JP2009012207A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動劣化が抑制された液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】 複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上にコモン電極、圧電セラミック層、および複数の駆動電極をこの順に積層した液体吐出ヘッドであって、前記複数の駆動電極は前記複数の液体加圧室にそれぞれ対向して形成されているとともに、前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれた前記駆動部は前記圧電セラミック層の主面に垂直に分極されており、さらに、積層方向から見て前記液体加圧室と対向する前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれていない非駆動部が前記圧電セラミック層の主面に対して斜めに分極されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッドに関し、特に微小液滴を噴出させたり、微小液体を送出するための液体吐出装置や文字や画像の印刷に用いるインクジェット式プリンタに搭載される印刷ヘッドに好適に使用できる液体吐出ヘッドに関する。
近時、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置の利用が急速に拡大している。該記録装置は、市販の小型プリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも、広く利用されている。
インクジェット方式の記録装置においては、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させるとともに、記録紙や基板等を、上記主走査方向と交差する副走査方向に移動させながら、記録情報に応じてインクジェットヘッドを駆動させて、当該インクジェットヘッドのノズル開口から断続的にインク滴を吐出させることにより記録が行われる。例えば、小型プリンタの場合には、記録紙等の表面に文字や画像が記録される。また、工業用の記録装置の場合には、基板等の表面に電子回路、液晶ディスプレイのカラーフィルタ、有機ELディスプレイの発光セル等が形成される。
かかるインクジェット方式の記録装置には、液体を吐出させるための液体吐出装置が、印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、このヒーターによりインクを加熱して沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、液体吐出孔より、インク滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、液体吐出孔よりインク滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
圧電方式を利用したインクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、例えば図5(a)に示したように、アクチュエータ51が、流路部材53の上に設けられた構造を有する(例えば、特許文献1、2参照。)。流路部材53は、複数の隔壁53bによって仕切られた複数の液体加圧室53aを有し、液体加圧室53aの開口部は圧電アクチュエータ51によって覆われるように形成されている。
圧電アクチュエータ51は、振動板52上に、コモン電極54、圧電セラミック層55および駆動電極56がこの順に積層され、駆動電極56とコモン電極54とこれらに挟まれた圧電セラミック層55とで構成される変位素子57が複数形成されている。そして、駆動電極56とコモン電極54とに挟まれた圧電セラミック層55は圧電セラミック層55の主面に垂直に分極されている。
また、駆動電極56は、図5(b)に示したように、圧電セラミック層55の表面にマトリックス状に配置され、液体加圧室53aの直上に駆動電極56が配置されている。駆動電極56aには、外部配線回路(図示せず)と接続するための引出電極56bが接続されている。また、コモン電極54も、外部配線回路と接続するためのコモン電極接続部54aに電気的に接続している。
上記のようなインクジェットヘッドでは、コモン電極54と所定の駆動電極56との間に電圧を印加して、駆動電極56直下の圧電セラミック層55を変位させることにより、変位領域57aが対応する液体加圧室53aの体積を変化させ、液体加圧室53a内のインクを加圧して、流路部材53の底面に開口した液体吐出口58よりインク滴を吐出することができる。
そして、積層方向から見て、駆動電極56aは液体加圧室53aより小さい面積を有している。つまり、圧電セラミック層55には、駆動電極56の直下の分極された駆動部55aとそれを取り囲むように分極されていない非活性部55bがあり、さらに、それらの外側に流路部材53と接合されているため変位しない拘束部55cがあることにより変位素子57は大きな変位が得られるようになる。
特開平11−34321号公報 特開平11−34323号公報
