JP2009011259A - 逆転写反応液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、RNAを鋳型としたその相補的な配列を持つDNAの合成反応、すなわち、逆転写反応に関する。
【解決手段】鎖長が500bp以下の配列を標的とした定量ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)の鋳型として精製せずにQPCR反応液中に添加することができる相補DNAの調製方法であって、次のステップを含む方法である。(1)鋳型RNA、プライマー、金属イオン、RNA依存性DNAポリメラーゼを全て含み、実質的にDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のみを示すDNAポリメラーゼを含まない反応混合物であって、25℃〜65℃の範囲内において逆転写反応を行うこと、(2)前記逆転写反応混合物を、97℃より高い温度で処理して、合成された相補DNAに相補的に結合している鋳型RNAを相補DNAから除去すること
【選択図】なし

Description

本発明は、RNAを鋳型としたその相補的な配列を持つDNAの合成反応、すなわち、逆転写反応に関する。
逆転写反応は、通常の転写反応、即ちDNAを鋳型としたその相補的な配列を持つRNAの合成反応の逆方向の反応であり、RNAを鋳型としたその相補的な配列を持つDNAの合成反応である。逆転写反応を触媒する活性を持つ酵素、即ち逆転写酵素は、RNA依存性DNAポリメラーゼとも呼ばれ、RNAからその相補的な配列を持つDNA(相補DNA)を合成するために広く利用されている。特に分子生物学や遺伝子工学の分野においては、逆転写により得られる相補DNAを利用した相補DNAライブラリーの作成や、RNAポリメラーゼと組み合わせた核酸増幅法(NASBA法)、逆転写反応とポリメラーゼ連鎖反応を組み合わせたRT−PCR法、RACE解析法、メッセンジャーRNAのディファレンシャルディスプレイ法などの目的に広く用いられている。
逆転写酵素は、RNAウィルス(レトロウィルス)が自身の増殖を行う為に必須の酵素として単離された。マウス白血病ウィルスから発見されたM−MLV(Moloney Murine Leukemia Virus) RTaseや、AMV (Avian Myeloblastosis Virus) RTaseはその一例であり、野生型酵素や、野生型酵素として、あるいは分子生物学的な改変を加え、高温反応性、伸長性、反応効率を向上させたものが、前述のような目的に使用する為に市販されている。これらの酵素は、野生型においては鋳型RNAを除去する為のRNase H活性を有し、この活性は合成された相補DNAに結合した鋳型RNAを除去する機能を担っている。しかしながら、この活性は時として逆転写反応の伸長先にある鋳型RNAの領域を、相補DNAが合成されていないにも関わらず分解してしまうことがあり、その場合、逆転写反応はその部位で停止してしまうこととなる。この活性は、長鎖の相補DNAの合成を必要とする場合などには阻害的に作用するため、これまで様々な回避方法が試みられてきた。中でも代表的なのは、逆転写酵素に対して分子生物学的な改変を加えRNase H活性を欠失させるものであり、これら改変型の逆転写酵素も既に広く市販され、容易に入手し、利用することができる。
ところで、逆転写反応後の相補DNAは、前述のように様々な下流の実験に広く用いられているが、その中で最も代表的な方法といえるのが、RT−PCR法である。RT−PCR法では、合成された相補DNAを精製して、もしくは逆転写反応終了液を未精製のまま鋳型として供し、PCRを実施する。現状では、専ら後者の方法が広く用いられているが、この際、逆転写反応液に含まれる幾つかの因子が、PCRにおける反応阻害要因となることが知られている。その一つは、逆転写酵素自身である。逆転写酵素は、鋳型となるRNA鎖上を、その相補的な配列をもつDNAを合成しながら進んでいくが、その合成終了地点において酵素が解離せず、RNA−DNA鎖上に残留するという性質があることが知られている。この性質がその合成された相補DNAを鋳型としたPCRにおいて阻害的に作用することがあり、酵素を変性・除去すべく、熱処理による酵素失活処理が行われている。その熱処理の条件は、最も緩やかなもので85℃近辺・3秒間程度で実施され、これらの条件で酵素は容易に失活する。ただし、用いる酵素や反応バッファーにより最適な熱処理条件は若干変化するが、おおよそ85℃〜95℃、反応時間は最長5分程度で実施されている。それ以上の高い温度で熱処理を実施した場合、検出対象となる相補DNA鎖が熱によって加水分解を受ける可能性があることから、95℃より高い温度での熱失活処理は、その意義が薄いとして実施されていない。
