JP2009012308A - 金属光沢塗装品 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属皮膜層の持つ高品位な表面光輝性を損なうことなく、密着性、耐久性(耐腐食性、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、耐候性)及び表面硬度の優れた金属光沢塗装品を提供することにある。
【解決手段】基材1の表面に膜積層体2が形成され、この膜積層体2は、金属皮膜層22と、この金属皮膜層22を覆う耐透水性の硬質保護膜層24からなる。金属皮膜層22は、好ましくは銀鏡反応によって析出した銀皮膜からなり、硬質保護膜層24は、好ましくは、ケイ素化合物を含有するコーティング剤組成物で形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂等からなる基材の表面に金属皮膜層を有する膜積層体を形成することによって金属光沢を与えた塗装品に関するものである。
従来、合成樹脂等からなる基材の表面に金属皮膜層を形成することによって金属光沢を与えた塗装品は、前記基材の表面に無電解めっきを施してから、その表面に電気めっきを施した湿式めっきによるものや、蒸着やスパッタリングによる乾式めっきによるものが主流であるが、前者は排水の無害化処理が必要であり、後者は蒸着装置やスパッタリング装置が高価であるため、製品コストが高くなる問題がある。
このような状況に鑑み、近年、下記の特許文献に開示されているような金属めっき塗装による金属光沢付与技術が提案されており、光揮性、耐久性に優れた金属めっき塗装製品として期待されている。
特開平10−309774号公報 特開2001−46958号公報 特開2002−256454号公報 特開2002−256455号公報 特開2003−155574号公報 特開2002−337267号公報 特開2003−155580号公報 特開2003−293146号公報 特開2003−293163号公報 特開2004−203014号公報 特開2001−164380号公報
このうち、特許文献1は、基材の表面にアンダーコート層を形成してから、銀を含む水溶液をスプレー法により塗布し、銀イオンを還元せしめて、乾燥させることにより銀めっき層を形成し、その表面にトップコート層を形成する金属めっき塗装方法であり、特許文献2は、樹脂塗装物の表面(アンダーコート層)にスズを含む溶液を吹き付け、余剰分を水洗除去後、銀を含む水溶液と還元剤水溶液を同時に吹き付けて、いわゆる銀鏡反応により銀を析出させ、定着剤の吹き付けにより定着した後、クリア塗装によりトップコート層を形成する方法である。
また、特許文献3は、不純物による金属めっき層(特に銀めっき層)の変色を防止するために、金属めっき層の表面を酸で塗布又は酸に浸漬することによって不純物を除去した後、トップコート層を形成させるものであり、特許文献4は、金属めっき層(特に銀めっき層)の腐食による意匠性の低下を防止し、耐食性を改善するために、ベースコート層及び前記金属めっき層を形成後、超音波処理を行うことによって前記金属めっき層にマイクロクラックを形成し、その表面にトップコート層を形成させるものであり、特許文献5は、金属めっき層(特に銀めっき層)の腐食に起因する変色や剥離現象を抑制するために、前記金属めっき層を形成するための助触媒としてスズなどを用いるものである。
また、特許文献6は、クリア層(トップコート層)の耐透水性を向上せしめると共に、金属光沢層とプライマー層との密着性や金属光沢意匠性を改善するために、前記クリア層に、アミノ基を有する樹脂材とエポキシ基を有する樹脂材とを混合した樹脂材を用いるものであり、特許文献7は、トップコート層の耐透水性を向上せしめると共に、腐食に起因する変色や剥離現象を抑制するために、金属めっき層の表面をシリコンアクリル系塗料からなるトップコート層で被覆し、乾燥後10日間放置して、このトップコート層のガラス転移温度が60℃以上となるように熟成させるものである。
また、特許文献8及び特許文献9は、金属めっき層(特に銀めっき層)とトップコート層との付着性を向上させ耐久性を改良するために、金属めっき層の表面に極性の高いヒドロキシル基を付与するものである。
また、特許文献10は、めっき製品の耐候性を向上させて耐久性を改良するために、トップコート層を、塗膜形成後、常温にて240時間熟成させた状態で、その塗膜のガラス転移温度が70〜120℃の範囲となるような配合のアクリルシリコン樹脂塗料で形成するものである。