しかしながら、特許文献1あるいは2に記載の液体吐出ヘッドでは、コモン電極54と駆動電極56との間に電圧を印加して変位素子57に駆動を繰り返し行なうと、非駆動部55bに外部からの応力が加わるため、内包する強誘電体ドメインウォールが移動し(ドメインスイッチング)、圧電セラミックの伸びや縮みが発生する。そして、駆動回数が非常に多くなると圧電体自身の逆圧電効果による磁器の伸びや縮みにより発生する駆動部55aと非駆動部55bとの間の応力によってドメインウォールの移動が進行し、変位素子57の、変位量が低下するという駆動劣化の問題が発生するおそれがあった。
変位素子57に駆動劣化が発生すると液体吐出ヘッドから吐出される液体の量や速度が変わるため、適切な画像を記録できなくなるなどの問題となる。
本発明の目的は、駆動劣化が抑制された液体吐出ヘッドを提供することである。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上にコモン電極、圧電セラミック層、および複数の駆動電極をこの順に積層した液体吐出ヘッドであって、前記複数の駆動電極は前記複数の液体加圧室にそれぞれ対向して形成されているとともに、前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれた駆動部は前記圧電セラミック層の主面に垂直に分極されており、さらに、積層方向から見て前記液体加圧室と対向する前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれていない非駆動部が前記圧電セラミック層の主面に対して斜めに分極されていることを特徴とする。
また、積層方向から見て、前記液体加圧室の周囲と対向する前記圧電セラミック層の表面もしくは内部に分極用電極を備えたことが好ましい。
また、積層方向から見て前記分極用電極と前記コモン電極とが重なっていないことが好ましい。
また、前記分極用電極と前記駆動電極とが同じ層に形成され、それらの間の距離が前記圧電セラミック層の厚み以下であることが好ましい。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上にコモン電極、圧電セラミック層、および複数の駆動電極をこの順に積層した液体吐出ヘッドであって、前記複数の駆動電極は前記複数の液体加圧室にそれぞれ対向して形成されているとともに、前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれた駆動部は前記圧電セラミック層の主面に垂直に分極されており、さらに、積層方向から見て前記液体加圧室と対向する前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれていない非駆動部が前記圧電セラミック層の主面に対して斜めに分極されていることにより、非駆動部が応力によってドメイン回転が起きるのが抑制され、非駆動部の変位特性が変わり、駆動劣化が起こることが抑制できる。
また、積層方向から見て、前記液体加圧室の周囲と対向する前記圧電セラミック層の表面もしくは内部に分極用電極を備えた場合は、分極時に電極を高精度に位置合わせする必要がなく、簡単に非駆動部を斜め方向に分極させることができる。
また、積層方向から見て前記分極用電極と前記コモン電極とが重なっていない場合は、分極時に対向した前記分極用電極と前記コモン電極とが重なった部分に電荷が集中することがなくなるため、非駆動部の分極を強くできる。
また、前記分極用電極と前記駆動電極が同じ層に形成され、それらの間の距離が前記圧電セラミック層の厚み以下である場合は、前記分極用電極と前記駆動電極との間の非駆動部の斜めの分極をより強くできる。
以下、本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる液体吐出ヘッド部分縦断面図であり、図1(b)は、をその上面図である。図1(a)は、図1(b)のX−X線の断面図である。図1(a)および(b)に示すように、この液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室3aと複数の液体加圧室3aに連通した複数の液体吐出孔8とを有する流路部材3の上、複数の液体加圧室3aを覆うように圧電アクチュエータ1が積層されている。圧電アクチュエータ1は、振動板2に上にコモン電極4、圧電セラミック層5、および複数の駆動電極6とがこの順に積層されている。流路部材3は圧電アクチェエータ1の振動板2の側に積層されている。複数の駆動電極6はそれぞれ複数の液体加圧室3aの直上にある。駆動電極6は、圧電セラミック層5の表面に2次元的かつ規則的(すなわちマトリックス状)に複数配列されている。
そして、圧電アクチュエータ1には、駆動電極6と、コモン電極4と、駆動電極6とコモン電極4とで挟まれた圧電セラミック層5aで構成される変位素子7が複数形成されている。これにより、駆動電極6とコモン電極4間に電圧を印加すると、該電圧が印加された駆動電極6とコモン電極4に挟まれた部位の圧電セラミック層5aが変位する。具体的には、駆動電極6に駆動電極を印加すると、振動板2により積層方向と直交する方向の変位が抑制されるので、変位素子7は積層方向に屈曲する。すなわち、圧電アクチュエータ1はユニモルフ型のアクチュエータである。
