JP2009008113A - ディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果を維持するために必要なメンテナンスコストの増大を抑制することができるディスクブレーキの提供。
【解決手段】ディスクDの両側に対をなして配置されるブレーキパッド22をキャリパ本体1にディスク軸線方向へ摺動可能に支持させるとともに、キャリパ本体1に制動時にブレーキパッド22からの制動トルクを受けるトルク受け面74aが形成され、このトルク受け面74aの一部には空間部82が設けられるとともに、空間部82にはブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢する付勢手段84が設けられ、付勢手段84が設けられた側のトルク受け面74aにブレーキパッド22が当接した際に、付勢手段84はブレーキパッド22に当接する当接部89のブレーキパッド22とは反対側にディスク円周方向の隙間を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両の制動用に用いられるディスクブレーキに関する。
車両の制動用に用いられるディスクブレーキは、車両の車軸とともに回転するディスクに対して、キャリパ本体によりブレーキパッドを押し付けて制動力を発生させるものであるが、その中に、ブレーキパッドからの制動トルクを受けるトルク受け面がキャリパ本体に形成されたものがある。この種のディスクブレーキでは、ブレーキパッドとキャリパ本体のトルク受け面との間のディスク円周方向のクリアランスに起因して、制動時の初期にクロンク音が発生したり、制動中にブレーキ鳴きが発生したりすることがある。このため、車両の前進制動時に制動トルクを主体的に受けるキャリパ本体の前進側トルク受け面にブレーキパッドを常に押し付けるように、ブレーキパッドと、後進制動時に制動トルクを主体的に受けるキャリパ本体の後進側トルク受け面との間に、バネ構造部を有するスペーサを設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平6−16735号公報
しかしながら、上記のように、ブレーキパッドとキャリパ本体の後進側トルク受け面との間にバネ構造のスペーサを設けるものであると、後進制動時に、ブレーキパッドと後進側トルク受け面との間のスペーサで主体的に制動トルクを受けることになってしまう。このため、バネ構造部に経年的にヘタリを生じてそのバネ性が低下してしまうことがあった。このようにバネ構造部のバネ性が低下すると、クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果が十分に得られなくなるため、比較的短い周期でのスペーサの交換が必要となり、メンテナンスのためのコストが増大してしまう。
したがって、本発明は、クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果を維持するために必要なメンテナンスコストの増大を抑制することができるディスクブレーキの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両の車軸とともに回転するディスクの両側にディスクパス部を介して対向配置された複数の押圧手段を有するキャリパ本体を備え、ディスクの両側に対をなして配置されるブレーキパッドを前記キャリパ本体にディスク軸線方向へ摺動可能に支持させるとともに、制動時に前記ブレーキパッドからの制動トルクを受けるトルク受け面が前記キャリパ本体に形成されたディスクブレーキにおいて、前記トルク受け面の一部に空間部が設けられるとともに、該空間部には前記ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢する付勢手段が設けられ、該付勢手段は前記ブレーキパッドに当接する当接部を有し、前記付勢手段が設けられた側のトルク受け面に前記ブレーキパッドが当接した際に、前記付勢手段の当接部の前記ブレーキパッドとは反対側の前記キャリパ本体と前記当接部との間にディスク円周方向の隙間を有することを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記付勢手段は、前記キャリパ本体に固定される基端部を有し、該基端部と前記当接部との間には、少なくとも2箇所の折曲部が設けられていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記付勢手段は、前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向にも付勢することを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記付勢手段の前記当接部は、ディスク円周方向に対して前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向に傾いた面を有することを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記付勢手段は、前記ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢する円周方向付勢部と、前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向に付勢する軸方向付勢部とを有することを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、車両の後進制動時に前記各ブレーキパッドからの制動トルクを主体的に受ける後進側トルク受け面側に、前記空間部および前記付勢手段が設けられていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、トルク受け面の一部の空間部に設けられた付勢手段が、ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢し、付勢手段が設けられた側とは反対側のトルク受け面に押し付けることになるため、クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果が得られる。