JP2008543155A - 電気音響変換器用の改善した薄膜 - Google Patents

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Abstract

第1区域(A1)と、前記第1区域(A1)に対して並進運動するよう構成した第2区域(A2)と、前記第1区域(A1)および前記第2区域(A2)を連結する第3区域(A3)とを有する電気音響変換器(1)用の薄膜(2′)であって、前記第2区域(A2)を囲む前記第3区域(A3)内の閉じた線(L)に沿った局所的な平面ばね定数(psc)を、前記並進運動の方向(DM)の前記線(L)に沿った局所的な並進ばね定数(tsc)がほぼ一定であるか、または、もっぱらほぼ平坦な相互変化特性を有するように決定する、薄膜(2′)を開示する。

Description

本発明は、第1区域と、前記第1区域に対して並進運動するよう構成した第2区域と、前記第1区域および前記第2区域を接続する第3区域とを有する電気音響変換器用の薄膜に関する。本発明は、さらに、革新的な薄膜を含む変換器および革新的な変換器を含むデバイスに関する。
現在のデバイスのますます小さくなる寸法およびますます高まる複雑さは、内蔵変換器に対して何からの影響を与えることになる。たとえば、デバイス内部で必要な空間と音を発する面積との間の比を最適化するために、スピーカは、例えば円形ではなくより一層長方形または楕円形になる。円形スピーカは、完全に対称であるが、長方形および楕円形のスピーカは、何らかの非対称性を含み、この非対称性は、低い音質につながり、この低い音質は、改善されなければならない。
図1aおよび1bに、角を丸めた長方形の従来技術によるスピーカ1の第1(左半分)および第2(右半分)の実施形態を示すが、図1aは平面図であり、図1bは断面図である。スピーカ1は、薄膜2、この薄膜2に取り付けたコイル3、コイル3と相互作用する磁石系4、およびこれら部分を担持するハウジング5を含む。第2実施形態の薄膜2は、さらに、コルゲーション(波形)6を有する。
薄膜2は、第1区域A1、第1区域A1に対して並進運動するよう構成した第2区域A2と、第1区域A1および第2区域A2を接続する第3区域A3とに分割される。さらに、閉じたラインLが示し、このラインLは、第3区域A3内に位置し、第2区域A2を囲む。ラインLは、それぞれ、角を丸めた長方形スピーカ1または同一の形状を有する薄膜2の外側の境界に平行なので、4個の直線セクションaと、これら直線セクション間における4個の湾曲セクションbと、を有する。さらに、図1aおよび1bには2つの方向を示す。第1は、並進運動の方向DMであり、これは、スピーカ1の軸線に平行であり、第2区域A2の運動の方向を示す。第2は、ラインLの方向DLであり、これは、直線セクションaにおいては明白であり、湾曲セクションbにおいてはラインLの接線方向である。ライン方向DLおよび並進運動方向DMは、ラインLの各点で互いに直交する。図1aおよび1bは、そのような対の2つの例のみを示し、一方は、直線セクションaに位置し、もう一方は湾曲セクションbに位置する(図1bには図示せず)。
この例の第1区域A1は、薄膜2の境界であり、この境界は、ハウジング5に連結し、したがって、ハウジング5に関して不動である。第2区域A2は、この例ではコイル3の外側境界よりも内側の区域である。したがって、第2区域A2は、コイル3と薄膜2との間における結合部、およびいわゆるドーム部を含む。第2区域A2は、第1区域A1に関して並進運動することができる。実際の、したがって理想的ではないスピーカで発生する、揺動、曲げ、および若干の側方運動等、他の運動は、さらなる検討をする上で無視する。したがって、第2区域A2は、全体として移動すると考えられ、これは、第2区域A2がその形状を変化しないことを意味する。
