JP2007132299A - 遠心式ポンプとその制御システム、遠心式ポンプの設置方法および運転方法 - Google Patents

遠心式ポンプとその制御システム、遠心式ポンプの設置方法および運転方法 Download PDF

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利一郎 日比谷
Toshiharu Shimizu
敏晴 清水
Tsuneo Ueyasu
恒雄 上保
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Abstract

【課題】 ケーシング内に混入した空気を外部へ効率的に排出すること。
【解決手段】 吐出口が吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、中心軸が鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で、設置されている遠心式ポンプの運転方法は、ケーシング内に空気が混入しているか否かを判定するステップ(S2,S3)と、この判定ステップによってケーシング内に空気が混入していると判定された場合(S3のNo)に、遠心式ポンプを間欠運転モードで運転するステップ(S4〜S9)とを含む。上記運転方法は、判定ステップによってケーシング内に空気が混入していない判定された場合(S3のYes)に、遠心式ポンプを定常運転モードで運転するステップ(S1)を含む。
【選択図】 図12

Description

本発明は、遠心式ポンプに関し、特に、ポンプ内に滞留している空気を外部へ排出することが可能な遠心式ポンプとその制御システム、遠心式ポンプの設置方法および運転方法に関する。
ポンプは、水などの液体を圧送する機械であって、液体を吸込口(流入口)から吸い込んで吐出口(流出口)から吐き出す機械である。ポンプには種々の種類があるが、その1つの種類として、遠心式ポンプが知られている。遠心式ポンプは、水などの液体をインペラーにより外周部の渦巻室へ急速に加速して送り出す機械である。換言すれば、遠心式ポンプは、羽根車を回転させることによって得られる遠心力で液体を圧送する機械である。このような遠心式ポンプは、高流量かつ高揚程を得ることが出来、効率も良いことから、ポンプの形式として広く採用されている。
一方、周知のように、種々のパーソナルコンピュータが発売されているが、パーソナルコンピュータは、CPUや、メモリ等を内蔵している。CPUはクロック周波数が高くなるに伴い、動作中に発生する熱が高くなる傾向にある。従って、CPUで発生した熱を外部へ排出する必要がある。
従来一般的にCPUの排熱機構としては、ヒートシンクと空冷ファンとを組み合わせた空冷システムを採用している。しかしながら、この空冷システムを採用したパーソナルコンピュータでは、騒音の主な原因である「風切り音」が発生するという問題がある。このような「風切り音」を極力低減するために、CPUの冷却に水冷システムを採用したパーソナルコンピュータが開発され、注目されている。
上述した遠心式ポンプは、このような水冷システムにおいて、水を圧送するために使用される。このような遠心式ポンプは、筐体(ケーシング)の中央部に設けられた吸込口(流入口)から供給される水(液体)を、回転する羽根車の遠心力を利用して圧送し、筐体(ケーシング)の外周部に設けられた吐出口(流出口)から吐き出すような構成を持つ。その結果、何らかの原因で遠心式ポンプのケース内に空気が混入すると、その空気は遠心力のために筐体(ケーシング)の中央部に滞留してしまう。このような滞留した空気の量が大きくなると、遠心式ポンプの効率(性能)が著しく低下(劣化)するという欠点がある。そこで従来から、何らかの手段を用いて、筐体内に滞留した空気を外部へ放出することが行われている。
例えば、ロータの羽根入口径より内側の後面シュラウドに還流穴を設けて、ロータ内部に滞留した空気を確実に放出できるようにしたポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、吸込口(流入口)から羽根車への流路における、急激な管路拡大による圧力損失を避けるため、筐体の中央部で円筒管を羽根車の方向へ向けて延在した構造を持つ遠心式ポンプが知られている。
また、上述したCPU水冷用途の小型遠心式ポンプにおいては、ポンプ本体を小型・薄型にする必要がある。その為、空気を排出するための機構、構造や羽根車の設置方向が限定されてしまう。その結果、従来の遠心式ポンプでは、後述するように、羽根車(吸込口)が鉛直方向の上方(すなわち、重力方向とは逆の側)に配置された構造をしている。換言すれば、モータの回転の中心軸が上下方向(鉛直方向)に延在するように、従来の遠心式ポンプは設置されている。
