JP2009001732A - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、さらに抗菌性や防カビ性等を少量の添加量で改善することができるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部
(B)下記式(I)で表される化合物1〜100重量部
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
(C)有機過酸化物0.01〜10重量部
(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物1〜100重量部を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
本発明は、印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、さらに抗菌性や防カビ性等を少量の添加量で改善することができるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部
(B)下記式(I)で表される化合物1〜100重量部
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
(C)有機過酸化物0.01〜10重量部
(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物1〜100重量部を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物、ラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物に関するものである。また、該改質ポリオレフィン系樹脂組成物とポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂組成物に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン系樹脂は、その成形加工性、剛性、耐熱性、機械特性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れ、また、安価であることから、自動車部品、オフィスや家庭で使用されるサニタリー向けの成形材料、フィルム、シートなど各種の包装材料や繊維など、そのほか様々な形状の成形品などの広い範囲で使用されている。このように、近年最も汎用となった樹脂材料の1つである故、さらなる性能向上に関する市場要求も高い。例えば、自動車部品やシート・フィルム用途などでは、ポリオレフィン材料の塗装性、印刷性や接着性などの改良要求が、IT製品関連用途では前記に加えて帯電防止性の改良要求が、さらに衣服用繊維やサニタリーまわりでは抗菌性や防カビ性(ただし、人体には悪影響しないもの)などの改良要求が挙げられる。
前記のような市場要求を受けて、特に需要量の多いポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などについては、印刷性、接着性、塗装性、親水性等の表面改質方法が多数提案されており、その方法は大きく2つに分けることができる。1つは、基材樹脂の表面を、火焔処理、コロナ放電処理などにより酸化処理し極性を付与させる方法である。しかし、火焔処理、コロナ放電処理等は特殊な設備が必要であり製造工数も増えること、また、時間の経過、場合により温度や湿度の変化により、処理効果が低下するなどという問題点がある。
もう1つの方法は、極性ポリマーを添加剤として基材樹脂に溶融混練させ、極性を付与させる方法である。これらの具体的な方法としては、無水マレイン酸などの極性モノマーをグラフト化させた無水マレイン酸グラフトポリオレフィン系樹脂(特許文献1参照)を添加する方法、ポリエーテルエステルアミド等の帯電防止剤と酸変性ポリオレフィン系樹脂を併用して添加する方法(特許文献2参照)等が挙げられる。しかし、これらの方法では、多量に添加する必要があること、基材樹脂に添加した場合に著しく着色すること、ポリオレフィン系樹脂本来の良好な特性を損なう場合があること、改質性能という点でもまだ不十分である等の多くの課題があった。
これ以外の方法として、酸変性ポリオレフィン系樹脂と特定のモノオール型ポリオキシアルキレン化合物とのグラフト反応による帯電防止剤が開示されているが(特許文献3参照)、ポリオレフィン系樹脂などの基材マトリクスとの共押出による多層構造体として性能を発揮するものであり、ポリオレフィン系樹脂などに練り込んでシート等の成形体を得た場合は、高い性能が得られない。
一方、前述のようにポリオレフィン系樹脂は台所、浴室やトイレといったサニタリーまわりや繊維などにも広く使用されるようになってきており、悪臭などの発生や皮膚刺激性の少ない安全な抗菌性や防カビ性の改良技術が求められている。このような改良技術として、抗菌性や防カビ性を有するウンデセン基と、ウンデセン基よりも重合性の高い(メタ)アクリロイル基を併せ持つ特定の化合物、またはその重合物が開示されているが(特許文献4参照)、ポリオレフィン系樹脂に添加した場合は相溶性が著しく低いことから、抗菌性や防カビ性の改良効果が不十分であったり、あるいは部位により改良効果がばらついたり、さらにポリオレフィン系樹脂本来の良好な機械特性、耐熱性、成形加工性などを低下させるなど多くの課題があった。
特開平5−125111号公報
特開平11−170456号公報
特開2006−188678号公報
特開2003−301043号公報