第3区域A3は、第1区域A1を第2区域A2に連結する。第2区域A2は、第1区域A1に対して相対移動するので、第3区域A3は、その形状を変化する。直線セクションaでは、単純なローリング運動があり、これは、薄膜2の内側でライン方向DLでの移動がないことを意味する。完全に異なる状況が、湾曲セクションbに存在する。ここでは、並進運動方向DMでの薄膜2の移動が、薄膜2の内側でのライン方向DLでの相対運動を引き起こす。この相対運動は、湾曲セクションbの半径変化によって引き起こされ、この半径変化は、第2区域A2の並進運動によって引き起こされる。
言及された問題は、従来技術で周知であり、通常、スピーカ1の第2実施形態が有するコルゲーション6が、ライン方向DLでの上述の相対運動を可能にするために曲がったセクションbに置かれる理由である。正確な物理的説明は、ライン方向DLの平面ばね定数(planar spring constant)pscが減っていることである。したがって、通常、湾曲セクションbでの平面ばね定数pscは、直線セクションaより小さい。しかし、湾曲セクションbに単純にコルゲーション6を設けることでは、スピーカの満足な機能に不十分であることがわかっており、これを以下により詳細に説明する。
したがって、図2aにつき説明するが、図2aには、上述のラインLの1/4に沿った、したがって、薄膜2の長辺側における直線セクションaの半分、湾曲セクションb、および薄膜2の短辺側における直線セクションaの半分にわたる、上述した従来技術による薄膜2の平面ばね定数pscおよび並進ばね定数(translatory spring constant)tscのグラフを示す。平面ばね定数pscは、ライン方向DLの向きであり、並進ばね定数tscは、上述した並進運動方向DMの向きである。
実線は、コルゲーションなしの従来技術における薄膜2の第1実施形態のパラメータを示す。ここで、平面ばね定数pscは、薄膜2が均質であるならば、多少一定である。その結果、並進ばね定数tscは、それぞれ薄膜2のコーナーまたは湾曲セクションbで大幅に増大し、これが、次のいくつかの望まれない結果につながる。
−薄膜2のワープ。これは、ひずんだ音再生ならびにコイル3に対する局所負荷の増加につながる。これは、特にいわゆる自己支持コイルの場合に、コイル3に損傷を与える可能性がある。
−薄膜2のストロークの減少。これは、それぞれ音量の低下または低い効率につながる。
−薄膜2内の局所ピーク負荷。これは、薄膜2の座屈または破壊につながる。
破線は、湾曲セクションbにコルゲーション6を設けた薄膜2のパラメータを示す。したがって、平面ばね定数pscは、湾曲セクションbでのステップダウンを示す。コルゲーション6は、明確に設計され、その結果、湾曲セクションbの中間での並進ばね定数tscが、直線セクションaと同一の値を有するようになっている。したがって、これによって問題が解決されると考えることができ、これは、スピーカ設計の原則において明白である。しかし、直線セクションaと湾曲セクションbとの間の境界に、並進ばね定数tscのグラフの予測不能な上昇および下落があり、これは、やはり、上述した好ましくない結果につながる。これは、直線セクションaと湾曲セクションbとの間の相互作用のゆえである。第3区域A3が、理論的に直線セクションaおよび湾曲セクションbに分割される場合に、関連する変形は、第2区域A2が移動する時に異なる。しかし、直線セクションaおよび湾曲セクションbは、その端縁で相互連結されているので、並進ばね定数tscの上述の相互作用および影響が発生する。より最近の研究が、この望ましくない影響を明らかにした。
異なる実施形態でバルジおよびコルゲーションの複雑な構造を含む従来技術における薄膜の他の実施形態がいくつかあるが、これらが、製造が難しく、上述した目的のいずれをも十分には解決しないことに留意されたい。
本発明の目的は、上述の欠点を回避する、第1段落で述べたタイプの薄膜、第1段落で述べたタイプの変換器、第1段落で述べたタイプのデバイスを提供することである。
