JP2008543918A - 治療上の使用のためのチアゾロピリミジン - Google Patents

治療上の使用のためのチアゾロピリミジン Download PDF

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Abstract

痛覚過敏性疼痛状態およびそれらの症状の治療のための薬剤の製造における化学式(I)の化合物の使用であって、Rが脂環式基;アリールエチル基;あるいはハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)2、CNもしくはNO2によって置換されたフェニル基またはベンジル基である化合物の使用。

Description

本発明は、痛覚過敏性疼痛状態およびそれらの症状の治療における、チアゾロピリミジンの治療上の使用に関する。
痛覚過敏性疼痛状態は、組織損傷に起因する増強された疼痛知覚の状態である。これらの状態は、恐らく、負傷した個体による損傷組織の保護を促し、組織修復が起こる時間を与えるための神経系の自然な反応である。痛覚過敏性疼痛状態の症状は、痛覚過敏、異痛症(接触性異痛、温熱性異痛)および感覚異常を含む。痛覚過敏は、疼痛刺激に対する異常な疼痛反応である。異痛症とは、通常の刺激が疼痛を引き起こす症状である。感覚異常とは、他覚的な原因のない無感覚、刺痛(tingling)、うずき(pricking)、灼熱感、むずむず感などの、皮膚の異常な感覚である。これらの状態の根本的な2つの既知の原因があり、それは、感覚ニューロン活性の増加、および脊髄で起こる侵害受容情報のニューロン処理の変化である。これらの状態は、慢性炎症において、および感覚神経損傷が起こった場合(すなわち神経障害性疼痛の場合)に悪化し得る。上述のように、痛覚過敏性疼痛状態は、ほとんどの場合、感覚神経に対する直接的な損傷または特定の感覚神経によって支配される組織の損傷のいずれかの、組織損傷の結果である。
神経障害性疼痛の要素を含む感覚神経への損傷を伴う疾患は、糖尿病性神経障害、癌性疼痛、線維筋痛症、筋筋膜性疼痛症候群、変形性関節症、膵臓の痛み、骨盤/会陰部痛、ヘルペス後神経痛、複合性局所疼痛症候群、坐骨神経痛/腰神経根障害、脊髄狭窄、顎関節症、HIVの痛み、三叉神経痛、慢性神経障害性疼痛、腰痛、腰椎手術失敗症候群(failed back surgery pain)、術後疼痛、身体外傷後の痛み(銃創、交通事故(RTA)、やけどを含む)、心臓痛、胸痛、骨盤痛/骨盤内炎症性疾患、関節痛(腱炎、滑液包炎、急性関節炎)、頸痛、分娩痛(陣痛、帝王切開)、腎疝痛、急性帯状疱疹の痛み、急性膵炎、突出痛(癌)および月経困難症/子宮内膜症を含むが、それらに限定されない。
2つの主要な種類の鎮痛薬が知られている。すなわち、(i)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)および関連したCOX-2阻害剤、ならびに(ii)モルヒネに基づくオピエートである。両方の種類の鎮痛薬は、通常の痛み、即時痛または侵害受容性疼痛の制御において合理的に有効である。しかし、それらは神経障害性疼痛などのある種の痛覚過敏性疼痛に対してはあまり有効ではない。多くの医師は、これらの化合物の投与による副作用および患者がそれらの依存症になる可能性のために、神経障害性疼痛に作用するのに必要とされる高用量でのオピエートを処方したがらない。NSAIDはオピエートよりずっと効果が低いため、さらにより高い用量のこれらの化合物が必要とされる。しかし、これらの化合物は消化管の炎症を引き起こすため、望ましくない。
従って、神経障害性および他の痛覚過敏症候群における疼痛知覚の制御に十分効果があり、深刻な副作用を有さないか、または患者をそれらの依存症にさせない抗痛覚過敏薬および神経障害性疼痛治療の必要性がある。
EP-A-0050671は、化学式(I)のチアゾロ[3,2-a]ピリミジン誘導体を記載し、
Figure 2008543918
それは免疫調節特性を示し、腎炎および関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療薬として有用である。化学式(I)の1つの特定の化合物は、ヌクロメドンとして知られており、以下化合物1と呼ばれる6-(p-クロロベンジル)-5H-2,3,6,7-テトラヒドロ-5,7-ジオキソチアゾロ[3,2-a]ピリミジンであり、その化学構造は下記の通りである。
Figure 2008543918
化合物1は本来、関節リウマチまたは腎炎のための潜在的治療法として開発されたが、今はこれらの適応症では中断されている。前臨床試験では、ヌクロメドンは自己免疫性神経障害を有するマウスにおいて腎臓機能を回復させ、リポ多糖類誘導性ポリクローナル抗体反応を阻害した。
発明の概要
本発明の第一の態様は、痛覚過敏性疼痛状態およびそれらの症状の治療のための薬剤の製造における化学式(I)の化合物の使用であり、
Figure 2008543918
式中、Rは脂環式基;アリールエチル基;あるいはハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)2、CNもしくはNO2によって置換されたフェニル基またはベンジル基である。
本発明の代替表現は、治療を必要とする患者における痛覚過敏性疼痛の治療方法であり、それは患者に有効量の化学式(I)の化合物を投与することを含む。
