JP2009007237A - 高周波加熱炉を利用した炭素ナノチューブの大量合成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応に必要な温度で、炭素ナノチューブを安定して連続的に大量生産できる高周波加熱炉を利用した炭素ナノチューブ大量合成装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置では、高周波加熱炉10の反応チャンバ1の内部に金属触媒と反応ガスとを反応ガス投入口13および触媒投入口7を通じて供給し、反応チャンバ1内部の気相で、金属触媒と分解された炭化ガスとが反応して炭素ナノチューブが生成される。反応チャンバ1内での反応後の炭化ガスと炭素ナノチューブは、熱交換器2を通過して濾過器6に移動し、濾過器6においてそれぞれ分離され、炭素ナノチューブは回収装置3で回収され、反応後のガス中の炭化水素は空気中で燃焼させて排出器4を通じて装置の外部に排出され、窒素およびアルゴンなどの非反応性ガスは回収されて再び反応チャンバ1内に投入される。本発明での装置は、大気圧下で炭素ナノチューブの大量合成が可能であり、別途の真空装置が不要であり、設備の規模およびコストを最小化できる。
【選択図】図3
【解決手段】本発明の装置では、高周波加熱炉10の反応チャンバ1の内部に金属触媒と反応ガスとを反応ガス投入口13および触媒投入口7を通じて供給し、反応チャンバ1内部の気相で、金属触媒と分解された炭化ガスとが反応して炭素ナノチューブが生成される。反応チャンバ1内での反応後の炭化ガスと炭素ナノチューブは、熱交換器2を通過して濾過器6に移動し、濾過器6においてそれぞれ分離され、炭素ナノチューブは回収装置3で回収され、反応後のガス中の炭化水素は空気中で燃焼させて排出器4を通じて装置の外部に排出され、窒素およびアルゴンなどの非反応性ガスは回収されて再び反応チャンバ1内に投入される。本発明での装置は、大気圧下で炭素ナノチューブの大量合成が可能であり、別途の真空装置が不要であり、設備の規模およびコストを最小化できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、炭素ナノチューブの大量合成装置に係り、より詳細には、炭素ナノチューブを連続的に大量生産するために高周波誘導炉と流体流動方式とを用いた炭素ナノチューブ大量合成装置に関する。
炭素ナノチューブ(Carbon Nanotubes)は、チューブの直径がわずか数十ナノメートルであり、電気伝導度が銅と類似しており、熱伝導率は自然界で最も優れたダイアモンドと同程度であり、強度は鋼鉄の10万倍に達し、変形に対する耐性や引張力に対する大変優れた特性を有し、未来新素材としての特性を均等に兼ね備えており、産業の全般的な分野で多くの利用価値を有している。
炭素ナノチューブを製造する生産方式は、炭素ナノチューブ合成エネルギーを如何に使うかによって、プラズマ式、電気放電式、レーザー蒸着式、電気炉式などに分けられ、また、金属触媒の投入方式によって、気相合成と基板合成等に分けられる。
炭素ナノチューブを大量生産するために最近試みられているプラズマ方式は、高温のチャンバ内部で炭化ガスおよび触媒をプラズマ熱源と直接接触させることにより炭素ナノチューブを製造する方式であり、電気放電式は、真空チャンバ内で正極と負極とにそれぞれ直径が異なる黒鉛棒を一定距離だけ離隔して配置した後、電気放電を誘導して炭素ナノチューブを生産する方式である。しかし、このような高熱を利用した合成方法は、炭素ナノチューブの結晶性は優れているが、炭素(カーボン)ナノチューブと共に不純物であるカーボンフレーク(これは炭素ナノチューブと同じ結晶性を有する)も同時に生成されるという欠点がある。そして、炭素ナノチューブの直径制御が困難である。また、レーザー蒸着による加熱には、合理的な作業が難しいために温度制御が不確実で、品質管理が難しいという問題がある。
また、プラズマ、電気放電法のような高熱の熱源を使う合成法の代わりに、電気炉を利用した流体流動方式が提示されている。電気炉を利用した流体流動方式は、大量生産の方法としては適しているが、熱を供給するヒーターの温度の昇降時間が長くかかりすぎるという欠点と、電気炉の形態がいったん決定されると炉の大きさおよび形態を修正できないという欠点とを有している。
特開2000−281323
