JP2008543229A - データパケット信号受信機の感度を計測するための方法 - Google Patents

データパケット信号受信機の感度を計測するための方法 Download PDF

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Abstract

データパケット信号の所定の制御されたシーケンスにおいて受信されたデータパケット信号のパワーレベルまたは変調、またはその両方を変えることにより、データパケット信号受信機の感度を測定する方法が提供される。

Description

本発明は一般に許容性能を満たしているかについて電子機器をテストすることに関するものであり、より具体的には被検デバイス(DUT)のデータパケット信号受信機の感度計測に関する。
電子受信機は、携帯電話や無線パーソナルコンピュータ(PC)、そして一般的な無線デバイスの基本部品である。一般に無線デバイスは、製造施設から出荷される前に許容性能を満たしているかどうかについてテストされる。無線デバイステストの一部には、そのデバイスの受信機の感度をテストするものが含まれる。受信機の感度は、所定のパワーレベルにてその受信機が受信したパケットのパケット誤り率(PER)を計算することによりテストすることができる。例えば所定のパワーレベルにある既知数のパケットが受信機へと送られ、その受信機により適正に受信されたパケット数が計算される。PERは、送信されたパケット数から適正に受信されたパケット数を差し引いたもの(例えば適正に受信されていないパケット数)を伝送されたパケット数で割ったものであり、通常はパーセンテージで表される。例えばPER10%以下を合格とすることができる。この所定のパワーレベルは、一般に想定される受信機感度よりも高いテストレベルに選択される。例えば、想定感度が−75dBm(1ミリワットに対するデシベル、よって絶対パワーレベル)である場合、選択されるテストレベルは−72dBmとすることができる。−72dBmのパワーで伝送される受信パケットについて受信機のPERが10%以下である場合、その受信機は合格となり、そうでない場合は不良となる。テストレベルが受信機の想定感度、またはそのごく近くに選択されている場合、例えば緩んだコネクタなどによる受信機パワーレベルのわずかな変動により、テストの合格/不合格結果は変化しやすく一貫性のないものとなる可能性がある。従って、テストレベルは通常、安定したテスト結果を得るために、想定される感度よりも適正に高いポイントに選ばれている。
上述した従来のテストに代わるものとして、受信機の真の、すなわち実際の感度を求めるものがある。例えば、PERをあるパワーレベルで伝送されるパケットシーケンスについて、次に他のパワーレベルにて伝送されるパケットシーケンスについて決定していき、これをPERにブレイクポイント(例えば急激な変化ポイント)が見られるまで続けられる。一般に感度は、通常は急激な変化ポイントとほぼ同じである、PERが10%などの所定レベルに達した時に特定される。PERブレイクポイントが発生するパワーレベルをその受信機の真の感度として選択することができ、この得られた真の感度に基づいて受信機の合否が決定される。しかしながら、真の受信機感度を決定するためにPERブレイクポイントが見つかるまで異なるパワーレベルにて繰り返し伝送しなければならないパケットシーケンスの数により、テスト時間が増大する可能性がある。この場合、テスト時間の増大に伴い、許容される受信機をテストするためのコストは大きくなる。たとえそうであっても真の受信機感度の判定は非常に望ましいことであると言える。
例えば、複数の被検受信機の真の受信機感度を追跡することにより、ある受信機から他の受信機への感度レベルの変化率のみならず変化の方向も知ることができる。真の感度の変化は、受信機部品の供給業者の変化に相関する場合がある。受信機感度の悪化傾向を発見して早期に修正すれば、不良デバイス補修のための返品を防止することができる。加えて、現在のディジタル受信機はアナログの先行機とは異なり、徐々に感度が劣化することは一般にはない。感度における大きな変化(例えば合格判定から不良判定までの変化)は、受信したパワーの1dB内で生じる。従って、パワーの関数としての真の感度ブレイクポイントは、パワーの狭い範囲における非常に急峻な変化であり得る。被検受信機に不良が出始めた時に真の受信機感度がどこにあるのか、または真の受信機感度がどちらの方向に変化しているのかを知らないと、製造テスト中に多数の受信機が一度に不良となってしまう危険性が高いのである。
上記に照らし、被検受信機の真の受信機感度をタイムリーに(例えばテスト時間を著しく増大させずに)決定するための改良が必要とされているのである。
データパケット信号の所定の制御されたシーケンスにおいて受信されたデータパケット信号のパワーレベルまたは変調、またはその両方を変化させることにより、データパケット信号受信機の感度を計測するための方法が提供される。
一実施例においては、期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、本方法は、複数のデータパケット信号の第1および第2部分を受信するステップであって、第1および第2部分が、所定のパワーレベルよりもそれぞれに大きいパワーレベル、および小さいパワーレベルにある第1および第2のデータパケット信号を対応して有することを特徴とするステップと、受信した複数のデータパケット信号の第1および第2部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、を含む。
他の実施例においては、期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、本方法は、複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、2つ以上の部分の各々が、異なるパケット信号パワーレベルをもつことを特徴とするステップと、受信した複数のデータパケット信号の2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、そして適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、を含む。
さらに他の実施例においては、期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、方法は、複数のデータパケット信号の第1および第2の部分を受信するステップであって、第1および第2部分は、所定のパワーレベルよりもそれぞれに大きいパワーレベルおよび小さいパワーレベルにある第1および第2のデータパケット信号を対応して有することを特徴とするステップと、受信された複数のデータパケット信号の第1および第2の部分に対応する第1および第2のPERをそれぞれ計算するステップと、計算された第1および第2のPERを期待PERと比較するステップと、を含む。
さらに他の実施例においては、期待パケット誤り率(PER)−対−データパケット信号パワーレベルにより定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、方法は、複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、2つ以上の部分はそれぞれに異なるパケット信号パワーレベルにあることを特徴とするステップと、複数のデータパケット信号の2つ以上の部分の各々についてPERを計算するステップと、2つ以上の部分について計算されたPERを期待PERと比較するステップと、を含む。