また、特許文献11は、化学めっき法でありながら、電気めっきに劣らない外観を維持し、耐久性を保持するために、トップコート層の形成に際して、イソシアネートとエポキシ樹脂を主成分とするウレタン塗料による下塗りトップコート層を形成し、その表面にイソシアネートとエポキシ樹脂を主成分とするウレタン樹脂に硬化剤を配合した上塗りトップコート層を形成するものである。
しかしながら、これら従来公知の技術は、いずれも、実用レベルの光揮性、表面硬度、密着性、耐久性を具備した金属めっき塗装製品を得る方法としては十分ではなく、すなわち、基材、アンダーコート層、金属皮膜層、及びトップコート層からなる従来の金属光沢塗装品は、水分に起因する変色等により、表面光輝性が損なわれやすく、しかも各層間の密着性が十分でなく、剥離が発生するおそれがあった。このため、耐久性(耐腐食性、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、耐候性)及び表面硬度が不十分で、用途の制約が大きいという問題もあった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、銀などの金属皮膜層の持つ高品位な表面光輝性を損なうことなく、密着性、耐久性(耐腐食性、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、耐候性)及び表面硬度に優れた金属光沢塗装品を提供することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る金属光沢塗装品は、基材の表面に膜積層体が形成され、この膜積層体は、金属皮膜層と、この金属皮膜層を覆う耐透水性の硬質保護膜層からなることを特徴とするものである。この構成によれば、水分の浸透に起因する金属皮膜層の変色が防止され、金属皮膜層による表面光輝性が維持され、更に各層間の密着性が向上する。
また、請求項2の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1に記載の構成において、基材と金属皮膜層の間に、アンダーコート層が形成されたことを特徴とするものである。この構成によれば、請求項1による効果に加え、アンダーコート層によって、基材と金属皮膜層との間の十分な密着力が確保されると共に、基材の表面平滑性が確保されることによって、表面光輝性も向上する。
また、請求項3の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1又は2に記載の構成において、金属皮膜層と硬質保護膜層との間に、トップコート層が形成されたことを特徴とするものである。この構成によれば、請求項1又は2による効果に加え、トップコート層によって金属皮膜層の耐腐食性が高まり、しかも金属皮膜層と硬質保護膜層の間の密着力及び膜積層体全体の耐衝撃性が向上する。
また、請求項4の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、金属皮膜層が、銀鏡反応により析出した銀皮膜からなるものであることを特徴とするものである。銀鏡反応により析出した銀皮膜によれば、高品位な金属調外観と光輝性を得ることができる。
また、請求項5の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、金属皮膜層が、蒸着又はスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とするものである。蒸着又はスパッタリングにより形成された金属皮膜によれば、高品位な金属調外観と光輝性を得ることができる。
また、請求項6の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、金属皮膜層が、無電解めっきにより形成されたものであることを特徴とするものである。無電解めっきにより形成された金属皮膜によれば、高品位な金属調外観と光輝性を得ることができる。
また、請求項7の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項1〜6のいずれかに記載の構成において、硬質保護膜層が、ケイ素化合物を含有するコーティング剤組成物からなることを特徴とするものである。ケイ素化合物を含有するコーティング剤組成物は、硬度及び耐透水性が高いため、請求項1による効果を確実に実現し得る。
また、請求項8の発明に係る金属光沢塗装品は、請求項7に記載されたコーティング剤組成物が、一般式CH=CHSi(OR)で示されるケイ素化合物加水分解物(但し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又は炭素数1〜4のアシル基)と、一般式RSi(OR)で示されるケイ素化合物加水分解物(但し、Rは炭素数1又は2の炭化水素基、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又は炭素数1〜4のアシル基)と、硬化剤とを混合したコーティング組成物からなることを特徴とするものである。
