JP5809768B1 - 成型用シート及び成型品 - Google Patents

成型用シート及び成型品 Download PDF

Info

Publication number
JP5809768B1
JP5809768B1 JP2015112061A JP2015112061A JP5809768B1 JP 5809768 B1 JP5809768 B1 JP 5809768B1 JP 2015112061 A JP2015112061 A JP 2015112061A JP 2015112061 A JP2015112061 A JP 2015112061A JP 5809768 B1 JP5809768 B1 JP 5809768B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
molding
sheet
metallic luster
anchor coat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015112061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016153210A (ja
Inventor
悠介 戒能
悠介 戒能
美穂 川合
美穂 川合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oike and Co Ltd
Original Assignee
Oike and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oike and Co Ltd filed Critical Oike and Co Ltd
Priority to JP2015112061A priority Critical patent/JP5809768B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5809768B1 publication Critical patent/JP5809768B1/ja
Publication of JP2016153210A publication Critical patent/JP2016153210A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 深絞りがなされた金型を用いる樹脂成型品を例えばインサート法や、さらには真空成型法などによる製造方法を実施する際に用いても、金属光沢部分に白化などが生じることなく、樹脂成型品の表面に均一に美麗な金属光沢を付与することを可能とした、成型用シート及びこれを用いた成型品を提供する。【解決手段】 基材フィルムの片面若しくは両面に、アンカーコート層と、金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と、アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、を積層してなる金属光沢を備えた成型用シートとした。【選択図】 なし

Description

本発明は、成型用シート及び該シートを用いて得られる成型品に関するものであって、具体的には、いわゆる深絞りの形状を備えた成型品にも対応できる金属光沢を備えた成型用シート及びこれを用いて得られる成型品に関する。
樹脂成型品を装飾するために、その表面に金属光沢を付与することが行われているが、従来その手法として、成型品の表面に直接金属メッキを施すことが行われている。しかし直接メッキを行うとメッキをした膜の厚みの分だけ全体の厚みが分厚くなり、またメッキ膜を保護するためのオーバーコート層を設けなければならない等のように工程が増え、そのために製造コストがかかってしまうこと、さらにメッキ及びメッキ後の塗装に用いる溶液を廃液として処理する際に環境問題が生じる、等の問題があった。また単純な板状の成型品であればメッキも容易に行えるが、立体形状を有する場合、その表面に均一なメッキ膜を直接施すことは大変困難であった。
その他の樹脂成型品表面に金属光沢を付与する手法として、金属光沢を有するシートを用いたインサート法により成型品に金属光沢を付与する手法がある。このインサート法で用いる金属光沢を備えたシートとは一般的には基材フィルムの表面に金属光沢を備えた金属蒸着層が積層されてなる、いわゆる金属蒸着シートと称されるものである。この金属蒸着シートを樹脂成型品を成型する金型内にあらかじめ備えておき、そして金属蒸着シートを備えた金型をそのまま用いて樹脂成型を行えば、得られた樹脂成型品には金属蒸着シートが貼着された状態のものとなり、その結果得られる成型品の表面に金属光沢が付与されるのである。
しかしこのような製法に用いられていた従来の金属蒸着シートでは、立体形状が複雑であったり深みがあった場合には、必ずしも美麗に貼着が出来ていたわけではなかった。つまり樹脂成型を実行する際に、その立体形状が複雑であったり深みがあったりする場合、断面視直線状の箇所については美麗にシートの貼着ができるものの、断面視曲線状となった箇所では、特にその曲線の曲り方が急であったり、より鋭角的もしくは鋭角である箇所では、貼着されたシートの金属蒸着シートの金属蒸着層にクラックが生じてしまい、美麗な金属光沢を得ることが出来なかった。これは、曲り方が急であったり鋭角的であったりするために、その箇所における金属蒸着層の伸び方が不十分であるために生じてしまうのである。