ここで、圧電アクチュエータ1において、互いに隣接する各変位素子7間に位置する圧電セラミック層5bが、圧電セラミック層5の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極されていることが重要である。ここでいう斜めに分極されているとは、分極されていない状態ではないこと、圧電セラミックス層5の主面に垂直な方向と平行には分極されていないことを意味している。すなわち、ここのいう斜め方向の分極とは、圧電セラミック層の主面と平行な方向に分極されている場合も含む。これにより、変位の駆動劣化が抑制される。この理由としては、下記のような理由が推察される。
すなわち、圧電アクチュエータ1における圧電セラミック層5は次の3つの部分に分けられる。駆動電極6とコモン電極4で挟まれた部分の圧電セラミック層5aは圧電セラミック層5の主面に垂直に分極された活性部であり、ここでは駆動部5aと呼ぶ。駆動電極6とコモン電極4の間に電圧が印加されると、駆動部5aは圧電性により寸法が変化し、変位する。次に、振動板2およびコモン電極4を介して流路部材3と接合している圧電セラミック層5cは拘束部5cであり、流路部材3により固定されているため、変位しない部分である。積層方向から見て、液体加圧室3a内でかつ駆動電極6とは重ならない部分圧電セラミック層5bがある。ここではこの圧電セラミック層5bを非駆動部5bと呼ぶ。非駆動部5bは、従来は分極処理が行われていない非活性部であった。
非駆動部5bは、拘束部5cではなく、流路部材3に固定されていないため、変位素子7が変位する際に変位する。このため、従来の非駆動部5bが分極されていない液体吐出ヘッドでは、変位素子7の変位回数が多くなると変位の応力を受けて非駆動部5bのドメインが回転していくおそれがあった。
これに対して、非駆動部5bを所定の斜め方向に分極すると、非駆動部5bの結晶方位(c軸結晶方位)が圧電セラミック層5の主面と平行な方向(すなわち振動板2の厚み方向に対して垂直方向)に近いに方向に揃う。その結果、駆動時における変位の低下原因である非駆動部5bのドメイン回転が抑制され、ユニモルフ振動を繰り返しても変位の駆動劣化を抑制することができる。
なお、圧電アクチュエータ1をユニモルフ型のアクチュエータとする上で、コモン電極4と駆動電極6挟まれた活性部5aは、積層方向に分極される。
圧電アクチュエータ1の厚みTは、変位量を大きくするという点で100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下であるのがよい。また、厚みTの下限値は、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有する上で20μm以上、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上であるのがよい。
駆動電極6は液体加圧室3aと同数、液体加圧室の直上に形成される。駆動電極6に駆動電極接続部6aが接続され、駆動電極接続部6aは、積層方向から見て拘束部5cの上で外部配線回路(図示せず)と接続される。また、コモン電極4とコモン電極接続部4aはビア電極(図示せず)で接続され、コモン電極接続部4aは外部配線回路(図示せず)に接続される。すなわち、外部配線回路からコモン電極接続部4aといずれかの駆動電極接続部6aとの間に電圧を加えると、電圧が加えられた駆動電極部6aに電気的に接続された駆動電極6が含まれる変位素子7が変位する。
分極用電極9は、前述の非駆動部5bを斜めに分極するための電極である。非駆動部5bを斜めに分極するには、分極時に外部から圧電セラミックス層5の上に外部電極を押し当てることにより行なうことができるため、分極用電極9は必ずしも必要ではないが、分極用電極9を形成することにより、分極時に外部電極を高精度に位置合わせする必要がなく、簡単に非駆動部5bを斜め方向に分極させることができる。また、後述するが、分極用電極9と駆動電極6と間の距離により、非駆動部5bの斜め方向の分極の程度が変わるため、分極の精度を高くするためには、分極用電極9を形成することが好ましい。
積層方向から見て、分極用電極9は、コモン電極4と重ならないことが好ましい。コモン電極4と重なる部分があるとその部分に電界が比較的集中しやすいため、非駆動部5bの斜め方向への分極がかかりにくくなることがある。積層方向から見て、分極用電極9が液体加圧室と重ならないことにより、振動板2および圧電セラミック層5の変位に影響を与えなくなるため、液体吐出ヘッドを設計する際の考慮が必要なくなるため、設計が容易になる。積層方向から見て、分極用電極9が液体加圧室と重ならせることにより、駆動電極6と分極用電極9の距離を近くにすることができ、非駆動部5bの斜め方向への分極を強くすることができる。
コモン電極4、コモン電極接続部4aの厚みは0.5μm以上、好ましくは1μm以上であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1の剛性を向上させて反り変形の抑制効果を高めることができる。駆動電極6および駆動電極接続部6aの厚みは2μm以下、好ましくは1μm以下であるのがよく、コモン電極接続部4aの厚みは5μm以上、好ましくは10μm以上であるのがよい。
コモン電極4およびコモン電極接続部4aは、同一材料により形成されるのが好ましい。例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらのうち少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、密着強度を高めるという点で、特にAg−Pd合金、さらに圧電セラミック層5と同じ材料(例えばペロブスカイト結晶構造型の圧電セラミック)を微量添加して用いるのがより好ましい。
