JP2009007300A - α−メチレン類の製造方法 - Google Patents

α−メチレン類の製造方法 Download PDF

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弘之 野上
Keiichi Sakashita
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Abstract

【課題】操作性、特に最終段階の目的物の分離が簡便な状態で高純度なα−メチレン類を安価且つ高収率で高純度に製造する方法、特に、エノール塩をホルムアルデヒドと反応させた後、副生するオキサリル化合物の除去を容易とする製造方法を提供する。
【解決手段】α−アルキルオキサリル化合物のエノール塩とホルムアルデヒドとを反応させた後、ろ過により副生するオキサリル化合物を除去するに際し、反応液にシュウ酸カリウムを添加してからろ過する。
【選択図】なし

Description

本発明は、α−メチレン類の新規製造方法に関する。α−メチレン類は医農薬、香料、成形材料用のモノマーなどとして重要な化合物である。
特許文献1には、γ−ブチロラクトン誘導体とシュウ酸エステル、アルコラートを加温下にて反応させて、ラクトン環のα位をアルキルオキサリル化したオキサリル誘導体のナトリウム塩(エノール塩)を得、このエノール塩を濾過して単離後、ホルムアルデヒド水溶液と炭酸カリウム水溶液とを反応させることによりα−メチレン−γ−ブチロラクトン誘導体を製造する方法が記載されている。
特許文献1では、生成したα−メチレン−γ−ブチロラクトン誘導体を分離するには、反応混合物を冷却し、スラリーを得て、副生するオキサリル(シュウ酸塩化合物)を除去する方法、特に、溶媒組成により副生オキサリルの沈降を最適化して、高純度の目的物を得る方法が記載されている。しかしながら、α−メチレン部位を導入した後に析出する化学量論量のオキサリル、特にシュウ酸アルカリ金属塩は微細結晶構造であるために、ろ過の際に目詰まりを起こし、ろ過に長時間を要する。特許文献1には、α−メチレン類を抽出する際の操作性の悪化については言及されていないが、溶媒組成の最適化は、結晶の沈降を促すに過ぎず、結晶形の改善まで促すものではなく、工業的製法としては必ずしも満足できるものではなかった。
又、本発明者らは、特許文献2において、α−メチレン−β−アルキル−γ−アルキル−γ−ブチロラクトン類の製造方法を提案している。特許文献2では、β−アルキル−γ−アルキル−γ−ブチロラクトン類を原料に、相当するエノール塩を経由して目的物を得るに際し、エノール塩の溶解性に起因する問題を解決するため、エノール塩を水に溶解し、系内に残存するシュウ酸エステルと原料のβ−アルキル−γ−アルキル−γ−ブチロラクトン類を有機溶媒で除去し、その後、ホルムアルデヒドと反応させて目的物を得ている。この発明では、特定のβ−アルキル−γ−アルキル−γ−ブチロラクトン類から誘導されるエノール塩の分離操作が容易となるが、エノール塩とアルデヒドとの反応により同様にオキサリル化合物が副生するため、最終目的物の抽出操作において改善の余地がある。
米国特許6531616号明細書(Col.10) 特開2007−106757号公報
従って、本発明の課題は、操作性、特に最終段階の目的物の分離が簡便な状態で高純度なα−メチレン類を安価且つ高収率で高純度に製造する方法を提供することにある。特に、本発明では、エノール塩をホルムアルデヒドと反応させた後、副生するオキサリル化合物の除去を容易とする製造方法を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するため、α−メチレン類を分離する工程において、問題となる副生物のオキサリル化合物、特にシュウ酸カリウムの種晶を添加して結晶形の増大を試みたところ、反応液中に存在する析出物をろ過するに際して目詰まりが少なく効率的にろ過を行うことができ、又、ろ液から目的物を抽出することで高収率で高純度なα−メチレン類を製造できることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、 (1)下記式(I)
Figure 2009007300
で表される構造を有する化合物と一般式(II)
Figure 2009007300
〔式(II)中、R1は直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
で表されるシュウ酸エステルと一般式(III)
2−OM (III)
〔式(III)中、R2は直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示す。〕
で表されるアルコラートとを作用させ、一般式(IVa)及び/又は(IVb)
Figure 2009007300
〔式(IVa)、(IVb)中、R1、R2、Mは前記と同様〕
で表される構造を有する相当するα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩を得る工程、
(2)前記エノール塩とホルムアルデヒド類と、アミン及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応させて下記式(V)
Figure 2009007300
で表される構造を有する相当するα−メチレン類を得る工程とを有し、
(3)α−メチレン類の分離工程において、α−メチレン類を含有する反応液にシュウ酸カリウムを添加し、反応液中に存在する析出物をろ過により除去し、ろ液からα−メチレン類を抽出することを特徴とする。
