JP2011087534A - 夾雑物の影響を排除する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リボヌクレアーゼH活性を有する酵素を利用するRNA検出方法において夾雑物の影響による非特異的増幅反応を抑制し、標的RNAの検出特異性・検出感度を向上させること。
【解決手段】 リボヌクレアーゼH活性を有する酵素を利用するRNA検出方法において、標的RNA中の特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNAを添加することで前記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 リボヌクレアーゼH活性を有する酵素を利用するRNA検出方法において、標的RNA中の特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNAを添加することで前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、標的RNA中の特定塩基配列部分をその3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作に供するための試料処理法に関する。より詳細には、本発明はリボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素を利用するRNA増幅操作に供するための試料の処理法に関し、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドDNAを添加することを特徴とするものである。
核酸は、増幅操作によって特異的かつ高感度に増幅することができる。その用途は生化学、分子生物学又は医療分野等多岐にわたり、例えば増幅操作と同時に又はその終了後に検出を行うことによって、特定の遺伝子の発現量を評価したり、試料中に特定の微生物・ウイルスが存在しているか否かを明らかにすることができる。
核酸の増幅操作は、標的とする核酸がDNAかRNAかによって2つに大別され、増幅操作の目的によって適宜選択される。例えば試料中の特定の微生物やウイルスの検出を目的とする場合、これら特定の微生物やウイルスに存在する核酸を増幅し、検出することになるが、その標的としてはリボゾームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)等が利用される。かかるRNAは、細胞あたり数〜数千又はそれ以上のコピー数が存在するからである。ゲノムDNAを標的とすることも可能であるが、ゲノムDNAは細胞あたり1又は数コピーしか存在しないため、当該目的ではDNAよりもRNAを検出する方が高感度である。また、細胞内のRNAは微生物が死滅後に速やかに分解されるが、DNAは微生物が死滅後にも分解されにくいため、生存している微生物を検出する目的においてはDNAではなくRNAを標的とすることが好適である。またウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスが存在するが、RNAウイルスを検出する場合にはRNAを標的とした増幅操作を実施する必要がある。そして細胞内の遺伝子発現量を測定する場合、RNAを標的とした増幅操作が使用されるのは言うまでもない。
標的とするRNA(標的RNA)の増幅操作は、標的RNA中に存在する特定の塩基配列部分(特定塩基配列部分)であって、標的RNAに特異的な部分(他のRNA(非標的RNA)には見いだすことのできない部分)に対して実施される。例えば、RNAを標的とする増幅操作であるRT−PCR法は、特定塩基配列部分の3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用してまず逆転写を行い、続いて逆転写の産物であるcDNAについて、プライマー存在下で反応温度を昇降させてPCR法を実施するものである。
他のRNAの増幅操作として、一定温度(40℃から65℃程度)で実施可能なNASBA法(特許文献1及び2)、TMA法(特許文献3)、TRC法(特許文献4及び非特許文献1)が知られている。これらの操作では、PCR法のように反応液を昇降温する必要がなく、またRNAの逆転写とその後の増幅反応を分けて実施する必要がない。具体的には、(1)特定塩基配列部分の3’端領域に相補的な第一のDNAプライマーが標的RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により特定塩基配列部分に相補的なcDNAを合成し、特定塩基配列部分とのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、(2)RNaseH活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成する工程、(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列部分の5’端領域と相同的な配列を有する第二のDNAプライマーがハイブリダイズし(ここで第二又は第一のDNAプライマーの5’端には、DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されている)、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、前記特定塩基配列部分又は前記特定塩基配列部分に相補的な配列のRNAを転写可能な、プロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、及び(4)DNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型としてRNAを転写する工程(ここで、該RNAが前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となり、連鎖的にRNA増幅産物が生成される)からなる操作法である。
