JP2009007226A - 摺動装置、摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

摺動装置、摺動部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009007226A
JP2009007226A JP2007172316A JP2007172316A JP2009007226A JP 2009007226 A JP2009007226 A JP 2009007226A JP 2007172316 A JP2007172316 A JP 2007172316A JP 2007172316 A JP2007172316 A JP 2007172316A JP 2009007226 A JP2009007226 A JP 2009007226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding member
sliding
sialon
dense layer
molded body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007172316A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5024788B2 (ja
Inventor
Katsutoshi Muramatsu
勝利 村松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2007172316A priority Critical patent/JP5024788B2/ja
Publication of JP2009007226A publication Critical patent/JP2009007226A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5024788B2 publication Critical patent/JP5024788B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

【課題】安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材とその製造方法、および当該摺動部材を備えた摺動装置を提供する。
【解決手段】摺動装置である球面滑り軸受1を構成する摺動部材である外輪11および内輪12は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そして、内輪12および外輪11と接触する面である外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aを含む領域には、内部11C,12Cよりも緻密性の高い層である外輪緻密層11Bおよび内輪緻密層12Bが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は摺動装置、摺動部材およびその製造方法に関し、より特定的には、構成部品にβサイアロンを主成分とする焼結体を採用した摺動装置、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材およびその製造方法に関するものである。
窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて比重が小さく、かつ耐食性が高いだけでなく、絶縁性を有するという特徴を備えている。そのため、滑り軸受、動圧型軸受ユニットなどの摺動装置を構成し、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材の素材にセラミックスを採用した場合、摺動装置の軽量化が可能となるとともに、摺動部材の腐食による損傷、構成部品の電食による摺動装置の短寿命化などを抑制することができる。
しかし、窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて製造コストが高いため、摺動装置の構成部品の素材としてセラミックスを採用すると、摺動装置の製造コストが大幅に上昇するという問題点があった。
これに対し、近年、セラミックスであるβサイアロンを、燃焼合成法を含む製造工程により製造することにより、低コストで製造する方法が開発された(たとえば特許文献1〜3参照)。そのため、このβサイアロンを構成部品である摺動部材の素材として採用した低価格な摺動装置の製造が検討され得る。
特開2004−91272号公報 特開2005−75652号公報 特開2005−194154号公報
しかしながら、上記βサイアロンを摺動部材の素材として採用するためには、βサイアロンからなる摺動部材が十分な耐摩耗性を有している必要がある。耐摩耗性は、摺動部材の破壊強度等とは必ずしも一致せず、βサイアロンからなる摺動部材も、必ずしも十分な耐摩耗性を有しているとはいえない。そのため、βサイアロンからなる摺動部材を備えた摺動装置においても、十分な耐久性を安定して確保することは容易ではないという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体(βサイアロンを主成分とする焼結体)からなる摺動部材とその製造方法、および当該摺動部材を備えた摺動装置を提供することである。
本発明の一の局面における摺動部材は、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材であって、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そして、当該他の部材と接触する面である接触面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。
本発明の他の局面における摺動部材は、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材であって、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されている。そして、当該他の部材と接触する面である接触面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。
本発明者は、βサイアロンを主成分とする摺動部材の耐摩耗性と、摺動部材の構成との関係を詳細に調査した。その結果、以下の知見が得られ、本発明に想到した。
すなわち、上述のβサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程を採用することにより、上記zの値(以下、z値という)が0.1以上となる種々の組成を有するものが製造可能である。そして、一般に耐摩耗性に大きな影響を与える硬度は、製造の容易なz値4.0以下の範囲において、ほとんど変化しない。しかしながら、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材の耐摩耗性とz値との関係を詳細に調査したところ、z値が3.5を超えると摺動部材の耐摩耗性が大幅に低下することが分かった。
より具体的には、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、耐摩耗性はほぼ同等であるが、z値が3.5を超えると摺動部材の耐摩耗性が大幅に低下するという現象が明らかとなった。したがって、βサイアロンからなる摺動部材において、安定して十分な耐摩耗性を確保するためには、z値を3.5以下とする必要がある。