化学式(I)の化合物の投与後、正常な生理的侵害受容に対する影響は観察されなかったため、このような化合物が痛覚過敏症の治療に使用される場合、正常な知覚の低下はないことが発見されている。
発明の説明
「ハロゲン」という用語は、本明細書において用いられる場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を含む。
「アルキル」という用語は、本明細書において用いられる場合、直鎖状または分岐鎖状の不飽和脂肪族部分を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を指す。
「アルコキシ」という用語は、本明細書において用いられる場合、酸素原子を介して結合した上記に定義されるようなアルキル基を指す。それは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含むが、それらに限定されない。「低級アルコキシ」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルコキシ基を指す。
「アリール」という用語は、本明細書において用いられる場合、任意選択で置換された芳香族環系、および2つ以上の環を有し、その少なくとも1つが芳香族環である任意選択で置換された多環系を指す。この用語は、例えば、フェニル基を含む。
「アリールエチル」という用語は、本明細書において用いられる場合、アリール置換されたエチル基を指す。
「脂環式」という用語は、本明細書において用いられる場合、1つ以上の非共役二重結合を含みうる非芳香族飽和環部分を指す。その基は任意選択で置換されうる。それは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロプロピルなどを含むが、それらに限定されない。
本発明での使用のために好ましい化合物は、6-(p-クロロベンジル)-5H-2,3,6,7-テトラヒドロ-5,7-ジオキソチアゾロ[3,2-a]ピリミジン、すなわち化合物1である。
本発明での使用のための化合物は、下記に示されるような2つの互変異性型で存在しうる。
Figure 2008543918
本発明での使用のための化合物はキラルでありうる。それらは単一のエナンチオマー、例えば、実質的に反対のエナンチオマーを含まない(R)エナンチオマーもしくはその逆の形であってもよく、またはジアステレオマー(R基がキラルである場合)、またはラセミ化合物であってもよい。
本発明の化合物はラセミ体として調製されてもよく、または特異的合成もしくは光学分割により、当技術分野において評価されるような個々のエナンチオマー型に調製されてもよい。それらの化合物は、例えば、光学活性な酸との塩の生成によるジアステレオマー対の形成に続く分別結晶化および遊離塩基の再生のような、標準的な技術によってそれらのエナンチオマーに分離されうる。あるいは、新規化合物のエナンチオマーは、キラルカラムを用いたHPLCによって分離されうる。
本発明での使用のために、化学式の化合物はプロドラッグとして与えられうる。本明細書において用いられる場合、「プロドラッグ」という用語は、投与後に何らかの化学的または生理学的過程を経てin vivoに薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す。さらに、本発明での使用のための化合物は、保護アミノ型、保護ヒドロキシ型または保護カルボキシ型でありうる。「保護アミノ」、「保護ヒドロキシ」および「保護カルボキシ」という用語は、本明細書において用いられる場合、当業者によく知られている方法で保護されるアミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基を指す。例えば、アミノ基は、ベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセチル基もしくは同様の基によって、またはフタルイミド基もしくは同様の基の形で保護され得る。カルボキシ基は、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステルまたはtert-ブチルエステルなどの容易に切断可能なエステルの形で保護され得る。ヒドロキシ基は、アルキル基または同様の基によって保護され得る。
この化学式で表されるいくつかの化合物は、溶媒和物、例えば水和物の形で存在してもよく、それもまた本発明の範囲内である。
本発明での使用のための化合物は、製薬上許容されうる塩、例えば、無機酸または有機酸の付加塩の形でありうる。このような無機酸付加塩は、例えば、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸および硫酸の塩を含む。有機酸付化塩は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、2-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロピオン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、N-グリコリルアルサニル酸、4-ヘキシルレゾルシノール、馬尿酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ラクトビオン酸、n-ドデシル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硫酸、粘液酸、2-ナフタレンスルホン酸、パモ酸、パントテン酸、ホスファニル酸((4-アミノフェニル)ホスホン酸)、ピクリン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テレフタル酸、p-トルエンスルホン酸、10-ウンデセン酸などの塩を含む。