以上のような標的RNAの増幅操作に用いるDNAプライマーは、既知の高ストリンジェント条件で特定塩基配列部分とハイブリダイズするように設計される。しかし、標的RNAのみならず、特定塩基配列部分と類似の塩基配列部分を有する非標的RNAが試料に含まれる場合、特定塩基配列部分のみを完璧に区別して増幅できるプライマーの設計は一般に困難であり、プライマー設計以外で非標的RNAの増幅防止を講じる必要がある。例えば、rRNA、tRNA、ハウスキーピング遺伝子のmRNA等は生物種間で共通に保持されており、種特異的な又は属特異的な検出のための標的RNAとして好適である。しかし、これらRNAは類縁の生物種間で配列が酷似している場合があり、標的RNAに特異的な塩基配列部分をDNAプライマーの結合領域(プライミング領域)として選択しても、試料中に酷似した塩基配列部分を有する非標的RNAが存在するとDNAプライマーがミスプライミングを起こし、非標的RNAが増幅される可能性がある。
加えて、本発明者らの知見では、試料中に標的RNAの量と比較して大過剰量の非標的RNAが混在すると、DNAプライマーの標的RNAへのプライミングと非標的RNAへのミスプライミングはもとより、その後の逆転写等において標的RNAとの反応と非標的RNAとの反応が競合し、標的RNAの反応が抑制されて標的RNAの検出感度が低下することがある。即ち、DNAプライマーの、標的RNAとの反応と非標的RNAとの反応等は、DNAプライマー、酵素、基質類をとりあう競合反応であるため、DNAプライマーと非標的RNAとの反応等を抑制することで、標的RNAの検出感度の低下を防止できるのである。
さらに言えば、特定塩基配列部分の増幅産物とそれ以外の増幅産物がその長さと塩基配列において類似している場合には、前者のみを識別して検出するのは困難である。このような場合、特定塩基配列部分の増幅産物以外を検出しないようにする方法として、非標的核酸を非標識プローブによりキャッピングする方法が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この方法は検出の段階で適用されるものであって、増幅操作における特定塩基配列部分以外の塩基配列部分の増幅による標的RNAの検出感度の低下することは避けられない。
試料に対し、非標的核酸に対してDNAプライマーがミスプライミングする部位にプライマーに競合して結合するDNAを添加することにより、上記したような標的RNAの検出感度の低下を防止する方法も提案されている(特許文献6及び7)。しかしながら、この方法を実施するには標的RNAへのDNAプライマーのプライミングが影響を受けないように厳密に温度制御を行う必要があるため、そもそも比較的低温で実施される前記一定温度で実施するRNA増幅操作には適していないという課題がある。また、わずかでもプライマーの非標的RNAへのミスプライミングが生じると、非標的RNAに由来する増幅産物はDNAプライマーに相補的な塩基配列を含むため、前記方法を採用していても、以後DNAプライマーは標的RNAと非標的RNAを区別することができず、非標的RNAに由来する増幅産物が指数的に増幅されてしまう。このように、前記提案された方法では、わずかでもDNAプライマーのミスプライミングが生じてしまった後には、標的RNAの検出感度の低下を防止することはできない。
本発明は、前記したRNAの増幅操作に用いるDNAプライマーが標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分および非標的RNAにミスプライミングすることによって、標的RNAの検出感度が低下することを防止するためになされたものである。具体的には、標的RNA中の特定塩基配列部分(特定塩基配列部分)をその3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作に供するための試料処理法であって、標的RNA及び非標的RNAを含む試料に対し、高ストリンジェントな条件で特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びリボヌクレアーゼH活性を有する酵素を同時に又は順次添加して試料中の標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとオリゴヌクレオチドDNAのRNA−DNA2本鎖を形成させ、形成された2本鎖のRNA部分を分解する試料処理法である。