ここで、上述のコーティング組成物自体は、ABS樹脂等の合成樹脂成形品の表面をコーティングするための公知のものであるが(特公昭51−24368号公報)、合成樹脂成形品の表面硬度は改善される反面、耐熱テストを行うとコーティング面に亀裂を生じる欠点があり、実用性に欠けるものであった。しかしながら、請求項8の発明によれば、このコーティング組成物を、金属皮膜層による金属光沢塗装品の硬質保護膜層として適用することによって、表面硬度の改善といった周知の効果のみならず、水分の浸透が抑制されて、基材及び膜積層体の各層間の密着力が向上し、しかも高品位な表面光輝性が長期にわたって維持され、耐腐食性、耐溶剤性、耐汚染性、耐水性、耐熱性、耐候性も向上するといった、従来奏し得なかった特有の効果が実現されるのである。
本発明に係る金属光沢塗装品によれば、基材の表面に形成された膜積層体の表層部が耐透水性の硬質保護膜層からなるため、この硬質保護膜層によって、金属皮膜層への水分の浸透が抑制され、金属皮膜層の腐食等が抑制されて、変色や界面剥離が防止されるので、高品位な表面光輝性を有すると共に、表面硬度、密着性、耐久性(耐腐食性、耐溶剤性、耐汚染性、耐水性、耐熱性、耐候性)に優れた金属光沢塗装品を得ることができる。
以下、本発明に係る金属光沢塗装品の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る金属光沢塗装品の要部拡大断面図である。
すなわち、この図1に示される金属光沢塗装品は、合成樹脂で成形された基材1の表面に膜積層体2が形成され、この膜積層体2は、基材1の表面側から順に、アンダーコート層21と、金属皮膜層22と、トップコート層23と、硬質保護膜層24が積層状態に形成されたものである。
詳しくは、基材1は、例えば、フェノール、ノボラック、メラミン、ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ABS、透明樹脂(例えばポリメチレンメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル(AN)、(AS)等)、 エンジニアリング樹脂(例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)、スーパーエンジニアリング樹脂(例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)や、ABS/PCアロイ、ABS/PBTアロイ、PC/PBTアロイ等のアロイ系樹脂、熱可塑性エラストマー(例えば、エチレンビニルアセテート、ポリエステル系エラストマー)等の熱可塑性樹脂が挙げられるが、特に、熱可塑性樹脂を射出成形や押出成形等によって成形した成形品からなるものが好ましい。
膜積層体2におけるアンダーコート層21は、金属皮膜層22の下地となるものであって、透明もしくは着色した合成樹脂塗料で構成され、基材1の表面にアンダーコート剤を塗装法又は浸漬法により塗布し、乾燥させることによって10〜30μm程度の層厚に形成される。そしてこのアンダーコート層21は、基材1と金属皮膜層22間の付着力を向上させると共に、平滑な金属皮膜層22を形成させる作用を有するため、金属皮膜層22の光輝性を向上させるのに有効である。
なお、アンダーコート層21は、基材1の材質等によっては、必要としない場合もある。また、基材1とアンダーコート層21との付着性の更なる向上を目的として、両層1,21間に不図示のプライマー層を介在させても良い。
金属皮膜層22は、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウムなど、特に金属材料の制限はないが、湿式無電解めっきや、蒸着法、スパッタリング法等の乾式めっきで形成可能な金属が適用可能である。なかでも、高品位な光輝性や外観を有し、作業性に優れている点から、銀鏡反応を利用した銀の無電解めっき法、特に、銀イオン液と還元剤含有液とをスプレーガンを用いてアンダーコート層21の表面に吹き付けることによって、アンダーコート層21の表面でAg+イオンを還元して銀の微粒子を析出させ、このような銀鏡反応によって、銀からなる金属皮膜層(銀めっき層)22を形成する銀膜塗装方法が推奨される。
