JP2009007955A - 多段遠心ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数の羽根車の正常な回転駆動を確保して、高い作動効率や長い寿命を備えることのできる多段遠心ポンプを提供する。
【解決手段】 ポンプ室2に収納した複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備える。複数の羽根車3のうち一の羽根車3が駆動部5によって回転駆動される駆動羽根車3aを構成すると共に、他の羽根車3が駆動羽根車3aに連結されて供回りをすることで回転する従動羽根車3bを構成する。固定軸4における駆動羽根車3aを挿通する部位4aの軸径を、固定軸4における従動羽根車3bを挿通する部位4bの軸径に比べて大きく形成する。
【選択図】図1
【解決手段】 ポンプ室2に収納した複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備える。複数の羽根車3のうち一の羽根車3が駆動部5によって回転駆動される駆動羽根車3aを構成すると共に、他の羽根車3が駆動羽根車3aに連結されて供回りをすることで回転する従動羽根車3bを構成する。固定軸4における駆動羽根車3aを挿通する部位4aの軸径を、固定軸4における従動羽根車3bを挿通する部位4bの軸径に比べて大きく形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、多段遠心ポンプに関するものである。
従来から、液体や気体の作動流体を高い出力のもと吐出可能にするポンプとして多段遠心ポンプが知られている(たとえば特許文献1参照)。多段遠心ポンプは、ポンプ室内に複数の羽根車を同軸上に配置し、この複数の羽根車を回転駆動させることでポンプ室の作動流体に遠心力を働かせて、作動流体を流入口からポンプ室に流入させると共に、吐出口からポンプ室内の作動流体を外部に吐出するようにしたポンプであるが、作動流体に遠心力を付与する各羽根車には同時に作動流体からの負荷もかかるものであり、この負荷によると羽根車にラジアル方向への振動が発生したり、複数の羽根車を軸支する軸に負荷が伝播されて撓みなどが生じたりして、羽根車の正常な回転駆動が確保できなくなることがある。これによると、羽根車とポンプ室内面や軸とが擦れたりし、ポンプの作動効率が低下するばかりかポンプが磨耗で劣化して寿命が短くなってしまう、という問題を発生させる。
特に同軸上に配置した複数の羽根車は、構造の簡略化を図って、一の羽根車を駆動手段により回転駆動させる駆動羽根車とし、他の羽根車を上記駆動羽根車に連結して一体に回転するようにした従動羽根車とするような構造が採られることも行われるが、このような場合に作動流体の負荷による支配を受けがちである従動羽根車において、振動発生に伴う磨耗などの上記問題が発生し易くなっている。
更に言うと、ポンプ室に設けた固定軸に対して駆動羽根車や従動羽根車で成る複数の羽根車を回転自在に軸支させた多段遠心ポンプにあっては、羽根車の製造誤差などによって一体に固定した複数の羽根車の間で軸心のズレが生じることもあり、これによると羽根車(特に従動羽根車)が無理矢理に偏心回転され、上記磨耗などの問題の発生を助長させてしまうのであった。
特開平10−231793号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の羽根車の正常な回転駆動を確保して、高い作動効率や長い寿命を備えることのできる多段遠心ポンプを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために請求項1に係る多段遠心ポンプにあっては、ポンプ室2と、ポンプ室2に収納する複数の羽根車3と、複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備え、複数の羽根車3のうち一の羽根車3が駆動部5によって回転駆動される駆動羽根車3aを構成すると共に、他の羽根車3が駆動羽根車3aに連結されて供回りをすることで回転する従動羽根車3bを構成し、固定軸4における駆動羽根車3aを挿通する部位4aの軸径を、固定軸4における従動羽根車3bを挿通する部位4bの軸径に比べて大きく形成したことを特徴とする。