上述の目的を達成するために、本発明は、最初の段落で特徴を示した変換器用の薄膜において、前記第2区域を囲む前記第3区域内に位置する閉じたラインに沿う、前記ラインの方向に関する、各局所的な平面ばね定数を、前記ラインに沿う、前記並進運動の方向に関する各局所的な並進ばね定数がほぼ一定、またはもっぱらほぼ平坦な相互変動特性となるように決定するものとした、ことを特徴とする。
本発明の目的は、さらに、本発明による薄膜を有する変換器および本発明による変換器を有するデバイスによって達成される。
このようにして、薄膜の性能が、顕著に向上する。上述のラインに沿う並進ばね定数の変化がない、またはほとんどないので、薄膜のワープ(ゆがみ)が減少し、薄膜のストロークが改善され、薄膜の局所ピーク負荷が減少し、このことにより、改善された音再生、改善された効率、および改善された寿命が得られる。
より最近の調査によれば、驚くべきことに、薄膜の湾曲セクションにコルゲーションを単純に置くことだけでは、変換器の満足な品質を得るに十分ではないことを示した。さまざまな実験およびコンピュータシミュレーションによって、薄膜がその湾曲セクションにコルゲーションを有するときであっても、並進ばね定数の予期されない差があることがわかった。これは、コルゲーションが、円形の薄膜について満足な性能をもたらす場合にもあてはまり、これは、コルゲーションの完全な配置を有する円形の薄膜を4個の1/4象限に切断し、これらを丸めたコーナーを有する長方形の薄膜のコーナーに配置しても、完全な長方形の膜にはつながらないことを意味する。
第2区域を囲む第3区域内に位置する、閉じたラインに沿う、ラインの方向に関する、各局所的な平面ばね定数を、ラインに沿う、並進運動の方向に関する各局所的な並進ばね定数がほぼ一定、またはもっぱらほぼ平坦な相互変動特性を有するように決定すると、有利である。この場合、本発明の特徴を、第3区域全体に適用し、このことは、並進ばね定数を、第3区域全体にわたって等しくすることを意味する。したがって、薄膜の性能が、さらに改善される。
最大並進ばね定数と最小並進ばね定数との間の比が1.5を超えないときに、薄膜の有利な実施形態が達成される。前記比のさらに有利な限界が、1.3である。最後に、前記比が1.1を超えないときが、極めて有利である。このようにすると、並進ばね定数は、ある帯域幅の中に保持され、したがって、ある定数値の前後で若干の変動が可能になる。したがって、要件の厳密さがより少ないので、薄膜の設計が単純になる。
相対並進ばね定数を、並進ばね定数と最小並進ばね定数との間の比と定義し、相対長さを、ラインの部分長さと全長との間の比と定義し、前記相対長さに対する前記相対並進ばね定数の微分勾配(differential slope)が100を超えない時に、薄膜のさらに有利な実施形態が達成される。この微分勾配のさらに有利な限度は、50である。最後に、微分勾配が、前記ラインのどの点においても20を超えないときが、極めて有利である。このようにすると、隣接する並進ばね定数の間の差が、ある帯域幅の中に保たれ、したがって、緩慢なだけとなる。したがって、前記ラインに沿う、並進ばね定数の段差的変化または急激な変化が回避され、これは、薄膜内のピーク負荷の減少をもたらし、より長い寿命をもたらす。この点で、前述の限度が、並進ばね定数の巨視的グラフに関係付けられることに留意されたい。「巨視的グラフ」を生成する可能性は、たとえば各コルゲーションの中間で、すなわち、その最高点で並進ばね定数の離散値をとり、その間で値を補間することである。しかし、2個の隣接する離散値によって微分勾配を決定することも考えられる。
前記ラインを、前記第3区域の境界にほぼ平行にするとき、有利である。したがって、ラインの位置を簡単に定義でき、コイルに対する(第2区域との境界を考慮するとき)および/またはハウジングに対する(第1区域との境界を考慮するとき)均質な負荷が、同時に達成される。
