JP2009008606A - ビーム照射装置およびレーザレーダ - Google Patents
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Abstract
【課題】2軸駆動方式のビーム照射装置において、目標領域におけるビームの照射位置を、簡素な構成にて円滑に検出できるようにする。
【解決手段】ミラーホルダ10の支軸12に反射型の回折格子15を装着し、半導体レーザ201から出射されるサーボ光を、コリメートレンズ202で平行光化した後、回折格子15に照射する。回折格子15を経由したサーボ光(0次光、1次光)をPSD203にて受光する。ミラー13の回動に伴って、0次光と1次光の進行方向が変化する。これを、PSD203にて検出する。
【選択図】図2
【解決手段】ミラーホルダ10の支軸12に反射型の回折格子15を装着し、半導体レーザ201から出射されるサーボ光を、コリメートレンズ202で平行光化した後、回折格子15に照射する。回折格子15を経由したサーボ光(0次光、1次光)をPSD203にて受光する。ミラー13の回動に伴って、0次光と1次光の進行方向が変化する。これを、PSD203にて検出する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ビーム照射装置およびレーザレーダに関し、特に、ミラーを回動させることによりビームを走査させるタイプのビーム照射装置およびレーザレーダに用いて好適なものである。
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出し、さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、そのスキャン位置における障害物までの距離を検出するものである。
レーザレーダの検出精度を高めるには、レーザ光を目標領域内において適正にスキャンさせる必要があり、また、レーザ光の各スキャン位置を適正に検出する必要がある。これまでに、レーザ光のスキャン機構として、ポリゴンミラーを用いるスキャン機構と、走査用レンズを2次元駆動するレンズ駆動タイプのスキャン機構が知られている。
ポリゴンミラーを用いるスキャン機構は、ポリゴンミラーを回転させながら、レーザ光をポリゴンミラー側面に照射することによって、レーザ光をスキャンさせるものである。ポリゴンミラーは、断面多角形となっており、且つ、各側面にミラーが形成されている。ポリゴンミラーを回転させながらレーザ光を側面に照射することにより、各側面に対するレーザ光の入射角度が変化し、その反射光がポリゴンミラーの回転方向にスキャンされる。
しかし、このスキャン機構では、ミラー面の平面精度やミラーの回転状態がスキャン性能に大きく影響するため、高精度の平面加工技術や、高性能モータの適用が必要となる。また、レーザ光に対するミラー面の角度変化が小さいため、レーザ光の振り角をあまり大きくできないとの問題が生じる。
これに対し、レンズアクチュエータを用いたスキャン機構(たとえば、以下の特許文献1参照)では、レンズ駆動によってスキャンが行われるため、比較的簡単な構成にて、2次元方向のスキャン動作を実現できる。しかし、このアクチュエータでは、レンズが板バネやワイヤによって支持されるため、外部からの振動に弱いとの問題があり、また、振動抑制のために板バネやワイヤの剛性を高めると、スキャン動作のレスポンス特性が低下するとの問題がある。また、スキャン動作時にレーザ光がレンズ光軸に対して偏心した位置に入射するため、レーザ光の強度分布に歪が生じるとの問題が生じる。
なお、以下の特許文献2には、2つのスキャンミラーを用いてレーザ光を2次元方向にスキャンさせる構成が示されている。このように、スキャン手段としてミラーを用いると、レーザ光の強度分布に生じる歪の問題を解消できる。しかし、この構成によれば、2つのスキャンミラーをそれぞれ独立駆動するため、ミラー毎にアクチュエータを配する必要があり、構成の複雑化と大型化を招く。また、各スキャンミラーの回動状態をモニタするための構成をスキャンミラー毎に配する必要があるため、これによっても、構成の複雑化と大型化を招くことになる。
これに対し、出願人は、先に特願2006−121762号を出願し、簡単な構成にて、レスポンス特性を高めることができ、かつ、レーザ光の歪みを抑制できるアクチュエータを提案した。この発明に係るアクチュエータでは、ミラーが2軸駆動可能に支持され、コイルとマグネット間の電磁駆動力によって、ミラーが各駆動軸を軸として回動される。レーザ光は、ミラーに斜め方向から入射され、ミラーが各駆動軸を軸として2次元駆動されることにより、ミラーによるレーザ光の反射光が、目標領域内において、2次元方向に走査される。