そこで、このようなクラックが生じないようにすることを可能としたシートとして、例えば、特許文献1に記載のように、柔軟性を有する基材フィルム上に、柔軟な透明樹脂アンカー層と、インジウムからなる層とが形成され、成型温度において元の面積に対して130%以上に延伸可能である、シートが提案されている。
特開2007−270069号公報
この特許文献1に記載のシートであれば、基材フィルム及び蒸着金属層であるインジウム層が、樹脂成型品を得るための金型の形状に追従することが可能であるため、インジウム層がマイクロクラックを生じてしまう、という問題を解消することが出来る。
しかし、柔軟性があるとされる基材フィルムにインジウムを積層した場合、通常これらの層間密着性は低いため層間剥離が生じてしまいやすく問題である。
またそれ以上に特許文献1に記載された構成では、熱成型時の熱負荷に柔軟な透明樹脂アンカー層が耐えられず白化してしまう現象が生じる、という重篤な問題が生じてしまう。特にこのシートを厚み1〜5mmの樹脂板に貼り合わせてから真空成型や熱プレス成型などでシャープな形状を得る場合には、通常150〜180℃の熱負荷がかかり、柔軟性を有する基体シートや柔軟な透明樹脂アンカー層がその高熱に耐えられずインジウム層の白化現象等美観を損ねる現象が生じてしまう。
さらに特許文献1に記載されたような基材をそのまま利用すれば耐溶媒性が悪いため、インサート法の前工程で実施されるラミネート工程で使用するラミネート用接着剤により蒸着層が白化してしまう現象が生じてしまい、必ずしも樹脂成型品に金属光沢を与えるための転写材としては充分なものではなかった。
そこで本発明はこのような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、深絞りがなされた金型を用いる樹脂成型品を例えばインサート法や、さらには真空成型法などによる製造方法を実施する際に用いても、金属光沢部分に白化などが生じることなく、樹脂成型品の表面に均一に美麗な金属光沢を付与することを可能とした、成型用シート及びこれを用いた成型品を提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載の発明は、基材フィルムの片面若しくは両面に、アンカーコート層と、金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と、アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、を積層してなる金属光沢を備えた成型用シートであって、前記アンカーコート層が透明樹脂であり、なおかつ前記透明樹脂が、ウレタン系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるものであること、を特徴とする。
本願発明の請求項2に記載の発明は、基材フィルムの片面若しくは両面に、アンカーコート層と、金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と、アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、を積層してなる金属光沢を備えた成型用シートであって、前記アンカーコート層が透明樹脂であり、なおかつ前記透明樹脂が、ポリエステル系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるものであること、を特徴とする。
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の成型用シートにおいて、前記蒸着層が、インジウム、スズ、又はアルミニウム、の何れか若しくは複数により形成されてなること、を特徴とする
本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の成型用シートにおいて、156.6℃以上の高温に1分以上曝されても白化しないこと、を特徴とする。
以上のように、本願発明に係る成型用シートであれば、該成型用シートにおける粘着層又は接着層にアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂を、また同時にアンカーコート層としてウレタン系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、あるいはポリエステル系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、を用いたことにより、該成型用シートを例えばインサート樹脂成型法に用いても該成型用シートが白化してしまい完成品の美観を損ねる、という現象を防止できるようになる、といった大変好適な成型用シートを得ることができる。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずもこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本願発明に係る成型用シート(以下、単に「金属光沢シート」とも言う。)について第1の実施の形態として説明する。