また、この付勢手段は、トルク受け面の一部の空間部に設けられており、そのブレーキパッドに当接する当接部が、そのブレーキパッドとは反対側のキャリパ本体にディスク円周方向の隙間を有する状態で、これが設けられた側のトルク受け面にブレーキパッドを当接させることができるため、付勢手段ではなく、付勢手段が設けられた側のトルク受け面で主体的に制動トルクを受けることができる。したがって、付勢手段に経年的にヘタリを生じにくく、バネ性を維持できるため、交換周期を長くでき、クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果を維持するために必要なメンテナンスコストの増大を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、付勢手段には、キャリパ本体に固定される基端部と当接部との間に、少なくとも2箇所の折曲部が設けられているため、十分な付勢力を発生させることができる。
請求項3に係る発明によれば、付勢手段が、ブレーキパッドをディスクから離間させる方向にも付勢するため、ブレーキパッドの引き摺りおよびジャダの発生を防止することができる。
請求項4に係る発明によれば、付勢手段の当接部は、ディスク円周方向に対してブレーキパッドをディスクから離間させる方向に傾いた面を有しているため、簡素な形状で、ブレーキパッドをディスク円周方向およびディスクから離間させる方向の両方向に付勢することができる。
請求項5に係る発明によれば、付勢手段が、ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢する円周方向付勢部と、ブレーキパッドをディスクから離間させる方向に付勢する軸方向付勢部とを有するため、ブレーキパッドをディスク円周方向とディスクから離間させる方向とにそれぞれ別々に付勢することができる。したがって、ブレーキパッドをディスク円周方向およびディスクから離間させる方向に確実に付勢することができる。
請求項6に係る発明によれば、車両の後進制動時に各ブレーキパッドからの制動トルクを主体的に受ける後進側トルク受け面側に、空間部および付勢手段が設けられているため、付勢手段で、車両の前進制動時に各ブレーキパッドからの制動トルクを主体的に受ける前進側トルク受け面に、各ブレーキパッドを押し付けることができる。したがって、頻度の高い前進制動時におけるクロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果が得られる。
本発明の第1実施形態のディスクブレーキを図1〜図7を参照して以下に説明する。
図1〜図3は、キャリパCLが車体側に固定されるタイプの四輪自動車用のディスクブレーキを示すものである。これらの図において、1はキャリパ本体で、このキャリパ本体1は、車両の車軸とともに回転するディスクロータの制動面を形成するディスク部(ディスク)Dに対しその軸線方向における内側(車両内側)に配置されるインナ側キャリパ半割体2Aと、ディスク部Dに対しその軸線方向における外側(車両外側)に配置されるアウタ側キャリパ半割体2Bとを突き合わせて一体に連結して構成されている。なお、図1〜図3において、ディスク部Dの車両前進時における回転方向を矢印Fで示している。
図2に示すように、インナ側キャリパ半割体2Aは、ディスク円周方向における両側の二カ所にディスク部Dの方向に向けて突出する突出部3A,4Aを有しており、アウタ側キャリパ半割体2Bも、ディスク円周方向における両側の二カ所にディスク部Dの方向に向けて突出する突出部3B,4Bを有している。そして、これらキャリパ半割体2A,2Bは、前進制動時のディスク回入側の突出部3A,3B同士および前進制動時のディスク回出側の突出部4A,4B同士をそれぞれ突き合わせた状態で、タイボルト6,6,6,6により連結されている。
キャリパ本体1は、そのインナ側キャリパ半割体2Aに設けられた図1に示す二つの取付孔7を通したボルト(図示略)により車両の非回転部に取り付けられるようになっており、この取付状態で、図2に示す突出部3A,3B,4A,4Bがディスク部Dの半径方向外方を跨ぐ位置に配置される。これにより、突出部3A,3Bが前進制動時のディスク回入側でディスク部Dの半径方向外方を跨ぐディスクパス部8を、突出部4A,4Bが前進制動時のディスク回出側でディスク部Dの半径方向外方を跨ぐディスクパス部9を、それぞれ形成することになり、これら二つのディスクパス部8,9がディスク円周方向に間隔をあけて配置される。そして、ディスクパス部8,9の間は、ディスク半径方向に貫通する開口部11とされ、この開口部11内にカバースプリング12が配置されている。
なお、図3にアウタ側のみを示すが、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bには、それぞれ、開口部11を形成する部分に、互いに対向する前進制動時のディスク回入側の対向面11aおよび前進制動時のディスク回出側の対向面11bがディスク半径方向に沿いかつディスク軸線方向に沿って形成されている。そして、これらのうち、ディスク回出側の対向面11bには、インナ側キャリパ半割体2Aにおいては突出部4Aよりもディスク半径方向内側に、アウタ側キャリパ半割体2Bにおいては突出部4Bよりもディスク半径方向内側に、それぞれボルト70で取り付けられるパッドガイド71のディスク外径側のガイド板部72が当接している。
パッドガイド71のガイド板部72の開口部11側の対向面72bが、ブレーキパッド22をディスク軸線方向に沿ってガイドし、かつ前進制動時の制動トルクをブレーキパッド22から主体的に受けるキャリパ本体1の前進側トルク受け面74bのディスク外径側の一部を構成している。また、これに対向する対向面11aが、ブレーキパッド22をディスク軸線方向に沿ってガイドし、かつ後進制動時の制動トルクをブレーキパッド22から主体的に受ける後進側トルク受け面74aのディスク外径側の一部を構成している。