特開平11−83988号公報
特開平9−15518号公報
本発明は、2軸駆動方式のビーム照射装置において、目標領域におけるビームの照射位置を、簡素な構成にて円滑に検出できるようにすることを課題とする。特に、ビーム照射位置を検出するための構成を小型かつ低コスト化でき、かつ、ビーム照射位置を精度良く検出できるようにすることを課題とする。
本発明に係るビーム照射装置は、ミラーと、前記ミラーを保持するミラーホルダと、前記ミラーホルダを第1の方向に回動可能に軸支する第1の保持体と、前記第1の保持体を前記第1の方向に垂直な第2の方向に回動可能に軸支する第2の保持体と、前記第1および第2の保持体をそれぞれ前記第1および第2の方向に駆動する電磁駆動部と、前記第1および第2の方向における前記ミラーの回動に伴い回動する回折格子と、前記回折格子にサーボ光を照射するサーボ用光源と、前記回折格子を経由した前記サーボ光を受光してその受光位置に応じた信号を出力する光検出器とを有することを特徴とする。
本発明によれば、第1および第2の方向におけるミラーの回動とともに回折格子が回動し、これに応じて、回折格子を経由した後のサーボ光(回折光)の指向方向が変化する。よって、光検出器上におけるサーボ光(回折光)に受光位置から、ミラーの回動位置、すなわち、目標領域におけるビームの走査位置を検出することができる。
ここで、回折格子は、ミラーホルダの回動軸に装着することができる。反射型の回折格子を用いる場合、ミラーホルダの回動軸の天面等、当該回動軸に垂直な面に、回折格子を装着することができる。
ミラーホルダの回動軸に回折格子を装着する場合、光検出器は、回折格子を経由したサーボ光のうち0次の回折光を受光する第1の受光面と、+n次または−n次(nは1以上の自然数)を受光する第2の受光面を有する構成とすることができる。こうすると、第1の受光面上における0次の回折光の照射位置から、第2の方向におけるミラーの回動位置を検出することができ、また、第2の受光面上における+n次または−n次の回折光の照射位置から、第1の方向におけるミラーの回動位置を検出することができる。
また、この構成に替えて、光検出器は、回折格子を経由したサーボ光のうち+n次または−n次(nは1以上の自然数)を受光する受光面を有するよう構成することもできる。この場合、この受光面における+n次または−n次の回折光の照射位置から、第1および第2の方向におけるミラーの回動位置を同時に検出することができる。
なお、本発明では、サーボ用光源と回折格子の間にサーボ光を所定径の平行光とするためのレンズ素子を配するのが好ましい。こうすると、回折格子および光検出器上においてサーボ光が広がりすぎるのを抑制することができ、光検出器上におけるサーボ光の照射位置を円滑に検出することができる。
本発明に係るレーザレーダは、上記構成のビーム照射装置を有することを特徴とする。このレーザレーダによれば、上記ビーム照射装置における効果と同様の効果が奏される。
以上のとおり、本発明によれば、2軸駆動方式のビーム照射装置において、目標領域におけるビームの走査位置を、簡素な構成にて円滑に検出でき、また、ビーム走査位置を検出するための構成を小型かつ低コスト化することができる。特に、ミラーホルダの回動軸に回折格子を装着すれば、ミラーの回動位置をサーボ光(回折光)の指向方向にダイレクトに反映させることができるため、目標領域におけるビームの走査位置を精度良く検出することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。本実施の形態は、乗用車に搭載されるレーザレーダに本発明を適用したものである。本実施の形態では、乗用車前方からビームがスキャン照射されることにより、走査領域内の障害物の有無が検出され、同時に、障害物までの距離が測定される。
なお、本実施の形態では、レーザ光が水平方向からミラーに入射される。ミラーを水平方向および垂直方向に回動させることにより、レーザ光が目標領域において2次元方向に走査される。
図1に、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ100の構成を示す。同図(a)はミラーアクチュエータ100の分解斜視図、同図(b)はアセンブル状態にあるミラーアクチュエータ100の斜視図である。