本実施の形態における金属光沢シートは以下の構成よりなる。即ち、基材フィルム/アンカーコート層/蒸着層という構成の積層体の蒸着層側のさらに表面に、アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、を積層してなる構成よりなる。そして本実施の形態においてアンカーコート層は透明樹脂であり、なおかつ透明樹脂が、ウレタン系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、又はポリエステル系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、であること、とした。
以下、順に説明する。
本実施の形態にかかる基材となる基材フィルムは、ある程度の力が加えられても容易に破断しないフィルムであることが望ましく、例えばアクリル系フィルムやポリカーボネート系フィルム、ウレタン系フィルムであればよい。
さらには、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、延伸性を向上させた各種変性ポリエチレンテレフタレートフィルム、またはアクリルとポリカーボネートの二層共押しフィルム等の異種二層共押しフィルムを選択することも考えられる。
これらのフィルムであれば、断面視で急な曲線を描くような箇所、樹脂成型品を得るための金型であればいわゆる深絞り形状を備えたものの断面視曲線部分、などにあてがわれても、フィルム自体に柔軟性や追従性があるので、その箇所の形状にもきちんと沿わせることが出来るので、これらを用いることが好適なのである。尚、このフィルムの厚みは上記目的を逸することが無い範囲であれば適宜好ましい厚みのものを用いればよい。
本実施の形態に係る金属光沢シートのアンカーコート層は前述の通り、透明樹脂であって、ウレタン系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、又はポリエステル系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるもの、を用いることとする。ここではまずウレタン系樹脂とケトン系樹脂とを混合したものにイソシアネート基を添加した場合につき説明を続ける。
ウレタン系樹脂を選択するのは、後述の金属層との密着性を向上させるためであり、ケトン系樹脂を選択するのは、後述の、本実施の形態に係る金属光沢シートを実際に使用する際の高温に耐える、即ち耐熱性を向上させるためである。ちなみにケトン系樹脂を単独で用いると耐熱性の向上という点において著しい効果を得られるが、金属層との密着性を同時に充分に得るには至らないため、ウレタン系樹脂と混合したものを用いているのである。
ケトン系樹脂及びウレタン系樹脂を選択する事に関し、さらに説明を続ける。
本実施の形態にかかる金属光沢シートは、後述の通り樹脂成型品を真空成型などの、樹脂を同時射出しない手法で成型して得る時にキャビティ内に装着して利用することを想定しているのであるが、成型時におけるラミネート工程で用いる接着剤により蒸着層が白化することがないように、接着剤などの溶剤を透過しないことが可能な部材で構成されていることが望ましいものであり、そこでウレタン系樹脂を用いれば蒸着層の白化を防止出来るので、ここではウレタン系樹脂を選択するのである。
しかしウレタン系樹脂だけであると蒸着層の白化は防止出来るが、後述の金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と基材フィルムとの密着性は確保できるものの、高温高圧に耐えるには最低限の所望のレベルにまでしか到達していない。そこで本実施の形態ではさらに高温高圧に耐えられるようにするためにウレタン系樹脂にケトン系樹脂を混合させることとしたのである。
ケトン系樹脂を混合させることで、高温高圧にアンカーコート層が耐えられるように、ケトン系樹脂を本実施の形態では選択するのである。
さらに詳しく述べると、かかる成型作業時の高温高圧により、従来の同様の目的をもって利用される金属光沢を呈するフィルムを利用した場合、かかるフィルムを構成するアンカーコート層が高温高圧のせいで必要以上に軟化してしまい、その表面にさらに積層されている金属光沢を呈する層である蒸着層の位置がずれてしまう、即ち固定されなくなり、又は剥離してしまい、または平坦な膜が荒れてしまうことで白化するなど、結果として所望の金属光沢を樹脂成型品に付与できない、即ち欠陥品となってしまう、という事態が生じやすかった。
そこで本実施の形態ではアンカーコート層が高温高圧に曝されても必要最小限にしか軟化せず、その結果金属光沢シート全体としても、高温高圧に曝される以前の状態を真空成型を実施している最中でも維持出来る、即ち基材フィルムから蒸着層が剥離しない、又は位置ずれをしない、という目的を達する為に、ケトン系樹脂を用いるのである。つまりケトン系樹脂は蒸着層及び基材フィルムとの層間密着力を向上させる、という作用効果を奏するのである。
更に述べると、本実施の形態におけるアンカーコート層は、これら2種類の樹脂を混合させたものに、さらにイソシアネートを添加し、2液硬化性樹脂として使用するものである。そうすることにより、より一層耐熱性と耐溶剤性とを良好なものとすることができるようになるのである。
尚、ここではウレタン系樹脂を選択することとして説明をしたが、これがポリエステル系樹脂であっても同様の作用効果が得られるものであることを付言しておき、その詳述については省略することとする。