また本発明は、特定塩基配列部分をその3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作に供するための試料処理試薬であって、高ストリンジェントな条件で特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の他の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びRNaseH活性を有する酵素とからなる試料処理試薬である。以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書においてヌクレオチド又は核酸とは、天然に存在する塩基、糖及び糖間結合からなるヌクレオチド(RNA及びDNAの双方を含む)のことをいう。また、一般的にそのオリゴマー(例えば、2から100塩基程度)をオリゴヌクレオチド、ポリマー(例えば、100塩基以上)をポリヌクレオチドと呼ぶこともあるが、本明細書では特に断った場合を除いてこれらを区別しない。さらに、その一部又は全部が人工的な構造からなるヌクレオチド誘導体であっても、それが塩基対結合をする限り、本発明のヌクレオチド又は核酸の範疇に含まれる。ヌクレオチド誘導体の中には、核酸の増幅操作において 3’端からの酵素的な伸長反応を防ぐために 3’端水酸基を化学的に修飾(例えばアミノ化、リン酸化、ビオチン化、ハロゲン化、蛍光色素化など)した核酸、PNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid)及びこれらを組み合わせたものを例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
特定塩基配列部分は、RNA増幅操作によって増幅される、標的RNAの一部分であって、標的RNAに特異的で、少なくとも他のRNA(非標的RNA)には見いだすことのできない部分である。特定塩基配列部分はその全てに渡る部分の塩基の配列が標的RNAに特異的である必要はなく、増幅操作で使用されるDNAプライマーのプライミング部位が特異的であれば良い。増幅操作の最中に、又は増幅操作の後に特定塩基配列の検出を行う場合には、例えば特定塩基配列中の検出用プローブのハイブリダイズ部位もまた、特異的であることが好ましい。
上記本発明の試料の前処理方法は、RNAの増幅操作に供する試料を処理するための方法である。本発明でいうRNA増幅操作とは、前記特定塩基配列の3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作をいい、前述したRT−PCR法やRT−LAMP法等の増幅操作であっても良い。しかし、一定温度でRNAを増幅するNASBA法、TMA法、TRC法等が好ましいRNAの増幅操作として例示できる。TRC法であれば、より具体的には(1)特定塩基配列部分の3’端領域に相補的な第一のDNAプライマーが標的RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により特定塩基配列部分に相補的なcDNAを合成し、特定塩基配列部分とのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、(2)RNaseH活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成する工程、(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列部分の5’端領域と相同的な配列を有する第二のDNAプライマーがハイブリダイズし(ここで第二又は第一のプライマーの5’端には、DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されている)、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、前記特定塩基配列部分又は前記特定塩基配列部分に相補的な配列のRNAを転写可能な、プロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、及び(4)DNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型としてRNAを転写する工程(ここで、該RNAが前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となり、連鎖的にRNA増幅産物が生成される)という各工程からなる。このプロモーターは、RNAポリメラーゼが結合して転写を開始する部位であるが、種々のRNAポリメラーゼに特異的なプロモーター配列が公知であり、本発明では特に制限なくこれら公知のプロモーターを使用することができるが、分子生物学的実験などで通常用いられている、入手が容易なT7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが好ましいプロモーターとして例示できる。プロモーターは、転写効率に関わる付加配列を含んでいてもよい。
本発明中のDNAプライマーとは、核酸増幅反応において、標的RNA、あるいは標的RNA由来のcDNA鎖又はRNA、とハイブリダイズし、核酸増幅反応を開始するのに必要なヌクレオチドのことをいう。さらに詳細には、本発明中の第一のDNAプライマーとは、標的RNA内の特定塩基配列の3’端領域にハイブリダイズする塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをいう。本発明中の第二のDNAプライマーとは、標的RNA内の特定塩基配列と相補的な配列の3’端領域にハイブリダイズする塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、第一及び第二のプライマーは通常10から100塩基、好ましくは15から30塩基の鎖長を有するDNAであるが、特に限定されるものではない。また、第一あるいは第二のDNAプライマーのいずれかは、その5’端にプロモーター配列が付加されてなる。
