、ここで炭化水素鎖に導入可能な置換基としては、例えば、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、親水性基が挙げられる。なかでも、炭素数1〜12の脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、塩素原子、シアノ基、親水性基が好ましい。炭素数1〜12の脂肪族基の好ましい例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などがあげられ、中でもメチル基、エチル基がより好ましい。芳香族基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基があげられ、フェニル基がより好ましい。ヘテロ環としては、モルホリノ基、テトラヒドロフルフリル基、ピロリル基、フリル基、チオフェニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ピラゾリル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、インダゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、フェナンスリジニル基、フタラジニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、プリニル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基があげられ、モルホリノ基、テトラヒドロフルフリル基、ピリジル基がより好ましい。
前記一般式(III)中のR、または、一般式(IV)中のR、R、R及びR7が2価の炭化水素基である場合に有していても良い1価の親水性部位としては、前記一般式(I)又は(II)における親水性部位の項に記載の1価の親水性部位と同様のものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アンモニウム基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、および下記構造式で表される置換基が挙げられる。
Figure 2009013228
前記一般式(III)中のXまたは前記一般式(IV)中のX’が1価の親水性部位である場合、その例としては、前記一般式(I)又は(II)における親水性部位の項に記載の1価の親水性部位と同様のものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アンモニウム基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、および下記構造式で表される置換基が挙げられる。
Figure 2009013228
上記構造式中、M、M、Mはそれぞれ独立に水素原子、1価の金属原子、又は、NR を表し、ここでRは炭素数1〜4の炭化水素鎖を示す。
前記一般式(IV)中のY、Y、Zが2価の親水性部位である場合、その例としては、前記一般式(I)又は(II)における親水性部位の項に記載の2価の親水性部位と同様のものが挙げられ、具体的には、例えばカルボニル基、チオカルボニル基、ウレタン部位、チオウレタン部位、アミド部位、エステル部位、チオエーテル部位、スルホンアミド部位、ウレア部位、チオウレア部位、2級アミン部位、−(CHCHO)−で示されるポリエチレンオキシ部位(ただし、aは2以上の整数)、オキシカルボニルオキシ部位、および下記構造式で表される部分構造等が挙げられる。
Figure 2009013228
上記構造式中、Mは水素原子、1価の金属原子、又は、NR を表し、ここでRは炭素数1〜4の炭化水素鎖を示す。
前記一般式(IV)中のZが3価の親水性部位である場合、その例としては、前記一般式(I)又は(II)における親水性部位の項に記載の3価の親水性部位と同様のものが挙げられ、具体的には、3級アミン部位、ウレア部位、チオウレア部位および下記構造式で表される部分構造等が挙げられる。
Figure 2009013228
は好ましくは炭素数1〜5のメチレン鎖、または、置換基を有していても良く、鎖中に酸素原子を含んでも良いメチレン鎖であり、より好ましくは、炭素数3のメチレン鎖である。
本発明において(C)密着剤として好適に用いうる有機シラン化合物の具体例を以下に示すが、これに限られるものではない。
一般式(I)で表される有機シラン化合物としては、例えばβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
以下に、更に好ましい例である、一般式(II)、(III)、又は(IV)で表される有機シラン化合物〔例示化合物(1)〜(62)〕構造を挙げる。
Figure 2009013228
Figure 2009013228
Figure 2009013228
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Figure 2009013228
本発明の(C)密着剤として好適に使用しうる特定有機シラン化合物は、例えば、以下の方法で合成することができる。
以下に、前記例示化合物(22)を例に挙げて具体的な合成方法を示す。本発明に使用しうる他の特定有機シラン化合物も、出発物質や触媒などを選択することで、同様のスキームで合成することができる。なお、合成方法は以下の方法に限定されるものではない。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル50g(0.373mol)にアセトニトリル100mlを加えて溶解させた後、ネオスタンU−600(日東化成製ビスマス系触媒)0.50gおよびトリエトキシ(3−イソシアネートプロピル)シラン92.2g(0.373mol)を加えて50℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温に冷却してからn−ヘキサン100mlを加えて3回洗浄し、下層を分取した。溶媒を留去し、化合物(22)142g(0.373mol(収率:100%))を得た。
本発明における(C)密着剤のさらに好ましい態様として、分子内に基板との密着性基を有する硬化性化合物が挙げられる。このような化合物は、前記基材への密着性基を有し、且つ、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有し、酸、ラジカルなどの開始種により架橋構造を形成して硬化する化合物、或いは、重合反応により硬化する化合物であり、好ましくは分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合有し、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上、最も好ましくは5個以上有する化合物が挙げられる。
密着性基を有する硬化性化合物は、相互作用の強度の観点からイオン結合、多点水素結合、共有結合を形成可能な置換基を有するもの、なかでも、アンモニウム基、ホスホン酸基およびそのエステル基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を有することが、基板との相互作用の強度に由来する基板密着性の観点に加え、未露光部の現像性、露光部の膜強度の観点から好ましい。
このような、密着性基を有する硬化性化合物としては、下記一般式(A)で表されるものが挙げられる。
Figure 2009013228
前記一般式(A)において、Mはエチレン性不飽和二重結合を有する部位を表し、Lはn+1価の有機連結基を表し、Xは硬質材料への密着性基を表す。nは1〜5の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。
Mで示される構造の好ましい例を挙げれば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)のエステル類、アミド類が挙げられる。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応により生成する構造が挙げられる。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。中でも、(メタ)アクリロイル基、スチレン、ビニルエーテル構造が好ましい。更に(メタ)アクリロイル基を有する構造が好ましい。
前記一般式(A)中、Lはエチレン性不飽和二重結合を有する部分構造の数(n)により決定されるn+1価の有機連結基を表すが、その構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子または炭素数3〜10で成る炭化水素環構造、芳香環、ヘテロ環、ウレタン結合、チオウレタン結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される部分構造を有し、これらが単独で、或いは複数種組み合わさって構成されるn+1価の連結基である。
このような連結基には、さらに置換基を有していてもよく、Lの連結基に導入可能な置換基としては、例えば脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヘテロ環チオ基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオカルボニルアミノ基、芳香族チオカルボニルアミノ基、ヘテロ環チオカルボニルアミノ基、脂肪族アミノカルボニルアミノ基、芳香族アミノカルボニルアミノ基、ヘテロ環アミノカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、ヘテロ環オキシアミノ基、シリル基、脂肪族オキシシリル基、シリルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、ヘテロ環オキシカルボニルオキシ基、スルファモイルオキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、アニリノ基、脂肪族アゾ基、芳香族アゾ基、ヘテロ環アゾ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスフィノイルアミノ基が挙げられる。
(C)基板密着性基を有する化合物の好ましい態様である密着性基を有する硬化性化合物である、一般式(A)で表される化合物中、Mで表される構造においてエチレン性二重結合性基をアクリロイル基とした場合の具体例〔(M−1)〜(M−11)〕を以下に示すが、これに限られるものではない。さらに、アクリロイル基は上記のアクリロイル基以外の置換基に置き換えることができる。また、Mで表される構造内に互いに異なる2以上のエチレン性二重結合性基を有していてもよい。