一方、もう一つの阻害要因として、逆転写反応の鋳型となったRNAの残存が挙げられる。一般に、RNA−DNAの相補的な結合は、DNA同士の結合と比べて強固であり、鋳型となったRNAの残存により、相補DNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、プライマーの結合に対する拮抗阻害が発生し、反応効率の低下を来たす原因となっていた。
Kitabayashi他、2003、「Biosci.Biotechnol.Biochem.」2474−2476
逆転写反応産物からの鋳型RNAの除去については、DNAと相補的に結合したRNAのみを選択的に分解する活性を持つRNase Hを、逆転写反応終了後に反応液へ添加するという方法が用いられてきた。しかしながらこの方法では、逆転写酵素とは別にRNase Hを準備する必要があり、また酵素の添加ステップが追加的に必要とされることから、操作面でも煩雑であり、多サンプルの同時処理には適していないという問題があった。一方、本来備わっているRNase H活性が保持された野生型の逆転写酵素を使用する方法も近年用いられており、操作面では上記の方法と比較して簡便であるが、前述のようにRNase H活性は逆転写反応において阻害的に作用することがあるため、反応産物の収量や品質を低下させる恐れがあり、可能であればRNase H活性は逆転写反応終了後に作用させることがより好ましいとされてきた。そのため、操作面で簡便であり、なおかつ逆転写反応へ影響を及ぼさない鋳型RNAの除去方法が求められていた。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、逆転写反応終了液を酵素失活温度よりも更に高温で処理することにより、最も簡便に鋳型RNAの除去を行うことが出来る手法を開発し、本発明を完成させるに至った。
近年、PCRを実施する工程において、同時に増幅された核酸を検出する「リアルタイムPCR」が広く実施されるようになってきた。その理由として、検出時間の短縮とともに、定量性の確保が挙げられる。PCRでは最終の増幅核酸量は基質量などで上限が規定されるが、PCRは極めて効率よく核酸を増幅させるため、一定以上の標的核酸では上限に達してしまい、最終の増幅核酸の量がもとの標的核酸の量に必ずしも比例しない事態が発生する。そこでPCRを実施しながら増幅核酸を検出し、一定量以上の増幅核酸が検出されたサイクル数を指標とする定量方法が考案された。この方法によれば、40サイクルのPCRでは、理論上は最大2の39乗(10桁以上)のダイナミックレンジを確保することができる。
本発明者らは、(1)この方法では、必ずしも標的配列の全長を増幅する必要はなく、通常は500bp以下、より頻繁には50〜250bp程度の配列を標的とすること、(2)このため、標的核酸を含む試料においては、必ずしもその核酸が全長を完全に保持している必要はなく、加水分解による核酸鎖の分断が、本方法における検出感度にはほとんど影響を及ぼさないこと、に着目することにより、特に、鎖長の短い標的配列の検出において相補DNAの加水分解による影響を無視できる程度に抑えながら最も簡便に鋳型RNAの除去を行うことが出来る方法を開発することができた。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
[項1]
鎖長が500bp以下の配列を標的とした定量ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)の鋳型として精製せずにQPCR反応液中に添加することができる相補DNAの調製方法であって、次のステップを含む方法。
(1)(a)鋳型RNA、
(b)プライマー、
(c)金属イオン、
(d)RNA依存性DNAポリメラーゼ
を全て含み、実質的にDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のみを示すDNAポリメラーゼを含まない反応混合物であって、25℃〜65℃の範囲内において逆転写反応を行うこと
(2)前記逆転写反応混合物を、97℃より高い温度で処理して、合成された相補DNAに相補的に結合している鋳型RNAを相補DNAから除去すること
[項2]
高温の熱処理が、1分以上で行われる、項1記載の方法。
[項3]
高温の熱処理が、4分以上で行われる、項3記載の方法。
[項4]
RNA依存性DNAポリメラーゼが、ウィルス由来である、項1記載の方法。
[項5]
RNA依存性DNAポリメラーゼが、モロニーマウス白血病ウィルス(M−MLV)、トリ芽球症ウイルス(AMV)より選択されるウィルス由来のRNA依存性DNAポリメラーゼである、項4記載の方法。
[項6]
RNA依存性DNAポリメラーゼが、RNase H活性を欠失した変異型RNA依存性DNAポリメラーゼである、項4または5記載の方法
[項7]