また、これをポリエステル系樹脂にイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるものとした場合も考えられるが、これについては以下の通りである。
この組み合わせでは前述したケトン系樹脂もウレタン系樹脂も用いないため、一見、前述した作用効果を得られないように見えるが、実際にはポリエステル系樹脂の持つ水酸基とイソシアネート基とが反応することによりウレタン化合物が生成され、その結果前述したウレタン系樹脂による作用効果と同様の作用効果が得られるのである。またかかる反応が生じる前のポリエステル系樹脂は低分子量であり耐熱性も十分なものとは言えないが、イソシアネート基による三次元架橋反応により、耐熱性向上という作用効果も得られる。
次に基材フィルムへのアンカーコート層の積層方法について簡単に説明する。本実施の形態ではグラビアコート法やリバースコート法、等の従来公知の手法であれば特にこれを制限するものではなく、自由であって構わないものとする。またアンカーコート層の厚みとしては、アンカーコート層の厚みは0.3μm以上15μm以下、望ましくは0.5μm以上10μm以下であること、が好適である。これらの範囲内の厚みとしておけば、層間密着力や耐溶剤性の観点で所望のレベルを満たし、かつ本実施の形態にかかる金属光沢シートを用いてなる樹脂成型品における成型性も損なわれることがないのである。
またアンカーコート層を積層する前に基材プラスチックフィルム表面に、例えばプラズマ処理などの何らかの表面処理を前処理として施してもよいが、これについてもここでは特に詳述はしない。
アンカーコート層を形成したら、その表面に金属又は金属酸化物による蒸着層を積層する。ここで、蒸着層が、インジウム、スズ、又はアルミニウム、の何れか若しくは複数により形成されることが望ましいが、これらの物質であれば前述したように、断面視で急な曲線を描くような箇所、樹脂成型品を得るための金型であれば、つまり深絞り形状を備えたものの断面視曲線部分などに対して、インサート成型時にあてがわれても、フィルム自体に柔軟性や追従性があるので、その箇所の形状にもきちんと沿わせることが出来るので、これらを蒸着層として積層することが好適なのである。尚、この目的を逸することが無いのであれば、必ずしもこれらの物質に限定されるものではない。
この蒸着層は、例えば真空蒸着法やエレクトロンビーム蒸着法、等の公知の手法により積層されればよく、またその厚みは目的に応じて自在に設定すればよいが、あまり薄すぎれば肝心の金属光沢が薄まり、または消失してしまい、厚すぎれば深い曲げの部分でクラックが生じやすくなる可能性があるので、実際に本実施の形態に係る金属光沢シートを用いた時にこれらの症状が発生しない程度の厚みとすることが大切である。
そして最後に、最表面にアクリル系樹脂による粘着層又はウレタン系樹脂ないしはポリエステルウレタン系樹脂の何れか又は双方による接着層を積層してなる。これらを積層する手法としては従来公知のいわゆるウェットコーティング法と称される手法であってよい。本実施の形態では、粘着層としてアクリル系樹脂をグラビアコーティング法により積層したものとする。
このようにして得られた金属光沢シートを、立体的で深絞り形状を有する樹脂成型品の真空成型時に用いると、断面視で急な曲線を描く部分や深く絞り込まれた箇所、断面視で鋭角的又は鋭角に曲がった箇所などであっても、基材となるプラスチックフィルム及び積層された蒸着層は充分にその箇所の形状に追従しており、また実際に製造する時まで不用意に層間剥離を生じず、ラミネート時に接着剤を用いてもこの接着剤が浸透することもないので、得られた樹脂成型品の表面には、あたかも均一で薄い膜厚になるように金属メッキが施されたかのような外観が与えられる。つまり、従来のように深い絞り箇所などで不用意なクラックが発生しておらず、美麗な金属光沢を備えた樹脂成型品が得られるのである。当然、前述の通りアンカーコート層が原因による白化現象の発生も抑制できる。
尚、この際金属光沢シートを貼着する相手は厚さが1〜5mmの樹脂板であり、より具体的にはABS板、アクリル板、PC板、MS板、PET−G板、などであるが、ここではこれ以上の詳述は省略する。
また以上説明した金属光沢シートは全ての積層物が基材フィルムの片側表面にのみ積層されている構成を想定したものであったが、当然両面に積層された形態であっても構わないことを断っておく。
尚、さらなる詳述は省略するが、例えば以上説明したアンカーコート層として用いる透明樹脂として、紫外線硬化型樹脂であるポリウレタンアクリレートを用いることも考えられ、さらには、アンカーコート層として用いる透明樹脂として、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ケトン系樹脂、又はエポキシ系樹脂のいずれか単独又は複合を混合してなるもの、を用いることも可能性として考えられることをここで述べておく。
本願発明をさらに説明するため、実施例を以下に示す。
ここでは3つの実施例、2つの比較例を準備し、それらにつき評価をした。
これら5つの事例として準備した成型用シートは、アンカーコート層を形成するために用いたアンカーコート樹脂組成物が異なるのみである。