本発明の目的は、反応に必要な温度で、炭素ナノチューブを安定して連続的に大量生産できる炭素ナノチューブ大量合成装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、高周波加熱炉を利用した炭素ナノチューブの大量合成装置であって、金属触媒と反応ガスとを共に供給されて高周波誘導加熱によって炭素ナノチューブを合成する垂直管型の反応チャンバ1と、前記反応チャンバ1に高周波を供給する高周波発振器11と、前記反応チャンバ1で合成された炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを通過させる熱交換器2と、前記熱交換器2を経た炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを分離する濾過器6と、前記濾過器6を経た炭素ナノチューブを回収する回収装置3と、前記濾過器6を経た反応後に残ったガスのうちの炭化水素を外部に排出させる排
出器4と、前記濾過器6を経た反応後に残ったガスのうちの不活性ガスを収容して前記反応チャンバ1に再投入するガス循環器5とを備えることを特徴とする炭素ナノチューブの大量合成装置をその要旨とする。
出器4と、前記濾過器6を経た反応後に残ったガスのうちの不活性ガスを収容して前記反応チャンバ1に再投入するガス循環器5とを備えることを特徴とする炭素ナノチューブの大量合成装置をその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の炭素ナノチューブの大量合成装置において、前記高周波誘導加熱に利用される周波数が、50〜60Hz、100Hz〜10KHz、10KHz〜500KHz、および100KHz〜500KHzから選択されることをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、前記反応ガスが、炭化水素および窒素、または炭化水素およびアルゴンを含むことをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、前記触媒が、鉄および二ッケルから選択されることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、前記触媒が、鉄および二ッケルから選択されることをその要旨とする。
本発明の炭素ナノチューブの大量合成装置の特徴および構成について以下、添付図面によってさらに説明する。
本発明の装置では、金属加熱で使われる高周波誘導加熱を用いて、炭素ナノチューブの反応チャンバが加熱される。
本発明の装置では、金属加熱で使われる高周波誘導加熱を用いて、炭素ナノチューブの反応チャンバが加熱される。
加熱の原理は、図1、図2Aおよび図2Bに示されるように、コイル53に交流(高周波)電流が流れると、渦電流損失とヒステリシス損失(磁性体の場合)との抵抗により、コイル53内に位置する金属などの導電体作業物52に熱が発生する。このように発生する熱エネルギーを、すなわち、被加熱物質である作業物52を加熱する誘導加熱を、炭素ナノチューブの大量合成装置に利用している。
図3は、本発明による装置の全体的な構成を概略的に表わしたものである。
図示したように、反応ガスと触媒とを、反応ガス投入口13および触媒投入口7を通じて、高周波加熱炉10の反応チャンバ1に投入する。投入される触媒としては、鉄、ニッケルなどの金属触媒を使い、反応ガスは、メタンガス、アセチレンガス,エチレンガス等の炭化ガス(すなわち炭化水素)を供給する。そして、高周波発振器11から高周波を供給されて、反応チャンバ1内部の気相で、金属触媒と分解された炭化ガスとが反応して炭素ナノチューブが生成される。
図示したように、反応ガスと触媒とを、反応ガス投入口13および触媒投入口7を通じて、高周波加熱炉10の反応チャンバ1に投入する。投入される触媒としては、鉄、ニッケルなどの金属触媒を使い、反応ガスは、メタンガス、アセチレンガス,エチレンガス等の炭化ガス(すなわち炭化水素)を供給する。そして、高周波発振器11から高周波を供給されて、反応チャンバ1内部の気相で、金属触媒と分解された炭化ガスとが反応して炭素ナノチューブが生成される。
本発明で使用する高周波加熱は、導電性金属を加熱する上記の誘導加熱を使って反応チャンバ1を加熱する。高周波誘導加熱に利用される周波数は、好ましくは低周波(使用周波数:50〜60Hz)および、中周波(使用周波数:100Hz〜10KHz)、高周波(使用周波数:10KHz〜500KHz)、ラジオ周波(使用周波数:100KHz〜500KHz)とし、特に、中周波、高周波、ラジオ周波を用いて加熱することができ、使用目的に合う周波数を幅広い範囲で選択して反応炉を設計できる。
周波数出力は、本発明において重要な要素のうちの一つであり、この周波数出力が決まれば、反応チャンバ1(反応炉)および装置全体の規模が決まる。
参考までに下記の表1は、高周波誘導加熱に使われうる周波数電源の種類とそのそれぞれの特性とを表わす。加熱機能はすべて同一であるが、装置の容量、設置コスト、その他の維持コストなどを考慮する時、下記の表に基づいて選定すれば助けになる。