本発明は、印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、さらに抗菌性や防カビ性等を少量の添加量で改善することができるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の現状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の化合物をポリオレフィン系樹脂に溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物を用いると効率よく上記の物性を付与できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部
(B)下記式(I)で表される化合物1〜100重量部
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
(C)有機過酸化物0.01〜10重量部
(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物1〜100重量部を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項1)、
(B)成分を構成するポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンであることを特徴とする、請求項1記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項2)、
(D)成分が芳香族ビニル化合物であることを特徴とする、請求項1〜2記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項3)、
ポリオレフィン系樹脂と請求項1〜3のいずれか記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物(請求項4)、
請求項4記載のポリオレフィン系樹脂が、プロピレン単位を過半量有するポリプロピレン系樹脂、エチレン単位を過半量有するポリエチレン系樹脂、オレフィン単位を過半量有するポリオレフィン系エラストマー、あるいはそれら2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項4記載のポリオレフィン系樹脂組成物(請求項5)、
請求項1〜5記載の樹脂組成物を用いた成形体(請求項6)である。
(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部
(B)下記式(I)で表される化合物1〜100重量部
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
(C)有機過酸化物0.01〜10重量部
(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物1〜100重量部を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項1)、
(B)成分を構成するポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンであることを特徴とする、請求項1記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項2)、
(D)成分が芳香族ビニル化合物であることを特徴とする、請求項1〜2記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物(請求項3)、
ポリオレフィン系樹脂と請求項1〜3のいずれか記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物(請求項4)、
請求項4記載のポリオレフィン系樹脂が、プロピレン単位を過半量有するポリプロピレン系樹脂、エチレン単位を過半量有するポリエチレン系樹脂、オレフィン単位を過半量有するポリオレフィン系エラストマー、あるいはそれら2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項4記載のポリオレフィン系樹脂組成物(請求項5)、
請求項1〜5記載の樹脂組成物を用いた成形体(請求項6)である。
本発明により、ポリオレフィン系樹脂の印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、抗菌性、防カビ性などの改良が可能となり、自動車用材料、電気電子材料、建築材料、サニタリー材料、包装材料、文具、雑貨などとして工業的に有用である。
以下に本発明の詳細について述べる。
<<(A)について>>
本発明で使用する(A)ポリオレフィン系樹脂とは、炭素数2〜12のα―オレフィンの単独重合体又はそれらが主成分となる共重合体である。これらの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック三元共重合体などが挙げられる。また、上記α―オレフィンと共重合可能なモノマーとして、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物なども用いることができ、これらとのランダムあるいはブロック共重合体なども使用することができる。これらのなかでも、ポリプロピレン、あるいはプロピレンとエチレンとのランダムあるいはブロック共重合体が(B)成分である分子内にポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ末端にエチレン性不飽和二重結合をもつ化合物の導入のしやすさの点で好適に用いることができる。