Figure 2009013228
Figure 2009013228
前記一般式(A)におけるXは、mが1である場合には、下記式で表される1価の官能基からなる群より選択されることが好ましい。
Figure 2009013228
前記式中、R11〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、MおよびMはそれぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはオニウム基を表し、Xはカウンターアニオンを表す。
前記一般式(A)におけるXは、mが2である場合には、下記式で表される2価の官能基からなる群より選択されることが好ましい。
Figure 2009013228
上記式中、R12〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、Mは水素原子、金属原子、またはアンモニウム基を表し、Xはカウンターアニオンを表す。
前記一般式(A)におけるXは、mが3である場合には、下記式で表される3価の官能基からなる群より選択されることが好ましい。
Figure 2009013228
上記式中、R13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、Xはカウンターアニオンを表す。
前記一般式(A)のXが部分構造としてカウンターアニオンを有する場合、これらのカウンターアニオンXとしては、例えば、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、などのハロゲンアニオン;酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタン硫酸アニオン、過塩素酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ヘキサクロロアンチモネートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、などを挙げることができる。これらの中でも、当該化合物の溶解性および安定性の点から、ハロゲンアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、およびヘキサフルオロホスフェートアニオン等が好ましい。
本発明において、最も好ましい密着剤としての形態は、密着性の観点からシリル原子を有する密着性基を有する化合物であり、さらに、硬化性向上の特性をも併せもつとの観点からエチレン性二重結合基を併せて有する化合物、即ち、分子内にシリル原子を有する密着性基とエチレン性不飽和二重結合を含む部分構造とを有する硬化性化合物を挙げることができる。
(C)分子内に基板密着性基を有する化合物の含有量は、本発明のインクジェットインクの固形分中0.01〜40質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることが更に好ましい。
なお、(C)成分、即ち、密着剤として密着性基を有する硬化性化合物を使用する場合、その添加量としては、0.01〜60質量%であることが好ましく、0.05〜40質量%の範囲であることがさらに好ましい。
<(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物>
本発明に用いることができる(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物(以下、適宜、硬化性化合物と称する)は、酸、ラジカルなどの開始種により、架橋構造を形成する、或いは、重合反応を生起する、などにより硬化する化合物であれば、制限なく用いることができる。硬化性化合物としては、メチロール化合物、或いは、エポキシ化合物、オキセタン化合物などの環状エーテル類、チオール化合物とエチレン性不飽和二重結合化合物の組み合わせ、スチレン基やイタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、(メタ)アクリロイル基、或いは(メタ)アクリルアミド基などの少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物などが挙げられ、なかでも、硬化性、安定性の面から(メタ)アクリル酸が好ましい。
なお、前記(C)密着剤として、基板密着性基を有する硬化性化合物を使用する場合、その含有量を制御することで十分な硬化性を発現する場合、その成分が、(C)成分と(A)成分との機能を有するため、一般に使用される密着性基を有しない硬化性化合物は必ずしも添加する必要はないが、インクジェットインクの物性を制御する、或いは、硬化性を向上させるといった目的で、このような硬化性化合物を併用することも可能である。
本発明において、併用することができる硬化性化合物(基板との密着性基を有しない硬化性化合物)としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として広く知られる化合物を特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものを包含する。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1、4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、等がある。また、これらの化合物のEO変性体、または、PO変性体も挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1、3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等、およびこれらのEO変性体、PO変性体が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1、3−ブタンジオールジイタコネート、1、4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1、6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1、6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(2)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (2)
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明において、他の重合性化合物を添加する場合、硬化感度の観点から、2個以上のエチレン性不飽和結合を含有することが好ましく、3個以上の含有することが更に好ましい。中でも(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有することが好ましく、3個以上含有することがより好ましく、4個以上含有することが最も好ましい。更に、硬化感度、および、未露光部の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、および、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)が好ましい。
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などがより好ましい。
硬化性化合物であるモノマーの配合割合は、インクの固形分全量に対して、通常、0〜70重量%の割合で配合する。ここで、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがある。
ただし、インク中に配合される多官能モノマーが全て2乃至3官能性モノマーである場合には、インクの乾燥による粘度上昇が起こり難いので、インクジェットヘッドの吐出性が安定するが、その反面、インク層を硬化して得られた硬化層の膜強度、基板に対する密着性、耐溶剤性等が不十分となる場合がある。そこで、上記の2乃至3官能モノマーと共に、4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに十分な膜強度と密着性を付与することができる。4官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
4官能以上の多官能成分は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合する。また、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とする。ここで、4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがある。
なお、(A)硬化性化合物のインクジェットインクに対する添加量は、総量として5〜
80質量%の範囲であることが好ましく、(C)密着剤として密着性基を有する硬化性化合物を使用する場合には、該密着性基を有する硬化性化合物と(A)硬化性化合物との総量が7〜85質量%の範囲にあることが好ましい。
<(B)顔料>
本発明のインクジェットインクに用いられる着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。
有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、
C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カラーフィルタの基板上に、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。遮光性の高い顔料を含有するインクジェットインクで形成したインク層は、内部にまで光が到達し難いので、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、後述するバインダーは、光硬化性のバインダーを用いるよりも、熱硬化性バインダーを用いるのが好ましい。ただし、インク層の厚さや露光時間を長くするなど硬化方法を調節することによって、光でも硬化させることが可能である。
本発明の硬化性組成物をカラーフィルタ用として用いる場合には、色むらやコントラストの観点からは、顔料の一次粒子径は10〜100nmが好ましく、10〜70nmがより好ましく、10〜50nmが更に好ましく、10〜40nmが最も好ましい。
画素を形成する場合には、顔料をインクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