塩はまた無機塩基とも形成されうる。このような無機塩基の塩は、例えば、アルミニウム、ビスマス、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を含む。有機塩基の塩は、例えば、N, N-ジベンジルエチレンジアミン、コリン(対イオンとして)、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、N,N-ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン(「TRIS」)などの塩を含む。
それらが製薬上許容されうる限り、このような塩は治療において使用されうることが理解される。このような塩は、従来の方法で化合物を適切な酸または塩基と反応させることによって調製されうる。
本発明での使用のための化合物は、当技術分野において既知の任意の適切な方法によって調製されうる。EP-A-0050671を参照することができ、その内容は参照によって組み入れられる。
得られた最終生成物あるいは中間体の任意の混合物は、構成成分の物理化学的差異に基づき、既知の方法で、例えば、クロマトグラフィー、蒸留、分別結晶化によって、またはその状況下で適切もしくは可能であれば塩の形成によって、純粋な最終生成物あるいは中間体に分離され得る。
化合物の活性および選択性は、当技術分野において既知の任意の適切なアッセイによって決定されうる。
本発明は、痛覚過敏性疼痛状態およびそれらの症状の予防、治療または改善のための薬剤の製造における、化学式(I)の化合物の使用を対象とする。
痛覚過敏性疼痛状態は、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、癌性疼痛、線維筋痛症、筋筋膜性疼痛症候群、変形性関節症、膵臓の痛み、骨盤/会陰部痛、ヘルペス後神経痛、複合性局所疼痛症候群、坐骨神経痛/腰神経根障害、脊髄狭窄、顎関節症、HIVの痛み、三叉神経痛、慢性神経障害性疼痛、腰痛、腰椎手術失敗症候群、術後疼痛、身体外傷後の痛み(銃創、交通事故、やけどを含む)、心臓痛、胸痛、骨盤痛/骨盤内炎症性疾患、関節痛(腱炎、滑液包炎、急性関節炎)、頸痛、腸の痛み、幻肢痛、分娩痛(陣痛、帝王切開)、腎疝痛、急性帯状疱疹の痛み、急性膵炎、突出痛(癌)、有痛性膀胱症候群/間質性膀胱炎、前立腺炎および月経困難症/子宮内膜症を含むがそれらに限定されない神経障害によって生じうる。
化学式(I)の化合物は、他の治療薬、例えば鎮痛薬および抗炎症薬(オピエート、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニン調節因子、もしくはブラジキニン調節因子など)または抗痛覚過敏薬(ガバペンチン、プレガバリン、カンナビノイド、ナトリウムチャネル調節因子もしくはカルシウムチャネル調節因子、抗てんかん薬もしくは抗うつ薬など)とともに、あるいはそれらなしで投与されうる。
通常、化学式(I)の化合物は、既知の方法によって、任意の適切な製剤で、任意の適切な経路によって投与されうる。本発明の化合物は、好ましくは経口、非経口、舌下、経皮、髄腔内、または経粘膜投与される。他の適切な経路は、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、鼻腔、直腸、局所および膀胱内を含む。投与される薬物の量は一般的に、経口投与される場合には、例えば静脈内投与される場合よりも高い。
組成物は、例えば、本発明の化合物の迅速な放出または持続放出のような制御放出をもたらすように、当業者にとって既知の方法で調製されうる。このような組成物での使用に適した製薬上許容されうる担体は、当技術分野においてよく知られている。本発明の組成物は、0.1〜99重量%の活性化合物を含有しうる。本発明の組成物は通常、単位投与剤型に調製される。好ましくは、単位用量は、0.1〜1000 mgの量の活性成分を含む。これらの組成物の調製に使用される賦形剤は、当技術分野において既知の賦形剤である。
適切な投与量レベルは、当業者にとって既知の任意の適切な方法によって決定されうる。しかし、任意の特定の患者に対する特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与期間、投与経路、排出速度、薬物の組合せおよび痛覚過敏症の重症度を含む様々な要因に依存することが理解される。好ましくは、構造(I)の化合物は、1日あたり1〜4回の頻度で投与される。