プライマーが、ランダムな配列からなるオリゴヌクレオチドの混合物と、デオキシチミジンのみからなるオリゴヌクレオチドを同時に使用する項1に記載の方法
本発明により、逆転写反応における残存した鋳型RNAの除去を従来の方法に比べて迅速、簡便に実施することができる。
特に、鎖長の短い標的配列の検出において相補DNAの加水分解による影響を無視できる程度に抑えながら最も簡便に鋳型RNAの除去を行うことが出来る。
本発明の一つの態様は、RNAを鋳型として、該RNAの塩基配列と相補的な塩基配列を持つDNAを合成する方法、すなわち逆転写反応に関連する。好ましくは、これらの方法は次のステップを含む。
鎖長が500bp以下の配列を標的とした定量ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)の鋳型として精製せずにQPCR反応液中に添加することができる相補DNAの調製方法であって、次のステップを含む方法である。
(1)(a)鋳型RNA、
(b)プライマー、
(c)金属イオン、
(d)RNA依存性DNAポリメラーゼ
を全て含み、実質的にDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のみを示すDNAポリメラーゼを含まない反応混合物であって、25℃〜65℃の範囲内において逆転写反応を行うこと
(2)前記逆転写反応混合物を、97℃より高い温度で処理して、合成された相補DNAに相補的に結合している鋳型RNAを相補DNAから除去すること
本発明における鎖長が500bp以下の配列を標的とした定量ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)とは、いかなる方法を用いることが可能であるが、標的とする核酸の好ましくは部分配列を標的とし、該部分配列を持つ核酸の存在を検出ならびに定量する方法であって、リアルタイムPCRなどが例示される。
本発明における逆転写とは、RNAを鋳型とし、その配列に相補的なDNAを合成する反応を言い、合成する範囲は、RNA分子の一部または全部である。またその範囲は制御できる場合もあるが、特に限定せず、ランダムである場合もある。
本発明で逆転写の鋳型となるRNAが含有される試料は、何ら制限されない。各種生物やその分泌物などの試料を精製せずにQPCRの反応液に添加することが可能であるし、また、種々の公知の核酸精製方法を用いて精製したものであっても良い。
本発明のプライマーは、プライマー伸長開始条件下に置いたときに合成起点として機能しうるオリゴヌクレオチドをいい、天然、合成を問わない。プライマーは好ましくは1本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの適正な長さは意図するプライマーの用途次第であるが、一般に5〜35ヌクレオチドの範囲である。プライマーは正確な鋳型配列を反映する必要はないが、鋳型とハイブリダイズしてプライマーの伸長を起こすためには鋳型に対して十分に相補的でなければならない。また本発明で使用されるプライマーには、ランダムな配列を持つ短鎖長のプライマー(ランダムプライマー)や、メッセンジャーRNAのポリAの部分に特異的にハイブリダイズするオリゴdTプライマーなどの、検出する遺伝子を特定しないユニバーサルプライマーや、あるいは特定の遺伝子のみにハイブリダイズすることを意図した遺伝子特異的プライマーのいずれを用いることも可能であるが、より好適に用いることができるのはランダムプライマーおよび/またはオリゴdTプライマーであり、更に好適にはランダムプライマーとオリゴdTプライマーの混合物を用いることができる。
プライマーは任意の適当な方法により調製することができる。
この調製方法にはたとえば、然るべき配列のクローニングと制限および直接化学合成などが含まれ、直接化学合成にはNarang他、1979、「Meth. Enzymol.」68:90−99のリン酸トリエステル法、Brown他、1979、「Meth. Enzymol.」68:109−151のリン酸ジエステル法、Beaucage他、1981、「Tetrahedron Lett.」22:1859−1862のジエチルホスホラミダイト法、および米国特許第4,458,066号の固相担体法などがある。シアノエチルホスホラミダイト化学を使用する自動合成が好ましい。試薬と器具はたとえばApplera(Applied Biosystems−カリフォルニア州フォスターシティー)やGE Healthcare(ニュージャージー州ピスカタウェイ)などから市販されている。