さらに他の実施例においては、期待パケット誤り率(PER)−対−関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルにより定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、本方法は、複数のデータパケット信号の第1および第2の部分を受信するステップであって、第1および第2部分が、実質的に等しいデータパケット信号パワーレベルをもち、そして第1部分が所定の変調よりも大きい第1の変調にあり、第2部分が所定の変調よりも小さい第2の変調にあることを特徴とするステップと、複数のデータパケット信号の受信した第1および第2の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、期待PERを決定するステップと、を含む。
一実施例においては、期待パケット誤り率(PER)―対―関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルにより定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、本方法は、複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、2つ以上の部分は実質的に等しいパワーレベルにあるデータパケット信号をもち、そして2つ以上の部分の各々は異なる変調にあることを特徴とするステップと、受信した2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、期待PERを決定するステップと、を含む。
さらに他の実施例においては、期待パケット誤り率(PER)―対―関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルにより定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法が提供されるものであり、本方法は、複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、2つ以上の部分のうち、1つの部分のデータパケット信号は実質的に同じパワーレベルおよび変調状態をもち、少なくとも二つの部分の部分間においてはパワーレベルおよび変調が異なっていることを特徴とするステップと、受信した2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、期待PERを決定するステップと、を含む。
本発明は添付図を参照しつつ以下の説明から、より容易に理解することができるものであり、図において同様の符号は同様の要素を示す。
被検デバイス(DUT)中にあるデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法が提供される。典型的に、データパケット信号受信機はdBm(絶対パワーレベル)またはdB(相対パワーレベル)で計測されたパワーレベルの関数としてパケット誤り率(PER)を示す曲線により定義される感度特性をもっている。曲線の形状、すなわち感度特性は、1つの受信機と同じ種類の他の受信機との間では、曲線が被検ユニットの真の感度の動きに対応してx軸(dBm軸)に沿って左右に動くことがあることを除いては、ほぼ同じとなる。従って特定のデータパケット信号受信機の真の感度レベルは、類似する曲線グループの1つ、よって複数のデータパケット信号パワーレベルに対する多数の期待パケット誤り率(PER)(例えば多数の曲線)の1つ(例えば1曲線)であると説明することができる。
図1は、あるタイプのデータパケット信号受信機の感度特性を定義付けるために用いることができる典型的なパケット誤り率(PER)曲線群102の一例を示すグラフ100である。曲線の1つ(例えば104)は、被検下にある特定のデータパケット信号受信機の真の感度を記述、すなわち定義することができる。本実施例は典型的なPER曲線群102のうち、被検下にある特定のデータパケット信号受信機の真の感度と最も適合する、すなわち一致する特定の曲線(例えば104)を決定する方法例を示すものである。
例えば、3つの異なるパワーレベルにあるデータパケット信号(本願においては以下、単に「データパケット」または「パケット」とも称する)を被検受信機へと伝送することができる。そうすることで、3つの異なるパワーレベルで受信機をテストすることができる。例えばそれぞれ−78dBm、−75dBmおよび−72dBmにある3つの連続するパケットを受信ユニットへと所定回数にわたり送信することができる。図1のグラフ100によれば、被検受信機の真の感度が曲線104にある場合、−78dBmのパケットはほぼ全て失われることが期待される。−75dBmで伝送されるパケットの約8%は失われることが期待され、そして−72dBmで伝送されるパケットのほぼ全てが適正に受信されることになる。3つのパワーレベルのそれぞれについて100個のデータ信号パケットを受信する場合を想定する。受信ユニットが曲線104に示した真の感度をもっていた場合、伝送された300パケットのうち、約192データパケットが適正に受信されることが期待されることになる。例えば、−72dBmで伝送される100パケットは全て適正に受信され、−75dBmで伝送される100パケットは92個が適正に受信され、そして−78dBmで伝送される100パケットは全てが適正に受信されないものと予想されるのである。よって伝送される300パケットのうち、適正に受信されるパケットの合計数は、192パケットとなる。
しかしながら、受信機の感度が低い方向に1dB分シフト(−75dBmから−74dBm)したものを想定し、図1の曲線105に示した。ここでの期待されるのは、−75dBmで伝送されるパケットの約30%が(曲線105によれば)失われるが、残り2つのレベルにおける喪失および受信パケット数は以前と同じである。従って、曲線105の感度をもつ受信機は、伝送される300パケットのうち、約170パケットを適正に受信することが期待される。対照的に受信機感度が反対方向へと1dB分シフト(−75dBmから−76dBm)した場合、受信機ユニットの真の感度を曲線106により近似することができる。この場合、曲線106の感度をもつ受信機は、−75dBmで受信される100パケットのうち97パケットを適正に受信し、−78dBmで送信されるパケットも、わずかな数だけ適正に受信する。従って受信ユニットの真の感度レベルが曲線106によりモデリングされている場合、伝送された300パケットのうち、200パケット以上が適正に受信されることが期待されるのである。
上述からわかるように、被検下のデータパケット信号受信機の真の感度レベルは、異なるパワーレベルをもつデータパケット群の一回の信号伝送から判定可能である。上記の例に示したように、適正に受信されたパケットの総数を、特定のデータパケット信号受信機の真の感度または適合度の決定に用いることができる。しかしながら、多くの場合においては、本質的な真の感度レベルを判定するための曲線の当てはめは実施する必要が無く、むしろ適正に受信されたパケットの総数、例えば300のうちの100などを、特定のデータパケット信号受信機の合否テスト結果の決定に使うことができる。加えて、適正に受信されたパケットの総数を被検受信機ごとに追跡しておくことにより、製造されるデータパケット信号受信機に関する変化方向および/または感度レベル変化率を決定することができる。このような蓄積データは、例えば劣化した感度レベルは受信機部品の供給業者が変わったことに関連していたなど、変化原因の特定に用いることができる。