本発明によれば、純度の高いα−メチレン化合物を安価な原料から簡便および収率よく製造することが可能であり、工業的に有利な方法である。
まず、工程(1)について説明する。
α−メチレン部位のアルキルオキサリル化は式(III)で表されるアルコラート、式(II)で表されるシュウ酸エステルおよび式(I)で表される構造を有する化合物を投入する順番は任意で構わないが、アルコラートに、シュウ酸エステルを滴下し、原料化合物を滴下することにより行うことが好ましい。
式(I)で表される構造を有する化合物としては、式(IVa)及び/又は(IVb)のエノール塩を経由して式(V)の構造を有する相当するα−メチレン化合物を生成するものであれば、特に制限されない。式(I)で表される構造は、原料化合物中に複数含まれていても良いが、一つであることが好ましい。具体的には、下記一般式(I−a)及び(I−b)から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2009007300
(式(I−a)中のR4は炭素数1〜10の炭化水素基、R5はOR7(R7は炭素数1〜10の炭化水素基)又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、式(I−b)中のXは酸素原子又はメチレン基、R6は炭素数1〜10の炭化水素基、nは1〜10の整数、jは0〜2nの整数である。)
式(I−a)で表される化合物は、R5の種類によって、エステルとケトンに細分化される。
好ましいエステル化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン酸メチルエステル、ヘプタン酸ブチルエステルなどが挙げられる。
好ましいケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジシソブチルケトンなどが挙げられる。
式(I−b)で表される化合物は、Xの種類により、Xが酸素である環状エステルケトン(ラクトン)と、Xが置換されていても良いメチレン基である環状ケトンに細分される。
ラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、β−エチル−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−バレロラクトン、δ−ジメチル−δ−バレロラクトン、β−エチル−δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
環状ケトンとしては、シクロペンタノン、α−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、α−メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
特に、本発明では、式(I)の構造を有する化合物として、ラクトン類が好ましい。
本発明において得られるα−メチレン類は、原料化合物から相当する式(V)の構造を有するα−メチレン類であり、上記式(I−a)及び(I−b)から選択された化合物を原料とした場合は、下記の式(V−a)及び(V−b)から選択されるα−メチレン類が得られる。
Figure 2009007300
(式(V−a)及び(V−b)中、R4〜R6、X、n、jは式(I−a)及び(I−b)中のR4〜R6、X、n、jと同義である。)
式(III)のアルコラートとしては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート、カリウムt−ブチラートなどのアルカリ金属アルコラート(アルカリ金属アルコキシド)を挙げることができ、ナトリウムメチラートのメタノール溶液やナトリウムエチラートのエタノール溶液などを用いた方が簡便であるが、アルコラートは紛体状のものを用いても構わない。
ナトリウムメチラートのメタノール溶液やナトリウムエチラートのエタノール溶液などを用いた場合、特に溶媒を追加する必要はないが、さらに溶媒を追加する場合や紛体状のものを用いた場合は、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を用いることができる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。
使用する溶媒量が少ないと、反応終了時にエノール化合物が析出し、反応系全体が固化することがあるので、溶媒量は、式(I)の構造を有する化合物の重量に対して0.5〜50倍が望ましく、製造コスト、反応収率、攪拌機の破損の回避などを考えると、1〜10倍がより望ましく、1〜5倍がさらに望ましい。
なお、式(II)のシュウ酸エステルおよび式(III)のアルコラートとともにアルコールを用いる場合、シュウ酸エステルとアルコラートと溶媒のアルコールとの組み合わせは任意であるが、反応物を複雑にしないためにはアルコラートと溶媒とシュウ酸エステルの組み合わせは、例えば、ナトリウムメチラート/メタノール/シュウ酸ジメチルエステル、ナトリウムエチラート/エタノール/シュウ酸ジエチルエステルのように同一のアルコールからなる組み合わせが好ましい。
しかしながら、製造コストを勘案すると必ずしもこの組み合わせにこだわる必要はない。例えば、シュウ酸ジエチルエステルを使用する場合にナトリウムメチラート/メタノールを使用しても、α−アルキルオキサリル部位のエステルが一部エステル交換されるだけで、その後の反応には何ら差し支えるものではない。