同図(a)において、10は、ミラーホルダである。ミラーホルダ10には、端部に抜け止めを有する支軸11、12が形成されている。また、ミラーホルダ10の前面には平板状のミラー13が装着されており、背面にはコイル14が装着されている。なお、コイル14は、方形状に巻回されている。ミラーホルダ10の支軸12には、反射型の回折格子15(図示せず)が装着されている。回折格子15については、追って、図2を参照して説明する。
20は、ミラーホルダ10を支軸11、12を軸として回動可能に支持する可動枠である。可動枠20には、ミラーホルダ10を収容するための開口21が形成されており、また、ミラーホルダ10の支軸11、12と係合する溝22、23が形成されている。さらに、可動枠20の側面には、端部に抜け止めを有する支軸24、25が形成され、背面には、コイル26が装着されている。コイル26は、方形状に巻回されている。
30は、可動枠20を支軸24、25を軸として回動可能に支持する固定枠である。固定枠30には、可動枠20を収容するための凹部31が形成され、また、可動枠20の支軸24、25と係合する溝32、33が形成されている。さらに、固定枠30の内面には、コイル14に磁界を印加するマグネット34と、コイル26に磁界を印加するマグネット35が装着されている。なお、溝32、33は、それぞれ固定枠30の前面から上下2つのマグネット35間の隙間内まで延びている。
40は、可動枠20の支軸24、25が溝32、33から脱落しないよう、支軸24、25を前方から押さえる押さえ板である。なお、ミラーホルダ10の支軸11、12を可動枠20の溝22、23から脱落しないよう規制する押さえ板は、図示省略されている。
ミラーアクチュエータ100をアセンブルする際には、ミラーホルダ10の支軸11、12を可動枠20の溝22、23に係合させ、さらに、支軸11、12の前面を押さえるようにして、押さえ板(図示せず)を可動枠20の前面に装着する。これにより、ミラーホルダ10が、可動枠20によって、回動可能に支持される。
このようにしてミラーホルダ10を可動枠20に装着した後、可動枠20の支軸24、25を固定枠30の溝32、33に係合させ、さらに、支軸32、33の前面を押さえるようにして、押さえ板40をマグネット35の前面に装着する。これにより、可動枠20が、回動可能に固定枠30に装着され、ミラーアクチュエータ100のアセンブルが完了する。
ミラーホルダ10が可動枠20に対し支軸11、12を軸として回動すると、これに伴ってミラー13が回動する。また、可動枠20が固定枠30に対し支軸24、25を軸として回動すると、これに伴ってミラーホルダ10が回動し、ミラーホルダ10と一体的にミラー13が回動する。このように、ミラーホルダ10は、互いに直交する支軸11、12と支軸24、25によって、2次元方向に回動可能に支持され、ミラーホルダ10の回動に伴って、ミラー13が2次元方向に回動する。
なお、同図(b)に示すアセンブル状態において、2つのマグネット34は、コイル14に電流を印加することにより、ミラーホルダ10に支軸11、12を軸とする回動力が生じるよう配置および極性が調整されている。したがって、コイル14に電流を印加すると、コイル14に生じる電磁駆動力によって、ミラーホルダ10が、支軸11、12を軸として回動する。
また、同図(b)に示すアセンブル状態において、2つのマグネット35は、コイル26に電流を印加することにより、可動枠20に支軸24、25を軸とする回動力が生じるよう配置および極性が調整されている。したがって、コイル26に電流を印加すると、コイル26に生じる電磁駆動力によって、可動枠20が、支軸24、25を軸として回動する。
このように、コイル14とコイル26に電流を印加することにより、ミラーホルダ10と可動枠20がそれぞれ支軸11、12と支軸24、25を軸として回動する。これにより、ミラー13が、ミラーホルダ10と一体となって、2次元方向に回動する。
なお、このようにミラー13が回動すると、これに伴って、支軸12に装着された回折格子15(図1には図示省略)も同様に回動する。ここで、ミラー13の回動位置と回折格子15の回動位置は一対一に対応する。
図2は、回折格子15およびミラー13の回動位置を検出するための光学系を示す図である。
図示の如く、支軸12の天面には、回折格子15が装着されている。また、ミラー13の背面側には、半導体レーザ201とコリメートレンズ202が配されている。半導体レーザ201から出射されるレーザ光(以下、「サーボ光」という)は、コリメートレンズ202によって所定径の平行光とされた後、回折格子15へと導かれる。ここで、サーボ光は、ミラー13が中立位置にあるときに、ミラー13の反射面に垂直で且つ支軸12の回動軸を含む面(以下、「レーザ入射面」という)に光軸が沿うようにして、所定の入射角にて回折格子15に入射される。