経口投与用の組成物は、このような投与のための既知の医薬剤型、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性の粉末もしくは顆粒、乳剤、硬カプセルもしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤を含む。経口用の組成物は、医薬組成物の製造のために当技術分野において既知の任意の方法に従って調製され、このような組成物は、製薬上洗練された口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つ以上の物質を含みうる。錠剤は、錠剤の製造に適した毒性のない製薬上許容されうる賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチン、アラビアゴム、微結晶性セルロースまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤;ならびに、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤でありうる。錠剤は被覆されなくてもよく、またはそれらは、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間に渡る持続作用をもたらすために、既知の技術によって被覆されてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質が使用されうる。
経口用の製剤はまた、活性成分が固体の不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が水または油性溶媒、例えばラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとしても提供されうる。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性物質を含む。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤であり;分散剤または湿潤剤は、例えばレシチンなどの天然のリン脂質、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなど)、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなど)、またはエチレンオキシドの脂肪酸に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなど)でありうる。水性懸濁液はまた、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の矯味剤、およびショ糖またはサッカリンなどの1つ以上の甘味剤を含有しうる。
油性懸濁液は、活性成分を、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココヤシ油などの植物油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、オレイン酸などの脂肪酸、または流動パラフィンなどの鉱油、あるいは他の界面活性剤(surfactants)もしくは界面活性剤(detergents)に懸濁することによって調製されうる。油性懸濁液は、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含有しうる。口当たりのよい経口用製剤を提供するために、上述のような甘味剤、および矯味剤が添加されうる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存されうる。
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性の粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。適切な甘味剤、矯味剤および着色剤もまた存在しうる。
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の剤型でありうる。その油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば流動パラフィン、またはそれらの混合物でありうる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴムもしくはトラガカントゴム、天然のリン脂質、例えばダイズレシチン、ならびに脂肪酸および無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、および前記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートでありうる。乳剤はまた、甘味剤および矯味剤を含有しうる。
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖とともに調製されうる。このような製剤はまた、粘滑剤(demulcent)、保存剤ならびに矯味剤および着色剤を含有しうる。医薬組成物は、滅菌注射用水性懸濁液または油性懸濁液の剤型でありうる。この懸濁液は既知の技術に従って、上述された適切な分散剤または湿潤剤を用いて調製されうる。滅菌注射用製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液のような、毒性のない非経口的に許容されうる希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液でありうる。許容されうるベヒクルおよび溶媒のうち、使用されうるものは、水、リンゲル液および生理食塩液である。加えて、滅菌した固定油は、溶媒または懸濁溶剤として従来使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性の固定油が使用されうる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は、注射用製剤における用途を見いだす。