具体的には後記の表1に示すように、ウレタン系樹脂とケトン系樹脂との混合物とイソシアネートとを用いてアンカーコート層を形成した<実施例1>、ウレタン系樹脂とイソシアネートとを用いてアンカーコート層を形成した<比較例1>、ポリエステル系樹脂とケトン系樹脂との混合物とイソシアネートとを用いてアンカーコート層を形成した<実施例2>、ウレタン系樹脂を用いてアンカーコート層を形成した<比較例2>、そしてポリエステル系樹脂とイソシアネートとを用いてアンカーコート層を形成した<実施例3>、の5種類である。これら5つのサンプル作成に用いた基材フィルムは全て厚さ75μmのアクリルフィルムとした。
(実施例1)
(1) アンカーコート層に用いる樹脂組成物として次のものを用意した。
・ ウレタン系樹脂とケトン系樹脂の混合物 5重量部
これに以下の組成からなる溶剤を加え、樹脂組成物を用意した。
・ イソシアネート 10重量部
・ 酢酸ブチル 45重量部
・ 酢酸エチル 15重量部
・ メチルエチルケトン 15重量部
・ シクロヘキサノン 10重量部
(2) このようにして得られた樹脂組成物を基剤フィルム表面に、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗工し、ついでそれを100℃で1分乾燥させ、アンカーコート層とした。
(3) さらにその表面にインジウムを用いた蒸着層を真空蒸着法により形成した。インジウムによる蒸着層の厚みは500オングストロームとした。得られたサンプル1−1は後述のテストA(密着力評価)に用いた。
尚、本実施例1及び後述の各実施例及び比較例における真空蒸着を行う際の諸条件はすべてのサンプルに対して同一の条件で行ったものであり、ここでは詳述を省略する。
(4) 次にサンプル1−1におけるインジウムを用いた蒸着層のさらに表面に粘着剤層を積層し、さらにその表面に厚さ280μmのABSシートを貼着して次のサンプル1−2を得た。得られたサンプル1−2は後述のテストB(耐久性評価)に用いた。
(5) サンプル1−2とは別に、サンプル1−1におけるインジウムを用いた蒸着層のさらに表面に厚さ5mmのABS板を貼着して次のサンプル1−3を得た。得られたサンプル1−3は後述のテストC(成型性評価)に用いた。
(実施例2)
(1) アンカーコート層に用いる樹脂組成物として次のものを用意した。
・ ポリエステル系樹脂とケトン系樹脂の混合物 5重量部
これに以下の組成からなる溶剤を加え、樹脂組成物を用意した。
・ イソシアネート 10重量部
・ 酢酸ブチル 45重量部
・ 酢酸エチル 15重量部
・ メチルエチルケトン 15重量部
・ シクロヘキサノン 10重量部
(2) このようにして得られた樹脂組成物を基剤フィルム表面に、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗工し、ついでそれを100℃で1分乾燥させ、アンカーコート層とした。
(3) さらにその表面にインジウムを用いた蒸着層を真空蒸着法により形成した。インジウムによる蒸着層の厚みは500オングストロームとした。得られたサンプル2−1は後述のテストA(密着力評価)に用いた。
尚、本実施例1及び後述の各実施例及び比較例における真空蒸着を行う際の諸条件はすべてのサンプルに対して同一の条件で行ったものであり、ここでは詳述を省略する。
(4) 次にサンプル2−1におけるインジウムを用いた蒸着層のさらに表面に粘着剤層を積層し、さらにその表面に厚さ280μmのABSシートを貼着して次のサンプル2−2を得た。得られたサンプル2−2は後述のテストB(耐久性評価)に用いた。
(5) サンプル2−2とは別に、サンプル2−1におけるインジウムを用いた蒸着層のさらに表面に厚さ5mmのABS板を貼着して次のサンプル2−3を得た。得られたサンプル2−3は後述のテストC(成型性評価)に用いた。
(実施例3)
実施例3におけるアンカーコート層に用いる樹脂組成物として次のものを用意した。
・ ポリエステル系樹脂 20重量部
これに以下の組成からなる溶剤を加え、樹脂組成物を用意した。
・ イソシアネート 10重量部
・ 酢酸ブチル 30重量部
・ 酢酸エチル 30重量部
・ シクロヘキサノン 10重量部
これを用いて実施例1と同様に3つのサンプル(3−1、3−2、3−3)を得た。
(比較例1)
比較例1におけるアンカーコート層に用いる樹脂組成物として次のものを用意した。
・ ウレタン系樹脂 5重量部
これに以下の組成からなる溶剤を加え、樹脂組成物を用意した。
・ イソシアネート 10重量部
・ 酢酸ブチル 45重量部
・ 酢酸エチル 15重量部
・ メチルエチルケトン 15重量部
・ シクロヘキサノン 10重量部
これを用いて実施例1と同様に3つのサンプル(4−1、4−2、4−3)を得た。
(比較例2)
比較例2におけるアンカーコート層に用いる樹脂組成物として次のものを用意した。
・ ウレタン系樹脂 20重量部
これに以下の組成からなる溶剤を加え、樹脂組成物を用意した。
・ 酢酸ブチル 45重量部
・ 酢酸エチル 15重量部
・ メチルエチルケトン 10重量部
・ シクロヘキサノン 10重量部
これを用いて実施例1と同様に3つのサンプル(5−1、5−2、5−3)を得た。
以上得られた各サンプルに対し、以下の実験を行った。
<試験A:初期物性評価>(サンプル1−1、2−1、3−1、4−1、5−1)
・ 各サンプルに対し碁盤目剥離試験を行った。
・ 各サンプルに対しピール強度試験を行った。その際剥離界面を観察した。
<試験B:耐久性試験>(サンプル1−2、2−2、3−2、4−2、5−2)