ここで、上述の銀膜塗装方法等によって金属皮膜層22を形成する場合は、これに先立ち、アンダーコート層21に2価のスズイオンを含む酸性液(活性化処理剤)を塗布することによって、アンダーコート層21の表面を前処理することが一層好ましい。このような処理によって、均一に銀鏡反応を生じせしめ、銀めっき層による金属皮膜層22の光輝性と接着性に対し、一層の向上効果を得ることができる。
トップコート層23は、金属皮膜層22の腐食や傷つきを防止すると共に、アンダーコート層21、金属皮膜層22、トップコート層23及び硬質保護膜層24からなる膜積層体2全体の耐衝撃性を向上させる作用を有するものであって、透明あるいは硬質保護膜層24の光輝性を損なわない程度に着色された合成樹脂皮膜からなり、塗装法、浸漬法又は流延法により塗布し、乾燥させることによって形成される。このトップコート層23の層厚は、10〜30μm程度が望ましい。
硬質保護膜層24は、以下の組成を有するコーティング剤組成物を、トップコート層23の表面に塗布し、加熱乾燥させることによって形成される。
すなわち、コーティング剤組成物は、一般式CH=CHSi(OR)で示されるケイ素化合物(例えばビニルトリエトキシシラン:CH=(CO)SiCH)を、好ましくは100重量部、一般式RSi(OR)で示されるケイ素化合物(例えばメチルトリメトキシシラン:CHSi(OCH))を、好ましくは400〜20重量部、各々別個に、又は混合して、水と、場合によっては少量の酸の存在下で加水分解させ、この加水分解物の溶液が透明になり常温に達するまで放置することによって熟成した後、硬化剤を加えたものである。
コーティング剤組成物に加える硬化剤としては、炭素数が1〜4の有機カルボン酸(例えば酢酸やプロピオン酸)、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸及び炭酸などのアルカリ金属塩のうち少なくとも1種、又は水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルホスホニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアルスニウム、第四アンモニウムヒドロキシド、第四ホスホニウムヒドロキシドのうちの1種が選択され、添加量は上記ケイ素化合物の全モル数の1/1000〜50/1000モルが好ましい。これより少ない場合は、コーティング組成物(硬質保護膜層24)の硬化が不十分となり実用的な表面硬度が得られないばかりか、耐水処理時の金属皮膜層22とアンダーコート層21の間及び金属皮膜層22とトップコート層23の間の密着力が低下して層間剥離が起こりやすくなり、しかも金属皮膜層22の腐食が生じ、光輝性が著しく低下する。逆に、添加量が上記範囲より多い場合は、耐熱処理時に硬質保護膜層24に亀裂やシワが生じるなどの欠陥を生じるので、好ましくない。
また、コーティング組成物の硬化速度調整や白化防止のための調整剤として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸を適宜用いることができ、特に酢酸が好ましい。更には、好みの外観を得る目的で顔料、染料、充填剤等の添加物を添加することも可能である。
また、上述のケイ素化合物からなるコーティング組成物には、コーティング作業の安定化を図るため、溶媒を添加して用いることが有効である。この場合の溶媒としては、前記コーティング組成物や他の添加物を共通に溶解する溶媒から任意に選択され、特に、ジオキサンやアルコール類が好適に使用され、必要に応じてケトン、エステル、エーテル系の溶媒も併用することができる。
すなわち、硬質保護膜層24の形成においては、溶媒で溶解された上述のコーティング剤組成物の溶液をトップコート層23の表面に塗布し、加熱乾燥させることによって形成される。前記溶液の塗布方法としては、浸漬や、ロールによる塗布、スプレー法など、良く知られた塗装方法が採用可能であるが、特に、浸漬法や、ロール塗り、流延法が好適である。また、加熱乾燥は60〜90℃で30〜120分程度行うのが好適である。
次に、本発明に係る金属光沢塗装品の優位性を確認するために、具体的な実施例の性能を検証した試験について説明する。
表1は、この試験で用いる試料に硬質保護膜層を形成するためのコーティング剤組成物の例を示すものである。
Figure 2009012308
すなわち、表1に示される組成物a〜gは、次のようにして得られたものである。まず、ビニルトリエトキシシラン:CH=(CO)SiCHと、メチルトリメトキシシラン:CHSi(OCH)を混合し、これに0.01規定塩酸を徐々に加えて加水分解を行った。発熱を伴いながら加水分解が進行して温度が上昇し、次第に透明の溶液となった。これを室温になるまで放置して冷却した後、更に24時間放置し熟成した。この溶液に氷酢酸及び酢酸ナトリウムを加え、撹拌後、この溶液にそれぞれ溶媒を添加して更に撹拌して、硬質保護膜層用コーティング剤組成物とした。