本発明での使用のための化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐薬の剤型でも投与されうる。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸で融解して薬物を放出する適切な無刺激性の賦形剤と薬物を混合することによって調製され得る。このような物質はカカオ脂およびポリエチレングリコールである。
局所投与のための組成物もまた、本発明での使用に適している。製薬上活性のある化合物は、製薬上許容されうるクリーム、軟膏またはゲルに分散されうる。適切なクリームは、活性化合物を軽質流動パラフィンなどの局所ベヒクルに混合することによって調製され、界面活性剤を用いて水性媒質に分散されうる。軟膏は、活性化合物を鉱油またはロウなどの局所ベヒクルと混合することによって調製されうる。ゲルは、ゲル化剤を含む局所ベヒクルと活性化合物とを混合することによって調製されうる。局所投与可能な組成物はまた、本発明の製薬上活性のある化合物が分散され、化合物を経皮投与するために化合物が皮膚との接触を維持できるような基剤を含みうる。
化学式(I)の化合物は、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、癌性疼痛、線維筋痛症、筋筋膜性疼痛症候群、変形性関節症、膵臓の痛み、骨盤/会陰部痛、ヘルペス後神経痛、複合性局所疼痛症候群、坐骨神経痛/腰神経根障害、脊髄狭窄、顎関節症、HIVの痛み、三叉神経痛、慢性神経障害性疼痛、腰痛、腰椎手術失敗症候群、術後疼痛、身体外傷後の痛み(銃創、交通事故、やけどを含む)、心臓痛、胸痛、骨盤痛/骨盤内炎症性疾患、関節痛(腱炎、滑液包炎、急性関節炎)、頸痛、腸の痛み、幻肢痛、分娩痛(陣痛、帝王切開)、腎疝痛、急性帯状疱疹の痛み、急性膵炎、突出痛、癌性疼痛、月経困難症/子宮内膜症、有痛性膀胱症候群/間質性膀胱炎、前立腺炎、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、および他の関節炎状態、癌、HIV、慢性炎症性肺疾患、珪肺症、肺類肉腫症(pulmonary sarcosis)、骨吸収疾患、再灌流障害(例えば心筋梗塞、脳卒中などの虚血症状発現後の再灌流の結果として器官に生じた損傷を含む)、自己免疫性障害(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症を含む)、移植片対宿主拒絶反応、同種移植片拒絶反応、感染による発熱および筋肉痛、AIDS関連症候群(arc)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎および発熱、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳マラリアおよび細菌性髄膜炎を含むがそれらに限定されない、神経障害または炎症性疾患(または両者の組合せ)の結果として生じる疼痛の治療のために使用され得る。
下記の実施例は、本発明が基づいている根拠を提供する。それらは下記の参照文献、すなわち、
Bennett, GJ および Xie, YK (1988)., "A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man", Pain 33:87-107
Brennan TJ, Vandermeulen EP および Gebhart GF (1996), "Characterization of rat model of incisional pain", Pain 64:493-501
において報告されるモデルを利用する。
実施例1
ラット絞扼性神経損傷(CCI)モデルにおける単回経口投与試験
外科手術
ラット絞扼性神経損傷(CCI)モデルを、標準的な手順に従って作製した(Bennett および Xie, 1988)。簡潔には、到着時に体重150〜175グラムのオスのSprague-Dawleyラットを5%イソフルラン/95%酸素ガス混合物で麻酔し、その後ペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg)のi.p.注射を行った。左後肢の外側の毛を剃り、75%エタノールで滅菌した。約1 cm切開し、坐骨神経を露出させた。4-0縫合絹糸を用いて坐骨神経上に4つの緩い結紮を作った。その損傷を絹縫合によって層状に閉じ、動物を30℃に制御された温度の回復チャンバーに入れた。その後、意識が完全に回復し自由運動が回復した後、動物をそれらの飼育ケージに戻した。感染を防ぐために、アモキシシリン(0.1 ml、15 mg)を手術後定期的に腹腔内注射した。
行動試験(機械誘発性異痛)