式(III)のアルコラートの使用量は、式(I)の構造を有する化合物に対して0.9〜10当量が望ましく、反応効率、製造コストなどを考慮すると、1〜5当量がより望ましく、式(I)の構造を有する化合物を消費して、高純度なα−メチレン化合物を高収率で製造する観点から、1〜2当量がさらに望ましい。
式(II)のシュウ酸エステルの使用量は、式(I)の構造を有する化合物に対して0.9〜10当量が望ましく、反応効率、製造コストなどを考慮すると、1〜5当量がより望ましく、式(I)の構造を有する化合物を消費して、高純度なα−メチレン化合物を高収率で製造する観点から、1〜2当量がさらに望ましい。なお、小過剰のシュウ酸エステルは次工程で除去できる。
反応温度は不純物の生成を抑制するために60℃以下にする必要があり、式(I)の構造を有する化合物を消費して、高純度なα−メチレン化合物を高収率で製造できることから、−20℃から60℃の間が好ましく、さらに副生物を低減できる観点から、0℃〜50℃の間がより好ましい。
反応時間は任意に設定できるが、反応収率、作業効率を考慮すると0.1〜24時間が望ましく、0.5〜5時間がより望ましい。
次に工程(2)について説明する。
α−アルキルオキサリル化合物のエノール塩は、そのまま工程(2)に用いることができるが、エノール塩を中和してα−アルキルオキサリル化合物(ケト−エステル型)としてもエノール塩と同様に工程(2)に用いることができる。
α−アルキルオキサリル化合物のエノール塩にホルムアルデヒドと、アミン及び/又はアルカリ金属炭酸塩(以下、両者をまとめて塩基性化合物類ともいう。)を添加することにより、アルキルオキサリル基をメチレン基に変換することができる。ホルムアルデヒドと塩基性化合物類を投入する順番は任意で構わない。ホルムアルデヒドは塩基性化合物類と同時に添加しても良いし、塩基性化合物の後に添加しても良い、塩基性化合物類の前に添加しても良い。
ホルムアルデヒドと塩基性化合物類を添加する際のα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩の温度は、副生物を低減させる観点から、−10〜60℃の間が好ましく、0〜50℃の間がさらに好ましい。
ホルムアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒドおよびその水溶液(ホルマリン)、パラホルムアルデヒド、ホルマールなど、系内でホルムアルデヒドを発生およびその水溶液などが好ましく、通常は、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドの水溶液を用いるのが好ましい。
ホルムアルデヒドの使用量は特に限定されないが、式(IVa)及び/又は(IVb)で表される構造を有するα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩に対して0.9〜10当量が望ましく、コストと反応収率を考えると、1〜3当量がより望ましい。
前記エノール塩の水溶液中に添加するアミンは第一級、第二級、第三級アミンの何れを用いてもよい。そのアミンが有する置換基は、特に限定はなく、それぞれ独立して炭素数1〜13のアルキル基(このような置換基を有するアミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。以下同様に括弧内はアミンの一例を示す。)、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えばシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン)、フェニル基、ナフチル基等のアリール基(例えばトリフェニルアミン、1−ナフチルアミン)、ヒドロキシアルキル基(例えばトリエタノールアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン)、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基(例えばベンジルアミン、フェネチルアミン)、トリル基、キシリル基等のアルキルアリール基(例えばトルイジン、キシリルアミン)、あるいは、シクロペンテニル基(例えばシクロペンテニルアミン、ジシクロペンテニルアミン)、シクロペンタジエニル基(例えばシクロペンタジエニルアミン、トリシクロペンタジエニルアミン)、シクロヘキセニル基(例えばシクロヘキセニルアミン、トリシクロヘキセニルアミン)、ピローリル基(例えばピロール、1−メチルピロリジン)、ピリジル基(例えばピリジン、1−メチルピリジン)、ピラゾリル基(例えばピラジン、1−メチル−1H−ピラゾール)、イミダゾリル基(イミダゾール、1-メチル-1H-イミダゾール)、フラニル基(例えばフラン−3−イルアミン、フラン−2−イルアミン)、ピラニル基(例えば6H-ピラン−3−イルアミン、6H−ピラン−2−イルアミン)、チオフェン基(例えばチオフェン−3−イルアミン、チオフェン−2−イルアミン)、イソチアゾリル基(例えば3−アミノイソチアゾール、3−アミノ−5−メチルイソチアゾール)、イソオキサゾリル基(例えば3−アミノ−5−メチルイソオキサゾール)、ピリミジニル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子をヘテロ原子として0〜2個有する5又は6員環基(例えば2−メチルピリミジン、4−エチルピリミジン)が挙げられる。又、置換基間で結合して環を形成してもよい(例えばキヌクリジン、ジアザビシクロオクタン、2−ベンゾフラニルアミン)。