以下、図1及び図2を参照して、このような構造を持つ遠心式ポンプについて説明する。図示の遠心式ポンプ10では、後述する羽根車を回転駆動するモータとしてDCブラシレスモータを採用している。図1において、遠心式ポンプ10に対して、前後方向(奥行き方向)をX方向で、左右方向(横方向)をY方向で、上下方向(鉛直方向)をZ方向で示してある。従って、奥行き方向Xと横方向Yとで形成される平面は、鉛直方向Zに垂直な水平面を構成する。
図示の遠心式ポンプ10は、筐体(後述する)の中心で、所定の中心軸O方向(図示の例では上下方向(鉛直方向))Zに延在する固定軸11を備え、この固定軸11には軸受け13を介してロータ15が回転自在に取り付けられている。ロータ15は、軸受け13に回転自在に取り付けられた、中心軸O方向Zに延在する円筒部151と、この円筒部151の上端で、中心軸O方向Zと直交する面(半径方向外側の水平面)に延在する円環部153と、この円環部153の下面の外周端に固定された、固定軸11と同心の円環状の永久磁石155とを有する。この永久磁石155は周方向に着磁されている。
固定軸11の下端は、後述する下ケース(第1のケース)の支持部を介して、中心軸O方向Zと直交する面(半径方向外側の水平面)へ延在する略円形平板状の基板17に固定されている。この基板17の主面(上面)17a上に、DCブラシレスモータのステータ19が固定して取り付けられている。ステータ19は、固定軸11を中心として半径方向へ放射状に延びる複数の固定子コア191と、複数の固定子コア191のそれぞれに巻回した固定子コイル193と有する。
ステータ19とロータ15との間に下ケース(第1のケース)21が配置されている。詳述すると、下ケース(第1のケース)21は、固定軸11の下端部を固定して支持する略円柱状の下支持部211と、ロータ15の円筒部151の下面と所定の空間を空けて対向するように、下支持部211の上端部側から半径方向外側(水平面)へ延在する第1の円環部212と、ロータ15の円筒部151の外周面と所定の空間を空けて対向するように、第1の円環部212の外周端から鉛直方向Zの上方へ延在する第1の円筒部213と、ロータ15の円板部153の下面と所定の空間を空けて対向するように、第1の円筒部213の上端から半径方向外側(水平面)へ延在する第2の円環部214と、ロータ15の永久磁石155の内周面と所定の空間を空けて対向するように、第2の円環部214の外周端から鉛直方向Zの下方へ延在する第2の円筒部215と、ロータ15の永久磁石155の下面と所定の空間を空けて対向するように、第2の円筒部215の外周下端から半径方向外側(水平面)へ延在する第3の円環部216と、ロータ15の永久磁石155の外周面と所定の空間を空けて対向するように、第3の円環部216の外周端から鉛直方向Zの上方へ延在する第3の円筒部217と、この第3の円筒部217の上周端から半径方向外側(水平面)へ延在する第4の円環部218とを有する。
ステータ19は、下ケース(第1のケース)21の第1の円筒部213と、第2の円環部214と、第2の円筒部215との間に形成された空間内に配置される。一方、ロータ15の永久磁石155は、下ケース(第1のケース)21の第2の円筒部215と、第3の円環部216と、第3の円筒部217との間に形成された空間内に配置される。したがって、ロータ15の永久磁石155とステータ19とは、下ケース(第1のケース)21の第2の円筒部215を間に挟んで、互いに対向して配置される。
下ケース(第1のケース)21は、第4の円環部213の上面の内周縁近傍から上方へ、固定軸11と同心に、突出する円環状突出部219を備えている。この円環状突出部219の外周壁にはリング状のシールゴム23が配置されている。
ロータ15の円環部153の上面には、固定軸11を中心として、半径方向へ放射状に延在する複数枚の羽根157が固定されている。これら複数枚の羽根157と上記円環部153と上記円筒部151とによって、羽根車が構成されている。換言すれば、ロータ15は、羽根車と永久磁石155とによって構成されている。
ロータ15は、上述した下ケース(第1のケース)21と後述する上ケース(第2のケース)25との間に形成される空間内に配置される。
図1及び図2に加えて図3乃至図5をも参照して、上ケース(第2のケース)25の構造について詳細に説明する。上ケース(第2のケース)25は、固定軸11の上端部を固定して支持する円筒状の上支持部251と、この上支持部251から所定距離だけ離れて、上支持部251との間で流路用の空間を形成する円筒管252と、上記複数枚の羽根157を覆うように、円筒管252から半径方向外側(水平面)へ延在するカップ状部253と、下ケース(第1のケース)21の第4の円環部218の上面と対向するように、カップ状部253の外周下端から半径方向外側(水平面)へ延在する円環部254とを備えている。
上ケース(第2のケース)25は、水などの液体を吸い込む(流入する)ための吸込管(流入管)256と、液体を吐き出す(流出する)ための吐出管(流出管)257とを更に備える。