本発明は、標的RNAと非標的RNAを含む試料を上記したようなRNA増幅操作に供するためのものであり、かかる試料に対し、高ストリンジェントな条件で特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びRNaseH活性を有する酵素を同時に又は順次添加するものである。高ストリンジェントな条件とは、ワトソン・クリック塩基対が正確に形成可能な条件を意味し、一例として特許文献4又は非特許文献1に記載された核酸増幅反応条件や、高温条件(例えば50℃以上)、を例示することができるがこれに限定されるものではない。
本明細書中で、単にハイブリダイズすると記載する場合は、高ストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であることを指す。前記した好ましいRNA増幅操作に供する試料を得るための具体的な態様について説明すれば、オリゴヌクレオチドDNAは、前記増幅操作における第一のプライマー又は第二のプライマーが特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAに対してミスプライミングすることにより生じ得るRNA増幅産物とハイブリダイズするものである。このようなミスプライミングすることにより生じ得るRNA増幅産物とは、RNAの増幅操作において、標的RNAを増幅するために用いられたプライマーの一部が過剰量の非標的RNA等にハイブリダイズし、その結果、プライマーからの酵素的な伸長が生じることが実験的あるいは理論的に推定された特定の塩基配列部分やそれを含むRNAを意味する。
しかし、前記のようにデザインされたオリゴヌクレオチドDNAは、試料中の特定塩基配列部分以外、即ち非標的RNAや標的RNA中の特定塩基配列以外の部分にハイブリダイズしてRNA−DNA2本鎖を形成する。従って、オリゴヌクレオチドDNAに先立って、同時に又はその後に試料に添加されるRNaseH活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAは分解されることになる。オリゴヌクレオチドDNAは、増幅操作のためのDNAプライマーのミスプライミング領域以外の領域にハイブリダイズするよう設計することが最も好ましい。
前記RNaseH活性を有する酵素は、RNaseH活性を有するものであれば特に制限はないが、後述するようにNASBA法、TMA法、TRC法といったRNA増幅操作と同時に試料を処理する場合には、いくつかの活性を合わせ持つ酵素を使用することが好ましい。即ち、RNA依存DNAポリメラーゼ活性、RNaseH活性及びDNA依存DNAポリメラーゼ活性の三つの活性を有する酵素を試料処理のためのRNaseHとして使用すれば、RNAポリメラーゼ活性を有する酵素を添加するのみで、本発明の処理とRNA増幅操作の双方を実施することが可能になる。
かかる酵素として、分子生物学的実験などで汎用されているAMV逆転写酵素、MMLV逆転写酵素、HIV逆転写酵素及びこれらの誘導体から選ばれるものが好ましいが、AMV逆転写酵素とその誘導体が最も好ましいものとして例示できる。また、前記RNAポリメラーゼ活性を有する酵素としては、分子生物学的実験などで汎用されているバクテリオファージ由来のT7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、及びこれらの誘導体を例示できる。
本発明の処理方法は、前述の通り、増幅操作における逆転写の工程を実施するために必要な試薬とオリゴヌクレオチドDNA等を共存させることによって、増幅操作と同時に試料を処理することもできる。特にRNAの増幅操作として好ましいTRC法等では、RNaseH活性を有する酵素を増幅操作のためにも使用することから、増幅操作を実施する反応液の中に、単にオリゴヌクレオチドDNAを添加するだけで、標的RNAの検出感度の低下を防止できるRNAの増幅を実現することが可能になる。
本発明で使用するオリゴヌクレオチドDNAは、通常10から100塩基程度の鎖長、好ましくは15から30塩基程度の鎖長を有するDNAであれば良いが、当該鎖長に限られるものではない。また、その一部、もしくは全体が人工的な構造からなるヌクレオチド誘導体であっても、それが塩基対結合をすることができる限り、本発明において特に制限なく使用することができる。
オリゴヌクレオチドDNAは、RNA増幅操作におけるDNAプライマーとしての機能をも有する。すなわち、オリゴヌクレオチドDNAが例えば非標的RNAとミスプライミングを生じ、オリゴヌクレオチドDNAを含むRNA−DNA2本鎖が形成されると、それに対してRNA増幅操作で使用されるRNA依存性DNAポリメラーゼが作用し、オリゴヌクレオチドDNAの伸長反応が生じることになる。そこで本発明では、オリゴヌクレオチドDNAの3’端水酸基からの伸長反応を防ぐため、その3’端が化学的に修飾されているものを用いることが好ましい。化学的な修飾として、3’端の水酸基をアミノ基とすることが例示できる。
本発明によって処理した試料は、これを増幅操作に供して増幅した後、標的RNAの検出を行った場合に検出感度の低下が防止される。標的RNAの検出は、具体的には特定塩基配列部分の検出であり、例えば増幅操作の後に電気泳動等によって検出する、いわゆるツリーアッセイ等によって検出する、等が例示できる。特に、特定塩基配列部分と相補的な2本鎖を形成すると蛍光特性が変化するように設計した蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブを、増幅操作を終了した後、又は増幅操作中の試料に添加し、その蛍光特性の変化を測定することが、操作の簡便性等の面から好ましい検出方法として例示できる(例えば非特許文献1等)。この蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブとしては、より具体的にオキサゾールイエロー等の公知のインターカレーター性蛍光色素を適当な長さのリンカーを介してDNAに結合したインターカレーター性蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブが例示できる。