本発明で使用する(A)ポリオレフィン系樹脂とは、炭素数2〜12のα―オレフィンの単独重合体又はそれらが主成分となる共重合体である。これらの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック三元共重合体などが挙げられる。また、上記α―オレフィンと共重合可能なモノマーとして、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物なども用いることができ、これらとのランダムあるいはブロック共重合体なども使用することができる。これらのなかでも、ポリプロピレン、あるいはプロピレンとエチレンとのランダムあるいはブロック共重合体が(B)成分である分子内にポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ末端にエチレン性不飽和二重結合をもつ化合物の導入のしやすさの点で好適に用いることができる。
また、本発明の(A)ポリオレフィン系樹脂は、樹脂中に1種以上の極性官能基が導入されたものも用いることができる。ここで述べる極性官能基とは、一般に知られるヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、シリル基などを示す。ポリオレフィン系樹脂への極性官能基の導入方法に制限はないが、一般的には末端、あるいは分子鎖中に存在する重合性の不飽和二重結合をもつ化合物を有機過酸化物と同時に添加し、ラジカル反応によって導入する方法が例示できる。極性官能基をもつ化合物の具体例としては、ヒドロキシル基を導入する場合に用いることができる化合物として、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタリレート、2−ヒドロキシプロピルメタリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが挙げられる。
アミノ基を導入する場合は、アリルアミン、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレートが挙げられる。
エポキシ基を導入する場合は、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、脂肪族エポキシメタアクリレート、脂肪族エポキシアクリレートが挙げられる。
カルボキシル基を導入する場合は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレートが挙げられる。
酸無水物基の場合は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。シリル基を導入する場合は、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらの中でも、安価かつ安定的に入手でき、また極性官能基を比較的高割合でポリオレフィン系樹脂に導入できる点から、無水マレイン酸などの酸無水物基や、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基を導入したポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
本発明で使用する(A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは22,000〜30,000である。
<<(B)について>>
本発明で使用する(B)下記式(I)で表される化合物は、
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
例えば、特開2003−301043公報に記載されているように、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物と(メタ)アクリル酸の反応により得られる。ここで、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物としては、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシブチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレンポリオキシブチレン等が挙げられる。
本発明で使用する(B)下記式(I)で表される化合物は、
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
例えば、特開2003−301043公報に記載されているように、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物と(メタ)アクリル酸の反応により得られる。ここで、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物としては、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシブチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレンポリオキシブチレン等が挙げられる。
本発明で使用する(B)成分は、式(I)で表されるように、分子内にウンデセン基、ポリオキシアルキレン、および(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物である。ウンデセン基を有するため、得られる樹脂組成物に抗菌性や防カビ性を付与できる。ポリオキシアルキレンを有するため、得られる樹脂組成物に塗装性などの物性を付与できる。ラジカル重合性の不飽和二重結合を有する官能基である(メタ)アクリル基を有するため、溶融混練によりポリオレフィン樹脂にグラフトすることができる。
本発明における(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましく、さらには3〜50重量部であることが好ましい。(B)成分の配合量が1重量部未満では本発明が目的とする表面特性の向上効果が期待できず、100重量部を超えると未反応の化合物が増える傾向にあるので、樹脂組成物全体の機械的特性や表面外観の低下を招く傾向がある。
<<(C)について>>