CCIラットにおいて、手術の14日後に、機械的な刺激に応答する足引っ込め閾値(paw withdrawal threshold)(PWT)の評価を開始した。ベースライン閾値は、薬物適用前に3日連続で、ならびに薬物適用の0.5、1、2、3および4時間後に測定された。PWTは一連の段階的なvon Frey hairを用いて測定された。動物を試験前の少なくとも30分間、個々のパースペクス製の箱の中で高くした金網上に入れた。より弱い力(1 g)のフィラメントから開始し、各フィラメントを、それが軽く曲がるまで6秒間、足底の中心に垂直に当てた。動物が刺激に対して足を引くかまたは持ち上げる場合、次には、試験されたものより1つ下の力のフィラメント(hair)が使用される。反応が観察されなかった場合、次には、1つ上の力のフィラメントが使用される。信頼性のある反応(5回の試験のうち3回陽性)を引き起こすために必要とされる最も弱い力を、PWT値として記録した。
薬物の調製
化合物1の懸濁液は、生理食塩水中5%DMSOを用いて調製された(10 mg/ml)。適用前に少なくとも20分間、懸濁液を超音波処理した。
結果
この試験のすべてのデータは平均値±S.E.M.として示され、必要に応じてスチューデントt検定または一元配置分散分析によって分析される。有意水準はP<0.05に設定された。
ベヒクル対照:足引っ込め閾値(PWT)は、ベヒクルの経口(p.o.)投与前、ならびに投与後0.5、1、2、3および4時間目に検査された。観察期間に渡って、異なるベヒクル対照群における有意な変化は観察されなかった。ベヒクル対照のPWT測定は、6時間目には行われなかった。
化合物1の経口適用は、20 mg/kgの用量では、投与後2、3および4時間の複数の時点でCCIラットにおけるPWTを有意に増加させた。2、3および4時間目では、PWTは、ベヒクル処理群の同じ時点でのPWT と比較して、2.6±0.7 g、3.0±0.7 gおよび6.3±0.8 g、P<0.05、0.01および0.001であった。化合物の効果は6時間以上持続した(投与前対照と比較して4.0±0.5 g、P<0.001)。
上述の結果は、化合物1が経口で生物学的に利用可能であり、CCIモデルにおいて20 mg/kg p.o.の用量で神経障害性疼痛状態の緩和に有意な効果を有することを示唆する。
実施例2
CCIモデルにおける用量反応試験
CCI動物の作製方法およびvon Frey hairを用いた機械誘発性異痛の評価方法は、実施例1に記載されたとおりである。4つの用量の化合物1(1 、3、10、30 mg/kg)を経口投与し、投与の30、60、120、180、240および360分後にPWTを再評価した。
化合物1はCCIラットにおけるPWTを用量依存的に増加させることが見いだされた。一元配置分散分析は、120(P<0.05)、180、240および360分(P<0.001)で異なる用量群間に有意差があることを示した。ポストホック分析は、化合物1の経口投与後180、240および360分で異なる用量群間に有意差があることを示す。
その結果は、化合物1がCCIラットにおいて生じた異痛を用量依存的に回復させることを示す。その結果は、この化合物が神経損傷誘導性の神経障害性疼痛状態の治療に有用でありうることを示唆する。
実施例3A
CCIモデルでの異所性興奮に対する急性投与の効果
末梢神経における自発的な異所性興奮は、神経障害性疼痛動物モデルに特徴的な現象である。それは、脊髄の過敏化および神経障害性状態の発生および持続に関与すると考えられる。従って、化合物が異所性興奮の阻害効果を有する場合、それは神経障害性疼痛状態の治療に有用でありうる。
CCIモデルラットの作製および神経障害性疼痛状態の評価は、実施例1に記載されたとおりである。電気生理学的実験は、von Frey hair試験によって前述のように確認された神経障害性疼痛状態を有するCCIラットに対して実施された。化合物1の懸濁液は、1%DMSO、66%PEG200および33%生理食塩水を含有するベヒクル中、5 mg/mlに調製された。
神経障害性疼痛を有するラットをチオブタバルビタールナトリウム(イナクチン、導入のために120 mg/kg i.p.、その後、維持のために必要に応じて60 mg/kg i.p.)で麻酔した。動脈圧および心拍を定期的に測定し、直腸温を持続的に測定して、保温毛布システム(thermo-blanket system)を用いて生理的範囲に維持した。
左後肢の皮膚を切開し、オイルプールを形成するためにステンレス製の「O」リングに縫い付けた。腓腹神経を慎重に露出させ、何度も裂いて1本または数本の線維しか含まない小束にし、自発性活動を検査した。急性実験では、活動線維が見いだされた場合、少なくとも20分間の対照記録を得た。続いて、ベヒクルおよび化合物1(5 mg/kg i.v.)の効果を検査した。薬物の投与後少なくとも40分間、活動を測定した。自発性活動の頻度はオンラインで測定され、実験後オフラインで解析された。
i.v.注射のために、化合物1の懸濁液(5 mg/ml)は、1%DMSO、66%ポリエチレングリコール(PEG200)および33%生理食塩水からなるベヒクルを用いて調製された。その後、懸濁液を投与前に30分間超音波処理した。