逆転写の反応組成は、逆転写酵素の活性を発現しうる反応組成であればいかなる組成を用いることも可能であるが、好ましくは逆転写酵素の活性を発現するのに可能な限り最適化した条件であり、かつ鋳型RNAのリボヌクレアーゼによる分解を可能な限り最小限に抑制する条件であり、かつ精製せずにQPCR反応液に添加した際にPCRの反応または蛍光シグナルの発現に対して可能な限り影響を及ぼさない条件であって、より具体的には10−100mMのTris−HClバッファー(pH7.5−9.0)、50−200mMの塩化カリウム、1−40U/反応のRNase Inhibitorを含んだ反応組成が例示される。
また、本発明における金属イオンとは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の活性を発現させるのに必須とされるイオンであり、好ましくは2価の陽イオン、より好ましくは2価のマグネシウムイオン(Mg2+)を用いることができる。溶液中におけるマグネシウムの検出には、蛍光X線分析法を用いた方法、ベンジジンを用いた化学的方法、呈色反応を用いた方法などにより行うことができる。
また本発明におけるRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)は、いかなる種類のものを用いても良く、例えばM−MLV(Moloney Murine Leukemia Virus) RTaseや、AMV (Avian Myeloblastosis Virus) RTaseなどのウィルス由来の逆転写酵素に加え、ジオバシラス・ステアロサーモフィラスなどの好熱性細菌に由来するもの、あるいはマンガンイオン(Mn2+)存在下でRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を示すDNA依存性DNAポリメラーゼであるTth DNAポリメラーゼも例示できる。
また本発明における実質的にDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のみを示すDNAポリメラーゼは、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を全く、あるいはそのDNA依存性DNAポリメラーゼ活性と比較して極めて微弱な活性しか示さないもので、上記のRNA依存性DNAポリメラーゼを除く大半のDNAポリメラーゼを含み、またTaq DNAポリメラーゼなどの好熱性細菌由来のDNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼなどの好熱性始原菌由来のDNAポリメラーゼ、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIなどの市販され用意に入手可能なDNAポリメラーゼ等を含む。
なお、DNAポリメラーゼの活性測定には、通常用いられるどのような方法を用いても測定することが可能であるが、最も多く用いられる方法としては、そのDNAポリメラーゼの至適温度、より具体的には、37℃〜50℃付近で、30分間に10ナノモルの全ヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量を1Uとして測定する方法を用いることができる。(本願明細書における酵素活性値はこの方法で測定した。)
本発明の逆転写反応方法の第一ステップにおいては、(a)鋳型となりうるRNA、(b)プライマー、(c)金属イオン、および、(d)RNA依存性DNAポリメラーゼを含む逆転写反応混合物を用意する。
逆転写反応は通常25〜65℃の範囲内で行う。好ましくは37〜55℃である。
本発明の逆転写反応方法の第二ステップにおいては、前記逆転写反応混合物を、合成された相補DNAから鋳型RNAを除去するのに足る温度で処理して、前記耐熱性DNAポリメラーゼを不可逆的に活性化させる。「合成された相補DNAから鋳型RNAを除去するのに足る温度」とは、相補DNAと鋳型RNAが結合した二本鎖核酸が変性によりそれぞれの鎖が解離し、更にRNAが高熱の作用により部分的に加水分解するのに足る温度であり、RNase H処理を実施することにより得られる試料と比較して同等もしくはそれ以上に残存RNAの阻害効果を除去するのに足る温度であって、好ましくは97℃より高い温度、さらに好ましくは98℃以上である。またその反応時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは4分以上、さらに好ましくは5分以上である。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 逆転写反応、熱処理、および比較対照としてのRNase H処理の実施