また、請求項2に係る多段遠心ポンプにあっては、ポンプ室2と、ポンプ室2に収納する複数の羽根車3と、複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備え、複数の羽根車3のうち一の羽根車3が駆動部5によって回転駆動される駆動羽根車3aを構成すると共に、他の羽根車3が駆動羽根車3aに連結されて供回りをすることで回転される従動羽根車3bを構成し、駆動羽根車3aにおける固定軸4が挿通される軸受孔8aの孔径を、従動羽根車3bにおける固定軸4が挿通される軸受孔8bの孔径に比べて小さく形成したことを特徴とする。
この請求項1及び請求項2の多段遠心ポンプによると、従動羽根車3bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採ることができるから、従動羽根車3bと駆動羽根車3aとの連結に製造誤差があって駆動羽根車3aに対して従動羽根車3bが偏心回転をしても、また従動羽根車3bが作動流体からの負荷を受けて振動しても、従動羽根車3bと固定軸4とが偏磨耗する恐れを低減できるのであり、つまり、複数の羽根車3の正常な回転駆動を確保できるから多段遠心ポンプ1に高い作動効率や長い寿命を備えることができる。
また、請求項3に係る多段遠心ポンプにあっては、ポンプ室2と、ポンプ室2に収納する複数の羽根車3と、複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備え、複数の羽根車3のうち一の羽根車3が駆動部5によって回転駆動される駆動羽根車3aを構成すると共に、他の羽根車3が駆動羽根車3aに連結されて供回りをすることで回転される従動羽根車3bを構成し、ポンプ室2からボス9を突設すると共に従動羽根車3bに設けた通孔10bに上記ボス9を遊挿し、ボス9の先端から固定軸4を連設すると共にこの固定軸4を駆動羽根車3aに設けた軸受孔に挿通したことを特徴とする。
これによると、固定軸4に軸支する羽根車3を駆動羽根車3aのみにできてこの駆動羽根車3aに回転の重心を集中させることができ、また、ポンプ室2に突設したボス9を従動羽根車3bの通孔10bに遊挿したので、従動羽根車3bと駆動羽根車3aとの連結に製造誤差があって駆動羽根車3aに対して従動羽根車3bが偏心回転をしても、また従動羽根車3bが作動流体からの負荷を受けて振動しても、従動羽根車3bとボス9とが偏磨耗する恐れは低減できるので、複数の羽根車3の正常な回転駆動を確保できたものであって、多段遠心ポンプ1に高い作動効率や長い寿命を備えることができる。
本発明にあっては、複数の羽根車の正常な回転駆動を確保し、多段遠心ポンプに高い作動効率や長い寿命を備える、という利点を有する。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
図1乃至3に本発明の実施の形態の例を示す。本例の多段遠心ポンプ1は、パソコン用部品などを水冷するために用いられる作動流体に水などの液体を用いた小型ポンプであり、図1のように、ケーシング11内に設けたポンプ室2と、ポンプ室2に収納する複数の羽根車3と、複数の羽根車3を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸4と、複数の羽根車3を固定軸4の軸廻りに回転駆動させる駆動部5と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2内に作動流体を流入させる吸入口6と、羽根車3の回転時の遠心力によりポンプ室2外に作動流体を排出する吐出口7とを備えて構成されている。
ケーシング11は上ケース12と下ケース13とをパッキン14を介して合わせることで形成されている。上ケース12には合わせ面から上方に凹没した上凹所15が形成され、下ケース13には合わせ面から下方に凹没した下凹所16が形成され、この上凹所15と下凹所16を合わせることでポンプ室2が形成される。ポンプ室2の上面を構成する上凹所15の内底面において、平面視中央部にはボス9が垂設されており、ボス9の周囲には、上ケース12の側方から至る作動流体の供給路6aの出口である吸入口6が下方に向けて開設されている。ポンプ室2の下面を構成する下凹所16の内底面には周縁部を残して盛り上がる盛上部17が立設されており、ポンプ室2の側面を構成する下凹所16の内側面には、下ケース13の側方に至る作動流体の吐出路7aの入口である吐出口7がポンプ室2の平面視中央に向けて開設されている。下ケース13には下凹所16の内側面に隣接するようにステータ18が配置されているが、吐出口7は下凹所16の内側面におけるステータ18の隣接部位の上方位置に設けられている。ポンプ室2の平面視中央部には、ボス9と盛上部17との間に亙るように回転不能に固定された固定軸4が配設されている。なお本例の固定軸4はその長さ方向の一端(下端)のみがポンプ室2に固定されているが、長さ方向の両端(上端及び下端)をそれぞれポンプ室2に固定させてもよい。