参考までに下記の表1は、高周波誘導加熱に使われうる周波数電源の種類とそのそれぞれの特性とを表わす。加熱機能はすべて同一であるが、装置の容量、設置コスト、その他の維持コストなどを考慮する時、下記の表に基づいて選定すれば助けになる。
高周波加熱炉は、装置の大きさによる出力の選択において、多様な出力方式が検討され得る。すなわち、それぞれの出力方式の選択で電動発電機式(10kw〜600kw)、真空管式(2kw〜500kw)、サイリスタ式(10kw〜2000kw)、トランジ
スタ式(2kw〜300kw)の方式が使われ得る。それぞれの方式による高周波としては、周波数の範囲によって、低周波(50〜60Hz)、中周波(100Hz〜10KHz)、高周波(10KHz〜500KHz)などに分けられる。したがって、表1は、周波数範囲による電源装置の選択の方式と言える。なお、これらの4種の電源装置はInductron Korean Heating Machine Co., Ltd.、Daeshin(大信)Engineearing Co., Ltd.(DSH
シリーズ)、Osung(五星)Hitech Co., Ltd.(OHSシリーズ)、Dong Yang(東洋) Induction M.F. placeCo., Ltd.、Doosung(斗星)Induction Co.Ltd.等の製造業者から入手可
能である(これらの5社はいずれも4種の電源装置を製造している)。
スタ式(2kw〜300kw)の方式が使われ得る。それぞれの方式による高周波としては、周波数の範囲によって、低周波(50〜60Hz)、中周波(100Hz〜10KHz)、高周波(10KHz〜500KHz)などに分けられる。したがって、表1は、周波数範囲による電源装置の選択の方式と言える。なお、これらの4種の電源装置はInductron Korean Heating Machine Co., Ltd.、Daeshin(大信)Engineearing Co., Ltd.(DSH
シリーズ)、Osung(五星)Hitech Co., Ltd.(OHSシリーズ)、Dong Yang(東洋) Induction M.F. placeCo., Ltd.、Doosung(斗星)Induction Co.Ltd.等の製造業者から入手可
能である(これらの5社はいずれも4種の電源装置を製造している)。
参考までに、通常の電気炉の温度は、約1,100℃程度まで上がるが、装置の安定性問題で、実際の使用温度は1,000℃程度である。したがって、温度を1,500〜2,000℃まで上げるためには、多くの無理が伴う。実際に、安定な反応を誘導するために、それぞれの反応工程の区間で1,500℃程度の温度が必要であり得る状況において、反応区間と温度の範囲が制限されている電気炉だけでは、反応に適した温度と反応区間とを調節することは困難である。
しかし、本発明によれば、各反応区間別に温度を自由に制御できる熱源を提供するため、高周波加熱炉の反応チャンバ内の区間別の温度制御が容易である。また、高周波加熱コイルの内部にある反応チャンバは、反応状況によって必要な大きさの反応チャンバと取り替えやすいという利点と、反応工程に適するように反応チャンバの形状および大きさの設計を自由に変更できるという利点もある。
特に、本発明では、反応チャンバの特定反応部位で自由に高温加熱を選択して、反応を安定に成しうる。
1,500℃程度の高温を得るためには、従来のプラズマ方式を思うこともでき、プラズマ方式でもチューブの量産は可能ではあるが、チューブの反応がプラズマと直接接触しながら起きるためにチューブの直径および長さの制御が困難であるという欠点がある。
1,500℃程度の高温を得るためには、従来のプラズマ方式を思うこともでき、プラズマ方式でもチューブの量産は可能ではあるが、チューブの反応がプラズマと直接接触しながら起きるためにチューブの直径および長さの制御が困難であるという欠点がある。
しかし、本発明によって高周波加熱炉を使ったシステムによれば、チューブの直径制御、長さ制御などの問題を解決することができ、大量生産可能なシステムとして構成できる。
図3に基づいて、本発明の構成を引き続き説明する。
反応チャンバ1内で反応して合成された炭素ナノチューブと合成反応に使われた炭化ガスは、熱交換器2を通過して濾過器6に送られる。濾過器6では、炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを分離する。すなわち、炭素ナノチューブは、回収装置3を通じて回収され、反応後に残ったガスのうち、炭化水素は、空気中で燃焼させて排出器4を通じて外部に放出され、窒素、アルゴンなどの不活性ガス(非反応性ガス)は回収されてガス循環器5を通じて循環通路9を経て、再び反応チャンバ1に反応ガスと共に供給される。