本発明は、種々のRNAを標的RNAとして適用することが可能である。中でも、rRNA、tRNA、ハウスキーピング遺伝子のmRNA等、生物種間で共通性が保持されており、類縁の生物種間で配列が酷似している場合があるために注意深くDNAプライマーのプライミング領域を選択しても、試料中に酷似した塩基配列部分を有する非標的RNAが過剰に存在するとDNAプライマーがミスプライミングを起こして標的RNAの検出感度が低下する可能性のある標的RNAに適用することが効果的である。
そのような例として、細菌のrRNAを標的RNAとして増幅、検出する場合に、試料中に近縁種の細菌のrRNAが含まれている場合を例示することができる。両者は類似した塩基配列部分を有するため、注意深く目的の細菌rRNAの増幅のためのDNAプライマーのプライミング領域を選択しても、試料中に大過剰の類似の細菌由来のrRNAが含まれているとDNAプライマーがミスプライミングを起こして標的RNAの検出感度が低下する可能性がある。
本発明は、例えば一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びRNaseH活性を有する酵素とからなる反応液を調製しておけば、これを試料に添加することによって実施することが可能である。むろん、オリゴヌクレオチドDNAの溶液とRNaseH活性を有する酵素の溶液を別個に用意しておき、実施の際に試料に添加することもできる。
本発明の原理を以下、簡単に説明する。試料中に非標的RNAが含まれる場合、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNAが、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAにハイブリダイズし、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとオリゴヌクレオチドDNAのハイブリッドが形成される。前記ハイブリッド中の標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAはRNaseH活性を有する酵素により特異的に分解される。このため、DNAプライマーがミスプライミングしうるRNAが分解され、これを増幅操作した場合には、結果的に標的RNAの検出感度が低下するという現象を抑制することが可能となる。
むろん、本発明の方法をRNA増幅の操作と同時に実施する場合、特に好適な場合には、非標的RNAに由来するRNA増幅産物に対してハイブリダイズするオリゴヌクレオチドDNAを設計して試料に添加しておくことで、オリゴヌクレオチドDNAがRNA増幅産物に結合することによって前記同様の効果を達成し得る。
本発明によれば、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA、及びRNaseH活性を有する酵素を利用して、RNAを増幅して検出する方法における非特異的増幅反応を抑制し、検出の特異性を向上させることができる。さらには非標的RNAが混在する試料において、標的RNAの検出感度を向上させることができる。本発明のRNA検出方法は、生化学・分子生物学・医療分野などに提供することができる。
さらに、本発明はRNaseH活性あるいはRNaseH活性を付随的に有する酵素を利用する核酸増幅法に非標的RNAにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドDNAを添加するだけで効果があり、特殊な機器、煩雑な作業を要することなく、簡便に特異性を向上させることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
モデルRNA1を用いた検証
モデルRNA1(配列番号1)を試料として,下記の記載の標的RNAがモデルRNA2(配列番号2)である核酸増幅系に供し,増幅産物を解析した。
モデルRNA1(配列番号1)を試料として,下記の記載の標的RNAがモデルRNA2(配列番号2)である核酸増幅系に供し,増幅産物を解析した。
(1)定法に従いインビトロ転写によりモデルRNA1(配列番号1)を調製し、RNA希釈液(10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、0.1mM EDTA、0.5U/μL リボヌクレアーゼインヒビター、5.0mM DTT)を用い、108コピー/5μLになるように希釈し、これをRNA試料として使用した。
(2)以下の組成の反応液20.0μLを0.5mL容チューブに分注し、これに前記RNA試料5μLを添加した。
各反応液の組成(濃度は酵素溶液添加後(30μL中)の最終濃度)は以下のとおり。
60.0mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.6)
17.0mM 塩化マグネシウム
100mM 塩化カリウム
1.0mM DTT
各0.25mM dATP,dCTP,dGTP,dTTP
各3.0mM ATP、CTP、GTP、UTP
3.6mM ITP
1.0μM モデルRNA2(配列番号2)増幅用の第一のプライマー(配列番号3)
1.0μM モデルRNA2(配列番号2)増幅用の第二のプライマー(配列番号4:当該プライマーはその5’端にT7プロモーター配列が付加されている)