前記第3区域をリングの形状とし、前記ラインを前記第3区域の中心線とすると、さらに有利である。これは、ラインの定義が簡単になり、コイルならびにハウジングに対する均質な負荷も達成できる。
平面ばね定数を、前記薄膜の厚さの変動によって決定するものとすると、本発明薄膜の極めて有利な実施形態が得られる。これは、均等化した並進ばね定数を達成する簡単な手法である。というのは、たとえば長方形の薄膜は、通常はコーナーでより柔らかくしなければならず、薄膜は、アイロニングプロセス中にコーナーが多少は自動的により薄くなるからである。しかし、また、特に薄膜をダイキャストするときに、厚さを制御するこの特定の例は、本発明の目的を達成するための有利なパラメータである。
薄膜が、コルゲーションを有し、平面ばね定数を、前記コルゲーションの形状変動によって決定するものとすると、本発明薄膜の極めて有利な実施形態が、さらに得られる。コルゲーションは、湾曲セクションでの薄膜の伸縮を可能にする極めて一般的な手段である。したがって、本発明の目的に周知のコルゲーションを適合させることは、比較的簡単である。ほとんどの場合に、コルゲーションのみで、均等化した並進ばね定数を得るのに十分であり、その結果、膨出部などの追加の構造を回避できるようになり、これによって、薄膜の製造、特に対応する金型の製造が大幅に簡素化される。
平面ばね定数を、コルゲーションの深さ、密度、長さ、曲率半径、および/または幅の変化によって決定するものとすると、極めて有利な他の実施形態が得られる。これらは、各薄膜の平面ばね定数または薄膜のコンプライアンスに影響する、コルゲーションの有利なパラメータである。コルゲーションが、深く、長く、高密度であるほど、薄膜がより柔軟になり、これは、その平面ばね定数が小さくなることを意味する。対照的に、コルゲーションの幅が広いほど、またはコルゲーションの曲率半径が大きいほど、薄膜は、より堅く、これは、その平面ばね定数が大きくなることを意味する。
最後に、前記ラインが、直線セクションおよび湾曲セクションを含み、前記コルゲーションの前記変動または前記薄膜の前記変動が、前記湾曲セクションに、ならびに少なくとも部分的に前記直線セクションに位置させると、とくに有利である。コルゲーションを湾曲セクションだけに配置することまたは湾曲セクションで薄膜をより薄くすることでは、薄膜の満足な品質を得るに不十分であることがわかっている。これらの手法は、非常に驚くべきことに直線セクションに延長されなければならない。というのは、直線セクション内に、単純なロール運動があり、これが、既に上述した、薄膜内のライン方向での相対運動がないことを意味するからである。したがって、従来技術の変換器は、直線セクション内のコルゲーションを含まない。というのは、これが、運動学的理由から必要ないからであり、直線セクションのコルゲーションが、ロール運動を妨げるからである。既知の原則とは反対に、機械的理由に起因して、コルゲーションが直線セクションに延長すると、有利であることがわかった。
本発明の上記および他の態様は、下で説明する実施形態から明白であり、これらの実施形態を参照して説明される。
本発明を、図面に示された実施形態を参照して、非限定的な例によって以下により詳細に説明する。
図面は、線図的に描かれ、縮尺通りではなく、異なる図面内の同一の符号は、対応する要素を指す。本発明の代替ではあるが同等の実施形態が、真の発明的概念から逸脱せずに可能であることと、本発明の範囲が、特許請求の範囲のみによって限定されることは、当業者に明白であろう。
図5aは、コルゲーション6を含む本発明による薄膜2′の4つの可能な実施形態の第1の組を示し、各実施形態は、4つの象限I〜IVのうち1つに示す。第1象限Iの実施形態では、コルゲーション6の長さを変化させ、すべてのコルゲーション6は、第3区域A3の内側境界を起点とする。第2象限IIの実施形態では、やはりコルゲーション6の長さを変化させるが、第1の実施形態とは対照的に、コルゲーション6を、第3区域A3の中間に配置する。第3象限IIIの実施形態では、同一のコルゲーション6の密度を変化させる。最後に、第4象限IVの実施形態では、等間隔のコルゲーション6の幅を変化させる。コルゲーション6を、湾曲セクションbだけに配置するのではなく、直線セクションaにも存在させることに留意されたい。