一方、上述のように、βサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程により製造することにより、安価に製造することができる。しかし、z値が0.1未満では、燃焼合成の実施が困難となることが分かった。そのため、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材を安価に製造するためには、z値を0.1以上とする必要がある。
これに対し、本発明の摺動部材は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体、または残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されている。
さらに、上述のβサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材においては、その緻密性が摺動部材において最も重要な耐久性の1つである耐摩耗性に大きく影響する。これに対し、上記本発明の摺動部材は、βサイアロンを主成分とする焼結体からなり、接触面を含む領域に内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。その結果、本発明の摺動部材によれば、安価でありながら、耐摩耗性が向上することにより十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材を提供することができる。
ここで、上記本発明の他の局面における摺動部材は、摺動部材の用途等を考慮し、焼結助剤を含んでいる。これにより、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、安価でありながら、耐摩耗性が向上することにより十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材を、容易に提供することができる。
なお、緻密性の高い層とは、焼結体において空孔率の低い(密度の高い)層であって、たとえば以下のように調査することができる。まず、摺動部材の表面に垂直な断面において摺動部材を切断し、当該断面を鏡面ラッピングする。その後、鏡面ラッピングされた断面を光学顕微鏡の斜光(暗視野)にて、たとえば50〜100倍程度で撮影し、300DPI(Dot Per Inch)以上の画像として記録する。このとき、白色の領域として観察される白色領域は、空孔率の高い(密度の低い)領域に対応する。したがって、白色領域の面積率が低い領域は、当該面積率が高い領域に比べて緻密性が高い。そして、画像処理装置を用いて記録された画像を輝度閾値により2値化処理した上で白色領域の面積率を測定し、当該面積率により、撮影された領域の緻密性を知ることができる。つまり、上記本発明の摺動部材では、接触面を含む領域に内部よりも白色領域の面積率の低い層である緻密層が形成されている。なお、上記撮影は、ランダムに5箇所以上で行ない、上記面積率は、その平均値で評価することが好ましい。また、摺動部材の内部における上記白色領域の面積率は、たとえば15%以上である。
また、摺動部材の耐摩耗性を一層向上させるためには、上記緻密層は100μm以上の厚みを有していることが好ましい。さらに、上記他の局面における摺動部材に採用される焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、希土類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち少なくとも一種類以上を選択することができる。また、上記本発明の一の局面における摺動部材と同等の作用効果を奏するためには、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以下とすることが望ましい。
上記摺動部材において好ましくは、緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。
白色領域の面積率が7%以下となる程度に上記緻密層の緻密性を向上させることで、摺動部材の耐摩耗性がより向上する。したがって、上記構成により、本発明の摺動部材の耐久性を一層向上させることができる。
上記摺動部材において好ましくは、緻密層の表面を含む領域には、当該緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている。
緻密性のさらに高い高緻密層が緻密層の表面を含む領域に形成されることにより、摺動部材の耐摩耗性が一層向上する。
上記摺動部材において好ましくは、高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である。
白色領域の面積率が3.5%以下となる程度に上記高緻密層の緻密性を向上させることで、摺動部材の耐摩耗性を一層向上させることができる。
本発明に従った摺動装置は、上述の本発明の摺動部材を備えている。本発明の摺動装置によれば、上記本発明の摺動部材を備えていることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材を備えた摺動装置を提供することができる。
本発明の一の局面における摺動部材の製造方法は、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材の製造方法である。この摺動部材の製造方法は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる原料粉末が準備される工程と、原料粉末が摺動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えている。
本発明の他の局面における摺動部材の製造方法は、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材の製造方法である。この摺動部材の製造方法は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる原料粉末が準備される工程と、原料粉末が摺動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えている。
セラミックスの焼結体からなる摺動部材の製造方法においては、摺動部材の耐摩耗性を低下させる欠陥の発生を抑制する目的で、熱間静水圧焼結法(Hot Isostatic Press;HIP)やガス圧焼結法(Gas Pressured Sintering;GPS)などの加圧焼結法(通常10MPa以上の圧力下で焼結を行なう方法)による焼結が採用されるのが一般的である。この従来の製造方法によれば、摺動部材の気孔率が低下し、密度の高い摺動部材を製造することができる。しかし、加圧焼結法を採用した従来の製造方法は、製造コストの上昇を招来する。さらに、加圧焼結法を採用した製造方法では、摺動部材の表層部に材質が変質した異常層が形成される。そのため、摺動部材の仕上げ加工において、当該異常層を除去する必要が生じ、摺動部材の製造コストが一層上昇する。一方、加圧焼結法を採用しない場合、摺動部材の気孔率が増加して欠陥が発生し、摺動部材の耐摩耗性が低下するという問題点があった。
これに対し、本発明者は、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結して摺動部材を製造することにより、摺動部材の表面に形成される接触面(表面)を含む領域に、内部よりも緻密性の高い緻密層を形成可能であることを見出した。上記本発明の摺動部材の製造方法においては、βサイアロンを主成分とする成形体が1MPa以下の圧力下で焼結される工程を含むことにより、加圧焼結の採用に伴う製造コストの上昇を抑制しつつ、接触面を含む領域に緻密層を形成することができる。その結果、本発明の摺動部材の製造方法によれば、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材を、安価に製造することができる。