吸込管(流入管)256は、カップ状部253の上面上に中心軸O方向(鉛直方向)Zと直交する方向(半径方向又は水平方向、図1では横方向Y)に延在して配置されており、吸込口(流入口)256aを介して上ケース25の中央部で上記円筒管252と連結されている。従って、液体は、吸込管256中を半径方向(横方向)Yに沿って外側から内側へ流れ、吸込口256aで直角に中心軸O方向Zの下方へ曲げられて、円筒管252を通り、羽根車へ導出される。
吐出管(流出管)257は、円環部254の上面上に中心軸O方向Zと直交する面(水平面)内で横方向Yに延在して配置されており、吐出口(流出口)257aを介して上ケース25のカップ状部253と外周部で連結されている。従って、回転する羽根車によって圧送された液体は、カップ状部253の外周部から吐出口(流出口)257aを介して、吐出管257中を流れて水平方向(横方向)Yに沿って吐き出される。
尚、円筒管252の上端は、円板状のキャップ258によって閉じられている。また、円環部254は、その下面側に円環状の凹部254aを有する。この円環状の凹部254aに、下ケース(第1のケース)21の円環状突出部219とリング状のシールゴム23とが挿入され、下ケース(第1のケース)21と上ケース(第2のケース)25との間に挟まれた空間を密閉している。とにかく、下ケース(第1のケース)21と上ケース(第2のケース)25との組み合わせによって、遠心式ポンプ10のケーシング(筐体)が構成されている。換言すれば、ロータ15は、このケーシング(筐体)に囲まれている。
図6に上ケース(第2のケース)25とロータ15とを組み合わせた組み立て体の断面図を示す。図7に上ケース(第2のケース)25の円管252とロータ15の複数枚の羽根157との間の配置関係を示す。上ケース(第2のケース)25での吸込管(流入管)256から羽根車までの流路に関して、急激な管路拡大による圧力損失を避けるために、円筒管252を羽根車に近接する位置まで延在させている。
特開2001−153083号公報
このような構造を有する従来の遠心式ポンプ10においては、液体は吸込管(流入管)256中を、図8の矢印Aで示されるように、半径方向(水平方向)Yに沿って外側から内側へ向けて流れ、吸込口(流入口)256aを介して円筒管252中に入り、この円筒管252中を、図8の矢印Bで示されるように、中心軸O方向(鉛直方向)Zに沿って下方へ流れる。
これに対して、従来の遠心式ポンプ10内に混入した空気は、その遠心式ポンプ10の動作中においては、液体の遠心力により、中心軸Oの方(すなわち、半径方向内側)に集中する。しかしながら、円筒管252があるために、この混入した空気は、図8のCの点線円で示される位置で、円筒管252の外周部に泡として滞留することになる。換言すれば、この滞留した空気(泡)は、液体の流路内に入ることがないので、遠心式ポンプ10が動作している間、長時間にわたり、円筒管252の外周部に泡として滞留することなる。
換言すれば、従来の遠心式ポンプ10は、中心軸Oが鉛直方向Zに延在するように設置されているので、ケーシング(21、25)内に混入した空気が常に吸込口256a付近に滞留するような構造となっている。すなわち、従来の遠心式ポンプ10は、ケーシング(21、25)内に混入した空気を排出するのが困難な構造となっている。
そのため、従来の遠心式ポンプ10では、性能が著しく劣化してしまうという問題がある。
したがって、本発明の課題は、ケーシング内に混入した空気を外部へ効率的に排出することが可能な、遠心式ポンプとその制御システム、遠心式ポンプの設置方法および運転方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、中心軸(O)の回りに回転可能に配置され、羽根車(151,153,157)を備えたロータ(15)と、該ロータを囲むケーシング(21,25)とを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口(256a)と、外周部に設けられた吐出口(257a)とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプ(10A)において、前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向(Z)において上方に配置されるように、前記中心軸(O)が前記鉛直方向(Z)に対して斜めに傾いた状態で、前記遠心式ポンプ(10)が設置されていることを特徴とする遠心式ポンプが得られる。
上記本発明の第1の態様による遠心式ポンプにおいて、前記中心軸(O)が前記鉛直方向(Z)に垂直な水平方向(X)に延在し、前記吐出口(257a)は前記鉛直方向(Z)において最上方位置に配置されていることが好ましい。前記ロータ(15)は、前記中心軸(O)と同心の円環状の永久磁石(155)を持って良い。この場合、前記遠心式ポンプ(10A)は、前記ケーシング(21,25)を介して前記永久磁石(155)の対向面に配置されたステータ(19)を備える。