図5bは、コルゲーション6を含む本発明による薄膜2′の4つの可能な実施形態のもう1つの組を示し、各実施形態は、やはり4つの象限I〜IVのうち1つに示す。ここで、コルゲーション6の種類は、4つの象限I〜IVのすべてについて同一である。この図は、本発明が、長方形のコイル3を有する長方形のスピーカ1だけに適用されるのではなく、円筒形のコイル3を有する長方形のスピーカ1(第1象限I)、円筒形のコイル3を有する楕円形のスピーカ1(第2象限II)、楕円形のコイル3を有する楕円形のスピーカ1(第3象限III)、および最後に楕円形のコイル3を有する長方形のスピーカ1(第4象限IV)にも適用されることを示すためのものである。
コルゲーション6のさらなる変更実施形態を、図6a〜図6fに示すが、これらの図のすべてが、直線セクションaの一部、湾曲セクションb、および直線セクションaの一部を通る、ラインLに沿った断面を展開した状態を示す。図6a〜6fのすべてが、湾曲セクションbの中および前後で平面ばね定数pscを減らすコルゲーション6の構成を示す。
図6aは、単純に、薄膜2′を、湾曲セクションbで連続的により薄くすることができることを示す。図6bは、等間隔のコルゲーション6の幅widを変化させることを示す。幅widが狭いほど、薄膜2′がより滑らかになり、これは、その平面ばね定数pscが小さくなることを意味する。もう1つ他の実施形態を、図6cに示す。ここでは、等間隔のコルゲーション6の深さdepを、同一の理由から変化させる。図6dは、さらに、コルゲーションの密度denを、湾曲セクションb内の平面ばね定数pscを減らすために変化させることができることを示す。ここでは、同一コルゲーション相互間の空間(密度denの逆数の値)が異なる。もう1つの実施形態の可能性を、図6eにし、この図では、形状、具体的にはコルゲーション6のそれぞれの曲率半径radを変化させる。曲率半径radが小さいほど、平面ばね定数pscが小さくなる。最後に、図6fは、上述したすべての実施形態の組合せを示す。この図では、薄膜2′の厚さ、幅wid、深さdep、密度den、ならびにコルゲーション6の曲率半径radを変化させて、湾曲セクションb内の平面ばね定数pscをより一層減少させるようにする。
本発明が、単一の実施形態(図6a〜図6e)または図示の組合せ(図6f)に制限されるのではなく、上述した実施形態の任意の組合せが、原理において可能であることに留意されたい。2つの反対の実施形態を組み合わせることも考えられる。例として、薄膜2′は、アイロニングプロセスの後にコーナーまたは湾曲セクションbで非常に薄いものとすることができる。この薄膜は、湾曲セクションbでの少なくともいくつかの並進ばね定数tscが、直線セクションaにおけるもより小さくなるほどに薄く、したがって、本発明の目的が反転されると仮定する。この特殊事例では、これらの区域で平面ばね定数pscを増やさなければならない。したがって、コルゲーション6の長さlenを例にとり、並進ばね定数tscの最小値が、湾曲セクションbの中間に配置されると仮定すると、コルゲーション6の長さlenは、図3aおよび3bに示した構成と反対に、中間位置の近傍で減少させる。
図5a〜5bおよび6a〜6fに示したコルゲーション6のそのような構成の結果を説明するために、ここで図2bを参照すると、図2bには、図2aに示された図に似た、ラインLの1/4に沿った薄膜2′の若干のパラメータを示す。したがって、やはり、薄膜2′の長辺側直線セクションaの半分、湾曲セクションb、および薄膜2′の短辺側直線セクションaの半分を示す。図2bには、ライン方向DLの向きの平面ばね定数pscと、並進運動方向DMの向きの並進ばね定数tscとを示す。