反応チャンバ1内で反応して合成された炭素ナノチューブと合成反応に使われた炭化ガスは、熱交換器2を通過して濾過器6に送られる。濾過器6では、炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを分離する。すなわち、炭素ナノチューブは、回収装置3を通じて回収され、反応後に残ったガスのうち、炭化水素は、空気中で燃焼させて排出器4を通じて外部に放出され、窒素、アルゴンなどの不活性ガス(非反応性ガス)は回収されてガス循環器5を通じて循環通路9を経て、再び反応チャンバ1に反応ガスと共に供給される。
このように、本発明による炭素ナノチューブの大量合成装置は、高周波加熱炉10と流体流動方式とを用いるため、安定した反応チャンバ1の内部への金属触媒の安定的供給が可能となり、反応チャンバ1で連続的に触媒と炭化ガスとを反応させて大量に炭素ナノチューブを合成できる。
さらに、本発明による高周波加熱炉を利用した大量合成装置では、反応温度の調節および反応チャンバ1などの形態、設置および構造の変更を容易に行うことができ、電気炉などの他の設備よりも設置コストが低廉である。特に、大気圧下での炭素ナノチューブの大量合成が可能であり、別途の真空装置が不要であり、これは設備の規模およびコストを低減する。
また、本発明で利用している高周波誘導加熱は、反応チャンバ1を均一な加熱温度で急速に加熱できると共に、反応チャンバ1の特定部位だけを急速に加熱できるという利点を有する。これにより、加熱時間の短縮による工程時間の短縮と、反応チャンバ1の部分別温度制御とが可能となり、反応チャンバ1の温度制御において他の如何なる装置より優れている。言い換えれば、炭素ナノチューブ合成の重要な要素のうちの一つが温度制御であるが、高周波誘導加熱によれば、加熱コイルによる精緻で広い領域にわたる温度制御が容易であり、反応チャンバ1内の反応温度調節が容易であり、反応チャンバ1内の炭化ガスと金属触媒との反応を安定した温度条件とガスの流れで起きるようにして、多様な構造の炭素ナノチューブ(MWCNT、DWCNT、SWCNT)の合成を進行できる。
また、装置の運転、停止が瞬時に可能であり、必要な時に直ちに使用することが可能である。
前述した本発明は、前述した実施形態および添付図面に限定されるものではなく、当業者には、本発明の技術的思想を外れない範囲内でさまざまな置換、変更が可能であり、それらの置換物および変更物も本発明の範囲に包含されるものとする。
前述した本発明は、前述した実施形態および添付図面に限定されるものではなく、当業者には、本発明の技術的思想を外れない範囲内でさまざまな置換、変更が可能であり、それらの置換物および変更物も本発明の範囲に包含されるものとする。
1:反応チャンバ
2:熱交換器
3:回収装置
4:排出器
5:ガス循環器
6:濾過器
7:金属触媒
10:高周波加熱炉
11:高周波発振器
13:反応ガス
52:導電体作業物
53:コイル
2:熱交換器
3:回収装置
4:排出器
5:ガス循環器
6:濾過器
7:金属触媒
10:高周波加熱炉
11:高周波発振器
13:反応ガス
52:導電体作業物
53:コイル
Claims (4)
- 高周波加熱炉を利用した炭素ナノチューブの大量合成装置であって、
金属触媒と反応ガスとを共に供給されて高周波誘導加熱によって炭素ナノチューブを合成する反応チャンバ1と、
前記反応チャンバ1に高周波を供給する高周波発振器11と、
前記反応チャンバ1で合成された炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを通過させる熱交換器2と、
前記熱交換器2を経た炭素ナノチューブと反応後に残ったガスとを分離する濾過器6と、
前記濾過器6を経た炭素ナノチューブを回収する回収装置3と、
前記濾過器6を経た反応後に残ったガスのうちの炭化水素を外部に排出させる排出器4と、
前記濾過器6を経た反応後に残ったガスのうちの不活性ガスを収容して前記反応チャンバ1に再投入するガス循環器5と、
を備えることを特徴とする炭素ナノチューブの大量合成装置。 - 前記高周波誘導加熱に利用される周波数は、50〜60Hz、100Hz〜10KHz、10KHz〜500KHz、および100KHz〜500KHzから選択されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの大量合成装置。
- 前記反応ガスは、炭化水素および窒素、または炭化水素およびアルゴンを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの大量合成装置。
- 前記触媒は、鉄およびニッケルから選択されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの大量合成装置。
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