JP2009001176A - スタッドレスタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタッドレスタイヤのトレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、炭酸カルシウム粉末が0.4〜2.0質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、前記トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度を0.012mm/mm2〜0.018mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度を0.051mm/mm2〜0.059mm/mm2としている。
【選択図】図2
Description
スタッドレスタイヤは、例えば、特開2001−130228号公報(特許文献1)等において、図3に示すように、トレッド部の接地面側に深い溝2を凹設してトレッドパターン1を形成していると共に、前記溝2によって囲まれたブロック3にスリット状のサイピング4を多数形成している。このような構成により、ブロック3表面と路面の接触による粘着、凝着摩擦力だけでなく、溝2やサイピング4のエッジによる掘りおこし摩擦力を高めることができるため、スタッドレスタイヤのグリップ力を高め、雪氷上性能を向上させることができる。
また、スタッドレスタイヤの溝2やサイピング4を増やすことによってもスタッドレスタイヤの雪氷上性能は向上するが、トレッドパターンの溝2やサイピング4を細かくするとブロック剛性が低下し、この場合にも耐磨耗性が悪化する傾向がある。
即ち、スタッドレスタイヤにおいては、良好な雪氷上性能と耐摩耗性をバランスよく保持させることが難しいという問題がある。
前記トレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、炭酸カルシウム粉末が0.4〜2.0質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、
前記トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度が0.012mm/mm2〜0.018mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度が0.051mm/mm2〜0.059mm/mm2とされていることを特徴とするスタッドレスタイヤを提供している。
また、例えば、溝がタイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜して形成されている場合、タイヤの進行方向に対して有効エッジ成分となる溝とは、前記溝をタイヤ周方向成分とタイヤ軸線方向成分とに分解したときのタイヤ軸線方向成分の溝で、かつ該タイヤ軸線方向成分の溝のタイヤ進行方向後端側の端縁を意味する。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度を0.013mm/mm2〜0.015mm/mm2とすることが好ましい。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、タイヤ進行方向に対して有効なエッジ成分となるサイピングの密度を0.053mm/mm2〜0.057mm/mm2とすることが好ましい。
前記ゴム成分100質量部に対して、炭酸カルシウム粉末の配合量が0.4質量部未満であると、タイヤ進行方向に対する有効エッジ成分となる溝やサイピングの密度を前記範囲内に設定した場合でも、十分な雪氷上性能が得られない場合がある一方、炭酸カルシウム粉末の配合量が2.0質量部を越えると、耐摩耗性が悪化してしまう場合がある。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、前記炭酸カルシウム粉末の配合量を、前記ゴム成分100質量部に対して0.7〜1.5質量部とすることが好ましい。
特に、前記オイルを前記ゴム成分100質量部に対して、5〜40質量部配合することが好ましく、前記オイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどのミネラルオイルを用いることが好ましい。
特に、ゴム成分100質量部に対して、前記カーボン粉体を40〜50質量部配合することがより好ましく、カーボン粉体としてはISAF等のカーボンブラックを用いることが好ましい。
また、ブロック剛性の低下を防止するために、前記縦溝と横溝に囲まれた1ブロックの面積は300〜1600mm2程度とすることが好ましく、その中に、長さ10〜35mm程度のサイピングがタイヤ周方向にほぼ均等なピッチで形成されていることが好ましい。
また、前記トレッドパターンの縦溝や横溝の溝幅や溝深さは、特に限定はされないが、例えば、溝幅が4〜9mm程度、溝深さが3〜11mm程度であることが好ましい。
また、本発明のスタッドレスタイヤは、良好な耐磨耗性と共に、優れた雪氷上性能を有しているため、乗用車装着用として好適である。
なお、前記ゴム硬度Hsは、JIS K6253に規定された方法に従って0℃において測定されたものである。
ゴム硬度Hsが42未満である場合には、ゴムそのものが柔らか過ぎて耐磨耗性が悪化しやすい一方、ゴム硬度Hsが50を越えると、トレッド部と氷雪路面との接地性が悪化し、特に乗用車装着用として必要な雪氷上性能が得られないおそれがある。
図1は、本発明の実施形態に係る乗用車装着用のスタッドレスタイヤ10を示し、スタッドレスタイヤ10が正規リム30にリム組みされ、正規内圧が充填された状態を示している。
スタッドレスタイヤ10は、トレッド部11から両側のサイドウォール部12を経てビード部13のビードコア14の周りを内側から外側に折り返されて係止されるカーカス15と、トレッド部11の内側で、かつカーカス15の外側に配置された2枚のスチールベルト16からなるベルト層とを備えている。
図2に示すように、タイヤ周方向の縦溝18とタイヤ軸方向の横溝19をトレッド部11に設けてトレッドパターン17を形成し、縦溝18と横溝19とで囲まれた各ブロック20には、タイヤ軸線方向にサイピング21を形成している。
なお、縦溝18および横溝19は、タイヤ周方向やタイヤ軸線方向に平行に設ける必要はなく、図2に示すように、タイヤ周方向やタイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜させたり、ジグザグ状(屈曲形状)に設けたりしていてもよい。同様にサイピング21も、タイヤ軸線方向に平行に設ける必要はなく、図2に示すように、タイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜させて設けていてもよいし、波形形状としていてもよい。また、縦溝18および横溝19の溝幅や溝深さも適宜相違させることができる。
また、縦溝18および横溝19の溝幅を5〜7mm程度とし、溝深さを7〜10mm程度としている。
また、前記炭酸カルシウム粉末の平均粒子径を20〜70μmとし、本実施形態においては、40μmを最頻値として5〜150μmに亘り分布している炭酸カルシウム粉末を用いている。