本発明のインクジェット用インクには該顔料の分散性を向上させる観点から、分散剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる分散剤(顔料分散剤)としては、カチオン系、或いは、アニオン系、又はノニオン系の高分子分散剤を用いることができる。例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、ポリエーテル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、および、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明における分散剤の含有量としては、顔料に対して、1〜150質量%であることが好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
本発明において、着色剤としての顔料と分散剤とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、着色剤及び分散剤の含有量の総和が、硬化性組成物を構成する全固形分に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
(D)溶剤
本カラーフィルタインクジェット用インクの溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる。
例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類。N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリドン、ピロリドンのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類な、ヘキサン、オクタン、ドコサン、ヘプテン、3、4−ジメチルヘキサン、ジシクロヘキサンなどの炭化水素類等が挙げられる。
これらの溶剤を単独或いは混合させることが可能であるが、経時での濃度変化、及び塗出時の塗出部位での凝固を抑制する為、又硬化性、乾燥遅れを防ぐ為に、少なくとも1つの溶剤は常圧での沸点が150℃以上300℃以下、好ましくは160℃以上250℃以下の沸点を有する溶剤を用いることが好ましく、具体的には、顔料分散液安定性、塗出後の乾燥性等から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類がより好ましい。
このような溶剤を、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いて吐出させるインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が十分でないうちに、当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の非露光部へはみ出し、さらには、隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不十分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い十分な透過濃度を得ることができなくなる。
本発明のインクジェットインクには、前記(A)〜(D)の必須成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて種々の化合物を用いることができる。例えば、形成された着色パターンの膜性を向上させる目的で、(E)酸を発生させる化合物や(F)バインダーポリマーを添加することができる。
以下、好ましい併用成分について説明する。
<(E)酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物>
本発明における酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物(以下、適宜、酸/ラジカル発生剤と称する)は、インクジェットの塗出後に光、又は熱により酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物を表す。このような化合物を併用することで、この化合物から発生した酸、ラジカルなどが開始種として機能し、(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物の硬化反応を開始、進行、促進させる。
(E)成分が酸を発生させる化合物である場合に該化合物が発生させる酸として、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル、硫酸、硫酸エステル、スルフィン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸、トリフルオロホウ酸、硼素錯体、アンチモン誘導体、ヘキサフルオロリン酸など塗布後の液滴中で、光及び/又は熱の作用によりブレンステッド酸、ルイス酸を発生するものであれば使用することができる。
このような酸/ラジカル発生剤の具体的な例としては、光重合開始剤としても知られている以下の化合物が挙げられる。
(a)有機ハロゲン化化合物、(b)オキシジアゾール化合物、(c)有機ホウ酸化合物、(d)ジスルホン酸化合物、(e)オキシムエステル化合物、(f)オニウム塩化合物、(g)カルボニル化合物、(h)ケタール化合物、(i)ベンゾイン化合物、(j)アクリジン化合物、(l)有機過酸化化合物、(m)アゾ化合物、(n)クマリン化合物、(o)アジド化合物、(p)メタロセン化合物、(q)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(r)アシルホスフィン(オキシド)化合物。
(a)有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、例えば、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3、905、815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3)、(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2、4、6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2、4、6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2、4、6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α、α、β−トリクロロエチル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3、4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2、4−ブタジエニル〕−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2、4、6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2、4、6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4、6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4、6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
(b)オキシジアゾール化合物としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1、3、4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1、3、4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1、3、4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1、3、4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
(c)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz、Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22、1998、Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
(d)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318号明細書等記載される化合物等が挙げられる。
(e)オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
(f)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger、Photogr.Sci.Eng.18、387(1974)、T.S.Bal et al、Polymer、21、423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4、069、055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4、069、055号、同4、069、056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339、049号、同第410、201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。より好ましくは、アルコキシ基が3置換以上、最も好ましくは、4置換以上置換されていることが好ましい。また、光による硬化性が良好なその他の好ましいヨードニウム塩の形態として、ジアリールの少なくとも1つが300nm以上に吸収を有するクロモフォアの一部を形成している。或いは置換基として、300nm以上に吸収を有する官能基を有するヨードニウム塩などが好ましい。