・ 各サンプルに対し温水浸漬試験(40℃の水に24時間浸漬させる)を行った。
・ 各サンプルに対し耐熱試験(90℃の環境下で240時間晒す)を行った。
・ 各サンプルに対し耐湿熱試験(60℃・湿度95%の環境下で240時間晒す)を行った。
<試験C:成型性評価>(サンプル1−3、2−3、3−3、4−3、5−3)
・ 各サンプルを用いて真空成型を行った。
・ 成型時においてサンプルを160℃の環境に1分曝した。
結果につき以下に示す。
Figure 0005809768
試験Aに対し、実施例1、2、3、及び比較例1のサンプルはいずれも碁盤目剥離試験で100/100という値を示し、またピール強度試験でもいずれも400gf/15mm以上という優れた値を示している。このことよりこれらのサンプル、即ち本願発明にかかるものであればアンカーコート層とインジウム蒸着層との密着強度は必要十分なものであることがわかる。一方、比較例2では碁盤目剥離試験の値は100/100と良好な結果を示しているが、ピール強度試験の値は150gf/15mmを下回っていることより、アンカーコート層とインジウム蒸着層との間の密着力は強くなく、即ちこの部分で容易に剥離することがわかる。
試験Bに対し、実施例1、2、3のサンプルは、温水浸漬試験、耐熱試験、耐湿熱試験、いずれにおいても試験前と試験後との外観に変化は生じていないが、比較例1、2のサンプルでは温水浸漬試験にあっては外観変化は生じていないものの、耐熱試験では一部白化が生じ、耐湿熱試験では全面白化という現象が観測されている。
試験Cに対し、実施例1、2、3及び比較例1のサンプルは真空成型実施後の外観に変化は認められず良好な状態を維持しているが、比較例2のサンプルは白化が観測されている。
以上3つの試験結果より、本願発明にかかる実施例1、2、3では密着性、耐久性が良好なものであり、成型性にも優れたものを得られる一方で、比較例1、2では密着性、耐久性、成型性のいずれか1つ以上が不良であり、即ち実際に使用するに際しては何らかの問題を生じてしまうだろうことが想像される。
以上の通り、アンカーコート層の樹脂組成にウレタン系樹脂とケトン系樹脂との混合物とイソシアネートを用いた場合、又はポリエステル系樹脂とケトン系樹脂との混合物とイソシアネートを用いた場合、又はポリエステル系樹脂とイソシアネートを用いた場合、アクリルフィルム並びにインジウム蒸着層に対する十分な密着性を得ることが出来、なおかつ優れた耐久性、成型性を備えた成型用シートを得られることがわかる。
本願発明にかかる成型用シートであれば、優れた可撓性を有すると同時に、アンカーコート層として用いる透明樹脂を選択することにより、成型時の高熱による成型用シートの白化現象を抑制できるので、従来品に比して製造時の収率を著しく向上させることが出来るようになる。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの片面若しくは両面に、
    アンカーコート層と、
    金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と、
    アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、
    を積層してなる金属光沢を備えた成型用シートであって、
    前記アンカーコート層が透明樹脂であり、なおかつ前記透明樹脂が、ウレタン系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるものであること、
    を特徴とする、金属光沢を備えた成型用シート。
  2. 基材フィルムの片面若しくは両面に、
    アンカーコート層と、
    金属又は金属酸化物よりなる蒸着層と、
    アクリル系樹脂による粘着層、もしくはウレタン系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂の何れかもしくは双方による接着層と、
    を積層してなる金属光沢を備えた成型用シートであって、
    前記アンカーコート層が透明樹脂であり、なおかつ前記透明樹脂が、ポリエステル系樹脂とケトン系樹脂を混合したものにイソシアネートを添加したものを2液硬化性樹脂としてなるものであること、
    を特徴とする、金属光沢を備えた成型用シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の成型用シートにおいて、
    前記蒸着層が、インジウム、スズ、又はアルミニウム、の何れか若しくは複数により形成されてなること、
    を特徴とする、金属光沢を備えた成型用シート。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の成型用シートにおいて、
    156.6℃以上の高温に1分以上曝されても白化しないこと、
    を特徴とする、金属光沢を備えた成型用シート。
JP2015112061A 2015-02-16 2015-06-02 成型用シート及び成型品 Active JP5809768B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015112061A JP5809768B1 (ja) 2015-02-16 2015-06-02 成型用シート及び成型品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027921 2015-02-16