ビア電極およびコモン電極接続部4aとしては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いることができ、好ましくはAuまたはAgを主成分とする金属(もしくは合金)であるのがよい。
駆動電極6および駆動電極接続部6aは、同一材料により形成されるのが好ましい。例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属、またはこれらのうち少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、薄層化しても高い導電性が得られるという点で、特にAuを用いるのが好ましい。
圧電セラミック層5は、圧電性を示すセラミックス、例えばチタン酸ジルコン酸鉛化合物[PbZrTiO系化合物(PZT系)]、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト結晶構造型の圧電材料、Bi層状化合物やタングステンブロンズ構造物質、Nb酸アルカリ化合物のペロブスカイト構造化合物を好適に用いることができる。
上記で例示したものの内、Pbを含むジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛(PT)が電極(コモン電極4,駆動電極6)との濡れ性を高めるとともに、電極との密着強度を高める点で好適である。さらに、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつBサイト構成元素としてZrおよびTiを含有する結晶であるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のジルコン酸チタン酸鉛系化合物が、より絶対値の高い圧電定数d31を有する安定な圧電焼結体(圧電アクチュエータ1)を得るうえで好ましい。
特に、ジルコン酸チタン酸鉛系化合物などの圧電セラミックス(すなわち、圧電セラミック層5および振動板2)のAサイトとBサイトの組成比が{Aサイト/Bサイト}≦1であるのが好ましい。これにより、圧電セラミック層5の結晶形が正方晶になるので、互いに隣接する変位素子7間に位置する圧電セラミックス層5bを所定の斜め方向に分極すると、駆動部周辺における非駆動部の圧電セラミック層5bの結晶方位(c軸結晶方位)が、基板面方向(すなわち振動板2の厚み方向に対して垂直方向)に揃う構成とすることができる。
振動板2は、種々のセラミックや金属、あるいはこれらの複合体を用いることができるが、圧電セラミック層5との接合強度を高めかつ熱膨張係数差を小さくできるという点で、振動板2にも圧電セラミック層5と略同一材料を使用することが望ましい。例えば、PT、PZT等の圧電体、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることができる。これらの中でも、熱膨張係数の差を小さくするため、圧電セラミック層5に使用される圧電体と略同一材料を用いることが好ましい。一般に、振動板2は、コモン電極4、圧電セラミック層5などと同時に焼成して得ることができる。
圧電セラミック層5および振動板2は、Sr、Ba、Ni、Sb、Nb、Zn、YbおよびTeのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これによって、より安定した圧電焼結体(圧電アクチュエータ1)を得ることがでる。このような圧電セラミック層5および振動板2としては、例えば副成分としてPb(Zn1/3Sb2/3)OおよびPb(Ni1/2Te1/2)Oを固溶してなるものを例示できる。
また、圧電セラミック層5および振動板2は、特に、Aサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としては、Ba、Srが高い変位を得られる点で好ましく、Baを0.02〜0.08モル、Srを0.02〜0.12モル含むことが、正方晶組成が主体の組成の場合に大きな変位を得るうえで有利である。
このような圧電セラミック層5および振動板2としては、例えばPb1−x−ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi+α重量%Pb1/2NbO(0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0)等で表されものが挙げられる。
圧電セラミック層5の厚みは、低電圧化という点で、30μm以下にするのがよく、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有する上で、好ましくは10〜20μmの範囲であるのがよい。振動板2の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜30μm程度であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1をユニモルフ型にすることができる。
また、圧電セラミック層5および振動板2は、c軸の格子定数が0.4085nm〜0.4100nmであることが好ましい。c軸の格子定数を上記範囲内に調整するには、例えばコモン電極4のAg/PdのAg比率を90体積%以下にする、あるいはPZT原料調合時のAサイトとBサイトの組成比を1以下にすればよい。