本発明に使用される(C)有機過酸化物としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上併用して使用しても良い。
本発明に使用される(C)有機過酸化物としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上併用して使用しても良い。
これらの中でも、ベースとなるポリオレフィン系樹脂からの水素引き抜き能が高い過酸化物が好ましく、そのような有機過酸化物の具体例としては、たとえばジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられる。
本発明の(C)有機過酸化物の配合量は、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、さらには0.05〜8重量部、特には0.1〜5重量部の範囲内にあることが好ましい。0.01重量部未満では変性が充分に進行せず、10重量部を超えると機械的特性の低下を招く傾向がある。
<<(D)について>>
本発明に使用される(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのカルボン酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物類、スチレン、α―メチルスチレン、α―、シアノスチレン、t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類が挙げられる。これらの中でも、芳香族ビニル化合物類とりわけ、スチレン、α―メチルスチレンなどを加えることで、目的とする表面特性、性能がさらに向上する傾向にある。(D)成分の配合量は、(B)成分の配合量との関係により、適宜調整されるが、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内にあることが好ましく、さらには3〜50重量部であることが好ましい。(D)成分の配合量が1重量部未満では目的とする表面特性の向上効果が期待できず、100重量部を超えると未反応の化合物が増える傾向にあるので、樹脂組成物全体の機械的特性や表面外観の低下を招く傾向がある。
本発明に使用される(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのカルボン酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物類、スチレン、α―メチルスチレン、α―、シアノスチレン、t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類が挙げられる。これらの中でも、芳香族ビニル化合物類とりわけ、スチレン、α―メチルスチレンなどを加えることで、目的とする表面特性、性能がさらに向上する傾向にある。(D)成分の配合量は、(B)成分の配合量との関係により、適宜調整されるが、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内にあることが好ましく、さらには3〜50重量部であることが好ましい。(D)成分の配合量が1重量部未満では目的とする表面特性の向上効果が期待できず、100重量部を超えると未反応の化合物が増える傾向にあるので、樹脂組成物全体の機械的特性や表面外観の低下を招く傾向がある。
本発明の改質ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法において、(A)〜(D)の各成分の溶融混練方法は特に限定されない。
溶融混練装置に一括添加して反応させる方法、あるいは(A)成分と(C)成分をあらかじめ溶融状態にした後に、(B)成分と(D)成分を追加し反応させる方法などが例示できる。
反応に用いる装置についても限定はなく、例えば、オートクレーブ、攪拌翼付のセパラブルフラスコ、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー、加熱ロールなどが好適に用いられる。尚、混練条件については、各成分の種類と組み合わせにより任意に設定できるが、反応温度は概ね150℃〜250℃の範囲であり、反応時間は約1時間以内であることが材料の熱安定性、及び反応効率などの観点から好ましい。
本発明の改質ポリオレフィン系樹脂組成物は、未改質のポリオレフィン系樹脂に適量添加することにより、そのポリオレフィン系樹脂の接着性や塗装性、印刷性、帯電防止性、抗菌性や防カビ性を改良することができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレン単位を過半量有するポリプロピレン系樹脂、エチレン単位を過半量有するポリエチレン系樹脂、オレフィン単位を過半量有するポリオレフィン系エラストマー、あるいはそれら2種以上の混合物などが挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンとのランダムあるいはブロック三元共重合体などが挙げられる。また、上記α―オレフィンと共重合可能なモノマーとして、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物なども用いることができ、これらとのランダムあるいはブロック共重合体などがあげられ、さらにはポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)も挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して用いることができる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系共重合ゴムと結晶性オレフィン系重合体とからなり、その形態としては、これらの単純ブレンド組成物、部分架橋ブレンド組成物、及び完全架橋(動的架橋)ブレンド組成物などが挙げられるが、架橋していることが好ましい。具体的には、オレフィン系共重合ゴムと結晶性ポリオレフィン系重合体の混練物に有機過酸化物を加え、両者を部分架橋させる方法、オレフィン系共重合ゴムと有機化酸化物を混練してゴム相を部分架橋させ、これを結晶性オレフィン系重合体にブレンドさせる方法が挙げられる。また、オレフィン系共重合ゴムと結晶性ポリオレフィン系重合体の混練物に有機過酸化物を加え、オレフィン系共重合ゴム成分を完全に架橋体とさせても良い。