なお、成形体が焼結される工程は、βサイアロンの分解を抑制するため、0.01MPa以上の圧力下で行なうことが好ましく、低コスト化を考慮すると大気圧以上の圧力下で行なうことがより好ましい。また、製造コストを抑制しつつ緻密層を形成するためには、成形体が焼結される工程は1MPa以下の圧力下で行なうことが好ましい。
上記摺動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される工程では、1550℃以上1800℃以下の温度域で成形体が焼結される。
成形体が焼結される温度が1550℃未満では、焼結による緻密化が進みにくいため、成形体が焼結される温度は1550℃以上であることが好ましく、1600℃以上であることがより好ましい。一方、成形体が焼結される温度が1800℃を超えると、βサイアロン結晶粒の粗大化による焼結体の機械的特性の低下が懸念されるため、成形体が焼結される温度は1800℃以下であることが好ましく、1750℃以下であることがより好ましい。
上記摺動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される工程では、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結される。
不活性ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロンの分解や組織変化を抑制することができる。また、窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロン焼結体の窒素および酸素の含有量を制御することができる。
上記摺動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される前に、成形体の表面が加工される工程をさらに備えている。
成形体が焼結されると成形体の硬度が極めて高くなり、加工が困難となる。そのため、焼結後に、たとえば成形体の大幅な加工を行なって摺動部材として仕上げる仕上げ工程を採用することは、摺動部材の製造コストの上昇を伴う。これに対し、成形体の焼結前に成形体の加工を行なって、仕上げ工程などにおける焼結後の成形体の加工量を抑制することにより、摺動部材の製造コストを抑制することができる。特に、加圧焼結法を採用する製造方法では、異常層を除去するために焼結後に比較的大きな加工量が必要となるため、このような工程のメリットは小さいが、本発明の摺動部材の製造方法では、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結する工程が採用されているため、異常層を除去するための加工量が抑制されており、上記工程によるメリットは極めて大きい。
上記摺動部材の製造方法において好ましくは、焼結された成形体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される工程をさらに備えている。そして、焼結された成形体の表面が加工される工程において除去される当該成形体の厚みは150μm以下である。
上記本発明の摺動部材の製造方法においては、表面を含む領域に厚み150μm程度の上述の高緻密層が形成される。そのため、焼結された成形体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される工程、たとえば仕上げ工程が実施される場合、当該工程において除去される成形体の厚みを150μm以下とすることにより、摺動部材の接触面に高緻密層を残存させることができる。したがって、上記工程を採用することにより、一層耐摩耗性が向上した摺動部材を製造することができる。なお、高緻密層をより確実に残存させるためには、上記工程において除去される焼結された成形体の厚みは、100μm以下とすることがより好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の摺動装置、摺動部材およびその製造方法によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材とその製造方法、および当該摺動部材を備えた摺動装置を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1の摺動装置としての球面滑り軸受の構成を示す概略断面図である。図2は、図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1における摺動装置としての球面滑り軸受について説明する。
図1を参照して、実施の形態1の球面滑り軸受1は、摺動部材としての環状の外輪11と、外輪11の内周側に配置された摺動部材としての環状の内輪12とを備えている。外輪11の内周面には球面形状を有する外輪滑り面11Aが形成されており、内輪12の外周面には、球面形状を有する内輪滑り面12Aが形成されている。そして、外輪滑り面11Aと内輪滑り面12Aとが互いに接触するように、外輪11と内輪12とは配置されている。また、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aの少なくともいずれか一方には、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の皮膜が形成されていてもよい。
以上の構成により、球面滑り軸受1の外輪11と内輪12とは、互いに相対的に周方向に滑ることにより回転および揺動可能となっている。また、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aが球面形状であることにより、調心角αの範囲で外輪11の回転軸と内輪12の回転軸とが角度をなすことができる。
すなわち、図1および図2を参照して、摺動装置としての球面滑り軸受1を構成する外輪11および内輪12は、隣接する他の部材(内輪12および外輪11)に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材である。そして、摺動部材としての外輪11および内輪12は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。さらに、図2を参照して、当該他の部材と接触する面である接触面としての外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aを含む領域には、内部11C,12Cよりも緻密性の高い層である緻密層(外輪緻密層11Bおよび内輪緻密層12B)が形成されている。この外輪緻密層11Bおよび内輪緻密層12Bの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。
そのため、本実施の形態おける球面滑り軸受1は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材(外輪11および内輪12)を備えた摺動装置となっている。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
なお、上記本実施の形態においては、摺動部材としての外輪11および内輪12は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不可避的不純物からなる焼結体から構成されていてもよい。焼結助剤を含むことで、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材を備えた摺動装置を容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