ベヒクルおよび化合物1(5 mg/kg i.v.)の効果は、2匹の個別のCCI検体で検査された。第一検体において、ベヒクルは異所性興奮を682 imps/minから591に減少させたが、一方、化合物1(5 mg/kg i.v.)は異所性興奮を682 imps/minから426に低下させた。第二検体では、それぞれベヒクルおよび化合物1 (5 mg/kg)のiv注射後、異所性興奮は298 imps/minから215および104に低下した。
4つの線維では、薬物適用前の異所性興奮の平均発火率は489.7±125.8 imps/min(248〜730 imps/minの範囲)であった。ベヒクルの注射後、それはわずかに440±129.0 imps/min(対照の87.6±5.8%、P>0.05)に低下したが統計的に有意ではなく;投与後、異所性興奮の発火率は307.6±113.4 imps/min(対照の57.1±9.0%、P<0.01)まで有意に低下した。
これらの2回の実験から、化合物1(5 mg/kg i.v.)は、CCI誘導性神経障害の確立後にラット末梢神経において測定される自発的な異所性興奮の低下に有効であると思われる。
実施例3B
CCIラットでの異所性興奮の発生に対する慢性投与の効果
手術後16日目に神経障害性疼痛状態を確認した後、動物(ベヒクル群のために4匹、薬物処理群のために4匹)にベヒクル(生理食塩水中5%DMSO)または化合物1 (30 mg/kg p.o.)のいずれかを1日2回、8日間投与した。投与計画の最後に、電気生理学的実験の前にPWTを再評価した。
検査のために腓腹神経を何度も裂き、細い束にした。自発性活動を有する線維については、少なくとも1分間記録を続け、明白な自発性活動のない線維については、少なくとも30秒間記録を続けた。各腓腹神経において、できるだけ多くの線維を裂いて記録した(1匹の動物において平均150束以上)。
4匹のCCIラットでは、化合物1による処理の8日後、PWTはベヒクル処理でのPWTよりも有意に高かった。
ベヒクル処理群では、4匹のラット由来の602線維が検査された。それらの線維のうち、197線維が自発性活動を有した。一方、化合物1で処理された4匹のラット由来の633線維のうち、自発性活動を有するのは48線維のみであった。「活動線維」の割合は、DRP処理群においてベヒクル群での割合より有意に低かった(P<0.001、χ2検定)。
ベヒクル処理ラットでは、自発性活動は15〜3905/minの範囲であり、平均頻度は1123.5±69.4であった。化合物1処理群では、自発性活動の頻度は13〜3532/minの範囲であった(平均頻度は888.9±148.5/minであった)。しかし、自発性活動の平均頻度の比較は、ベヒクル群と化合物1群との間で有意差を示すことができなかった。
化合物1によるCCIラットの慢性処理は、自発性活動を有する線維の割合を有意に低下させた。その結果は、化合物1がCCIラットでの異所性興奮の発生および持続を防ぎ、その結果、神経障害性疼痛状態の緩和をもたらしうることを示唆する。
実施例4
CCIモデルでの耐性障害(tolerance liability)
CCIモデルラットの作製およびvon Frey hairを用いた神経障害性疼痛状態の評価は、実施例1に記載されたものと同一であった。PWTは手術前に3日連続で、ならびに手術の6、14、15および16日後、午前中に評価された。16日目から、動物にベヒクル(生理食塩水中5%DMSO、1 ml/kg)または化合物1 (30 mg/kg p.o.)のいずれかを1日2回、7日間投与した。16日目から先は、手術後23日目まで、その後毎朝および投与の4時間後にPWTを評価した。
手術後16日目では、ベースラインPWTは手術前に測定されたレベル(手術前のベヒクル群では11.86±0.43 g、n=7、および手術前の化合物1群では10.75±0.35、n=8)より有意に低下し、手術後16日目では1.23±0.03 g(ベヒクル群)および1.15±0.07 gであった。1日目の処理後のベースラインPWTはベヒクル群で観察されるものよりも高く、7日の実験投与期間を通してより高いレベルを維持した。興味深いことに、化合物1群におけるベースラインは7日の処理期間に渡って上昇した。従って、ベースラインと比較した化合物1群におけるPWT増加の程度は、処理1日目において見られたものと比較して低下した。
低下したPWTの回復における化合物1の有効性の有意な低下は、処理7日間に渡って見られなかった。加えて、毎朝その日の1回目の投与前に得られたベースライン測定値は、実験の期間に渡って上昇した。これは、この慢性投与試験の期間に渡って有効性を失ったのではなく、反復投与において化合物1は投与後12時間もの間CCI誘導性の機械誘発性異痛を緩和できることを示唆する。
実施例5
糖尿病性神経障害を有するラットでのPWTに対する効果
イソフルラン麻酔下で、オスの成体Sprague-Dawleyラット(150〜200 g)にストレプトゾトシン(75 mg/kg、Calbiochem)の腹腔内注射を行った。注射後、水および食餌が常に得られることを確実にするために特別な注意を払い、床敷きを頻繁に交換した。ストレプトゾトシン注射の1週間後、Accuchek試験紙(Roche)とともにAdvantage IIを用いて血糖値を検査した。12 mM/L(216 mg/DL)以上の血糖値を有するラットだけを行動試験のために選抜した。
von Frey hairを用いた神経障害性疼痛状態の評価は、実施例1に記載されたものと同一であった。低下したPWT(<4 g)を有するラットを、ベヒクル(1 ml/kg p.o.)または化合物1(1、3、10、および30 mg/kg p.o.)投与のいずれかに用いた。PWTは経口投与の1、2、3、4および6時間後に再評価された。