HeLa細胞由来のTotal RNA(ストラタジーン社製)をサンプルとして、逆転写酵素ReverTra Ace(東洋紡績製)を用いて逆転写を行った。反応液は以下のように調製した。即ち、ReverTra Ace添付の5xRT Bufferを1x濃度、10mM dNTPsを1mM、25μM Random Primer(東洋紡績製)を1.25μM、10μM Oligo(dT)20(東洋紡績製)を0.5μM、100U/μM ReverTra Ace(東洋紡績製)を5U/μl、HeLa Total RNA(ストラタジーン社製)を10ng/μlでそれぞれ添加し、Nuclease−free水を添加して合計液量を20μlとし、よく混合した。逆転写反応は以下の温度条件で実施した。即ち、37℃・15分間インキュベート後、85℃、95℃、98℃、99℃のいずれかの温度で5分間の熱処理を行った後、氷上で保存した。また別途、同様の条件で逆転写反応および熱処理を行った後の液に、RNase H(インビトロジェン社製)を1μl添加したものを調製し、25℃で30分間インキュベートしてRNAの除去反応を行った後、氷上で保存した。
実施例2 リアルタイムPCR実施による検出感度の比較(1)
実施例1で作製した逆転写反応液をそれぞれ用いて、リアルタイムPCRによるβ―Actin 相補DNAの検出感度の比較を行った。リアルタイムPCRは、SYBR Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績製)を用いて実施した。リアルタイムPCRの反応液は以下のように調製した。即ち、実施例1の逆転写反応液を滅菌水で40倍希釈したものを調製し、SYBR Green Realtime PCR Master Mixを5μl、β−Actin遺伝子を検出するフォーワードプライマー(配列番号1)およびリバースプライマー(配列番号2)をそれぞれ最終濃度0.4μM、および上記の希釈逆転写反応後液を4μl添加し、滅菌水を添加して合計液量を10μlとしてよく混合した。リアルタイムPCRの反応と検出は、LineGene(バイオフラックス社)を使用し、95℃1分→(95℃15秒→60℃15秒→72℃30秒(data collection))x40サイクルで行った。その結果を図1に示す。図1はリアルタイムPCRの結果得られたCt値(Cycle of Threshold)を縦軸にとったもので、Ct値が低いほど検出感度が高いことを示す。図1に示した通り、熱処理後にRNase H処理を行わなかったサンプルについては、熱処理温度と検出感度には相関が見られ、熱処理温度が高いほど検出感度も高いことが示唆された。また、熱処理後にRNase H処理を行ったものに関しては、熱処理温度に関わらず一定の検出感度が得られていることがわかった。更に、熱処理を98℃以上で実施した場合、RNase H処理を行った場合と行わなかった場合とで検出感度には有意な差が見られなかった。このことから、熱処理を98℃以上で行うことにより、RNase H処理を行わなくとも、RNase H処理を行った場合と同程度のRNA除去効果が得られることが示唆された。
実施例3 リアルタイムPCR実施による検出感度の比較(2)
実施例1で作製した逆転写反応液をそれぞれ用いて、リアルタイムPCRによるPolymerase ε 相補DNAの検出感度の比較を行った。リアルタイムPCRは、SYBR Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績製)を用いて実施した。リアルタイムPCRの反応液は以下のように調製した。即ち、実施例1の逆転写反応液を滅菌水で40倍希釈したものを調製し、SYBR Green Realtime PCR Master Mixを5μl、Polymerase ε遺伝子を検出するフォーワードプライマー(配列番号3)およびリバースプライマー(配列番号4)をそれぞれ最終濃度0.4μM、および上記の希釈逆転写反応後液を4μl添加し、滅菌水を添加して合計液量を10μlとしてよく混合した。リアルタイムPCRの反応と検出は、LineGene(バイオフラックス社)を使用し、95℃1分→(95℃15秒→60℃15秒→72℃30秒(data collection))x40サイクルで行った。その結果を図2に示す。図2はリアルタイムPCRの結果得られたCt値(Cycle of Threshold)を縦軸にとったもので、Ct値が低いほど検出感度が高いことを示す。図2に示した通り、熱処理後にRNase H処理を行わなかったサンプルについては、熱処理温度と検出感度には相関が見られ、熱処理温度が高いほど検出感度も高いことが示唆された。また、熱処理後にRNase H処理を行ったものに関しては、熱処理温度に関わらず一定の検出感度が得られていることがわかった。更に、熱処理を98℃以上で実施した場合、RNase H処理を行った場合と行わなかった場合とで検出感度には有意な差が見られなかった。このことから、熱処理を98℃以上で行うことにより、RNase H処理を行わなくとも、RNase H処理を行った場合と同程度のRNA除去効果が得られることが示唆された。
実施例4 リアルタイムPCRによる至適熱処理条件の詳細検討