図2は、本明細書に説明する本発明の一実施例に基づいて、データパケット信号受信機の感度レベルを計測する方法例200を説明するフローチャートである。データパケット信号受信機は、複数のデータパケット信号レベルに対する1つ以上の期待パケット誤り率(PER)(例えば図1の典型的なPER曲線群102)により定義される感度特性をもつ。方法200は、開始ブロック202における、データパケット信号受信機への複数のデータパケット信号の送信から始まる。処理はブロック204へと進み、ここで複数のデータパケット信号は、複数のデータパケット信号パワーレベルのうち、対応する第1および第2のパワーレベルをもつ第1および第2部分として受信される。第1部分に対応する第1のパワーレベル(−72dBmなど)は、所定パワーレベル(−75dBmなど)よりも大きく、第2部分に対応する第2のパワーレベル(−78dBmなど)は、所定パワーレベルよりも小さい。ブロック206においては、第1および第2部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数が計算される。処理はブロック208へと進み、ここで適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、複数のデータパケット信号パワーレベルに対する1つ以上の期待パケット誤り率(PER)(図1の典型的なPER曲線群102のような、複数の感度曲線)から、1つの感度(例えば図1の曲線104のような1つの曲線または感度)を決定する。方法200はブロック210において決定した感度をテスト評価および感度追跡用に提供することにより終了する。
他の実施例においては、ブロック208の処理は、感度または本来の感度曲線を決定する代わりに、適正に受信されたデータパケット信号の計算された総数を、所定の数量と比較するものである。本方法の適正に受信されたデータパケット信号の計算された総数は、感度と密接に相関している。適正に受信されたデータパケット信号の計算された総数が所定の数量以上である場合、データパケット信号受信機はテストを合格する。そうでない場合、データパケット信号受信機はテストに不合格となる。適正に受信されたデータパケットの計算された総数は、1つの受信機から次へと追跡されて行き、受信機感度の変化方向および変化率が追跡される。ブロック210において、方法200は受信機がテストを合格する、または不合格となることで終了する。
ブロック208における1つの曲線または感度の決定は、例えば以下の通りに実施される。本例においては、ブロック208は最初に複数の事前構成されたデータ構造(例えば複数のテーブル)から1つのデータ構造を選択することを含む。この選択は、第1および第2部分に対応する第1および第2のパワーレベル(例えば−72dBmおよび−78dBm)、およびその第1および第2部分の各々中で伝送されるパケット数(例えば各部分において100パケットが伝送されるなど)に基づくものとすることができる。選択された事前構成データ構造は、適正に受信されたパケットの総数を、曲線または感度レベルへと関連付けることができるものである。よって適正に受信されたパケット信号の総数を選択された事前構成データ構造と比較する(総数をキーとして使い、テーブルデータ構造中でテーブル検索を実施する)ことにより、曲線または感度レベルが判定される。例えば、選択された事前構成データ構造は、送信された300パケットのうち適正に受信された総数が192パケットである場合について、図1の曲線104を返すこと、すなわちこれに決定することができる。また、送信300パケットのうち適正に受信された総数が170パケットであった場合、選択された事前構成データ構造は、図1の曲線105を返す。従って、選択された事前構成データ構造は、そのデータパケット信号受信機の感度レベルまたは感度カーブの検索を、適正に受信されたパケット総数に基づいて実施するために利用することが可能なのである。
他の実施例においては、データパケットの3つのパワーレベルが伝送される。データパケットの第1部分は、所定のパワーレベル(例えば−75dBm)よりも上のパワーレベル(例えば−72dBm)にて伝送され、他の部分は、所定パワーレベルよりも下のパワーレベル(例えば−78dBm)にて伝送され、そして第3部分は、所定パワーレベルまたはその付近にて伝送される。伝送されるパケットの3つのパワーレベルおよび3つの部分の各々において伝送されるパケット数に対応する事前構成データ構造(例えばテーブルデータ構造)が選択される。次に適正に受信されたデータパケット信号の総数を、選択された事前構成データ構造と比較する(例えば総数をキーとして用いてテーブル検索をテーブルデータ構造に実施する)ことにより、選択された事前構成データ構造において可能な曲線群または感度レベル群の中から、1つの曲線または感度レベルが決定される。
さらに他の実施例においては、複数のデータパケット信号の、各々が異なるパワーレベルのパケットを有する2つ以上の部分が受信される。適正に受信されたパケットの総数は、受信された2つ以上の部分から計算される。次に複数のデータパケット信号パワーレベルに対する1つ以上の期待パケット誤り率(PER)から1つが、適正に受信されたパケットの総数に基づいて決定される。例えば、図1の代表的PER曲線群102のような感度曲線群から、図1の曲線104のような感度曲線が決定されるのである。この決定は、まず、2つ以上の部分に関わるデータパケット信号パワーレベルおよびその2つ以上の部分の各々中で伝送されるパケット数に基づき、複数の事前構成データ構造から1つを選択することにより実施される。次に適正に受信されたデータパケット信号の総数を、選択された事前構成データ構造と比較することにより、複数のデータパケット信号パワーレベルに対する1つ以上の期待パケット誤り率(PER)の1つが決定される。
図3は、本明細書に記載される他の実施例に基づくデータパケット信号受信機の感度レベルを計測する為の方法例300を説明するフローチャートである。データパケット信号受信機は、複数のデータパケット信号パワーレベルに対する1つ以上の期待パケット誤り率(PER)(例えば図1の代表的PER曲線群102)により定義される感度特性をもつ。方法300は、開始ブロック302において複数のデータパケット信号をデータパケット信号受信機へと送信することから始まる。処理はブロック304へと進み、複数のデータパケット信号パワーレベルのうち、対応する第1および第2のパワーレベルを有する第1および第2部分として複数のデータパケット信号が受信される。第1部分に対応する第1のパワーレベル(例えば−72dBm)は、所定のパワーレベル(例えば−75dBm)よりも大きく、そして第2部分に対応する第2のパワーレベル(例えば−78dBm)は、所定のパワーレベルよりも小さい。ブロック306においては、複数の受信されたデータパケット信号の第1および第2部分に対応する第1および第2のPERが計算される。処理は次にブロック308へと進み、計算された第1および第2のPERが、1つ以上の期待PER(例えば図1の代表的PER曲線群102のような、1つ以上の感度曲線)の対応するものと比較されて、計算されたPERの適合度または適合曲線が決定される。例えば、パワーレベル−76dBmで伝送されたパケット部分について計算されたPERが30%、およびパワーレベル74dBmで伝送されたパケット部分について計算されたPERが3%の場合、図1の代表的PER曲線群102を使えば、図1の曲線104に決定する、または最良適合させることができる。ブロック310において、方法300は決定した感度をテスト評価および感度追跡に提供することにより終了する。