また、図3にアウタ側のみを示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bのそれぞれには、ボア13が、開口部11に臨んで形成されており、各ボア13には、押圧手段としての有底筒状のピストン15が摺動可能に納められている。これらピストン15は、ディスク部Dの両側にディスクパス部8,9を介して対向配置される。ボア13は、インナ側キャリパ半割体2Aとアウタ側キャリパ半割体2Bとの間で相互に対向するように配置されている。つまり、キャリパCLは、対向ピストン型の2ポット型である。
一方、各ボア13には、図1および図2に示す給液口19から導入されたブレーキ液が供給されるようになっており、このブレーキ液の供給に応じて一対のピストン15が同期して突出するようになる。なお、18はエア抜き用のブリーダを装着するためのブリーダ取付部である。
図2に示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bのそれぞれには、上記した開口部11にそれぞれ臨んでピン取付部20A,20Bが設けられている。インナ側キャリパ半割体2A側のピン取付部20Aとアウタ側キャリパ半割体2B側のピン取付部20Bとは、ディスク軸線方向において相対向して配置されており、これらピン取付部20A,20B同士には、ディスク軸線方向に沿うパッドピン24が橋架されている。このパッドピン24は、ディスク部Dのディスク軸線方向における両側に配置される一対のブレーキパッド22を挿通させることで、これらブレーキパッド22をキャリパ本体1に対してディスク軸線方向に摺動可能に吊下支持する。そして、パッドピン24は、開口部11のディスク円周方向の中央位置よりも、前進制動時のディスク回入側に若干オフセットして設けられている。
各ブレーキパッド22は、図2および図3に示すように、それぞれ、略矩形の裏板25とこの裏板25に接合された摩擦材26とからなっている。図3にアウタ側のみ示すように、裏板25のディスク半径方向外側のディスク円周方向における中央にディスク半径方向外側に突出するように支持ボス部27が形成されており、裏板25の前進制動時のディスク回入側および回出側の端部側それぞれにも、ディスク半径方向外側に突出するように肩ボス部29がそれぞれ形成されている。裏板25は、ディスク円周方向の中央に対し鏡面対称形状をなしている。
支持ボス部27には、ディスク円周方向に長い長穴形状をなすとともにディスク軸線方向に沿って貫通するパッドピン穴28が、ブレーキパッド22のディスク円周方向における中央位置に対し両側それぞれに延在するように形成されている。ディスク回入側にオフセットされたパッドピン24が、このパッドピン穴28のディスク回入側に挿通されることで、ブレーキパッド22はパッドピン24に支持される。このパッドピン穴28が長穴形状をなしていることで、摩擦材26側から見て左右異なることになるインナ側とアウタ側に、共通のブレーキパッド22が取付可能となっている。
また、パッドピン穴28が、ディスク円周方向に長い長穴形状をなしている結果、ブレーキパッド22は、ディスク円周方向に若干移動して、トルク受け面74a,74bに対し当接することができるようになっている。
図3にアウタ側のみを示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bには、ディスク部Dの両側に対をなして配置されるブレーキパッド22をディスク軸線方向にガイドし、かつこれらブレーキパッド22に生じるトルクを受けるための二つの突起であるガイド突起部31,32が、ディスク円周方向における両側部にディスク部Dの方向に向けて突出するように設けられている。
ガイド突起部31,32の、ディスク半径方向に沿いかつディスク軸線方向に沿って互いに対向する前進制動時のディスク回入側の対向面34aおよびディスク回出側の対向面34bのうち、ディスク回出側の対向面34bには、上記したパッドガイド71のディスク内径側のガイド板部73が当接しており、パッドガイド71のガイド板部73の開口部11側の対向面73bは、ガイド板部72の対向面72bと同一平面上に配置されている。
そして、上記の対向面73bが、ブレーキパッド22をディスク軸線方向に沿ってガイドし、かつ前進制動時の制動トルクをブレーキパッド22から主体的に受ける上記した前進側トルク受け面74bのディスク内径側の一部を構成している。また、これに対向する対向面34aが、ブレーキパッド22をディスク軸線方向に沿ってガイドし、かつ後進制動時の制動トルクをブレーキパッド22から主体的に受ける後進側トルク受け面74aのディスク内径側の一部を構成している。
なお、冷却等の理由により、図3にアウタ側のみを示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bには、ともに、ディスクパス部8とガイド突起部31との間にディスク軸線方向に凹む凹部40が形成され、ディスクパス部9とガイド突起部32との間にディスク軸線方向に凹む凹部41が形成されている。そして、開口部11に対して前進制動時のディスク回出側に位置する凹部41に上記したパッドガイド71がボルト止めされている。
図2および図3に示すように、ディスクパス部8,9の間の開口部11内に配置されるカバースプリング12は、パッドピン24に係合されて一対のブレーキパッド22のディスク円周方向両側を押圧することになる。
カバースプリング12は、ステンレス鋼板等のバネ性を有する金属薄板をプレス装置により打抜きおよび曲げ加工等することにより一体成形されるもので、ディスク円周方向における中間の本体部52においてパッドピン24に係合される。
また、カバースプリング12は、本体部52のディスク軸線方向における両側からディスク回出側にそれぞれ延出し、一対のブレーキパッド22の前進制動時のディスク回出側の肩ボス部29の面取り部分に当接してこれら一対のブレーキパッド22をディスク半径方向内側かつ前進制動時のディスク回出側へ押圧する一対の第1押圧部53を有している。
さらに、カバースプリング12は、本体部52のディスク軸線方向における両側から第1押圧部53とは反対側つまり前進制動時のディスク回入側に延出し、一対のブレーキパッド22の前進制動時のディスク回入側の肩ボス部29に当接してこれら一対のブレーキパッド22をディスク半径方向内側へ押圧する一対の第2押圧部54を有している。