次に表2は、性能試験に用いる試料として、金属光沢塗装品の実施例1〜12と、比較例1〜8における基材の材質及び膜積層体の構成を示すものである。すなわち、これらの試料では金属皮膜層として銀を用いており、このうち実施例1〜12は、硬質保護膜層を、表1に示される組成物b〜fによって形成したものであって、このうち実施例1はアンダーコート層及びトップコート層を形成しておらず、実施例2は、トップコート層を形成していない。また、比較例1〜6は硬質保護膜層を形成せず、比較例7,8は硬質保護膜層を、表1に示される組成物a,gによって形成したものである。
Figure 2009012308
すなわち、これらの試料の製作においては、まず、基材を合成樹脂で縦80mm、横80mm、厚さ3mmの角板状に成形し、この基材を脱脂・洗浄して、その表面の汚れや塵埃等を除去してから、株式会社表面化工研究所製のMFSアンダーコート用塗料を吹き付け、80℃に設定した乾燥炉内で約1時間加熱乾燥することによって層厚20μmのアンダーコート層を形成した。次いで、このアンダーコート層の表面をスプレー水洗した後、株式会社表面化工研究所製の表面調整剤を吹き付けることによって、余剰の活性化剤をスプレー水洗し、その直後、株式会社表面化工研究所製の銀めっき処理液(MFS薬液)を反応液と還元液とに入れ分けた双頭スプレーガンを用いて同時にスプレー塗付して、銀鏡反応により銀皮膜層を形成した後、スプレー水洗した。なお、実施例1については、アンダーコート層の形成工程を経ずに、基材の表面に上述の銀鏡反応による銀皮膜層を形成した後、スプレー水洗した。
その後、70℃に設定した乾燥炉内で約15分乾燥し、更に室温で放置乾燥した。次いで株式会社表面化工研究所製のトップコート用塗料を吹き付け、70℃に設定した乾燥炉内で約20分加熱乾燥してトップコート層を形成した。なお、実施例1,2は、トップコート層を形成していない。
次いで、表1に示される硬質保護膜層用コーティング剤組成物a〜gがセットされた浸漬槽に浸漬した後、70℃に設定した乾燥炉内で約60分加熱乾燥することによって硬質保護膜層を形成した。なお、比較例1〜6は、硬質保護膜層を形成していない。
このようにして得られた金属光沢塗装品の各試料を室温にて10日間放置熟成した後、初期性能、耐冷熱サイクル性、耐熱水性及び耐汚染性を、外観、表面硬度及び密着性についてそれぞれ評価した。表3は、その評価結果を示すものである。
Figure 2009012308
なお、表3に示される項目のうち、外観については、目視で試料を観察し、変色、腐食、シワ、しみ、異物等の外観不良及び光輝性をチェックしたもので、高い光輝性があり、外観不良のないものを◎、光輝性があり、外観不良のないものを○、外観不良があるものを×、著しい外観不良があるものを××で示した。
また、表面硬度は鉛筆硬度試験を用いて評価し、硬度の低いものから順にB、F、H、2H、3H、・・・8Hで示した。
密着性については、碁盤目剥離試験(JIS K5600−5−6)により評価し、すなわち試料の膜積層体の表面に鋭利な刃物によって数mmメッシュの碁盤目状の切り込みを入れ、粘着テープを密着させてから引き剥がした時に、粘着テープに付着して試料から剥離した膜の小片の個数によって密着強度の指標とする方法であり、剥離した小片の個数/100(碁盤目の全個数)で示した。したがって、小片の個数が少ないほど密着性が優れていることを示す。
耐冷熱サイクル性については、試料を70℃の雰囲気中に30分放置し、次に室温で30分放置し、次に−30℃雰囲気中に30分放置し、次に室温で30分放置することを1サイクルとして、3サイクル実施してから、室温に48時間放置した後、外観、密着性、表面硬度の変化を評価した。
耐熱水性については、試料を40℃の水中に240時間浸漬処理し、室温に48時間放置した後、外観、密着性、表面硬度の変化を評価した。
耐汚染性については、試料の表面に醤油を塗りつけて24時間放置した後、表面をガーゼでこすりながら水洗し、室温に48時間放置後、外観、密着性の変化を評価した。
表3に示される評価結果から明らかなように、硬質保護膜層を形成しなかった比較例1〜6は、初期及び耐冷熱サイクル試験では光輝性を有するものの、表面硬度や密着性が低く、特に耐熱水試験及び耐汚染試験では外観や密着性が著しく損なわれることが確認された。また、主剤がメチルトリメトキシシランのみからなる組成物aによって保護膜層を形成した比較例7は、表面硬度は比較的低く、耐冷熱サイクル試験や耐熱水試験では密着性の低下が起こり、主剤がビニルトリエトキシシランのみからなる組成物iによって保護膜層を形成した比較例8は、表面硬度は高いものの、耐冷熱サイクル試験ではシワが発生し、耐熱水性が著しく低いことが確認された。