他の実施例においては、データパケットの3つのパワーレベルが伝送される。データパケットの第1部分は所定のパワーレベル(例えば−75dBm)よりも大きいパワーレベル(例えば−72dBm)で伝送され、他の部分は所定のパワーレベルよりも小さいパワーレベル(例えば−78dBm)で伝送され、そして第3部分は所定のパワーレベル、またはこれに概ね等しいパワーレベルで伝送される。PERは第1、第2および第3部分について計算される。3つの計算されたPERは、次に感度曲線群のうち、1つの感度曲線を見つけるために、例えば感度曲線に一致させる、または最良適合させるために比較される(図1の代表的PER曲線群102のうち、例えば感度曲線104が最良適合、または一致するなど)。
さらに他の実施例においては、各々が異なるパワーレベルをもつ4つ以上のデータパケット部分が伝送される。PERは受信された部分の各々について計算される。4つ以上の計算されたPERは、次に感度曲線群のうち、1つの感度曲線に一致、または最良適合される(図1の代表的PER曲線群102のうち、例えば感度曲線104が最良適合するなど)。
図4は、本明細書に説明する実施例に基づいた3つの連続するデータパケット信号402、404および406の伝送シーケンス401の一例を示すグラフ400である。本実施例においては、各データパケット信号は異なるパワーレベルをもつ。例えば、データパケット信号402は約−1dB(基準パワーレベルに対して)のパワーレベル408をもち、データパケット信号404は約+2dBのパワーレベル410をもち、そしてデータパケット信号406は約−4dBのパワーレベル412をもっている。シーケンス401は、データパケット信号受信機をテストするために複数のデータパケット信号伝送が提供されるように、所定回数にわたって送信することができる。従って、−1dBにあるデータパケット信号の第1部分、+2dBにあるデータパケット信号の第2部分、および−4dBにあるデータパケット信号の第3部分を提供するために、各パワーレベルにおいて等しい数のデータパケット信号を伝送することができる。
送信デバイスは、迅速かつ正確に連続するパケットのパワーレベルまたは振幅を、図4の例に示したパケット間の短い分離時間で変化させなければならない場合がある。このように迅速かつ正確に連続パケット間のパワーレベル変化を実施するための1つの方法は、データパケット信号のベースバンド表現をスケールすることにより、スケールされたベースバンドデータパケット信号を作ることである。スケールされたベースバンドデータパケット信号はその後変換、送信することができる。スケールされたベースバンドデータパケットの各々は、データパケットのスケーリングに関連かつ対応したパワーレベルをもつデータパケット信号へと変換される。このように、迅速かつ正確な振幅またはパワーレベル変化をもつ連続データパケット信号を生成および伝送することができる。この場合においては、外部減衰器の使用は不要とすることができる。
例えば、データパケット信号のベースバンド表現とは、ディジタル領域におけるデータパケット信号のディジタル表現とすることができる。スケールされたベースバンドデータパケット信号は、スケールされたディジタルデータパケット信号とすることができる。第1のスケールされたディジタルデータパケット信号は、ディジタル表現をあるスケーリングファクタ(例えば0.5など)により乗算することで、そのディジタル表現から生成することができる。ディジタル表現を、異なるスケーリングファクタ(例えば0.7)で乗算することにより、第2のスケールされたディジタルデータパケット信号を生成することができ、また、さらに他のスケーリングファクタ(例えば0.3)で乗算した場合、第3のスケールされたディジタルデータパケット信号を生成することができる。第1のスケールされたディジタルデータパケット信号は、ディジタル−アナログ変換器(DAC)により変換した場合、図4のデータパケット信号402を生成することができる。第2および第3のスケールされたディジタルデータパケット信号は、ディジタル−アナログ変換器(DAC)により変換した場合、図4のデータパケット信号404および406をそれぞれ生成することができる。データパケット信号402、404および406は、無線周波(RF)データパケット信号としてRF領域において伝送し、データパケット信号受信機により受信することができる。
受信機テスト用の複数のデータパケット信号を生成するためのスケールされたベースバンドデータパケット信号は、送信デバイスのメモリ中に記憶することができる。スケールされたベースバンドデータパケット信号は、その後の所望時にそのメモリから取得され、変換、送信される。他の実施例においては、スケールされたベースバンドデータパケット信号(データパケット信号402、404、406に対応する第1、第2および第3のスケールされたベースバンドデータパケット信号など)は、送信デバイスのメモリ中に記憶される。所望時には、記憶されているスケールされたベースバンドデータパケット信号は被検受信機のテスト用に一連の、または複数のデータパケット信号を生成するために、取得、変換され、そして複数回にわたり繰り返し送信される。
図4に関して上記に説明したように、各々が異なるデータパケット信号パワーレベルをもつ3つの部分が存在する場合がある。他の実施例においては、各々が異なるデータパケット信号パワーレベルをもつ2つの部分が複数のデータパケット信号に存在する場合もある。図4のシーケンス401は、それぞれが異なるパワーレベルにあるパケットを2つだけ含んだものであってもよく、従って繰り返し送信される場合には2つの部分が生成される。さらに他の実施例においては、複数のデータパケット信号には、各々が異なるデータパケット信号パワーレベルを有する4つ以上の部分があってもよい。図4のシーケンス401は、それぞれが異なるパワーレベルにあるパケットを4パケット以上含んだものでもよく、従って繰り返し送信された場合には4つ以上の部分が生成される。
図5は、被検デバイス(DUT)504のデータパケット信号(DPS)受信機502の感度レベルを計測するように構成されたテストシステム例500のブロック図である。DUT504がDSP受信機502であっても、または図5に示すように、DPS受信機502はDUT504とは別個の部品であるディジタル信号プロセッサ(DSP)チップ(例えばRFチップ)であってもよい。テストシステム500は、DSP受信機502のテストにおいてDPS受信機502により受信されるべき複数のデータパケット信号を送信するために、例えばベクタ信号発生器(VSG)506のような送信デバイスを有する。伝送媒体508は、VSG506の送信機510からDPS受信機502への複数のデータパケット信号の伝送を可能とする。伝送媒体508は、有線または無線接続を含むものとすることができる。