回折格子15は、ミラー13が中立位置にあるときに、回折方向がレーザ入射面に平行となるようにして、支軸12の天面に装着されている。したがって、回折格子15によって回折および反射されたサーボ光は、ミラー13が中立位置にある状態では、レーザ入射面に平行な方向に、0次光と±1次光に分離される。
回折格子15によって回折および反射されたサーボ光は、ミラー13の前面側に配されたPSD(Position Sensitive Detector)203によって受光される。ミラー13が回動すると、これに伴って、回折格子15が回動するため、サーボ光(0次光と±1次光)の指向方向が変化する。したがって、サーボ光(0次光と±1次光)は、ミラー13の回動に伴って、PSD203の受光面上を移動する。ここで、ミラー13の回動位置とPSD受光面上におけるサーボ光の照射位置は一対一に対応する。
図3は、ミラー13の回動とサーボ光(0次光と±1次光)の指向方向の関係を模式的に示す図である。
同図(a)ないし(c)は上面側から支軸12を見たときの図であり、同図(d)ないし(f)は側面側(支軸24、25の回動軸に平行な方向)から支軸12を見たときの図である。
同図(b)および(e)は、ミラー13が中立位置にあるときの状態を示している。この状態において、回折後の0次光と±1次光は、それぞれ、レーザ入射面に平行で(同図(b)参照)、且つ、異なる回折角の方向(同図(e)参照)に向かう。
この状態から、同図(a)に示す如く、支軸12が矢印A1方向(反時計方向)に回動すると、この回動に伴って、±1次光の指向方向が矢印A1方向に回動する。また、同図(c)に示す如く、支軸12が矢印A2方向(時計方向)に回動すると、この回動に伴って、±1次光の指向方向が矢印A2方向に回動する。何れの場合も、0次光の指向方向は変わらない。
また、同図(e)に示す中立位置から、同図(d)に示す如く、支軸12が矢印B1方向に回動(支軸24、25を軸とした回動)すると、この回動に伴って、0次光と±1次光の指向方向が矢印B1方向(時計方向)に回動する。また、同図(f)に示す如く、支軸12が矢印B2方向(反時計方向)に回動すると、この回動に伴って、0次光と±1次光の指向方向が矢印B2方向に回動する。
図4は、目標領域におけるビームの走査状態と、PSD203上におけるサーボ光の走査状態を模式的に示す図である。なお、ここでは、目標領域におけるビームの走査ライン数は3ラインとされている。
同図(a)に示す如く、目標領域は、マトリクス状にエリア分割されている。中立位置からミラー13を支軸11、12を軸として所定の振り幅にて回動させると、ビームは、目標領域上に設定された中段の走査ライン(走査ライン2)に沿って走査される。中立位置から支軸24、25を軸としてミラー13を所定角度だけ上向きに回動させた状態で、ミラー13を支軸11、12を軸として所定の振り幅にて回動させると、ビームは、目標領域上に設定された上段の走査ライン(走査ライン1)に沿って走査される。中立位置から支軸24、25を軸としてミラー13を所定角度だけ下向きに回動させた状態で、ミラー13を支軸11、12を軸として所定の振り幅にて回動させると、ビームは、目標領域上に設定された下段の走査ライン(走査ライン3)に沿って走査される。
スキャン動作時には、たとえば、最初に、上段のエリア(走査ライン1)が矢印方向(水平方向)に走査される。走査位置が各分割エリアに到達したタイミングにて、ビームがパルス状に発光され、障害物の検出と距離の測定が行われる。走査ライン1に対する走査が終了すると、次に、中段のエリア(走査ライン2)が矢印方向(水平方向)に走査され、同様に、各分割エリアにおける障害物の検出と距離の測定が行われる。さらに、走査ライン2に対する走査が終了すると、下段のエリア(走査ライン3)が矢印方向(水平方向)に走査され、各分割エリアにおける障害物の検出と距離の測定が行われる。これにより、目標領域に対するスキャン動作が終了する。
同図(b)は、このようにミラー13を駆動したときの、PSD203上におけるサーボ光(0次光、+1次光)の走査軌跡を示す図である。なお、ここでは、PSD203上に、0次光を受光するためのPSD受光面203aと、+1次光を受光するためのPSD受光面203bが配されている。