次に、上記で説明した圧電アクチュエータ1の製造方法について、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を圧電セラミックスとして用いた場合について説明する。まず、チタン酸ジルコン酸鉛化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)、チタン酸鉛化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)、チタン酸バリウム化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)などの圧電セラミックスを主成分とする原料粉体を準備し、これらを混合してスラリーを作製する。得られたスラリーを用いて、グリーンシートを作製する。グリーンシートの作製方法は、例えばドクターブレード法、ロールコータ等の周知のテープ成形方法を採用することができる。
次いで、作製したグリーンシートのうち、焼成後に振動板2となるグリーンシートの主面に、導体ペーストの塗布層を形成し、焼成後にコモン電極4となる金属パターンを形成する。金属パターンの形成方法は、例えばスクリーン印刷法等を例示することができるが、他の公知の手法を採用することも可能である。
一方、焼成後に圧電セラミック層5となる他のグリーンシートに、ビア導体を充填するためのビアホールを穿孔して形成する。ビアホールの穿孔方法は、例えばパンチング、レーザー加工等の周知の手法を採用することができる。得られたビアホールには、所望のビア導体を充填する。なお、ビアホールへのビア導体の充填は、焼成前であっても、焼成後であってもよい。すなわち、焼成前にビア導体を充填し、グリーンシートと同時に焼成することもできるが、ビア導体を形成する前に焼成し、焼結体のビアホールに導体ペーストを充填して加熱処理を行なってビア導体を形成することもできる。
次に、これらのグリーンシートを積層し、密着させて積層成形体を得る。この積層成形体を所定の形状に切断した後、900〜1100℃程度で焼成して、コモン電極4およびビア電極を内蔵する積層圧電体を作製する。
この積層圧電体の表面に、スクリーン印刷法等の方法により導体ペーストを印刷して、駆動電極6および分極用電極9となる金属パターンを形成し、600〜850℃程度で熱処理する。最後に、コモン電極接続部4a、駆動電極接続部6aとなる金属パターンをスクリーン印刷法等により形成して600〜850℃程度で熱処理する。これにより、分極前の圧電アクチュエータ1を得ることができる。なお、コモン電極接続部4a、駆動電極6、駆動電極接続部6aおよび分極用電極9は、それぞれ同一の導体ペーストを使用する等の方法により、1回の熱処理で作製することも可能である。
次に、上記で得た分極前の圧電アクチュエータ1の分極方法について、図面を参照して詳細に説明する。図2(a)および(b)は、図1(a)で示した本実施形態にかかる液体吐出ヘッドの部分拡大縦断面図であり、圧電アクチュエータの分極方法を説明するための概略説明図である。なお、図2(a)および(b)においては、前述した図1(a)の構成と同一または同等な部分には同一の符号を付して説明は省略する。各図のAは圧電セラミックス5の主面に垂直な方向を示す。
図2(a)では、駆動部5aの分極と同時に非駆動部5bを分極している。すなわち、コモン電極4と分極用電極9を同電位とし、これらに対して、駆動電極6に分極電圧を印加する。これにより、駆動部5aがBのように圧電セラミックス5の主面に垂直な方向に分極されると同時に、非駆動部5bがCのように圧電セラミックス5の主面に垂直な方向に対して斜めに分極される。
図2(b)では、まず非駆動部5bを分極する。コモン電極4と駆動電極6を同電位とし、これらに対して、分極用電極9に分極電圧を印加する。これにより、非駆動部5bがDのように圧電セラミックス5の主面に垂直な方向に対して斜めに分極される。続いて、コモン電極4に対して駆動電極6に分極電圧を印加する。これにより、駆動部5aがBのように圧電セラミックス5の主面に垂直な方向に分極される。この際、分極用電極9は外部と接続せず電位的に浮かしておくのがよい。
図2(c)は図2(a)および(b)からコモン電極14のパターンを変更したものであり、積層方向から見て、分極用電極19とコモン電極14が重ならないようになっている。コモン電極14のパターンは図3(b)に示す。分極用電極る。図2(c)で示した液体吐出ヘッドも、図2(a)で示した分極方法、図2(b)で示した分極方法のいずれでも分極可能である。
図2(c)では、図2(b)で示したのと同様に分極する方法が示されている。すなわち、まず非駆動部15bを分極する。コモン電極14と駆動電極16を同電位とし、これらに対して、分極用電極19に分極電圧を印加する。これにより、非駆動部15bがDのように圧電セラミックス15の主面に垂直な方向に対して斜めに分極される。この際、積層方向から見て、分極用電極19とコモン電極14が重ならないようになっているため、より効果的に、斜め方向の分極Dを行なうことができる。続いて、コモン電極14に対して駆動電極16に分極電圧を印加する。これにより、駆動部15aがBのように圧電セラミックス15の主面に垂直な方向に分極される。この際、分極用電極19は外部と接続せず電位的に浮かしておくのがよい。