反応収率や選択率の観点から、添加するアミンとしては三級のアミンが特に望ましい。具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミン、キヌクリジン、ピロール、ピリジンなどを挙げることができる。コストや反応収率から考えるとトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが特に好ましい。
工程(2)においてアミンを使用する場合、添加するアミンの量は、式(IVa)及び/又は(IVb)で表される構造を有するα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩に対して任意に設定できるが、反応収率とコストを考えると、0.01〜10当量が望ましく、0.1〜5当量がさらに望ましい。
前記エノール塩の水溶液中に添加するアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどが挙げられるが、製造コストや塩基性化合物の水への溶解度や操作性などを考慮すると、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムが好ましい。添加するアルカリ金属炭酸塩の量としては、エノール塩に対して0.01〜5倍モルが好ましく、0.1〜2倍モルがさらに好ましい。
工程(2)においては、工程(1)で使用した溶媒をそのまま用いてもよいし、必要に応じてさらに溶媒を用いても良い。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、水、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの極性溶媒、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化物類などが挙げられる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。
溶媒量は、エノール塩の重量に対して0.01〜30倍が望ましく、釜効率を考慮すると0.1〜10倍がより望ましい。
反応温度は特に限定されないが、−20℃から溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、合成されるα−メチレン類が重合しやすい化合物であることを考えると、0〜50℃の間で設定するのが望ましい。
反応時間は、反応温度にも因るが特に限定されず、0.1〜24時間の間で任意に設定できるが、製品の安定性などを考慮すると、0.5〜5時間の間で設定するのが望ましい。
次に工程(3)について説明する。本発明においては、式(IVa)及び/又は(IVb)で表される構造を有するα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩からメチレン化するにあたって、副生するシュウ酸化合物、特にシュウ酸アルカリ金属塩のろ過に際しての作業性の向上に特徴があり、式(I)の構造を有する化合物の形態に影響されるものではない。
反応後は、析出物をろ過により除去してから、ろ液からα−メチレン類を抽出するが、反応液中に副生物が多量に析出し、この析出物は非常に微細であるため、そのままの状態でろ過を行うと、フィルターの目詰まりにより長時間を要する。そこで、本発明では、ろ過性や作業性を向上させるために、α−メチレン類を含有する反応液にシュウ酸カリウムを添加してから、ろ過する。
添加するシュウ酸カリウムは無水物であってもよい。添加するシュウ酸カリウムの添加量は、エノール塩の重量に対して0.001〜10倍が望ましく、コストやろ過性および作業性を考慮すると0.01〜1倍がより望ましい。
シュウ酸カリウムは、例えば工程(2)の原料仕込み時に添加しても良いし、工程(2)の反応中に添加しても良いし、工程(3)のろ過の前に添加しても良いが、ろ過性および作業性を考慮すると工程(2)の原料仕込み時あるいは反応中に添加することが好ましい。
析出物をろ過により除去する方法は特に限定されないが、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離などの方法が挙げられる。
ろ過する際の温度は−20℃から溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、ろ過性および作業性を考慮すると0〜30℃の間で設定するのが望ましい。
ろ液から、生成したα−メチレン類を回収する方法としては、溶媒によって抽出し、抽出液を濃縮する方法が好ましい。用いる溶媒は、目的の化合物を溶解し、水と二液相を成すものであればいずれのものも使用できるが、前記反応溶媒が好ましい。抽出溶媒は、ろ過の前に添加しても良いし、ろ過後に添加しても良い。溶媒相(有機相)が水相の上(上相)になる場合は、デカンテーションにより、下相となる場合は、分液ロートなどにより有機相を分離することができる。さらに、水相からの再抽出やろ過残渣の洗浄による洗浄液からの抽出を同様に行い、目的物の回収率を高めることができる。
ろ過に先駆けてシュウ酸カリウムを添加することによりろ過の操作性が向上する理由は明らかではないが、種晶としての効果と考えている。
その後、分離した有機相は通常の操作により濃縮し、濃縮残渣に対し、減圧蒸留、薄膜蒸留などの精製操作を行い製品を取得することができる。その際、α−メチレン類の重合防止のために、系内に重合防止剤を存在させることが好ましい。重合防止剤の種類は特に限定されないし、単独で用いても2種以上を併用しても良い。