加えて、カバースプリング12は、本体部52のディスク軸線方向における中央側から第2押圧部54と同じ前進制動時のディスク回入側に延出してディスクパス部8のディスク半径方向内側に当接するキャリパ当接部55を有している。
そして、第1実施形態のディスクブレーキにおいては、図4および図5にアウタ側のみを示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bのそれぞれの凹部40の底部の後進側トルク受け面74a側に、後進側トルク受け面74aからディスク円周方向に沿って前進制動時のディスク回入側に凹み、且つ凹部40の底面からディスク軸線方向に沿ってディスク部Dとは反対側に凹む形状の収容凹部81が形成されている。これにより、収容凹部81は、後進側トルク受け面74aの中間の一部に空間部82を形成している。そして、この空間部82に一部を入り込ませるようにして、ディスク軸線方向同側のブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢するパッドスプリング(付勢手段)84がボルト85で取り付けられている。
このパッドスプリング84は、ステンレス鋼板等のバネ性を有する金属薄板をプレス装置により打抜きおよび曲げ加工等することにより一体成形されるもので、図6および図7に示すように、一側が幅の狭い矩形状とされ他側がこれよりも幅の広い矩形状とされた平板状をなし略中央に取付穴86が形成された基板部(基端部)87と、この基板部87の幅広部分の一縁部から略面直方向に折り曲げられた矩形平板状の規制板部88と、規制板部88の基板部87とは反対側の端縁部から基板部87とは反対側に、規制板部88と鋭角をなして折り返された矩形平板状の当接板部(当接部)89とを有する全体形状をなしている。
また、パッドスプリング84は、基板部87の規制板部88とは反対の端縁部には、面直方向における規制板部88と同側に、先端側ほど規制板部88に近接するように斜めに折り曲げられた係止板部90を有し、基板部87の幅の狭い部分の残りの相反する二箇所の端縁部には規制板部88と同側に先端側ほど互いに近接するように斜めに折り曲げられた一対の係止板部91を有している。また、当接板部89の相反する両端縁部には外側ほど規制板部88に近接する方向に傾斜する一対のガイド板部93が形成されている。
このような形状のパッドスプリング84は、基板部87と規制板部88との間に折曲部95が、規制板部88と当接板部89との間に折曲部96が形成されており、その結果、基板部87と当接板部89との間に、2箇所の折曲部95,96が設けられている。
一方、凹部40の底面には、ディスク軸線方向に若干突出する略矩形状の取付ボス部98が収容凹部81に近接して形成されている。そして、この取付ボス部98の収容凹部81とは反対側の平坦な側壁面100に係止板部90を、側壁面100に隣り合う一対の平坦な側壁面101に一対の係止板部91をそれぞれ当接させ、規制板部88を収容凹部81の取付ボス部98側の平坦な底面103に当接させ、さらに基板部87を取付ボス部98の平坦な先端面104に当接させた状態で、ボルト85を基板部87の取付穴86に挿入し取付ボス部98の図示略のネジ穴に螺合させることで、パッドスプリング84は、基板部87において取付ボス部98に固定されることになる。
図4にアウタ側のみを示すが、上記のようにして、インナ側キャリパ半割体2Aに取り付けられたパッドスプリング84およびアウタ側キャリパ半割体2Bに取り付けられたパッドスプリング84は、それぞれが、ディスク軸線方向同側にあるブレーキパッド22の裏板25の前進制動時の回入側の端部に当接板部89の前進制動時のディスク回出側の当接面部(面)105において当接することになり、その際に、当接板部89を規制板部88に近接させるように、当接板部89と規制板部88との間の折曲部96が主体的に変形する。その結果、パッドスプリング84は、ブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢してその裏板25を前進側トルク受け面74bに当接させる。
ここで、パッドスプリング84は、ブレーキパッド22がキャリパ本体1に取り付けられた状態における移動可能な全範囲において、当接板部89の当接面部105で常にブレーキパッド22に当接することになり、しかも、この当接面部105は、常にディスク部D側ほどディスク円周方向でブレーキパッド22側に位置するように傾斜する状態でブレーキパッド22に当接することになる。言い換えれば、当接面部105は、ディスク円周方向に対してブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に傾いている。その結果、パッドスプリング84は、図4(a)に示す付勢力fの分力f1でブレーキパッド22をディスク円周方向に沿って前進制動時のディスク回出側に向け付勢するとともに、分力f2でブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢する。なお、ブレーキパッド22がキャリパ本体1に取り付けられた状態における移動可能な全範囲とは、ブレーキパッド22が新品の状態から交換直前の状態までの全状態に対して、ピストン15で押圧されて最大限ディスク部D側に移動する状態から、ピストン15が戻って最大限ディスク部Dから離間する側に移動する状態までの全範囲である。
また、このブレーキパッド22がキャリパ本体1に取り付けられた状態における移動可能な全範囲において、当接板部89は規制板部88との間に変形を許容する隙間を有し規制板部88に当接することがないように収容凹部81およびパッドスプリング84の寸法関係が設定されている。つまり、パッドスプリング84が設けられた側の後進側トルク受け面74aにブレーキパッド22が当接した際に、パッドスプリング84の当接板部89のブレーキパッド22とは反対側のキャリパ本体1と当接板部89との間に、この当接板部89のさらなる変形を許容するディスク円周方向の隙間を有する。