本発明の第2の態様によれば、上記遠心式ポンプ(10A)を制御する制御システム(300)であって、前記ケーシング内に空気が混入しているか否かを判定する判定手段(320,330,S2,S3)と、該判定手段によって前記ケーシング内に空気が混入していると判定された場合に、前記遠心式ポンプ(10A)を間欠運転モードで運転する運転手段(330,S4〜S9)と、を備えた遠心式ポンプの制御システムが得られる。
上記本発明の第2の態様による遠心式ポンプの制御システムにおいて、前記運転手段(330,S1)は、前記判定手段によって前記ケーシング内に空気が混入していないと判定された場合に、前記遠心式ポンプを定常運転モードで運転する。前記判定手段は、例えば、前記遠心式ポンプの回転数を検出する回転数検出装置(320)と、前記検出された回転数が正常の範囲より高いときに、前記ケーシング内に空気が混入していると判断する判断手段(320、S2,S3)と、から構成されて良い。前記判断手段(320、S2,S3)は、前記検出された回転数が前記正常の範囲内にあるときに、前記ケーシング(21,25)内に空気が混入していないと判断する。前記間欠運転モードは、前記ロータ(15)の回転を第1の所定時間(T1)だけ停止し(S5〜S7)、その後、前記ロータ(15)の回転を第2の所定時間(T2)だけ再開する(S8,S9)動作を、少なくとも1回繰り返す運転モードであって良い。前記ロータ(15)の回転停止を、前記遠心式ポンプ(12A)へ供給する電源をオフする(S5)ことより行い、前記ロータ(15)の回転再開を、前記電源をオンする(S8)ことにより行って良い。
本発明の第3の態様によれば、中心軸(O)の回りに回転可能に配置され、羽根車(151,153,157)を備えたロータ(15)と、該ロータを囲むケーシング(21,25)とを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口(256a)と、外周部に設けられた吐出口(257a)とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプ(12A)を設置する方法において、前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、前記中心軸(O)が前記鉛直方向(Z)に対して斜めに傾いた状態で、前記遠心式ポンプを設置することを特徴とする遠心式ポンプの設置方法が得られる。
上記本発明の第3の態様による遠心式ポンプの設置方法において、前記中心軸(O)が前記鉛直方向(Z)に垂直な水平方向(X)に延在し、前記吐出口(257a)が前記鉛直方向において最上方位置に配置されるように、前記遠心式ポンプ(12A)を設置することが好ましい。
本発明の第4の態様によれば、中心軸(O)の回りに回転可能に配置され、羽根車(151,153,157)を備えたロータ(15)と、該ロータを囲むケーシング(21,25)とを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口(256a)と、外周部に設けられた吐出口(257a)とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプ(10A)であって、前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向(Z)において上方に配置されるように、前記中心軸(O)が前記鉛直方向(Z)に対して斜めに傾いた状態で、設置されている前記遠心式ポンプ(10A)を運転する方法において、前記ケーシング内に空気が混入しているか否かを判定するステップ(S2,S3)と、該判定ステップによって前記ケーシング内に空気が混入していると判定された場合に、前記遠心式ポンプを間欠運転モードで運転するステップ(S4〜S9)と、を含む遠心式ポンプの運転方法が得られる。
上記本発明の第4の態様による遠心式ポンプの運転方法において、前記判定ステップによって前記ケーシング内に空気が混入していない判定された場合に、前記遠心式ポンプを定常運転モードで運転するステップ(S1)を更に含んで良い。前記判定ステップは、例えば、前記遠心式ポンプの回転数を検出するサブステップ(S2)と、前記検出された回転数が正常の範囲より高いときに、前記ケーシング内に空気が混入していると判断するサブステップ(S3のNo)と、含んでて良い。前記判定ステップは、前記検出された回転数が前記正常の範囲内にあるときに、前記ケーシング内に空気が混入していないと判断するサブステップ(S3のYes)を更に含んで良い。前記間欠運転モードは、前記ロータ(15)の回転を第1の所定時間(T1)だけ停止し(S4〜S7)、その後、前記ロータ(15)の回転を第2の所定時間(T2)だけ再開する(S8,S9)動作を、少なくとも1回繰り返す運転モードであって良い。前記ロータ(15)の回転停止を、前記遠心式ポンプ(10A)へ供給する電源をオフする(S4)ことより行い、前記ロータ(15)の回転再開を、前記電源をオンする(S8)ことにより行って良い。
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