図2bに示した、ラインLに沿って一定の並進ばね定数tscを得るために、平面ばね定数pscは、湾曲セクションb中および前後で滑らかなくぼみを有する図示のグラフのような変化曲線を有しなければならない。これは、薄膜2′を、それぞれコーナーまたは湾曲セクションbでより柔らかくしなければならないことを意味する。正確なグラフは、有限要素法を使用するコンピュータシミュレーションによって計算しなければならない。その結果、コルゲーション6の密度den、深さdep、または長さlenを、湾曲セクションb中および前後で増大させなければならない。その代わりに、コルゲーション6の幅wid、曲率半径rad、ならびに薄膜2′の厚さを、湾曲セクションbの中および前後で減らさなければならない。この図が、図を簡単にするために単純化されており、これは、もちろん、たとえば深さdepのグラフおよび長さlenのグラフを、平面ばね定数pscの同一のグラフを得るために異なるものにすることができることを意味することに留意されたい。したがって、この図は、正確な値ではなく、一般的な原理(たとえば、深さdepが少ないほど、平面ばね定数pscが小さくなる)を示すものである。
細い実線は、それぞれコルゲーション6または薄膜2′の所定特性の最適なグラフを示す。明らかに、たとえば密度denのグラフは、コルゲーション6が有限のサイズを有するので、連続的に変化することができない。言い換えると、ある有限の個数のコルゲーション6だけが薄膜2′におさまり、その結果、平面ばね定数pscのある有限の個数の変化だけを達成することができる。第1近似として、ステップがグラフに示されている(太い実線)。唯一の例外は、薄膜2’の厚さである。もちろん、この厚さは、連続的に変化することができる。さらなる結果として、並進ばね定数tscは、ラインLのどの単一の点においても同一の値を有しない。このグラフは、有限の個数のコルゲーション6によって引き起こされる小さい変動を示す。したがって、ラインLに沿った並進ばね定数tscは、巨視的に見て一定であるとき、本発明による意味では一定と見なすことができ、これは、上述の理由で変動を回避できないことを意味する。並進ばね定数tscは、ある最小並進ばね定数ltscとある最大並進ばね定数htscとの間に留まらなければならないと結論する。
ここで、図2cに、図2bに類似の他の図を示す。ここでは、一定の並進ばね定数tscを得るために必要となる平面ばね定数pscの所望のグラフが、湾曲セクションbで顕著な窪みを示す(実線)。この場合、平面ばね定数pscを減少するすべての可能性の組合せであっても、所望のグラフを得るのに十分ではないと仮定する。したがって、並進ばね定数tscのグラフの少なくとも平坦な傾斜を目指す。その結果を、図2cに見ることができる。実際に、並進ばね定数tsc(実線)は、一定ではないが、その変化は、図2aに示された従来技術のスピーカにおける並進ばね定数tscの変化よりはるかに滑らかである。
図2cには、さらに、上で言及したアイロニングプロセスに起因してコーナーにおいて極めて薄くした薄膜2′の事例を示し、この場合、並進ばね定数tscの最小値が、湾曲セクションbの中間に位置すると仮定する。平面ばね定数pscの所望のグラフ(破線)は、1個の隆起部の前後に2個の窪みを示す。したがって、コルゲーション6の長さlen(破線)は、直線セクションaから緩慢に増大が、湾曲セクションbの中間で再び減少する。その結果、並進ばね定数tsc(破線)は、ラインLに沿って一定となる。図2cならびに図2aでは、コルゲーション6の有限個数によって生ずるすべての段差は、図を簡単にするために省略されていることに留意されたい。しかし、実際には、有限個数のコルゲーション6が、これらの実施例でも並進ばね定数tscのグラフに波形変動を生ずる。