重合防止剤は、例えば工程(2)の反応前の原料仕込み時に添加しても良いし、工程(2)の反応液に添加しても良いし、工程(3)のろ液や抽出液に添加しても良いし、濃縮の前後や蒸留の前後に入れても良い。
重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、tert−ブチル−カテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトール、テトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェノールなどのフェノール系化合物、N,N−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニレン−N−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルフェニル)−パラフェニレンジアミン、N−(1,4−ジメチルフェニル)−N’−フェニル−パラフェニレンジアミンなどのアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケイトなどのN−オキシル系化合物、銅、塩化銅(II)、塩化鉄(III)などの金属化合物などが挙げられる。
重合防止剤の使用量は、適宜決めれば良いが、α−メチレン類に対して10ppm以上が好ましく、効果を十分発揮させるには50ppm以上がより好ましい。一方、コスト面から考えると重合防止剤の使用量は、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
また、反応液中に空気などの酸素含有ガスをバブリングすることによって重合防止をすることもできる。導入する空気などの酸素含有ガスの量は、所望の重合防止効果が得られるように適宜設定できる。例えば、酸素含有ガスとして空気を用いる場合、使用する原料1モルに対して0.5〜3.0ml/minでバブリングすることが好ましい。化合物(V)を含む反応液に重合防止剤を存在させ、併せて反応液中に空気などの酸素含有ガスを導入しながら反応を行うことは重合防止効果の増幅という観点から特に好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
生成物の同定は核磁気共鳴装置(H−NMR)で行い、純度分析はガスクロマトグラフィー(GC)により実施した。
<比較例1>
〔α−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液25.1g(0.13モル)、トルエン100mLをスリーワンモーターに連動した攪拌羽を付けて窒素置換した三口フラスコに仕込み、氷水で冷却した。シュウ酸ジメチルエステル21.2g(0.18モル)を投入し、次いでβ−メチル−γ−ブチロラクトン10.0g(0.10モル)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌を続けた。その後、反応液中のメタノールを水浴50℃に設定したエバポレーターにて減圧下、留去してスラリー状のα−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得た。
〔α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩に30%炭酸カリウム水溶液55.3g(0.12モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、氷冷下で2時間攪拌した。反応液を桐山製ろ紙(No.5B)を敷いた桐山ロートに移し、アスピレーターにより析出物を減圧ろ過したが、ろ過性が悪く全ての反応液をろ過するために30分以上時間を要した。
<実施例1>
比較例1と同様にα−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を合成し、得られたエノール塩に30%炭酸カリウム水溶液55.3g(0.12モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)、シュウ酸カリウム一水和物1.8g(0.01モル)を加え、氷冷下で2時間攪拌した。そして反応液を桐山製ろ紙(No.5B)を敷いた桐山ロートに移し、アスピレーターにより析出物を減圧ろ過したところ、全ての反応液を10分でろ過できた。そしてろ過した析出物をトルエン20mLで洗浄、ろ過した。ろ液の有機相と水相をデカントにて分離し、さらに水相にトルエン100mlを加えて目的物を再抽出した。得られた有機相を合わせ、これに4−メトキシフェノール(100mg)を添加して、水浴40℃に設定したエバポレーターにて濃縮後、得られた濃縮残渣を減圧蒸留してα−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン8.4gを得た(収率:75%、GC純度:99%)。
<実施例2>
比較例1と同様にα−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を合成し、得られたエノール塩に30%炭酸カリウム水溶液55.3g(0.12モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、室温にて2時間攪拌した。この反応液にシュウ酸カリウム一水和物1.8g(0.01モル)を加え、30分氷冷下で攪拌した後、反応液を小林製布製ろ布(ミラクルろ布)を敷いて加圧ろ過したところ、全ての反応液を3分でろ過できた。そしてろ過した析出物をトルエン20mLで洗浄、ろ過した。ろ液の有機相と水相をデカントにて分離し、さらに水相にトルエン100mlを加えて目的物を再抽出した。得られた有機相を合わせ、これに4−メトキシフェノール(100mg)を添加して、水浴40℃に設定したエバポレーターにて濃縮後、得られた濃縮残渣を減圧蒸留してα−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン8.7gを得た(収率:77%、GC純度:99%)。