0.16μM 切断用オリゴヌクレオチド(配列番号5:当該オリゴヌクレオチドの3’末端の水酸基はアミノ化されている)
14.0nM モデルRNA1及び2共通検出用のインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド(配列番号6)
6.0U リボヌクレアーゼインヒビター
13.0% DMSO
1〜10μM RV25(配列番号7),RV6(配列番号8),RV19(配列番号9),RV20(配列番号10),RV17(配列番号11),RV2(配列番号12),RV18(配列番号13)(各反応系に前記オリゴヌクレオチドの何れか1つ若しくはそれらの組み合わせを添加)
容量調整用蒸留水
RV25(配列番号7),RV6(配列番号8),RV19(配列番号9),RV20(配列番号10),RV17(配列番号11),RV2(配列番号12),RV18(配列番号13)はモデルRNA1(配列番号1)とはハイブリダイズするが,モデルRNA2(配列番号2)を試料とした配列番号3,配列番号4及び配列番号5のオリゴヌクレオチドを用いたRNA増幅系の増幅領域にはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドDNAであり,該オリゴヌクレオチドDNAの配列は第一(配列番号3)および第二のDNAプライマー(配列番号4)がモデルRNA1(配列番号1)に結合しうる箇所を考慮し設計したものである。また、これらのオリゴヌクレオチドDNAの3’端の水酸基はアミノ化されている。
17.0mM 塩化マグネシウム
100mM 塩化カリウム
1.0mM DTT
各0.25mM dATP,dCTP,dGTP,dTTP
各3.0mM ATP、CTP、GTP、UTP
3.6mM ITP
1.0μM モデルRNA2(配列番号2)増幅用の第一のプライマー(配列番号3)
1.0μM モデルRNA2(配列番号2)増幅用の第二のプライマー(配列番号4:当該プライマーはその5’端にT7プロモーター配列が付加されている)
0.16μM 切断用オリゴヌクレオチド(配列番号5:当該オリゴヌクレオチドの3’末端の水酸基はアミノ化されている)
14.0nM モデルRNA1及び2共通検出用のインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド(配列番号6)
6.0U リボヌクレアーゼインヒビター
13.0% DMSO
1〜10μM RV25(配列番号7),RV6(配列番号8),RV19(配列番号9),RV20(配列番号10),RV17(配列番号11),RV2(配列番号12),RV18(配列番号13)(各反応系に前記オリゴヌクレオチドの何れか1つ若しくはそれらの組み合わせを添加)
容量調整用蒸留水
RV25(配列番号7),RV6(配列番号8),RV19(配列番号9),RV20(配列番号10),RV17(配列番号11),RV2(配列番号12),RV18(配列番号13)はモデルRNA1(配列番号1)とはハイブリダイズするが,モデルRNA2(配列番号2)を試料とした配列番号3,配列番号4及び配列番号5のオリゴヌクレオチドを用いたRNA増幅系の増幅領域にはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドDNAであり,該オリゴヌクレオチドDNAの配列は第一(配列番号3)および第二のDNAプライマー(配列番号4)がモデルRNA1(配列番号1)に結合しうる箇所を考慮し設計したものである。また、これらのオリゴヌクレオチドDNAの3’端の水酸基はアミノ化されている。
尚,各オリゴヌクレオチド(配列番号3−13)のモデルRNA1(配列番号1)及びモデルRNA2(配列番号2)への結合領域の概略を図1に示した。
(3)(2)の反応液を、43℃で5分間保温後、以下の組成の酵素溶液5.0μLを添加し、43℃で30分間反応させた。
酵素溶液の組成(反応時(30μL中)の最終濃度)
2.0% ソルビトール
6.4U AMV逆転写酵素
142U T7 RNAポリメラーゼ
3.6μg 牛血清アルブミン
容量調整用蒸留水
(4)反応後のサンプルは以下のいずれかの方法で電気泳動した。
A.反応後のサンプル1μLを尿素変性5%ポリアクリルアミドゲル(150V,30分間)
B.反応後のサンプル0.5μLを4%アガロースゲル(100V、1時間)
電気泳動後のゲルをSYBR GREEN II (タカラバイオ社)にて染色し、トランスイルミネーターで検出した。結果を図2に示す。大過剰のモデルRNA1をサンプルとすると、前記オリゴヌクレオチドDNA(図1参照)を添加しない場合、モデルRNA1に由来する長さの異なる2種の非特異RNA産物が増幅されており(図2の矢印)、これは第一および第二のプライマーが増幅反応中にモデルRNA1に対し図1のようにミスプライミングしてしまい、非特異的増幅反応が起こった結果と推定された。図1に示したように、RV19(配列番号9)およびRV20(配列番号10)はプライマーのミスプライミング領域に設定されており、プライマーのミスプライミングと競合する効果も期待されたが、図2に示したように、RV19(配列番号9)およびRV20(配列番号10)を添加しても2種の非特異RNA産物を部分的に抑制することはできたが、完全に抑制することはできなかった。
2.0% ソルビトール
6.4U AMV逆転写酵素
142U T7 RNAポリメラーゼ
3.6μg 牛血清アルブミン
容量調整用蒸留水
(4)反応後のサンプルは以下のいずれかの方法で電気泳動した。
A.反応後のサンプル1μLを尿素変性5%ポリアクリルアミドゲル(150V,30分間)
B.反応後のサンプル0.5μLを4%アガロースゲル(100V、1時間)