固定軸4に軸支してポンプ室2内に配置される複数の羽根車3は、駆動部5によって回転駆動される一の駆動羽根車3aと、この駆動羽根車3aに一体にされて供回りをすることで回転する従動羽根車3bとで構成される。本例では従動羽根車3bの個数は1つであって駆動羽根車3aの上方に連設されて2連の羽根車3となっている。詳しくは、各羽根車3は、図2のように、平面視中央部に筒状の中央ボス部20を有すると共に、この中央ボス部20の周囲に作動流体に遠心力を付与して外周側に圧送するための羽根部21が形成されており、羽根部21にはその中央部に流体取込部22が形成されると共に外周部に流体吐出部23が形成され、流体取込部22と流体吐出部23とを連通する内部圧送流路24が形成されている。つまり、羽根車3を平面内で回転させることで作動流体は流体取込部22から羽根部21の内部圧送流路24に取り込まれて流体吐出部23から吐出されるようになっている。また、各中央ボス部20にはその中央に上下に貫通する通孔10が形成されており、各通孔10には固定軸4を回転自在に挿通して軸支するための軸受部材25がそれぞれ装着される。なお、この軸受部材25はラジアル軸受として機能する。ここで、駆動羽根車3aでは、羽根部21の外周縁から垂下部26が垂設され、この垂下部26の外周面にはマグネットなどから成る磁性体19が一体に装着されている。また、従動羽根車3bではその中央ボス部20が羽根部21よりも下方に延出されていてこの下端部位に、駆動羽根車3aの中央ボス部20の上端に設けた駆動側連結部20aに一体に連結する従動側連結部20bが形成されている。駆動側連結部20aと従動側連結部20bとの連結構造には一体に連結できる任意の構造を用いることができるが、たとえばネジ構造や嵌合構造を用いることができる。
一体化した駆動羽根車3aと従動羽根車3bにあって各羽根部21の間には上下方向の隙間である羽根隙間が形成されており、これをポンプ室2に配置したときにはポンプ室2に固定した仕切部材27が上記羽根隙間に収まるように配置される。仕切部材27はポンプ室2を上下に2分するような部材であって、図3のように、外周部に上方側に開口した流体入口部28が形成されると共に中央部に下方側に開口した流体出口部29が形成され、流体入口部28と流体出口部29とを連通する内部流路30が形成されている。なお、内部流路30は主体部27aに底板27b(図1)を貼着することで形成されている。
上記複数の羽根車3は、軸受部材25の軸受孔8に固定軸4を挿通させることで、ポンプ室2に回転自在に軸支された状態で配置される。なお固定軸4には羽根車3のスラスト軸受となる軸受板31も挿通されている。このように羽根車3をポンプ室2に配置した際には、ポンプ室2の吸入口6と従動羽根車3bの流体取込部22とが対向配置されると共に、仕切部材27の流体吐出部23と駆動羽根車3aの流体取込部22とが対向配置される。また、羽根車3をポンプ室2に配置した際には駆動羽根車3aの磁性体19とステータ18とが隣接して配置されるのであるが、この隣接する磁性体19とステータ18とは駆動羽根車3aを回転駆動させる駆動部5を構成する。つまり、この駆動部5は、図示しない電源部からステータ18に電流を入力することで、ステータ18と磁性体19との間の磁気作用によって磁性体19に回転トルクを発生させるものであり、この回転トルクにより磁性体19、ひいては駆動羽根車3aが回転駆動されるようになっている。なお、従動羽根車3bは一体化した駆動羽根車3aと一緒に回転されるのであり、つまり複数の羽根車3は駆動羽根車3aを基準にして一体に回転駆動されるのである。