図5に示したように、VSG506はメモリ514、ディジタル−アナログ変換器(DAC)512および送信機510を含む。メモリ514は、スケールされたベースバンドデータパケット信号516を記憶するために使用することができる。スケールされたベースバンドデータパケット信号516をメモリ514から取得し、図4に関して先に説明したように、複数のデータパケット信号を生成するためにDAC512へと供給することができる。例えば、スケールされたベースバンドデータパケット信号516は、送信機510により送信される伝送情報518として複数のデータパケット信号を生成するためにDAC512へと入力されるスケールされたディジタルデータパケット信号とすることができる。スケールされたベースバンドデータパケット信号群516のサブセットまたは全てを、複数のデータパケット信号の生成に用いるためにメモリ514中に記憶することができる。サブセットのみが記憶される場合、伝送用にいったんデータパケット信号へと変換されたスケールされたベースバンドデータパケット信号516のサブセットは、複数の伝送データパケット信号を生成するために所定回数にわたり伝送される。
DPS受信機502は、伝送された複数のデータパケット信号を受けるためのリンクを確立する必要があるものであっても無いものであってもよい。この状況とは、DPS受信機502がDUT504とは別個の部品である場合で、DUT504は受信機502を固定リスニングモードに維持してパケットのテストシーケンス受信を待つ状態にするための特別なドライバを備えていることがある。
受信機502が受信可能となる前にリンクが確立されなければならない状況においては、リンクは非同期リンクまたは同期リンクとすることができる。図5には示していない他のデバイス(例えばゴールデンカード(golden card))が、リンクを確立するためにDPS受信機502へのパケットのリンク確立シーケンスを生成するものであってもよい。リンクが確立されると、VSG506でパケットのテストシーケンスを生成するために、ゴールデンカード(golden card)はVSG506に切り替わる。
リンクの状態においては、DUT504は受信されたパケットを確認(アクノリッジ)するが、DUT504がアクノリッジを送っている間にVSG506が送信を行わない限りにおいては、問題は生じない。これは送信パケット間にギャップまたはスペースを挿入して先に伝送されたパケットの確認を受信するための時間を作ることにより容易に実現することができる。標準規格または仕様は通常、パケット間の最小間隔を指定している(例えば802.11規格では、パケット間の最小間隔として340μsを指定している)。従って、伝送されるパケット間に少なくとも340μmの間隔を挿入することにより、802.11規格のDUT504は、リンクが存在し、機能していると想定するのである。VSG506は伝送されたパケットに関して返される確認(アクノリッジ)を単に無視する。
リンクを確立するためにゴールデンカード(golden card)のような外部デバイスを使用する代わりとして、DUT504がリンク中にあるかのように「フェイク」(模擬)することが挙げられる。VSG506は、パケットの適正なリンク確立シーケンスをDUT504へと送ることにより、DUT504にリンクが作られたものと想定させるようにフェイクすることができる。例えば、VSG506はパケットのリンク確立シーケンスを802.11規格に基づいて生成することにより、リンクが確立されたものと802.11DUT504が想定するようにフェイクすることができる。パケットのリンク確立シーケンスの送信後、VSG506は後にパケットのテストシーケンスを生成し、DPS受信機502に送信する。
パケットのリンク確立シーケンスとパケットのテストシーケンスとを識別するために、2つの方法を適用することができる。第1の方法は、受信されたパケット数が増え始めた(例えばリンクが確立した)場合に、DUT504から適正に受信されたパケットの数を読み出すために、VSG506を中断または停止させる。一般に非同期リンクにおいては、接続を確立する方式はVSG506がリンクのマスタであることを保証するものであるため、VSG506をわすかの間停止させたとしても問題を生じることはない。従って、パケットのリンク確立シーケンスの送信後、DUT504から、適正に受信されたパケット数を読み出すために、伝送をわずかな間停止することができる。よってパケットのテストシーケンス送信後に適正に受信されたパケット総数は、パケットのリンク確立シーケンス送信から適正に受信されたパケット数を考慮するために調整することができる。
他の方法は、パケットのリンク確立シーケンス中で伝送されたパケット数を知っておくことにより、パケットのリンク確立伝送から、適正に受信されたパケット数を差し引くものである。増大させたパワーレベル、かつ可能最小ビットレートにてパケットのリンク確立シーケンスを送信すると、ほぼ確実にリンクの確立に成功する。リンク確立パケットの既知の数は、全てがDUT504により適正に受信されたことを想定し、パケットのテストシーケンスの送信後に適正に受信されたパケットの総数から減算することができる。
確立されなければならないリンクが同期リンクである状況にあっては、VSG506による伝送の中断により多くの配慮が必要となる。しかしながら、リンクを失うことなく伝送を停止および再開させることが可能なリンクプロトコル中の位置は、当業者には容易に明らかである。伝送を一時的に停止し、その後接続を再確立することは、最新のVSG506を内部または外部トリガ信号と関連させて利用すれば比較的に単純なタスクだといえる。
異なるパワーレベルでパケットを伝送する他の手法を採用することによっても、データパケット信号受信機の真の感度(例えば計算したPERと期待PERの一致に基づくもの)、または、真の感度レベルと相関する計算された、適正に受信されたパケット総数のいずれかの判定結果を、テスト時間を著しく増大させることなく得ることができる。他の手法とは、同じパワーレベル(従って送信パケットに変化はない)ではあるが、異なる変調が施されたテストパケット列を送信するものである。各々が他の部分のパケットとは異なるパワーレベルにあるパケットを含んでいるパケット部分を伝送する代わりに、各部分は、他の部分のパケットとは異なる変調で送受信されるパケット部分を有することにより、他の部分とは異なっている。この手法は複数のビットレートを支持するシステムまたは受信機を有するものではあるが、その利用は、例えばIEEE802.11システムなどを想定している。
本願においては、「ビットレート」という語は「変調」に代えて使用することができるものであるが、ビットレートまたは変調を変えることにより得ようとするものは、感度またはSNRの変化である。ビットレートを低減することにより、より高い感度を得られる可能性はあるが、ビットレートを低減しても必ずしもより高い感度が保証されるわけではない。ビットレートは、伝送のパワーをより大きくするため、または占有する帯域幅をより狭くするために、低減することができる。従って、変調の変化により異なる感度が得られるということで、変調という語はビットレートよりも良い語であるということができる。