また、前記グラスファイバーの平均繊維径を、27〜39μmとし、平均繊維長を、0.5〜0.8mmとしている。
また、カーボンブラックの平均粒子径を20〜26nmとしている。
前記加硫促進剤は、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部、好ましくは、1.0〜3.5質量部配合している。
なお、前記グラスファイバーをトレッド部の厚さ方向へ配向させるために、例えば、前記グラスファイバーを配合したトレッドゴム組成物をカレンダーロールにて圧延加工し、得られたシートを繰り返し折りたたむことにより厚さ方向への配向が可能となる。
図1に示す構造を有し、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度およびサイピング密度が表1〜表3に示す値となるトレッドパターンおよびサイピングを有する乗用車装着用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15 91Q)を試作した。
前記試作した各スタッドレスタイヤの乾燥路面での操縦安定性、耐磨耗性および雪氷上性能をテストした。
前記テスト結果を、各スタッドレスタイヤのゴム硬度Hs、コスト指数と共に表1〜表3に示す。
また、前記各試作タイヤに使用したトレッドゴム組成物の組成も表1〜表3に合わせて示している。
なお、表1〜表3中、各種成分の配合量を示す数値は質量部を表し、「溝密度」、「サイピング密度」は、「タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度」、「タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となるサイピングの密度」をそれぞれ意味している。
・天然ゴム;「TSR20」グレード
・ブタジエンゴム;宇部興産(株)製「BR150B」
・カーボンブラック;三菱化学(株)製「ダイヤブラックI N220 ISAF」
・グラスファイバー;日本板硝子(株)製 平均繊維径11μm、繊維長3mm
・炭酸カルシウム粉末;キューピータマゴ(株)製「ESパウダー」
・ミネラルオイル;出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
・老化防止剤;精工化学(株)製「オゾノン6C」
・ワックス;大内新興化学工業(株)製「サンノックワックス」
・ステアリン酸;日本油脂(株)製「桐」
・酸化亜鉛;三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・硫黄;軽井沢硫黄(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤;大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
(1)ゴム硬度Hs
JIS K6253に規定された方法に従って、0℃におけるゴム硬度Hs(JIS−A)を測定した。
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを、内圧200kPa、リム15×6.0JJにて、2.0L国産FR車の四輪に装着し、乾燥路面での操縦安定性(制駆動、コーナリングでのフィーリング)を評価し、比較例1を100として指数表示した。この指数が大きいほど、乾燥路面操縦安定性が優れていることを意味している。
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを、内圧200kPa、リム15×6.0JJにて、2.0L国産FR車の四輪に装着し、10000km実車走行後にトレッド部の溝深さを測定し、タイヤの溝深さが1mm減るときの走行距離を算出した。
実施例5における走行距離を100とし、他の実施例および比較例の走行距離を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、耐磨耗性が優れていることを意味している。
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを、内圧200kPa、リム15×6.0JJにて、2.0L国産FR車の四輪に装着し、時速30km/hrから氷路面で急停止させて、停止するまでに要した氷上の停止距離を測定した。各停止距離の逆数をとり、実施例1における1/(停止距離)を100として、他の実施例および比較例の1/(停止距離)を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、雪氷上性能が優れていることを意味している。
トレッドゴムの単位重量当たりのコストの逆数をとり、比較例1における1/(単位質量当たりのコスト)を100として、他の実施例および比較例の1/(単位質量当たりのコスト)を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、低コストであることを意味している。
即ち、比較例1、2では、スタッドレスタイヤに、良好な雪氷上性能と耐摩耗性とをバランスよく保持させることができなかった。
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 ビードコア
15 カーカス
16 スチールベルト
17 トレッドパターン
18 縦溝
19 横溝
20 ブロック
21 サイピング
30 リム
Claims (5)
- トレッド部の接地面側にトレッドパターンとサイピングを有するスタッドレスタイヤであって、
前記トレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、炭酸カルシウム粉末が0.4〜2.0質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、
前記トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度が0.012mm/mm2〜0.018mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度が0.051mm/mm2〜0.059mm/mm2とされていることを特徴とするスタッドレスタイヤ。 - 前記トレッドゴム組成物のゴム成分はブタジエンゴムと天然ゴムとからなり、該ゴム成分100質量部に対してブタジエンゴムが20〜80質量部である請求項1に記載のスタッドレスタイヤ。
- 前記トレッドゴム組成物には、前記ゴム成分100質量部に対して、更に、グラスファイバーが1〜3質量部、オイルが5〜25質量部、平均粒子径が20〜26nmであるカーボン粉体が33〜55質量部で配合されている請求項1または請求項2に記載のスタッドレスタイヤ。
- 2枚のスチールベルトと、1枚のプライ構造を備えた空気入りタイヤからなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスタッドレスタイヤ。
- 乗用車装着用とされる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスタッドレスタイヤ。
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