本発明に好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370、693号、同390、214号、同233、567号、同297、443号、同297、442号、米国特許第4、933、377号、同161、811号、同410、201号、同339、049号、同4、760、013号、同4、734、444号、同2、833、827号、独国特許第2、904、626号、同3、604、580号、同3、604、581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性の感度点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、熱分解性、安定性のバランス、また、増感剤などと併用した場合の光硬化性の観点から、トリアリールスルホニウム塩であり、ハロゲン原子、カルボキシル基などの電子吸引性基を少なくとも1つ有することが好ましく、更に好ましくは2置換以上、最も好ましくは3置換以上であることが好ましい。
また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩は、トリアリールの少なくとも1つが300nm以上に吸収を有するクロモフォアの一部を形成している。或いは置換基として、300nm以上に吸収を有する官能基を有するトリアリールスルホニウム塩などが好ましい。
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al、Macromolecules、10(6)、1307(1977)、J.V.Crivello et al、J.Polymer Sci.Polymer Chem.Ed.17、1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al、Teh、Proc.Conf.Rad.Curing ASIA、p478 Tokyo、Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
(g)カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
(h)ケタール化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
(i)ベンゾイン化合物としては、例えば、m−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
(j)アクリジン化合物としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
(l)有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
(m)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
(n)クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
(o)アジド化合物としては、例えば、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書ならびに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
(p)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
(q)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(r)アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
本発明に用いられる(E)酸/ラジカル発生剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン系化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、及び、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
また、この(E)酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物は、(A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物との関係を考慮して適宜選択することで一層の高感度化を図ることができる。
本発明の硬化性組成物に(E)酸/ラジカル発生剤を併用する場合の含有量としては、インクジェットインクに含有される全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。この範囲で、より良好な感度と強固な硬化部を形成することができる。また、上記、(E)酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物は1種或いは2種以上を混合して使用することができる。
<(F)バインダーポリマー>
本発明では、インクジェット方式により基板に塗出、画像形成された液滴を硬化させる際の硬化性向上、及び、硬化後の強度、基板との密着性を向上させる目的でバインダーを添加することができる。
バインダー成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー成分を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット方式により基板上にインク層(塗工膜)のパターンを形成後、当該インク層を重合反応により硬化させることのできるバインダー成分を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線、赤外線等の光、或いは加熱により重合硬化させることができる硬化性のバインダー成分を用いることができる。
また、本発明において、酸存在下で、オキセタニル基と反応しうる官能基を有するバインダーも好適に使用することができる。
硬化性のバインダー成分とは、可視光線、紫外線、電子線、赤外線等の光、或いは加熱により重合硬化させることができる硬化性樹脂と必要に応じて、光及び/又は熱により、酸及び/又はラジカル、塩基などを発生させる化合物、光増感剤、硬化性樹脂の硬化性を向上させるためのラジカル重合性基、酸架橋性基などを少なくとも1つ有する低分子化合物などを含有することができる。
硬化性樹脂は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5、000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。
バインダーポリマーとしては、公知のものを目的に応じて適宜選択して使用できる。例えば、下記に示す如きモノマー群を組み合わせて、本発明に使用しうる(F)バインダーポリマーを得ることができる。
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N、N−ジアリルアクリルアミド、N、N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、p−カルボキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物を挙げる事ができる。
(13)メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−スルホプロピルメタクリレートカリウム塩などの酸基、或いはその塩を含有するモノマー。
これらの中で、硬化性向上の為には、側鎖にアリル基や、グリシジル基、或いは(メタ)アクリル基、スチリル基などの反応性基を含有する樹脂が好ましい。
側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れ有利である。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、硬化性のバランスに優れており、好適である。
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2、2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
本発明で使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、さらに好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
(光硬化性バインダーポリマー)
また、先に述べた好ましい特性を有する光硬化性のバインダー成分には、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
また、熱のみでの硬化性向上、熱により酸又は塩基を発生させる場合、本発明の効果を損なわない範囲で下記のエポキシ化合物を用いることができる。
硬化性樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、硬化性樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、本発明の硬化性樹脂組成物をインクジェット方式で用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10、000以下とした場合には、硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を硬化性樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(油化シェルエポキシ社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(油化シェルエポキシ社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(油化シェルエポキシ社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(油化シェルエポキシ社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
Figure 2009013228
(Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜12の炭化水素基である。)
Figure 2009013228
(Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(1)で表される構成単位は、下記式(3)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2009013228
(RおよびRは式(1)におけるのと同義である。)