JP2015027921 2015-02-16
JP2015112061A JP5809768B1 (ja) 2015-02-16 2015-06-02 成型用シート及び成型品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5809768B1 true JP5809768B1 (ja) 2015-11-11
JP2016153210A JP2016153210A (ja) 2016-08-25

Family

ID=54550458

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015112061A Active JP5809768B1 (ja) 2015-02-16 2015-06-02 成型用シート及び成型品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5809768B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11827762B2 (en) 2018-06-01 2023-11-28 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Metallic decorative member, and metallic decorative molded body using same

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020138371A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 日本カーバイド工業株式会社 金属調積層体及び金属調成形体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11827762B2 (en) 2018-06-01 2023-11-28 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Metallic decorative member, and metallic decorative molded body using same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016153210A (ja) 2016-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6709018B2 (ja) 加飾フィルム及びそれと一体化した物品
JP2009543719A (ja) 金属化多層複合材料
EP2033717A3 (en) Decorated resin molded article and method for producing the same
JP6303384B2 (ja) 防湿シート
JP2012502828A (ja) インサートシート及びその製造方法
JP5809768B1 (ja) 成型用シート及び成型品
JP4690185B2 (ja) 水蒸気バリア性透明積層体
KR20080014269A (ko) 알루미늄 포일형 고광택시트
JP6089594B2 (ja) 化粧板用防湿シート及び化粧板
JP4307241B2 (ja) 保護シート付き加飾シートおよび加飾成形品の製造方法
JP5658817B2 (ja) 成形加工後にも高い光沢を有する成形用積層シート及びその製造方法
CN102378510A (zh) 电子装置外壳及其制备方法
JP4067109B2 (ja) 耐腐食性に優れた絶縁性転写フイルム、及びそれを使用して得る成形品
JP3704141B1 (ja) 金属光沢を備えた成型用シート及び金属光沢を備えた成型品
JP2013018292A (ja) 金属調シート及びそれを用いた金属調化粧材
JP2013000895A (ja) 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法
JP2018171836A (ja) 金属調加飾シート及びその成形体
KR101992541B1 (ko) Zn-Mg-Al계 고내식 도금강판을 연마가공한 소재를 이용한 필름 라미네이트 강판의 제조방법 및 이에 의해 제조된 강판
JP2005349818A (ja) 化粧金属板
JP2005169740A (ja) ヘアラインを有する金属調化粧フィルム
JP2010111153A (ja) 自動車用光輝性積層フィルム
CN109334185A (zh) 一种耐温具有金属光泽亮膜的制备方法
JP2006315248A (ja) 化粧フィルムおよび化粧板
CN102416729A (zh) 具有拉丝效果的仿不锈钢彩晶玻璃
JP4880320B2 (ja) 金属蒸着積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150811

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5809768

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250