前記オレフィン系共重合ゴムとは、少なくとも1種のポリエン(通常はジエン)と2種以上の非極性α−オレフィン単量体との共重合体からなる本質的に非晶性のゴム状共重合体であり、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)が好適である。また、結晶性オレフィン系重合体とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1等の非極性α−オレフィン単量体を常法で重合して得られる結晶性の重合体であり、代表的にはポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリブテン等があげられるが、ポリプロピレン及びその共重合体が好適である。 オレフィン系共重合ゴムと結晶性オレフィン系重合体の割合は、通常両成分の合計量に対し、オレフィン系共重合ゴム40〜80重量%、結晶性オレフィン系重合体60〜20重量%の範囲が好ましい。両成分は融点以上で混練処理され、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとなる。
また、エラストマーとして有用な性質を付与するために、オレフィン系共重合ゴムを架橋させる手段として上述した有機過酸化物に限らず、フェノール樹脂、硫黄等も用いることができる。なお、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーは、そのゴム特性を損なわない限り他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えばオイル、充填剤、カーボンブラック、安定剤等である。
これらのポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、市販されている三井化学製『ミラストマー』、三菱化学製『サーモラン、ゼラス』、住友化学工業製『エクセレン』、エーイーエス・ジャパン製『サントプレーン』、ダウケミカル製『バーシファイ』等を挙げることができる。
ポリオレフィン系樹脂に対する本発明の改質ポリオレフィン系樹脂組成物の添加量は改質目的に応じ適宜選択され特に制約を受けるものではないが、ベースとなるポリオレフィン系樹脂本来の剛性や耐熱性などの性能を保持する必要がある場合、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、改質ポリオレフィン系樹脂組成物を1〜50重量部の範囲で添加することが好ましい。
本発明によって得られるポリオレフィン系樹脂組成物は各種成形体として用いることができる。成形体を得るための加工法は特に限定されるものではなく、一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、インモールド成形、ブロー成形(中空成形)、押出成形(共押出成形を含む)、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、等が適用できる。
これらの成形方法によって得られた成形体の代表的な用途としては、自動車用射出部品、IT製品関連の成形部品、サニタリーまわり成形品、各種包装用シートやフィルム、文具、雑貨などなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用する主要原料を以下にまとめて示す。
実施例および比較例で使用する主要原料を以下にまとめて示す。
(原料)
(A)成分
(A−1)市販の無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(H−1100P:東洋化成工業(株))
(A−2)ポリプロピレン(F113G:プライムポリマー(株))
(B)成分
(B−1)ウンデシレノキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエコノマー ML−12G:新中村化学(株))(CH2=CH(CH2)9O(CH2CH2O)nOCC(CH3)=CH2、n≒12、 Mw=av.783)
(C)成分
(C−1)α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン
(D)成分
(D−1)スチレン
(濡れ張力試験)
JIS K−6768の『プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法』を準拠した。評価用サンプルは、押出機にて得られた評価用ペレットを200℃に設定したプレス板に挟み込み、厚さ約300μmのプレスシートを用いた。尚、プレス板内側には、評価用シートが離型しやすいようにポリイミドフィルムを挟み込ませた。
(A)成分
(A−1)市販の無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(H−1100P:東洋化成工業(株))
(A−2)ポリプロピレン(F113G:プライムポリマー(株))
(B)成分
(B−1)ウンデシレノキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエコノマー ML−12G:新中村化学(株))(CH2=CH(CH2)9O(CH2CH2O)nOCC(CH3)=CH2、n≒12、 Mw=av.783)