ベヒクルと1 mg/kgの化合物1はいずれも、PWTに有意な変化を生じなかった。しかし、3 mg/kg p.o.以上の用量では、化合物1は糖尿病性神経障害を有するラットでのPWTを有意に増加させた。この効果は用量依存的である。その結果は、化合物1が糖尿病性神経障害の治療に潜在的な治療効果を有しうることを示唆する。
実施例6
術後疼痛のラットBrennanモデルでのPWTに対する効果
Brennanら(1996)に記載されたように術後疼痛モデルを作製した。簡潔には、ラットを導入のために酸素中5%イソフルラン(2 L/min)で麻酔し、その後、手術前にペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg)の静脈注射によって麻酔した。手術は無菌操作で行われた。左後肢を75%エタノール溶液で滅菌した。外科用メスでかかとの端約0.5 cm からつま先に向かって1.5 cmの縦切開を行った。足底筋および筋膜を持ち上げ、縦に切開したが、これらの組織の構造は完全に保たれた。圧迫による完全止血後、5-0縫合絹糸によって皮膚を縫合した。手術後の感染予防のために、動物にアモキシペン15 mg/kgを定期的に腹腔内注射した。手術後、動物をそれらの飼育ケージに戻す前に、意識および随意運動が完全に回復するまで、温度制御された回復チャンバーに入れた。
ベヒクル(n=8)と3 mg/kgの化合物1(n=7)はいずれも、PWTに有意な変化を生じなかった(P>0.05)。しかし、3 mg/kg p.o.より高い用量では、化合物1は術後疼痛の誘発を受けたラットでのPWTを有意に増加させた。この効果は用量依存的であった。手術の4時間後では、10 mg/kgおよび30 mg/kgの化合物1は、PWTを対照レベル(それぞれ1.50±0.36 gおよび1.82±3.8 g)からそれぞれ2.60±0.48 gおよび3.80±0.44 g(それぞれP<0.05および0.001)へと有意に上昇させた。10 mg/kgの用量の鎮痛効果は6時間後には失われた。しかし、30 mg/kgの用量の効果は投与8時間後でもまだ顕著であった(同時点でのベヒクル群と比較して、6時間では5.28±0.66 gおよび8時間では4.16±0.79 g、P<0.001)。
この術後疼痛モデル試験で観察された特徴的な現象は、PWTの向上における化合物1の効果が、CCIモデルまたは糖尿病モデルでの効果よりも遅く現れることであった。その効果は、投与4時間後までは観察されず、投与8時間後まで持続した。
このように、化合物1は用量依存的に術後疼痛のBrennanモデルでのPWTを増加させる。その結果は、化合物1が臨床的術後疼痛の治療に潜在的な治療効果を有しうることを示唆する。このモデルで観察された鎮痛効果の遅延に対する理由は不明である。

Claims (13)

  1. 痛覚過敏性疼痛状態およびそれらの症状の治療のための薬剤の製造における化学式(I)の化合物の使用であって、
    Figure 2008543918
    式中、Rは脂環式基;アリールエチル基;あるいはハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)2、CNもしくはNO2によって置換されたフェニル基またはベンジル基である化合物の使用。
  2. 前記状態が神経障害性疼痛である、請求項1に記載の使用。
  3. 前記神経障害性疼痛が糖尿病性神経障害に起因する、請求項2に記載の使用。
  4. 前記神経障害性疼痛が腰痛(back pain)である、請求項2に記載の使用。
  5. 前記疼痛が線維筋痛症の痛みである、請求項2に記載の使用。
  6. 前記疼痛がHIVの痛みである、請求項2に記載の使用。
  7. 前記疼痛が複合性局所疼痛症候群である、請求項2に記載の使用。
  8. 前記疼痛が三叉神経痛または顎関節症である、請求項2に記載の使用。
  9. 前記疼痛がヘルペス後神経痛である、請求項2に記載の使用。
  10. 前記疼痛が有痛性膀胱症候群/間質性膀胱炎、前立腺炎または月経困難症/子宮内膜症である、請求項2に記載の使用。
  11. 前記疼痛が、腸の痛み、癌性疼痛、幻肢痛、術後疼痛、多発性神経障害、筋筋膜性疼痛症候群、変形性関節症、膵臓の痛み、骨盤/会陰部痛、坐骨神経痛/腰神経根障害、脊髄狭窄、慢性神経障害性疼痛、腰椎手術失敗症候群、身体外傷後の痛み(銃創、交通事故、やけどを含む)、術後疼痛、心臓痛、胸痛、骨盤痛/骨盤内炎症性疾患、関節痛(腱炎、滑液包炎、急性関節炎)、頸痛、分娩痛(陣痛、帝王切開)、腎疝痛、急性帯状疱疹の痛み、急性膵炎および突出痛より選択される、請求項2に記載の使用。
  12. 式中、Rが脂環式基、アリールエチル基、あるいはハロゲン、アルキルもしくはアルコキシによって置換されたフェニル基またはベンジル基である、上記の請求項のいずれか1項に記載の使用。
  13. 前記化合物が6-(p-クロロベンジル)-5H-2,3,6,7-テトラヒドロ-5,7-ジオキソチアゾロ[3,2-a]ピリミジンである、請求項12に記載の使用。
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