電気泳動後のゲルをSYBR GREEN II (タカラバイオ社)にて染色し、トランスイルミネーターで検出した。結果を図2に示す。大過剰のモデルRNA1をサンプルとすると、前記オリゴヌクレオチドDNA(図1参照)を添加しない場合、モデルRNA1に由来する長さの異なる2種の非特異RNA産物が増幅されており(図2の矢印)、これは第一および第二のプライマーが増幅反応中にモデルRNA1に対し図1のようにミスプライミングしてしまい、非特異的増幅反応が起こった結果と推定された。図1に示したように、RV19(配列番号9)およびRV20(配列番号10)はプライマーのミスプライミング領域に設定されており、プライマーのミスプライミングと競合する効果も期待されたが、図2に示したように、RV19(配列番号9)およびRV20(配列番号10)を添加しても2種の非特異RNA産物を部分的に抑制することはできたが、完全に抑制することはできなかった。
一方、ミスプライミング領域を含まない、ミスプライミング領域の内側に設計されたオリゴヌクレオチドDNAを添加した際には、2種の非特異RNA産物の生産は顕著に抑制された。
すなわち、前記オリゴヌクレオチドDNAは、第一のプライマーおよび/または第二のプライマーの非標的RNAへのミスプライミングにより生じるRNAのうち前記プライマーのミスプライミング領域を含まない領域で設計することが特に効果的であることが示された。
すなわち、前記オリゴヌクレオチドDNAは、第一のプライマーおよび/または第二のプライマーの非標的RNAへのミスプライミングにより生じるRNAのうち前記プライマーのミスプライミング領域を含まない領域で設計することが特に効果的であることが示された。
モデルRNA2を用いた検証
実施例1と同様に、モデルRNA2(配列番号2)を試料として,実施例1に記載した標的RNAがモデルRNA2(配列番号2)である核酸増幅系に供し,増幅産物を解析した。
実施例1と同様に、モデルRNA2(配列番号2)を試料として,実施例1に記載した標的RNAがモデルRNA2(配列番号2)である核酸増幅系に供し,増幅産物を解析した。
モデルRNA2を104コピー/5μLになるように調製し、これをRNA試料として使用した。次に実施例1と同様に前記RNA試料を反応させた。ただし、オリゴヌクレオチドDNAとして1.0μM のRV25(配列番号2)を反応系に添加した。電気泳動後のゲルのRNAの検出は実施例1に準じた。結果を図3に示す(図3の矢印の部分が標的RNAの増幅産物)。前記オリゴヌクレオチドDNAを添加して反応させても標的RNAを感度よく特異的に検出可能であることがわかる。
夾雑物共存下での選択的増幅
モデルRNA2を50コピー/5μL、モデルRNA1を106コピー/5μLとなるよう調製し、これをRNA試料として使用した。次に実施例1と同様に前記RNA試料を反応させた。ただし、オリゴヌクレオチドDNAとしてRV25(配列番号7)、RV6(配列番号8)、RV17(配列番号11)、RV2(配列番号12)を1.0μMとなるように反応系に添加した。また、反応チューブは直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、酵素溶液添加と同時に反応溶液の蛍光強度(励起波長470nm、蛍光波長520nm)を経時的に20分間測定した。酵素添加時の時刻を0分としたとき、反応20分後の反応液の蛍光強度比(20分後の蛍光強度値÷バックグランドの蛍光強度値)を表1に示す。前記オリゴヌクレオチドDNAを添加することで、蛍光強度比の増加が観察され、1.2を超えた場合にモデルRNA2が検出されたと判断した。前記オリゴヌクレオチドDNAを添加することによりモデルRNA1存在下におけるモデルRNA2の検出感度が向上していることが明らかとなった。
モデルRNA2を50コピー/5μL、モデルRNA1を106コピー/5μLとなるよう調製し、これをRNA試料として使用した。次に実施例1と同様に前記RNA試料を反応させた。ただし、オリゴヌクレオチドDNAとしてRV25(配列番号7)、RV6(配列番号8)、RV17(配列番号11)、RV2(配列番号12)を1.0μMとなるように反応系に添加した。また、反応チューブは直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、酵素溶液添加と同時に反応溶液の蛍光強度(励起波長470nm、蛍光波長520nm)を経時的に20分間測定した。酵素添加時の時刻を0分としたとき、反応20分後の反応液の蛍光強度比(20分後の蛍光強度値÷バックグランドの蛍光強度値)を表1に示す。前記オリゴヌクレオチドDNAを添加することで、蛍光強度比の増加が観察され、1.2を超えた場合にモデルRNA2が検出されたと判断した。前記オリゴヌクレオチドDNAを添加することによりモデルRNA1存在下におけるモデルRNA2の検出感度が向上していることが明らかとなった。
以上に示された実施例の結果から,本法を用いることで塩基配列がにかよったRNAが共存した場合でも,一方のRNAを選択的に増幅検出できることが示された。
Claims (10)
- 標的RNA中の特定塩基配列部分(特定塩基配列部分)をその3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作に供するための試料処理法であって、標的RNA及び非標的RNAを含む試料に対し、高ストリンジェントな条件で特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びリボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素を同時に又は順次添加して、試料中の標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとオリゴヌクレオチドDNAのRNA−DNA2本鎖を形成させ、形成された2本鎖のRNA部分を分解する試料処理法。