さらに図2を参照して、外輪緻密層11Bおよび内輪緻密層12Bの表面である外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aを含む領域には、外輪緻密層11Bおよび内輪緻密層12B内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である外輪高緻密層11Dおよび内輪高緻密層12Dが形成されている。この外輪高緻密層11Dおよび内輪高緻密層12Dの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下となっている。これにより、外輪11および内輪12の耐摩耗性がより向上し、耐久性が一層向上している。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態1における摺動装置および摺動部材の製造方法について説明する。図3は、実施の形態1における摺動装置および摺動部材の製造方法の概略を示す流れ図である。
図3を参照して、本実施の形態における摺動装置および摺動部材の製造方法においては、まず、工程(S100)において、βサイアロンの粉末を準備するβサイアロン粉末準備工程が実施される。βサイアロン粉末準備工程においては、たとえば燃焼合成法を採用した製造工程により、安価にβサイアロンの粉末を製造することができる。
次に、工程(S200)において、βサイアロン粉末準備工程において準備されたβサイアロンの粉末に、焼結助剤を添加して混合する混合工程が実施される。この混合工程は、焼結助剤を添加しない場合、省略することができる。
次に、工程(S300)において、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物を、摺動部材の概略形状に成形する成形工程が実施される。具体的には、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物に、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転動造粒などの成形手法を適用することにより、摺動部材である外輪11、内輪12などの概略形状に成形された成形体が作製される。
次に、工程(S400)において、上記成形体の表面が加工されることにより、当該成形体が焼結後に所望の摺動部材の形状により近い形状になるよう成形される焼結前加工工程が実施される。具体的には、グリーン体加工などの加工手法を適用することにより、上記成形体が焼結後に外輪11、内輪12などの形状により近い形状になるように成形される。この焼結前加工工程は、成形工程において上記成形体が成形された段階で、焼結後に所望の摺動部材の形状に近い形状が得られる状態である場合には省略することができる。
次に、工程(S500)において、上記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される焼結工程が実施される。具体的には、上記成形体が、ヒータ加熱、マイクロ波やミリ波による電磁波加熱などの加熱方法により加熱されて焼結されることにより、外輪11、内輪12などの概略形状を有する焼結体が作製される。焼結は、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において、1550℃以上1800℃以下の温度域に上記成形体が加熱されることにより実施される。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などが採用可能であるが、製造コスト低減の観点から、窒素が採用されることが好ましい。
次に、工程(S600)において、焼結工程において作製された焼結体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される仕上げ加工が実施されることにより、摺動部材を完成させる仕上げ工程が実施される。具体的には、焼結工程において作製された焼結体の表面を研磨することにより、摺動部材としての外輪11、内輪12などを完成させる。以上の工程により、本実施の形態における摺動部材は完成する。
ここで、上記焼結工程における焼結により、焼結体の表面から厚み500μm程度の領域には、内部よりも緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下である緻密層が形成される。さらに、焼結体の表面から厚み150μm程度の領域には、緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下である高緻密層が形成されている。したがって、仕上げ工程においては、除去される焼結体の厚みは、特に接触面となるべき領域において150μm以下とすることが好ましい。これにより、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aを含む領域に、高緻密層を残存させ、摺動部材の耐摩耗性を向上させることができる。
そして、図3を参照して、工程(S700)において、上述のように作製された摺動部材が組合わされることにより摺動装置が組立てられる、組立て工程が実施される。具体的には、工程(S100)〜(S600)において作製された外輪11と内輪12とが組合わされて、上記本実施の形態における摺動装置としての球面滑り軸受1が組立てられる。これにより、本実施の形態における摺動装置の製造方法が完了し摺動装置としての球面滑り軸受1が完成する。ここで、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aの少なくともいずれか一方に、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の皮膜が形成されたうえで、外輪11と内輪12とが組合わされて、球面滑り軸受1が組立てられてもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態2における摺動装置について説明する。図4は、実施の形態2における摺動装置としての動圧型軸受ユニットを備えたスピンドルモータの構成を示す概略断面図である。また、図5は、図4の動圧型軸受ユニット付近を示す概略部分断面図である。また、図6は、動圧型軸受ユニットの要部を示す概略部分断面図である。
図4を参照して、スピンドルモータ3は、ハードディスクドライブ装置(Hard Disk Drive;HDD)の内部において、磁気ディスクを回転させるHDD用スピンドルモータである。このスピンドルモータ3は、図示しない磁気ディスクを保持するディスクハブ34と、ディスクハブ34を周方向に回転可能に保持する動圧型軸受ユニット2と、動圧型軸受ユニット2の外周面に設置されたモータステータ32と、モータステータ32に対向するようにディスクハブ34に設置されたモータロータ33とを備えている。動圧型軸受ユニット2は、ディスクハブ34に固定された軸部材28と、軸部材28を軸周りに回転可能に保持する軸受29とを含んでいる。以上の構成により、モータステータ32に図示しない電源から電流が供給されると、モータロータ33を軸回りに回転させる駆動力が発生し、ディスクハブ34は動圧型軸受ユニット2の軸受29に対して相対的に回転する。
次に、本実施の形態における動圧型軸受ユニットについて説明する。図5を参照して、動圧型軸受ユニット2は、軸部材28と、軸部材28の一部を取り囲み、軸部材28を軸周りに回転可能に保持する軸受部材27とを含んでいる。軸部材28は、円筒形状の軸部21と、軸部21の端部の外周を取り囲むように配置され、軸部21よりも外径の大きい円盤形状のフランジ部22とを有している。一方、軸受部材27は、軸部21の端面およびフランジ部22の一方の端面に所定の隙間を隔てて対向するように配置された平板状の底壁部24と、フランジ部22の外周面および他方の端面と軸部21の外周面とに所定の隙間を隔てて対向するように配置された中空円筒状の側壁部25とを有している。また、軸部材28と軸受部材27との間の上記隙間は、潤滑油などの流体により満たされている。