以上に述べた第1実施形態のディスクブレーキによれば、キャリパ本体1のピストン15によるブレーキパッド22への押圧が解除された状態では、後進側トルク受け面74aの中間の空間部82に設けられたパッドスプリング84が、ブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢し、パッドスプリング84が設けられた側とは反対側の前進側トルク受け面74bに押し付けることになる。このため、その後、前進制動時にピストン15でブレーキパッド22がディスク部Dに押圧され、制動トルクでブレーキパッド22が前進側トルク受け面74b側に移動しようとしても、すでに当接状態に維持されているため、クロンク音の発生を防止できる。
しかも、パッドスプリング84はブレーキパッド22のディスク半径方向の中間部をディスク円周方向の一側から逆側に向けて押圧することから、荷重を有効に伝えてブレーキパッド22を前進側トルク受け面74bに良好に押し付けることができる。よって、ブレーキパッド22の姿勢が安定し、制動中のブレーキ鳴き防止効果が得られる。
さらに、カバースプリング12によってブレーキパッド22はディスク半径方向内側に付勢され、またカバースプリング12の第1押圧部53の付勢力によってブレーキパッド22が前進側トルク受け面74bに押し付られるため、姿勢が安定し、さらなるブレーキ鳴き防止効果が得られる。
また、前進制動後に、ピストン15によるブレーキパッド22への押圧を解除すると、パッドスプリング84が、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢するため、ブレーキパッド22が良好にディスク部Dから離れることになり、ブレーキパッド22の引き摺りおよびジャダの発生を防止することができる。
この場合も、パッドスプリング84はブレーキパッド22のディスク半径方向の中間部を押圧することから、荷重を有効に伝えてブレーキパッド22をディスク部Dから良好に離間させることができる。
加えて、パッドスプリング84の当接板部89が、ディスク円周方向に対してブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に傾いた当接面部105を有しているため、簡素な形状で、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向と、上記したディスク円周方向とに付勢することができる。
また、後進制動時にピストン15でブレーキパッド22がディスク部Dに押圧され、制動トルクでブレーキパッド22が後進側トルク受け面74a側に移動した場合に、移動するブレーキパッド22で押圧されてパッドスプリング84のブレーキパッド22に当接する当接板部89が規制板部88に近接する側に変形させられることになる。このとき、パッドスプリング84は、後進側トルク受け面74aの一部の空間部82に設けられており、その当接板部89が、空間部82内において、そのブレーキパッド22とは反対側にディスク円周方向の隙間を有する状態で、ブレーキパッド22が、後進側トルク受け面74aに当接することになる。このため、パッドスプリング84ではなく、パッドスプリング84が設けられた側の後進側トルク受け面74aで主体的に制動トルクを受けることができる。したがって、パッドスプリング84は、実質的に制動トルクを受けないことから、経年的にヘタリを生じにくく、バネ性を維持できる。よって、交換周期を長くでき、クロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果を維持するために必要なメンテナンスコストの増大を抑制することができる。
また、後進制動後に、ピストン15によるブレーキパッド22への押圧を解除すると、パッドスプリング84が、ブレーキパッド22を、前進側トルク受け面74bに当接させる方向と、ディスク部Dから離間させる方向との両方向に付勢するため、ブレーキパッド22が良好に前進側トルク受け面74bに当接させられるとともに良好にディスク部Dから離れることになり、ブレーキパッド22の引き摺りおよびジャダの発生を防止することができる。さらに、カバースプリング12の第1押圧部53の付勢力によってもブレーキパッド22が前進側トルク受け面74b側に戻される。
加えて、パッドスプリング84には、キャリパ本体1に固定される基板部87と当接板部89との間に、2箇所の折曲部95,96が設けられているため、十分な付勢力を発生させることができる。なお、折曲部を3箇所以上としても良い。
さらに、車両の後進制動時に各ブレーキパッド22からの制動トルクを主体的に受けるキャリパ本体1の各後進側トルク受け面74a側に、空間部82およびパッドスプリング84が設けられているため、パッドスプリング84で、車両の前進制動時に各ブレーキパッド22からの制動トルクを主体的に受ける前進側トルク受け面74bに、各ブレーキパッド22を押し付けることができる。したがって、頻度の高い前進制動時におけるクロンク音防止効果およびブレーキ鳴き防止効果が得られる。
また、パッドスプリング84の当接板部89のディスク半径方向内外両側の端縁部に、外側ほど前進制動時のディスク回入側に位置するように傾斜するガイド板部93がそれぞれ形成されているため、交換時に開口部11の半径方向外側および内側のいずれの側からブレーキパッド22を挿入しても、ブレーキパッド22がパッドスプリング84に対して、そのガイド板部93に乗り上げることで乗り上げ量に応じて当接板部89を前進制動時のディスク回入側に変形させることになり、ブレーキパッド22を当接板部89に当接する状態に円滑にセットできる。したがって、作業性が大幅に向上する。
さらに、パッドスプリング84が三つの係止爪部90,91と規制板部88とでキャリパ本体1に係止されるため、パッドスプリング84を容易に位置決めできるとともに、ボルト85の締結時のパッドスプリング84の共回りを防止でき、組み付け作業性が向上する。