(C)成分
(C−1)α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン
(D)成分
(D−1)スチレン
(濡れ張力試験)
JIS K−6768の『プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法』を準拠した。評価用サンプルは、押出機にて得られた評価用ペレットを200℃に設定したプレス板に挟み込み、厚さ約300μmのプレスシートを用いた。尚、プレス板内側には、評価用シートが離型しやすいようにポリイミドフィルムを挟み込ませた。
(塗装性試験)
UV硬化型インキ塗布によるテープ剥離試験を行った。評価用サンプルは、押出機にて得られた評価用ペレットを200℃に設定したプレス板に挟み込み、厚さ約300μmのプレスシートを用いた。尚、プレス板内側には、評価用シートが離型しやすいようにポリイミドフィルムを挟み込ませた。詳細な試験方法としては、縦10cm×横20cmの評価用シート上に縦5cm×横1cmのUVインキを塗布し、UV硬化型装置でインキを硬化させた。その後硬化したUVインキに対して、垂直にセロハンテープを張り、垂直に引き上げ、インキの剥離度を評価した。判定は以下のとおり。
UV硬化型インキ塗布によるテープ剥離試験を行った。評価用サンプルは、押出機にて得られた評価用ペレットを200℃に設定したプレス板に挟み込み、厚さ約300μmのプレスシートを用いた。尚、プレス板内側には、評価用シートが離型しやすいようにポリイミドフィルムを挟み込ませた。詳細な試験方法としては、縦10cm×横20cmの評価用シート上に縦5cm×横1cmのUVインキを塗布し、UV硬化型装置でインキを硬化させた。その後硬化したUVインキに対して、垂直にセロハンテープを張り、垂直に引き上げ、インキの剥離度を評価した。判定は以下のとおり。
○:インキが剥離しない
△:インキがわずかに剥離する(20%以下の剥離)
×:インキが剥離する(20%〜100%の剥離)
(大腸菌への抗菌力)
5mlの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))で大腸菌(Escherichia coli IFO3972)を27℃で一晩振とう培養後、終濃度で1/500濃度の普通ブイヨン培地を含む滅菌した生理食塩水(0.85% NaCl)で希釈した。この菌懸濁液0.4mlを容器中の試料上におき、この菌懸濁液をポリエチレンシートで覆った後、容器を30℃に放置した。接種時および24時間後に試料上の菌懸濁液を4.5mlの滅菌生理食塩水中に回収し、10倍ずつ5段階希釈を行い、これら菌懸濁液0.5ml中の生菌数を測定した。なお、対照は容器30mlのガラス瓶を用い同様の操作を行った。生菌数の測定は衛生試験法・注解(2005)1.2.1.1細菌一般試験法 3)菌数測定 (1)混釈平板培養法(p.59)に準じて行った。ただし微生物の培養にはSCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬(株))を用い、37℃で24時間および48時間培養した。
△:インキがわずかに剥離する(20%以下の剥離)
×:インキが剥離する(20%〜100%の剥離)
(大腸菌への抗菌力)
5mlの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))で大腸菌(Escherichia coli IFO3972)を27℃で一晩振とう培養後、終濃度で1/500濃度の普通ブイヨン培地を含む滅菌した生理食塩水(0.85% NaCl)で希釈した。この菌懸濁液0.4mlを容器中の試料上におき、この菌懸濁液をポリエチレンシートで覆った後、容器を30℃に放置した。接種時および24時間後に試料上の菌懸濁液を4.5mlの滅菌生理食塩水中に回収し、10倍ずつ5段階希釈を行い、これら菌懸濁液0.5ml中の生菌数を測定した。なお、対照は容器30mlのガラス瓶を用い同様の操作を行った。生菌数の測定は衛生試験法・注解(2005)1.2.1.1細菌一般試験法 3)菌数測定 (1)混釈平板培養法(p.59)に準じて行った。ただし微生物の培養にはSCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬(株))を用い、37℃で24時間および48時間培養した。
[実施例1、比較例1]
(A−1)無水マレイン酸グラフトポリプロピレン100重量部、(D−1)スチレン4.3重量部、および(C−1)α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン1.5重量部を180℃に設定した同方向二軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)のホッパーより添加した後、シリンダー途中より(B−1)ウンデシレノキシポリエチレングリコールメタクリレート38.6重量部をサイドフィードして溶融混練を行い、改質ポリオレフィン系樹脂組成物(E−1)を得た。このようにして得た改質ポリオレフィン系樹脂組成物(E−1)約1gを130℃に加熱したキシレン80mlに3時間かけ溶解させたものを室温まで冷却し24時間放置することにより得られた晶析物をろ別分離した。(E−1)の内、晶析物の割合は90%であった。さらに、晶析物のIRスペクトル測定によりエーテル結合(1100cm−1付近)を確認した。