以上の構成により、軸部材28が軸受部材27に対して軸周りに回転すると、上記流体の動圧作用により、軸部材28は軸受部材27に対して非接触状態で支持される。
ここで、上述のように、軸部材28が軸受部材27に対して十分な回転速度で回転している状態では、軸部材28は軸受部材27に対して非接触状態で支持されるが、軸部材28が軸受部材27に対して回転し始める時点(起動時)および軸部材28の軸受部材27に対する回転が終了する直前(運転終了時)においては、上記動圧作用が不十分となって、軸部材28と軸受部材27とは、互いに接触しつつ滑動する。すなわち、軸部材28を構成する軸部21およびフランジ部22と、軸受部材27を構成する底壁部24および側壁部25とは、隣接する他の部材に接触しつつ、当該他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材である。
そして、摺動部材としての軸部21、フランジ部22、底壁部24および側壁部25は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。さらに、図6を参照して、当該他の摺動部材と接触する面(表面)である接触面としての軸部接触面21A、フランジ部接触面22A、底壁部接触面24Aおよび側壁部接触面25Aを含む領域には、内部21C,22C,24C,25Cよりも緻密性の高い層である緻密層(軸部緻密層21B、フランジ部緻密層22B、底壁部緻密層24Bおよび側壁部緻密層25B)が形成されている。この軸部緻密層21B、フランジ部緻密層22B、底壁部緻密層24Bおよび側壁部緻密層25Bの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。
そのため、本実施の形態おける動圧型軸受ユニット2は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材(軸部21、フランジ部22、底壁部24および側壁部25)を備えた摺動装置となっている。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
なお、上記本実施の形態においては、摺動部材としての軸部21、フランジ部22、底壁部24および側壁部25は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不可避的不純物からなる焼結体から構成されていてもよい。焼結助剤を含むことで、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材を備えた摺動装置を容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
さらに図2を参照して、軸部緻密層21B、フランジ部緻密層22B、底壁部緻密層24Bおよび側壁部緻密層25Bの表面である軸部接触面21A、フランジ部接触面22A、底壁部接触面24Aおよび側壁部接触面25Aを含む領域には、軸部緻密層21B、フランジ部緻密層22B、底壁部緻密層24Bおよび側壁部緻密層25B内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である軸部高緻密層21D、フランジ部高緻密層22D、底壁部高緻密層24Dおよび側壁部高緻密層25Dが形成されている。この軸部高緻密層21D、フランジ部高緻密層22D、底壁部高緻密層24Dおよび側壁部高緻密層25Dの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下となっている。これにより、軸部21、フランジ部22、底壁部24および側壁部25の耐摩耗性がより向上し、耐久性が一層向上している。
なお、本実施の形態における摺動装置としての動圧型軸受ユニット2および摺動部材としての軸部21、フランジ部22、底壁部24および側壁部25は、上記実施の形態1における摺動装置としての球面滑り軸受1および摺動部材としての外輪11および内輪12と同様の製造方法により製造することができる。
また、上記実施の形態2においては、軸部材28が、別部材としての軸部21とフランジ部22とを有している場合について説明したが、軸部材28は一体の部材から構成されていてもよい。
さらに、上記実施の形態1および2においては、摺動装置を構成する摺動部材が全てβサイアロン焼結体から構成される本発明の摺動部材である場合について説明したが、本発明の摺動装置はこれに限られず、摺動部材の少なくともいずれか1つが本発明の摺動部材であればよい。たとえば、上記実施の形態1の球面滑り軸受1においては、外輪11および内輪12の一方は上記本発明の摺動部材であり、他方は本発明の範囲外の摺動部材であってもよい。この場合、本発明の範囲外の摺動部材においては、たとえば焼入硬化された高炭素クロム軸受鋼(JIS規格SUJ2など)の表面にリン酸塩皮膜処理を実施したものを素材として選択することができる。また、上記実施の形態2の動圧型軸受ユニット2においては、製造コストを考慮すると、形状が比較的単純な軸部材28が本発明の摺動部材であることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能な動圧型軸受ユニットを構成することができる。この場合、軸受部材27においては、たとえば潤滑油や潤滑グリースを含浸させた含油焼結金属などを素材として選択することができる。
また、上記実施の形態においては、本発明の摺動装置および摺動部材の一例として、球面滑り軸受、動圧型軸受ユニットおよびこれらが備える摺動部材について説明したが、本発明の摺動装置および摺動部材はこれらに限られない。本発明の摺動装置および摺動部材は、たとえばリニアガイドやX−Yテーブルなどの直動装置、ロッカーアームやボールバルブなどのエンジン部品およびこれらが備える摺動部材であってもよい。
以下、本発明の実施例1について説明する。種々のz値を有するβサイアロン焼結体からなる試験片を作製し、z値と耐摩耗性との関係を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法でz値を0.1〜4の範囲で作製したβサイアロンの粉末を準備し、上記実施の形態1において図3に基づいて説明した摺動部材の製造方法と同様の方法で、z値が0.1〜4である試験片を作製した。具体的な作製方法は以下のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で円板状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、円板状の成形体を得た。
引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、円板状焼結体を製造した。次に、当該円板状焼結体の平面部にラッピング加工(加工代0.5mm)を行ない、直径φ20mm×厚みt5mmの円板試験片(加工面表面粗さ0.05μmRa以下)とした。また、比較のため、z値が0である窒化珪素および焼結助剤からなる原料粉末を用いて上記と同様に成形体を作製した後、加圧焼結法により焼結した焼結円板体に対して、上述と同様にラッピング加工を行ない、上記と同形状の試験片を作製した(比較例A)。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製された試験片のラッピング加工された平面部に対し、別途準備された軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の相手試験片(直径φ40mm×厚みt10mmの円板状、焼入硬化済み、外周面の表面粗さ0.05μmRa以下)を接触させ、接触面の最大接触面圧が0.49GPaとなるようにして、接触状態を保ったまま相手試験片を外周周速0.05m/秒で回転させた。そして、潤滑:タービン油VG32(清浄油)のパット給油、試験温度:室温、の条件の下で、60分(摺動距離180m)の回転を継続する耐摩耗試験(サバン型摩擦摩耗試験)を行なった。そして、試験片の平面部の摺動部分について、上記時間経過後の摩耗深さを測定した。