次に、本発明の第2実施形態のディスクブレーキを主に図8〜図11を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態では、図8および図9に示すように、第1実施形態に対して異なるパッドスプリング110が設けられている。このパッドスプリング110は、ステンレス鋼板等のバネ性を有する金属薄板をプレス装置により打抜きおよび曲げ加工等することにより一体成形されるもので、図10および図11に示すように、略長方形の平板状をなし略中央に取付穴111が形成された平坦な基板部(基端部)112と、この基板部112の長手方向に沿って延在する一縁部の両端部から互いに同方向に延出する一対の側部延出付勢部(円周方向付勢部)113と、一対の側部延出付勢部113の間からこれらと同方向に延出する中央延出付勢部(軸方向付勢部)115とを有している。
一対の側部延出付勢部113は、基板部112からこれと同一平面をなして延出する平坦な中間板部117と、中間板部117の基板部112とは反対側から屈曲して中間板部117から離れる方向に斜めに延出する平坦な傾斜板部118と、傾斜板部118の中間板部117とは反対側から傾斜板部118と鋭角をなし且つ基板部112の直交方向にほぼ沿うように折り返される平坦な当接板部(当接部)119と、当接板部119の中央延出付勢部115とは反対側の端縁部から中央延出付勢部115とは反対側ほど傾斜板部118に近接する方向に斜めに延出するガイド板部120とを有している。その結果、一対の側部延出付勢部113は、中間板部117と傾斜板部118との間に折曲部122が、傾斜板部118と当接板部119との間に折曲部123が形成されており、基板部112と当接板部119との間に、2箇所の折曲部122,123が設けられている。
中央延出付勢部115は、基板部112からこれと同一平面をなして延出する平坦な中間板部126と、中間板部126の基板部112とは反対側から、側部延出付勢部113の傾斜板部118と同側に屈曲して中間板部126から離れる方向に斜めに延出する平坦な傾斜板部127と、傾斜板部127の中間板部126とは反対側から傾斜板部127と鈍角をなすように折り返される平坦な折返板部128と、折返板部128の傾斜板部127とは反対側から折返板部128と鋭角をなし且つ基板部112の直交方向にほぼ沿うように折り返される平坦な逆折返板部129と、逆折返板部129の折返板部128とは反対側から基板部112と略平行をなして基板部112とは反対側に延出する押圧板部130と、押圧板部130の両側部延出付勢部113側の端縁部から、近接する側部延出付勢部113側且つ逆折返板部129と同側に斜めに延出するガイド板部131とを有している。その結果、中央延出付勢部115は、中間板部126と傾斜板部127との間に折曲部133が、傾斜板部127と折返板部128との間に折曲部134が、折返板部128と逆折返板部129との間に折曲部135が、逆折返板部129と押圧板部130との間に折曲部136が、それぞれ形成されている。中央延出付勢部115は、その中間板部126、傾斜板部127、折返板部128および逆折返板部129が基板部112から離れるほど徐々に細くなる形状をなしている。
また、基板部112の中間板部126等とは反対の端縁部には、面直方向における傾斜板部127と同側に、先端側ほど傾斜板部127に近接するように斜めに折り曲げられて係止板部138が形成されており、基板部112の残りの相反する二箇所の端縁部には、面直方向における傾斜板部127と同側に、先端側ほど互いに近接するように斜めに折り曲げられて一対の係止板部139が形成されている。
そして、図8および図9にアウタ側のみを示すように、インナ側キャリパ半割体2Aおよびアウタ側キャリパ半割体2Bのそれぞれの凹部40の底部の後進側トルク受け面74a側に、後進側トルク受け面74aからディスク円周方向に沿って前進制動時のディスク回入側に凹み、且つ凹部40の底面からディスク軸線方向に沿ってディスク部Dとは反対側に凹む形状の収容凹部141が形成されている。これにより、収容凹部141は、後進側トルク受け面74aの中間の一部に空間部142を形成している。なお、この収容凹部141は凹部40の底面に対しては、前進制動時のディスク回出側ほど深さが深くなるように傾斜している。
このような後進側トルク受け面74a側の空間部142に一部を入り込ませるようにして、上記したパッドスプリング110がボルト85で取り付けられる。つまり、凹部40の底面に形成された取付ボス部98の収容凹部141とは反対側の平坦な側壁面100に係止板部138を、側壁面100に隣り合う一対の平坦な側壁面101に一対の係止板部139をそれぞれ当接させ、基板部112を取付ボス部98の平坦な先端面104に当接させた状態で、ボルト85を基板部112の取付穴111に挿入し取付ボス部98の図示略のネジ穴に螺合させることで、パッドスプリング110は、基板部112において取付ボス部98に固定されることになる。
このように、インナ側キャリパ半割体2Aに取り付けられたパッドスプリング110およびアウタ側キャリパ半割体2Bに取り付けられたパッドスプリング110は、それぞれが、ディスク軸線方向同側にあるブレーキパッド22の裏板25の前進制動時の回入側の端部に、一対の側部延出付勢部113の当接板部119の前進制動時のディスク回出側の当接面部(面)145において当接することになり、その際に、当接板部119を傾斜板部118に近接させるように変形する。その結果、パッドスプリング110は、一対の側部延出付勢部113によってブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢して前進側トルク受け面74bに当接させる。
また、インナ側キャリパ半割体2Aに取り付けられたパッドスプリング110およびアウタ側キャリパ半割体2Bに取り付けられたパッドスプリング110は、それぞれが、ブレーキパッド22の裏板25の前進制動時の回入側の端部のディスク部D側つまり摩擦材26側に、中央延出付勢部115の押圧板部130のディスク部Dとは反対側の面において当接することになり、その際に、押圧板部130をディスク部D側に近接させるように変形する。その結果、パッドスプリング110は、中央延出付勢部115によってブレーキパッド22をディスク軸線方向にディスク部Dから離間する方向に付勢する。