ここで、図3に、相対長さlrelに対する相対並進ばね定数tscrelの微分勾配をどのように計算するかを示す。第1に、相対並進ばね定数tscrelは、並進ばね定数tscと最小並進ばね定数ltscとの間の比と定義される。したがって、x軸は、100%でy軸と交差させ、このことは、この100%の値が、ラインLに沿う並進ばね定数tscの最小値であることを意味する。さらに、図示の隆起部が、ラインLに沿う最大値であると仮定する。したがって、最大並進ばね定数htscと最小並進ばね定数ltscとの間の比、図3では120%が示されている。第2に、Lの相対長さlrelは、ラインLの部分長さと全長との比と定義される。図3には、ラインLの全長に対する約2.5%の小さい断片だけを示す。この場合、相対長さlrelに対する相対並進ばね定数tscrelの微分勾配を計算することができる。したがって、2個の相対並進ばね定数の差分Δtscrelおよび2つの相対長さの差分Δlrelをとって、微分勾配は次式で計算する。
Figure 2008543155
ただし、tsc1およびtsc2は、並進ばね定数tscの2個の(絶対)値であり、ltscは、上述した最小並進ばね定数ltscであり、l1およびl2は、部分長さの2個の(絶対)値であり、ltotは、ラインLの全長である。図示の例では、微分勾配が、ほぼ以下の通りとなる。
Figure 2008543155
この点で、図3のグラフは、相対並進ばね定数tscrelを巨視的に見たものであり、これが、コルゲーション6内での変動を示していないことを意味するものであることに留意されたい。たとえば、それぞれコルゲーション6の中間部分における離散値を取り上げ、これら離散値間で補間し、結果として図3に示すグラフとなる。同様に、各コルゲーション6における最大高さまたは最小高さにおける離散値をとることができる。
最後に、図4に、第1区域A1および第2区域A2を接合する接合線に沿った平面ばね定数pscおよび並進ばね定数tscのグラフを示す。次の例では、接合ラインが、第2区域A2を囲むラインLに直交すると仮定する。第1区域A1は、薄膜2′をハウジング5に接合する薄膜2′の取付け部分であり、第2区域A2は、薄膜2′のうちで、薄膜2′をコイル3に接合する部分である。ハウジング5およびコイル3は、少なくとも薄膜2′と比較して極めて硬いと仮定されるので、平面ばね定数は、それぞれ第1区域A1と第3区域A3との間、または第2区域A2と第3区域A3との間の境界区域でほぼ無限大である。それらの中間では、平面ばね定数は、より柔らかく、何らかの値を有し、この値は、上述の手法(図5a〜5b、6a〜6f参照)によって大きく影響される。並進ばね定数tscも、第1区域A1と第3区域A3との間の境界で無限大である。というのは、第3区域A3が、その境界で第1区域A1に関して移動できないからである。接合ライン上では、並進ばね定数tscの値は、減少し、第2区域A2と第3区域A3との間の境界で、ある値に達する。この値は、コイル3の設計に関係する。というのは、磁石系4内のコイルを通る電流が、力を発生させ、この力が、並進ばね定数tscの前記値に従う第2区域A2の移動を発生させるからである。したがって、一定である、またはほぼ平坦な相互変動特性を有することを目指す並進ばね定数tscは、第2区域A2と第3区域A3との間の境界にあるものとすることができ、必ずしも平面ばね定数pscが変動するラインL上ではない。
ほとんどがスピーカに対して言及したが、本発明は、マイクロホンにも同様に関係することができる点に留意されたい。唯一の相違は、作用および反作用の状況である。スピーカの場合には、電流が音波を生じるが、マイクロホンの場合には、音波が電流を生じる。しかし、運動力学的および機械的原理は、両方のデバイスについて同一である。