上記の如く、0次光の指向方向は、支軸11、12を軸としてミラー13が回動しても変化せず(図3(a)ないし(c)参照)、支軸24、25を軸としてミラー13が回動するに伴って変化する(図3(d)ないし(e)参照)。よって、PSD受光面203a上における0次光の照射位置は、ビームが走査ライン1を走査している間はPSD受光面203a上のP1の位置(図4(b)参照)に固定され、ビームが走査ライン1から走査ライン2へと移行することに応じて、P1からP2の位置へとシフトする。また、ビームが走査ライン2から走査ライン3へと移行することに応じて、0次光の照射位置が、P2からP3の位置へとシフトする。したがって、PSD受光面203a上における0次光の照射位置によって、ビームが何ライン目を走査中であるかが検出され得る。
また、+1次光の指向方向は、上記の如く、支軸11、12を軸としてミラー13が回動するに伴って変化し(図3(a)ないし(c)参照)、また、支軸24、25を軸としてミラー13が回動することによっても変化する(図3(d)ないし(e)参照)。よって、PSD受光面203b上における+1次光の照射位置は、ビームが走査ライン1を走査している間はPSD受光面203b上のQ1の曲面状の軌跡(図4(b)参照)に沿って移動し、ビームが走査ライン1から走査ライン2へと移行することに応じて、軌跡がQ1からQ2へとシフトする。また、ビームが走査ライン2から走査ライン3へと移行することに応じて、+1次光の移動軌跡が、Q2からQ3へとシフトする。
なお、PSD受光面203b上における1次光の照射位置からは、走査中の走査ラインと、その走査ライン上における走査位置の両方を検出することができる。すなわち、+1次光がQ1〜Q3のうちどの移動軌跡を走査中であるかに基づいて、ビームが目標領域上の何ライン目を走査中であるかが検出される。また、その移動軌跡上における+1次光の照射位置に基づいて当該走査ライン上における走査位置が検出され得る。
したがって、+1次光の照射位置から走査中の走査ラインと、その走査ライン上における走査位置の両方を検出する場合には、同図(c)に示す如く、0次光を受光するためのPSD受光面203aを省略し、PSD203上にPSD受光面203bのみを配するようにすることができる。
図5(a)は、PSD203の構成を示す図(側断面図)、図5(b)はPSD203の受光面を示す図である。
図5(a)を参照して、PSD203は、N型高抵抗シリコン基板の表面に、受光面と抵抗層を兼ねたP型抵抗層を形成した構造となっている。抵抗層表面には、同図(b)の横方向における光電流を出力するための電極X1、X2と、縦方向における光電流を出力するための電極Y1、Y2(同図(a)では図示省略)が形成されている。また、裏面側には共通電極が形成されている。
受光面にレーザ光が照射されると、照射位置に光量に比例した電荷が発生する。この電荷は光電流として抵抗層に到達し、各電極までの距離に逆比例して分割されて、電極X1、X2、Y1、Y2から出力される。ここで、電極X1、X2、Y1、Y2から出力される電流は、レーザ光の照射位置から各電極までの距離に逆比例して分割された大きさを有している。よって、電極X1、X2、Y1、Y2から出力される電流値をもとに、受光面上における光の照射位置を検出することができる。
図6は、PSD203からの信号を処理する処理回路の構成を示す図である。
電極Y1、Y2から出力された信号は、それぞれ、アンプ304、301で増幅された後、減算回路305で減算される。これにより、電極Y1−Y2方向におけるレーザ光の照射位置を示す信号が生成される(Y出力)。また、電極X1、X2から出力された信号は、それぞれ、アンプ303、302で増幅された後、減算回路306で減算される。これにより、電極X1−X2方向におけるレーザ光の照射位置を示す信号が生成される(X出力)。これら、X出力とY出力をもとに、受光面上における光の照射位置が検出される。また、PSDに代えて4分割PDを用いても良い。
なお、アンプ301〜304から出力される信号は、加算回路307によって加算される。これにより、受光面に照射されたレーザ光の全光量を示す信号が生成される(SUM出力)。通常、半導体レーザ201の出力パワーを調整するAPC(Automatic Power Control)回路には、半導体パッケージ内のモニタ用PDの出力信号がフィードバックされるが、図6の構成例では、SUM出力信号をAPC回路に入力して、パワー調整用のモニタ信号として利用することもできる。このようにPSD203からの信号をパワー調整用のモニタ信号として利用することにより、半導体レーザ201にパワーモニタ用のフォトダイオードを配する必要がなくなる。この場合、半導体レーザ201に代えて、レーザチップのみをサーボ用光源として配する構成とすることができる。