実施例1で用いた方法と同様にして、HeLa細胞由来のTotal RNA(ストラタジーン社製)をサンプルとして、逆転写酵素ReverTra Ace(東洋紡績製)を用いて逆転写を行った。反応液は以下のように調製した。即ち、ReverTra Ace添付の5xRT Bufferを1x濃度、10mM dNTPsを1mM、25μM Random Primer(東洋紡績製)を1.25μM、10μM Oligo(dT)20(東洋紡績製)を0.5μM、100U/μM ReverTra Ace(東洋紡績製)を5U/μl、HeLa Total RNA(ストラタジーン社製)を10ng/μlでそれぞれ添加し、Nuclease−free水を添加して合計液量を20μlとし、よく混合した。逆転写反応は以下の温度条件で実施した。即ち、37℃・15分間インキュベート後、95℃、96℃、97℃、98℃のいずれかの温度でそれぞれ2分間、3分間、5分間の熱処理を行った後、氷上で保存した。得られた逆転写反応液を用いて、実施例2と同様の方法で、β―Actinを標的としたリアルタイムPCRを実施し、逆転写産物の定量を行った。その結果を図3に示す。図3はリアルタイムPCRの結果得られたCt値(Cycle of Threshold)を縦軸にとったもので、Ct値が低いほど検出感度が高いことを示す。Ct値が1高いと、感度は2倍高い。図3に示した通り、熱処理条件は温度が高いほどよく、また時間が長いほど良いことがわかった。一方、本実施例において最も良い結果が得られた98℃、5分間処理の条件は、実施例2および3に示したとおり、RNase H処理を実施した場合と同様のRNA除去効果が得られることが判明している為、熱処理条件は、98℃、5分で十分であり、最大の効果が得られることが示された。
一般にPCRにおいては、反応のサイクルが進捗するごとにDNAポリメラーゼの活性が漸減的に失われ、またプライマーダイマーなどの非特異的増幅産物が出現する可能性が高まるため、ある標的分子の検出に要する反応サイクル数を減らすことは、定量の正確性を高めることができ、特に存在量の少ない標的分子に関しては検出自体の成功率を高めることが可能となる。
本発明の方法は従来の方法に比べて極めて迅速、簡便に実施することができ、逆転写により得られる相補DNAを利用したリアルタイムPCRを実施するものに経済的に多大の利益をもたらす。
本発明は、遺伝子発現解析に際して特に有用であり、研究のみならず臨床診断や環境検査等にも利用できる。
RNA除去の為の熱処理の条件とRNA除去効率の検討結果を示す図(β―Actin)。熱処理後、追加的にRNase H処理をした場合と比較した。 RNA除去の為の熱処理の条件とRNA除去効率の検討結果を示す図(Polymerase ε)。熱処理後、追加的にRNase H処理をした場合と比較した。 リアルタイムPCRによる至適熱処理条件の詳細検討。熱処理温度と時間について検討した。

Claims (7)

  1. 鎖長が500bp以下の配列を標的とした定量ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)の鋳型として精製せずにQPCR反応液中に添加することができる相補DNAの調製方法であって、次のステップを含む方法。
    (1)(a)鋳型RNA、
    (b)プライマー、
    (c)金属イオン、
    (d)RNA依存性DNAポリメラーゼ
    を全て含み、実質的にDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のみを示すDNAポリメラーゼを含まない反応混合物であって、25℃〜65℃の範囲内において逆転写反応を行うこと
    (2)前記逆転写反応混合物を、97℃より高い温度で処理して、合成された相補DNAに相補的に結合している鋳型RNAを相補DNAから除去すること
  2. 高温の熱処理が、1分以上で行われる、請求項1記載の方法。
  3. 高温の熱処理が、4分以上で行われる、請求項3記載の方法。
  4. RNA依存性DNAポリメラーゼが、ウィルス由来である、請求項1記載の方法。
  5. RNA依存性DNAポリメラーゼが、モロニーマウス白血病ウィルス(M−MLV)、トリ芽球症ウイルス(AMV)より選択されるウィルス由来のRNA依存性DNAポリメラーゼである、請求項4記載の方法。
  6. RNA依存性DNAポリメラーゼが、RNase H活性を欠失した変異型RNA依存性DNAポリメラーゼである、請求項4または5記載の方法
  7. プライマーが、ランダムな配列からなるオリゴヌクレオチドの混合物と、デオキシチミジンのみからなるオリゴヌクレオチドを同時に使用する請求項1に記載の方法
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