- 前記増幅操作が、(1)特定塩基配列部分の3’端領域に相補的な第一のDNAプライマーが標的RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により特定塩基配列部分に相補的なcDNAを合成し、特定塩基配列部分とのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、(2)RNaseH活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成する工程、(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列部分の5’端領域と相同的な配列を有する第二のDNAプライマーがハイブリダイズしDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、2本鎖DNAを生成する工程、及び(4)前記2本鎖DNAがPCR法によって連鎖的に増幅される工程、からなることを特徴とする、請求項1に記載の試料処理法。
- 前記増幅操作が、(1)特定塩基配列部分の3’端領域に相補的な第一のDNAプライマーが標的RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により特定塩基配列部分に相補的なcDNAを合成し、特定塩基配列部分とのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、(2)RNaseH活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成する工程、(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列部分の5’端領域と相同的な配列を有する第二のDNAプライマーがハイブリダイズし(ここで第二又は第一のプライマーの5’端には、DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されている)、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、前記特定塩基配列部分又は前記特定塩基配列部分に相補的な配列のRNAを転写可能な、プロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、及び(4)DNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型としてRNAを転写する工程(ここで、該RNAが前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となり、連鎖的にRNA増幅産物が生成される)からなることを特徴とする、請求項1に記載の試料処理法。
- 試料に対し、DNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を含む前記増幅操作に要する試薬、前記オリゴヌクレオチドDNA及びRNaseH活性を有する酵素を添加することにより、増幅と同時に前記処理を実施することを特徴とする、請求項1〜3に記載の試料処理法。
- 前記オリゴヌクレオチドDNAが、その3’端水酸基からの酵素的な伸長反応を防ぐために化学的に修飾されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の試料処理法。
- 前記化学的修飾が、アミノ基であることを特徴とする、請求項5に記載の試料処理法。
- 前記オリゴヌクレオチドDNAが、前記増幅操作において前記第一のDNAプライマー又は第二のDNAプライマーが標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAに対してミスプライミングすることにより生じ得るRNA増幅産物とハイブリダイズすることを特徴とする、請求項1又は3に記載の試料処理法。
- 標的RNA中の特定塩基配列部分(特定塩基配列部分)をその3’端領域に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素を利用して逆転写する工程を含む増幅操作に供するための試料処理試薬であって、高ストリンジェントな条件で特定塩基配列部分にはハイブリダイズせず、標的RNA中の特定塩基配列部分以外の部分又は非標的RNAとのみハイブリダイズする一種以上のオリゴヌクレオチドDNA及びリボヌクレアーゼ H活性を有する酵素とからなる試料処理試薬。
- 前記オリゴヌクレオチドDNAが、その3’端水酸基からの酵素的な伸長反応を防ぐために化学的に修飾されていることを特徴とする、請求項8に記載の試料処理試薬。
- 前記化学的修飾が、アミノ基であることを特徴とする、請求項9に記載の試料処理試薬。
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JP2009244952A JP2011087534A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | 夾雑物の影響を排除する方法 |
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