例えば図6は、本発明の一実施例に基づく3つの連続パケット610、620および630の、さらに他の送信シーケンス601の一例を示すチャート600を示している。この場合においては、図4とは対照的に、3つの連続パケット610、620および630は、それぞれに実質的に同じパワーレベルをもっているが、各々は異なるビットレートで送受信される。例えば、各パケット610、620および630の各々は、同数のバイトをもっているものの、パケット610はパケット620の伝送時間間隔650とは異なる時間間隔640にて伝送されており、そして伝送時間間隔650はパケット630の伝送時間間隔660とは異なっている。例えば、時間間隔640は54Mbpsに関連し、時間間隔650は48Mbpsに、そして時間間隔660は36Mbpsに関連する。3つの連続するパケット610、620および630の各々は同じパワーレベルにあるが、異なるビットレートにて送受信されるのである。
送信パケットに対し、パワーレベルを同じに維持する一方で、そのDPS受信機502について、各ビットレートに対応する感度(例えば10%のPER)を得ることができる。例えば受信機502は、54Mbpsで伝送されるパケットの受信においては−75dBmの感度、48Mbpsで伝送されるパケットの受信においては−78dBmの感度、そして36Mbpsで伝送されるパケットの受信においては−80dBmの感度をもつ場合がある。伝送されたパケットのパワーレベルが−78dBmに設定された場合、予想では36Mbpsで伝送されたパケットのほとんど、または全てが受信され、48Mbpsで伝送されたパケットの一部が受信され、そして54Mbpsで伝送されたパケットのごくわずかが受信される。従って、例えば−78dBmの感度をもち、−78dBmのパワーレベルでパケットを受信するDPS受信機502は、36Mbpsにて伝送された100パケット全て、48Mbpsで伝送された100パケットのうちの90パケット、そして54Mbpsで伝送された100パケットのうちの0パケットを受信することが期待される。受信機502が−78dBmの感度をもつ場合、伝送された300パケットのうち、190パケットが適正に受信されることが期待されることになる。受信機502の感度が、例えば−75dBmなどのより劣るものである場合、伝送された300パケットのうち、190パケットよりも少ないパケットが適正に受信されることが期待される。受信機502の感度が、例えば−80dBmなどのより高いものである場合、伝送された300パケットのうち、190パケットよりも多いパケットが適正に受信されることが期待される。複数のDPS受信機502のテストにおいては、所定数の送信パケット(異なるデータビットレートで送信される部分により伝送されたもの)から計算された適正に受信されたパケット総数を、各DPS受信機502について収集しておくことができる。収集されたデータは、テストされた複数のDPS受信機502の感度の変化方向および/または変化率を示すために利用することができる。最終結果は、図2のプロセスで得られたものと非常に類似している。
上述から理解されるべきは、一群のテストパケット(同じパワーレベルであるが、ビットレートを変えて送信される)の一回の送信が受信され、そしてDPS受信機502に受信された際に、適正に受信されたデータパケットの総数が、所定の数と比較される点である。上述の例で説明したように、適正に受信されたパケットの総数は、受信機502の真の感度に密接に関係したものである。従ってテストされた複数のDPS受信機502の感度の変化方向および変化率は、適正に受信されたパケットの総数を追跡することにより、追跡可能である。
図7は、上述した実施例に基づいてDPS受信機502の感度レベルを計測するための方法例700を説明するフローチャートである。ブロック702において、方法700は複数のデータパケット信号をDPS受信機502へと送信することから開始される。データパケット信号の各々は基本的に同じパワーレベルをもっているが、しかし各々は少なくとも2つ以上の異なるビットレート、または部分のうち、一方のビットレートで伝送される。ブロック704においては、DPS受信機502は複数の送信データパケット信号を受信する。複数のデータパケット信号の2つ以上の部分が受信され、各部分は基本的に同じパワーレベルをもつパケットを含んでいる。受信される1つの部分のパケットは、他方の部分のパケットの送信ビットレートとは異なる、同じビットレートで送信される。ブロック706においては、DPS受信機502の受信した複数のデータパケット信号から、適正に受信されたパケットの総数が計算される。ブロック708においては、適正に受信されたパケットの総数が、所定の数と比較される。適性に受信されたパケットの総数が所定の数以上であればそのDPS受信機502は合格し、そうでない場合は不合格となる。ブロック710においては、テスト結果(合否)および適正に受信されたパケットの総数がテスタまたはユーザに提供され、方法700は終了する。
他の実施例においては、ブロック708において適正に受信されたデータパケット信号の総数がデータパケット信号受信機の感度の決定に利用される。データパケット信号受信機は、決定された感度に基づいて合格または不合格となる。ブロック710においては、データパケット信号受信機の感度および/またはテスト結果が、ユーザまたはテスタへと返される。
受信機の異なるビットレートでパケットを受信する能力の存否から、図2の方法200のほうが図7の方法700よりも柔軟性がある。しかしながら、異なるデータビットレートで受信することができる受信機をテストする場合、VSGの代わりにDUT通信デバイスを用いると、方法700を実施する利点が生じる。通信デバイスは一般に、容易に異なるデータレートでパケットを送信しつつ同じパワーレベルを維持することができる。例えば、パケットを生成するためにいわゆる「ゴールデンユニット(golden unit)」をVSGの代わりに利用することができる。ゴールデンユニット(golden unit)は一般にパケット毎に出力パワーを変えることはできないが、通常はパケット毎に容易に変調(例えばデータビットレート)を変えることができる。従って、送信パケットのパワー出力を同じに維持しつつビットレートを変えるという手法はgolden unitを用いてテストする場合、有用なのである。golden unitという語の由来は、この場合においては送信または生成ソースである、一般に十分に特性化されたデバイスを用いることに基づくものであり、よって「ゴールデンユニット(golden unit)」と命名されている。
図2および図7の方法は、組み合わせてもよいことはもちろんである。そうする場合、個々に送信されるパケットのパワーを変化させることにより、所望の間隔を作ることができる。例えば、上述した図6において−80dBmにて受信されるパケット部分を、代わりに−81dBmで受信するには、36Mbps信号から1dBのパワーを差し引くことにより可能である。
二つの方法を組み合わせることで、さらにダイナミックテストレンジの増大という要求を満たす能力が提供される。例えば、送信信号中の雑音が計測に影響しないように保証する上で40dBのSNRが要求される場合を考える。VSGが60dBダイナミックレンジを可能とする場合、パワーを40から60dBへと(20dBのレンジ)変えることができるが、しかしIEEE802.1a/gのような信号については、10dBが信号のピーク対平均にとられる。従ってVSGは、ある固定RF利得について10dBのダイナミックレンジにわたってしか効果的にパワーを変えることができない。テストシステムにおいてさらにダイナミックレンジを大きくすると、(パワー的にもコスト的にも)非常に高くつきかねない。図2および図7の方法を組み合わせた場合、パワーを低下させるのではなく、変調またはデータビットレートを増大させることにより、信号対雑音比(SNR)を低下させることなく、テストの感度をさらに向上させる(より大きいダイナミックレンジを得る)ことができる。