表1に本実施例の試験結果を示す。表1においては、各実施例および比較例における摩耗深さが表されている。
表1を参照して、z値が0.1以上3.5以下となっている本発明の実施例A〜Hでは、窒化珪素(比較例A)と比較して遜色ない耐摩耗性を有している。これに対し、z値が3.5を超え、本発明の範囲外となっている比較例Bでは、摩耗深さが大幅に増加している。さらに、z値が4である比較例Cにおいては、極めて短時間に試験片の摩耗が進行したため、試験を30分で中止した。比較例Cの試験片の試験中止時における摩耗深さは10μmを超えており、耐摩耗性が著しく低下している。
以上のように、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、サイアロン焼結体からなる試験片の耐摩耗性は、窒化珪素の焼結体からなる試験片とほぼ同等である。これに対し、z値が3.5を超えると試験片の耐摩耗性が大幅に低下する。さらに、z値が大きくなると、βサイアロンからなる試験片の耐摩耗性が著しく低下することが明らかとなった。このように、z値を0.1以上3.5以下とすることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる摺動部材を提供可能であることが確認された。
なお、表1を参照して、z値が3を超える3.5の実施例Hにおいては、耐摩耗性が実施例A〜Gに比べて低下している。このことから、十分な耐久性をより安定して確保するためには、z値は3以下とすることが望ましいといえる。
また、上記実験結果より、窒化珪素からなる摺動部材と同等以上の耐摩耗性を得るには、z値は2以下とすることが好ましく、1.5以下とすることが、より好ましい。一方、燃焼合成を採用した製造工程による、βサイアロン粉体の作製の容易性を考慮すると、十分に自己発熱による反応が期待できるz値である0.5以上とすることが好ましい。
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明の摺動部材の断面における緻密層および高緻密層の形成状態を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態1において図3に基づいて説明した摺動部材の製造方法と同様の方法で、一辺が約10mmの立方体試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で所定の形状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、成形体を得た。引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、上記立方体試験片を製造した。
その後、当該試験片を切断し、切断された面をダイヤモンドラップ盤でラッピングした後、酸化クロムラップ盤による鏡面ラッピングを実施することにより、立方体の中心を含む観察用の断面を形成した。そして、当該断面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、マイクロフォト−FXA)の斜光で観察し、倍率50倍のインスタント写真(フジフイルム株式会社製 FP−100B)を撮影した。その後、得られた写真の画像を、スキャナーを用いて(解像度300DPI)パーソナルコンピューターに取り込んだ。そして、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製 WinROOF)を用いて輝度閾値による2値化処理を行なって(本実施例での2値化分離閾値:140)、白色領域の面積率を測定した。
次に、試験結果について説明する。図7は、試験片の上記観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。また、図8は、図7の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。また、図9は、図7の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。図7において、写真上側が試験片の表面側であり、上端が表面である。
図7および図8を参照して、本発明の摺動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない層が形成されていることがわかる。そして、図9に示すように、撮影された写真の画像を試験片の最表面からの距離に応じて3つの領域(最表面からの距離が150μm以内の領域、150μmを超え500μm以内の領域、500μmを超え800μm以内の領域)に分け、領域毎に画像解析を行なって白色領域の面積率を算出したところ、表2に示す結果が得られた。表2においては、図9に示した各領域を1視野として、無作為に撮影された5枚の写真から得られる5視野における白色領域の面積率の、平均値と最大値とが示されている。
表2を参照して、本実施例における白色領域の面積率は、内部において18.5%であったのに対し、表面からの深さが500μm以下である領域においては3.7%、表面からの深さが150μm以下の領域においては1.2%となっていた。このことから、本発明の摺動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない緻密層および高緻密層が形成されていることが確認された。
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明の摺動部材の耐摩耗性を確認する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態1において図3に基づいて説明した摺動部材の製造方法と同様の方法で摺動試験用の試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で円板状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、円板状の成形体を得た。
引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、円板状焼結体を製造した。次に、当該円板状焼結体の平面部にラッピング加工を行ない、概略寸法で直径φ20mm×厚みt5mmの円板試験片(加工面表面粗さ0.05μmRa以下)とした。ここで、上記円板状焼結体の平面部に対するラッピング加工により除去される円板状焼結体の厚み(加工代)を8段階に変化させ、8種類の試験片を作製した(実施例A〜H)。また、比較のため、窒化珪素および焼結助剤からなる原料粉末を用いて上記と同様に成形体を作製した後、加圧焼結法により焼結した焼結円板体に対して、上述と同様にラッピング加工を行ない、上記と同形状の試験片を作製した(比較例A)。ラッピング加工による加工代は0.5mmとした。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製された試験片の加工平面部に対し、別途準備された軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の相手試験片(直径φ40mm×厚みt10mmの円板状、焼入硬化済み、外周面の表面粗さ0.05μmRa以下)を接触させ、接触面の最大接触面圧が0.49GPaとなるようにして、接触状態を保ったまま相手試験片を外周周速0.05m/秒で回転させた。そして、潤滑:タービン油VG32(清浄油)のパット給油、試験温度:室温、の条件の下で、60分(摺動距離180m)の回転を継続する耐摩耗試験(サバン型摩擦摩耗試験)を行なった。そして、試験片の平面部の摺動部分について、上記時間経過後の摩耗深さを測定した。