最後に、上で述べた実施形態が、本発明を限定するのではなく例示することと、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱せずに多数の代替実施形態を設計できることとに留意されたい。請求項では、括弧に囲まれた符号のいずれをも、請求項を限定するものと解釈してはならない。用語「備える(comprisingおよびcomprises)」および類似物は、任意の請求項または本明細書全体にリストされたもの以外の要素またはステップの存在を除外しない。要素の単数形の言及は、そのような要素の複数形の言及を除外せず、逆も同様である。複数の手段を列挙するデバイス請求項では、複数のこれらの手段を、1個のまた同一のハードウェア品によって実施することができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。
従来技術における長方形スピーカの2つの実施形態を示す説明図である。 従来技術における長方形スピーカの断面図である。 従来技術における薄膜の平面ばね定数および並進ばね定数を示すグラフである。 本発明による薄膜の薄膜パラメータ、平面ばね定数、および並進ばね定数の間の相関を示すグラフである。 本発明による薄膜の他の実施例における図2bに類似のグラフである。 相対長さに対する相対並進ばね定数の微分勾配をどのように計算するかを示すグラフである。 第1区域および第2区域を結ぶラインに沿った平面ばね定数および並進ばね定数を示すグラフである。 本発明による薄膜の4つの実施形態を示す図である。 本発明による薄膜のさらなる4つの実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。 コルゲーションの変更実施形態を示す図である。

Claims (10)

  1. 第1区域と、この第1区域に対して並進運動するよう構成した第2区域と、前記第1区域および前記第2区域を連結する第3区域とを有する電気音響変換器用の薄膜において、前記第2区域を囲む前記第3区域内に位置する閉じたラインに沿う、前記ラインの方向に関する、各局所的な平面ばね定数を、前記ラインに沿う、前記並進運動の方向に関する各局所的な並進ばね定数(tsc)がほぼ一定、またはもっぱらほぼ平坦な相互変動特性となるように決定するものとしたことを特徴とする、薄膜。
  2. 前記第2区域を囲む前記第3区域内に位置する、閉じたラインに沿う、前記ラインの方向に関する、各局所的な平面ばね定数を、前記ラインに沿う、前記並進運動の方向に関する各局所的な並進ばね定数がほぼ一定、またはもっぱらほぼ平坦な相互変動特性有するように決定するものとした、請求項1に記載の薄膜。
  3. 最大並進ばね定数と最小並進ばね定数との間の比を、1.5を超えないようにした、請求項1に記載の薄膜。
  4. 相対並進ばね定数を、並進ばね定数(tsc)と最小並進ばね定数との間の比と定義し、相対長さを、前記ラインの部分長さと全長との間の比と定義し、前記相対長さに対する前記相対並進ばね定数の微分勾配は、前記ラインのどの点でも100を超えないものとした、請求項1に記載の薄膜。
  5. 前記平面ばね定数を、前記薄膜の厚さの変動によって決定するものとした、請求項1に記載の薄膜。
  6. コルゲーション(6)を備え、前記平面ばね定数を、前記コルゲーション(6)の形状変化によって決定するものとした、請求項1に記載の薄膜。
  7. 前記平面ばね定数(psc)を、前記コルゲーションの深さ、密度、長さ、曲率半径、および/または幅の変化によって決定するものとした、請求項6に記載の薄膜。
  8. 前記ラインは、直線セクション(a)および湾曲セクション(b)を有し、前記コルゲーションまたは前記薄膜の前記変化を、前記湾曲セクション(b)ならびに少なくとも部分的に前記直線セクション(a)に配置した、請求項1に記載の薄膜。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の薄膜を有する変換器。
  10. 請求項9に記載の変換器を有するデバイス。
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