図3(a)は、分極用電極29が圧電セラミックス25の振動板22と接合された面に形成されている以外の構造は図1(a)に示されたと同じ液体吐出時ヘッドである。図3(a)では分極する方法が示されている。すなわち、まず非駆動部25bを分極する。コモン電極24と駆動電極26を同電位とし、これらに対して、分極用電極29に分極電圧を印加する。これにより、非駆動部25bがEのように圧電セラミックス25の主面に垂直な方向に対して斜めに分極される。この際、積層方向から見て、分極用電極29とコモン電極24が重ならないようになっているため、より効果的に、斜め方向の分極Eを行なうことができる。続いて、コモン電極24に対して駆動電極26に分極電圧を印加する。これにより、駆動部25aがBのように圧電セラミックス25の主面に垂直な方向に分極される。この際、分極用電極29は外部と接続せず電位的に浮かしておくのがよい。
図3(b)は、分極用電極39が圧電セラミックス35の内部に形成されている以外の構造は図1(a)に示されたと同じ液体吐出時ヘッドである。図3(b)では分極する方法が示されている。すなわち、まず非駆動部35bを分極する。コモン電極34と駆動電極36を同電位とし、これらに対して、分極用電極39に分極電圧を印加する。これにより、非駆動部35bがFのように圧電セラミックス35の主面に垂直な方向に対して斜めに分極される。この際、積層方向から見て、分極用電極39とコモン電極34が重ならないようになっているため、より効果的に、斜め方向の分極Fを行なうことができる。続いて、コモン電極34に対して駆動電極36に分極電圧を印加する。これにより、駆動部35aがBのように圧電セラミックス35の主面に垂直な方向に分極される。この際、分極用電極39は外部と接続せず電位的に浮かしておくのがよい。
以上の分極条件としては、圧電アクチュエータ1、11の組成や厚み等に応じて、任意に選定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば1〜5kv/mm程度の直流電圧を、1〜30分間程度印加して分極を行なえばよい。
以上、斜め方向に分極する方法を例示したが、特にこれに限定されるものではない。
図1に示すように、この液体吐出ヘッドは、圧電アクチュエータ1を流路部材3の上に設け、圧電アクチュエータ1の上に外部回路と接続するためのフレキシブル配線回路(図示せず)に接続している。流路部材3は、隔壁3bによって液体加圧室3aを複数形成するとともに、各液体加圧室3aには、インク吐出口8が連通している。
流路部材3は、例えば厚み30〜100μm程度の薄板を積層して作製することができる。各薄板は、エッチングや金型による打ち抜き等の方法によって形成された微細な溝や孔を備えており、複数の薄板を積層することによって、各薄板に形成された溝や孔が、液体加圧室3a、インク吐出口8およびインク流路(図示せず)等を構成するように組み合わせることができる。
上記のような薄板の材料としては、例えばステンレス板、アルミニウム板、モリブデン板などの金属材料、シリコン等の半導体材料、またはアルミナや炭化珪素等のセラミックス材料等が挙げられ、特に、導電性を有し、かつ安価で精密加工のできる金属材料を用いることが好ましい。
次に、変位素子7と液体加圧室3aとの位置がそれぞれ揃うように、すなわちコモン電極4および駆動電極6が、液体加圧室3aの真上に配置するように、例えばエポキシ樹脂などで圧電アクチュエータ1と流路部材3を接合する。さらに、圧電アクチュエ―タ1に対して、外部回路に接続するためにフレキシブル配線基板(図示せず)が配設され、フレキシブル配線基板を構成する個別端子(図示せず)、コモン電極接続部4aおよび駆動電極接続部6aとそれぞれ接続される。
上記のような構成の液体吐出ヘッドは、駆動時の応力で非駆動部5bが逆圧電作用で分極されることが抑制できるので変位の駆動劣化が抑制された液体吐出ヘッドとなる。
また、液体吐出ヘッドは、安価なICを用いて駆動することができる。この液体吐出ヘッドは変位特性に優れるので、高速で高精度な吐出というという特徴が得られ、その結果、高速印刷に好適な液体吐出ヘッドを提供することができる。さらに、この液体吐出ヘッドをプリンタに搭載することによって、例えばこの液体吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクと、記録紙に印刷するための記録紙搬送機構とを備えているプリンタでは、従来に比べて高速・高精度の印刷を容易に達成することができる。
以上、本発明の一実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態では、振動板2および圧電セラミック層5が、いずれも1層で構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動板2および圧電セラミック層5が複数層で構成されていてもよい。この場合には、圧電アクチュエータ1の厚みを簡単に調整することができる。また、内部に電極等の配線回路層を形成してもよい。
また、上記で説明した通り、振動板2は圧電セラミック層5の圧電セラミックスと略同一の材料であるのが好ましいが、振動板2および圧電セラミック層5の圧電セラミックス組成は完全に一致している必要はなく、本発明の効果、すなわち液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制された液体吐出ヘッドとすることができる範囲内で、その組成が異なっていてもよい。