本発明では、吐出口が吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、中心軸が鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で、遠心式ポンプを設置しているので、遠心式ポンプの運転が停止したときに、ケーシング内に混入した空気を吐出口付近に集めることができる。そして、ケーシング内に空気が混入していると判定された場合に、遠心式ポンプを間欠運転モードで運転するようにすれば、ケーシング内に混入された空気を効率良く外部へ排出することが可能となる。これにより、従来の遠心式ポンプの問題であった、空気混入時の性能劣化(流量、揚程の劣化)を回避することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明が適用される遠心式ポンプ本体の基本的な構成は、図1及び図2を参照して説明した従来の遠心式ポンプ10と同じであり、異なる点は、後で詳述するように、その設置方法と運転方法にある。従って、図1及び図2に示されたものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、以下においては、説明を簡略するために、従来の遠心式ポンプ10と異なる点についてのみ説明する。
図9を参照して、本発明の一実施の形態に係る遠心式ポンプ10Aについて説明する。図9は遠心式ポンプ10Aの正面図である。図9において、遠心式ポンプ10Aに対して、前後方向(奥行き方向)をX方向で、左右方向(横方向)をY方向で、上下方向(鉛直方向)をZ方向で示してある。従って、奥行き方向Xと横方向Yとで形成される平面は、鉛直方向Zに垂直な水平面を構成する。
図9に示されるように、中心軸Oが鉛直方向Zに垂直な水平方向(図示の例では、前後方向X)に延在し、吐出管257の吐出口257a(図2参照)が鉛直方向Zにおいて最上方位置に配置されるように、遠心式ポンプ10Aが設置されている。
したがって、図1乃至図8を参照して説明した従来の遠心式ポンプ10の説明を、鉛直方向Zを水平方向Xに読み替え、かつ、水平面を鉛直面と読み替えたものが、図9に示した遠心式ポンプ10Aである。
このように遠心式ポンプ10Aを設置することにより、遠心式ポンプ10Aの運転が停止したときに、ケーシング(21、25)(図1参照)内に混入した空気は吐出口257a付近に集まる。これは、遠心式ポンプ10Aの運転が停止したとき、ケーシング(21、25)内に混入した空気は浮力によって重力と反対方向に移動するためである。したがって、この状態から遠心式ポンプ10Aの運転を再開すると、吐出口257a付近に集まっていた空気は吐出管257を通して外部へ排出される。
尚、遠心式ポンプ10Aの通常の運転状態においては、後述するような判定手段によってケーシング(21,25)内に空気が混入されていると判定されたときに、遠心式ポンプ10Aの運転を停止し、その後に、運転を再開するという動作を、少なくとも1回繰り返せば、混入した空気を外部に効率良く排出することができる。
図1に示した遠心式ポンプ10Aにおいては、中心軸Oが鉛直方向Zに垂直な水平方向に延在し、吐出口257aが鉛直方向Zにおいて最上方位置に配置されるように、遠心式ポンプ10Aを設置している。しかしながら、遠心式ポンプ10Aの設置の仕方はこれに限定されない。すなわち、一般化すると、吐出口257aが吸込口256a(図5参照)よりも鉛直方向Zにおいて上方に配置されるように、中心軸Oが鉛直方向Zに対して斜めに傾いた状態で、遠心式ポンプ10Aを設置すれば良い。
次に、図10乃至図12を参照して、図9に示した遠心式ポンプ10Aの運転方法について説明する。
図10は遠心式ポンプ10Aに使用されるDCブラシレスモータのトルク・回転数特性を示す特性図である。図10において、横軸はトルク[mN・m]を示し、縦軸は回転数[r.p.m.]を示す。図10の例では、遠心式ポンプ10Aに流入する液体として水を使用した場合のトルク・回転数特性を示している。図10の曲線Dで示されるように、DCブラシレスモータは、一般的に、トルクが大きくなると回転数が低くなり、トルクが小さくなると回転数が高くなる特性を持っている。
遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータは、正常運転時(すなわち、ケーシング内に空気の混入が無い場合)には、その負荷に応じた所定の正常回転数Rnを持っている。図10に示す例では、この正常運転時の正常回転数Rnは3150r.p.m.である。