(A−1)無水マレイン酸グラフトポリプロピレン100重量部、(D−1)スチレン4.3重量部、および(C−1)α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン1.5重量部を180℃に設定した同方向二軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)のホッパーより添加した後、シリンダー途中より(B−1)ウンデシレノキシポリエチレングリコールメタクリレート38.6重量部をサイドフィードして溶融混練を行い、改質ポリオレフィン系樹脂組成物(E−1)を得た。このようにして得た改質ポリオレフィン系樹脂組成物(E−1)約1gを130℃に加熱したキシレン80mlに3時間かけ溶解させたものを室温まで冷却し24時間放置することにより得られた晶析物をろ別分離した。(E−1)の内、晶析物の割合は90%であった。さらに、晶析物のIRスペクトル測定によりエーテル結合(1100cm−1付近)を確認した。
実施例1で製造した改質ポリオレフィン系樹脂(E−1)の大腸菌への抗菌力の試験結果を表1に示した。また、同時評価した(A−2)ポリプロピレンの大腸菌への抗菌力の試験結果を比較例1として表1に併せて示した。
[実施例2、比較例2]
(A−2)ポリプロピレン100重量部、および(E−1)改質ポリオレフィン系樹脂10重量部を200℃に設定した同方向二軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)のホッパーより投入し溶融混練することによりポリオレフィン系樹脂組成物を製造した。このポリオレフィン系樹脂組成物の濡れ評価試験および塗装性試験を実施し表2に示した。また、(A−2)ポリプロピレンの濡れ評価試験および塗装性試験も同時に実施し、比較例2として表2に併せて示した。
(A−2)ポリプロピレン100重量部、および(E−1)改質ポリオレフィン系樹脂10重量部を200℃に設定した同方向二軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)のホッパーより投入し溶融混練することによりポリオレフィン系樹脂組成物を製造した。このポリオレフィン系樹脂組成物の濡れ評価試験および塗装性試験を実施し表2に示した。また、(A−2)ポリプロピレンの濡れ評価試験および塗装性試験も同時に実施し、比較例2として表2に併せて示した。
本発明によれば、印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、抗菌性、防カビ性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を製造することができ、自動車用材料、電気電子材料、建築材料、サニタリー材料、包装材料、文具、雑貨などとして工業的に有用である。
Claims (6)
- (A)ポリオレフィン系樹脂100重量部
(B)下記式(I)で表される化合物1〜100重量部
CH2=CH(CH2)9O−(X1)n−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、X1はオキシアルキレン、nは1〜20の整数、R1はHまたはCH3である)
(C)有機過酸化物0.01〜10重量部
(D)(B)成分以外のラジカル重合性不飽和二重結合をもつ化合物1〜100重量部を溶融混練して得られる改質ポリオレフィン系樹脂組成物。 - (B)成分を構成するポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンであることを特徴とする、請求項1記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物。
- (D)成分が芳香族ビニル化合物であることを特徴とする、請求項1〜2記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物。
- ポリオレフィン系樹脂と請求項1〜3のいずれか記載の改質ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項4記載のポリオレフィン系樹脂が、プロピレン単位を過半量有するポリプロピレン系樹脂、エチレン単位を過半量有するポリエチレン系樹脂、オレフィン単位を過半量有するポリオレフィン系エラストマー、あるいはそれら2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項4記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜5記載の樹脂組成物を用いた成形体。
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JP2007166025A JP2009001732A (ja) | 2007-06-25 | 2007-06-25 | ポリオレフィン系樹脂組成物 |
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JP2012174956A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Mitsubishi Electric Corp | 半導体装置の製造方法 |
CN106715568A (zh) * | 2015-01-09 | 2017-05-24 | 纳米及先进材料研发院有限公司 | 内置抗菌塑料树脂及其制备方法 |
CN111748169A (zh) * | 2020-05-26 | 2020-10-09 | 界首市圣通无纺布有限公司 | 防护口罩第一层和第二层改性pp粒料及纤维的制备方法 |
-
2007
- 2007-06-25 JP JP2007166025A patent/JP2009001732A/ja active Pending
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CN111748169B (zh) * | 2020-05-26 | 2023-05-30 | 界首市圣通无纺布有限公司 | 防护口罩第一层和第二层改性pp粒料及纤维的制备方法 |
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