また、流路部材3および圧電アクチュエータ1を、接着層を介して積層接着する場合について説明したが、流路部材と圧電アクチュエータとが一体形成された液体吐出ヘッド、すなわち流路一体型の圧電アクチュエータ(流路一体型磁器)であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
断面が図2(c)、内部の各層の構造が図3(a)〜(c)に示した構成の液体吐出ヘッドを作製した。なお、断面の概略構造は図1(a)に示したものとコモン電極4のパターン以外同じである。
まず、圧電アクチェエータ11を作製する。純度99%以上、平均粒径が0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTiO)粉末を、バインダおよび有機溶剤とともに混合して圧電材料のスラリーを調合した。このスラリーを用いて、ロールコータ法で厚み30μmのグリ―ンシートを作製した。このグリーンシートは、焼成後、振動板12および圧電セラミック層15となる。
これとは別に、Ag−Pd合金粉末を含有する導体ペーストを調製した。得られたグリーンシートのうち、振動板12となるグリーンシートの表面に導電性ペーストをスクリーン印刷により印刷して、コモン電極14となる金属パターンをそれぞれ形成した。
次いで、圧電セラミック層15となる別のグリーンシートの所定位置に、ビアホールを打ち抜いてビアホールを形成した。そして、振動板12となるグリーンシート上に、圧電セラミック層15となるグリーンシートを積層し、加熱加圧して母体積層体を形成し、この母体積層体を切断して積層体を形成し、脱脂処理した後に酸素雰囲気中、1000℃、2時間の焼成を行い、圧電アクチュエータ本体を作製した。
次に、この圧電アクチュエータ本体の一方の圧電セラミック層15の側の表面にAuを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷して750℃で焼付けを行い、駆動電極16、駆動電極接続部16a、分極用電極19を形成した。さらに、Agを主成分とする金属ペーストをビアホールに充填してビア電極を形成した後、同じ導体ペーストをスクリーン印刷して600℃で焼付けを行い、コモン電極接続部14aを作製して、分極前の圧電アクチュエータ11を得た。ここで、圧電セラミック層15の厚みは25μm、分極用電極19と駆動電極16の間の距離は20μmとなっている。なお、この圧電アクチュエータ11における複数の変位素子は、振動板の主面上にマトリックス状に配列させた。
次に、この圧電アクチュエータ11を流路部材13にエポキシ系接着剤で接合し、図3に示した液体吐出ヘッドを得た。
上記で得た液体吐出ヘッドの圧電アクチュエータ11を、下記に示す方法で分極を行なった。まず、コモン電極14および駆動電極16を同電位とし、これに対して分極用電極19に分極電圧を印加することにより非駆動部15bを斜め方向に分極した。分極の概略は図2(c)のDの状態となる。次いで、前記分極処理を行なった後、コモン電極14と駆動電極16との間に分極電圧を印加することにより駆動部15aを圧電セラミック層15の主面に対して垂直に分極した。分極の概略は図2(c)のCの状態となる。各分極の条件は、4kv/mmの直流電圧を10分間それぞれ印加した。
上記で得た液体吐出ヘッド(試料No.1)について、分極前後における圧電セラミック層15の非駆動部15bの結晶配向度を下記に示す方向で評価した。
基板面方向は、局所X線回折装置で測定し、PZT(すなわち焼成前の振動板)の(002)および(200)面の回折ピーク強度比率より、圧電セラミック層15の主面に垂直な方向のc軸配向度を算出して求めた。また、下記式aで、圧電セラミック層における駆動部15aおよび非駆動部15bのPZT基板(すなわち焼成後の振動板)の結晶配向度を求めた。次いで、非駆動部15bの結晶配向度を上記手法で評価した。その結果、分極前の非駆動部15bの結晶配向度は58%であり、分極後の非駆動部15bの結晶配向度は25%であった。結晶配向度は、その値が小さいほど、非駆動部15bの圧電セラミック層の結晶方位(c軸結晶方位)が基板面方向(すなわち圧電セラミック層15の主面に垂直な方向)に揃っていることを意味する。なお、非駆動部15bの測定部位は、厚み方向には圧電セラミック層の厚みの中央部分、水平方向には積層方向から見て、液体加圧室13aの外辺と駆動電極16の中央部分とした。
c軸配向度(%)=I(002)/[I(002)+I(200)×100]・・・式a
ただし、I(002)はPZT(002)面のX線回折ピーク強度、I(200)はPZT(200)面のX線回折ピーク強度である。
この液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータ11の変位量を下記に示す方法で評価した。その結果を表1に示す。
ドメインの分極方向は、上述X線回折以外に、圧電応答顕微鏡などでドメイン毎にその分極方向を測定してもよい。このようにすると、ドメインの角度だけでなく方向も測定することができる。
コモン電極と駆動電極との間に25Vの直流電圧を印加し、室温で周波数10kHzのsin波形で駆動した際の、変位量をレーザードップラー振動計により測定した。各駆動回数における変位量を、式:[1−(各駆動回数における変位量/駆動初期の変位量)]×100に当てはめて、変位低下率(%)を算出した。なお、駆動初期の変位量とは、駆動回数6サイクルにおける変位量を意味する。