この状態において、遠心式ポンプ10Aのケーシング(21、25)内に空気が混入したとする。この場合、水による負荷が、図10の矢印Eで示されるように、減少するので、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数は、上記正常運転時の正常回転数Rnよりも、図10の矢印Fで示されるように、上昇する。そこで、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数が、上記正常運転時の正常回転数Rnよりも所定の回転数差分ΔRだけ上昇したことを検出した場合、ケーシング(21、25)内に空気が混入したと判断することができる。その場合、後で詳述するように、遠心式ポンプ10Aを間欠運転モードで運転することによって、その混入した空気を外部へ効率良く排出することが出来る。図10に示す例では、この所定の回転数差分ΔRは+500r.p.m.である。
換言すれば、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数が、3150r.p.m.の正常運転時の正常回転数Rnより+500r.p.m.の回転数差分ΔRだけ高い、3650r.p.m.の異常回転数Ra以上になったとき、ケーシング(21、25)内に空気が混入したと判断することができる。逆に言えば、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数が、3150r.p.m.±500r.p.m.の範囲にあれば、正常の範囲とみなすことができる。
尚、図10に示したDCブラシレスモータのトルク・回転数特性の回転数の数値は、液体として水を使用した場合の例であるので、水以外の他の液体を使用した場合には、各々の運転点(正常運転時の正常回転数Rnと、空気混入時の異常回転数Ra)を設定する必要がある。
図11は、遠心式ポンプ10Aであるポンプ本体を制御する制御システム300の構成を示すブロック図である。ポンプ本体(遠心式ポンプ)10Aは、電源回路310と回転数検出装置(FG)320とを備えている。電源回路310は、ポンプ本体10AのDCブラシレスモータへ電源を供給する回路である。回転数検出装置(FG)320は、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数を検出する装置である。
制御システム300は、回転数検出装置320で検出された回転数に基づいて、後述するように、電源回路310のオン/オフを制御するコントローラとして動作するCPU330を備えている。
図11に加えて図12をも参照して、本発明による遠心式ポンプ10Aの運転方法について説明する。図12は、図11に示した制御システム300中のCPU(コントローラ)330の処理フローを示すフローチャートである。
先ず、CPU330は電源回路310をオンして、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータへ電源を供給し、定常運転をする(ステップS1)。そして、CPU310は、回転数検出装置320で検出された回転数をチェックする(ステップS2)。CPU330は、検出された回転数が正常の範囲(3150±500r.p.m.)内にあるか否かを判断する(ステップS3)。検出された回転数が正常の範囲内にあるとき(ステップS3のYes)、CPU330は、ケーシング(21、25)内に空気が混入していないと判断して、ステップS1に戻り、定常運転を継続する。従って、遠心式ポンプ10Aは定常運転モードで運転される。
一方、検出された回転数が正常の範囲より高いとき(ステップS3のNo)、CPU330は、ケーシング(21、25)内に空気が混入していると判定し、後述するように、遠心式ポンプ10Aを間欠運転モードで運転する。
とにかく、回転数検出装置320とCPU330におけるステップS2、S3との組み合わせは、ケーシング21、25内に空気が混入しているか否かを判定する判定手段(判定ステップ)として働く。
間欠運転モードでは、CPU330は、先ず、電源回路310をオフして、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータへ電源供給を停止する(ステップS4)。引き続いて、CPU330は、回転数検出装置320で検出された回転数をチェックして(ステップS5)、回転数が0r.p.m.であるか否かを判定する(ステップS6)。回転数が0r.p.m.になると(ステップS6のYes)、CPU330は、第1の所定時間T1である3[秒]だけ待つ(ステップS7)。
遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータが停止した時点(ステップS6のYes)から第1の所定時間T1経過した時点で、CPU330は、再び、電源回路310をオンして、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータへ電源を供給する(ステップS8)。引き続いて、CPU330は、第2の所定時間T2である3[秒]だけ待ち(ステップS9)、ステップS2の処理に戻る。
したがって、遠心式ポンプ10AのDCブラシレスモータの回転数が正常の範囲内に入るまで、CPU330は、上述したステップS2〜S9を繰り返す。