ここで、このパッドスプリング110も、ブレーキパッド22がキャリパ本体1に取り付けられた状態における移動可能な全範囲において、一対の側部延出付勢部113の当接板部119の当接面部145で常にブレーキパッド22に当接することになり、しかも、これらの当接面部145は、常にディスク部D側ほどディスク円周方向でブレーキパッド22側に位置するように傾斜する状態でブレーキパッド22に当接することになる。言い換えれば、一対の側部延出付勢部113の当接面部145は、ディスク円周方向に対してブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に傾いている。その結果、上記した中央延出付勢部115による付勢力に加えて、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢する。
しかも、ブレーキパッド22がキャリパ本体1に取り付けられた状態における移動可能な全範囲において、一対の側部延出付勢部113の当接板部119は、傾斜板部118との間に隙間を有し傾斜板部118に当接することがないように収容凹部141およびパッドスプリング110の寸法関係が設定されている。つまり、パッドスプリング110が設けられた側の後進側トルク受け面74aにブレーキパッド22が当接した際に、パッドスプリング110の一対の側部延出付勢部113の当接板部119のブレーキパッド22とは反対側のキャリパ本体1と当接板部119との間に、この当接板部119のさらなる変形を許容するディスク円周方向の隙間を有する。
以上に述べた第2実施形態のディスクブレーキによれば、キャリパ本体1のピストン15によるブレーキパッド22への押圧が解除された状態では、後進側トルク受け面74aの中間の空間部142に設けられたパッドスプリング110が、一対の側部延出付勢部113によってブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢し、パッドスプリング110が設けられた側とは反対側の前進側トルク受け面74bに押し付けることになる。このため、その後、前進制動時にピストン15でブレーキパッド22がディスク部Dに押圧され、制動トルクでブレーキパッド22が前進側トルク受け面74b側に移動しようとしても、すでに当接状態に維持されているため、クロンク音の発生を防止できる。
しかも、パッドスプリング110の一対の側部延出付勢部113はブレーキパッド22のディスク半径方向の中間部をディスク円周方向の一側から逆側に向けて押圧することから、荷重を有効に伝えてブレーキパッド22を前進側トルク受け面74bに良好に押し付けることができる。よって、ブレーキパッド22の姿勢が安定し、制動中のブレーキ鳴き防止効果が得られる。
さらに、カバースプリング12によってブレーキパッド22はディスク半径方向内側に付勢され、またカバースプリング12の第1押圧部53の付勢力によってブレーキパッド22が前進側トルク受け面74bに押し付られるため、姿勢が安定し、さらなるブレーキ鳴き防止効果が得られる。
また、前進制動後に、ピストン15によるブレーキパッド22への押圧を解除すると、パッドスプリング110が、中央延出付勢部115の付勢力を主体として、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢するため、ブレーキパッド22が良好にディスク部Dから離れることになり、ブレーキパッド22の引き摺りおよびジャダの発生を防止することができる。
しかも、パッドスプリング110の中央延出付勢部115はブレーキパッド22のディスク半径方向の中間部を押圧することから、荷重を有効に伝えてブレーキパッド22をディスク部Dから良好に離間させることができる。
また、後進制動時にピストン15でブレーキパッド22がディスク部Dに押圧され、制動トルクでブレーキパッド22が後進側トルク受け面74a側に移動した場合に、移動するブレーキパッド22で押圧されてパッドスプリング110のブレーキパッド22に当接する当接板部119が傾斜板部118に近接する側に変形させられることになる。このとき、パッドスプリング110は、後進側トルク受け面74aの一部の空間部142に設けられており、その当接板部119が、空間部142内において、そのブレーキパッド22とは反対側にディスク円周方向の隙間を有する状態で、ブレーキパッド22が、後進側トルク受け面74aに当接することになる。このため、第1実施形態と同様、パッドスプリング110ではなく、パッドスプリング110が設けられた側の後進側トルク受け面74aで主体的に制動トルクを受けることができる。
加えて、後進制動後に、ピストン15によるブレーキパッド22への押圧を解除すると、パッドスプリング110の一対の側部延出付勢部113が前進側トルク受け面74bに当接させる方向に、中央延出付勢部115がディスク部Dから離間させる方向に、それぞれブレーキパッド22を付勢するため、ブレーキパッド22が良好に前進側トルク受け面74bに当接させられるとともに良好にディスク部Dから離れることになる。
しかも、パッドスプリング110が、ブレーキパッド22をディスク円周方向に付勢する一対の側部延出付勢部113と、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢する中央延出付勢部115とを別々に有するため、ブレーキパッド22をディスク円周方向とディスク部Dから離間させる方向とにそれぞれ別々に付勢することができる。したがって、ブレーキパッド22をディスク円周方向およびディスク部Dから離間させる方向に確実に付勢することができる。
加えて、ブレーキパッド22をディスク部Dから離間させる方向に付勢する中央延出付勢部115がブレーキパッド22に向けて徐々に細くなる形状をなしているため、ブレーキパッド22の全摩耗まで移動する際の応力をパッドスプリング110全体で撓んで受けることになり、ヘタリが生じにくくなる。