表3に本実施例の試験結果を示す。表3を参照して、実施例の試験片の耐摩耗性は、その製造コスト等を考慮するといずれも良好であるといえる。そして、加工代を0.5mm以下とすることにより試験片の表面に緻密層を残存させた実施例D〜Gの試験片の摩耗深さは、比較例Aの摩耗深さの1/2〜1/3程度となっていた。さらに、加工代を0.15mm以下とすることにより試験片の表面に高緻密層を残存させた実施例A〜Cの試験片の摩耗深さは、比較例Aの摩耗深さの1/10程度となっていた。このことから、本発明の摺動部材を備えた摺動装置は、耐摩耗性において優れているものと考えられる。そして、本発明の摺動部材を備えた摺動装置は、摺動部材の加工代を0.5mm以下として、表面に緻密層を残存させることにより耐摩耗性が向上し、摺動部材の加工代を0.15mm以下として、表面に高緻密層を残存させることにより耐摩耗性がさらに向上すると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の摺動装置、摺動部材およびその製造方法は、構成部品にβサイアロンを主成分とする焼結体を採用した摺動装置、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる摺動部材およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
実施の形態1の球面滑り軸受の構成を示す概略断面図である。 図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 実施の形態1における摺動装置および摺動部材の製造方法の概略を示す流れ図である。 実施の形態2における動圧型軸受ユニットを備えたスピンドルモータの構成を示す概略断面図である。 図4の動圧型軸受ユニット付近を示す概略部分断面図である。 動圧型軸受ユニットの要部を示す概略部分断面図である。 試験片の観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。 図7の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。 図7の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。
符号の説明
1 球面滑り軸受、2 動圧型軸受ユニット、3 スピンドルモータ、11 外輪、11A 外輪滑り面、11B 外輪緻密層、11C,12C 内部、11D 外輪高緻密層、12 内輪、12A 内輪滑り面、12B 内輪緻密層、12D 内輪高緻密層、21 軸部、21A 軸部接触面、21B 軸部緻密層、21C,22C,24C,25C 内部、21D 軸部高緻密層、22 フランジ部、22A フランジ部接触面、22B フランジ部緻密層、22D フランジ部高緻密層、24 底壁部、24A 底壁部接触面、24B 底壁部緻密層、24D 底壁部高緻密層、25 側壁部、25A 側壁部接触面、25B 側壁部緻密層、25D 側壁部高緻密層、27 軸受部材、28 軸部材、29 軸受、32 モータステータ、33 モータロータ、34 ディスクハブ。

Claims (12)

  1. 隣接する他の部材に接触しつつ、前記他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、
    前記他の部材と接触する面である接触面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている、摺動部材。
  2. 隣接する他の部材に接触しつつ、前記他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成され、
    前記他の部材と接触する面である接触面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている、摺動部材。
  3. 前記緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である、請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. 前記緻密層の表面を含む領域には、前記緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動部材。
  5. 前記高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である、請求項4に記載の摺動部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の摺動部材を備えた、摺動装置。
  7. 隣接する他の部材に接触しつつ、前記他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材の製造方法であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる原料粉末が準備される工程と、
    前記原料粉末が前記摺動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、
    前記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えた、摺動部材の製造方法。
  8. 隣接する他の部材に接触しつつ、前記他の部材に対して相対的に滑動する摺動部材の製造方法であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる原料粉末が準備される工程と、
    前記原料粉末が前記摺動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、
    前記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えた、摺動部材の製造方法。
  9. 前記成形体が焼結される工程では、1550℃以上1800℃以下の温度域で前記成形体が焼結される、請求項7または8に記載の摺動部材の製造方法。
  10. 前記成形体が焼結される工程では、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において前記成形体が焼結される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の摺動部材の製造方法。
  11. 前記成形体が焼結される前に、前記成形体の表面が加工される工程をさらに備えた、請求項7〜10のいずれか1項に記載の摺動部材の製造方法。
  12. 焼結された前記成形体の表面が加工され、前記表面を含む領域が除去される工程をさらに備え、
    焼結された前記成形体の表面が加工される工程において除去される前記成形体の厚みは150μm以下である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の摺動部材の製造方法。
JP2007172316A 2007-06-29 2007-06-29 摺動装置、摺動部材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5024788B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007172316A JP5024788B2 (ja) 2007-06-29 2007-06-29 摺動装置、摺動部材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007172316A JP5024788B2 (ja) 2007-06-29 2007-06-29 摺動装置、摺動部材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009007226A true JP2009007226A (ja) 2009-01-15