上記の説明から明らかなように、間欠運転モードでは、ロータ15(図1)の回転を第1の所定時間T1だけ停止し、その後、ロータ15を第2の所定時間T2だけ回転させる動作を、少なくとも1回繰り返す。また、本実施の形態では、ロータ15の回転停止を、遠心式ポンプ10Aへ供給する電源をオフする(ステップS4)ことにより行い、ロータ15の回転再開を、上記電源をオンする(ステップS8)ことにより行っている。
以上の説明から明らかなように、CPU330におけるステップS4〜S9は、ケーシング(21、25)内に空気が混入していると判定された場合(ステップS3のNo)に、遠心式ポンプ10Aを間欠運転モードで運転するステップ(運転手段)として働き、CPU330におけるステップS1は、ケーシング(21、25)内に空気が混入していないと判定された場合(ステップS3のYes)に、遠心式ポンプ10Aを定常運転モードで運転するステップ(運転手段)として働く。
尚、本実施の形態では、ロータ15の回転停止および回転再開を、電源をオフおよびオンすることにより行っているが、他の手段を用いても良いのは勿論である。
上述したように、遠心式ポンプ10Aを間欠運転モードで運転することにより、ケーシング(21、25)内に混入した空気を効率良く外部へ排出することができる。すなわち、遠心式ポンプ10Aの運転を止めると、上述したように吐出口257a(図2)付近に空気が集まる。その後直ぐに、遠心式ポンプ10Aの運転を再開すると、吐出口257aに集められた空気が吐出管257を通って外部へ排出される。このように、遠心式ポンプ10Aの運転停止と運転再開を繰り返すことによって、ケーシング(21,25)内に混入した空気の排出を迅速に行うことが出来る。これにより、従来の遠心式ポンプ10の問題であった、空気混入時の性能劣化(流量、揚程の劣化)を回避することができる。
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。
従来の遠心式ポンプの外観構成を示す斜視図である。 図1の線II−IIについての断面図である。 図1に示した遠心式ポンプに使用される上ケース(第2のケース)を、底面側の一方向から見た斜視図である。 図1に示した遠心式ポンプに使用される上ケース(第2のケース)を、底面側の別方向から見た斜視図である。 図1に示した遠心式ポンプに使用される、上ケース(第2のケース)の線V−Vについての断面図である。 図1に示した遠心式ポンプに使用される、上ケース(第2のケース)とロータとを組み合わせた組立て体の拡大断面図である。 図1に示した遠心式ポンプに使用される、上ケース(第2のケース)の円管とロータの複数枚の羽根との間の配置関係を示す平面図である。 図1に示した従来の遠心式ポンプの動作を説明するための上ケース(第2のケース)の断面図である。 本発明の一実施の形態に係る遠心式ポンプを示す正面図である。 図9に示した遠心式ポンプに使用されるDCブラシレスモータのトルク・回転数特性を示す特性図である。 図9に示した遠心式ポンプであるポンプ本体を制御する制御システムの構成を示すブロック図である。 図11に示した制御システム0中のCPU(コントローラ)の処理フローを示すフローチャートである。
符号の説明
10、10A 遠心式ポンプ(ポンプ本体)
11 固定軸
13 軸受け
15 ロータ
17 基板
19 ステータ
21 下ケース(第1のケース)
23 シールゴム
25 上ケース(第2のケース)
251 上支持部
252 円筒管
253 カップ状部
254 円環部
256 吸込管(流入管)
256a 吸込口(流入口)
257 吐出管(流出管)
257a 吐出口(流出口)
300 制御システム
310 電源回路
320 回転数検出装置(FG)
330 CPU(コントローラ)
O 中心軸
X 前後方向(奥行き方向)
Y 左右方向(横方向)
Z 鉛直方向(上下方向)

Claims (17)

  1. 中心軸の回りに回転可能に配置され、羽根車を備えたロータと、該ロータを囲むケーシングとを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口と、外周部に設けられた吐出口とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプにおいて、
    前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、前記中心軸が前記鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で、前記遠心式ポンプが設置されていることを特徴とする遠心式ポンプ。
  2. 前記中心軸が前記鉛直方向に垂直な水平方向に延在し、前記吐出口は前記鉛直方向において最上方位置に配置されている、請求項1に記載の遠心式ポンプ。
  3. 前記ロータは、前記中心軸と同心の円環状の永久磁石を持ち、前記遠心式ポンプは、前記ケーシングを介して前記永久磁石の対向面に配置されたステータを備える、請求項1又は2に記載の遠心式ポンプ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の遠心式ポンプを制御する制御システムであって、