また、パッドスプリング110の一対の側部延出付勢部113の当接板部119に対してディスク半径方向内外両側の端縁部に、外側ほど前進制動時のディスク回入側に位置するように傾斜するガイド板部120が形成されているため、交換時に開口部11の半径方向外側および内側のいずれの側からブレーキパッド22を挿入しても、ブレーキパッド22がパッドスプリング110に対して、そのガイド板部120に乗り上げることで乗り上げ量に応じて当接板部119を前進制動時のディスク回入側に変形させることになり、ブレーキパッド22を一対の側部延出付勢部113の当接板部119に当接する状態に円滑にセットできる。また、中央延出付勢部115の押圧板部130も、そのディスク半径方向内外両側の端縁部に、外側ほどディスク部D側に近接する方向に傾斜するガイド板部131が形成されているため、交換時に開口部11の半径方向外側および内側のいずれの側からブレーキパッド22を挿入しても、ブレーキパッド22がパッドスプリング110の中央延出付勢部115に対して、そのガイド板部131に乗り上げることで乗り上げ量に応じて押圧板部130をディスク部D側に変形させることになり、ブレーキパッド22を押圧板部130に当接する状態に円滑にセットできる。
本発明の第1実施形態のディスクブレーキを示す正面図である。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキを示す平面図である。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキを示す図2のZ−Z線に沿う正断面図である。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキを示す図3のY1−Y1線に沿う部分拡大平断面図であって、(a)はパッドスプリング組み付け後、(b)はパッドスプリング組み付け前をそれぞれ示すものである。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキを示す図2のZ−Z線に沿う部分拡大正断面図である。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキのパッドスプリングを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態のディスクブレーキのパッドスプリングを示す図であって(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は側面図、(f)は背面図である。 本発明の第2実施形態のディスクブレーキを示す図2のZ−Z線に沿う正断面図である。 本発明の第2実施形態のディスクブレーキを示す図8のY2−Y2線に沿う部分拡大平断面図である。 本発明の第2実施形態のディスクブレーキのパッドスプリングを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態のディスクブレーキのパッドスプリングを示す図であって(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は側面図、(f)は背面図である。
符号の説明
1 キャリパ本体
8,9 ディスクパス部
15 ピストン(押圧手段)
22 ブレーキパッド
74a 後進側トルク受け面(トルク受け面)
82,142 空間部
84,110 パッドスプリング(付勢手段)
87,112 基板部(基端部)
89,119 当接板部(当接部)
95,96,122,123 折曲部
105,145 当接面部(面)
113 側部延出付勢部(円周方向付勢部)
115 中央延出付勢部(軸方向付勢部)
D ディスク部(ディスク)

Claims (6)

  1. 車両の車軸とともに回転するディスクの両側にディスクパス部を介して対向配置された複数の押圧手段を有するキャリパ本体を備え、ディスクの両側に対をなして配置されるブレーキパッドを前記キャリパ本体にディスク軸線方向へ摺動可能に支持させるとともに、制動時に前記ブレーキパッドからの制動トルクを受けるトルク受け面が前記キャリパ本体に形成されたディスクブレーキにおいて、
    前記トルク受け面の一部に空間部が設けられるとともに、該空間部には前記ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢する付勢手段が設けられ、
    該付勢手段は前記ブレーキパッドに当接する当接部を有し、
    前記付勢手段が設けられた側のトルク受け面に前記ブレーキパッドが当接した際に、前記付勢手段の当接部の前記ブレーキパッドとは反対側の前記キャリパ本体と前記当接部との間にディスク円周方向の隙間を有することを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 前記付勢手段は、前記キャリパ本体に固定される基端部を有し、該基端部と前記当接部との間には、少なくとも2箇所の折曲部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記付勢手段は、前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向にも付勢することを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
  4. 前記付勢手段の前記当接部は、ディスク円周方向に対して前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向に傾いた面を有することを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキ。
  5. 前記付勢手段は、前記ブレーキパッドをディスク円周方向に付勢する円周方向付勢部と、前記ブレーキパッドを前記ディスクから離間させる方向に付勢する軸方向付勢部とを有することを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキ。
  6. 車両の後進制動時に前記各ブレーキパッドからの制動トルクを主体的に受ける後進側トルク受け面側に、前記空間部および前記付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
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