このように複数の羽根車3が回転することによると、まず作動流体が供給路6aを経て吸入口6からポンプ室2に流入し(矢印A)、続けて従動羽根車3bの羽根部21の内部圧送流路24にその流体取込部22から取り込まれ、次いで従動羽根車3bの羽根部21の内部圧送流路24で外周側に圧送されてその流体吐出部23から吐出され(矢印B)、続けて仕切部材27の内部流路30に流体入口部28から流入して流体出口部29から流出され(矢印C)、また続けて駆動羽根車3aの羽根部21の内部圧送流路24にその流体取込部22から取り込まれ、次いで駆動羽根車3aの羽根部21の内部圧送流路24で外周側に圧送されてその流体吐出部23から吐出され(矢印D)、続けて吐出口7から吐出路7aを経てポンプ室2外に吐出される(矢印E)、といったように作動流体は羽根車3ごとに(本例では2重に)圧送されて高い出力のもと吐出されるのであり、これによりポンプとして機能する。
ところで、本例の多段遠心ポンプ1では、複数の羽根車3の正常な回転駆動を確保して、高い作動効率や長い寿命を備える工夫が施されている。以下、詳述する。
すなわち、上記工夫として、固定軸4における駆動羽根車3aを挿通する部位4aの軸径を、固定軸4における従動羽根車3bを挿通する部位4bの軸径に比べて、大きく形成している。なお、本例では駆動羽根車3a及び従動羽根車3bに装着した各軸受部材25の軸受孔8a,8bの孔径は一定に形成されている。これにより、従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aの軸受孔8aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにされている。
したがって、従動羽根車3bや駆動羽根車3a自身の製造誤差や、従動羽根車3bと駆動羽根車3aとの連結に製造誤差があって、駆動羽根車3aと従動羽根車3bとの軸心がずれて駆動羽根車3aに対して従動羽根車3bが偏心回転をするようになったとしても、駆動羽根車3aを基準に回転する従動羽根車3bと固定軸4とが偏磨耗してしまう恐れを低減できたのである。なお、作動流体に遠心力を付与する各羽根車3には同時に作動流体からの負荷もかかるものであり、この負荷によると羽根車3にラジアル方向への振動を発生させてしまうこともあり、殊に駆動羽根車3aに従動する従動羽根車3bは上記作動流体による負荷による支配を受け勝ちであって上記振動発生の恐れも高いのであるが、上記のように従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aの軸受孔8aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにされたので、従動羽根車3bが作動流体からの負荷を受けて振動しても、従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4とが接触する恐れを低減できたのである。
このように、本例の多段遠心ポンプ1では、従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aの軸受孔8aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにしたことで、複数の羽根車3の正常な回転駆動を確保できたのであり、羽根車3がポンプ室2や固定軸4に摺れることでの作動効率の低下や磨耗劣化を防止できて、多段遠心ポンプ1に高い作動効率や長い寿命を備えることができたのである。
なお、本例の従動羽根車3bと駆動羽根車3aとの連結構造にあっては、従動羽根車3bと駆動羽根車3aとの供回り動作を確保しつつ、従動側連結部20bが駆動側連結部20aに遊嵌されている。すなわち、従動羽根車3bは、軸廻り方向には駆動羽根車3aに対して位置決めを伴う嵌合が為されているが、ラジアル方向には駆動羽根車3aに対して遊びを伴って連結されている。詳しくは、図2(a)のように、駆動側連結部20aは、駆動羽根車3aの中央ボス部20の上端部に通孔10aに連通して上方に開口する嵌合孔32を形成し、嵌合孔32の周壁に上方から切込まれた切込み33を周方向の所定間隔ごとの複数箇所に形成している。また、従動側連結部20bは、従動羽根車3bの中央ボス部20の下端部に嵌合孔32の孔径d1よりも外径d2の小さい嵌合用筒部34を備え(d1<d2)、嵌合用筒部34の周壁の上部に外周側に突出する廻り止め突起35を周方向の所定間隔ごとの複数箇所に形成している。