さらにこの組み合わせた方法は、RFチップにおける利得ステップのテストに用いることができる。例えば、受信機のフロントエンドの低雑音増幅器(LNA)が2つの異なる利得をもっている場合、感度は高利得および低利得の両方にてテストすることができる。これは、例えば20dB範囲をカバーするパケット列を用いることにより、VSG中の同じ信号を用いて実施することができる。パワーのみを変化させる場合、SNRの問題が生じ得る(VSGによる)が、しかし変調およびパワーを組み合わせることにより、パワー変化が制約されたテストにおいて20dBダイナミックレンジを容易に得ることが可能である。当然ながら、高利得LNA(最高感度)がほとんどのパケットレベルを失うことなく受信し、そして低利得はわずかなレベルしか受信しないことから、テストレベル(部分のビットレート)はシフトする。そうであったとしても、このことはテスト限界が適宜に調節されている限りにおいては許容され得るものである。VSGシステム利得の調節に長時間を要する場合、単一のパケット列を用いて本テストを実施すると、利得を調節しなければならない回数が一回だけとなり、若干ながら実行がより迅速になるというさらなる利点がある。
多数の利点の中から、本願に記載した実施例は、テスト時間を著しく増大させることなく、被検データパケット信号受信機の真の感度レベル、またはその真の感度レベルに相関する適正に受信されたパケットの計算された総数の決定を提供するものである。加えて、最良適合感度曲線であれ、適正に受信されたパケットの計算された総数であれ、テストされたデータパケット信号受信機についての真の感度データは、蓄積し、後の分析のために追跡することができる。例えば、追跡している感度の傾向、すなわち方向性(感度が劣化している、または向上しているなど)に着目しておくことにより、例えばその傾向を受信機部品の供給業者が変わったことに関連付けるなど、その傾向の原因究明が可能である。
以上の本発明の詳細な説明および本願に記載の実施例は、限定的なものではなく、説明目的に限って提示したものである。例えば、記載した作用は、いかなる好適な方法により実施されても良い。方法のステップは、説明した作用および結果を提供する限りにおいてはいかなる好適な順番で実施されるものであってもよい。従って、本発明は、上記および本願請求項に開示の基本的で根本的原理の精神および範囲に入る、いずれの変更、改変または同等物も包含することを意図したものである。
ある種のデータパケット信号受信機における感度特性を定義するために用いることができる典型的なパケット誤り率(PER)曲線群の例を示すグラフである。 本発明の一実施例に基づくデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法例を説明するフローチャートである。 本発明の他の実施例に基づくデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法例を説明するフローチャートである。 本発明の一実施例に基づく3つの連続するデータパケット信号の伝送シーケンス例を示すチャートである。 本発明の一実施例に基づくデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するために構成されたテストシステムの一例を示すブロック図である。 本発明の一実施例に基づく3つの連続するデータパケット信号の別の伝送シーケンス例を示すチャートである。 本発明の一実施例に基づくデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法例を説明するフローチャートである。
符号の説明
500 テストシステム
502 データパケット信号(DPS)受信機
504 被検デバイス(DUT)
506 ベクタ信号発生器(VSG)
510 送信機
512 D/A変換器
514 メモリ

Claims (22)

  1. 期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の第1および第2部分を受信するステップであって、前記第1が所定のパワーレベルよりもそれぞれ大きい第1のデータパケット信号パワーレベルを有し、前記第2部分が所定のパワーレベルよりも小さい第2のデータパケット信号パワーレベルを有することを特徴とするステップと、
    前記受信した複数のデータパケット信号の第1および第2部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、前記期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記決定するステップが、
    複数の事前構築されたデータ構造の1つを選択するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数を前記複数の事前構築されたデータ構造の選択された1つと比較することにより、前記期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数のデータパケット信号の第3部分を受信するステップであって、前記第3部分が前記所定のパワーレベルと実質的に等しい第3のデータパケット信号パワーレベルをもつことを特徴とするステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数を、前記複数のデータパケット信号の受信された前記第1、第2および第3部分から計算するステップと、
    をさらに含む請求項1に記載の方法。
  4. 前記決定するステップが、
    複数の事前構築されたデータ構造の1つを選択するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数を前記複数の事前構築されたデータ構造の選択された1つと比較することにより、前記期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、前記2つ以上の部分の各々が、異なるパケット信号パワーレベルをもつことを特徴とするステップと、
    前記受信した複数のデータパケット信号の前記2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、前記期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、
    を含む方法。
  6. 前記決定するステップが、
    複数の事前構築されたデータ構造の1つを選択するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数を前記複数の事前構築されたデータ構造の選択された1つと比較することにより、前記期待PER―対―データパケット信号パワーレベルを決定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の第1および第2部分を受信するステップであって、前記第1部分が所定のパワーレベルよりもそれぞれ大きい第1のデータパケット信号パワーレベルを有し、前記第2部分が所定のパワーレベルよりも小さい第2のデータパケット信号パワーレベルを有することを特徴とするステップと、