式(3)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(3)において、Rは、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(3)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(3)において、Rとして好ましいのは水素またはメチル基であり、Rとして好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(3)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2009013228
(Rは式(2)におけるのと同義である。)
式(4)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する硬化性樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(2)または式(4)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(4)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすい。式(4)において、Rとして好ましいのは水素またはメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(1)あるいは式(2)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(1)の構成単位と式(2)の構成単位の含有量は、式(1)の構成単位を誘導する単量体と式(2)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(1)を誘導する単量体:式(2)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3、000以上、特に4、000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3、000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。また、本発明に係るインクはインクジェット方式に用いられるので、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20、000以下であることが好ましく、更に15、000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20、000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有していてもよい。
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら120℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(3)で表されるモノマー、上記式(4)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、120℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。本発明に用いられる熱硬化性バインダー成分には、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいもの(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)を添加するのが好ましい。多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4、000以下が好ましく、3、000以下が特に好ましい。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
(硬化剤)
本発明に用いうる光硬化性バインダー成分や熱硬化性バインダー成分には、必要に応じ、硬化剤を組み合わせて配合することができる。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
本発明において硬化剤として用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。
本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であることが好ましく、この範囲において十分な硬化性向上効果が得られ、強靭な塗膜を形成することができるとともに、塗膜の基板に対する密着性や塗膜の均一性、平滑性を損なうこともない。配合量は、より好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の添加量が少なすぎると、有効な硬化性向上効果を得がたい。
また、本発明において熱硬化性バインダー成分には、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す開始剤を用いることができる。
また、バインダー樹脂として、官能基が光により2量化できるシンナミル基やマレイミド基、ジメチルマレイミド基などを有するものを用いるか、或いは、これらの官能基を有する化合物を併用することも好ましい。
<その他の成分>
上記、好ましい併用成分である(E)酸/ラジカル発生剤、(F)バインダーポリマー以外の、本発明のインクジェットインクに用いうる添加剤について説明する。
(増感剤)
バインダー成分中に必要に応じ、開始剤の分解効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、可視光線、紫外線、電子線、赤外線等の光など所望の光に応じた増感剤を使用することができる。好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9、10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
等が挙げられ、更に欧州特許第568、993号明細書、米国特許第4、508、811号明細書、同5、227、227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
(共増感剤)
バインダー成分中には、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、0.5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
(重合禁止剤)
バインダー成分中には、硬化性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4、4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
さらに、本発明においては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、2、2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2、6−ジ−t−ブチルフェノールなどの酸化防止剤、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤などの凝集防止剤等、公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
前記本発明の硬化性組成物は高感度で硬化し、かつ、保存安定性も良好である。また、硬化性組成物を適用する基板などの硬質材料表面への高い密着性を示す。
従って、本発明の硬化性組成物は、画像形成材料やインク、塗料、接着剤、コーティング剤等の分野において好ましく使用することができる。
(インクの製造方法)
本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、各成分を上記溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。しかしながら、顔料をバインダー等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を必要に応じて顔料分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、最後にアルカン系溶剤を添加することによって、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。或いは、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤にアルカン系溶剤を添加した混合溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。
上記のようにして得られる本発明のカラーフィルタ用インクジェットインクは、カラーフィルタにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。
本発明のインクジェットインクにより形成されるカラーフィルタとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルタ、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルタのいずれにも好適に用いることができる。
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に形成された隔壁により囲まれた凹部に、インクジェット方式により本発明のインクの液滴を付与して画素を形成することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、隔壁により囲まれた凹部に、既述の本発明のインクをインクジェット法により付与して画素を形成する工程(以下、「画素形成工程」ということがある。)を有し、好ましくは更に、形成された少なくとも1色の画素を活性エネルギー線の照射により硬化する硬化工程や、所望の色相の画素の全てを形成した後に熱により硬化する硬化工程を有し、必要に応じてベーク処理等の他の工程を設けて構成することができる。
なお、隔壁は、画素形成工程前に予め基板上に形成されたものであり、隔壁の形成方法の詳細については後述する。
−画素形成工程−
画素形成工程では、隔壁(濃色離画壁)間の凹部に、本発明のインクの液滴をインクジェット法で付与して画素を形成する。この画素は、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素となるものである。
画素の形成は、既述のようにして基板上に形成された隔壁で取り囲まれた凹部に、画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するためのインクジェットインクを侵入させて、2色以上の複数の画素で構成されるように形成することができる。