駆動側連結部20aと従動側連結部20bとを連結するには、図2(b)のように、廻り止め突起35を切込み33に挿入すると共に嵌合孔32内に嵌合用筒部34を遊嵌させることで行われるのであり、従動側連結部20bは切込み33に挿入した廻り止め突起35によって、駆動羽根車3aに対する軸廻り方向の位置決め係止が為されて駆動羽根車3aとの供回り動作が確保されるのであり、また、嵌合孔32内に嵌合用筒部34を遊嵌したことで、ラジアル方向には駆動羽根車3aに対し、嵌合孔32の孔径d1と嵌合用筒部34の外径d2とのギャップによる遊びを伴って連結されるのである。
ここで、羽根車3には作動流体に遠心力を付与すると同時に作動流体からの負荷もかかるのであるが、ポンプ運転中には羽根車3の外周側に中央側に比べて高圧の高圧領域が安定形成されることとなって、羽根車3は上記高圧によって外周側から中央側に押圧され続ける環境下に存在することとなる。つまり、ポンプ運転中で回転する羽根車3にあっては、ポンプ室2内の圧力分布に応じて良好なバランスを保ちつつ回転することができる位置に自然に決定されることとなる。本例では、駆動部5から直接駆動力を受けずに上記作動流体による負荷による支配を受け勝ちである従動羽根車3bが、上記のように駆動羽根車3aに対してラジアル方向への遊びを伴って連結されており、また先述したように従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aの軸受孔8aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにされているので、固定軸4との接触を回避しつつストレスの無い回転が可能になっている。また、上記ポンプ室内の圧力分布に応じて作動流体から従動羽根車3bにかかるラジアル方向の負荷は、ラジアル方向の遊びによって駆動羽根車3aには伝播されないように逃すようにできるから、複数の羽根車3の間で内部応力が発生しないようにできると共に、複数の羽根車3の回転重心を駆動羽根車3aに集中させることも可能にされているため、多段遠心ポンプ1の更なる作動効率の向上や長寿命化が図られているのである。更に言うと、複数の羽根車3を一体化するに当り、厳密に各羽根車3の軸心を合わせる必要も無く、製造性を向上できる利点も有する。
以下、実施の形態の他例を列挙する。ここで、先例と同様の部位については同符号を付して説明を省き、異なる部分について説明をしていく。
図4の例の多段遠心ポンプ1では、駆動羽根車3aに装着した軸受部材25の軸受孔8aの孔径を、従動羽根車3bに装着した軸受部材25の軸受孔8bの孔径に比べて、小さく形成している。なお、本例では固定軸4はその軸径が一定に形成されている。これにより、先例と同様に、従動羽根車3bの軸受孔8bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aの軸受孔8aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにされている。したがって、先例と同様の利点を得ることができるのである。
図5の例の多段遠心ポンプ1では、従動羽根車3bの通孔10bに軸受部材25を装着せず、この従動羽根車3bの通孔10bにポンプ室2の内底面から突設したボス9を遊挿し、ボス9の先端から垂下した固定軸4を駆動羽根車3aの軸受部材25の軸受孔8aに挿通して複数の羽根車3を回転自在に軸支してある。つまり、駆動羽根車3aを固定軸4に軸支すると共にポンプ室2に突設したボス9を従動羽根車3bの通孔10bに遊挿したことで、先例同様に、従動羽根車3bと固定軸4との間のクリアランスを駆動羽根車3aと固定軸4との間のクリアランスに比べて大きく採るようにしたものである。したがって、先例同様の利点を得ることができるのである。加えて本例では、固定軸4に軸支する羽根車3を駆動羽根車3aのみにしたので、複数の羽根車3の回転の重心を駆動羽根車3aに確実に集中させることもできるので、多段遠心ポンプ1の更なる作動効率の向上や長寿命化が図られているのである。
1 多段遠心ポンプ
2 ポンプ室
3 羽根車
3a 駆動羽根車
3b 従動羽根車
4 固定軸
4a 駆動羽根車を挿通する部位
4b 従動羽根車を挿通する部位
5 駆動部
6 吸入口
7 吐出口
8 軸受孔
9 ボス