    前記受信された複数のデータパケット信号の前記第1および第2部分に対応する第1および第2のPERを計算するステップと、
    前記第1および第2の計算されたPERを前記期待PERと比較するステップと、
    を含む方法。
  8. 前記複数のデータパケット信号の第3部分を受信するステップであって、前記第3部分が前記所定のパワーレベルと実質的に等しい第3のデータパケット信号パワーレベルをもつことを特徴とするステップと、
    前記受信された複数のデータパケット信号の前記第3部分に対応する第3のPERを計算するステップと、
    前記第3の計算されたPERを前記期待PERと比較するステップと、
    をさらに含む請求項7に記載の方法。
  9. 複数のデータパケット信号の前記第1および第2部分を送信するステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
  10. データパケット信号のベースバンド表現がスケールされることにより、スケールされたベースバンドデータパケット信号が生成され、前記スケールされたベースバンドデータパケット信号が変換され、複数のデータパケット信号の前記送信される第1および第2部分として送信されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記データパケット信号のベースバンド表現がディジタル表現であり、前記スケールされたベースバンドデータパケット信号が、スケールされたディジタルデータパケット信号であり、前記スケールされたディジタルデータパケット信号がディジタル−アナログ変換器(DAC)により変換されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記スケールされたベースバンドデータパケット信号が、前記変換および送信を行うために後に取得できるように、メモリ中に記憶されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 前記記憶されたスケールされたベースバンドデータパケット信号が変換され、複数のデータパケットの前記送信される第1および第2部分を生成するために、所定の回数にわたり繰り返し送信されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記受信するステップが、第1および第2の連続するデータパケット信号を受信するものであり、前記第1のデータパケット信号が前記第1のデータパケット信号パワーレベルをもち、前記第2のデータパケット信号が前記第2のデータパケット信号パワーレベルをもつものであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  15. 期待パケット誤り率(PER)―対―データパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、前記2つ以上の部分の各々が、異なるデータパケット信号パワーレベルをもつことを特徴とするステップと、
    複数のデータパケット信号の前記2つ以上の部分の各々について、PERを計算するステップと、
    前記2つ以上の部分の前記計算されたPERを、前記期待PERと比較するステップと、
    を含む方法。
  16. 前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、所定のパワーレベルよりも低いパワーレベルをもつデータパケット信号を有し、前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、前記所定のパワーレベルよりも高いパワーレベルをもつデータパケット信号を有していることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 期待パケット誤り率(PER)―対―関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の第1および第2部分を受信するステップであって、前記第1および第2部分が実質的に等しいデータパケット信号パワーレベルをもち、前記第1部分が所定の変調よりも大きい第1の変調にあり、前記第2部分が所定の変調よりも小さい第2の変調にあることを特徴とするステップと、
    複数のデータパケット信号の前記受信した第1および第2部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、前記期待PERを決定するステップと、を含む方法。
  18. 前記複数のデータパケット信号の第3部分を受信するステップであって、前記第3部分が前記第1および第2部分中にあるデータパケット信号のパワーレベルと実質的に等しいパワーレベルをもち、前記第3部分が前記所定の変調と実質的に等しい第3の変調をもつことを特徴とするステップと、
    前記複数のデータパケット信号の前記受信された第1、第2および第3部分から、前記適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、をさらに含む請求項17に記載の方法。
  19. 期待パケット誤り率(PER)―対―関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、前記2つ以上の部分が、実質的に等しいパワーレベルをもち、前記2つ以上の部分の各々が、異なる変調をもっていることを特徴とするステップと、
    前記受信した2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、前記期待PERを決定するステップと、
    を含む方法。
  20. 前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、所定の変調よりも低い変調をもち、そして前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、前記所定の変調よりも高い変調をもつことを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 期待パケット誤り率(PER)―対―関連する変調にあるデータパケット信号パワーレベルで定義される感度特性をもつデータパケット信号受信機の感度レベルを計測するための方法であって、
    複数のデータパケット信号の2つ以上の部分を受信するステップであって、前記2つ以上の部分のうちの1つの部分のデータパケット信号は、実質的に等しいパワーレベルおよび変調をもち、前記2つ以上の部分の部分間では、パワーレベルおよび変調が異なることを特徴とするステップと、
    前記受信した2つ以上の部分から、適正に受信されたデータパケット信号の総数を計算するステップと、
    前記適正に受信されたデータパケット信号の総数に基づいて、前記期待PERを決定するステップと、
    を含む方法。
  22. 前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、所定の変調よりも低い変調と、所定のパワーレベルよりも低いパワーレベルをもち、前記2つ以上の部分の少なくとも一方が、前記所定の変調よりも高い変調と、前記所定のパワーレベルよりも高いパワーレベルをもつことを特徴とする請求項21に記載の方法。
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