これに対し、主剤がビニルトリエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの混合物からなる組成物b〜fによって保護膜層を形成した実施例は、基材の材質によらず、いずれも優れた外観と表面硬度及び密着性を示し、特に、アンダーコート層及びトップコート層を形成したうえで組成物b〜fによる保護膜層を形成した実施例3〜12は、耐冷熱サイクル試験、耐熱水試験、耐汚染試験でも全く剥離が発生しない高い密着性を示し、光輝性と表面硬度も著しく高いことが確認された。
なお、本発明によれば、上述のように、水分の浸透に起因する金属皮膜層の変色が防止されて、金属皮膜層による高品位な表面光輝性が維持され、更に各層間の密着性が向上するため、自動車用部品(例えばフロントグリル、ロゴマーク部品、フロントガーニッシュ、サイドモール、リヤガーニッシュ、アウタードアハンドル、ミラーカバー、ランプ用反射板、ヘッドライトカバー、ナンバーフレーム、ホイールカバー、メーターパネル、インナードアハンドルなど)や、電気機器(例えばDVDレコーダー、ビデオ、オーディオ機器、パソコン、携帯電話機、ゲーム機、複写機、ファクシミリ、カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、エアコンなど)や、家具(例えば机、椅子、タンス、ベッド、書棚、食器棚、装飾品など)や、遊戯用品(パチンコ、スロットマシンなど)や、室内用品(住宅用各種ドア、置物、宗教用装飾品、文房具など)や、その他の物品における、金属光沢部分に好適に適用することができる。特に、耐透水性の硬質保護膜層によって、金属皮膜層への水分の浸透が抑制され、金属皮膜層の腐食等が抑制されて、変色や界面剥離が防止されるので、 水回り用品(例えば水洗トイレ用レバー、蛇口、シャワー類)や、スポーツ用品(スキー、スノーボード、釣具、ラケット)などの金属光沢部分に好適に適用することができる。
本発明に係る金属光沢塗装品の要部拡大断面図である。
符号の説明
1 基材
2 膜積層体
21 アンダーコート層
22 金属皮膜層
23 トップコート層
24 硬質保護膜層

Claims (8)

  1. 基材の表面に膜積層体が形成され、この膜積層体は、金属皮膜層と、この金属皮膜層を覆う耐透水性の硬質保護膜層からなることを特徴とする金属光沢塗装品。
  2. 基材と金属皮膜層の間に、アンダーコート層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の金属光沢塗装品。
  3. 金属皮膜層と硬質保護膜層との間に、トップコート層が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属光沢塗装品。
  4. 金属皮膜層が、銀鏡反応により析出した銀皮膜からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属光沢塗装品。
  5. 金属皮膜層が、蒸着又はスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属光沢塗装品。
  6. 金属皮膜層が、無電解めっきにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属光沢塗装品。
  7. 硬質保護膜層が、ケイ素化合物を含有するコーティング剤組成物からなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属光沢塗装品。
  8. コーティング剤組成物が、一般式CH=CHSi(OR)で示されるケイ素化合物加水分解物(但し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又は炭素数1〜4のアシル基)と、一般式RSi(OR)で示されるケイ素化合物加水分解物(但し、Rは炭素数1又は2の炭化水素基、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又は炭素数1〜4のアシル基)と、硬化剤とを混合したコーティング組成物からなることを特徴とする請求項7に記載の金属光沢塗装品。
JP2007177010A 2007-07-05 2007-07-05 金属光沢塗装品 Expired - Fee Related JP4904216B2 (ja)

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