10 通孔
25 軸受部材
27 仕切部材
2 ポンプ室
3 羽根車
3a 駆動羽根車
3b 従動羽根車
4 固定軸
4a 駆動羽根車を挿通する部位
4b 従動羽根車を挿通する部位
5 駆動部
6 吸入口
7 吐出口
8 軸受孔
9 ボス
10 通孔
25 軸受部材
27 仕切部材
Claims (3)
- ポンプ室と、ポンプ室に収納する複数の羽根車と、複数の羽根車を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸と、複数の羽根車を固定軸の軸廻りに回転駆動させる駆動部と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室内に作動流体を流入させる吸入口と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室外に作動流体を排出する吐出口とを備え、複数の羽根車のうち一の羽根車が駆動部によって回転駆動される駆動羽根車を構成すると共に、他の羽根車が駆動羽根車に連結されて供回りをすることで回転する従動羽根車を構成し、固定軸における駆動羽根車を挿通する部位の軸径を、固定軸における従動羽根車を挿通する部位の軸径に比べて大きく形成したことを特徴とする多段遠心ポンプ。
- ポンプ室と、ポンプ室に収納する複数の羽根車と、複数の羽根車を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸と、複数の羽根車を固定軸の軸廻りに回転駆動させる駆動部と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室内に作動流体を流入させる吸入口と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室外に作動流体を排出する吐出口とを備え、複数の羽根車のうち一の羽根車が駆動部によって回転駆動される駆動羽根車を構成すると共に、他の羽根車が駆動羽根車に連結されて供回りをすることで回転される従動羽根車を構成し、駆動羽根車における固定軸が挿通される軸受孔の孔径を、従動羽根車における固定軸が挿通される軸受孔の孔径に比べて小さく形成したことを特徴とする多段遠心ポンプ。
- ポンプ室と、ポンプ室に収納する複数の羽根車と、複数の羽根車を軸方向に連ねた状態で回転自在に支持する固定軸と、複数の羽根車を固定軸の軸廻りに回転駆動させる駆動部と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室内に作動流体を流入させる吸入口と、羽根車の回転時の遠心力によりポンプ室外に作動流体を排出する吐出口とを備え、複数の羽根車のうち一の羽根車が駆動部によって回転駆動される駆動羽根車を構成すると共に、他の羽根車が駆動羽根車に連結されて供回りをすることで回転される従動羽根車を構成し、ポンプ室からボスを突設すると共に従動羽根車に設けた通孔に上記ボスを遊挿し、ボスの先端から固定軸を連設すると共にこの固定軸を駆動羽根車に設けた軸受孔に挿通したことを特徴とする多段遠心ポンプ。
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---|---|
JP (1) | JP2009007955A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013503997A (ja) * | 2009-09-01 | 2013-02-04 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 2段式の渦巻きポンプ |
CN110833934A (zh) * | 2018-08-19 | 2020-02-25 | 传孚科技(厦门)有限公司 | 一种流体驱动离心机 |
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2007
- 2007-06-26 JP JP2007168207A patent/JP2009007955A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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