図7は、図1(b)に示すミラーアクチュエータ100がベース500に装着された状態の構成を示す図である。ベース500には、ミラーアクチュエータ100の他に、走査ビームをミラー13に導くための走査用光学系400が装着されている。
図示の如く、ベース500には、凹部501が形成され、この凹部501に支軸12および回折格子15が収容されるようにして、ミラーアクチュエータ100がベース500上に装着されている。
ベース500の上面には、走査用光学系400を構成するミラー402、403と、ビーム整形用のレンズ404、405が装着されている。また、ベース500には、ミラー402に対向する位置にレーザ光源401(図示せず)が装着されている。
レーザ光源401(図示せず)から上向きに出射されたレーザ光は、ミラー402によって水平方向に反射された後、さらにミラー402によって、進行方向が水平方向に90度折り曲げられる。その後、レーザ光は、レンズ404、405によって、それぞれ、水平方向および鉛直方向の収束作用を受ける。なお、レンズ404、405は、目標領域(たとえば、ビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、所定の大きさ(たとえば、縦2m、横1m程度の大きさ)になるようレンズ面が設計されている。
レンズ404、405を透過したレーザ光は、ミラーアクチュエータ100のミラー13に入射し、ミラー13によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ100によってミラー13が上記の如く2次元駆動されることにより、レーザ光が図4(a)に示す目標領域内において2次元方向にスキャンされる。
ミラーアクチュエータ100は、ミラー13が中立位置にあるときに、レンズ405からのレーザ光がミラー13のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。また、ミラー13が中立位置にあるとき、ミラー面は鉛直方向に対して平行となっている。
凹部501の内側面には、図2に示す配置にて、半導体レーザ201、コリメートレンズ203とPSD203が装着されている。ここで、PSD203上には、上記図4(b)(c)のうち何れ一方の受光面が、回折格子15にて回折された後の0次光および+1次光を受光する位置に配されている。
図8に、本実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す。
図示の如く、レーザレーダは、DSP(Digital Signal Processor)制御回路701と、DAC(Digital Analog Converter)702と、レーザ駆動回路703と、アクチュエータ駆動回路704と、ビーム照射ヘッド705と、PSD信号処理回路706と、ADC(Analog Digital Converter)707と、PD信号処理回路708と、ADC(Analog Digital Converter)709を備えている。
DSP制御回路701は、レーザ駆動回路703およびアクチュエータ駆動回路704を駆動制御するためのデジタル信号をDAC702に出力する。また、ADC709から入力されるデジタル信号をもとに、スキャン領域内に含まれる障害物の位置と障害物までの距離を検出する。
さらに、DSP制御回路701は、ADC709から入力される受光信号に基づいて、障害物までの距離を測定する。DSP制御回路701には、高周波の内部クロックが入力されている。DSP制御回路701は、各スキャン位置において出力されるパルス光の出力タイミングからその反射光の受光タイミングまでのクロック数Nをカウントする。そして、カウントしたクロック数Nをもとに、当該スキャン位置における障害物の有無と障害物までの距離Lを検出する。たとえば、内部クロックの周期をTとして、L=C(光速)×T×N/2を演算することにより障害物までの距離を検出する。なお、予め決められた時間内に反射光を受光できない場合、当該スキャン位置には障害物が存在しないとされる。
DAC702は、DSP制御回路701から入力されたデジタル信号をアナログ信号(制御信号)に変換してレーザ駆動回路703およびアクチュエータ駆動回路704に出力する。レーザ駆動回路703は、DAC702から入力された制御信号に応じて、ビーム照射ヘッド705内の半導体レーザ101、201を駆動する。アクチュエータ駆動回路704は、DAC702から入力された制御信号に応じて、ビーム照射ヘッド705内のミラーアクチュエータ100(図1参照)を駆動する。