<実施例3>
〔α−メチルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
γ−ブチロラクトン8.6g(0.10モル)を用いた以外は比較例1と同様に実施し、α−メチルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を合成した。
〔α−メチレン−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩にトリエチルアミン12.1g(0.12モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、氷冷下で2時間攪拌した。この反応液にシュウ酸カリウム一水和物1.8g(0.01モル)を加え、30分氷冷下で攪拌した後、反応液を小林製布製ろ布(ミラクルろ布)を敷いて加圧ろ過したところ、全ての反応液を3分でろ過できた。そしてろ過した析出物をトルエン20mLで洗浄、ろ過した。ろ液の有機相と水相をデカントにて分離し、さらに水相にトルエン100mlを加えて目的物を再抽出した。得られた有機相を合わせ、これに4−メトキシフェノール(100mg)を添加して、水浴40℃に設定したエバポレーターにて濃縮後、得られた濃縮残渣を減圧蒸留してα−メチレン−γ−ブチロラクトン7.3gを得た(収率:74%、GC純度:99%)。
〔α−メチルオキサリル−シクロヘキサノンのエノール塩の合成〕
シクロヘキサノン9.8g(0.10モル)を用いた以外は比較例1と同様に実施し、α−メチルオキサリル−シクロヘキサノンのエノール塩を合成した。
〔α−メチレン−シクロヘキサノンの合成〕
得られたエノール塩に実施例2と同様の操作を実施し、α−メチレン−シクロヘキサノン5.5gを得た(収率:50%、GC純度:95%)。
〔α−メチルオキサリル−ヘキサン酸メチルエステルのエノール塩の合成〕
ヘキサン酸メチルエステル13.0g(0.10モル)を用いた以外は比較例1と同様に実施し、α−メチルオキサリル−ヘキサン酸メチルエステルのエノール塩を合成した。
〔α−メチレン−ヘキサン酸メチルエステルの合成〕
得られたエノール塩に実施例2と同様の操作を実施し、α−メチレン−ヘキサン酸メチルエステル7.5gを得た(収率:53%、GC純度:96%)。

Claims (4)

  1. (1)下記式(I)
    Figure 2009007300
    で表される構造を有する化合物と一般式(II)
    Figure 2009007300
    〔式(II)中、R1は直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
    で表されるシュウ酸エステルと一般式(III)
    2−OM (III)
    〔式(III)中、R2は直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示す。〕
    で表されるアルコラートとを作用させ、一般式(IVa)及び/又は(IVb)
    Figure 2009007300
    〔式(IVa)、(IVb)中、R1、R2、Mは前記と同様〕
    で表される構造を有する相当するα−アルキルオキサリル化合物のエノール塩を得る工程、
    (2)前記エノール塩とホルムアルデヒド類と、アミン及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応させて下記式(V)
    Figure 2009007300
    で表される構造を有する相当するα−メチレン類を得る工程とを有し、
    (3)α−メチレン類の分離工程において、α−メチレン類を含有する反応液にシュウ酸カリウムを添加し、反応液中に存在する析出物をろ過により除去し、ろ液からα−メチレン類を抽出することを特徴とするα−メチレン類の製造方法。
  2. 請求項1記載のアルカリ金属炭酸塩が炭酸カリウムであることを特徴とするα−メチレン類の製造方法。
  3. 式(I)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(I−a)及び(I−b)から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載のα−メチレン類の製造方法。
    Figure 2009007300
    (式(I−a)中のR4は炭素数1〜10の炭化水素基、R5はOR7(R7は炭素数1〜10の炭化水素基)又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、式(I−b)中のXは酸素原子又はメチレン基、R6は炭素数1〜10の炭化水素基、nは1〜10の整数、jは0〜2nの整数である。)
  4. 式(1)で表される構造を有する化合物が、式(I−b)においてXが酸素原子となる環状エステル(ラクトン)であることを特徴とする請求項3記載のα−メチレン化合物の製造方法。
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