JP5024788B2 JP5024788B2 (ja) 2012-09-12

Family

ID=40322687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007172316A Expired - Fee Related JP5024788B2 (ja) 2007-06-29 2007-06-29 摺動装置、摺動部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5024788B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010285323A (ja) * 2009-06-12 2010-12-24 Toyota Motor Corp セラミックス、酸化物被膜及び摺動構造

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07223868A (ja) * 1994-02-10 1995-08-22 Ngk Spark Plug Co Ltd 摺動部材用β−サイアロン基焼結体及び摺動部材用β−サイアロン基焼結体の製造方法
JP2004091272A (ja) * 2002-09-02 2004-03-25 Matsushita Masashi βサイアロン燒結体
JP2005169435A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Nippon Steel Corp 絶縁スリーブ、ローラー及び誘導加熱装置
WO2006057232A1 (ja) * 2004-11-26 2006-06-01 Kyocera Corporation 窒化珪素質焼結体およびその製造方法、並びに金属溶湯用部材、熱間加工用部材、掘削用部材
JP2007182334A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 Ismanj:Kk ベータサイアロン焼結体
WO2008075535A1 (ja) * 2006-12-20 2008-06-26 Ntn Corporation 転がり軸受、ハブユニット、転動部材、自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法
JP2008175385A (ja) * 2006-12-22 2008-07-31 Ntn Corp 自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07223868A (ja) * 1994-02-10 1995-08-22 Ngk Spark Plug Co Ltd 摺動部材用β−サイアロン基焼結体及び摺動部材用β−サイアロン基焼結体の製造方法
JP2004091272A (ja) * 2002-09-02 2004-03-25 Matsushita Masashi βサイアロン燒結体
JP2005169435A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Nippon Steel Corp 絶縁スリーブ、ローラー及び誘導加熱装置
WO2006057232A1 (ja) * 2004-11-26 2006-06-01 Kyocera Corporation 窒化珪素質焼結体およびその製造方法、並びに金属溶湯用部材、熱間加工用部材、掘削用部材
JP2007182334A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 Ismanj:Kk ベータサイアロン焼結体
WO2008075535A1 (ja) * 2006-12-20 2008-06-26 Ntn Corporation 転がり軸受、ハブユニット、転動部材、自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法
JP2008175385A (ja) * 2006-12-22 2008-07-31 Ntn Corp 自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010285323A (ja) * 2009-06-12 2010-12-24 Toyota Motor Corp セラミックス、酸化物被膜及び摺動構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP5024788B2 (ja) 2012-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2008075535A1 (ja) 転がり軸受、ハブユニット、転動部材、自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法
JP5260158B2 (ja) 工作機械用転がり軸受
JP5550030B2 (ja) 自在継手用トルク伝達部材の製造方法
JP5024788B2 (ja) 摺動装置、摺動部材およびその製造方法
JP5219018B2 (ja) 転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法
WO2009154226A1 (ja) 軸受部品および転がり軸受
JP5550031B2 (ja) 摺動部材の製造方法
JP2010101382A (ja) 転がり軸受
JP2009299838A (ja) トリポード型等速自在継手および等速自在継手用部材の製造方法
JP5550029B2 (ja) 転動部材の製造方法
JP5219019B2 (ja) 自在継手、自在継手用トルク伝達部材およびその製造方法
JP5093811B2 (ja) モータ用転がり軸受
JP2010001949A (ja) ボールねじ支持用転がり軸受
JP5093812B2 (ja) 発電機用転がり軸受
JP2009299734A (ja) ハイブリッド車駆動モータ用転がり軸受およびハイブリッド車駆動モータ
JP2009299844A (ja) 摺動型等速自在継手
JP2009097658A (ja) 転動部材および転がり軸受
JP2009299733A (ja) ターボチャージャ用転がり軸受およびターボチャージャ
JP2010007732A (ja) クラッチレリーズ軸受
JP2010001941A (ja) 自在継手用トルク伝達部材および自在継手
JP2010001942A (ja) 軸受部品および転がり軸受
JP5093813B2 (ja) 転がり軸受
WO2009154228A1 (ja) 軸受部品および転がり軸受
JP2009299842A (ja) スターター用転がり軸受およびスターター
JP2010000576A (ja) 工作機械用ボールブッシュ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100531

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120327

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120522

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120612

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5024788

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees