JP2009006706A - 流体積層装置および流体積層方法ならびに積層フィルムの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のマニホールドと、各マニホールドのいずれかに連通した複数のスリットを有するスリット部と、複数のスリットを通過した流体を積層方向に重ね合わせながら合流させる合流部とを備え、スリット部を形成するスリットのうち少なくともひとつのスリットと、該スリットに隣接するスリットのうち少なくとも一方のスリットが、同一のマニホールドと連通していることを特徴とする流体積層装置。
【選択図】図5
Description
Q :流量
Δp:圧力損失
η :粘度
W :スリットの幅
t :スリットの間隔
L :スリットの流動方向の長さ
そこで、本発明においては、スリットから流出した後の流速の変化が低減され、流動の乱れが生じにくい流体積層装置および流体積層方法ならびに積層フィルムの製造装置および製造方法を提供することを課題とする。
Ln :スリットSnの前記流動方向の長さ
Ln+1:スリットSn+1の前記流動方向の長さ
tn :スリットSnの間隔
tn+1:スリットSn+1の間隔
また、本発明の好ましい形態によれば、前記スリット部に含まれるスリットの数Nが5個以上1000個未満である流体積層装置が提供される。
また、スリットの幅は、10mm以上200mm以下であることが好ましい。より好ましくは、10mm以上100mm以下である。ここでいうスリットの幅33について、図3bを用いて以下に説明する。前述のとおり定めた頂点P、中点Mについて、奥行方向の手前側壁面における頂点P1、頂点P5の中点M15と頂点P3、頂点P7の中点M37とを結ぶ線分M15M37の長さをl5、奥行方向の奥側壁面における頂点P2、頂点P6の中点M26と頂点P4、頂点P8の中点M48とを結ぶ線分M26M48の長さをl6、四角形M15M37M48M26の面積をS2としたときに、2S2/(l5+l6)をスリットの幅33とする。スリットの幅が10mm未満である場合、スリットの幅がスリット隔壁の幅と同様であるため、スリット隔壁の強度が低下するため、変形が生じやすくなることから避けるほうが好ましい。また、スリットの幅が200mmより大きい場合には、スリット内での流速にムラが生じやすくなり、かつスリットの加工が難しくなることから避けるほうが好ましい。
Ln :スリットSnの流動方向の長さ
Ln+1:スリットSn+1の流動方向の長さ
tn :スリットSnの間隔
tn+1:スリットSn+1の間隔
各々のスリット22は、流動方向下流で合流部24と連通しており、この合流部24にて各スリットから流出した樹脂を合流させることが出来る構造となっている。合流部24は排出部25に連通しており、そこから合流させた流体を流出される構造となっている。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。なお、拡大倍率10000倍で撮影し、コントラストを高く得るために、公知のRuO4を使用した染色方法を用いた。
(2)溶融粘度の測定
回転式レオメーター MR−300ソリキッドメーター(レオロジ製)を用いて動的粘弾性測定を行った。測定には、平行円板(直径18mm)を用い、N2雰囲気下、270℃、振幅1°、せん断速度0.6〜31s−1の条件で測定を行った。得られたデータのうち、せん断速度15s−1での複素粘性率をせん断粘度とした。なお、実施例にて乾燥して製膜に用いた樹脂については、本測定においても同様の条件にて乾燥を行った。
(3)フィルムの厚みムラの測定
フィルムシックネステスタ「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」(共にアンリツ製)を用い、フィルム移動速度1.5m/minの速度にてフィルムを巻き取る際のフィルムの厚みを10Hz周期にて1分間測定した。得られたフィルムの全ての箇所でのフィルム厚みについて、その最大厚みをdmax、最小厚みをdmin、平均厚みをdavとし、厚みムラを(dmax−dmin)/davとした。測定はフィルムの長手方向に対して行い、測定箇所は幅方向に対して等間隔に5箇所について測定して得られたフィルム厚みのムラの中で最も大きな値をフィルムの厚みムラとする。表1には、フィルム厚みのムラが0.02未満のものを◎、0.02以上0.05未満のものを○、0.05以上0.1未満のものを△、0.1以上のものを×として記す。
(4)積層厚みのムラの定義
(3)の測定にてフィルム厚みムラの値が最も大きくなる幅方向での位置について、最もフィルム厚みが厚い箇所と最も薄い箇所のフィルムの流動方向への断面をそれぞれ作成し、(1)に記載の手法にて断面の層厚みプロファイルを作成した。得られた層厚みプロファイルを元に、積層されている各層について、フィルム厚みの大きい箇所での層の厚みをWmax、小さい箇所でのフィルム厚みをWminとし、その層の積層厚みのムラは(Wmax−Wmin)/(Wmax+Wmin)とする。積層ムラはすべての層について算出し、その中で最も大きな値をフィルムの積層厚みのムラとする。表1には、フィルム厚みのムラが0.05未満のものを◎、0.05以上0.1未満のものを○、0.1以上0.5未満のものを△、0.5以上のものを×として記す。
(実施例1)
流体として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。樹脂Aとして、熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)を真空下・180℃の条件で乾燥した後に用いた。上記PET樹脂は、以下に記す方法にて重合されたものである。まず、ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウムを添加し、加熱昇温してメタノールを留出させてエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、重合触媒として三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸を加え重縮合反応槽に移行した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧し、290℃減圧下で内部を攪拌しメタノールを留出させながら重合し、PET樹脂を得た。また樹脂Bとして、ポリカーボネート(PC)[出光興産製タフロンA2200]を空気中、120℃の条件で乾燥して用いた。これらの樹脂を別々の押出機に供給した。
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、フィルムの厚みムラ、積層ムラともに非常に良好なものであった。結果について、表1に示す。
(実施例3)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、フィルムの厚みムラ、積層ムラともに良好なものであった。結果について、表1に示す。
(実施例4)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、若干のフィルムの厚みムラを有するものの積層ムラは良好なものであった。結果について、表1に示す。
(実施例5)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、若干のフィルムの厚みムラと積層ムラを有するもののその程度は小さいものであった。結果について、表1に示す。
(実施例6)
熱可塑性樹脂AとしてPCを、熱可塑性樹脂BとしてPETを用いた以外は、実施例2と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、若干のフィルムの厚みムラと積層ムラを有するもののその程度は小さいものであった。結果について、表1に示す。
(比較例1)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、顕著なフィルムの厚みムラ、積層ムラを有するものであった。結果について、表1に示す。
2:流体導入路
3:流体導入路
4:マニホールド
5:マニホールド
6:スリット
7:スリット
8:合流部
11:流体導入板
12:側板
13:スリット板
14:側板
15:流体導入板
16:流体導入路
17:流体導入路
18:流体導入口
19:流体導入口
20:マニホールド
21:マニホールド
22:スリット
23:スリット隔壁
24:合流部
25:排出部
31:スリットの間隔
32:スリットの長さ
33:スリットの幅
34:スリット隔壁の厚み
35:流路の中心軸
36:流路の中心軸の始点
37:流路の中心軸の終点
38:合流中心面
39:壁面
40:導管
41:Tダイ
42:キャストドラム
43:未延伸フィルム
Claims (10)
- 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層する流体積層装置であって、前記各流体をそれぞれ供給する複数のマニホールドと、前記各マニホールドのいずれかひとつと連通し、前記各マニホールド内に供給された前記各流体を前記各マニホールドから前記各層に対応して流動方向に通過させる複数のスリットを有するスリット部と、該複数のスリットを通過した前記各流体を前記流動方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させる合流部とを備え、前記スリット部を形成するスリットのうち少なくともひとつのスリットと、該スリットに隣接するスリットのうち少なくとも一方のスリットとが、同一の前記マニホールドと連通していることを特徴とする流体積層装置。
- 前記スリット部の前記積層方向の端部に存在する末端スリットのうち少なくとも一方の末端スリットと該末端スリットに隣接するスリットとが、同一のマニホールドと連通していることを特徴とする請求項1に記載の流体の積層装置。
- 前記スリット部の前記積層方向の端部に存在する末端スリットのうち少なくとも一方の末端スリットと、該末端スリットから連続する2つ以上10個以下のスリットとが、同一の前記マニホールドと連通していることを特徴とする請求項2に記載の流体の積層装置。
- 前記スリット部において、いずれか一方の末端からn番目のスリットSnおよびn+1番目のスリットSn+1(n:1〜N−1のすべての自然数(N:スリット部のスリットの総数))が下記の式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体積層装置。
0.5≦(Ln+1/tn+1 2)/(Ln/tn 2)≦2
Ln :スリットSnの流動方向の長さ
Ln+1:スリットSn+1の流動方向の長さ
tn :スリットSnの間隔
tn+1:スリットSn+1の間隔 - 前記スリット部に含まれるスリットの数Nが5個以上1000個未満である請求項1〜4のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記スリット部および前記合流部に属する流路の壁面に、前記スリット部から前記合流部にかけての前記積層方向の少なくとも一方の端部の壁面と前記中心軸とが成す角度αが前記流動方向の上流から下流に見て増大を開始する拡幅開始点であって、かつ前記拡幅開始点における前記壁面の接線よりも前記積層方向の外側に存在する流路拡幅部内において、前記拡幅開始点から前記接線の方向に前記拡幅開始点よりも端部スリットピッチだけ下流の位置までの範囲に存在する流路拡幅上流部の面積が前記端部における端部スリットピッチの2乗の0.04倍以上である拡幅開始点が存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体積層装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の流体積層装置を含むことを特徴とする積層フィルムの製造装置。
- 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層させる流体の積層方法であって、前記各流体をそれぞれ供給する複数のマニホールドを経由して、前記各マニホールドのいずれかひとつと連通し前記各層に対応して流動方向に通過させる複数のスリットを有するスリット部に供給し、該スリット部に連通する合流部において前記流動方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させるに際し、前記スリット部として該スリット部に前記スリット部を形成するスリットのうち少なくともひとつのスリットと、該スリットに隣接するスリットのうち少なくとも一方のスリットとが、同一の前記マニホールドと連通しているものを用いることを特徴とする流体の積層方法。
- 前記スリット部の前記積層方向の端部に存在する末端スリットのうち少なくとも一方の末端スリットから流出した流体として、該流体のせん断粘度が前記流体に隣接する層を形成する流体のせん断粘度よりも低いものを用いることを特徴とする請求項8に記載の流体の積層方法。
- 請求項8または9に記載の流体の積層方法で複数の流体を積層し、前記流体を口金から吐出してシート状に形成させることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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