インクジェット法については、インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、予め基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、公知の方法を用いることができる。
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、ブラックマトリックス形状として一般的なストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
インクジェット法としては、帯電したインクジェットインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
インクジェットインクの射出条件としては、インクジェットインクを30〜60℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。インクジェットインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こしやすいため、インクジェットインク温度をできるだけ一定に保つことが重要である。
インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう。)には、公知のものを適用でき、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277、703号、欧州特許A278、590号などに記載されているヘッドを使うことができる。これらの中で、インクジェットインクに対する熱の影響を少なくすることができ、使用可能な有機溶剤の選択が広いことから、ピエゾヘッドの方がより好ましい。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等、形にはこだわらない。ノズル径は10〜100μmの範囲であることが好ましい。尚、ノズルの開口部自身必ずしも真円とは限らないが、その場合にノズル径とは該開口部の面積と同等の円を仮定しその径とする。
本発明におけるカラーフィルタは、RGB3色のインクを吹き付けて3色の着色層からなる群で構成された形態が好ましい。
本発明においては、液滴に含まれる有機溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線を照射する工程(以下、第1の硬化工程と称することがある。)及び/又は前記インク残部を加熱する工程(以下、第2の硬化工程と称することがある。)により前記インク残部を重合して画素を形成してもよい。また、前記インク残部の熱重合が開始する温度をT℃としたときに、T℃未満の温度で予備加熱(以下、予備加熱工程と称することがある。)を行って前記液滴に含まれる有機溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線を照射する工程及び/又は前記インク残部をT℃以上の温度で加熱する工程により前記インク残部を重合して画素を形成してもよい。
以下、第1の硬化工程、第2の硬化工程及び予備加熱工程について説明する。
−第1の硬化工程−
前記画素形成工程で形成された少なくとも1色の画素に活性エネルギー線を照射して硬化する工程(第1の硬化工程)を設けることができる。第1の硬化工程では、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む各色の本発明のインクを硬化させることにより、硬化した画素を形成することができる。硬化は、1色の画素を形成するごとに行なってもよいし、複数色の画素を形成した後に行なうようにしてもよい。
R、G、B等の本発明のインクの硬化は、インクの持つ感光波長に対応する波長領域の活性エネルギー線を発するエネルギー源を用いて重合硬化を促進する露光処理を施すことにより行なえる。
エネルギー源としては、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、又はイオンビームなど、既述の重合開始剤が感応するものを適宜選択して用いることができる。具体的には、250〜450nm、好ましくは365±20nmの波長領域に属する活性光線を発する光源、例えば、LD、LED(発光ダイオード)、蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどを用いて好適に行なうことができる。好ましい光源には、LED、高圧水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
活性エネルギー線の照射時間としては、モノマーと重合開始剤との組合せに応じて適宜設定することができるが、例えば、1〜30秒とすることができる。
−第2の硬化工程−
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を含む、所望の色相の画素の全てを熱により硬化する工程(第2の硬化工程)を設けることができる。上記したように、前記第1の硬化工程を設けると共に、第2の硬化工程を設けることによって、カラーフィルタの製造効率と表示特性とを両立させことができる。また、第2の硬化工程のみで硬化させてもよい。
本工程では、所望の色相からなる画素及び隔壁を形成し、前記第1の硬化工程を行なった後にさらに加熱処理(いわゆるベーク処理)を行なって熱による硬化を施すことができる。すなわち、光照射により光重合した画素及び隔壁が形成されている基板を、電気炉、乾燥器等に入れて加熱する、あるいは赤外線ランプを照射して加熱することができる。
このときの加熱温度及び加熱時間は、インクジェットインクの組成や画素の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を確保する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
また、本発明のインクを用いたカラーフィルタの製造方法においては、活性エネルギー線の露光及び/又は熱処理による画素の重合を行う前に、予備加熱工程を設けても良い。予備加熱工程における加熱温度は特に制限は無いが、画素の熱重合が開始する温度をT℃とした場合に、T℃未満であり、画素部の重合が起きない温度が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、60℃以上90℃以下がさらに好ましい。前記工程を入れることで、インクジェット法により付与されたインク中の有機溶剤の蒸発が促進され、カラーフィルタを効率的に作製することができる上に、インク残部の粘度が熱により低下するため、より高い流動性が得られ、高い平坦性の画素部を有するカラーフィルタを得ることが可能になる。
上記予備加熱工程は、本発明のごときインク残部が流動性を有するインクであれば、画素部が熱によって重合するインクのみならず、光によって重合するインクにおいても有効である。光によって重合するインクの場合、前記インクが熱重合を開始する温度Tは、熱によって光重合開始剤等が分解して重合反応が開始する温度または、モノマー自体が熱によって分解し、重合反応が開始する温度を意味する。
上記予備加熱工程の時間は特に制限が無いが、1〜5分間行うことが好ましい。
温度Tは、以下のようにして求めることができる。
インクを加熱し、加熱によりインクの重合が開始し、インクのゲル化等が観察される温度をTとする。より具体的には、加熱前のインク粘度に対して、加熱後のインク粘度の上昇が5mPa・s以上の場合の加熱温度をTとする。
本発明のインクを用いたカラーフィルタの製造方法においては、前記画素形成工程から予備過熱工程、第1の硬化工程、第2の硬化工程までを、24時間以内で行う事が好ましく、12時間以内で行う事がより好ましく、6時間以内に行う事がさらに好ましい。画素の形成から、最終の硬化工程(第2の硬化工程)までを24時間以内で行うことにより、インク中の顔料の凝集や各種バインダー等の析出を防止し、画素の面状を向上させることができる。
(隔壁)
本発明では、基板上に形成された隔壁により囲まれた凹部に、インクジェット方式により本発明のインクの液滴を付与して画素が形成される。この隔壁はどの様なものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクスの機能を持った遮光性を有する隔壁であることが好ましい。該隔壁は公知のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材、方法により作製することができる。例えば、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクスや、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020]や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。
また、本発明のインクジェットインクにおいて着色剤として遮光成分を用いたものを調製し、これをもちいてブラックマトリックスを作成することも可能である。
前記公知の作製方法の中でも、コスト削減の観点から感光性樹脂転写材料を用いることが好ましい。感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に少なくとも遮光性を有する樹脂層を設けたものであり、基板に圧着して、該遮光性を有する樹脂層を該基板に転写することができる。
感光性樹脂転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層(本発明において「感光性樹脂層」とは光照射により硬化しうる樹脂をいい、それが遮光性を有するときには「遮光性を有する樹脂層」ともいい、目的の色に着色されているときには「着色樹脂層」ともいう。)/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムや、転写材料の作製方法については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載のものが好適なものとして挙げられる。
また、前記隔壁は、インクジェットインクの混色を防ぐために、撥インク処理を施してもよい。該撥インク処理については、例えば、(1)撥インク性物質を隔壁に練りこむ方法(例えば、特開2005−36160号公報参照)、(2)撥インク層を新たに設ける方法(例えば、特開平5−241011号公報参照)、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法(例えば、特開2002−62420号公報参照)、(4)隔壁の壁上面に撥インク材料を塗布する方法(例えば、特開平10−123500号公報参照)、などが挙げられ、特に(3)基板上に形成された隔壁にプラズマによる撥インク化処理を施す方法が好ましい。
上記のように画素及び隔壁を形成してカラーフィルタを作製した後には、耐性向上の目的で、画素及び隔壁の全面を覆うようにしてオーバーコート層を形成することができる。
オーバーコート層は、R、G、B等の画素及び隔壁を保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数が増える点からは設けないことが好ましい。
オーバーコート層は樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、カラーフィルタ用インクジェットインクの樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
本発明のカラーフィルタは、既述の本発明のカラーフィルタの製造方法により作製されたものであり、例えば、テレビ、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく好適に適用できる。本発明のカラーフィルタにおいては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素の少なくとも一つが本発明のインクにより形成されていればよい。
<表示装置>
本発明の表示装置としては既述の本発明のカラーフィルタを備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角補償フィルムなどさまざまな部材から構成される。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行 )」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
本発明の表示装置は、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用できる。本発明の表示装置は前述したようなカラーフィルタを備えることを特徴とし、これにより、テレビ、モニターに搭載したときに表示ムラが無く、広い色再現域と高コントラスト比を有することができ、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の表示装置等にも本発明の表示装置を好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
〔実施例1〜4、比較例1〕
[隔壁形成用の濃色組成物K1の調製]
濃色組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを量り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、さらに攪拌しながら、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2、4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N、N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1を量り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)の温度条件下、150rpmで30分間攪拌することによって得られる。
Figure 2009013228
前記表1に記載のK顔料分散物1、バインダー2、DPHA液、及び、界面活性剤1の組成は、以下に示す通りである。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤(下記化合物1) 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
Figure 2009013228
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm
含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
<界面活性剤1>
・下記フッ素系界面活性剤1 30%
・メチルエチルケトン 70%
Figure 2009013228
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却して23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmで隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて基板の濃色組成物層K1が形成された面側からポスト露光を行って、オーブンにて240℃50分加熱し、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
〔撥インク化プラズマ処理〕
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
(カラーフィルタ用青色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料(PB15:6又はPV23) 10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)
(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート
共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA) 70重量部
−カラーフィルタ用青色インクの調製―
<モノマー液(B1)>
以下の組成のとおりに溶剤、モノマー、バインダー、界面活性剤成分を混合して、25℃で30分間攪拌したのち、不溶物が無いことを確認し、モノマー溶液(B1)を調製した。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
(BCA)〔(D)成分〕 4.6g
・トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(TPNB)〔(D)成分〕40.2g
・酸又はラジカルで硬化する化合物〔(A)成分:表2記載の化合物〕 5.5g
・密着剤〔(C)成分:表2記載の化合物〕 0.7g
・酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物〔(E)成分:表2記載の
化合物〕(表中には「(E)酸/ラジカル発生剤」と記載) 0.2g
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム
共重合物、分子量3.8万〔(F):バインダー〕 1.0g
・界面活性剤〔フッ素系界面活性剤1、前記構造〕 0.02g
・ソルスパース20000(アヴェシア社製) 1.0g
前記で調製したPB15:6顔料分散液46.5重量部、PV23顔料分散液3.5重量部、及び、モノマー液(B1)30重量部を充分に混合し、(A)成分、(C)成分及び(E)成分として、それぞれ表2に記載のものを用いて、実施例1〜4のカラーフィルタ用青色インクジェットインクを得た。
また、(C)密着剤を配合しなかった他は、実施例2と同様にして、比較例1のカラーフィルタ用青色インクジェットインクを得た。
Figure 2009013228
前記表2中、実施例3における「K−2/K−4」は、K−2とK−4とを等量配合し、配合の総量を5.5gとしていることを意味する。
実施例に用いられる(C)密着剤の(M−1)〜(M−4)、(A)硬化性化合物、及び(E)酸発生剤の詳細を以下に示す。
Figure 2009013228
−(A)硬化性化合物−
K−1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
K−2:ペンタエリスリトールトリアクリレート
K−3:1、3−ブタンジオールジアクリレート
K−4:エピコート828(油化シェルエポキシ社製:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
Figure 2009013228
[カラーフィルタ用インクジェットインクの評価]
[1.硬化性評価]
インクジェットヘッドとしてDimatix社製SE−128をセットした、吐出制御装置:Dimatix社製 Apollo IIを用いて、青色インクジェットインクを吐出した。
インクジェットヘッドを自動2次元移動ステージ(駿河精機製KS211−200)上に搭載し、前記のようにして作製した領域全体の隅々にまで広がり所定インク量が吐出されるように、ステージを移動させながら吐出制御装置によるヘッドからの吐出を同期させた。
ここで上記記載のRインク1をヘッドに充填し、インクが所定の位置に着弾するように、吐出制御装置により制御した。
着弾後、90℃2分常圧にて乾燥した後、240℃30分加熱した後、N−メチルピロリドン溶媒に浸漬し、基板から剥れるまでの時間を測定した。剥がれるまでの時間が長い程硬化性に優れており、5分以上で硬化性が良好であると評価する。
これらの結果を表2に併記した。表2に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板との密着性に優れていた。(C)密着剤を含まない比較例1のインクジェットインクは、基板との密着性が十分に得られないことがわかる。
[2.画素部の平坦性の評価]
上記画素部の形状を、非接触式表面形状測定装置 New View 6K(Zygo社製)を用いて観察し、表面形状のプロファイルを算出した。最も低い部分をA,最も高い部分をBとし、高低差(B−A)を測定したところ、0.03μmであり、平坦性が非常に優れた画素部を得ることができた。なお、この高低差(B−A)を測定し、平坦性の評価を以下の基準で行った。結果を表2に併記する。
(平坦性の評価基準)
◎:B−A<0.1μm
○:0.1≦B−A<0.2μm
△:0.2≦B−A<0.4μm
×:0.4μm≦B−A
表2に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板に形成された隔壁内の領域全体の隅々にまで広がり、平坦性に優れた画像部を形成することがわかる。一方、(C)密着剤を含まない比較例1のインクジェットインクは、基板への拡がり性が十分ではなく、形成された画像部の平坦性に劣ることがわかる。
〔実施例5〜6、比較例2〕
(カラーフィルタ用赤色インクジェットインクの調製)
顔料分散液の調製各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液及びPR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料(PR254又はPR177) 10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)
(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート
共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA) 70重量部
−カラーフィルタ用赤色インクの調製―
<モノマー液(R1)>
以下の組成のとおりに溶剤、モノマー、バインダー、界面活性剤成分を混合して、25℃で30分間攪拌したのち、不溶物が無いことを確認し、モノマー溶液(R1)を調製した。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
(BCA)〔(D)成分〕 4.6g
・トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(TPNB)〔(D)成分〕40.2g
・酸又はラジカルで硬化する化合物〔(A)成分:表3記載の化合物〕 5.5g
・密着剤〔(C)成分:表3記載の化合物〕 0.7g
・酸/ラジカル発生剤〔(E)成分:表3記載の化合物〕 0.2g
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=50/28/22
モル比のランダム共重合物、分子量4.5万〔(F):バインダー〕 1.0g
・界面活性剤〔フッ素系界面活性剤1、前記構造〕 0.02g
・ソルスパース20000(アヴェシア社製) 1.0g
前記で調製したPR254顔料分散液68.85重量部、PR177顔料分散液6.15重量部、及び、バインダー組成物50重量部を充分に混合し、(A)成分、(C)成分及び(E)成分として、それぞれ表3に記載のものを用いて、実施例5〜6のカラーフィルタ用赤色インクジェットインクを得た。
また、(C)密着剤を配合しなかった他は、実施例6と同様にして、比較例2のカラーフィルタ用赤色インクジェットインクを得た。
Figure 2009013228
実施例に用いられる(C)密着剤(M−5)、(M−6)を以下に示す。
Figure 2009013228
[カラーフィルタ用インクジェットインクの評価]
[1.硬化性評価]
インクジェットヘッドはDimatix社製SE−128を、吐出制御装置はDimatix社製 Apollo IIを用いた。
インクジェットヘッドを自動2次元移動ステージ(駿河精機製KS211−200)上に搭載し、前記で作製した隔壁の間隙に所定インク量が吐出されるように、ステージを移動させながら吐出制御装置によるヘッドからの吐出を同期させた。
ここで上赤色インクジェットインクをヘッドに充填し、インクが所定の位置に着弾するように、吐出制御装置により制御した。
着弾後、90℃2分常圧にて乾燥した後、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機を用いて、露光量500mJ/cmで露光後、N−メチルピロリドン溶媒に浸漬し、基板から剥れるまでの時間を測定基板から剥れるまでの時間を測定した。剥がれるまでの時間が長い程硬化性に優れており、5分以上で硬化性が良好であると評価する。
これらの結果を表3に併記した。表3に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板との密着性に優れていた。(C)密着剤を含まない比較例2のインクジェットインクは、基板との密着性が十分に得られないことがわかる。
[2.画素部の平坦性の評価]
上記で形成された画素部の形状を、実施例1〜4と同様の方法で評価したところ、実施例5では、高低差(B−A)は0.03μmであり、平坦性が非常に優れた画素部を得ることができた。なお、実施例6、比較例2についても実施例1と同様の基準平坦性の評価を行った。結果を表3に併記する。
表3に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板に形成された隔壁内の領域全体の隅々にまで広がり、平坦性に優れた画像部を形成することがわかる。一方、(C)密着剤を含まない比較例2のインクジェットインクは、基板への拡がり性が十分ではなく、形成された画像部の平坦性に劣ることがわかる。
〔実施例7〜8、比較例3〕
(カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
顔料分散液の調製各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36(C.I.ピグメントグリーン36)顔料分散液、PG7(C.I.ピグメントグリーン7)顔料分散液、PY138(C.I.ピグメントイエロー138)顔料分散液及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料(PG36、PG7、PY138又はPY150) 10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)
(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート
共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)) 10重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA) 70重量部
−カラーフィルタ用緑色インクの調製―
<モノマー液(G1)>
以下の組成のとおりに溶剤、モノマー、バインダー、界面活性剤成分を混合して、25℃で30分間攪拌したのち、不溶物が無いことを確認し、モノマー溶液(G1)を調製した。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
(BCA)〔(D)成分〕 4.6g
・トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(TPNB)〔(D)成分〕40.2g
・酸又はラジカルで硬化する化合物〔(A)成分:表4記載の化合物〕 5.5g
・密着剤〔(C)成分:表4記載の化合物〕 0.7g
・酸/ラジカル発生剤〔(E)成分:表4記載の化合物〕 0.2g
・ベンジルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸=
50/28/22モル比のランダム共重合物、分子量3.2万
〔(F):バインダー〕 1.0g
・界面活性剤〔フッ素系界面活性剤1、前記構造〕 0.02g
・ソルスパース20000(アヴェシア社製) 1.0g
前記の如くして調製したPG36顔料分散液19.25重量部、PG7顔料分散液13.65重量部、PY138顔料分散液24.64重量部及びPY150顔料分散液12.46重量部、モノマー液45重量部を充分に混合した。その後、n−ドデカンを5重量部添加し、表4に示される配合割合の実施例7のカラーフィルタ用緑色インクジェットインクを得た。
また、実施例7において用いた(C)密着剤に変えて、本発明の範囲外の密着性向上剤である比較化合物(H−1)を等量用いた他は実施例7と同様にして比較例3の緑色インクジェットインクを得た。
Figure 2009013228
表4において用いた(A)硬化性化合物、(E)酸発生剤及び(C)密着剤(M−7)及び比較化合物(H−1)の詳細は以下に示すとおりである。
K−5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
K−6:ベンジルグリシジルエーテル
K−7:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
Figure 2009013228
[1.硬化性評価]
インクジェットヘッドはDimatix社製SE−128を、吐出制御装置はDimatix社製 Apollo IIを用いた。
インクジェットヘッドを自動2次元移動ステージ(駿河精機製KS211−200)上に搭載し、前記で作製した隔壁の間隙に所定インク量が吐出されるように、ステージを移動させながら吐出制御装置によるヘッドからの吐出を同期させた。
ここで上記緑色インクジェットインクをヘッドに充填し、インクが所定の位置に着弾するように、吐出制御装置により制御した。
着弾後、常圧にて200℃20分加熱した後、N−メチルピロリドン溶媒に浸漬し、基板から剥れるまでの時間を測定基板から剥れるまでの時間を測定した。剥がれるまでの時間が長い程硬化性に優れており、5分以上で硬化性が良好であると評価する。
これらの結果を表4に併記した。表4に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板との密着性に優れていた。密着性向上剤として本発明の範囲外の比較化合物を含んだ比較例3のインクジェットインクは、基板との密着性が十分に得られないことがわかる。
[2.画素部の平坦性の評価]
上記で形成された画素部の形状を、実施例1〜4と同様の方法で評価したところ、実施例7では、高低差(B−A)は0.03μmであり、平坦性が非常に優れた画素部を得ることができた。なお、実施例8、比較例3についても実施例1と同様の基準で平坦性の評価を行った。結果を表4に併記する。
表4に明らかなように、本発明のインクジェットインクは基板に形成された隔壁内の領域全体の隅々にまで広がり、平坦性に優れた画像部を形成することがわかる。一方、(C)密着剤に代えて比較化合物(H−1)を添加した比較例3のインクジェットインクは、基板への拡がり性が十分ではなく、形成された画像部の平坦性に劣ることがわかる。

Claims (4)

  1. (A)酸及びラジカルの少なくとも一方により硬化する化合物、(B)顔料、(C)分子内に基板密着性基を有する化合物、及び、(D)溶剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク。
  2. (E)酸及びラジカルの少なくとも一方を発生させる化合物を含有することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
  3. (F)バインダーを含有する請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタ用インクジェットインク。
  4. 支持体上に、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタインクジェットインクにより形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
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