続いて、コモン電極をベタパターンで形成した以外は上記実施例1と同様にして試料No.2の液体吐出ヘッドを作製した。この液体吐出ヘッドの圧電アクチュエータの分極前の非駆動部の結晶配向度は58%であり、分極後の非駆動部の結晶配向度は42%であった。
さらに、コモン電極をベタパターンで形成し、分極用電極と駆動電極の間の距離は30μmとした以外は上記実施例1と同様にして試料No.3の液体吐出ヘッドを作製した。この液体吐出ヘッドの圧電アクチュエータの分極前の非駆動部の結晶配向度は58%であり、分極後の非駆動部の結晶配向度は45%であった。
次に比較例1として、上記実施例1と同様にして試料No.4の液体吐出ヘッドを作製した。この液体吐出ヘッドは、圧電セラミック層15の非駆動部15bを所定の斜め方向に分極しない以外は、上記実施例1と同様にして作製した。この液体吐出ヘッドについて、分極前後における圧電セラミック層15の非駆動部15bの結晶配向度を、上記実施例1と同様にして評価した結果、分極前の非駆動部15bの結晶配向度は58%であり、分極後の非駆動部15bの結晶配向度は58%であった。
この液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータの変位量を、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2009012207
表1から明らかなように、比較例1の液体吐出ヘッドに対し、試料No.1〜3の液体吐出ヘッドは、駆動劣化が抑制されており、1011回駆動後での変位低下は3%以下となった。これに対して、非駆動部が斜めに分極されていない試料N0.4で20%以上の駆動劣化が起こった。また、試料No.3よりも試料No.2の液体吐出ヘッドの変位劣化が少ない。これは分極用電極と駆動電極の距離が圧電セラミック層の厚さよりも短いため、非駆動部の斜め方向への分極が大きくなったためである。そして、試料No.2および3よりも試料No.1の液体吐出ヘッドの変位劣化がより少ない。これは分極用電極に対向するコモン電極がないため、非駆動部の斜め方向への分極がさらに大きくなったためである。
(a)は、本発明の一実施形態にかかる液体吐出ヘッドを示す概略断面図であり、(b)は、その上面図である。 本発明の一実施形態にかかる液体吐出ヘッドの分極方法を説明するための概略説明図である。 本発明の別の一実施形態にかかる液体吐出ヘッドの各層の概略上面図である(a)は圧電セラミック層、(b)は振動板、(c)は流路部材の層である。 本発明の別の一実施形態にかかる液体吐出ヘッドの分極方法を説明するための概略説明図である。
実施例における変位低下率と駆動回数との関係を示すグラフである。
(a)は、従来の液体吐出ヘッドを示す概略断面図であり、(b)は、その上面である。
符号の説明
1、11、21、31・・・圧電アクチュエータ
2、12、22、32・・・振動板
3、13、22、33・・・流路部材
3a、13a・・・液体加圧室
3b、13b・・・隔壁
4、14、24、34・・・コモン電極
4a、14a・・・コモン電極接続部
5、15、25、35・・・圧電セラミック層
5a、15a、25a、35a・・・駆動部(圧電セラミック層)
5b、15b、25b、35b・・・非駆動部(圧電セラミック層)
5c、15c、25c、35c・・・拘束部(圧電セラミック層)
6、16、26、36・・・駆動電極
6a、16a・・・駆動電極接続部
7、7a、17、17a・・・変位素子
8・・・液体吐出口
9、19、29、39・・・分極用電極

Claims (4)

  1. 複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上にコモン電極、圧電セラミック層、および複数の駆動電極をこの順に積層した液体吐出ヘッドであって、前記複数の駆動電極は前記複数の液体加圧室にそれぞれ対向して形成されているとともに、前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれた駆動部は前記圧電セラミック層の主面に垂直に分極されており、さらに、積層方向から見て前記液体加圧室と対向する前記圧電セラミック層のうち前記駆動電極と前記コモン電極とで挟まれていない非駆動部が前記圧電セラミック層の主面に対して斜めに分極されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 積層方向から見て、前記液体加圧室の周囲と対向する前記圧電セラミック層の表面もしくは内部に分極用電極を備えたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 積層方向から見て前記分極用電極と前記コモン電極とが重なっていないことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記分極用電極と前記駆動電極とが同じ層に形成されており、それらの間の距離が前記圧電セラミック層の厚み以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
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