ビーム照射ヘッド705は、前方空間に設定された走査領域においてビームを走査させる。図示の如く、ビーム照射ヘッド705は、ミラーアクチュエータ100の他に、図2に示す半導体レーザ201、コリメートレンズ202、PD203を備え、さらに、図7に示す走査用光学系400(半導体レーザ401のみ図示)と、目標領域からの反射光を受光レンズ601を介して受光するPD602を備えている。
PSD203からの出力信号は、図6に示す演算回路を含むPSD信号処理回路706によって信号処理された後ノイズ除去され、ADC707に入力される。ADC707は、入力された信号をデジタル信号に変換してDSP制御回路701に出力する。DSP制御回路701は、ADC707からの信号に基づいて、PSD受光面203a、203b上における0次光および+1次光の照射位置を検出し、この照射位置をもとに、図4を参照して説明した如く、目標領域上におけるビームの走査ラインおよび当該走査ライン上における走査位置を検出する。
スキャン動作時、DSP制御回路701は、アクチュエータ駆動回路704を駆動して、目標領域に設定された各走査ラインに沿って走査ビームを走査させる。このスキャン動作の際、DSP制御回路701は、半導体レーザ201をパワーレベルPwcにて常時発光させるための信号を、DAC702を介してレーザ駆動回路703に出力する。また、上記のように、PSD203からの信号をもとに目標領域におけるビームの走査位置を検出し、走査位置が、障害物検出および距離検出を行うための位置(図4(a)に示す各分割エリアの位置(以下、「測定位置」という)に到達したタイミングにて、半導体レーザ401の出力を、一定期間だけパルス状にレベルPwaからレベルPwbに立ち上げるための信号を、DAC702を介してレーザ駆動回路703に出力する。
ここで、レベルPwaは、測定位置の到来に応じて半導体レーザ401の出力を円滑にレベルPwbに立ち上げることができる程度のレベルに設定される。また、レベルPwbは、障害物検出および距離検出を円滑に行い得るレベルに設定される。なお、半導体レーザ401の出力をゼロレベルから円滑にレベルPwbに立ち上げることができる場合、レベルPwaはゼロレベルに設定されても良い。
測定位置に障害物が存在するとき、高パワーにて発光された走査ビーム光は、障害物によって反射され、その反射光が、受光レンズ601を介してPD602に入射される。PD602は、受光量に応じた大きさの信号をPD信号処理回路708に出力する。PD信号処理回路708は、PD602から入力された信号を増幅およびノイズ除去してADC709に出力する。ADC709は、入力された信号をデジタル信号に変換してDSP制御回路701に出力する。
DSP制御回路701は、ADC709から入力されたデジタル信号をもとに反射光の受光タイミングを検出し、この受光タイミングと、走査ビームの出力タイミングから、上記の如く、当該測定位置における障害物までの距離を検出する。また、予め設定された時間内に反射光を受光できない場合は、当該測定位置には障害物が存在しないと判定する。
以上、本実施の形態によれば、目標領域におけるビームの走査位置を、簡素な構成にて円滑に検出でき、また、ビーム走査位置を検出するための構成を小型かつ低コスト化することができる。特に、回動軸12に回折格子15が装着されているため、ミラー13の回動位置をサーボ光(0次光、1次光)の指向方向にダイレクトに反映させることができ、よって、目標領域におけるビームの走査位置を精度良く検出することができる。
なお、図4(b)に示すように0次光と1次光に対応して個別に受光面203a、203bを配する場合には、0次光の回折効率と1次光の回折効率が略等しくなるよう回折格子15のパターンを調整するのが好ましい。こうすると、何れか一方の受光面からの出力信号が過度に小さくなることを抑制することができ、よって、各受光面からの出力信号のSN比を適正範囲内に設定することができる。
また、図4(c)に示すように1次光のみに対応して受光面203bを配する場合には、たとえば、回折格子15をブレーズ型として、1次光の回折効率を100%に近づけるようにしても良い。こうすると、受光面203bからの出力信号を高めることができ、よって、当該出力信号におけるSN比を高めることができる。
なお、図4(c)の構成とする場合には、0次光が受光面203bに入射しないよう、適宜、0次光を遮光するための構成を追加すると良い。こうすると、受光面203bを回折格子15により接近させることができ、PSD203を配置する際の自由度を高めることができる。
本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、回折格子15を支軸12の天面に配したが、ミラー13の回動に伴って回動する位置であれば、これ以外の位置に配置しても良い。また、上記では、回折格子15として反射型の回折格子を用いたが、透過型の回折格子を用いることもできる。
また、受光面203bによって+1次光を受光するようにしたが、−1次光を受光するようにしてもよく、さらには、±2次以上の回折光を受光するようにしても良い。
この他、本発明は、車載用のレーザレーダに適用して好ましいものであるが、たとえば、大気中のエアロゾル計測用など、他の用途のレーザレーダに適用することも可能である。
10 … ミラーホルダ
11、12 … 支軸
13 … ミラー
15 … 回折格子
20 … 可動枠(第1の保持体)
24、25 … 支軸
30 … 固定枠(第2の保持体)
201 … 半導体レーザ(サーボ用光源)
202 … コリメートレンズ(レンズ素子)
203 … PSD(光検出器)
203a … PSD受光面(第1の受光面)
203b … PSD受光面(第2の受光面)
11、12 … 支軸
13 … ミラー
15 … 回折格子
20 … 可動枠(第1の保持体)
24、25 … 支軸
30 … 固定枠(第2の保持体)
201 … 半導体レーザ(サーボ用光源)
202 … コリメートレンズ(レンズ素子)
203 … PSD(光検出器)
203a … PSD受光面(第1の受光面)
203b … PSD受光面(第2の受光面)
Claims (7)
- ミラーと、
前記ミラーを保持するミラーホルダと、
前記ミラーホルダを第1の方向に回動可能に軸支する第1の保持体と、
前記第1の保持体を前記第1の方向に垂直な第2の方向に回動可能に軸支する第2の保持体と、
前記第1および第2の保持体をそれぞれ前記第1および第2の方向に駆動する電磁駆動部と、
前記第1および第2の方向における前記ミラーの回動に伴い回動する回折格子と、
前記回折格子にサーボ光を照射するサーボ用光源と、
前記回折格子を経由した前記サーボ光を受光してその受光位置に応じた信号を出力する光検出器とを有する、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項1において、
前記回折格子は、前記ミラーホルダの回動軸に装着されている、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項2において、
前記回折格子は、前記ミラーホルダの回動軸に垂直な面に装着された反射型の回折格子である、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項2または3において、
前記光検出器は、前記回折格子を経由した前記サーボ光のうち0次の回折光を受光する第1の受光面と、+n次または−n次(nは1以上の自然数)を受光する第2の受光面を有する、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項2または3において、
前記光検出器は、前記回折格子を経由した前記サーボ光のうち+n次または−n次(nは1以上の自然数)を受光する受光面を有する、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項1ないし5の何れか一項において、
前記サーボ用光源と前記回折格子の間に前記サーボ光を所定径の平行光とするためのレンズ素子が配されている、
ことを特徴とするビーム照射装置。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載のビーム照射装置を有するレーザレーダ。
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JP2007172195A JP2009008606A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | ビーム照射装置およびレーザレーダ |
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-
2007
- 2007-06-29 JP JP2007172195A patent/JP2009008606A/ja active Pending
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