    前記ケーシング内に空気が混入しているか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段によって前記ケーシング内に空気が混入していると判定された場合に、前記遠心式ポンプを間欠運転モードで運転する運転手段と、
    を備えた遠心式ポンプの制御システム。
  5. 前記運転手段は、前記判定手段によって前記ケーシング内に空気が混入していないと判定された場合に、前記遠心式ポンプを定常運転モードで運転する、請求項4に記載の遠心式ポンプの制御システム。
  6. 前記判定手段は、
    前記遠心式ポンプの回転数を検出する回転数検出装置と、
    前記検出された回転数が正常の範囲より高いときに、前記ケーシング内に空気が混入していると判断する判断手段と、
    から構成されている、請求項4又は5に記載の遠心式ポンプの制御システム。
  7. 前記判断手段は、前記検出された回転数が前記正常の範囲内にあるときに、前記ケーシング内に空気が混入していないと判断する、請求項6に記載の遠心式ポンプの制御システム。
  8. 前記間欠運転モードは、前記ロータの回転を第1の所定時間だけ停止し、その後、前記ロータの回転を第2の所定時間だけ再開する動作を、少なくとも1回繰り返す運転モードである、請求項4に記載の遠心式ポンプの制御システム。
  9. 前記ロータの回転停止を、前記遠心式ポンプへ供給する電源をオフすることより行い、前記ロータの回転再開を、前記電源をオンすることにより行う、請求項8に記載の遠心式ポンプの制御システム。
  10. 中心軸の回りに回転可能に配置され、羽根車を備えたロータと、該ロータを囲むケーシングとを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口と、外周部に設けられた吐出口とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプを設置する方法において、
    前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、前記中心軸が前記鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で、前記遠心式ポンプを設置することを特徴とする遠心式ポンプの設置方法。
  11. 前記中心軸が前記鉛直方向に垂直な水平方向に延在し、前記吐出口が前記鉛直方向において最上方位置に配置されるように、前記遠心式ポンプを設置する、請求項10に記載の遠心式ポンプの設置方法。
  12. 中心軸の回りに回転可能に配置され、羽根車を備えたロータと、該ロータを囲むケーシングとを有し、該ケーシングは、前記中心軸が延在する中央部に設けられた吸込口と、外周部に設けられた吐出口とを持ち、前記吸込口から吸い込まれた液体を、回転する前記羽根車の遠心力を利用して圧送し、前記吐出口から吐き出す遠心式ポンプであって、前記吐出口が前記吸込口よりも鉛直方向において上方に配置されるように、前記中心軸が前記鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で、設置されている前記遠心式ポンプを運転する方法において、
    前記ケーシング内に空気が混入しているか否かを判定するステップと、
    該判定ステップによって前記ケーシング内に空気が混入していると判定された場合に、前記遠心式ポンプを間欠運転モードで運転するステップと、
    を含む遠心式ポンプの運転方法。
  13. 前記判定ステップによって前記ケーシング内に空気が混入していない判定された場合に、前記遠心式ポンプを定常運転モードで運転するステップを更に含む、請求項12に記載の遠心式ポンプの運転方法。
  14. 前記判定ステップは、
    前記遠心式ポンプの回転数を検出するサブステップと、
    前記検出された回転数が正常の範囲より高いときに、前記ケーシング内に空気が混入していると判断するサブステップと、
    を含む、請求項12又は13に記載の遠心式ポンプの運転方法。
  15. 前記判定ステップは、前記検出された回転数が前記正常の範囲内にあるときに、前記ケーシング内に空気が混入していないと判断するサブステップを更に含む、請求項14に記載の遠心式ポンプの運転方法。
  16. 前記間欠運転モードは、前記ロータの回転を第1の所定時間だけ停止し、その後、前記ロータの回転を第2の所定時間だけ再開する動作を、少なくとも1回繰り返す運転モードである、請求項12に記載の遠心式ポンプの運転方法。
  17. 前記ロータの回転停止を、前記遠心式ポンプへ供給する電源をオフすることより行い、前記ロータの回転再開を、前記電源をオンすることにより行う、請求項16に記載の遠心式ポンプの運転方法。
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